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1090/ 謎の妖精ストーリー
□投稿者/ みずき☆ -18回-(2008/12/07(Sun) 18:07:04)

皆さん、こんばんは☆
そしてこやまるさん、ごめんなさい!
前の小説、削除してしまいました・・。
すみませんでした。新しい小説始めますので、そちらを宜しくお願いします。

第1章『謎の妖精・ミルモ』
ある朝、ミルモたちは妖精界へ行きました。
この頃は、ミルモとリルムが結婚した、1ヶ月後でした。

ミルモ「リルム、行くぞ!」
リルム「了解ですわ!」
リルム「妖精スーパーのバーゲンセールに遅れるなんていやですわ」
ミルモ「ここでしか、買えない物があるんだもんなっ」

ミルモとリルムの結婚式のお祝いに、このスーパーが
できあがったのです。

リルム「ミルモ様、ちゃんとそこで待ってるんですわよ!」
ミルモ「わかってるって!」
こそこそ・・
ミルモ「ん?なんだぁ??」
そこには人影が・・
ミルモ「おい、そこにいるんだろ?でてこいよ」
???「・・・・」
ミルモ「お〜い・・」
???「こ・・こっちに来ないで下さい・・」
ミルモ「お前、誰だ?見かけねー顔だな」
???「あなたこそ誰ですか?」
ミルモ「俺のこと知んね〜のか!?妖精界で知らないの
    お前ぐらいだぞ!?」
???「だから・・あなたはだれなんです!?」
ミルモ「俺はミルモだよ!今、嫁のリルムが
    妖精スーパーで買い物中なんだ」
???「え・・・あなたもなんですか!?」
ミルモ「何が?」
???「ボクも"ミルモ"なんですけど・・」
ミルモ「はぁー!?お前、名前まちがってんじゃねーのか!?」
ミルモ2「あなたこそ・・」
リルム「ミルモ様〜♪お買い物終わりましたわ〜♪」
ミルモ「おう、今行くぞ〜」
リルム「ミルモ様、このお方は〜・・」
ミルモ「あのな、此奴もミルモってんだ・・」
リルム「まぁ!あなたもミルモ様とおっしゃるんですね」
ミルモ2「あ・・あの・・急いでるんで!!それじゃぁ・・」
ダダッ
リルム「何だか、とても不思議な方ですわね・・」
ミルモ「・・・・・」
ミルモ「ま・・まぁ、いいんじゃねーの?」
リルム「あ・・・はいですわ・・」

壁の後ろで・・

ミルモ2「作戦はバッチリです。ボス!」
電話相手
ボス「そうか!じゃあ次の作戦は・・・・・・・・」
ミルモ2「わかりました、まかせて下さい、ボス!」

続く。


■ こやまる (366回/2008/12/09(Tue) 07:47:18/No1093)
http://www.murumoya.com/


みずきさん、おはようございます☆
あらら、前回のアンリとセンリはボツになってしまいましたか…。
それに代わる今回のストーリーもまた面白そうですので、今回は最後まで続くよう私からも応援いたします!

さて今回のストーリー、
>リルム「ミルモ様、ちゃんとそこで待ってるんですわよ!」
がいいですね(^^)。
リルムを待てずに、いろんな誘惑につられてふらふらっとどこかへ行ってしまい、後でリルムに怒られる、完全にリルムの尻に敷かれているミルモを想像してしまいました(笑)。
そんなリルムに対してミルモはただ素直に謝ることしか出来ず…。

さてそんな平和な状況で・・・ミルモが狙われているんでしょうか?
名前は同じミルモでも姿は全くの別人なのかな?
何やら不穏な空気を感じますが、敵もまた間抜けな予感がして面白そうです。

それでは次回を楽しみにお待ちしております!
では!


■ みずき☆ (19回/2008/12/09(Tue) 18:01:28/No1094)

第2章『記憶をなくした少女』
ミルモたちはまだ妖精界に。

楓「ミルモはリルムちゃんとデート中♪
  私も久しぶりに結木くんとデート行きたいな〜♪♪」
ミルモ2「あなたが楓さんですね。」
楓「あれ?見かけない顔・・で、何で私のことしってんの?」
ミルモ2「ボクはミルモさんのお知り合いなんです。
    それで偶然、ボクもミルモっていうんです。」
楓「へぇ〜よろしくね、ミルモくん♪」
ミルモ2「はい!あ、電話です!ご迷惑でしょうから、
    お外で電話に出てきます。少し待っていて下さい。」
楓「えっあ・・・ふ〜ん、ミルモと大違い♪
  おぎょうぎいいわね〜」
ミルモ2「あ、ボス!あの女、もうワナに引っかかってますよ。」
ボス「ワナに引っかかったな!それから、あれをして・・・」
ミルモ2「はい、了解です。」
ミルモ2「楓さん、またせてすみません。」
楓「ミルモくん!いいのよ♪」
ミルモ2「ちょっと、失礼します。」
楓「え?」
ペタッ
ミルモ2「フフフッ・・・♪」
ぱちっ
楓「私は、誰?」
ミルモ2「あなたは、楓といいますが。」
楓「ミルモって誰?」
ミルモ2「ミルモは、このボクです。あなたのパートナーです。」
楓「ミルモ・・・」
ミルモ2「楓さん、あなたはボクの仲間ですよね」
楓「はい・・」

続く。


■ こやまる (367回/2008/12/12(Fri) 08:03:21/No1096)
http://www.murumoya.com/


みずきさん、おはようございます☆
お、今回はかなりのハイペース連載になりそうで楽しみです。

さてニセモノのミルモの策略が早くも始まりましたね。
楓に何らかのアイテムをくっつけて、楓の記憶を書き換えたのでしょうか。
その目的はまだ分かりませんが、やはりミルモに何らかの恨み(?)でもあるのかな?
それともさらなる別の目的が・・・?
ミルモとリルムが結婚した後という設定も何か絡んでいそうです。
とにかくこの後第1話でのんびりしていたミルモが慌てる光景が目に浮かびますね・・。

それでは次回もまた楽しみにお待ちしております!
では!


■ ゆり (41回/2009/07/05(Sun) 10:06:28/No1529)

おもしろい・・・というかこわいなあ。
次回がものすごく気になります。
いつかでいいので・・・かいてくださいな。
では。短くてすみません。




917/ 澄風亜美と妖精達
□投稿者/ イブ吉 -1回-(2008/07/25(Fri) 17:48:42)

皆さん、初めまして。イブ吉といいます。                夏休みなので、前から小説を書きたいと思っていたムルモ屋の小説版で小説を書かせていただこうとと思います。                   どんな小説かといいますと、ネズミがオリジナルの人間とパートナーになったり、設定とかもかなり大変な事になっています。長々と続きそうで、オリフェも結構出てきます。                          色々と慣れてないのですが続けられるように頑張りますので、どうかよろしくお願いします。                            あ、あとそれから、この小説は一つのシリーズのようになっているため(ごおるでん、わんだほうのような)題名のつけ方に悩みましたが結局こんなのになりました…。亜美はあみじゃなくてアビと読みます。…変な名前ですね。ネズミと一緒に暮らす事になる女の子です。                 でわっ。


■ こやまる (303回/2008/07/28(Mon) 08:27:18/No918)
http://www.murumoya.com/


イブ吉さん、おはようございます☆
レスがちょっと遅くなってしまいごめんなさいm(_ _)m。
そして初めまして!
ムルモ屋本舗の管理人のこやまると申します。

ミルモ小説を、しかもムルモ屋本舗に投稿したいと言ってくださるなんて、私としてもうれしいです(^^)。
かなり壮大なストーリーとなりそうですが、焦らず気楽に書いていくのが良いと思いますよ。
私からもイブ吉さんをたっぷり応援させていただきます!
小説の方は、ネズミと一緒に暮らすことになる女の子・・・すぐにどこかへ行ってしまうネズミと一緒だといろいろ苦労しそうな気もしますが、二人の前に果たしてどんなドラマが待ち受けているのか楽しみです。
まずはどんなきっかけでネズミと出会うことになるのかも気になりますね。
それではこれからもよろしくお願いいたします!
あ、よろしければ通常掲示板の方にもご挨拶していただけるとうれしいです〜。
では!


■ イブ吉 (2回/2008/07/28(Mon) 13:03:00/No919)

こやまる様、レスありがとうございます。私はハンゾーに負けないくらいのんびり屋なので(大げさ?)小説もマイペースに続けていきたいと思います。
確かにあのネズミと一緒に暮らすのはパートナーも大変でしょうね…。楓とミルモ達のように学校にもついてこなそうです。
では、次回から小説のほうを初めさせていただきますのでどうかよろしくお願いします。


■ イブ吉 (3回/2008/07/30(Wed) 14:25:41/No920)

こんにちわ。早速小説を始めたいと思います。

0、妖精界で

細く長い一本道、その道を歩く旅人…『ネズミ』が一定の速度を保ちながら止まる事なく歩き続けていた。周りには誰もいない…ように見える。
「…!!何奴!?」
ふと、背後に殺気を感じ即座に大きく上へと飛び跳ねる。すると、さっきまでの旅姿から青い忍者姿になった。
誰の姿も見えないが確かに誰かの気配を感じる。ネズミは気配を感じた方に向かって手裏剣を投げた。
しかし、

ギイィィィィィン!!!

そんな音が響いたかと思うといつの間にか手裏剣の一つ一つが見事に四つに折られている物がネズミにはねかえってきていた。
「!!こ、こいつは…。」

ズババババババババ!!

「ぐっ……っ!!」
たまらずネズミは地面へと打ちつけられる。だが驚いた事に手裏剣(だったもの)は全てぎりぎりのところでネズミに刺さらず地面に突き刺さっていた。
なのにネズミは立ち上がろうとしない。むこうも何も仕掛けてこなかった。
「……はぁ。」
と、ネズミがゆっくり起き上がる。聞きたくなさそうに聞く。
「一体何の用でござるか?・・・ハトセ殿。」
ハトセと呼ばれたその妖精はいつの間にか姿を現して、ネズミの問いには答えずぽつりとこう返した。
「よう。」



なんかよく分からなくてすみません…。ネズミとオリフェのハトセしか出てないし!
ハトセがどんな奴かはそのうち分かります。ネズミが誰かに『殿』をつけて呼ぶって全然ないですよね。
次はちゃんと、楓やミルモも出てきてオリジナルの人間も出てきますので(ネズミとハトセはでないけど)
会話文が少なくなってしまってごめんなさい!


■ イブ吉 (4回/2008/08/01(Fri) 22:48:24/No925)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

1、朝

「ミルモ〜〜!!何とかして〜〜〜!!!」
桜が満開の通学路を南楓がパートナーのミルモを頭に乗せて猛ダッシュしていた。
「知ーらね。寝坊したお前が悪いんだろ。」
「だってほら、春眠暁を覚えずって言うじゃない!」
「か、楓がおれも知らない言葉を使うなんて…。」
「どういう意味よ!?…まあ、昨日たまたま結木君に教えてもらっただけなんだけど…。」
「大体、楓は春だろうが冬だろうが寝坊助じゃねーか。」
「・・・・・・。あ〜もう、結木君行っちゃたかな?」
「ごまかすなよ…。」
「お願いよミルモ!くもっちょ買ってあげるから!!」
「ほんとか!?しかたねーなぁ♪」
よだれを垂らしながらポンッ!と、マラカスを出す。
「ミル♪ミル♪ミルモでポン♪」
パアァァァァァ!!と、楓の足が光りだした。
「え?わ、わあああああああ!!?」
すると、さっきまでの何倍もの速さで足が勝手に動き出した。
「いやあああああああああ!!!」
「これで学校まで遅れないで自動で行けるぜ♪」
それまで体力が持たない。と、楓は言う事もできず信じられないスペードで角を曲がった。

ドンッッッッ!!!

「のあっ!!」
「うがっ!?」
叫び声は二つあがった。一つは楓、もう一つは…、
「な、何…?」
見た事がない少女だった。だが自己紹介している暇はない。楓はまだ走り続けていた。
しかし、優しい性格(ミルモ曰くお人よし)の楓はその事も忘れて反射的に少女に手を差し伸べてしまった。少女も反射的にその手を握る。

ぐいっ!

「のああ!?」
当然、少女も一緒に走る事に。
「ちょっと止まって〜〜〜!!」
「止まれないの〜〜〜〜〜〜!!!」
「ええ!?」
楓の言っている事の意味が分からず首をかしげる少女。ふと、その目がミルモの姿を捉える。
「あ、ああ!?妖精!!あんたのせいね!?」
「お、お前おれのことが見えるのか!?」
「そんな事より早く止めて〜〜〜〜〜〜!!!!」
どうやら楓の体力が限界に近ずいてきたようだ。悲痛な叫び声が響いた。



桜って随分季節はずれだな…。一応春の設定です。


■ イブ吉 (5回/2008/08/05(Tue) 11:15:34/No927)

おはようございます。続きを書かせていただきます。

2、登校

「ったく、仕方ねーなあ。」
再びポンっ!とマラカスを取り出すミルモ。
「ミルモでポン♪」

キュキュゥゥゥゥゥゥ!!ピタッ!

「止まったあ!…んがっっ!!」

ガコン!!

急に止まったものだから、勢いあまった楓は思いっきり転んで顔面を地面にぶつけてしまった。
「だ、大丈夫…?」
どうやら楓に引っ張られていた少女はバランスを崩しただけですんだようだ。
「い…痛〜い…。」
「けっけっけ!楓の顔真っ赤だぜ!!」
「ミルモのせいでしょ!?」
「魔法に頼ろうとした楓が悪いんだろ!!」
「何よ!くもっちょにつられた癖に!!」
「何だと!?くもっちょをなめんなよ〜〜〜!!!」
「あ、あのさ…。」
言い合いを始めた二人に被害者の少女は何と言うべきか悩む。
その時、
「ん?南じゃないか?」
「あら?ミルモ様?」
後ろから声がした。
「あ、結木君!て、日高さん!何結木君にくっついてるのよ!?」
「オーホッホッホッホッ!!今日は出遅れたみたいね南さん。」
「お主達、何をしているのだ?」
「あっ!南さーん!!おはよーう!!!」
「ほえ?その人誰でしゅか?」
ムルモが楓の隣で立っている少女に気がついた。
「あ、初めまして!転校生の『澄風亜美(すみかぜ あび)』です!」
「ほええ!アビしゃんって美人しゃんでしゅね〜!ぼくムルモでしゅ!よろしくでしゅ、キャハ☆」
「いやいや!ムルモちゃんってばお世辞うまいねぇ!」
「…お前、妖精が見えるのか?」
自然にムルモと会話をはずませるアビに結木がつっ込んだ。
「ええ!?!」
「そういえば、おれの事も見えたな…。お前妖精のパートナーなのか?」
いつの間にか、みんな並んで歩き出している。
「今は違うけど昔はそうだったんだよ。本当にあっという間に帰っちゃったけど。」
「それで妖精が見えるのか。」
「ねえねえ、アビちゃんはどこのクラスに入るの?」
突然楓が身を乗り出してそう言った。
「あー、それが…今日、早めに学校に行って教えてもらうつもりだったんだけど…寝坊しちゃって…ね。」

キーンコーンカーンコーン・・・

「あ。」
校門に足を踏み入れたとたん、チャイムが鳴った。



突然ですが、ヤシチたちの故郷の妖精忍者がたくさん住んでいる村って何ていうのか分かる方はいるでしょうか?分かる方がいたら教えて欲しいです。


■ こやまる (304回/2008/08/06(Wed) 19:12:12/No931)
http://www.murumoya.com/


イブ吉さん、こんばんは☆
小説を早速読ませていただきました♪

いきなりシリアス展開で始まったプロローグと、まったり進行の本編との対比が面白いですね。
そしていつもどおり学校に遅刻しそうな楓、くもっちょを欲しがるミルモやぶりっこをするムルモといった光景の中に突如現れたオリキャラで転校生の亜美。
妖精が見えるという点に何か運命的な出会いみたいなものを感じます。
果たして亜美はどんな性格の女の子なんでしょう?
これまで妖精のパートナーはどこか変わった人が多かったでしたが、亜美もやはりその一人なのかどうか。。
まずは亜美の性格がすごく気になる。。。

ネズミが人間のパートナーだったことをミルモたちは知らなかったようですが、まだストーリーに登場しないヤシチは何か知っているのかな?
プロローグに登場したハトセも含めて、何かワケありの雰囲気も漂ってきます。
そんなわけで続きのストーリーが楽しみです。

>突然ですが、ヤシチたちの故郷の妖精忍者がたくさん住んでいる村って何ていうのか分かる方はいるでしょうか?分かる方がいたら教えて欲しいです。
名前があったかどうかすぐには答えられませんが、妖精忍者のエピソードは原作にも多かったから、もしかしたらコミックスにあるのかも・・・後で探してみますね。

それでは次回も楽しみにお待ちしています。
では!


■ イブ吉 (6回/2008/08/08(Fri) 11:02:23/No932)

おはようございます。続きを書かせていただきます。

3、ミハク

転校初日から遅刻したアビだが、その後は特に失敗する事もなく昼休みを迎えた。ちなみに席は楓の後ろ…以前、江口沙織が座っていた席である。
「うお…長さが別々のはし持ってきちゃった…。」
アビは今、楓達と弁当を食べている。
「あ、私もよくやるよ〜。」
楓がアビをフォローする。
「楓は、はしを忘れてくる方が多いだろ。」
「言わないでよミルモ〜!」
などと、にぎやかなランチタイムを送っていたその時、
「あの…。」
「?」
振り返ると、窓際に一人の妖精が立っていた。
青い、切り揃えられた長い髪の女の子だ。ミルモより少し年上だろう。
「だれだあ?おめー。」
「私は『ミハク』といいます。よろしくお願いしますね♪」
にこやかにそう挨拶するとミハクはアビの机の上までピョンッと飛んできた。
「聞いた事ねー名前だな。で、何しに来たんだよ。」
「実は人間界をお散歩していまして…たまたま通りかかったら妖精がたくさんいたのが見えたので声を掛けてみたんです。」
「そうなのか、オレはミルモってんだ。よろしくな!」
それからミルモに続くように皆自己紹介をしていった。
そして、最後はアビの番だ。
「私は澄風亜美だよ。」
「澄風亜美さん…、今気が付いたのですが、あなたのパートナーはどうされたのかしら?」
「いないよ?昔妖精とパートナーだったから妖精が見えるだけ。」
「まあ、そうでしたか…。あの、そのパートナーさんのお名前を教えていただけますか?」
「名前?ハトセだけど。」
「へえ〜。そうなんだ。」
聞いた事がない名前なので楓はそんな反応しかできない。
「それがどうかしたのか?」
「いいえ、特に。それより皆さん、」
ミルモの問いを流すとミハクは皆の方へと向き直った。
「この後特に予定もありませんし、もう少しご一緒させてもらってよろしいかしら?」


今度はミハクとかいうオリフェの登場です。一応他の人間や妖精もいるんですけど、喋ってないし…。
あと、ハトセの名前も一回だけ出てきましたね。
こやまる様、小説の感想ありがとうございます!


■ イブ吉 (7回/2008/08/11(Mon) 12:37:44/No934)

こんにちわ。続きを書かせていただきます。

4、下校

ミハクと共に行動する事になったミルモ達は今、下校中だった。
「かおるお兄ちゃま!」
「も、桃ちゃん!?」
突然のお嬢様の襲来だ。かといって今日は特に派手でもない、普通の登場だった。
「ヤシチ兄様!」
「ヤマネ!」
桃の肩からパタパタとヤマネがうちわでヤシチの元へ飛んでくる。
「誰?」
アビはこの二人と初対面だ。
「梅園グループのお嬢様の桃ちゃんと、ヤシチのいとこで弟子のヤマネちゃんだよ。」
「へーぇ。」
楓が丁寧に説明してくれる。
「…?何だか随分と慌てておるな。どうかしたのか?」
「さ、先ほど、妖精忍者村の皆さんからお知らせがありまして…、」
「知らせだと?」
「に、兄様が、ネズミ兄様が村に帰って来たらしいのですが…、」
「ほう。」
「ネズミって?」
またもやアビが楓に聞く。
「ヤマネちゃんのお兄さんだよ。修行の旅にでてるんだ。」
「ふうん。」
「忍者村の皆さんによると、そうとう大怪我をしていたそうなのでございます…。」
「怪我を?」
「はい…。随分と傷だらけだったようで…それなのに兄様はすぐにどこかに行ってしまったそうで…。」
「それは…。」
と、ヤシチが何か言おうとした時だ、
「それは本当ですか?」
いきなりミハクが話に首を突っ込んできた。
「は、はい…。」
「そうですか、それは心配ね…。どこに行ったのかは分かりませんか?」
「それが…。」
「心当たりがあるのか!?」
「実は先ほどこれを見つけて…。」
そう言ってヤマネが見せたのはくないだった。おそらくネズミのものだろう。
「ヤマネ!これを一体どこで見つけたのだ!?」
「すぐこの近くでございます…。」
「じゃあネズミは人間界に来てるってことか!?」
ミルモが最終的な答えを出す。すると、
「そのくない…どこにあったのかもっと詳しく教えていただけますか?」
またミハクが口を挟んできた。
「え、あ、あ、えーと、あの辺りでございます。」
戸惑いながらもくないを拾った場所の方角を指差すヤマネ。
「でもその周りにはもう誰もいなくて…。」
「…一体何をしておるのだ?奴は…。」
「あの…皆さん?」
「ん?」
改まったようにミハクが口を開いた。
「私、そろそろ帰りますね。」
「?どうしたのですか急に。」
リルムが不思議そうに聞いた。さっきから口を挟んでばかりだったのにいきなり帰ると言い出したのだ。
「そろそろ交代しなくちゃ…。」
「交代?」
一体何言ってんだ。
「そろそろ『ミコク』の番みたいですから、それでは失礼致します♪」
意味の分からない事を言いながらミハクは去っていった。



本当に意味が分かりませんね…。そのうち分かるようにします。
ネズミ兄様って、『にいさま』なのに『あにさま』と読んでしまいそうです。やっぱり、にい様にしたほうが良かったかも…。


■ イブ吉 (8回/2008/08/15(Fri) 18:43:55/No938)

こんばんわ。続きを書かせてもらいます。

5、ネズミVSミコク

屋根の上をすばやく飛び移る影…、しかし、その影は次に飛び移った屋根の上でぱったり倒れてしまった。
青い忍者服に稲妻マーク、傷だらけのネズミの姿がそこにあった。
「…ぐ…っ。」
ネズミは何とか立ち上がろうとするが、どうしても立ち上がれない。
と、その時、
「ぅおう!なんか辛そうじゃん!?愉快?愉快!ぎゃははは!!」
本当に心の底から楽しそうな声に振り返ると、そこには赤い、切り揃えられた長い髪の女の子がいた。ネズミより少し年上だろう。
「…………。」
軽く舌打ちしてネズミは何とか立ち上がる。そしてこれからどうするか考える。
この怪我ではまともに戦えるわけが無い、かといって逃げる事もできないだろう、残念ながら今はこれといった策も思いつかない。とすると…、
「んん?時間を稼ぐ気か?言っとくがよぉ、この俺『ミコク』の活動時間はあと残り約50分だぜ?50分も戦えんのかよ?無理だって!!」
何も知らない人が聞いたら全く意味が分からないだろうが、とりあえずこの妖精の名前は『ミコク』というらしい。
ネズミはそんなミコクの言う事には答えず、小刀を構えた。無理だろうがなんだろうが今はそれしかないのだ。
「いやあ、それにしても、そこまで痛めつけてやったってのによくここまでこれたよなぁ。実は一回見失っちゃってさあ!仕方ないからあんたが探してる人間に会って情報収集してみたわけ。もちろん『ミハク』にやってもらったぜ?そんでもって、そいつと一緒にいたらあんたの妹に会ってよぉ、その妹ちゃんがあんたのくないを見つけたって言うんでどこで見つけたか場所を聞いたんだ。それをもとにあんたを見つけたってこった。それよりよ、これが一番言いたかったんだが、妹ちゃん、全然あんたと似てねえなあ。」
ミコクが喋り続けている間も、ネズミは頭の中で時間を計算していた。約50分というのは嘘という可能性もあるが、ネズミが妖精界でミコクと戦ったのは2時間程度だったはずだ。ミコクが戦えるのは3時間、それならば確かに50分というのは嘘ではないだろう。
と、思いつつ、もちろんミコクの話もしっかり聞いている。ミコクが自分が探していた人間…澄風亜美や妹のヤマネに会っていた事には少し驚いた。
「さてさてぇ?そろそろお喋りも終わりにしねーとな。一応時間限られてんだからよぉ。時間ぎりぎりまで痛みつけてやりてぇとこだが、もしもあんたに逃げられるような事になったら、せっかくの天敵を倒す、忌々しい因縁に決着をつけるチャンスを逃しちまう事になるからな。さっさととどめをさしちまった方がいいんだ。」
そう言ってミコクは長めのナイフを左右の手に一本ずつ構える。
「…後約35分といったところでござるか…。」
「無理じゃね?」
「確かに。」
「つー訳で、最後の勝負となりまーす!いいかね、そこのクソガキ。」
「最後と決め付けられるのはいささか腹が立つでござるな…。」
「ま、実際やってみりゃ分かるだろ。」

ガキン!

にぶい音がした。いつの間にかミコクはさっきまでネズミがいた位置にナイフを突き刺している。

トストストス!

とっさに後ろに回りこんだネズミの手裏剣をミコクは上に飛んで避ける。そしてそれに答えるようにミコクはくないを投げた。

トストストストス!

ネズミは何とかそれをよけてまた違う屋根に飛び移ったが、
「・・・・・。」
ふらりと倒れて屋根から落ちていく。それでも何とか体勢を立て直して着地する。
「限界かな?限界ですね?」
ナイフを構えなおしてミコクがネズミの前に立つ。
「・・・・・・・・・・・・・。」
目がかすんでミコクの表情を確かめる事はできなかったが、声だけで天敵を倒せる事を喜んでいる事が分かった。
「へへ…♪」
ミコクが一歩、ネズミに歩み寄る。
「さいなら!!」
それは確かにミコクの声だった。だが次に聞こえたのは…

「何してるの!?」



なんか余計に分からなくなってきたような…。今度はミコクの登場です。


■ こやまる (307回/2008/08/16(Sat) 12:42:01/No939)
http://www.murumoya.com/


イブ吉さん、こんにちは☆

なごやかに過ごしている楓やミルモたちの前にヤマネが運んできたただならぬ雰囲気。
そして同時に表れたミハク。
この後のストーリーで「ミコク」として裏でこの2つがつながっているようですが、ミルモや楓たちには今でもネズミのまわりで何が起きているのかわかっていなさそうです。
ミルモなんかはネズミのことを全然心配もしていなかったりして。。
ミハクがミルモたちの前に現れたことで、ミルモやヤマネたちの身も何となく心配になってきました。

性格の切り替わる(?)ミハクとミコクは同一人物で二重人格なのかな?
そしてどっちが本当の人格なのか・・・でもお互い同じ目的を持って行動をしているあたり、完全な二重人格ではなくて、二つの人格で会話したり情報を共有できたりするのかな?
うーん、この辺りはいろいろ考え出すと複雑で面白いです。

ネズミの方はエリート忍者の性格からか一人だけで立ち向かっていますが・・・。
さすがに今回は厳しそうで、この後ネズミの取る行動にも注目していきたいと思います。

>ネズミ兄様って、『にいさま』なのに『あにさま』と読んでしまいそうです。やっぱり、にい様にしたほうが良かったかも…。
ここは小説の難しいところですよね。
私もリルムの言う『わたくし』を漢字で書くかひらがなで書くかで迷いますが、漢字で書くと『わたし』にしか読めなくて、最近はひらがなで書くことが多いです。

それでは次回も楽しみにお待ちしております〜。
では!


■ イブ吉 (9回/2008/08/18(Mon) 11:02:51/No941)

おはようございます。続きを書かせていただきます。

6、遭遇

その声が誰のものなのか、それはネズミにもミコクにも分からなかった。
「…何だよあんた。」
「ミ、ミハクちゃん?」
その人物はミコクの姿を見てかなり驚いているようだ。
「あ?」
「髪の色が違うけど…ミハクちゃんだよ…ね??」
その言葉でネズミとミハクこの人物の名前が分かった。二人とも頭の回転は速い方だ。今、この状況でその台詞を言う人間は…
「澄風亜美…。」
二人同時に、その人物の名をつぶやいた。
「へええ、あんたが澄風亜美か。ミハクが世話になったみてーじゃねーの?」
「……えーと、ミハクちゃんの双子さん?」
「バーカ、ちげーよ。」
そう言いながらミコクは構えていたナイフをしまった。
「こうなっちまった以上、続きはまた次回つーこった。あーあ、もったいねー。」
などとつぶやきながらミコクは去っていった。
「ね、ねえ。大丈夫?」
「…。」
「もしかして君がネズミなのかな?」
「?…あ、あぁ…。」
一瞬なぜそんな事を知っているのかと思ったが、さっきのミコクの話から考えれば、ヤマネに自分が怪我をして消えた事を聞いたのだろう。この怪我を見ればすぐにネズミだと分かる。
「とりあえず、うちに来てもらうか…。手当てしないといけないし…聞きたい事もあるんだよね…て、おい!ちょっと大丈夫!?」
とうとう力尽きたネズミは、その場にぐったりと倒れていた。



やっとネズミとアビの対面です。次から意味不明だったところの説明が始まります。
その前にミハクとミハクが二重人格だと気が付くこやまるさんはさすがです!


■ イブ吉 (10回/2008/08/21(Thu) 21:25:07/No944)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

7、アビとネズミ

「…………。」
目がかすむ。
体中が痛い。
それどころかまったく体が動かない。力が入らなかった。
「あ、起きた?」
と、…澄風亜美だ。
名前は聞いていないがおそらく間違っていないだろう。
ネズミはこの人間を探すために人間界に来たのだ。
「すごい怪我だったからねー。ほっとく訳にもいかないしねー。ここは私の家だねー。」
「…。」
次第に意識がはっきりしてきた。ネズミは無理やり体を起こす。
「うっ…。」
激痛が走った。当然だ。
「ちょ、ちょっと…そんな無理に動かない方が…。」
まさかこの怪我でネズミが起きようとするとは思わなかったのか、ぎょっとしてアビがつぶやく。
そんなアビの様子にはかまわずネズミは窓の外を見る。外はもう暗くなっていた。それを見てネズミはとりあえずほっとする。
もうミコクはこないだろう。
「あの〜、」
「…澄風亜美でござるな。」
「そうだけど…。」
「ハトセという妖精は。」
「…知ってます。」
「と、すると…。」
今度は何やら一人で考え出した。かといってアビはそれを待ったりしない。
「ねぇ、さっきの女の子ってミハクちゃんじゃないの?」
「…今日、ミハクと会ったと聞いているが。」
「…………会ってます。」
何で質問に答えてくれないんだよ。
「さっきの女の子はミハクちゃんじゃないの?」
もう一度聞いてみた。
「奴はミコクでござるよ。」
「誰だよ。」
「ミハクでござる。」
「どっちだよ。」
「…。」
「…。」
「…。」
「それで終わりかよ。」
「…。」
「何か言えよ。」
「奴は二重人格なのでござるよ。」
「は?」
「一つの体の中にミハクとミコクの二つの人格があるという事でござる。ミコクは1日に3時間しか出てこれないが…。」
「それがさっきの赤い髪の方?」
「奴は戦闘の時しか出てこないでござるがな。」
「じゃあ私が会った青い髪の子がミハクちゃん?」
「おそらく妖精界で2時間ほど拙者と戦った後、人間界でミハクに代わりお主に会ったという事でござるな。」
「何でわざわざ入れ替わった訳?」
「だからミコクは戦闘の時にしか出ないと言ったでござろう…。」
「そんなに呆れなくてなくてもいいと思うよ。嫌味だね…。それで、ミハクちゃんはどんな人格なの?」
「ミハクとは話をしたのでは?」
「でもそっちの方が良く知ってそうじゃん。」
「いや、別に。」
「…なんでだよ。」
「拙者はミコクの方に関わりがあるでござる。」
「ミコクちゃんはミハクちゃんなんじゃないの?」
「知らん。」
即答。
くそ、こいつ…。なんか腹が立ってきた。
「で、なんでミコクちゃんと戦ってたの?」
「天敵だからでござろう。」
「敵って…何の?」
「敵ではなく天敵でござる。」
「…随分嫌ってるね。」
「はんっ。」
何で私が毒ずかれなきゃならないんだ。ミコクちゃんの話は好きじゃ無いらしい。





■ イブ吉 (11回/2008/08/21(Thu) 21:39:53/No945)

すみません…、途中だったのに間違って送信してしまいました。今度からは気をつけます!
では続きです。


どうやら心底嫌ってるらしい。
「そうそう、ヤマネちゃんが心配してたよー。」
「知らん!」
…まだ不機嫌だった。
「いやいや、ちゃんと無事だって知らせないと…。」
「それは後でござる。それより今は貴様とパートナーになる許可をもらう方が先でござる。」
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
ん?今こいつ、何て言いやがった?



ここまでが『7、アビとネズミ』です。ホントにすみません…。


■ イブ吉 (12回/2008/08/22(Fri) 20:47:05/No946)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

8、パートナー

「…どういう事?」
「お主が拙者をこの家に置くか否か、という事でござるよ。もともと拙者はお主を探すためにここまで来たのでござる。」
「待て待て待て。そもそも何で私の事知ってたの?しかもハトセの事まで…。」
「ん?ハトセ殿は拙者の師だった者でござるが。」
「…え?そ、そうなの?え、え?ハトセが?何の?」
「主に忍術など忍びとして鍛えられたが、多少なら格闘術や妖術や…、」
知らねー。妖術って何だよー。
「ハトセがそんな事できる訳?あの超面倒臭がりの駄目妖精に。」
「………。」
「?…どうしたの?」
「いや…。…話が逸れてきたでござるな。とにかくそのハトセ殿のかわりに拙者がお主のパートナーになる必要があるのでござる。」
「何でだよ。」
「…。」
「いやだから何か言えよ!」
「いや、お主が元から妖精が見える故、都合が良かったからとしか言いようが…。」
「何だよそれ!?」
「五月蝿い奴でござるな…。」
「鬱陶しそうに見るなよ…。ていうか、あんた修行の旅にでてたんでしょ?何で人間界に来たの?」
「…用があるからに決まってるでござろう。」
「用って?」
「………。」
「何か言えって!!」
疲れてきたぞ…。何か隠しているのか?
…いや、ちがう。
顔に出そうとはしないがこいつ、かなり体力を消耗しているに違いない。一言喋るだけですごく辛いだろう。
「…あー、まあとにかく、これからはあんたが私のパートナーになってここで暮らすって事ね。うん、いいんじゃん?はいはい。」
もう面倒だ。とりあえず詳しい事は後で聞こう。
「他人事のようでござるな…。」
「そうだね。んでさ、その怪我、どれくらいで治りそう?」
「拙者にもよく分からんが…。……こういう時に『イノリ』がいればな…。」
「は?」
「いや、何でもないでござるよ。まあ治るのはともかく2日もすれば動けるようになるでござろう。」
「はい、2週間は絶対安静ね。」
治るのは一ヶ月以上かかるのだろうか。
なんかどこか一ヶ所は骨折れてそうだし。



何か前回からアビの視点になってるし…。
ハトセはネズミの師匠だったみたいですが、なかなか出てきませんね…。


■ イブ吉 (13回/2008/09/02(Tue) 19:11:27/No958)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

9、転校2日目

「アビちゃんおはよ〜。」
「おーす。て、何だよ、元気ねーな。」
朝、その声に振り返ってみると案の定楓達だった。
「あはは…ちょっと色々ありまして…ね。疲れてるんです…。」
家を出る前の事。
もう動けるとか言ってネズミが出かけようとしたのだ。
『まだ2日立ってないよ!!』
『いや、あれはあくまで予想でござるからして…。』
『2週間絶対安静って言ったろうがぁぁ!!!』
みたいな感じでその後、時間ギリギリまで言い合って何とか奇跡的にネズミを説得したのだが…、
「ネズミがあんなに嫌味な奴だとは…ね。」
きっとヤシチと仲が悪いんだろうな。
「あの、ネズミ兄様がどうかしましたか…?」
と、ヤマネちゃん。
「あ、うん。今うちにいる。」
「…………………………………………。」
はい、全員沈黙。
まあ、今うちにいるって言われても意味分かりませんよね。
すいません、ちゃんと話します。
とはいっても、
「いやさ、昨日あの後家に帰るときにばったりと…ね。」
詳しい事は言わないでおこう。だって私にもまだよく分からないし。
「怪我してたからほっとく訳にもいかないしさ。」
「あ、あの、」
「んあ?」
「重傷なのでございましょうか…?」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・?」
はいはい、今度は私が沈黙。
まずい。めちゃくちゃ気まずい。
「あー、えーと、本人によると、あくまで本人のよるとなんだけど、まぁ本人によると2日で動けるようになるらしいよ。ていうか今日の朝もう動けるとか言ってたし。・・・本人によると。」
「そうでございましたか…。」
安心してくれたらしい。
・・・嘘は言ってないぞ。
「では様子を見に行かせて欲しいのでございますが…。」
「・・・。」
「あの、アビ殿?」
「あ、え、えーと、そ、そうだね。とりあえず、今日はネズミも疲れてるみたいだし、また今度ね。」
どっちかって言うと、私の方が疲れてるんじゃないかと思う。
「はい!ありがとうございます!」
・・・なんていうか、全然ネズミに似てない笑顔だった。



結木君とかリルムとか喋ってない…。
ちなみに、「〜・・・ね。」がアビの口癖です。語尾ではないのでそんなにたくさん出てきませんが。


■ イブ吉 (14回/2008/09/05(Fri) 18:42:35/No960)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

10、サスケとハンゾー

パタパタと、うちわでサスケとハンゾーは空を飛んでいた。
「きっとヤシチの兄貴は学校にいるはずだぜ。」
「行ってみるのら〜。」
「?あれは…。」
ピタリ、とサスケは動きを止める。
「ネズミさんなのら〜。」
ネズミは屋根の上に座って何やら考え事をしているようだ。
「ネズミさ〜ん、何してるんだぜ〜?」
と二人はネズミの所へ降りた。
「あぁ…お主達か…。」
「その傷痛そうなのら〜。」
「一体どうしたんだぜ?」
「ん?あ、いや、これは自分でやっただけでござるよ。あまりに暇で他にする事が無かった故。」
「うわー!何だかすごいぜー!」
「痛々しいのら〜。」
「・・・。信じられても


■ イブ吉 (15回/2008/09/05(Fri) 19:02:52/No961)

ご、ごめんなさい!また途中で送信してしまいました…。学習しない奴ですみません…。今度こそ気を付けないと…。

「・・・。信じられても困るのでござるが・・・。」
「あー!嘘ついたんだぜ!?」
「ひどいのら〜!」
「・・・・・・・・・、今は割と急がしい方でござるが、」
そこでネズミは、ニヤリ、と
「暇そうなお主達に手伝ってもらうとするでござるか。」
全然ヤマネに似てない不敵な笑みを浮かべたのだった。



最後のネズミの台詞からです。ご迷惑お掛けしてすみません。
何か私ワルモ団並に間抜けだ…。ごめんなさい…。


■ こやまる (313回/2008/09/06(Sat) 23:23:51/No964)
http://www.murumoya.com/


イブ吉さん、こんばんは☆
感想が遅くなってしまい申し訳ありません。。。

今回はネズミの嫌みな性格のオンパレードですね(^^;。
ただその嫌みの性格の裏には、常に考えて行動するネズミの「自分以外の誰にも、自分のことで迷惑をかけたくない」という思いがありそうな予感もします。
頑固なネズミの思いが逆にアビに不安を煽っていることを、不器用なネズミが気がつくことはなさそうですけど。。

ネズミのことが心配であれこれ聞こうとする行動から相手を思いやるアビの性格を感じました。
結局アビはネズミの体力を気遣ってネズミにいろいろ聞くことをあきらめましたが、ネズミの方はその態度を見る限りいろいろなことを隠していそうです。
そんなネズミのギブアンドテイクの精神に基づいたアビとの駆け引きが絶妙で面白いです。
ネズミに対して意地を張ってしまうアビもまたかわいいですね。
二人の今の気持ちは離れ離れだけど、そのうちきっとお互いがお互いを必要とする時期がやってくるはず・・・読者の私もそれを楽しみに待っていますよ!
(もしかしてそんな時期は無かったりして・・・!?)

さて・・・ちらっと名前の登場したイノリの存在が気になります。
女の子なのかな・・・ネズミとの関係がとても気になります〜。

投稿ミスに関しては「記事修正機能」(掲示板の下の方にある「削除フォーム」)を使うと自分で好きなように後から編集ができますよ。
また連載4回を達成しましたので、よろしければ「いただきもの小説」に掲載させていただきたいのですが、OKでしょうか?
お返事をお待ちしております。

それではまた続きをよろしくお願いいたします(^^)。
では!


■ イブ吉 (16回/2008/09/12(Fri) 18:21:21/No971)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

11、ハトセ

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ここは学校の屋上。人間は一人もいない。
人間はいないが・・・妖精はいた。
「・・・・・・・・・・・・・・・ふわあぁぁ。」
と、その妖精はあくびをして、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
何もせず、座ったまま、
ボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ、とする。
この妖精はネズミとは違って何か考え事をしている訳ではない。それどころか何も考えていないだろう。
いや、『だりぃぃぃ〜〜・・・』とか『めんどくせぇ・・・』とかくらいなら考えているかもしれない。
性別は女。少女といわれるような歳ではなさそうな、れっきとした大人だ。
ぼさぼさの髪を頭の右上で束ねている。和服っぽいものを着ているがその和服はだらしなく着崩してあった。
と、そこへ、
「あー!あそこに妖精がいるぜー。」
「誰なのら〜?」
パタパタとうちわでやってきたのはサスケとハンゾーだった。
「・・・『ハトセ』だ。」
「へ?」
「あたしは『ハトセ』ってんだ。」
「オイラはサスケだぜ!」
「ハンゾーなのら〜。」
「・・・はぁん。」
と、ハトセは横目でちらりと二人を見る。
「・・・、・・・お前さんたちに尋ねたい事があるんだが。」
「何だぜ?」
「この辺で嫌味な青い忍者に会わなかったか?」
「会ったぜー。」
「ネズミさんなのら〜。」
「それで・・・今お前が持っているのはそいつからもらった訳か・・・。」
「・・・?もしかしてこれの事だぜ?」
と、サスケが取り出したのは一枚の紙切れだった。
「何でサスケがそれを持っている事が分かったのら?」
「そいつは呪符ってんだよ。あたしまでとはいかなくてもある程度すげー奴なら呪符が持ってるわずかな妖力を感じ取る事ができんだ。」
よく分からないがそういう事らしい。
「ネズミさんはこれを『すみかぜ あび』っていう人間にわたせって言ってオイラ達にわたしたんだぜ。」
「あずみ達と同じクラスらしいから兄貴にきけば『すみかぜ あび』に会えるのら〜。」
「・・・そうか。・・・澄風亜美ならそのあずみ達とやらや兄貴とやらと一緒にいるぞ。」
「本当かだぜ!?」
「ありがとうなのら〜。」
「ほら、さっさと行け。」
「お姉さんはどこに行くんだぜ?」
「こう見えてもあたしはやる事がたくさんあってな。・・・今は面倒だからサボっていたが・・・。」
じゃあな、とハトセはそのまま屋上から飛び降りていった。
「男前なお姉さんなのら〜。」
ぽつりとハンゾーが呟いた。




こやまるさん、感想ありがとうございます!
なるほど・・・、「記事修正機能」で編集ができるのですね。次に間違えた時はそれを使わしてもらいます。(それ以前に間違えないように気をつけなければ・・・)
それから「いただきもの小説」の掲載についてはもちろんOKです。どうか宜しくお願いします!


■ イブ吉 (17回/2008/09/16(Tue) 11:47:48/No972)

おはようございます。続きを書かせていただきます。

12、呪符

「・・・で、サスケ君とハンゾー君は私に何の用かな?」
ヤシチにサスケとハンゾーを紹介された後、アビは本題に入ろうとそう言った。
休み時間に楓達と雑談していたところへ、サスケとハンゾーがアビをたずねて来たのだ。
「ネズミさんがこれをわたせって・・・。」
「ネズミって・・・あいつ!大人しくしてろって言ったのに!!」
「ネズミが素直に言う事を聞くとも思えんしな。」
「まぁ元気そうで良かったじゃねえか。」
アビの後ろでヤシチとミルモがそんな会話をしていた。
「で、この紙切れ・・・何?」
「それは、おふって言うのら〜。」
「・・・おふ?」
「違うぜハンゾー。おふじゃなくて呪符だぜ。」
「呪符・・・ね。」
呪符っていうのが何なのかは知らないが、おふじゃなくて安心した。
「とりあえず・・・これ持ってりゃいい訳・・・ね。」
と、アビはその呪符をポケットの中に突っ込んだ。
そして、
「まったく・・・何考えてんだか・・・。」
そう呟きながらため息をついた。



またほかの人達一言も喋ってないです・・・。とりあえずヤシチとミルモは一言だけ喋らしてみました。


■ イブ吉 (18回/2008/09/19(Fri) 19:53:01/No975)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

13、天敵との出会い

いきなり過去の話になる。
ネズミとミコクが初めて会った時、ネズミもかなり幼かった頃の話だ。

朝、早く。忍者村の隣にある林の中。
ネズミはよくここで修行をしていた。そして今日もその修行を終えた時だった。
「・・・?!?」
背後から何やら空気を切る音がしてネズミは反射的に右側に飛ぶ。

ガッ!

と、目の前の木にくないが突き刺さった。
「・・・。」
「ははっ!すげーじゃん!よくよけられたな。」
声がした方を見るとそこには、赤い切り揃えられた長い髪の少女がいた。ネズミより少し年上だろう。
「・・・・・・・・・。」
この少女を見たとたん、ネズミはなぜか不愉快な気分になった。
まあ、誰だっていきなりくないを投げつけてくる相手に好感を持つ事はできないだろうが、ネズミはこの少女がどんな挨拶をしてこようがこの少女を快く思わなかっただろう。
まるで、何百年も前から自分のなす事全てを邪魔してきた敵に会ったような気分だ。
いや、敵というより宿敵。
宿敵というより、天敵か。
「・・・何かお前、いけ好かねぇガキだな。」
ポツリと少女が呟く。
まだ一言も喋っていないのに嫌悪されたが、ネズミは別に驚かない。
きっとこのいけ好かない女は何百年も前から自分の事を嫌悪していた事だろう、と変な気分になってしまう。
「・・・ま、いーや。それじゃ、始めるぜ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・何を。」
「暇つぶしに遊んでやるよ。」
「暇なのは貴様だけでござる。」
ネズミの言う事には気にも止めず少女は飛び掛ってきた。
いつの間にか少女の手に握られていた二本のナイフを間一髪の所でネズミはよける。
と、ネズミがバランスを崩したところへ少女は重そうなナイフを先ほどのくないよりも鋭く投げつけてきた。
「・・・っ・・・!」
そのまま倒れてしまう事によってギリギリそれはよける事ができた、が。
「へっへ〜♪」
少女が楽しげに笑う。
それを見てネズミはかなりの苛立ちを覚えた。
相手が少女でなければ、ここまで苛立ちを覚える事はなかっただろう。
「よっと!」
少女は残ったもう一本のナイフをネズミに投げつける。

ギン!

鉄と鉄が、ぶつかり合う音。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・。・・・?」
とりあえず、ネズミはくないをナイフにぶつけてみたのだが・・・。
ナイフははじけて少女の方へ飛んでいき、少女の頬に小さな傷をつけた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・?・・・・・・?」
そして、そこから少女は動かなくなった。
てっきりすぐに攻撃を仕掛けてくるとネズミは思っていたが、少女はまるで時が止まってしまったように動かない。
顔は伏せているので表情は見えなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・・・・う・・・・・・・う・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・?」
少女が顔を上げた。
・・・明らかに、動揺している。

「うっなああああああああああああああああああああああああっっっ!??!」

そう叫ぶと、少女は凄まじいスピードで走り去っていった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
とりあえず、考えて分かりそうな事はなかったので、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
帰る事にした。



何かいきなりネズミとミコクが出会った時の話です。次はネズミとハトセの出会いになります。
ミコクの名前が出てきてませんが、少女がミコクです。


■ イブ吉 (19回/2008/09/26(Fri) 19:20:51/No982)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

14、師弟

さて、ネズミが謎の少女の襲来にあった次の日の朝。
「・・・・・・。」
ここは昨日少女に会った場所だが少女の姿は見当たらなかった。
ネズミは修行を始めようと一歩踏み出した。
その時、
「?・・・、っっ!?!」
ばっとネズミが振り返る。
先程まで、影ひとつ何もなかった、物音ひとつ何も聞こえなかった、気配なんてまったく無かった、その場所に、
一人の妖精が立っていた。
ボサボサの髪を頭の右上の所で束ねて、和服をだらしなく着崩した女が気だるそうにつっ立っている。
「、、っ、、っ!?」
反射的にネズミはくないを投げる。
そして、
「??・・・?・・・・・・・・・・。!」
気が付くとネズミは、敗北していた。
右腕をひねられたまま後ろで押さえられ、左腕はすでに痛めておりだらりとたれている。
相手は、左手でネズミの右腕をひねりながら押さえて、右手でネズミが投げたはずのくないをつかんでネズミに突きつけている。
「・・・?・・・・・・??・・・・・・・・・???」
なぜ自分がこんな状況にいるのか全く分からない。
「・・・何か用でござるか。」
しかしその女は問いには答えず、
「よう。」
と返した。
「・・・。」
「ん?どうした?・・・あ、そうそう。その左腕、ついひねりすぎちまった。悪いな。」
「・・・・・拙者には貴様に左腕をひねられた覚えが無いが・・・。」
「そりゃそうだ。お前さんの動体視力がさっきのあたしの動きを捉えられる訳が無い。」
「・・・。」
「ま、つまりあたしは、このくないをつかんでお前の背後に回りこみつつお前の左腕を思いっきりひねった後、右腕をおさえてくないをお前に突きつける、という行動を一瞬より速く終えたってこった。」
さらりとなんでもない事のように有り得ないことを言っている。
「つーかそんな事どーでもいいんだよ。あたしは『ハトセ』ってんだ。お前は?」
ちなみに、ネズミはまだハトセに押さえつけられたままだ。
「・・・ネズミでござる。」
「ネズミか・・・。昨日はミコクが迷惑掛けたな。」
「ミコク?」
「お前より少し年上の赤い髪の女子だよ。」
「あぁ・・・あのいけ好かない女でござるか・・・。」
「あいつ、あたしの弟子なんだよ。」
「は?」
「昨日、頬に小せえ傷つけて帰ってきてな。めちゃくちゃ不機嫌だったよ。『あんのいけ好かねえクソガキが!!』ってな。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「お前みたいなたまたま会ったガキに反撃された事がよほどショックだったらしい。・・・それにしても。」
そこで少し声の調子が変わった気がした。
「あのミコクに反撃するたぁ、たまたま会ったガキにしちゃよくやった。まぐれだとしてもそれはそれでいい。どうだ?お前、あたしの弟子にならないか?」
「・・・いや、意味が分からん。」
「何言ってんだ、分かるだろ?」
ぐっと、ハトセの手に力がこもる。ぴし、と腕に痛みが走った。
「・・・、・・・つまり、あの女に反撃する事ができた拙者を弟子にしたいと?」
「ここから結構遠くの山に小さな村があんだよ。村っつーか、戦闘向きの奴ばっか集まっててな、修行中の奴もたくさんいる。故郷から離れてその村で修行してる奴もいるな。ミコクもその中の一人だ。お前もあたしの弟子になったらそこで修行する事になる。」
「勝手に話を進めないでもらいたいのでござるが。」
「あ?何だ?乗り気じゃねーな。」
「当たり前でござろう。」
「んじゃあ、理由を言ってみろ。」
「まず拙者は、誰かの弟子になどなりたくはござらん。」
「あー、確かにそんな感じだ。かといってお前は誰かの師にもなりたくなさそうだな。一人が一番だってか?」
「それに拙者はあの女と同じ所で修行するなどごめんでござる。」
「・・・ミコクから話を聞いた時にも思ったが、お前ら有り得ないくらい仲悪いな。昨日会ったばっかだってのによ。まるで何百年も前からの敵同士みたいだ。敵・・・つーか、宿敵っつーか、・・・天敵だな。」
それはネズミも思っていた事だ。恐らくミコクも思っていただろう。
「でもよ、」
「?」
「お前、あいつに負けたままでいいのか?」
「・・・。」
「今のお前はあいつの足元にも及ばねぇ。昨日のはまぐれじゃなかったとしても運が良かったのは確かだ。」
「・・・・・・・・・。」
ぱっと、ハトセはそこでやっとネズミの腕を放す。
ネズミはバランスを失いその場に倒れた。
「あたしの弟子になりゃ、あいつと互角くらいにはしてやるよ。ま、別にお前がこのままでいいってんなら別にいいけどよ。」
カラン、と右手に持っていたくないを落としてハトセは、その手を倒れているネズミに差し出した。
「それが嫌なら、あたしの弟子になる事だ。」
「・・・。」
ネズミは一瞬迷った後、一秒何かを思案して、
「・・・はん。」
と、ハトセの手をつかんだ。
「よし、いい度胸だ。」
そこで初めてハトセはにやりと不吉な笑みを浮かべる。
「やるからにはかなぁり厳しくさせてもらうが、死んでも責任取らないからな。」
「・・・・・心得た。」
こうしてネズミはハトセの弟子になり、ミコクと互角の戦闘力を身につけたのだった。



これで次からは現在の話に戻ります。
ハトセが言っていた『女子』は『おなご』と読んで下さい。
いけ好かない女って・・・、子供の言う台詞じゃないなぁ・・・。


■ イブ吉 (20回/2008/10/03(Fri) 19:33:02/No989)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

15、そして現在

「なぁにさぼってんだよ。」
やるせなさそうな声にネズミが振り返ると、そこには案の定ハトセが気だるそうにつっ立っていた。
「・・・。」
「この大変な時に随分と余裕じゃねえか。・・・それともまたいい策でも思いついたか?え?」
「・・・今まで何をしていたでござる。」
「さぼってた。」
「・・・。」
「いや、その前までは、そこそこまあまあほどほどに頑張ってたぞ。『イノリ』の所へ行ってきた。」
「・・・、それで?」
「んー?ちょっとなー、あれだなー。うん、やっぱ・・・そんな感じだ。」
意味が分からなかった。
「ま、でも安心しな。」
「?」
「ミコクや『キトウ』みてーな厄介な奴らは皆人間界に来てるからな。こっちと比べると向こうはまだ安全なほうだ。」
「『キトウ』が?拙者は見ていないでござるが・・・。」
「知るか。だが『キトウ』がこっちに来てるのは確かだな。」
「・・・だとするとなおさら・・・、いや、むしろ・・・。・・・、・・・、・・・。」
「考え事は後にしてくれ。それよりも・・・、あたしがサボってた時、二人の妖精に会ったんだが・・・。」
ギク、とネズミが反応した。
「たぁしか、サスケとハンゾーとかいってたなあ〜。でも何であの二人が『イノリ』の呪符を持ってたんかなあ〜。」
「・・・。」
「お前が渡したそうじゃねえか。」
「・・・・・・。」
「澄風亜美に渡せと言われたらしい。」
「・・・・・・・・・。」
「さて、これはどういう事なのか聞かせてもらおう。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「敵には策士と呼ばれるお前の事だ。きっとこれは、さぞかし素晴らしい策なんだろう。うんうん。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・けっ。当てて欲しいってか?そうだな・・・、まず奴らが今何をしようとしているかだ。普通に考えればお前を倒そうとするだろうな。でも違う。お前はずっとここにいるのに誰も来ないじゃないか。普通ならミコクが喜んでお前にとどめを刺しに来るってのによ。だったら奴らがほかにねらいそうなのは誰だ?」
「・・・・・拙者にはまるで見当が・・・。」
「とぼけんじゃねぇ。」
「・・・澄風亜美か。」
「ああそうだ。あいつがいなくなればこっちの計算にちょっとばかし狂いが生じる。その隙を突いてくるつもりなんだろう。・・・と、お前は気が付いた訳だ。だから・・・予防線を張った。それがあの呪符だ。」
「・・・。」
「でもなぁ、だからってアビを助けるのは危険だ。なんたってお前はその怪我だからな。お前までやられる可能性の方が限りなく大きい。・・・聡いお前がそんな事、分からないわけが無い。」
「い、いや・・・かといって澄風亜美が消えれば・・・。」
「だから、とぼけんじゃねぇ。分かってんだろ?このあたしがこうなる事を予測していなかったとでも思ってんのか。・・・手は打ってある。アビがいなくなってもすぐに対処できる。・・・どっちにしろアビは消える事になるがな。」
「おい・・・。」
「お前がアビを助けるだなんて、無駄な事するわけないよなぁ。」
「・・・。」
「お前が今いなくなるのはまずい。非常にまずい。いいか、あたし達が負けたら・・・。」
「・・・・・・・・!」
ぴし、とその瞬間ネズミは凍りつき、
「・・・・っ、、、・・・。」
何も言えなくなってしまった。
「・・・よく考える事だな。そんじゃ、あたしは『ヤイバ』の所へ行って来る。・・・ああ、あと最後に『イノリ』の伝言だ。」
「・・・イノリが?」
「おう。【パートナーの方とは仲良くしなくちゃ駄目ですよ♪】・・・だとよ。」
「・・・。」
「それじゃ、伝えたからな。」
気だるそうにそう言ってハトセは去っていった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
しばらくネズミは何かを思案して、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ったく・・・。」
と忌々しげに呟いた。
「まあ、その時になれば拙者を足止めしに誰かが来るでござろうな。そうなると・・・恐らく、ミコクが来るか・・・。」
「で、あんたは俺に勝てんのか?」
「いや、どう考えてもそれには無理が・・・・。・・・・・・・・・げ。」
振り返ると、そこには・・・。
ネズミの天敵ミコクが、世にも恐ろしい笑みを浮かべて立っていたという。



何か意味の分からない事話てますが、そのうち分かってくると思うんで・・・。


■ こやまる (321回/2008/10/05(Sun) 15:00:54/No994)
http://www.murumoya.com/


イブ吉さん、こんにちは☆
登場人物も増えて、ますますストーリーに厚みが出てきましたね。
(ネズミにひけを取らないくらいに性格悪くて厄介なキャラばかりですが^^;)
そして複雑な人物関係により、この先のストーリーが私はまったく予測不能。。。
ミコクとネズミの関係も幼い頃の天敵関係が単に続いていたのかと思いきや、ミコクのバックには別の妖精忍者の存在もあり、何か陰謀めいたものも感じられてきますね。
ハトセも含め、いったい誰が敵で誰が味方なのか、各話推理しながら読ませていただいております。
だけど、ミコクとネズミの2人の関係にはライバル以上の深い関係を期待したくなるのですが、果たして・・・?

シリアスな妖精忍者の舞台の裏で、いつも通りののほほんとした妖精の光景があるのも面白いです。
サスケとハンゾー、何も懸念することなくぺらぺらとしゃべりすぎ〜(^◇^;)。
師匠であるヤシチがこのことを知ったら悲しみそうです(笑)。

次回以降はアビにも危機が迫るのでしょうか?
ネズミの負傷具合からするとネズミだけではアビを守ることは難しそうですが、でもネズミのことだから一人で抱え込もうとするんでしょうか。
ミルモやヤシチの応援が果たしてあるのかどうかも気になるところですね。

いただきもの小説への掲載許可もありがとうございました!
こちらは後日更新いたしますね〜。

それでは続きを楽しみにお待ちしております!
では!


■ イブ吉 (21回/2008/10/10(Fri) 19:07:34/No1002)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

16、キトウ

「ん?んん?あっりゃ〜?」
ごそごそとかばんの中を探るアビ。
「どうしたの?」
「筆記用具が無い・・・。」
「教室に忘れてきたんじゃねぇのか?」
「え〜?でもちゃんとかばんに入れた記憶が・・・、まあいいや、ちょっと教室見てくるね。」
「早くしろよな!この後くもっちょ買いに行くんだからよ。」
「え!何で!?昨日買ったばかりじゃない!!」
「楓の方こそ何言ってんだよ!あんなのすぐに食べちまったぜ。」
「うそ〜!あんなにあったのに?」
などと話している楓達に背を向けてアビは教室に向かった。
「う〜ん・・・もう教室には誰もいないよね・・・。」
教室の前に着き、ドアを開けて部屋の中に入った。
すると、
「うにゃがぁっっ!?」
バリバリッ、と体中に変な痛みが走る。
何だか見えない壁を無理やりぶち壊して進んだような感じだ。
「な、何!?何、今の!?」
「結界に踏み込んだからですよ。」
「へーぇ、結界に踏み込むとバリバリッてなるんだね。・・・て、誰だよ!?」
そこにいたのは男の子の妖精だった。
陰陽師みたいな格好の落ち着いた感じの妖精が近くの机の上に立っている。
「バリバリッて・・・そんな痛くないと思いますけど・・・。少し感覚が狂う程度で痛みはありませんよ?」
いや、滅茶苦茶痛かった。
「・・・申し遅れました。僕は『キトウ』といいます。妖術使いです。」
「はあ・・・妖術使い・・・。」
何だそれは。そもそもさっきの結界って何だ。
「一応確認しておきましょう。あなたが澄風亜美さんですね?」
「は、はい・・・そうですけど・・・。」
「すみません。これ、勝手にかばんの中からお借りしていました。」
と、キトウが見せたのは・・・、
「ああ!私の筆記用具!?な、なぜ・・・。」
「こうすれば、ここに戻ってきてくれると思ったので。」
「・・・私に何か話しでも?」
「別にありません。」
「・・・あっそ。」
するとこれはただの悪戯・・・なのか?
「話はありません。そんなことより・・・。」
シュバッと、キトウは袖から何かを取り出した。
「おふ、じゃなくて・・・じゅ、呪符?」
それはサスケとハンゾーに渡された呪符にそっくりな紙切れだった。
「?・・・なぜあなたが呪符の事を知っているのですか?
「なぜって・・・ん?」
そこでアビが呪符を入れたポケットに手を突っ込んでみると、
「あれ?あれれ?」
無い。呪符がない。
「・・・なぜ?」
「おかしな人ですね・・・。まあいいでしょう。では・・・。」
「・・・あ、あの〜、一体何をする気でしょうか?」
「もちろん、あなたを始末するに決まってるじゃないですか。」
「何がもちろんなのか全然分かりません!!」
何でかさっきから私まで敬語になっていた。



今は下校時刻近くでアビ達が帰ろうとしているとこです。


■ こやまる (328回/2008/10/10(Fri) 23:16:17/No1004)
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イブ吉さん、こんばんは☆

ついにアビの元にも刺客が現れましたか…。
妖精と違って特殊能力を持たない人間のアビにとってはこの事態は大ピンチですね。
果たして自力で切り抜けられるのか、それとも誰かの助けがあるのか、それは次回のお楽しみですね。
私としてはミルモが助けてくれることに期待・・・ミルモもこのまま食い意地の張った妖精で終わっていいはずが無い!?

前半の楓とミルモのくもっちょを通じたやり取りがすごく懐かしくて、なぜだか涙が出てきます。
ミルモと楓のこういうのんびりした日常もまたミルモでポン!の良さなんですよね〜。

それでは続きも楽しみにお待ちしています!
では!


■ イブ吉 (22回/2008/10/17(Fri) 18:46:26/No1026)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

17、結界の中で

「あなたが消えれば敵は少なからず混乱するはずです。その隙を突いて・・・。」
「意味わかんないよ・・・。」
「抵抗しても無駄ですよ。この教室には結界を張ってありますから逃げる事はできません。先程あなたが入って来る時は力を弱めましたが・・・。」
「そ、そこまでしますか?私君に恨まれる覚えは無いんですけど!」
「別にあなたに恨みがある訳じゃありませんよ。・・・もしかして、策士から何も聞いていないんですか?」
「さ、策士・・・?」
「名前は確か・・・ネズミ、だったと思いますけど。」
「ネズミ?ネズミに何を聞いてないっての?」
「・・・、・・・何も聞いていないようですね。まあ、今策士の事を気にする必要は無いでしょう。忍者の策士が結界を破る事はできませんし、策士の右腕として働いていた妖術使い・・・『イノリ』、といいましたか。彼女もいませんし。」
「はーい、質問でーす!」
「何ですか?」
「結界って何ですかー?」
・・・先生に質問する生徒みたいだ。というかそれに答えてくれるキトウも結構律儀だった。
「結界を張った場所からは出る事も入る事もできません。そして結界の中では妖術使いの力が何倍も高まりますから、ここは妖術使い専用のフィールドみたいなものですね。結界を破れるのは結界を張った本人かその人より優れた妖術使いでないと無理です。」
そこまで説明してくれるとは、本当に律儀だ。
「ですからここには策士も誰も入れません。助けを求める事は不可能ですよ。」
「それは・・・なんと言うか・・・、うーん・・・あれだね・・・。・・・そう・・・、・・・。」
何だか冷や汗が出てきた。
「・・・困ったなぁ・・・。」



なんと言うか、今回は結界の説明みたいなものです。
私もミルモを食い意地の張った妖精で終わらせたくはないと思っておりますよ(笑)


■ こやまる (339回/2008/10/18(Sat) 12:37:48/No1027)
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イブ吉さん、こんにちは☆

アビに勝利する自信があるからなのか、説明口調のキトウは律儀というか便利キャラの役割になっている予感…。
この後「しゃべらなければよかった…」な展開になるのがお約束ですが、今のこの状況を考えるとアビが圧倒的劣勢であることには変わりありませんね。
ネズミも助けることが出来ないし、アビの力ではどうすることも出来ないとなると、第三者の助けが入るのでしょうか?
その役割は…予告に書かれているミルモ!?
ってあまり書くとミルモが登場機会を失って食い意地の張った妖精で終わってしまう可能性があるのでこの辺で(笑)。

次回の急展開を楽しみにしています(^^)。
では!


■ イブ吉 (23回/2008/10/31(Fri) 20:10:48/No1052)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

18、キトウの妖術

とうとうキトウは戦闘モードに入ってしまったらしく口の中でぼそぼそと何か呪文のようなものを唱え始めた。
「・・・はっ!」
呪文を唱え終わってキトウが呪符を投げる。
すると、
「のぁっ・・・・・・。」
ぐわあん、と感覚が狂い足元が崩れ、ドサッと地面に尻餅をついてしまった。
「・・・ん?地面・・・?」
確かここは教室だったはずじゃ・・・。
「え。・・・ええ!?ど、どこ!?ここどこ!!ああ・・・地平線が見えるぅ・・・。」
「教室ですよ。」
「どこがだよ!?何にも無い草原じゃないの!・・・て、何!?何これ!?君が大きくなってんの!?私が小さくなってんの!?」
「そんなに驚かないで下さい・・・。人間が妖精界に来るとこんな感じらしいですよ。」
確かに今の二人のサイズは妖精界にいる楓とミルモが並んでいるようだったがアビはそんな事知らない。
「妖術は所詮あやかしですからね・・・。特に結界の中では何でもできるんです。言葉で説明できる物ではありませんが、分かりやすく例えれば教室に催眠術を掛けているようなものでですよ。それでも妖術で受けた傷は痛いですし、ここは教室ですけどあの地平線の所まで行けますし・・・やっぱり言葉では説明できませんね・・・。」
別に説明してくれとは言ってないけど。
「痛いのはやめて欲しいなぁ・・・。」
「そんな事言ったって仕方ないじゃないですか!痛いものは痛いんですから!?」
「ス、スミマセン!」
私が悪いのか。
「まったく・・・ではすぐに終わらせますから我慢しててくださいね。」
「終わっちゃ困るっての・・・うわっ!」
シュル、と地面についた手足に草が伸びて巻きついた。ヤバイ。動けん。
「それでは・・・。」
袖からまた呪符を取り出してキトウは言った。
「さよならです。」
・・・マジすか?



広い草原で妖精楓と同じような大きさになったアビと妖精界にいる時のミルモと同じような大きさになったキトウを思い浮かべて読んで下さい。
アビ驚いてばっかだなぁ・・・。


■ こやまる (349回/2008/11/02(Sun) 20:33:25/No1056)
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イブ吉さん、こんばんは☆

キトウの性格と妖術の腕前により、いよいよアビが大ピンチですね。
お間抜けな部分が見られるゲスト妖精は黙っていてもどこかでミスを犯しそうなものですが、このキトウに関してはそれが無さそうです。

妖術の設定が魔法とは別物であるかのような設定がいいですね。
魔法は物体を変化させる力を持つけど、妖術はかけられた者に幻覚を見せるといった感じでしょうか。
巻き付いてきた草を振り払うにはアビ自身が妖術から覚めないといけなそうですが、今のアビにはそれはとても難しそうです。
この後アビは助けを求めるのか、覚悟を決めるのか…今までのアビの性格を考えると後者を選んでしまいそうな気もするけど果たして。。?

それでは次回も楽しみにお待ちしています!
では!


■ イブ吉 (24回/2008/11/14(Fri) 18:54:56/No1067)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

19、キトウVSネズミ

「・・・、え?」
「・・・?」
ピタ、と呪符を構えたままの姿でキトウが動きを止める。
「な、何で・・・っ、何で・・・。」
「??」
ぶつぶつとそんな事を呟きながら動かない。
「お、おーい・・・。」
「何で策士が・・・ここに!?」
私の言葉をまるっきり無視しながらそう叫ぶとキトウは振り返った。
「フフフのフ〜、随分と詰めの甘い奴でござるなぁ。」
「あああっ!?ネズミィ!?」
「う・・・ううっ、な、何で・・・!」
そこには、策士と呼ばれた忍者が当然のように立っていた。
一瞬、私の方を見たような気がするが今はキトウの方を見据えている。
「まあ、そこがあのいけ好かない女の片腕にはふさわしいとも言えなくもないが・・・。」
「そ、そのミコクさんが足止めに向かったはずじゃ・・・っ!」
「はっ、あの女が相手ならこのくらいちょうどいいハンデでござるよ。」
嘘つけ、朝より随分と怪我がひどくなってるだろ、ってことは空気を読んで黙っておく事にした。
「大体どうやって結界に入ってきたんですか!?」
「・・・あー、確かに。」
「確かに、じゃないですよ!?ごまかさないでください!」
「貴様が馬鹿でもこれくらいの事、妖術の知識を心得ている者なら考えれば簡単に分かるでござる。それとも、貴様はそれ以上の馬鹿だったという事でござるか?」
「なっ・・・!?」
圧倒的に不利な立場にいながら何故かふてぶてしい態度のネズミは謎だが、キトウは徐々に冷静さを失ってきたらしい。
「と、とにかく!今度は僕が相手です!」
「はあ?ミコクよりも弱いお主が拙者に敵うはずがないでござろう・・・。」
「それ以前に!結界の中で忍者が妖術使いに勝てるわけが無いでしょう!?」
シュバッと、キトウが持っていた呪符を数枚投げた。
「!」
すると呪符は鋭い牙を持った蛇に形を変えてネズミに襲い掛かる。

ザクッ!

と、とっさにネズミはくないで蛇を切りつけた。蛇はポテっと地面に落ちて呪符に形を戻す。
だがネズミは右手の腕を痛めていたらしく、痛みを感じすぐに左手にくないを持ちかえたが、左手は指を痛めていたそうで・・・。
「・・・っ!?」
カラン、と左手からくないが滑り落ちた。
この隙をキトウが見逃すはずもなくすぐにまた呪符を投げる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私に向かって。
「えぇっ!??」
「!?」
ばっ、とネズミがこっちを見て顔をこわばらせたのが見えた。
すぐに目を瞑ってしまったため次の一瞬を見る事はできなかったが、目を開ければその一瞬の間に何が起きたのかすぐに予想ができる。
「ネ、ネズミ!?」
「・・・・・・・・。」
ずっと向こうでキトウと対峙していたはずのネズミが私の前に来て、左肩を右手で押さえながら片膝をついている。
つまり、私を庇ったのだろう。
見ると呪符が何枚か刃物のように尖って地面に突き刺さっている。そしてそのうちの一つが私の右の手首に巻きついていた草に突き刺さりその草を切り払っていた。
私は自由になった右手でその呪符を地面から抜き取りそれを使って左手の方の草も切り払う。これで動けるようになった。
「大丈夫!?」
「あっ!?」
ネズミの元へ駆け寄る私を見てキトウがしまったとばかりに叫んだ。
が、すぐにまた呪符を袖から取り出し構える。
あんた、それいくつ持ってんだよ。
「これは・・・まずいでござるな・・・。」
崩れそうになる体を必死に支えてネズミが言った。
「そりゃそうでしょうが・・・。」
キトウが呪符を投げようとしたその時、

「ケツアターーーーーーック!!!」

「あ。」



ネズミがなぜ結界に入れたのかはとりあえず今はおいておくという事で・・・。


■ こやまる (355回/2008/11/18(Tue) 08:11:45/No1069)
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イブ吉さん、おはようございます☆

緊迫したネズミとキトウとの戦い、小説からすごくよく伝わってきます。
口ではいつものように偉そうなことを言っているけれど、本当はぎりぎりの体力のところで精神的にキトウよりも上に立ち、キトウを追い詰めようとする作戦がネズミらしいですね。
そして何も言わずにアビをかばうところも・・・。
ネズミの性格を考えて余計な口を挟まないアビの行動もまた戦いに緊張感を添えているように思います。

そんな張り詰めた空気の中、聞き慣れたあの必殺技の名前が何か異質な感じがして面白いです。
これは大きな形勢逆転となるのだろーか。
ついに我らが主人公もこの戦いに足を突っ込むことになり、これからの展開にわくわくしてきます(^^)。

それでは次回も楽しみにお待ちしております。
では!


■ イブ吉 (25回/2008/11/21(Fri) 18:36:44/No1073)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

20、結界崩壊

「ぐげぇっ!?」
「・・・。」
「・・・。」
「何だ?一発で伸びちまったぞ、こいつ。」
「ミ、ミルモ・・・。」
「おー、大丈夫かおめーら。」
キトウの上に立ったままでミルモがこっちを見た。
「なんでここに・・・?」
「お前が早く帰ってこないから楓が心配してんだよ!くもっちょ買いにいけねーだろ!」
「はあ・・・すいません・・・。」
そういえば二人を待たせたままだったか。あれからどれくらい経ったのだろう。
「・・・・・・いい加減どいて下さいよ!?」
「おめー何でそんなトコにいんだ!?」
「あなたのせいでしょう!!」
ずっとミルモに踏みつけられていたキトウが、がばっと立ち上がり、とっさにミルモはそこから飛びのく。
「ど、どうしてこうも皆さん簡単に結界の中に入ってくるんですか!?い、一体どうやって・・・っ。」
「・・・お。」
すると今まで黙っていたネズミが口を開いた。
「そろそろ時間でござるな。」
「え・・・?」

パリン!

まるでガラスが割れたような音が響いて、それと同時に周りの景色にひびが入っていく。
「何だこりゃ?」
「結界が崩れているだけでござるよ。」
あっさりミルモの問いにそう答えるネズミだったがキトウからしてみれば《だけ》ではすまないのだろう。
「そんな馬鹿な・・・な、何で・・・。・・・・ああぁぁああああぁあっ!!?」
そう叫ぶとキトウは私の方を指差した。
「あ、あの時に・・・っっ!?」
「?な、何・・・??」
「サスケとハンゾーがお主に呪符を届けたでござろう。」
「ん?そういやお前ポケットに突っ込んでなかったか?」
「あ、うん。今はなくなっちゃったけど・・・。」
「あれは使い捨てでござるからな。」
「使い捨てって・・・私使った覚えないよ?」
「あの時・・・結界の力を弱めた時っ・・・。」
と、震えた声でキトウが言った。私を指差している指まで震えている。
「結界の力を弱めた時・・・?・・・あ!そういえば君、私が教室に入った時は結界の力を弱めたみたいな事を言ってたような・・・。」
「その時にお主が持っていた呪符が結界に穴を開けたのでござるよ。」
「あー!だからあんなにバリバリーって痛かった訳ね!」
そうでなければ、最初にキトウが言っていたように少し感覚が狂う程度で痛みはなかっただろう。ネズミもミルモもその穴を通ってここに入ってきたという事か。
「で、何で今その・・・結界?・・・が崩れてるんだよ?」
途中から乱入してきたミルモには話がよく分からないようだった。
「一度穴が開けば結界は崩れてしまうでござるからな。ただ、それまでには時間がかかる故・・・。」
「はあ〜、その時間になる前にやられちゃいそうになった所へタイミング良くミルモが来てくれた訳か・・・。」
「つまりはオレのおかげって事だな!」
「で、でも、いくら力を弱めた時といっても、その呪符の持ち主の妖術使いの力が僕より弱ければ結界は破れないはず・・・!」
「あー、ついでに言っておくと、こいつに持たせた呪符はイノリの物でござるよ。貴様の妖術の腕がイノリより下というだけの事でござる。」
「うぅ・・・。」
「さて・・・。」

バリン!・・・バキン!!

最後にひときわ大きな音が響いて周りの景色が乱れていく。そしてまた重力が狂ったような感覚がして私はまた尻餅をついた。
今度は地面の上ではなく、床の上に。
「あっ・・・ここ、教室!」
見ると私や皆も元のサイズに戻っている。
「結界の力なしで妖術使いが忍者に勝てると思うのなら、相手になるでござるが?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。いえ、今日の所は遠慮しておきましょう。」
ふと笑って、キトウはそう言った。
「澄風亜美さんを消さずに、あなたを取り逃がしてとても不機嫌であろうミコクさんに会いに行くのは、はっきり言ってあなたを相手にするよりずっと恐ろしいですが・・・、仕方ありません。」
・・・何か、同情しちゃいそうな事言ってるよ。
「では、また後ほど。」
そしてキトウは笑顔のまま、どこかへ消えていった。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・ぐ。」
「えっ!あ、ネ、ネズミ!?」
「お、おい!どうしたんだよ!」
キトウがいなくなった途端、いきなりネズミが倒れてしまった。
「ちょ・・・あんた、さっきまであんなにえっらそうにしてたくせに・・・。」
「演技に決まっているでござろう!!」
「演技かよ!?」
ミルモがそんな突っ込みを入れたがネズミは気を失ってしまったらしく、何も答えなかった。
その時、
「ミルモーーーーーーーーーー!」
「ん?楓?」
走りながら楓が教室に入ってきた。
「下で待ってろって言っただろーが・・・。て、誰だそいつ?」
「よう。」
と、ミルモの視線の先には・・・、
「あっ、ハ、ハトセェェっ!??」
ネズミの元師匠、私のかつてのパートナーが、気だるそうにこっちを見下ろしていた。



何か説明分かりにくくてスミマセン・・・。
多分もうすぐハトセが色々説明してくれると思います。


■ こやまる (358回/2008/11/25(Tue) 23:51:41/No1075)
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イブ吉さん、こんばんは☆

ミルモ登場という前回からの目まぐるしい展開の裏には、ネズミによる緻密に計算された作戦が敷かれていて、イブ吉さんの伏線の貼り方の上手さに改めて驚きました。
サスケとハンゾーの何気ない行動も含め、そうしたいろいろなことがいくつも合わさった瞬間に結界が音を立てて崩れていく様は見ていてとても気持ちが良いです。
ミルモのケツアタックを喰らって負けを認めたキトウは、きっとネズミたちへ恨みを倍返しする目的で再登場するんでしょうね。
去り際の笑顔がとても不気味です。
そしてその際はミルモも巻き込まれてしまうんでしょうか。

さて楓とともに現れたハトセ…次々とストーリーが進んでいくことで、ネズミの傷が癒えることは当分なさそうですね(^^;。
それでは次回も楽しみにお待ちしております!
では!


■ イブ吉 (26回/2008/11/28(Fri) 17:16:13/No1078)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

21、パートナーとの再会

「ハトセ・・・って、確かアビのパートナーだった・・・。」
はっとしてミルモが私の方を見た。
「下で待ってたら・・・ハトセさんが来て『アビの所に連れてってくれ』って・・・。」
「・・・久しぶりだな、アビ。悪いが説明は後回しにさせてくれ。・・・面倒だから。」
本当に面倒そうにそう言うと、ハトセはかえでの肩から飛び降りて気を失っているネズミの元に来る。
すると、何か思い出したように「あ、そうそう。」と言った。
「さっき近くでミコクを見かけた。『畜生・・・あんのクソガキャーーーーー!!戻ってきやがれぇーーーーーーーーーーーーー!!!』などと叫んでいたな。」
「・・・。」
その怒りの矛先がキトウに向かなければいいが。
「それはいいとして・・・。・・・あー、馬っ鹿だなーこいつ。こんなんじゃ両腕使えねーよ。」
ネズミの怪我を医者のような手つきで確かめながらぶつぶつとそんな事を言っている。
「ったく・・・。しゃーない・・・。殴るのは説教する時でいいか。」
「とどめかよ!」
ちょっぴり引いているミルモであった。
「とりあえず・・・お前ん家に帰るぞ。」
「え?う、うん・・・。」
「じゃあ私達も!」
「くもっちょ買ってからな。」
「・・・。」



次はアビの家に楓とミルモもお邪魔します。


■ こやまる (360回/2008/12/01(Mon) 08:07:33/No1082)
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イブ吉さん、おはようございます☆

久々のパートナーと感動的な再会…はそこにはなくハトセの独壇場のペースがあるのみで、居合わせた一同の反応も「・・・」ですね(^^;。
パートナーのアビとしてはハトセのそんな性格も理解しているはずだろうから、がっかりすることは無いのかもしれませんね。
それにしてもネズミは周りに迷惑をかけっぱなしというか・・・あくまでも一匹狼を貫くネズミにそのうちアビ(もしくはミルモも?)がキレないか心配です。。

次回の舞台となるアビの家にて、アビとハトセの過去の関係が少しでも分かることを期待しております。
それでは次回も楽しみにお待ちしていますね〜。
では!


■ イブ吉 (27回/2008/12/05(Fri) 18:42:28/No1088)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

22、説教の時間です

さて、ここは私の部屋。
中にいるのは私、楓、ミルモ(手にはくもっちょ)、そして。
「あー面倒だ・・・。大体なぁ、今回うまくいったのは運が良かったからってだけじゃねえか。キトウがお前の挑発に乗らずにもう少しでも冷静になっていたら結界の穴にも気が付いてとっとと決着をつけていただろうし、結界が崩れるまでの時間稼ぎがうまくいったのだってミルモとかいう小僧が運良く来たからだろ。そもそも負傷したお前がミコクから逃げ切れた事が奇跡なんだよ馬鹿。上手くいく方がどうかしてたんだっつの。ったく、失敗したらどうするつもりだよ。迷惑だったらありゃしねぇ。つーか、お前に何かあったら『イノリ』がなんて言うか考えろボケ!今のお前の怪我見ただけで泣き出すぞ!?それより、もうすぐ『ヤイバ』と合流してもらうつもりだったのにそんなんで動けんのかよ。次にミコク達が何か仕掛けてきたらどうす・・・(以下省略)」
ハトセが目を覚ましたばかりの(というかハトセに無理矢理起こされた)ネズミに説教をしていた。
ネズミは左肩の傷をおさえながら疲れたような顔をして黙ってハトセの説教を聞いている。
反論とかする気力はもう残ってないらしい。
一応手当てはしたのだがさっきハトセが宣言通り本当に殴ったせいでさらに怪我がひどくなっている。とんでもない師匠だ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そういえば、ハトセはやけに説教好きだったっけか。そしてなぜかいつもそれは「面倒だ」という言葉ではじまる。
昔は私もよく説教されていたなぁ、しかもたまにかなり不条理な理由で。
・・・あ、何か目頭熱くなってきた。
ミルモはそんなネズミの様子を珍しそうにくもっちょを食べながら黙って見ている。
楓はそろそろ止めてあげたほうがいいんじゃないか、みたいな顔でネズミとハトセを交互に見ていた。
「・・・ねえ、ハトセ?」
「あ?なんだよアビ。」
「説教はもうそれくらいにして、そろそろ私達に説明してよ・・・。」
「そ、そうだよ!ねぇ、ミルモ?」
「知らね。」
「ミルモ!」
ネズミがハトセの説教をくらっている間、私は二人に知っている限りの事は話したが、私の知っている事など本当に少ししかない。
「ん、あ、そうか。そういやお前、まだ何も知らないっけか。」
その通りです。
「しっかたねぇな・・・。面倒だが教えてやるか・・・。」
本当に面倒そうにハトセは説明しだした。



やっと次から色々と説明できます・・・。


■ こやまる (365回/2008/12/09(Tue) 07:37:49/No1092)
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イブ吉さん、おはようございます☆
説教癖に「あー面倒だ」と言う口癖・・・ハトセの設定が設定が面白いですね。
面倒だと言いつつ説教しないと気が済まないハトセの行動の裏には、ネズミへのどんな思いがあるんだろうか?と考えてしまいました(今回の理由は次なるヤイバとの合流絡みなのかもしれませんが…)。
そんな昔から変わらないハトセのきつい性格にアビは懐かしさを感じつつも、さすがに今の余裕のない状況では身の回りで起きている不可解なことの説明が先ですね。
しかし仮にも王子に向かって「ミルモとかいう小僧」というハトセの言い方にミルモが「なんだとぉ」と反応しないか心配です(^^;。

次回のハトセの説明によりいろいろなことが見えてくるのでしょうか?
次回が楽しみです(^^)。
では!


■ イブ吉 (28回/2008/12/12(Fri) 21:55:02/No1098)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

23、強奪集団

「こいつがあたしの弟子だったつー事は知ってんだろ?」
「あ、うん。」
「オレ達はさっきアビから聞いたばっかだけどな・・・。」
「ちょっと驚いちゃった・・・。」
「あたし達は遠くの山にある小せえ名前もない村で修行してたんだけどな。ネズミはその修行を終えて・・・故郷に帰ったんだっけか?今は旅してんだってな。」
「その旅の途中・・・何日か前にハトセ殿がいきなり訪ねてきたのでござる・・・。」
「何で?」
「ちょっと協力して欲しい事があってな。そのあたし達が修行してた村、全滅しちまったんだよ。」
「・・・はあ?」
ミルモがくもっちょをつかんだ手を止めて首をかしげる。
「どういう事?」
「強奪集団に持ってかれちまった。」
意味が分からない。何だそれは。
「・・・ん?強奪集団・・・?」
「ミルモ、知ってるの?」
「いや・・・知らねえけどよ・・・。どっかで聞いた事がある気が・・・。」
「そんな訳がないでござろう。」
「何でだよ!?」
あっさりと自分の言葉を一蹴りされてミルモは少々頭にきたようだった。
「あいつらも自分達の事を世間に知られないように気を付けてっからな。知ってる奴はそうそういないぞ。」
「で、その強奪集団って?」
「その呼び方は奴らが勝手に名乗っているだけなんだが・・・、そのまま強奪する集団ってトコだ。とはいえその強奪する物が厄介でな。」
「何を取っちゃうっての?」
「んー・・・まあ、いってみりゃ仲間、か。最初は集団ともいえない少人数なんだがな、ほかの集団の仲間を掻っ攫って自分達の仲間にしちまうんだよ、これが。そんで人数増やしていくんだとよ。」
「へぇ・・・・・・・・あ!もしかして・・・。」
「うちの村の奴らも全員攫われちまったよ。あそこは腕の立つ奴ばっかいたからなあ・・・あいつらが仲間にしたがるのも無理ねえか。」
随分と気楽そうなハトセであった。
「・・・え?でも最初は少人数だったのによく村の人全員連れていけたね・・・。」
「バッカだなー楓。その時には大勢いたに決まってんじゃねーか。」
「いや、少人数どころか、その中の一人だけで村を襲ったらしい。
「マジかよ!?!ありえねえだろ!?」
「ま−でも、あたしもそれくらいできるけどな。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「世の中にはありえない事を平気でやってのける奴もいるという事でござる。」
「はあ・・・。」
「ったく・・・週に一度しかあたしは村に帰らないんだが・・・帰ってきたら誰もいねーじゃねーか。さすがのあたしも『・・・ん?』とは思った。」
「『・・・ん?』だけかよ!?」
「で、このままじゃさすがのあたしも『おいおい・・・』って感じだから、」
「『おいおい・・・』だけかよ!?」
「村を襲った奴の事調べて探して、」
「そんな事できんの?」
「ありえない奴でござるからな。」
「そいつと交渉した訳。」
「こ、交渉?」
「ぶっ飛ばしてやっても良かったんだけどよ。何かそいつ、あたしとほとんどどころか完全に同じ強さでな、しかも何か企んでるみたいだったから、こりゃ下手に突っ込んでったらヤバイと思って交渉した。」
「・・・どんな?」
「互角のあたしとあいつが勝負したってしょうがねえから、あたし達は直接やり合わずに自分の仲間同士を使って勝負するってこった。あたしが勝ったらうちの村の奴らをさっさと返す、向こうが勝ったらあたしは大人しく引き下がる。村の奴らを向こうに渡すってことだな。ルールは少なくしてできるだけ何でもありだ。一つはあたしとあいつが直接この勝負に手を出すような事はしない。それから奴らが連れて行った村の奴らには決着がつくまで手を出さない、勝負に利用するような事はしない。決着のつき方は、どっちかが降参するか全滅すれば決着がつく・・・それだけだな。」
「・・・・・・・・・・・・・・とんでもない事にしちゃったんだね。」
「あたしはすでに修行を終えて村から出て行ったかつての弟子達を集めて協力してもらう事にした・・・ネズミもその中の一人だな。で、向こうは元からいた仲間数名、ミコク(ミハク)やキトウもその仲間に含まれるが・・・まあ、そいつらを使ってんな。」
「ミコクちゃんやキトウが・・・ね。ま・・・そんな気はしてたけど・・・。」
「でも前はミコク(ミハク)はあたしの弟子だったんだぞ。」
「え!ええ!ええええええええええええええぇええええぇぇ!?!?」
ネズミの方をちらりと見ると、案の定不機嫌そうな顔をしていた。
「じゃあ何で今は敵対しちゃってるわけ!?」
「いや、何か裏切りやがってな。あっちの方が良かったんじゃね?」
「まあ、そんな所でござろうな。」
「何だよそれ・・・。」
「大方、『いけ好かねえクソガキと敵対できるならこっちの方が何億倍もいいぜーーーーーーーーーー!!!』ってトコじゃないか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ハトセは何でミコクちゃんのものまねがそんなに上手いんだろう。
「・・・・・・・・キトウは?」
「あ?知らねーよ。あんな奴最近まで知らなかったぞ。ミコク(ミハク)がどっかから拾ってきたみたいだが・・・詳しい事は知らんな。」
「拾ってきたって・・・。」
「まあ、そういう訳なんだが、相手が準備万端なのに対してこっちは妖精界中に散らばってる仲間を集めなきゃなんねーからな。一応全員に声は掛けたんだがなかなか集まんなくてな。状況も結構まずいっつーか、押されててな。しょうがねーから、妖精界から離れた人間界に非難っつーか集合する事にしたんだが・・・、アビ。」
「え?」
「『そういや昔人間のパートナーがいたっけな。ちょうどいい、協力してもらおう。』みたいなノリで思いついた訳だ。」
「思いついちゃった訳か・・・。」
「なのによお・・・お前、いきなり引っ越して転校しやがって・・・探すのに時間かかって奴らにこっちの考えがばれちまったじゃねーか!」
「おかげでここまで来る途中ミコクに見つかり殺されそうになったでござるよ。」
私が悪いのか。
「はあん、なるほどな。その途中に忍者村を通ったって事か。で、ミコクがすぐに追いついてきたからすぐにいなくなった訳だな。その噂をヤマネが聞いたってこった。」
「わー!ミルモの癖に冴えてるー!?」
「ミルモの癖にって何だー!?楓に言われたくねー!」
「あっ、ひっどーい!」
「まあまあ・・・。」
「つー事で、アビ、よろしく頼むわ。」
「え、な、何を・・・?」
「ネズミのパートナーになって思う存分強力してくれ。まずは、ほかの仲間と合流しないとな。細かい事はネズミに聞けよ。面倒だから。そこのお二人さんも手伝ってくれて一向に構わん。」
「え〜めんどくせえ〜・・・。大体なんでオレが・・・。」
「ミルモ!」
「あたしが一番面倒なんだよ!?」
「知らねえよ!」
「ま、まあまあ、まあまあ・・・。あ、ほら!二人ともそろそろ帰った方がいいんじゃない?」
「え!ほ、本当だ!ミルモ帰ろう!」
「なー楓。くもっちょ全部食っちまった。」
「だめ!そんな時間ないでしょ!?」
「まだ買ってくれなんて言ってねーだろ!」
「ほら急ごう!」
「ぐえ!?」

バタン!

「お、お気を付けて〜・・・。」
ミルモを握り締めて慌しく楓は帰っていった。
「そんじゃ、あたしももう行くぞ。お前は早くその怪我治せよ。」
「だったらお主が殴らなければ・・・。」
「あーあ・・・、かったりい〜〜・・・。」
ハトセはネズミの言葉をまるっきり無視して窓から出て行った。
「あはは・・・相変わらずマイペースだ・・・ね。」
「・・・。」
「・・・・・・・あれ?」
考えてみれば、あれだけ説明してもらっても、まだなんだかあやふやな所がないか?
ネズミの方を見る。ハトセが出て行った窓の方を呆れたような感じで見ている。
「・・・・・。」
こいつに何か、聞いてみようか?



ミルモが強奪集団に反応した理由は随分後に分かると思います。


■ こやまる (369回/2008/12/16(Tue) 08:07:43/No1101)
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イブ吉さん、おはようございます☆
ハトセの説明によりストーリーの全体像が少しずつ見えてきましたね。
…が、ハトセの超個性的な性格や話し方のせいで、ハトセの話す内容の向こうにはまだいろいろなことが隠されていそうな予感もします。
そして今回初めて明かされた強奪集団の存在、、、気になります。
強敵ミコクに指示を出すさらなる強者はハトセとどんな関係なのか?
またどんな性格の持ち主なのか?
・・・でもハトセと対決できるような妖精となると、こちらもものすごくひねくれた性格の持ち主のような気もします(^^;。

それにしてもパートナーとの再会なのに、こんなシリアスな出来事にアビを巻き込んでしまうハトセ・・・ミルモは「自分の問題は自分で何とかしろ」と怒りそうな気もしますが(おせっかいな楓は逆でしょうけど)、まったく無関係に思えたミルモが強奪集団に関してどこかでつながっていそうで今後も面白くなりそうです。
まだまだ謎だらけのストーリー、次回もまた楽しみにお待ちしていますね。
では!


■ イブ吉 (29回/2008/12/19(Fri) 20:00:01/No1104)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

24、疑問

ハトセ。
私のパートナーでありネズミの元師匠だ。
そのハトセの故郷(なのかどうかは知らないが少なくとも今はそこで暮らしているらしい)は名前のない小さな村だそうだ。
ハトセの弟子だったネズミも、少しの間そこで暮らして修行をしていたとか。
その後ネズミは、修行を終えて村を出て行った。

それからしばらく経った今、ハトセは週に一度しかその村に帰らないそうで(一体どこに出かけているのかは不明。謎の多い奴だし)、ネズミは旅をしながら修行をしていた。
ある日、ハトセが一週間ぶりに村に帰ってみると。

村には一人も妖精がいなかったという。

ハトセはすぐに何が起こったのかを調べだした。
そんな事が可能なのか、とは思うが・・・ハトセは不可能な事ほど可能にしてしまう奴なので。
ところが、調べた結果分かったのは、そんなハトセと対等の強さを持つ妖精が今回の騒動の原因だという事だったのだ。

それが強奪集団。
他の集団の仲間を強奪して自分達の仲間にしてしまう集団だとか。
その強奪集団の一人(リーダーなのだろうか?)が、ハトセの故郷を襲い、住人達を一人残らず攫っていってしまったそうなのだ。
その一人がハトセと対等だとかなんとか・・・。

ハトセはその妖精とこんな賭け(?)をした。
『あたしの弟子とてめえの今の仲間を勝負させて、村の住人は勝った方のもんだ!あたし達二人は戦いには直接手を出さない!どっちかのチームが降参するか全滅するまで村の奴には手を出すなよ!?』
みたいな感じで。
いや、ハトセの事だからこんな言い方じゃなくて、もっとかったるそうに言っただろうけど・・・。

という訳で、ハトセは妖精界中に散らばっているかつての自分の弟子達を集めだした。
ハトセはネズミのほかにも数人弟子がいるそうだ。
とりあえず全員に声は掛けたらしい。

強奪集団の方はというと、すぐにハトセチームへの攻撃を開始しだした。
今の所、私がお目にかかったのは・・・。

ミハクちゃんにミコクちゃん。
二重人格で、一つの体に二つの人格を持っている。
ミコクちゃんは一日に三時間しか表に出れないとか。
ネズミとはありえない程に仲が悪いが、実はかつてはハトセの弟子だったそうだ。
なぜ強奪集団に寝返ったのかは不明。

それに、キトウ。
妖術使いの男の子。
こいつにはひどい目にあわされた。
後からネズミに聞くと、ミコクちゃん(ミハクちゃん?)の右腕らしい。

・・・この二人だけじゃん。
他にどんな奴がいるんだろうか。

さて、戦況はというと、ハトセのチームは圧倒的に押されていた。
そこで避難なのかなんだかしらんが人間界へ。
昔ハトセとパートナーだった私のもとへ。
・・・とはいっても、今の所ここまでたどり着いたのはネズミだけで、ほかの弟子達はまだ妖精界にいるらしい。
そのうち合流しなければならないとか。


というのが、今まで聞いた話を私が整理した話である。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
何か私、面倒な事に巻き込まれている気がしなくもないが・・・そんな事より・・・。
「やっぱり何かあやふや!」
バン!・・・と机を思いっきり叩いてみた。・・・手が痛い。
「と、突然何でござる・・・。」
ぎょっとして私の方を見るネズミ。
「分かってない点が多すぎるんだよ!」
「は?」
「例えば強奪集団の事とか!村を一人で襲った妖精、名前も分からないの?」
「ああ・・・その事でござるか・・・。」
「交渉したって事はハトセはその妖精と会ってるんでしょ?」
「さあな。・・・はっきり言って拙者にもよく分からない事が多いのでござるよ。拙者が知っている事とお主の知っている事の量にたいした違いはないでござろう。」
「・・・。ホント、意味もなく喋らないよね、ハトセ。じゃあ、もう一ついい?」
「?」
「強奪集団って強奪した仲間をどうやって仲間にするの・・・ていうか、従わせるの?そもそも、あんた達の村の仲間が今頃どうなってるのか疑問なんだけど。」
「・・・・・・・・・・・・・・見かけによらず頭の回るのか、どうでもいい所に気が付くでござるな・・・。」
「・・・それ、褒めてます?」
つーかどうでも良くないと思うけど。
「まあ、それなら洗脳すればいいだけの事だそうでござる。魔法か妖術なのかは知らんが・・・。それと、・・・村の奴らならどこかに放りこまれているでござろうな。」
「放り込まれて・・・?」
「恐らく、洗脳術と同じような類の術でもかけられて眠っているようなものだとか・・・。そのままどこか見つからないような場所に入れられているでござろう。」
「だ、大丈夫なの・・・?」
「勝負に決着がつくまで何もしない約束でござる。」
「ならいいけどさ・・・。でも思ったんだけど、洗脳だかなんだかができるなら、ミコクちゃんとかも洗脳されちゃってんじゃない?寝返った理由は分からないんでしょ?」
「それは・・・無いでござろう。だとしたらハトセ殿が真っ先に気が付くはずでござる。」
「あ、そっか・・・。」
納得。
「ふうん・・・。やっぱ何かよく分かんない・・・ね。」
「まだ何かあるならハトセ殿に聞く事でござるな。」
「ハトセが答えてくれると思う?」
「いや、全く。」



色々まとめてみたんですが、全然まとまってないし分かりにくすぎ・・・。
ネズミも何か細かい事は知らないようです。


■ こやまる (372回/2008/12/25(Thu) 21:54:08/No1107)
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イブ吉さん、こんばんは☆
感想が遅くなりごめんなさい。。

今回はアビの自問自答による状況整理ですが、その結果分からないことだらけということが逆に分かってしまった形ですね(^^;。
あのネズミでさえも全貌が分からないままハトセに従っていることを考えると、ハトセのみが知る真相はとんでもなく大きい予感がしてきます。
それにしても、勝負が終わるまでは何もしないとはいえ、洗脳させられて眠らされたままになっている妖精が他にもたくさんいるのはただならない状況ですね。
その勝負の責任を負っているハトセがこのことをどんな風に考えているのかが気になります。
でもでも全貌が見えてくるのはまだまだだいぶ先な予感…。

あ、ハトセの「あたし」という一人称がなぜだかかわいいです(^^)。
それでは次回も楽しみにお待ちしています。
では!


■ イブ吉 (30回/2008/12/26(Fri) 17:53:12/No1109)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

25、起床

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん?」
何だか騒がしいぞ、と思い私は目を覚ました。
体を起こして時計を見る。・・・まだ5時じゃん。
「だからよぉ。」
と、気だるそうな声のした方を見ると、案の定ハトセがいた。また来てたのか。
ネズミと何やら話しているようだ。
「あたしに聞いたって知らねーよ。そんくらい自分で考えろ。」
「・・・奴らが妖精界に戻ったと知らせたのはそっちでござろう。」
「妖精界に戻ったのは確かだが、どこへ向かったのかは知らん。」
「何話してんの?」
声を掛けると、二人とも特に驚いた様子もなくこっちを向いた。
「ミコク(ミハク)とキトウが妖精界に戻ったって話だよ。まったく・・・面倒だ・・・。」
「へ?何で?」
「拙者に聞くな。ったく、あの女・・・何を考えているんだか・・・。」
「そりゃあ、お前に勝つ事を考えてるに決まってるだろ。」
「はあ・・・じゃ、続けていて下さって結構です。」
とりあえず私は学校に行く準備をした。
そんでもって、余った時間は二人の会話を聞いてすごしていたが、だんだんそれほど大事な話ではなくなってきていた。
「というか、キトウは動ける状態なのでござるか?亜美を取り逃がしてミコクに殺されかけたのではと思っていたが・・・。」
「おう、それなら大丈夫そうだ。ミコクじゃなくてミハクの時にキトウは帰ったそうだからな。」
「じゃあ私、そろそろ学校行ってくるからね。」
二人にそう呼びかけると私は学校に向かった。


「あ、そうだ。面倒で忘れてた。」
アビがいなくなった部屋で、突然思い出したようにハトセが言った。
「お前、『ヒソカ』っつー名前聞いた事あるだろ?」
「?・・・まあ、名前くらいは。確か妖精界の便利屋だとか・・・。」
「噂に聞くと、面倒事に首を突っ込むのが大好きな何でも屋だそうだ。何かそいつがミコク(ミハク)達に協力というか、雇われてるかもしれないんだよ。ちっとそこんとこ、確かめてきてくれ。
「・・・はあ?それくらい『ヤイバ』に頼めばいいでござろう。」
「いやいや、そのヒソカって奴、人間界に来てるんだって。」
「もう訳が分からぬでござるな・・・。」



という訳で、ミコク(ミハク)とキトウはなぜか妖精界に行きました。
ヒソカとかいうオリフェはすぐに登場すると思います。


■ こやまる (374回/2008/12/28(Sun) 00:41:57/No1110)
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イブ吉さん、こんばんは☆
アビがいなくなってからヒソカのことについてネズミに話し始めるハトセ、これはアビに聞かれないための行動と考えるのは考えすぎなのかな?
ヒソカはすでに人間界にやってきているとのことで、アビや楓たちの前に現れることを展開的に期待したくなります(^^;。
武器を持たないアビが襲われなければいいのですが、果たして・・?
それにしてもハトセはアビのことをどう思っているのかがいまだに謎ですね。
パートナーだった頃の二人の絆にまつわるエピソードをどこかで見てみたいところです。

それでは続きもヨロシクお願いいたします〜。
では!


■ イブ吉 (31回/2009/01/02(Fri) 16:12:29/No1111)

こんにちわ。続きを書かせていただきます。

26、人間界と妖精界

「強奪集団?」
「うん。」
通学路を歩きながら私は、皆に昨日ハトセから聞いた事を説明していた。
するとミルモが首をかしげながら言う。
「やっぱどっかで聞いた事ある気がすんだよなぁ・・・。お前らもしらねえか?」
「そうですわね・・・。言われてみれば聞いた事があるような気がしますわ。」
「そうでしゅか?ボクはそんな事ないでしゅよ?」
「拙者にも聞き覚えがあるぞ。ヤマネはどうだ?」
「いえ、私は全く心当たりが・・・。」
「ま、気のせいだろ気のせい。にょほほ〜♪」
気のせいにしてしまった。
「それで・・・、ネズミ兄様は今どちらに?」
「家にいる・・・はずだけど・・・。またどっか行っちゃってそうだし・・・。」
この予感は的中することになる。
「でも元気そうで何よりでございます・・・。」
「まったく人騒がせな・・・。」
・・・ヤシチとネズミって、絶対仲わるいよなあ。
「それにしても、ミハクちゃんがその仲間だったなんて、信じられないなあ。」
と、松竹君。
「でもミハクちゃんって二重人格だし。ミハクちゃんはあーでも、ミコクちゃんは結構荒っぽい子だよ?」
「二重人格・・・。ジキルとハイドか。」
ちょうど今、それっぽい本を読んでる結木君。
「荒っぽいってどんな感じよ?」
日高さんがあまり信じていなそうに言った。
「安純のような感じか!?」
「ヤシチーーーーー!!!」
「ヒイィィィィィィィイィィィィ!?!?」
「ミハクちゃんとは正反対っていうか・・・口調も乱暴で。ネズミもミコクちゃんに殺されかけてたし。」
「なんていうか・・・あんまり想像できないよね・・・。」
そんなこんなで、いつの間にか学校にたどり着いていた。


場所は変わって妖精界。
「・・・ったくよぉ・・・。」
竹ばかり生えた林の中で一人の男の子が呟いた。
この男の子は『ヤイバ』という。
「こっちだって疲れてるっつーのに・・・、何で俺がお前らと遊んでやらなきゃなんねーんだよ・・・。」
右手に持った二本のナイフをクルクル回しながら、ため息をついてヤイバは振り返る。
そこにいたのは少々幼い感じの二人組だった。
二人ともまったく見分けがつかないほどそっくりだ。
「「・・・。」」
「何か言えよな・・・。えーと、『ケムリ』ちゃんに『ケムロ』君だっけ?」
「「・・・。」」
「・・・だから何か言えや。」
「「・・・。」」
「お前ら別に無口って訳じゃないんだろ?『ナギナ』の物真似のつもりか?全然似てねえぞ。」
「「・・・。」」
「・・・・・・・・・いい加減にしてくれ。滅茶苦茶虚しくなるじゃねえか。」
その時初めてケムリとケムロと呼ばれた二人は、ピクリとヤイバの言葉に反応した。
そしてヤイバと目を合わせる。
「「・・・すみません。」」
ぴったりと、完璧に声は揃っていた。声色も全く聞き分けられない。
「弟が」「姉が」
「「とんだ無礼を。」」
「・・・。」
「姉の」「弟の」
「「顔に免じて許してやって下さい。」」
「・・・そういやお前ら双子の姉弟なんだってな。まあ見りゃわかるがよ。で、何の用だよ、双子ちゃん。」
「ミハクさんが」「ミコクさんが」
「「あなたに遊んでもらって来いって」」
「だろうな。けど、さっき言った通り、俺は今疲れてんだよ。また今度にしてくれや。」
「ダメです。」「ムリです。」
「「それだと作戦が失敗するかもしれません。」」
「・・・。ちなみに、その作戦ってのはどんな作戦なんだよ。」
「「何の事でしょう。」」
「ついさっき作戦がどーたら言ってたじゃねえかよ!?」
「それより」「なにより」
「「早く遊んでくださいよ。」」
「・・・わーったよ。どうせ逃げても追いかけてくんだろ?」
そう言うと、ヤイバは今までずっとクルクル回し続けていたナイフの回転を止めた。
「それじゃ、さっさと始めっぞ。」



ヒソカの登場の前にヤイバとケムリとケムロが一気に出てきました。
双子というとアンリとセンリを思い出してしまいます・・・。


■ こやまる (375回/2009/01/06(Tue) 07:48:38/No1112)
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イブ吉さん、おはようございます☆
あけましておめでとうございます。
今年もまたよろしくお願いいたしますね。
先が気になる謎めいたストーリーを今年も楽しみにしております。

ストーリーの方は、アビたちがのんきに構えているところで、妖精界でまた新たな動きが…。
ヤイバとケムリ&ケムロは敵同士なのかそうでないのかは今回のお話からでは分かりませんが、いずれネズミたちの前に現れることは間違いなさそうですね。
双子の姉弟と言うとやはりアンリ&センリを私も思い出します。
でもアンリ&センリはお互いの話した内容を聞いてから「そうだよね」と合わせてくるのが特徴ですが、ケムリ&ケムロはそうではなくて、それぞれが同時にしゃべって、かつその内容が常にシンクロしている点が異なる…というか不気味にも思えてきます。
幼いとはいえもしもネズミたちの敵に回ったら結構苦戦しそうな予感がします。

また通学路にて、強奪集団に聞き覚えがあるというミルモのセリフが気になりますね〜。
幼いムルモやヤマネは聞いたことなくて、年上のミルモたちだけは聞いたことはある…このあたりにヒントがありそうな気もしますが、やはり分かりません。。うーん。

それでは続きも楽しみにお待ちしております。
では!


■ イブ吉 (32回/2009/01/09(Fri) 21:04:44/No1114)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

27、お昼休み

お昼休み。学校の屋上。
「ちょっと日高さん!結木君から離れてよ!!」
「うるさいわね!これから結木君と私は二人きりでお弁当を食べるんだから、南さんはどっかいってなさいよ!!」
「なんでよーー!?みんなでここでお昼食べるんでしょ!」
「南さんのためにたくさんお弁当用意したんだよ!」
「うわ・・・すごい豪華なお弁当・・・。」
思わず呆気にとられてしまった。
そこでミルモが私が持ってるお弁当箱を見ながら言う。
「何だかお前の弁当、量が多くねえか?」
「お、多くない多くない多くない多くないいぃっ!!」
だってさあ・・・これくらい食べないとさあ・・・。午後の授業、もたないじゃん・・・。
・・・ねえ?
「ミルモ様!わたくしの作った愛のスイートチョコ弁当、たっぷりお食べになって下さいませ♪」
「ぎえええええぇぇぇ?!!なんだそりゃああああああ!?それのどこが弁当なんだあああっ!?」
「何か顔みたいなのがありましゅよ・・・。」
「どこにチョコが入っているのだ・・・?」
「さあミルモ様!」
「誰が食うかーーーーーー!!」
「まあ!お待ちになって下さい!!ミルモ様ーーーーーー!!」
ミルモとリルムちゃんの追いかけっこを見ながら私は、卵焼きを口に運ぶ。
と、そこへ。
「あっらあら〜。先客か〜い?」
「はう?」
卵焼きをくわえたまま声がした方を見る。
妖精の女の子がいた。
ゴーグルを頭につけて、長い髪を二つに結んでいるツインテールの女の子だ。
「どひらはま?」(どちらさま?、と言っているつもり)
「あははっ!それじゃあ何て言ってるか全然わかりゃんよんっ?」
しまった!
卵焼きくわえたままだった!!
「とってもかわいいお姉たまでしゅね♪ボクムルモっていいましゅ、お姉たまはなんてお名前なんでしゅか?」
「私かいっ?私は『ヒソカ』っちゅーかわいいお姉たまだよぅよぅよんっ?あはははははっ!まっっ、どんなに可愛くてもムルモ君には負けるかなっかなかな!!」
名前とは違って随分元気というかハイテンションな子だった。
「ヒソカさんといえば・・・確か妖精界の何でも屋ですわ。」
「一体人間界でなにをしているのだ?」
「じぃつぅわぁ、わわわっ!ヒソカさんは今、大冒険の真っ最中なのデスッ!」
「大冒険?」
やっと卵焼きを飲み込んだ私。
「数日前のこと・・・妖精界の便利屋、ヒソカの元にある妖精が訪ねてきたのである・・・。」
なんか急に童話の朗読みたいな話し方になるヒソカちゃん。
「その妖精は、なんとまだ小さな女の子だった・・・。その女の子は『お母さんを助けて下さい!』とヒソカに泣きつく。聞けばその女の子の母親は、重い病気にかかってしまったそうなのだ・・・。その病気を治すには、人間界にある薬草を取りに行ってくるしかない!!ヒソカはその女の子と、女の子の母親のために人間界へと旅立ったーーーーーー!!パッパカーパッパッパーー♪」
「それでそれで!?」
身を乗り出す妖精達。
「ところが!!その道中、ヒソカの行く手を阻む謎の組織があ!?ヒソカは命がけでこの学校の屋上という死体の転がっている戦場へと逃げてきたのであった・・・。」
死体の転がっている戦場・・・。
チラリとミルモを見る。
リルムちゃんの愛の詰まったお弁当で完全にのびていた。
さっきから何も言わないと思ったら、いつの間にか死体と化していたのか。
「そう・・・、大変だったんだねぇ・・・。」
楓は目に涙を浮かべている。
「でも、わたくし達もお手伝いさせてもらいますわ!」
「うう・・・ありがとう、皆!ごめんね、私こんなに素晴らしい仲間の事を忘れていたなんて・・・う、うわ〜ん!」
「馬鹿者、泣く奴があるか!」
「ほえ?というより、忘れるも何もボク達、さっき出会ったばっかりでしゅよ?」
その通り。
「さあ!今こそ皆で立ち上が・・・」
「見事な三文芝居でござるなあ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わお☆」
「ネズミ!なにをやっておるのだ!?」
あー、やっぱじっとしてなかったかー・・・。
ヒソカちゃんの後ろの方にネズミが立っている。
「あははははっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どひらはま?」(どちら様?)
先程の私の真似をしてみるヒソカちゃん。
「すっとぼけても無駄でござるよ・・・ったく。とんだ大嘘吐きでござるな。」
「嘘?何で?」
「今お主達が聞いた話は全部嘘に決まっているでござろう。」
「ええええええええっ!?そうなのぉ!?」
「・・・・・・・・・・てへっ♪」
可愛らしく自分の頭をこずくヒソカちゃん。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
しかし、周りの反応はなかった。
「ひどいですわ!」
「うーん、そうだねーひどいねーごめんねー。」
なんて誤り方だ!
「でも私のプロフィールにちゃんと《大嘘吐き》って書いてあるじゃ〜ん。」
「知るか!」
「・・・・・・・・・・てへっ♪」
「2度もやるんじゃないわよっ!」
「日高さん怖い・・・。」
「ところで、ネズミは何でここに来たの?」
「こいつを追ってきたのでござるよ。」
「ヒソカちゃんを?」
「ハトセ殿が、こいつが強奪集団に雇われてるかもしれぬという事で、拙者に調べて来いと言ったのでござる。」
「あはははっ!分かった分かった、教えるぜよっ!私は確かに強奪集団に雇われてますぅっ!」
「強奪集団・・・やっぱりどこかで聞いたようなきがしますわ・・・。」
「まーでも、喋っちゃったしそれももうやめよっかなー。飽きてきたしなー。
そうだっ!じゃあこの際、君にとっておきの情報を教えてあげちゃおうカナッ?」
「・・・情報?」
「そうっ!情報情報情報!実はヒソカちゃん、情報収集が趣味だったり〜いっ?」
あははははっ、と笑うヒソカちゃんだった。
その後ろでは、今だにミルモの死体(?)が転がっていた。



そういえば、新年のご挨拶をすっかり忘れていました!
明けましておめでとうございます。(こんなに遅くなってすみません・・・)
今年も宜しくお願いします!


■ こやまる (377回/2009/01/13(Tue) 21:34:47/No1119)
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イブ吉さん、こんばんは☆

いやもう今回は最初から最後までハイテンションな展開だこと。
特に初登場のヒソカが・・・ミルモ含む他のどの妖精もまともに見えてしまうくらいにはじけてるなぁ。
それでいて大嘘つきという…。
彼女のパートナーになったら毎日苦労させられそうです。
最初はブリッコ作戦に出たムルモも、ヒソカの本当の性格を知っていったい何を思うだろーか?

そんな性格でも彼女は名の知れた何でも屋なんですよね。
いざというときはシリアスモードになって大活躍なんてことが…今のところは全然想像できませんけど。。(^^;

そして強奪集団に雇われていると言うヒソカ。
ということはネズミたちにとってのライバルになるのでしょうか。
次回、ネズミやアビがヒソカの不可解な行動に対してどう対応するかが楽しみです。

最後に、今回はリルムの手料理の描写がいいですね〜。
ミルモも逃げ切り失敗・・・乙女のアビに向かって失礼なことを言った罰が当たったのでしょーか?(ミルモがそんなこと言わなくてもリルムの料理は出てきたと思いますが^^;)。
では!


■ イブ吉 (33回/2009/01/30(Fri) 20:30:42/No1153)

こんばんわ。続きを書かせていたただきます。

28、ヒソカ

「情報といっても・・・お主の言う事は信用できぬでござるからなぁ・・・。」
「ええええええええええええええええええっっ!!??」
かなり大袈裟なリアクションをネズミにかえすヒソカちゃん。
「何で!?どうして!?こんなに正直者の私の言葉が信じられないなんて!」
「さっき自分で自分は大嘘つきだって言ってたじゃん・・・。」
「言ってないよん?」
「言ってた!!」
「そもそも、今俺たちに仲間の情報を流してヒソカに何の利益があるんだ?」
「「さっすが結木く〜ん!」」
「あのねぇ〜、この私が自分の利益にならない事をするわけないでしょ〜?」
「それはそれでどうかと思うけど・・・。」
「まあ、正直に言っちゃうと、もう強奪集団にいるつもりはないんだよねー。」
「?どういう事ですの?」
「ほら、あれ。触らぬ神に祟りなし?みたいな?はっきりいって巻き込まれたくなーいってやつ。だーかーらー、もうやめちゃおって思ったわけ。」
「・・・いまいち信用できないでしゅね。」
「私としては、もしも何かあった時のために君達に恩を売っておきたいなーと考えているのです!」
「結局そんな理由なんだ・・・。」
「あーもー!信じても信じなくてもいいからとにかく聞いときなよお!はい、まず一つ目!パッパカパ〜ン♪」
こっちの話をまるで聞かない。
「ケムリとケムロ姉弟のことで〜す!この二人も強奪集団の仲間だねっ。知ってる〜〜ぅ?」
「ハトセ殿から聞いただけでござるが・・・確か双子だとか。」
「そーそー、だからなのか分からないけどすっごいコンビネーションいいんだよね〜・・・てっ、そ・ん・な・こ・と・よ・り!り、り!ケムリとケムロといーえーばー、何といってもあの怪しい術だよ!」
「術?一体何の?」
「知〜らないっ!でも忍術でもないし妖術でもないのは確かなんだよね〜。つか、あの二人って強奪集団の中でも煙たい存在だからなあ。で、で!面白い事にその二人が今、妖精界で君の仲間のヤイバって人と遊んでいるそうです!!」
「あ、遊んで・・・?」
「何でも、ミハク・・・ん?ミコク?いや、どっちでもいいけど、その人が作戦の邪魔になりそうだから足止めしとくように命令したらしーよー?『その間にこっちはイノリちゃん捕まえとくから、お前らはヤイバと遊んでやってこーい』
見たいな感じで!」
ミコクちゃんのものまねは、ヒソカちゃんよりハトセの方がうまいなー。
いや、そんなことより。
「『イノリ』ちゃんって?」
そもそも私はヤイバって子も知らないけど。
「・・・。『ナギナ』と『カナラ』は?」
ネズミは私の質問を無視して、さらに私の知らない固有名詞をだした。
「ん?あー、あー、あー、それも君の仲間だっけ?その人達は知らないよ〜?足止めする必要があるのはヤイバとネズミだけって思ったんじゃない?」
「・・・・・・・・・。」
ヤイバとネズミだけ・・・。
・・・・・・・・・ネズミも?
見るとネズミは、非常に悔しそうな目でヒソカちゃんをにらんでいる。
「つま〜り!私の今回のお仕事は君を足止めしていることなのでーす!今もこうして時間を稼ぎ、忠実に任務をこなしてるんだな〜、これが♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「寝言でも嘘を吐く私を信じる方が悪い!私みたいなプロの何でも屋が巻き込まれたくないなんて理由で依頼人を裏切る訳ないでしょーが。一度引き受けた仕事は絶対にやり遂げるのがこのヒソカちゃんです!」
「・・・・・・・・この、詐欺師が・・・。・・・・・・いつまででござる?」
「はい?」
「いつまで拙者を足止めしろと頼まれているのか聞いているのでござるよ。」
「えーっと、あと40秒くらいで約束の時間だねっ!」
「・・・。」
40秒だけかよ。
「でも急がないとイノリって子が連れてかれちゃうよ〜?君の仲間のうちで妖術使いはその子だけなんでしょ?いなくなったら結構不利になっちゃうよん?きっとそろそろミコク(ミハク)とキトウと会ってると思うけ・・・あ、待ちなー。」
「・・・・・・いっ!?」
すぐに立ち去ろうとするネズミの腕を思いっきり握って掴む。あぁ・・・痛そう・・・。
「・・・7、6、5、4、3、2、1、は〜い。任務完了〜♪行っていいよー。」
ぱっとヒソカちゃんが手を放すと、ネズミはヒソカちゃんに文句も言わずに屋上を後にする。
「急ぎなー♪」
ヒソカちゃんはのんきな声でネズミにそう呼びかけた。
私達はというと。
「・・・・・・・・・・・・・・教室、戻ろっか。」
「・・・・・・・・・・・・・・そうだね。」
何事もなかったように教室へ戻っていった。
「ん〜じゃあ、私も仕事終わったし、かーえろっ!」
後には、すっかり忘れ去られたミルモが屋上に倒れていた。



ヒソカはミコクに言われた時間までネズミを人間界で足止めするために、ぺらぺら情報を流していたという事です。


■ こやまる (390回/2009/02/03(Tue) 08:37:34/No1161)
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イブ吉さん、おはようございます☆

信用できるできない以前にまったく会話が成立していないヒソカ・・・その裏には「時間稼ぎ」という任務がありましたか。
任務完了までの秒数をカウントダウンできるくらいの緻密さと完璧主義…。
ネズミもヒソカに隠された任務に気がつかないくらいだから、人に見せる用のヒソカはやはり普段からこんな性格なんでしょうか・・・自らの意志でコントロール可能な二重の人格がとても不気味に思えます(^^;。
今後もヒソカとはいろんな場面でみんなを混乱させそうですね。

強奪集団の作戦が進む中、だんだんど〜でも良くなってきているみんなの反応が面白いです。
すっかり忘れ去られたミルモ・・・ここでミルモが強奪集団について何か思い出せれば名誉挽回につながりそうですが、果たして・・?

同時進行でイノリの身に何が起きたのか気になります。
それでは次回も楽しみにお待ちしております〜。
では!


■ イブ吉 (34回/2009/02/06(Fri) 21:00:18/No1168)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

30、澄風家と南家

「たっだいま〜・・・って、ありゃ?ハトセ?」
「よう。」
学校から帰ってきたらハトセがいた。
ネズミはいない。
「・・・ネズミは?」
「今頃妖精界だな。イノリのトコ行ってもらっとる。」
「まあ、予想はついてたけど・・・。大丈夫なの?」
「あ?何が?」
「な、何がって・・・。」
「ああ。イノリなら大丈夫だろ。ネズミが死んだとしてもまだ他がいるかんな。」
「いやいや・・・。ネズミの心配は・・・。」
「ああああぁぁ・・・だりぃぃぃ〜・・・。」
ぐだあ〜、と机の上で横になっている。だらけまくりだ。
「・・・・・・。ねえ、イノリって子とかヤイバって子とかどんな子なの?ハトセの弟子だったんでしょ?」
「面倒な事聞きやがって・・・。えー、何だ、イノリは妖術使いでヤイバはナイフ使い。以上。」
「妖術使いって、キトウと一緒だよね?」
「んあ。妖術使いってのは、非戦闘員といった方がいいんだよな。だからイノリとミコクじゃ勝負になんねえぞ。・・・キトウがミコクに全く敵わないみたいに。」
「じゃあ確かに心配だね。」
「ま、でもイノリは妖術の腕はいいし、大丈夫だろ。」
「・・・結局、誰の心配もしてないわけか。」
「何を言うか。これでもイノリの事だけはちっとばかし心配してんぞ。」
「他は?」
「だるいからどうでもいい。」
なんて師匠だ。
というか、ハトセに心配されるイノリちゃんが逆に凄い。
「お、そうだ。お前今日ヒソカに会ったか?」
「ヒソカちゃん?会ったけど・・・。」
「で、今そいつはどうしてんだ?」
「ああ・・・それが・・・。」


南家。
「またたびにゃんにゃんまたたびにゃーん♪」
と、鼻歌を歌っているのは大嘘吐きの何でも屋、ヒソカである。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい。」
「にゃ?」
「オメー、何でココにいんだよーー!!」
「にゃーにゃーにゃー。私今、ネコ語しかわかんにゃいから。にゃー☆」
「てんめーーーーーーーーーー!!!!」
「ま、まあまあミルモ・・・。」
「落ち着いて下さいませ・・・。」
この部屋にいるのは、楓、ミルモ、リルム、そして何故かヒソカ。この四人だ。
「でもヒソカちゃん、さっき帰るって・・・。」
「帰ったところで食べるものが何も無いのに気が付いた天才ヒソカちゃんですっ!おまけに一文無し!イエーーーーーーーーイ!!!」
「だからってなんでココにくんだよ!?」
「最近お客さん少ないしさー。やっときた強奪集団の仕事の報酬はまだもらってないしねー。やっぱ前払いにしてもらえば良かったあ〜。絶対お金払ってもらうんだから!!」
「無視かよ!?」
「うるさいなあー。そんなに出て行って欲しいならお金頂戴♪」
「目をキラキラさせんなーーーー!!」
「だからミルモ、落ち着きなって・・・。いいじゃない、少しくらいココにいさせてあげようよ。」
「そうですわ、ミルモ様!」
「ダメだ!!オレは今一人になりたいんだ!」
「どうして?」
「大事な考え事があるんだよ!」
「考え事?なあに?それ。」
「何か悩みがあるなら、このヒソカちゃんに相談してごらん!お金さえくれれば、あの手この手で即解決・・・。」
「何があってもてめえにだけは何にも相談しねえ!!」
「楓様。実はわたくし、先程ミルモ様に、今度魔法幼稚園に遊びに行きましょうとおさそいしたのですが・・・。」
「へえ!それで?」
「どうやらミルモ様は、ツツジ先生に持っていかれるプレゼントのことでお悩みになっているようなのですわ。」
「な、なるほど・・・。」
「だからてめえは帰れ!」
「お金さえくれれば!」
結局、その日ヒソカが妖精界に帰る事はなかったという。



妖精界の幼稚園の名前って魔法幼稚園でしたっけ・・・?思い出せません・・・。


■ こやまる (397回/2009/02/12(Thu) 23:58:49/No1179)
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イブ吉さん、こんばんは☆

いやはや、前回のヒソカに加え、今回のハトセともまた会話が全然成立していませんね(笑)。
イブ吉さんの考えるオリフェは、公式キャラがまともに見えてしまうくらいにみんな性格がねじ曲がっていてすごいです。
そしてどこか裏がありそうな策略的な気配も感じられて、この先のストーリー展開が私はなかなか予想できないでいます(^^;。

そんな風にして一瞬まともに見えたミルモ・・・悩みを抱えているということで強奪集団のことを必死に思い出そうとしているのかと一瞬思いましたが、ツツジ先生へのプレゼントという全然関係ない話題で悩んでいたとは…。
「オレにとっては重大な悩みなんだ」とミルモは言いそうですけど。
結局ミルモの悩みは解決したのかな?
悩んだあげく、ツツジ先生の好物である蒸しパンという定番のプレゼントになりそうな予感。。

>妖精界の幼稚園の名前って魔法幼稚園でしたっけ・・・?思い出せません・・・。
う〜ん、私もはっきりとは思い出せませんが、名前の設定は無かったかも…。
今度アニメDVDを振り返ってみます!

それでは続きを楽しみにお待ちしております。
では!


■ イブ吉 (35回/2009/02/20(Fri) 18:19:29/No1197)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

31、ミコクとキトウ

「ああーーーー!苛々するー!」
妖精界のどこか山奥で、ミコクはそう叫んだ。
「おい、キトウ!てめえ早く何とかしろ!」
と言って、すぐ隣で近くの木を調べているキトウを怒鳴りつけた。
「ちょっと待っててくださいよ・・・。今、イノリさんが仕掛けた呪符を探しているところですから・・・。」
「んなもんほっときゃいいだろ!」
「そういう訳にはいきませんよ。呪符を探しだして妖術をとかないと、僕達はずっとここから移動できないんですから・・・。」
「んあーーっ!妖術ってのはなんで、こう、ややこしいんだよ!あーあーあーあーあーあー、イノリちゃん戻ってこねーかなー。」
「せっかく僕たちから逃げたのに、わざわざ戻ってくるはずないじゃないですか・・・。」
数十分前。
この二人は、敵の一人の妖術使い、イノリを捕まえに来たのだがまんまと上手く逃げられてしまったのである。
そして、この山の奥に逃げ込んだイノリを追ってきたものの、山の中にはイノリが仕掛けた妖術の罠だらけだったわけだ。
「ずっっっと、北に向かって歩いてるってのに、何で同じ場所に戻ってるんだよ!」
「ちなみに、こういった妖術で作られた罠の事を『妖域張り』といいます。その妖域張りを作り出している呪符を見つけないと、僕達がはまった罠から抜けられません。」
「くあぁーーーーっ!そんな細けえ解説求めてねーっつの!いいから早くその、呪符とやらをみつけろよ!」
「それが、なかなか見つからなくてですね・・・。見事に妖力を隠し切ってます。」
「は〜ん、さすがイノリちゃんってわけだなー。あーくそ、予定ではもうイノリちゃんを捕まえてるはずだってのに・・・。」
「けれどミコクさんの天敵は、あのやけにハイテンションな便利屋が足止めしていますし、ナイフ使いの所には、ケムリさんとケムロ君が行ってますし。格闘家と薙刀使いは今、動ける状態ではないようですし、邪魔が入る事はないと思いますよ。」
「いんや、そろそろ便利屋と契約した時間が終わる頃だ。こんなてこずると分かってりゃ、もうちっと時間延ばしたのにな・・・。それに、あのいけ好かねえガキが俺の邪魔をしにこないはずがねえ。」
「はあ・・・。というか、イノリさんと会った時あんなに手を抜かないで、いつも通り容赦なく捕まえればよかったじゃないですか。」
「馬鹿かお前。可愛い女の子を苛めると人気が下がるじゃねーか。」
「何の話かさっぱり分かりませんが・・・。それをいうなら、ミハクさんも可愛い女の子じゃないですか。」
「・・・今の俺はミハクじゃなくてミコクだぞ。」
「え。・・・あ、いや、も、もちろん両方の意味で言った訳でして・・・、・・・あっ!やっと呪符が見つかりましたよ。」
「よっしゃ。んじゃ、さっさと妖域張りとやらをといて、先に進むぞ。」



ミコクとキトウはペアで行動する事が多いと思います。キトウは完全にミコクの尻に敷かれている感じです。


■ ゆり (8回/2009/02/20(Fri) 21:09:33/No1198)

こんばんは、イブ吉さん。
いつも見てます。
理由はネズミが主役だったからww
これからも書くのがんばってください。


■ こやまる (406回/2009/02/24(Tue) 07:53:46/No1205)
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イブ吉さん、ゆりさん、おはようございます☆
見事なまでミコクの尻に敷かれっぱなしのキトウ…。
いちいち緻密で丁寧なキトウを見ているだけでも、正反対の性格と思われるミコクはイライラしそうです。
そんなキトウはメガネをかけていそうなインテリ風の真面目タイプを私はイメージしましたが、実際はどんな妖精なのでしょう?

きっちり仕事をこなしたヒソカの裏では、予定通りにはうまくいかないキトウ&ミコクのコンビ…。
今回のミコクのミスが今後のストーリーに大きく影響しそうですね。
ミコクが「女の子だから」という理由であまりイノリに手を出さなかったところから、イノリはかわいい系キャラなのかな?
続きが楽しみです(^^)。
では!


■ イブ吉 (36回/2009/02/27(Fri) 18:29:04/No1221)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

32、ヤイバ

その頃のヤイバはというと。
「今度はそこかっ!・・・・がっ!?」
右足と右足が、後ろを振り返ったヤイバの背中を思いっきりとび蹴りした。
もちろん、右足が二本ある妖精がいる訳がない。ケムリとケムロ、二人の右足だった。
「ってぇ・・・。」
そのままヤイバは目の前の竹に頭をぶつけて、すぐに後ろを見るが、誰もいない。
ヤイバがケムリとケムロの姿を捉えて攻撃しようとすると、その時には二人ともヤイバの後ろに回りこんでいる・・・、というパターンがあれから四時間ほど繰り返されていた。
当然、ヤイバは完全に疲れきっている。
「あー・・・。何なんだよ・・・。ネズミが前に似たような忍法使ってんのを見た気がすっけど・・・あれとは違うみてーだし・・・。結界もなしでこんなことできる妖術もないだろーし・・・。あいつら、体術しか使ってねーから格闘家とも思うけど、こんな意味不明な拳法なんざ聞いた事ねーしな。」
見ると、ケムリとケムロはヤイバの右斜め前方で構えて立っている。その構えを見ただけではヤイバには二人が何の拳法を使っているのか分からない。
「格闘技なら『カナラ』の領分だろーが・・・。せめてこっちも二人なら何とかなりそうなんだが・・・。・・・、・・・、・・・ん、あ?」
「「どうしました?」」
「ん?いや、なんでもねーよ・・・と、不意打ちでどーだっ!?ぐあっ!」
失敗。
だが。
「「・・・あっぐうぅっ・・・!?」」
何故かケムリとケムロのうめき声まで聞こえてきた。

どさっ。

「むぐ・・・。」「むご・・・。」
「「うむぐぐぅ〜!?」」
二人とも誰かに首の辺りを掴まれてそのまま地面に押し付けられる。
「ふう・・・。助かったぜ、ネズミ。」
「この二人、思ったより力は無いようでござるな。」
「二人で一人分の力ってことだな。」
「「ふご・・・?」」
ケムリとケムロは横目で目を合わせて頭にハテナマークを浮かべた。何故ここにネズミがいるのか理解できないのだろう。
「・・・。」「・・・。」
「「・・・・・・。」」
ケムリとケムロは無言で頷きあうと。
「またけったいな術を・・・。」
「・・・・うわ。」
ケムリとケムリの体が突然透けだしたかと思うと、二人とも煙のように手でつかめなくなる。
「それでは。」「ではでは。」
「「またいつか、会いましょう。」」
そのまま二人は大きく跳躍してどこかに飛び去っていった。
その間、竹を何本も通り抜けながら。
「・・・・・・。・・・あの術、確かに忍術でも術でもなさそうでござるが・・・。」
「つーか、あいつら幽霊なんじゃねーかと思っちまうな、俺は。んで、久しぶりだな。あんま元気じゃねーみてーだけど。」
「・・・お主も人のことは言えないでござろう。」
「これからどこいくんだ?誰かと合流すんのか?」
「イノリの所まででござるよ。恐らくそこにはミコクとキトウがいると思うが・・・。」
「うげぇ〜・・・。マジかよ・・・。・・・まあいいや。とにかくいこーぜ。詳しい事は走ってる時にきかせてくれ・・・。つーか、走りたくねえ・・・。」



ゆりさん、こやまるさん、こんばんわ。
ゆりさんは初めましてですね☆いつも私の小説を見てくれていたとは感激です!これからも頑張りますので、どうかよろしくお願いします。
こやまるさんのキトウのイメージはピッタリだと思います。というか、私はキトウの容姿をあまり考えていなくて・・・(^^;。眼鏡は本当にイメージにピッタリだと思います。


■ こやまる (414回/2009/03/03(Tue) 22:55:06/No1228)
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イブ吉さん、こんばんは☆

忍術でもなく妖術でもない怪しい術を使うケムリとケムロ。
ヒソカが予告していたように、ヤイバは圧倒的に大苦戦ですね。
その割にはネズミはあっさりと二人に勝ちましたが、会得している術に強弱関係とかがあるようにも見えてきます。
(これでヤイバはネズミとおなじ妖精忍者だとヤイバの立場は無いかもですが^^;)
そのヤイバはネズミと仲が良さそうな感じですね。
一匹狼のネズミに声をかける妖精は数少ないと思いますので、そうなるとネズミとヤイバの過去の関係も気になってきます。

対してケムリとケムロ姉弟は、うめき声がかわいい。。
怪しい術を使うけど、見た目は弱々しくてかわいい系なのかな。
思わずアンリとセンリを思い浮かべてしまいます。

それでは続きも楽しみにしていますね。
では!


■ イブ吉 (37回/2009/03/13(Fri) 19:28:19/No1244)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

33、走りながら

ネズミとヤイバは深い山の中を駆けていた。
「んー・・・。成程なー、そういうことかぁ。そんなら急いだ方がいいんじゃね?」
「何度もそう言っている上に、立った今急いでいる真っ最中でござるが・・・。」
「その割にゃー、なーんか速度落ちてきてね?」
と、ヤイバは苦笑する。
「・・・。」
実際その通りだった。二人ともかなり疲労しているのが原因なのは間違いない。
「つーかあの双子、可愛い顔して容赦ねーのな。思いっきり殴られたぞ。」
「まあ、奴らのことは後で考えるとして・・・、とにかく今は急いでイノリのところに行くべきでござろう。」
「で、そこにはミコクとキトウがいるってわけか。いやあ、怖ぇ恐ぇ。ハハ、よくキトウって奴ぁーミコクとコンビ組んでられんな。」
「この状態でミコクとやりあうのは避けておきたいのでござるが・・・。」
「そりゃそうだが・・・無理だとおもうぞ。」
「イノリだけ連れてさっさと退却すれば、何とかは逃げられるような気が・・・、いや、やはり無理があるでござるか。」
「怒鳴りながら追っかけてくるぞ、きっと。」
「目に浮かぶようでござるな。」
「・・・てか、何よりイノリが、今頃奴らに捕まってたらもうどうしようもねーぞ。俺だって馬鹿じゃねーんだから、それくらい分かる。」
「お主が馬鹿ではないという点には同意しかねるが・・・。イノリなら少しの間、妖術で何とか上手く逃げられるはずでござる。」
「はーん?普通に考えれば、根拠なんてどこにもねーが・・・、ま、そこは信頼ってやつか。」
「・・・いい加減走る事に集中しなければ、間に合わなくなるでござるよ。」
「へいへい。」



多分次回からイノリは登場すると思います。


■ こやまる (424回/2009/03/19(Thu) 08:03:52/No1251)
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イブ吉さん、おはようございます☆

今回は走りながらの作戦会議(?)ですね。
これまで割と口が重ためだったネズミが前回に続いてヤイバと普通に会話しているというところを見ると、やはりこの二人は親友のような強い信頼関係にあるようですね。
二人の間に昔どんなことがあったのかも知りたいところです。
知りたいといえば、ヤイバも「かわいい顔して」と言うケムリとケムロですね。
無言で行動することからおとなしそうな二人ですが、アンリやセンリとは違ってどこか不気味なところもありそうな予感がします。
この二人にはぜひ再登場して欲しいです(^^)。
そしてヤイバとネズミが心配するイノリもどんな妖精なんだろう?

それでは次回もよろしくお願いしますね。
では!


■ イブ吉 (38回/2009/04/03(Fri) 18:15:41/No1340)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

34、イノリ

「う、・・・あう・・・う。」
妖精界のどこか山奥。
一人の女の子が木に片手をついて立っている。反対の片手は口元にあててあった。
どうやら具合がが悪いらしい。
「イノリちゃん見ーーーーーーっけ!!」
「ひぁ・・・っ!?」
突然後ろからミコクが女の子に抱きついた。
女の子は、バランスを崩してヨロヨロとその場に座り込んでしまう。
「あんだ?イノリちゃん具合でも悪ぃん?」
「恐らく妖力を使いすぎたのでしょう。」
さらに後ろからやってきたのはキトウだった。急いでミコクを追ってきたらしく少々呼吸が乱れている。
「ここまで逃げてくる間の妖域張りで随分妖力を使ってしまったようですから。そうすると、妖術使いの体調にも影響が出るんですよ。妖術を使うのにも体力が必要ですし。」
「つーかキトウ、来るの遅ぇよ!」
「ミコクさんがいきなり走り出すからじゃないですか・・・。」
「ごちゃごちゃうるせぇ!・・・なーイノリちゃん?」
「ひっっ!?」
二人が言い合っている間にそぉっと逃げようとしているイノリの肩をがしっと掴むミコク。
「ん〜。縄で縛るのはかわいそうだよなあ〜。ま、こんなんじゃもう逃げられないだろーしこのままでいっか!」
「そんなんだからさっきも逃げられたんじゃないですか・・・。何か今日はやけに爪があまいですね・・・。」
「あら、違いますよぅ。コクちゃんさんはお友達に優しいだけです。」
イノリがキョトンとした顔でキトウに言う。
「お、お友達って・・・。そりゃあ二人はハトセさんの弟子の頃から仲が良かったと聞いていますが・・・今は敵同士じゃないですか・・・。」
「かーーーっ!いちいち細けぇ男だなー!?」
「お友達で敵同士ですー。どっちにしろお友達ですよぅ。」
「おっ!イノリちゃん良い事言うじゃん!」
「・・・。」
だんだんこの二人の会話にキトウは疲れを感じ始めていた。



イノリの性格は天然です。ミコクとは昔から仲良しでしたので、敵対してても仲が良い感じです。


■ こやまる (461回/2009/04/06(Mon) 08:02:51/No1348)
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イブ吉さん、おはようございます☆
ちょっと間が開いてしまったので心配でしたが、続きを書き込んでくださってかなりホッとしています〜(^^)。

ついにイノリちゃん登場ですね。
しかも逃げるために体力を使い切ってしまい弱っているイノリちゃん。
ミコクたちに追いつかれて怯えるイノリちゃん。
もう想像するだけでかわいいですね(^^)。

天然なイノリはミコクのことを敵同士になってもお友達と信じて疑わないですが、ミコクの方はイノリに対してどんな風に思っているんだろう?
ミコクのかなり腹黒な性格を考えると、ミコクの策略的な言葉にイノリが騙されるようなケースがいくつかあったのでは?と想像してしまいます(^^;。

ミコクとキトウがこの2人をどうするのか、次回が楽しみです。
それではまた続きをお待ちしていますね!


■ イブ吉 (39回/2009/04/10(Fri) 20:27:09/No1370)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

35、救出劇

「しっかし・・・、あれだな。そろそろだぞ。」
「何がですか?」
しかめっ面のミコクを不思議そうに見るキトウ。
「あのガキがそろそろ邪魔しに来るってことだよ。俺の天敵が俺の邪魔をしにこないはずがねーだろ。」
「ガキって・・・ネズミさんの事ですかぁ?」
具合が悪くてぐったりと木にもたれていたイノリもぱっと顔を上げてミコクを見た。
「・・・よく分かりませんが、なら急いだ方が良いのでは?」
と、キトウが言い終わらないうちにミコクは、
「っの野郎!!なぁにコソコソやってんだあぁぁぁーーーーーーーっっ!!!」
そう叫びながら近くの木の上に突っ込んでいった。
そして木の上から落ちてきたのは、
「ぐぉっ!?」
「あー!ネズミさん!」
ミコクとネズミだった。呆気に取られているキトウの横でイノリが嬉しそうな声をあげた。
「てんめー・・・。その傷で俺んとこまで来るたぁいい度胸じゃねえか・・・。」
「い、一体どうやって気配を・・・。」
などと二人がやっている間にヤイバがキトウとイノリのところまでやってきた。
「つーか、俺もネズミの隣にいたんだが、ミコクの奴・・・俺には目もくれずにネズミを突き落としたぞ・・・。」
「ナ、ナイフ使い・・・。」
と、キトウ。
「あ、ヤイバさんー。」
と、イノリ。
「おー大丈夫かー?何か顔色悪ぃ気がすっけど。」
「妖術の使いすぎですよ。寝れば治ります。」
「ですー♪」
「いや、何でキトウが説明すんだ・・・。」
「おいキトウ!」
向こうからミコクが怒鳴る。
「このガキは俺が片付けっから、お前はヤ、イ・・・バ・・・・・・を・・・・・・・・・。」
「ミ、ミコクさん?」
「あら、私はミハクよ?」
「へっ?」
ケロッとした顔で答える赤ではなく青い長髪の少女。
「ミ、ミハクさん・・・ミコクさんは・・・?」
「やーね〜、キトウ君ったら。もう三時間経ったじゃない。あら、やだ。ごめんなさいね。」
掴んでいたネズミの胸倉をぱっとはなすミハク。
「・・・。」
「さ、帰りましょうか♪」
「か、帰りましょうって・・・。」
「だぁって、私は戦うのは専門じゃないし・・・。」
「でもせっかくのチャンスなんですよ!?」
「また今度頑張ればいいじゃないの。」
ミハクとキトウがゴチャゴチャ言っている間にネズミはそこから離れて、イノリとヤイバのところまでやってきていた。
「いや〜、ラッキーだったな〜。」
そうヤイバがネズミに笑いかける。
「今のうちに行くとするでござるか。」
「むにゃ〜。」
「むにゃ〜って・・・、イノリ寝てるぞ!」
「妖術の使いすぎとキトウは言っていたでござるな・・・。」
「どーすんだよ、起きねえぞ。」
「背負って帰るしかないでござろう。さっさと帰らねば・・・。」
「ハトセさんが文句言うからなぁ・・・、急ごうぜ。あー疲れたー・・・。」
「ったく・・・世話の焼ける・・・。」
ネズミはイノリを背負うとキトウとミハクを置いて山を下り始める。ヤイバもあくびをしながらそのあとに続いた。
「なー、そういやハトセさんのパートナーだった人間ってどんな奴なんだー?」
そんな会話をしながら三人は山を下っていった。



ミコクがネズミに気づいたのは、楓が結木に会いに行くのをあずみが察知するのと同じようなものです。(よく分からん。)


■ こやまる (473回/2009/04/12(Sun) 00:54:05/No1376)
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イブ吉さん、こんばんは☆
美味しい場面でネズミの登場!
そしてミコクの時間切れにより、なんと無傷でイノリを救出…。
時間の経過とともに目まぐるしく変わる戦局がまたすごいです。
そしてみんなぎりぎりのところで勝負しているという緊張感をじっくりと楽しむことが出来ました。

ネズミはミコクにとっての天敵だけあって、気配とは別の何かを察して見事ネズミを見つけだしました。
過去に数え切れないほどの勝負を挑んでいることで、気配を感じなくてもネズミの行動パターンはすべて読み切っているのでしょうね。
もしも恋人同士になったら熱いカップルになれそうなのに…と考えるのはまだ時期は早すぎでしょーか(^^;。

>「なー、そういやハトセさんのパートナーだった人間ってどんな奴なんだー?」
ネズミは面倒がって何も答えなさそう…。
再びアビの周りを中心にストーリーが展開していくのでしょうか?
イノリ救出により、次回は新展開になりそうで楽しみです。

では!


■ イブ吉 (40回/2009/04/17(Fri) 19:54:53/No1389)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

36、帰還

「おかえり〜。」
私が今日の宿題を終えてすぐ、ネズミ達は帰って来た。
みんなぐったりしていて、随分お疲れのようである。
「おお。何か妖精、増えてるね。」
「よっす。」
と、軽くあいさつしてくれたのが、多分、男の子だからヤイバだろう。
じゃあ、ネズミに背負われて寝ているのがイノリちゃんか。可愛らしい顔つきの女の子である。
「てか・・・、何で寝てるの?この子。」
「妖術使いは妖力を使いすぎると、体調を崩し強烈な睡魔に襲われる。ま、起きた頃にゃー、すっかり元気になってんだけどな。」
そう説明してくれたのはハトセだった。
「つーか、あたしに面倒な事説明させんな。キトウじゃねーんだぞ。」
「はあ・・・。」
何も言うまい。ハトセに何を言った所で無駄なのは分かっている。
「・・・おい。」
「ん?何?」
ネズミは自分から呼びかけておいて何も言わず、無言でイノリちゃんを私に預ける。
寝かせておいてくれ、という事らしい。
「もう俺らも寝よーぜ。ハトセさんじゃねーけど、だるくてしょーがねえ。」
「何言ってんだ。お前ら二人はこれから説教だぞ。」
「・・・は?」
ネズミが顔を引きつらせた。
「帰ってくるのが遅い上に、イノリにこんな無理させやがったんだ。当然だろ。」
理不尽だ。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・イノリ!起きろ!」
「そ、そうだ!イノリが説得すればハトセさんも・・・。」
「いや、無理だよ。起きないって。」
イノリちゃん、私の手の上ですやすやと眠っている。可愛いい寝顔で、気持ちよさそうに。
「おら。何やってんだ。さっさと座れ。」
理不尽すぎだ。
結局ハトセの説教は私が寝た後も続き、一体いつまで説教していたのか、私は知らない。



ハトセの説教はほとんど理不尽な理由で始まります。


■ こやまる (480回/2009/04/21(Tue) 07:54:14/No1392)
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イブ吉さん、おはようございます☆

久々のアビ登場…と思いきや、ハトセたちはアビの部屋で、部屋の主とほとんど絡むことなく思うままに行動していますね(^^;。
ハトセの説教もアビが寝た後も続いていたとなると、数時間級の説教だったわけで。。
面倒くさがり屋のハトセでも、ここは説教しないと気が収まらないのか、弟子二人を鍛えたいのか、それとも自身のストレス解消をしているだけなのか・・・?
説教の最中のネズミとヤイバの大人しい態度をついつい想像してしまいます。
結局説教はイノリが目覚めるまで続いたのかな。

次回からまた新たな展開が始まりそうで楽しみです。
では!


■ イブ吉 (41回/2009/04/24(Fri) 19:55:35/No1398)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

37、午前

「う〜・・・・・・・・・・・・・。」
朝だ。
早く起きないといけないのに、何だかだるくて体を起こす気力が湧いてこない。
とか何とか思っていたら。
「おはようございまーすっ♪」
「・・・おはよう。」
び、びっくりした・・・。
私の目を覚ましてくれたのはイノリちゃんだった。
「えーっと・・・イノリちゃんだね。」
「はい!初めましてですよ、亜美ちゃんさん。」
「うん。初めまして。」
というか、亜美ちゃんさんって・・・。
「ネズミとヤイバは?」
「まだ寝てますよ。もうぐっすりです。随分お疲れのようです。」
「まあ、そりゃそうか・・・。ハトセは?」
「ハトセ様はまた妖精界に戻ってると思いますよ。私が起きたときにはもういなかったです。」
「イノリちゃんが起きたのって何時くらい?」
「ええっとですね、四時ちょっと前くらいだったと思います。」
「んー・・・。」
ハトセは眠くないのかな・・・。
「暇でしたー。ネズミさんもヤイバさんも久しぶりに会うのにー・・・。」
「じゃあ、一緒に学校行く?二人ともしばらく起きないだろうし。」
「いえ、遠慮します。二人が起きたら傷の手当てをしなくちゃいけないですから。」
「そっか〜。うん、ネズミもここまでイノリちゃんのこと背負ってきてくれたんだよね。」
「みたいですね。私、ネズミさん大好き!」
「んじゃあ・・・、お留守番、よろしくね。」
「おまかせください!」

まあ、そんな感じで・・・。
通学路で楓に会った。
「あれ?ミルモはいないの?」
「うん。今日はリルムちゃんと一緒に、昔お世話になった幼稚園の先生の所にいってるんだー。」
「ほほう。」
「あ、結木君だ!結木くーん!」


場所は変わって妖精界・・・の、どこか。
「・・・で、どうするんですか?」
と、キトウ。
「んー・・・。二人はどう思う?」
と、ミハク。
「私は」「僕は」
「「皆さんの意見に従います。」」
と、ケムリとケムロ。
「うーん・・・。」
強奪集団のメンバー四人が集結していた。
「やっぱり、残りのハトセさんの弟子を探しましょうか。」
「それしかないわねー・・・。」
「ミハクさん」「ミコクさんの」
「「意見を聞いてみたらどうですか?」」
「そうね、ちょっと待ってて。・・・・・・・・・・・・もー、またミコクは乱暴なんだから・・・。そう・・・え、でも、・・・・。・・・ええ、今度は分散しないように、・・・・・確か、残るは二人、だったかしらね。・・・、・・・、・・・。」
何だかぶつぶつとミハクが独り言を言っているように見えるが、これはもう一人の自分のミコクに語りかけているのである。
「・・・・んー。」
「どうでしたか?」
「『何でもいいからさっさと行け』って。」
「あれだけ話しておいてそれだけですか・・・。」
「うるせえ!」
「わっ!い、いきなり切り替わらないで下さいよ、ミコクさん。」
「ふん!」
「ミコクさん」「キトウさん」
「「早く行きましょうよ」」
「わかってらあ!いくぞ、キトウ!」
「はい・・・。」



この日の午前中の出来事です。次は午後の出来事になります。


■ ゆり (24回/2009/04/26(Sun) 15:44:55/No1404)

ゆりです。
いつもいつも楽しみにしてます。
というか、この掲示板で一番最初に呼んだ小説これなんです。笑
次は午後ですか〜。連載がんばってください!


■ こやまる (484回/2009/04/28(Tue) 15:24:39/No1406)
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イブ吉さん、ゆりさん、こんにちは☆

イノリをめぐっての戦いも一段落し、おだやかな朝が始まりましたね。
(イノリの性格が場を思いっきり和ませているような)
ネズミたちがぐっすり眠っている裏で、強奪集団がまた次なる手を考えているのが不気味ですが、あまり神経質になっていないネズミたちが心配になってくる…。
弟子たちを置いて妖精界へ戻っているハトセの不可解な行動も気になります。

>「みたいですね。私、ネズミさん大好き!」
過去にもネズミがいろいろとイノリを助けていそうですね。
この辺りのエピソードをぜひ誰かが語ってほしいです。
でも性格的にネズミやハトセ自らが語ることはないだろうから、語るとしたらイノリかヤイバになるのかな。

最近は負けの連続のキトウたちがかわいく見えてきたりします。
ケムリ&ケムロとイノリというかわいい系同士の戦いも見てみたいなぁ。
この後の展開を楽しみにしています(^^)。

では!


■ イブ吉 (42回/2009/05/02(Sat) 15:07:36/No1414)

こんにちわ。続きを書かせていただきます。

38、午後

「くぁ〜。久々によく寝た気がすんぜ。」
「気がするというか本当に久々なだけでござろう。」
「二人ともー、いーから怪我したとこ見せてくださいー。」
亜美の部屋にいるヤイバ、ネズミ、イノリの三人。
「ん〜。ネズミさん、右腕が結構まずいのであまり動かさないで下さい。そうすれば時間はかかりますがちゃんと治りますので。他のはわりと大丈夫みたいですね。あ、でも左肩の傷は妖術でやられたのですか?ちょっと待ってください。そーゆうのって妖術でしか治せないですから。」
解説をしながら治療を進めるイノリ。見事な手際の良さだった。
「ヤイバさんは打身ばっかりですね。特に背中がひどいです。思いっきり蹴られたみたいな感じですよ。しばらく痛むと思いますけど、こちらもすぐに治りますね。・・・・・・はぁい、終わりましたぁー。」
ふー、と笑顔で一息。
「・・・何というか、お主も相変わらずでござるな。」
「ふに?」
「いや、何でも。」
「んにしても、朝からいきいきしてんなぁ。」
「もうお昼ですよぅ。」
「うお!?イノリに突っ込まれた!」
「馬鹿か貴様は。」
「くふふー♪二人とも昨日は助けてくれて感謝ですよー。ありがとうございますー。」
「別に感謝するほどのことでもないでござろう。」
「あー、照れてますね。」
「違う。」
「んで?どうするよ、次は。」
「まあ、当然『カナラ』や『ナギナ』と合流することになると思うが・・・。」
「ハトセさんが今会いに行っているのでは?」
「どーせまたすぐこっちに来るんじゃねーの?それまで待ってりゃいーじゃん。」


ここは楓の部屋。
そのころのミルモとリルムはツツジ先生がくれた幼稚園のころのアルバムを見ていた。
「懐かしいなー。」
「そうだねえ〜♪」
「・・・て、お前には関係ねーだろ!」
「にゃっはは〜!」
ちなみにヒソカはまだ楓の部屋に居座っている。
「あ、ミルモ様。集合写真ですわ。」
「おお!皆そろってるぞ!」
「わたくしはミルモ様の隣ですわ!」
「何でヤシチも写ってんだよ・・・。」
「何だとーー!?同じクラスだったのだから当たり前ではないか!!」
「ヤシチさん、いらしてたんですか?」
というわけでヤシチも加わる。
「ペータにビケーにマンボにガビンにムーンにアンナにインチョにライチに・・・て、んお?こいつは・・・。」



この日の午後の出来事はまだあるんですけど、とりあえず一区切りです。


■ こやまる (490回/2009/05/09(Sat) 08:59:12/No1422)
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イブ吉さん、こんにちは☆

ネズミたちは午後になってやっと起きましたか。
イノリの手当も加わって、この休息の一日が二人にとって体力回復の一日になればいいのですけど、それも時間の問題のような気配がしますね。

>「あー、照れてますね。」
このイノリの天然な反応が素晴らしいです。
そしてすかさず「違う。」とツッコミを入れるネズミもまたかわいい!

それにしてもツツジ先生絡みの話に続きがあったとは驚きました。
やってきていたことに気付かれていないヤシチって…(^◇^;)。
昔のアルバムには懐かしい写真に加え、ミルモが転んでいるような振り返りたくない写真も混ざっていそうで、楓の部屋ではさぞかしにぎやかだったに違いない。。
そしてミルモが気がついた「こいつ」とは…?
ミルモの中で引っかかっていた「強奪集団」との関連性が気になります。

それでは次回も楽しみにお待ちしています!!
では!


■ イブ吉 (43回/2009/05/10(Sun) 17:34:00/No1425)

こんにちわ。続きを書かせていただきます。

39、ゴチャゴチャ〜

「おーい。」
楓達と下校中。
ミルモ、リルムちゃん、ヤシチがパタパタとうちわで飛んできた。
「ミルモ、どうしたの?」
「なーアビ。ネズミって今どこにいるんだ?」
「え?ネズミなら家にいると思うけど?」
「ちょっと用があるんだけどよ。」
「んー?じゃあ、一緒に帰ろっか。」

と、いう訳で。

「で・・・一体何の用でござるか・・・。」
「何だその、あからさまに面倒そうな言い草は!」
・・・。
のっけから喧嘩してる・・・。
「あー?何だー?」とヤイバがこっちを向いた。
イノリちゃんも「ふえ?」と、ネズミの影からひょっこり顔を出した。
「ネズミさんのお友達ですか・・・?」
「まあ、そちらお二人は?」
「えーと・・・。」
紹介が必要そうだった。
とりあえず、名前だけでも。
「ヤイバとイノリちゃん。こっちはミルモにヤシチにリルムちゃんです。」
「それだけかよ・・・。」
「ん、ミルモって知ってんぞ。王子なんだろ?」
「ヤイバさんとイノリさんといえば、昨日ヒソカさんが話していましたわ。」
何かゴチャゴチャしてきた・・・。
「ミルモ、用件があったんじゃないの?」
「おお、そうだったぜ!」
と、言ってミルモが取りだしたのは・・・。
「・・・?何ですか、それ。」
「わたくし達が幼稚園の時のアルバムですわ。」
「これを見ててて強奪集団について思い出したことがあんだ。」
「わ〜、皆可愛い〜♪面白〜い♪」
「そっちの写真じゃねえよ!ていうか、面白いってなんだー!こっちだこっち!」
ミルモが指差した写真に写っていたのは園児の女の子である。
「?この子誰?」
「こいつは『ココロ』っつーんだ。」
「幼稚園で同じクラスだったのですわ。」
「明るい奴だったな。」
「こいつがよく強奪集団って言ってたんだよ。」
「・・・はあ?」
「どういう意味なのかさっぱり分からなかったが・・・まるで口癖のようだったな。」
「・・・そんな昔に強奪集団はなかったはずでござるが?」
「ネズミさんー、そんな言い方しちゃだめですー。」
「んなこと言ったって本当なんだから仕方ねーだろ!」
「まあまあ、ミルモ様・・・。」
「つか、そのココロって奴ァ今どこにいんだ?」
「それが分からんのだ。幼稚園の卒園式で見たのが最後でな・・・。」
それはつまり・・・どういうことだろう?
・・・ん、ん?
あれ・・・?
「あれぇ〜?この子・・・。」
「何だよアビ。」
「い、いや・・・。何か・・・私もこの子、どっかで見た気が・・・。」
「いつの事ですか?」
「う〜・・・。いつだったかなぁ・・・。」
「お前とあたしが一緒に暮らしてたころだな。」
「おわああぁぁぁっっ!?ハ、ハトセ!」
どーん、とハトセ登場。
いつからそこにいたんだ・・・。
「あー、ハトセ様ー。」
イノリちゃんが小走りでハトセに駆け寄る。
ハトセはそんなイノリちゃんの頭にポン、と手を置く。
「おー。どうしたイノリ。ネズミにいじめられたか?」
「違いますよぅ。」
「・・・。」
「お。初めて見る奴がいるな。まあいいか。面倒だし。」
「よくねぇよくねぇ。」
「ヤイバうるせえ。」
「・・・。」
わざわざつっこんでくれたヤイバにひどいことを言う。
そういえばリルムちゃんとヤシチは初対面だったか。
紹介紹介。
「えーと、こいつはハトセね。」
「また名前だけか・・・。」
「確か・・・アビ様のパートナーの名前がそうでしたわ。」
「ま、そういう面倒な話は後な。・・・何の話だっけか?」
「だから・・・この写真のココロって子に私が昔会ったていう・・・。」
「おい小僧、ちょいとその写真見してみ。」
「誰が小僧だ!」
「ふうむ・・・。こいつがココロか・・・。あーめんどー。」
「無視すんなよ!」
ミルモ激怒。
「成程なぁ・・・。面倒だなぁ・・・。一体何の縁なんだかなぁ・・・。」
「ハ、ハトセ?」
「さて・・・。どっから話すか・・・。面倒くせー。」
こいつ・・・登場してから何回面倒と言えば気がすむんだ・・・!



いくら話がこんがらがってきたからって、章のタイトルが「ゴチャゴチャ〜」はいくらなんでも・・・。


■ こやまる (495回/2009/05/12(Tue) 07:54:17/No1431)
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イブ吉さん、おはようございます☆

少しずつ謎めいてきたストーリー展開が映画チックでいいですね(^^)。
過去の写真に一緒に写っていた女の子に強奪集団の謎を解く鍵が!?
卒園式以降にアビもハトセ絡みでココロと出会ったことがあるという点からすると、やはり彼女は強奪集団に大きく関わっているのか…というか強奪集団そのものの予感がしてきます。

さてさてアビの家では妖精大集合ですね。
アビを除くと妖精は6人、確かにゴチャゴチャですね(笑)。
しかもハトセの行動がいちいち周りの妖精(特にミルモ)の気を逆撫でしていて、余計ににぎやかでうるさそうな感じがします(^^;。
次回にハトセから語られる(?)ココロと強奪集団の関係が楽しみです。

それでは次回もよろしくお願いしますね。
では!


■ イブ吉 (44回/2009/05/15(Fri) 19:48:33/No1436)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

40、ココロ

「亜美が思い出せないみたいだから、あたしが教えてやろう。」
「偉そうに・・・。」
「まあ、随分と前の事になるんだが・・・。」

回想。

「ハトセー。ただいまーぁ。」
と、ランドセル背負った亜美が自分の部屋のドアを開けた。
「よう。おかえりー。」
ぐでぇ〜・・・と、いつも通りだらけているハトセ。
「・・・・・・・・・・・え?」
その隣に、女の子の妖精が倒れていた。
きゅう〜〜、と目を回して気絶している。
「だ、誰それ!?」
「おいおい・・・。パートナーの名前も忘れたのかよ・・・。ハトセだハトセ。」
「そっちじゃない、そっちじゃ!となりとなり!」
「んー?ああ、こいつか。知らん。面倒だし。」
「知らんはないでしょ!あと面倒は関係ないから!」
現在よりツッコミのテンションが高い亜美。
「知らんもんは知らんよ。何か影からコソコソあたしの事見てたから引きずりだして一発殴ってやっただけだ。ったく・・・。あとで説教してやらねーと・・・。」
「ひどっ!」
「うるせ〜な〜。とりあえずランドセルおろせよ。」
「・・・。」
ちょっと腹が立ったが、とりあえず亜美はハトセに言われたとおり、ランドセルをおろした。
そのとき。
「んぐ〜・・・・・・・・・はっ!」
がばっ!と、女の子が目を覚ました。
「こ、ここはどこ!?わたしはだれ!?」
「あ、起きた。」
「・・・ベタな台詞だな。」
明らかにとぼけている。
「えーと・・・。」
今度は冷や汗をかきながら必死に言い訳を考えていた。
「あー・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「そのー・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・じ、実は!」
お。
ようやく何か思いついたらしい。
「これから見たい番組があるので、わたしはこれにて!」
女の子は逃げていった。
・・・。
えー・・・・・・・。
「ハ、ハトセ。あの子行っちゃったよ・・・。」
「ふむ・・・。ちと困ったな。」
「?」
「あのおなご、これを落としていったぞ。」
「・・・?それは・・・?」

回想終了。

「それ、幼稚園の修了証賞じゃねえか!」
ハトセが取り出したものをみて、ミルモはそう叫んだ。
「ハトセ、まだ持ってたんだ。」
「というか、あたしが持ってたの、忘れてた。」
「・・・あ、そ。」
「ま、こりゃお前さんが持ってたほうが良いだろ。ほれ。」
ぽいっ、とハトセがミルモに修了証書を投げわたした。
「お、おう・・・。」
「ま・・・、それをあいつに返せるかどーかは、微妙なトコだが・・・。なんせ、あいつ・・・。」
「あ?何だ?」

「あいつ、今じゃ強奪集団のリーダーだし。」

平然と、言い切った。
「・・・・・・・・・・。」
「・・・は、はあ?何言ってんだお前?」
「というか、な。今回、あたしがこの賭けを持ちかけたのはそのココロとかいう娘だったからな。この目でしっかり見てんだよ。」
「・・・。」
もう一度ミルモが何か言おうと口を開きかけたが、それより早く後ろでネズミが「というより、」と口を開く。
「拙者達も初めて聞いたのでござるが・・・そんな話。」
「リーダーがいたって事自体知らなかったな・・・。」
「ですー。」
「ちなみに、うちの村を一人で襲ったのもそいつだ。」
三人を無視してまた衝撃の発言。
するとミルモがとうとう我慢できなくなったのか。
「んなわけあるかーーーーーーーーーーーーー!!!」
そう叫んだ。
「んなわけあるんだよ。」
「ねえよ!大体ココロにそんなことできるわけねえだろ!」
「わたくしもココロさんがそんな事するなんて考えられませんわ!」
「あいつはどう考えてもそんな性格ではなかったぞ。」
「そう言われたってなあ。」
「今ココロはどこにいんだ!?」
「さあなぁ。」
「さあなぁじゃねえよ!」
何だかややこしい事になってきた。
と。そこへ。
「パッパカパーーーーーーーン!ヒソカちゃん登場ーーーーーーーーーーー!!!」
「・・・。」
「あれあれあれ?ノーリアクションですカー?あっはっはっはっは!」
何か・・・、余計に話をややこしくしそうな人が出てきた。
「ふっふっふ。こういう時こそ私の出番!待ってましたーー!イエーイ!」
「お前何しに来たんだよ・・・。」
「そのココロって子の事、私が調べてあげましょーう!」
「は?」
ていうか、盗み聞きしてたのか。
「もちろんこれは何でも屋としてのお仕事ですので、キッチリ代金はいただきますがっ。」
「成程。じゃあ頼んだ。」
あっさりと承諾するハトセ。
「ハトセ!?」
「まいどあり〜ぃ♪それじゃ、一日か二日くらいかかりやすんで、ヨロシクー!」
そういうとヒソカちゃんはさっさと行ってしまった。
ハトセは皆の方を振り返って、
「ま、そういう事だ。」
と言った。
・・・どういう事だよ。



ヒソカは面白そうだなーとか思って、こっそりミルモ達の後をつけていました。


■ こやまる (498回/2009/05/15(Fri) 21:37:13/No1437)
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イブ吉さん、こんばんは☆
今週は忙しくて感想遅れ気味でしたが、やっと落ち着きましたので今後はバンバン感想を書いていきますよ。

さて今回はまさに衝撃の事実発表!の瞬間ですね。
強奪集団に関連性がありそうなココロでしたが、まさかリーダーだったとは!
リーダーに捕まったココロは無理矢理強奪集団に加入させられたのかと予想していただけに、ミルモと同じくこれには私もびっくりでした。
そうなると彼女の経歴がもっと知りたくなりますね。
幼稚園を卒園してから彼女の身に何かあったんだろうか?

それにしても回想シーンのアビとハトセのやり取りが面白すぎます(^^)。
ハトセはだらけまくっているくせに、アビの問いかけに対してわざとらしくボケるところがまた・・・やりすぎるほど説教は好きということも合わせて、人に迷惑をかけないと気が済まないタイプなんでしょうか?(どんなタイプだ?)

そしてヒソカ登場のシーン(笑)。
完全に出現するタイミングを間違えていますね(^^;。
ヒソカ以上にハトセの予想外の対応もまた話をややこしくしているような気がする…。
いやはや、続きが予想しにくくなってきましたね。

それでは次回も楽しみにしております!
では!


■ イブ吉 (45回/2009/05/22(Fri) 18:20:06/No1447)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

41、また明日

「で・・・、あと何だっけな・・・。ああ、そうだ。お前ら三人、明日妖精界に行ってもらうからな。」
いきなりハトセは話を変えた。
「一回村に戻って、そこで『ナギナ』と『カナラ』と合流だ。」
「村に戻るんですか?」
「ああ。そう約束しといた。村、と言っても今は誰もいないがな。あ、お前らも行くか?」
くるっとミルモ達の方へ方向転換。
「え、あ?」
「行きたいなら別にいいぞ。」
「おい・・・。そんな多人数で行く必要がどこに・・・。」
ネズミがそう言っているが、ハトセは「あたしの勘が連れてけって言ってる」と返した。
「まあ、ココロの事もあるからな・・・。ちょっくら付き合ってやるぜ。」
「じゃあ、みんなで行ってくるの?」
「お前も行くか?」
「へ?」
「おい小僧、確かお前一応王子だろ。人間を妖精界に連れてけるんだったよな。」
「いい加減小僧って呼ぶのはやめろ!」
「え!人間が妖精界にいけるの?!」
「ああ。この小僧なら出来るはずだ。」
「てめえ・・・。」
ハトセをにらみつけるミルモ。
それを見ながらヤイバが口を開いた。
「それよりよ、ハトセさん。村までは随分と距離があっただろ・・・。」
「あー、ダメですよ。足の怪我はそれほどのものではなかったですが、ネズミさんとヤイバさんはあまり無茶しちゃいけませんー。」
「んなもん気合で治せ。」
「無理だ!」
「じゃ、また明日。」
言うだけ言うと、ハトセはさっさと帰っていく。
「・・・。」
「・・・オレ達ももう帰るぞ。」
「そ、そうですわね。」
「早くあずみの部屋の掃除をしなければ・・・。」
じゃーなー、とミルモ達も帰っていった。
ふう。



次は大勢で妖精界に行く予定です。


■ こやまる (502回/2009/05/23(Sat) 13:05:15/No1452)
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イブ吉さん、こんにちは☆
強奪集団との戦いに、今まで外野にいたミルモやアビ達もついに巻き込まれるようになって、面白くなってきましたね。
巻き込まれた理由もハトセの思いつきというか勘ではありますが、普段はダメ妖精(?)でも相当の実力の持ち主でもあるハトセの勘となるとみんなも逆らえないという感じでしょうか。
大勢で妖精界へ向かうところでこのまとまりの無さが気になりますが、ハトセの考えが移ったのかまぁ何とかなるだろう…という気分になります(笑)。
次回はアビの初妖精界訪問で、アビがどんな反応をするか楽しみです。
では!


■ イブ吉 (46回/2009/06/12(Fri) 19:49:01/No1482)

こんばんわ。続きを書かせていただきます。

42、わらわらと

「うっわー、妖精界ってきれいなトコだねー。なんか可愛いし。」
「・・・おい。やはりどう考えても多人数すぎる気が・・・。」
「うるせえ。面倒くせえ。」
「・・・。」
「つーか何でムルモまで来てんだよ!?」
「ハトセしゃんにお兄たまのお守りを頼まれたんでしゅよ。」
「お守りってなんだー!」
「だれだあいつ。」
「ミルモ様の弟のムルモ様ですわ。」
「かわいい子ですね〜♪」
「見かけにだまされん方がいいぞ・・・。」
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・まとまりないな。
楽しそう(?)だからいいけど。
「んにしても遅くなっちまったな。もしからミコク達とばったり会っちまうかもしんねーぞ。」
「もし会ったとしたらココロの事が聞けんじゃねーか。」
「・・・簡単に聞き出せるとは思わぬが。」
「そーですか?割とあっさり教えてくれるかもですよ?」
「おっそうだ。イノリが聞きゃーミコクも答えてくれんじゃね?」
「・・・どうだか。」
「二人は仲が良かったのか?」
「昔はよく一緒にいたのですー。」
「イノリしゃんは誰とでも仲良くなれそうでしゅからね♪」
「わたくしともすっかり仲良くなりましたわ!」
「お主とは正反対だな。」
「貴様に知ったような口をきかれる筋合いはないでござる。」
「それをいうならミコクとイノリの方が対照的だったような・・・。」
「ねえハトセ。」
「んだよアビ。」
「あとどれくらいでつくの?」
「んあ〜?あと四時間ちっとだな。」
「うええっ?!!」



会話文ばかりで誰が誰だか分からない・・・。


■ こやまる (516回/2009/06/13(Sat) 22:22:50/No1489)
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イブ吉さん、こんばんは☆
気がつけばムルモも増えてすごく大人数になっていますね。
みんなの体型を考えると、一番背の高い妖精化したアビが妖精たちを幼稚園の先生みたいに引率しているようにも見えたりして。

タイトルの「わらわらと」がまさにこの光景にぴったりですね。
セリフの主はセリフの特徴からだいたい誰がしゃべっているのかは分かりました。
いろんな性格のキャラばかりだから、ひとつの話題もなかなか収束せずに発散気味ですね。
目的地までは4時間…アビはその日中に人間界に戻らないといけませんが、果たして時間は大丈夫だろーか?
というかその掟をアビはミルモたちから教えてもらったのかどーか?

それでは次回もまたお願いしますね。
では!


■ ゆり (39回/2009/06/28(Sun) 06:59:01/No1517)

こんにちはイブ吉さん、こやまるさん。
何人居るんだか分からない・・・
ハトセ&ミコクはどんな服なのか気になります。(忍者服だろうけど)
時間があいたらで良いのでオリフェ紹介の検討を。


■ イブ吉 (47回/2009/07/03(Fri) 19:45:52/No1525)

こんばんわ。続きを書かせていただきました。

43、二手に分かれて

「つ、疲れた・・・・・・・。」
目的地にはハトセの言った通り、四時間で着いた。
四時間ぶっ続けで歩いた・・・。
「それで・・・『ナギナ』と『カナラ』はまだ来ていないようでござるな。」
「ふん・・・?遅いな・・・、まあいいか。えーっと・・・んじゃ、二手に分かれよう。」
「は?」
「アビは、ネズミとヤイバとイノリと一緒な。で、お前らはあたしが連れてってやる。」
偉そうに腕をくんでそういうハトセ。
またこいつは訳の分からん事を・・・。
「何でだよ。」
とヤイバ。
「面倒だ。自分で考えろ。」
「無理だ!」
「えー?どうしてですかー?」
「お前らにゃ行ってもらい所があるからな。その間こいつらの面倒はあたしが見ちゃる。」
「・・・どーしてイノリには答えるんだ。」
後ろではミルモが「オメーに面倒見てもらう必要なんかねえよ!」と言った。
「・・・。行ってもらいたい所とは?」
「ほれ。向こうに一軒空き家があったろ?そこだ。」
「空き家?」
「あったか?んなもん。」
「ありましたよぅ。・・・多分。」
・・・。
・・・大丈夫か?
「そこに誰かいるか確かめて来い。」
「誰かって?」
「誰か。」
「・・・。」
「おい、オレ達はどうすんだよ。」
「だからあたしが面倒見てやるって、小僧。」
「いい加減小僧って呼ぶのはやめろ!偉そうに!」
「お兄たまも人のこと言えないでしゅよ。」
「同感だな。」
「んだと!?」
「喧嘩はいけませんわ。ミルモ様。」
そんなミルモ達を見ながらハトセが
「んじゃ、とっとと行って来い。」
と、言うので、とりあえず二手に分かれて歩き出した。
・・・・・・・・・・・・・・・え。
まだ歩くの?



あまりにまとまりがないので二手に分かれました。
というか、いつの間にかオリフェがたくさん・・・。ゆりさん言う通り、今度時間が空いたらオリフェ紹介をしたいと思います。


■ こやまる (532回/2009/07/08(Wed) 23:38:59/No1537)
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イブ吉さん、こんばんは☆
この集団は本当ににぎやかですね。
二手に分かれて一歩前に進むだけでも大騒ぎ…そういうにぎやかなところがミルモでポン!のいいところでもありますものね。

それにしてもハトセの提案はまた前後の脈絡無く急だこと(^^;。
現実的(というかツッコミ派)な考えの持ち主には攻撃力のある行動ばかりなので、この状況に我慢出来るのはもはやイノリだけなのでしょーか。
こういう何を言っても聞かないタイプの妖精が、ミルモの一番苦手のする妖精のような気がしてきます。
二手に分かれた作戦にどんな意味があるのか、果たしてそれは成功するのか、次回を楽しみに待ってますね。

>というか、いつの間にかオリフェがたくさん・・・。ゆりさん言う通り、今度時間が空いたらオリフェ紹介をしたいと思います。
こちらは私からもぜひお願いしたいです〜。
お書きいただいたら、いただきもの小説にも反映していこうかなと思っています。

では!




1324/ 忍者とじゃじゃ馬娘の物語
□投稿者/ ユカナ -2回-(2009/03/31(Tue) 22:46:00)

はじめまして、ユカナです。
ミルモの小説を書きたいとずっと思っていて、恐れ多くも書かせて頂きます。小説はあまり上手く書けないのですが、とりあえず思いつくままに書いていこうと思います。
ネズミとアクミの二人が好きなので、この二人のお話をネタバレしないように書きます。時間軸は適当。ちなみにオリフェアはいません。






『思い出すと』






―ダアク様の命令じゃ仕方ないけど、アタイの足を引張ったら承知しないからね。

―・・・覚えておこう。




そんな感じで出会ったアイツ。
でも、アイツと最後に会ったのって、いつだったっけ・・・。




「はぁ・・・。」

日本から遠く離れたドイツ。その国の中にあるあるひとつの街に住んでいる妖精、アクミは、窓の外をボーッと見つめながら溜息を吐いていた。

「はぁ・・・。」
「どうしたの、アクミ。」

アクミのパートナー、江口沙織は心配そうに声を掛けてきた。アクミと沙織はある出来事がきっかけで、互いにパートナーになる以前からの知り合いだった。本来妖精をパートナーに持たない人間には妖精が見えないので、これは例外中の例外の事だった。そのような事があってアクミは沙織をパートナーに選んだのだが、今ではそんな事情を超えた固い絆が結ばれている。

「なんかさ・・・会いたい時に会えないって、寂しいなぁって思って。」
「・・・そうね。楓たちともなかなか会うことができないしね。」
「でも、あいつらはどこに住んでいるか大体わかるじゃん。どこにいるかもわからないとさ、会おうと思っても会えないなぁ・・・って・・・。」

そこまで言って、アクミは自分が今言ってしまったことに気付いて顔を真っ赤にする。

「あ・・・別に好きな奴とかじゃないからね! 誤解しない・・・」
「べっくしょい!・・・あ、ごめんね。」

そうだった。沙織は未だに恋愛話が苦手なんだっけ。
・・・って!アタイは何でこの話題を恋愛話って決め込んでいるんだよ!アイツのことはそんな対象として見たことなんて無かったはずなのに・・・。
アイツとは、どちらかというと仕方なくペアを組んでいた感じだった。アイツも同じだったと思う。でも、アタイよりも頭は良くて、何だかんだで頼りになって・・・。今思えば、ミルモたちのような友人とは言えないけど、アタイと対等な立場・・・つまり、今でも仲間と呼べる存在はアイツだけだった。


(そうだよ・・・アイツは仲間なんだよ。ただの相棒で・・・でも、どうして今頃何しているのか気になるんだろう・・・。)




「・・・ネズミ。」




まだ呼び慣れていない名前を、アクミは沙織に聞えないようにそっと呟いた。



それがかつて愛した人に抱いた感情と同じ感情であった事に、アクミはまだ自覚していなかった・・・。


■ ユカナ (3回/2009/03/31(Tue) 23:36:51/No1326)


『この気持ちは?』




「ふぅ・・・。今日はよく歩いたでござるな。」

ネズミはすげ傘を取り外し、集めた薪に火を付けてゆっくりと腰を落とした。
月が出ない新月の夜。星の光だけが夜空を占める中、ネズミはふと昔のことを思い出す。

(そういえば・・・あれから随分と時が過ぎたでござるな。)

ある事情により、自分は「ラット」と名乗ってミルモやヤシチたちと対立していた時期があった。ミルモたちがどうなろうと構わなかったが、「ラット」として活動していたこと自体は不本意によるものだった。
しかし仕方なかったとはいえ、その時期はかなり充実した日々だった。少なくともミルモたちと関わるとかならず波乱万丈になり、退屈した試しが無い。

そしてそんな日々の中には、隣にいつもあの娘がいた。独り旅する生活が殆どの自分にとって、身内以外で最も親しいと呼べる、仲間と呼べるあの娘が・・・。

(・・・って、何で拙者はアクミのことを思い出しているのでござるか。あのじゃじゃ馬娘とは、ただ単に命令でつるんでいただけなのに・・・。)

最初に対面した時は、ワルモ団よりかは遥かに有能であったとはいえ、正直ただの五月蝿い娘だとしか思わなかった。それから何度か任務をこなしているうちに、次第に意気投合していった。何だかんだで気が合ったという事だろう。
そしてあの事件が幕を閉じた後、アクミはミルモたちを見ていて人間のパートナーを欲しがっていた。それを指摘してやれば、アクミは顔を真っ赤にして否定していた。相変わらず素直ではないなと、微笑ましく思ったものだ。

その後、ミルモたちに見送られながら、新しいパートナーと共にドイツに旅立ったアクミ・・・。それが、拙者が最後に見たアクミの姿だった。

(あれから一度も会っていないが・・・江口沙織と元気にやっているだろうか。)

そう思うと、何故だか無性に姿を見たくなった。何故そう思えてくるのかは、自分でもよくわからない。そして何故か直接会って話すことには、気がひける。
本当ならあっちから自分に会いに来てくれたらいいのだが・・・残念ながら、それは絶対にあり得ない。アクミは自分の居場所を知らないのだ。だから会うとしたら、どうしてもこちらから行く事になる。

というか・・・どうして自分はアクミに会いたいと思うのだろう?

(まぁ、それは今考えてもわからないでござるね。気が向いたら、昔話でもしにこちらから会いに行くとするか・・・。)



その気が向くのはわりと近い未来であった事、そしてアクミも同じような感情を抱いていたことに、この時のネズミは知る由もなかった・・・。


■ こやまる (456回/2009/04/01(Wed) 12:36:41/No1332)
http://www.murumoya.com/


ユカナさん、こんにちは☆&初めまして!
ムルモ屋本舗の管理人のこやまると申します。
そしてミルモ小説へのチャレンジ、ありがとうございます♪
最近はミルモ小説にチャレンジされる方が増えてきたことで、ミルモ業界もだいぶ盛り上がってきています。
管理人としてもこれはうれしい限り・・・。
よろしければぜひ通常掲示板にもお越しくださいませ(自己紹介も)。

ネズアクラブな小説も早速読ませていただきました。
読んでる方も照れてしまうくらいの両想いが熱いですね。
素直じゃない二人の、否定したくても気持ちだけが先行する様もかわいい!(^^)
特にアクミの想いはかなりのもので、彼女の恋のもやもやが取り払われるのは、ネズミ自らがアクミに会いに来る以外はなさそうです。
(ミルモ→ヤマネ経由でネズミに会うという裏技もありますけど、アクミのプライドがそれをさせないでしょうね)

ネズミの方も、アクミと一緒に行動していた頃の充実感が恋しいのでしょうか。
割とドライな性格のネズミは「アクミは拙者のことなど忘れてしまっているかもしれないでござるが・・・」と多少の不安感も抱いていそうな予感がします。
どのようにしてネズミがアクミに会いに行く決心をするのか興味深いです。

それでは続きを楽しみにお待ちしております。
そして今後ともよろしくお願いしますね!


■ ユカナ (4回/2009/04/02(Thu) 10:35:09/No1333)

こやまるさんへ


掲示版、及びコメントの方をありがとうございます!

何か自分でも一体話をどの方向性に持っていこうかとか、そういった考えがまとまっていませんが、とりあえず色んな方が呼んでも楽しめるような小説を目指していきたいです。

こんな私ですが、どうかこれからもよろしくお願いします。


では、次のレスから小説連載を再開します☆


■ ユカナ (5回/2009/04/02(Thu) 11:47:35/No1334)



『気が向くきっかけ』



「ふー。ミルモの里に来るのも、久しぶりでござるな。」

ネズミは頭に被ったすげ傘を手で上げながら、懐かしそうにその風景を見つめた。今日は久しぶりに実家の方へ帰ろうと思い、その通り道としてミルモの里に来ていた。もっとも、通らずに実家に行く手もある。それでもわざわざ里に寄ったのは・・・。

(・・・アクミは居ないのだろうか。)

わからない。こんな自分が、自分でもわからない。
どうして自分はアクミを探しているのか。どうして姿を見たいと思うのか。だったらドイツに向って会いに行けばいい。場所はミモモショップを使えば大体わかるのだから。だが、自分から直接彼女に会いに行くのは気が引ける。彼女から会いにきてくれれば、とありもしない希望を抱いてしまうくらい・・・。


(拙者はどうしたというのだ。この心のモヤモヤした感じは、一体・・・。)

「ネズミ兄様ー!」

突然、馴染みのある声がどこからともなく聞えてきた。すると建物の屋根から黄色い服を着た妖精が落ちてきて、目の前で着地をした。ネズミの妹ヤマネだ。人間界に住んでいるはずの妹の出現に、ネズミは驚いていた。

「ヤマネ・・・!?」
「はい。ネズミ兄様、お久しゅうございます。実家に戻るとの連絡は私も耳にいれていたのですが、思ったよりも早かったのですね。」
「思ったより早くここに着いたものでな。ヤマネこそ何故妖精界に?」
「ヤシチ兄様たちが日高殿の部屋の掃除で手が離せないので、私が代わりにヤシチ兄様のかりんとうを買いにきたのでございます。」

あの馬鹿・・・!
従兄妹(いとこ)とはいえ、他人(ひと)の妹をパシリに使いおって!
まぁ日高安純の部屋の掃除に、ヤマネを巻き込まなかっただけでも良しとしようか。いや、もしかして今日はたまたまヤマネが巻き込まれなかっただけで、普段は掃除させられているのでは・・・。

「ネズミ兄様?どうなされたのですか。」
「あ・・・いや、何でもないでござる。」

とりあえず今度時間があったら視察に行こう。ネズミはそう心の中で整理をつけた。

「あ、そうでした。ネズミ兄様は実家に戻られてから、また旅に出る予定ですか?」
「あぁ、すぐに出発するつもりだ。」
「行き先とかはもう決めているのですか。」
「人間界に行くのは決めてはいるが、場所までは特には・・・。」
「でしたら、ドイツのアクミ殿のところへ向ってもらえませんか?」
「・・・!」

今現在、心のモヤモヤの大半を占めている人物の名前が出た時、ネズミは内心動揺してしまった。

「・・・どうしてだ?」
「実は先日、アクミ殿が楓殿の家に遊びに来られたのですが、忘れ物をされまして・・・。ですから、各地を旅していらっしゃるネズミ兄様に頼んでもよろしいでしょうか?」

何故よりにもよって今、自分がアクミのところに行かなければならない事態に陥っているのだろうか。確かに会いづらかったアクミに会う口実になるといえばなる。しかし、彼女に対して何だかわからない心のモヤを抱えているこの時に限って、何でこんな事になるのだろうか。しかも・・・

「・・・仕方ない。引き受けるでござるよ。」
「あ、ありがとうございます!」

自分は何だかんだで妹の頼み事に弱いのだ。都合よく事が運ぶこの手順・・・何か仕組まれたものを感じるのは気のせいだろうか。

「アクミ殿が落とされたのは、このロケットです。本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
「いや、気にするでない。」

内心は全く穏やかではないネズミは、上っ面の言葉だけを述べながらロケットを受け取った。

「では、私はこれで失礼させていただきます。」
「あぁ。達者でな、ヤマネ。」
「はい、ネズミ兄様もお元気で。」

ヤマネはお辞儀をすると、素早い動きで立ち去って行った。ネズミはヤマネが立ち去った方向を見つめていたが、やがて手に持ったロケットに目をやり、溜息をついた。

「はぁ・・・。こうなったらヤケクソで、明日までに届けてやるとするか。それにしても、これは本当にアクミのロケットなのでござるか?」

一応確認のため、蓋を開けて中身を見てみる。中には小さな写真が収められていた・・・が。


「これは・・・!」


その写真を見た瞬間、ネズミは時が止まったかのように呆然と立ち竦んでいた。


■ ユカナ (6回/2009/04/03(Fri) 16:01:53/No1339)



ネズミが思っていた通り、それは仕組まれた事だった。






『リルムのおせっかい』




これは、ネズミがミルモの里に戻る前日のこと・・・




「ケツアターック!」
「何の!手裏剣乱れ打ち!」
「兄貴頑張れー!」
「なのらー!」
「こらぁー!暴れるんなら外に行きなさーい!」

(・・・相変わらず騒々しい奴らだな。)

アクミは今日、妖精界でばったり会ったリルムに誘われて、日本にある楓の家に遊びに来ていた。自分が遊びに来るとわかってから、ヤシチとその弟子二人まで遊びに来てくれた。それは正直嬉しかったけど、ミルモたちは今ではお構い無しにこの騒ぎ。つくづく元気な奴らだなと思った。

「もう、ミルモ様ったら。せっかくアクミさんが遊びに来てくださっているのに。」
「全くだね。こんな騒がしい連中と一緒にいると、毎日が忙しくてたまったもんじゃないね。」
「ですが、私はミルモ様と毎日一緒にいさせてもらって、とても充実した日々を送らせて頂いてますよ。」

リルムはほんのり顔を赤くしながら、ヤシチと乱闘しているミルモを見つめたていた。やっぱり好きな人がいると、毎日が新鮮で、新しいんだろうな。アタイだってダアク様がいらした時は毎日ドキドキして、楽しくて、会えなかったらすごく寂しくて・・・。

「やっぱり、会えないってすごく寂しいことだよな・・・。」
「そうですわね。ミルモ様のいない日々というのは、私には考えられないことですわ。アクミさんは、今好きな方がいらっしゃらなくて、寂しいんですか?」

寂しい・・・。そうだ、アタイは寂しいのかもしれない。
ダアク様はもういなくなってしまって、アイツとも妖精界で会ったきり、一度も会っていなくて・・・




「って!何でアイツがいなくて、寂しいって事になるんだよー!。」


アクミの大声で、部屋にいた全員がアクミたちの方を振り向いた・・・が、直後にミルモが魔法でヤシチの尻に鉛筆を刺した事で、注目は再び乱闘の方に向いた。


「まぁ。アクミさんはダアクさん以外に、想いを寄せている相手がいらっしゃるのですね。」
「ち・・・違うっ!アイツとは仲間だったからなだけで・・・!」
「アクミさんの仲間だったお方ですか。じゃあミレンさんではないんですね。」

聞いてない・・・。リルムの奴、完全にひとりの世界に行っちゃったよ。

「ワルモ団の方々の誰かですか?」
「ちっがう!誰があんな間抜けな奴らを好きになるかよっ!」
「では、ラットさん・・・ではなくて、ネズミさんですか?」

アイツの名前が出てきて、アタイは不覚にも言葉に詰ってしまった。それが正解だと判断したのか、リルムは手を組んで顔をパァァと輝かせた。

「ねぇねぇ、二人とも何の話してるの?」
「楓様。実はアクミさ「ア・・・アンタには関係ないよ!」

アクミはリルムの口を塞いで、これ以上よけいな事を言わせないようにした。楓は「ふーん。」と呟くと、再びミルモたちを止めるために怒鳴り出した。

「もう。乱暴は良くないですよ、アクミさん。」
「言っとくけどな、アタイはアイツのことが好きな訳じゃないからな。ただ、仲間として今頃何しているのか気になっただけで・・・。」
「ですが、ネズミさんにお会いできなくて、寂しいのでしょう?その感情というのは、以前ダアクさんに抱いたものと少し似ていませんか?」

言われてみれば、ダアク様の時と似ている。目を閉じれば顔が思い浮かんで、会いたいなって思うようになって・・・。


じゃあ、アタイがアイツに抱くこの感情って、もしかして本当に・・・。




「ヤマネさんに頼んで、ネズミさんに一度お会いしたらどうですか?きっと、自分の気持ちに整理がつくと思いますよ。」
「・・・いいよ。」
「え?」
「別にいいよ。何かアタイからアイツに会うのって恥ずかしいし、それにアイツはアタイの事なんか忘れてるに決まってるよ。」

もういいんだ。アイツとは昔仲間だっただけで、それ以外に何の接点も無い。アタイの気持ちをアイツに押し付けても、迷惑に決まっている。

「ですが、ちゃんとお会いしてみない事には何も・・・!」
「いいんだ!だって・・・自分の一方通行な想いで嫌われるのは、もう嫌なんだよ・・・。」

かつて、本当に好きだった人に裏切られたように・・・。

「アクミさん・・・。」
「アタイ、もう帰るね。邪魔したな。」
「え?アクミちゃん、もう帰っちゃうの?」
「おい、もうちょっと遊んでけよ。」

しかしアクミは楓やミルモの制止にも耳を貸さずに、マグカップの中に入って妖精界へと戻ってしまった。

「何だよ、アクミの奴・・・。」
「リルムちゃん、何かあったの?」
「いえ・・・今はちょっとお話できません。」

リルムはそう言って、ひとり考え込んだ。

ダアクの件で、アクミはまた恋することへの恐怖が心の中に残っていたのだろう。だからこそネズミに対する自分の気持ちを否定し続けた。そしてそれを自覚するようになっても、自分から踏み出すことができなくなってしまったのだ。

リルムはこれは本人の問題として、このまま放っておくべきなのかどうか迷っていた。しかしこれではいつまでたってもアクミは次に進むことができない。
やはりアクミの気持ちを一押しさせるには、ネズミと直接会う以外に方法はない。

(ですが、旅をしていらっしゃるネズミさんをアクミさんのところに行かせる方法なんて、不可能に近いですわ。何か他にいい方法は・・・あら?)

リルムは足元にロケットが転がっていることに気付き、拾い上げる。そして中身を見て、それがアクミの大切な物であったことに気付いた。

(アクミさん・・・。あ、そうですわ!これを使えば、ネズミさんをアクミさんのところに自然に向わせることができるかもしれませんわ!)

「私、ちょっと用事を思い出したので、おいとまさせていただきます。」
「あ、リルムちゃーん!」

リルムも楓の制止を振り切って、窓から飛び出していった。
その後は察しの通り、リルムは桃の家に住むヤマネのところに向かい、偶然にもネズミが明日辺りに帰郷することを知った。



そうしてアクミとネズミを引き合わせるリルムの計画は、事情を説明されたヤマネをまじえて、密かに幕を上げたのだ。


■ こやまる (460回/2009/04/05(Sun) 17:02:21/No1347)
http://www.murumoya.com/


ユカナさん、こんにちは☆

なかなか交わろうとしないアクミとネズミの関係に割って入るリルム。
これはすごく面白くなりそうですね。
ネズアクというとどうしても二人のやり取りばかりに目が行ってしまいますが、アクミの親友でもあるリルムの関わりも十分にあり得そうです。
それが「お節介」という形で絡んでくるのがリルムらしくて本当に面白いです。
ネズミの気持ちも分からないままアクミをネズミに会わせようとする「当たって砕けろ」的なところもまたリルムらしいと言えましょーか(^◇^;)。

協力者となるヤマネも、かつてリルムと恋の相談をしたこともあって、リルムの提案に喜んで協力したことでしょう。
ヤマネ自身も兄のアクミに対する気持ちは全然分からなかったと思いますが、そこはリルムがアクミ→ネズミの愛を誇大に説明したおかげで、これなら大丈夫とヤマネは確信したに違いない(笑)。

妖精たちの行動の裏に細かな性格がうまくミックスされていて、まるでアニメを見ているかのような感覚でとても楽しめました。
次回も楽しみにお待ちしております!
では!


■ ユカナ (7回/2009/04/06(Mon) 17:30:17/No1352)

こやまるさんへ

恋のお節介妖精と言えば、やはりリルムですよね(笑)。
リルムはヤマネとヤシチの時もそうだったので、きっと上手く計画を立ててくれるだろうな・・・と願います。リルムはやらなくて後悔するくらいなら、やって後悔しろみたいな勢いがあるし、そうしながらもそれぞれの気持ちを尊重する辺りが、恋の架け橋役としてピッタリだなと思いました。

ネズミは妹のヤマネが、自分のアクミに対する気持ちに気付いているんじゃないかと疑って、忘れ物を渡しに行くよう仕組まれたのでは無いかと思っていましたが、実際はそうだったような、そうではなかったようなノリに・・・。
あと、こやまるさんの仰る通り、ヤマネは喜んで協力したでしょうね(笑)。

感想をわざわざ書いてくださって、本当にありがとうございます。
では、次から続きを書きます!


■ ユカナ (8回/2009/04/06(Mon) 18:07:11/No1353)




どうでもよかった物が、かけがえの無い思い出の品になる事もある。







『突然の来客』







あれはまだ、アタイがダアク様にお仕えしていた時の事…。



「アクミ、それは一体何なのだ?」

南楓を倒す為に行動を開始する前。ラットはアタイが手に持っていた物が気になるらしく、隣に座って尋ねてきた。

「今妖精界で流行りの小型カメラだよ。自分で自分も撮れるから恋人と撮りたい妖精に人気なんだぜ。だからダアク様と撮ろうと思って、奮発して買ったのさ。」
「ほう、今の妖精界ではそんな物が流行っているのか。」
「…何かオッサン臭い言い方だな。お前一体幾つなのさ。」
「少なくともお前よりかは歳を食っている。あまり大差は無いかもしれないがな。」

そう言われても、顔が見えないから本当なのかどうかわからない。今思えば、アタイはコイツの事をあまりよく知らないよな。

「そうだ。ちゃんと映り具合を確かめたいから、アタイと一緒に試しに映りな。」
「…何で俺がそんな事に付き合わなければならないんだ。他をあたれ。」
「いいじゃん、お前が一番近くにいるんだしさ。ほら、撮るよ。」
「あ、オイ!」

アクミは嫌がるラットを無理矢理引っ張ってくっつき、シャッターを押した。



パシャ



「どんな感じに映ってるかなぁ。」
「…本当に強引な娘だな。」

溜め息をつくラットを他所に、アクミはカメラを操作して写真を二枚取り出した。

「お、結構綺麗に映ってるじゃねぇか。」

アクミはラットに写真の一枚を渡した。ラットが受け取って見た写真には、逃げようとしているラットと、意地悪く笑っているアクミの姿が綺麗に映っていた。


「…俺はいらないぞ、こんな物。」
「あぁ〜、早くダアク様と一緒に撮りたいなぁ〜。」
「聞け!」


この時のアタイは、ダアク様と写真を撮る事しか考えていなかった。

だから、ラットが受け取った写真をどうしていたのか、アタイは知らない。アタイも正直、写真の存在を忘れていた。勿論、本当に撮りたかった人と撮る日が訪れることはなかったけど・・・。



でも、ダアク様が消えて、アタイが沙織と一緒にドイツに行った後、その写真がアタイの道具入れの中から出てきて、懐かしく思えてきて…。

だから、その写真を当時の記念としてロケットの中に閉まった。


アイツはきっと、そんな事は覚えていないだろうけど。でも、今のアタイにとってはアイツとの唯一の思い出の品だった。







だけど…






「ロケットが無いー!」


アクミは叫びながら部屋中を荒していた。そう、その肝心のそのロケットが無くなっていたのだ。


「もう、アクミったら。部屋を荒し過ぎよ。」
「だってロケットが無くなってるんだよ! 沙織、見なかった?」
「うーん…見てないわね。それに、私には小さすぎてわからないわよ。」
「あー…本当にどこいっちゃったんだよー…。」

たまには写真を見ようかなと思った時に、ようやく無くなっていた事に気付いた。部屋中を探しても見つからないなんて、どこかに落としちゃったのかな。でも人間のより小さいから、落としたりしたら見つかる訳ないし…どうしよう。


「大事な物だったの?」
「べ…別にそんなじゃないさ。無かったら無かったで仕方ないよ。」

そう言うけど、きっと沙織にはそうは見えないだろう。アタイもこうも必死に探している訳だし、認めなくないけど、本当は大切なものなんだよね…。




「フフフのフー。相変わらずのじゃじゃ馬っぷりだな、アクミ。」




どうして・・・と思った。どうしてその声が聞えるんだろうって。
だって、アイツは旅に出ていて、アタイと会う機会なんて全然なかった。会う必要もなかったはず。

でも確かにその声は聞えた。窓の方を見てみると、そこにいたのはまだ見慣れない・・・でも、馴染みのある妖精の姿だった。




「ネズミ!」
「おや、拙者の名前を覚えていたでござるか。それは光栄だな。」

相変わらず嫌味の切り返してきた。普段のアタイだったら反論するところだけど、今は何て言ったらわからなくて、気持ちがぐじゃぐじゃになって、言葉が出なかった。

どうして・・・どうしてネズミがこんなところに・・・。


「あら? どこかで会った事があるような妖精ね。」

沙織の声が、停止気味だったアクミの思考回路を正常なものに戻した。
そうだ。アタイだってラットの素顔はあの時の騒ぎで初めて見たわけだし、あの時の沙織はもっと余裕無かったら覚えている訳ないよな。

「コイツはラットだよ。ダアク様の部下で、アタイとコンビ組んで南楓をやっつけようとしていた…。」
「あぁ、あの時よくアクミと一緒にいた覆面の妖精ね。確かに私も世界音楽祭の会場でちょっとだけ素顔を見たことはあるわね。」
「本名はネズミでござる。改めてよろしくな、江口沙織。」

沙織に向ってすげ傘を取り、丁寧にお辞儀をするネズミ。何かアタイの時と態度が違ってムカつく・・・!

「せっかくだからゆっくりしていってね。アクミ、私そろそろ買い物に行くから、お菓子でも出してあげて。」
「拙者は今喉が渇いているので、コーヒーを頼む。」
「全く!人を顎で使いやがって・・・。」

そう文句を言いながら、仕方なく来客の要望に応えるためにコーヒーを入れ始めるアクミ。沙織はそんなアクミを微笑ましく見ながら、アクミが散らかした部屋を多少片付けてから扉のドアノブを手にかける。

「じゃあ行ってくるね、アクミ。」
「あぁ。いってらっしゃい、沙織。」


パタン、と沙織が部屋から出て行った音が聞えてきた途端、アクミはある事に気付いた。


(あれ・・・アタイもしかして、今ネズミと二人きりになっちゃったんじゃ・・・。)




自分が今置かれた状況に気付いたアクミの思考は、再び停止した。


■ こやまる (467回/2009/04/09(Thu) 08:26:01/No1362)
http://www.murumoya.com/


ユカナさん、おはようございます☆

前回ちらっと触れられたロケットにこれほどまでの秘密があったとは!
写真のエピソードもとても素敵ですね。
あのとき何気なく撮った一枚が最高の思い出になるなんて…そんなことを全然予感していないロケットの中のアクミの意地悪そうな笑顔を思わず想像してしまいました。
そして逃げようとしているラットはまさにネズミそのものですね。
そのロケットは今はネズミの元にある・・・2つ前の投稿を振り返ってネズミの反応を再確認するとこれがまた微笑ましいですね。
そういえばヤマネは写真を見ていないのかな?

そしてネズミ登場!
器用なのか不器用なのか、本当の気持ちを隠すために嫌みな態度をとり続けるネズミさん。
久々にアクミに会えた瞬間の本当の気持ちを、後でアクミがネズミに問い詰めて欲しいです(笑)。
問い詰めてもネズミは本当のことは言わないでしょうけど。。
また頭の良いネズミのことだから、うろたえるアクミを見て、アクミの気持ちは本物だと確信したのでしょーか。

>自分が今置かれた状況に気付いたアクミの思考は、再び停止した。
気がついた瞬間、ぼんっと顔が真っ赤になるアクミを想像してしまいました。
コーヒーが危険な味になっていなければいいのですが…(^◇^;)。

それでは次回のドキドキなシーンを楽しみにお待ちしています!
では!


■ ユカナ (9回/2009/04/10(Fri) 20:43:47/No1372)

こんにちは、ユカナです。


(こやまるさんへ)

再び感想ありがとうございます。ヤマネが写真を見たかどうかは、恐らく次の投稿でわかる・・・はずです(汗)。

前回のウブなアクミちゃんたちとは一変して、期待を裏切るシリアスな感じになってしまいましたが、多分ハッピーエンドになると思います(多分・・・)

これからもどうぞ暖かい目で見守ってください。では、次の投稿からどうぞ。


■ ユカナ (10回/2009/04/10(Fri) 20:47:04/No1373)


『すれ違い』



沙織は出掛けてしまい、部屋には突然やってきたネズミと二人きりになってしまったアクミ。彼女の心情は虎に追い詰められた小動物だった。


(ど…どうしよう…。アイツに何て顔向けすればいいんだよ…。何でよりによって沙織は出掛けちゃうんだよ。)

いざ本人に会ってしまうと、動揺して何を言えばいいのか見当もつかなかった。

「アクミー。コーヒーはまだでござるか?」
「う、うるさいな!ちょっと待ってろよ!」
「そうは言っても、手が止まっていてはいつまでたっても淹れられないでござるよ。」
「うっ…!」

どうやら自分の手は止まっていたらしい。ネズミに言われるまでそんな事にも気付かなかったとは不覚だ。慌てて淹れる。

「ほらよ!不味くても文句言うなよ!」

投げやりでカップを渡すと、ネズミはそれを受け取って淡々と飲む。

「成る程・・・泥水よりかは遥かにマシでござるな。」
「それ、絶対褒めてないよな…?」
「おや? これは拙者なりの褒め言葉なのだが。」

これが褒め言葉なんて、どんだけ嫌味な奴なんだよ。

「オイ、ネズミ!」
「ん?何をそんなに怒っているでござるか?」
「別に怒ってないけど…じゃない!何の用でわざわざドイツに来たんだよ!」
「あぁ、そういえばそうだな。拙者はヤマネに頼まれた届け物を、お前に渡しに来たのでござる。」
「は?届け物?」


ヤマネはネズミの妹で面識は無い訳ではない…というかあまり良くない意味ですっかり顔見知りになっていたが、正直自分とはあまり関わりは無いはず。

思い当たらないアクミが首を傾げていると、ネズミは懐から何かの鎖を取り出し、アクミの目の前に見せた。



「そ、それは…!」
「お前の物だと聞いて預かっていたが、間違いないか?」

答える間もなく、アクミはネズミの手からバッと奪う。何故ならそれは、さっきまで部屋中を荒らして探していたロケットだったのだ。

「これアタイのだよ。どこに落ちていたんだ?」
「お前が南楓の家に行った時に落としていった物だと、ヤマネが話していたが…。」
「あ……!」


確かにあの時から無くなっていたような・・・まてよ。アタイはあの時、リルムと言い合いになって慌てて帰ったんだよな。もしその時に落として、リルムがそれを拾って、アタイとネズミを引き合わせる為にわざとヤマネに頼んだとしたら・・・。


(リルムの奴〜!)

ネズミがここに来た理由が全てお節介なあの妖精の仕業であった事に気付いたアクミは、歯を食い縛り、今遠くの国にいるであろう彼女のことを少し恨んだ。


「さっき慌てて何かを探していたようだが・・・そのロケットを探していたのでござるか?」
「別にお前には関係無いだろ。」
「本当にそうなのか?」

それを言われて「うっ・・・」と唸る。何故ならこのロケットの中身の写真は・・・


「お前・・・このロケットの中身は見てないよな?」
「フフフのフー。アクミはどう思うのでござるか?」
「本当に嫌味な奴だな。別にいいよ。見られてても見られてなくても、お前には関係無いしさ。」
「確かに“拙者”には関係ないかもしれないが、“俺”には関係あるだろう?」
「!」

“俺”はラットの時に言う一人称・・・つまり、見られたのだ。必死に探していたロケットの中身が、前にラットと一緒に撮った写真だったのが。
アクミは恥ずかしくて顔を真っ赤にし、ネズミはニヤリと笑みを浮かべた。

「ひ・・・人の物を勝手に見るんじゃねぇよ!」
「本当にお前の物かどうか、確認する必要があったからな。それにしても、試しに撮っただけの物を、よくそんな風に大事にとっておいたものだな。」
「・・・。」

アクミはロケットを開いて写真を見つめた。そこには、ダアクに力を与えられていた時のアクミの姿と、カウボーイのような格好をしているラットが映っている写真が収められている。かつての自分たちの姿だというのに、全くの別人に見えた。

「・・・わざわざありがとな。こんな遠くまで届けに来てくれて。お礼に好きなお菓子でもやるから。」
「言いたい事はそれだけか?」

ネズミの言葉に、アクミは目線を反らした。

違う、本当は言いたい事は沢山ある。でも・・・。


「あぁ、それだけだよ。」

アクミはそう言ってネズミに背を向けた。ネズミの「はぁ・・・」という深い溜め息が聞こえる。

「相変わらず素直ではないでござるな。拙者に会いたかったのなら、素直にそう言えばいいのに。」
「だって・・・お前は別にアタイに会いたかった訳じゃないだろ。」
「・・・何故そう思う?」

少し怒りを滲ませた声に、アクミは一瞬ビクッとする。しかしネズミの方を見て答えようとはしなかった。

それに業を煮やしたのか、ネズミはアクミの肩を掴んで無理矢理自分の方を振り向かせ、彼女の胸元を掴み上げた。


「何故そう思うんだと聞いている!」
「・・・っ!」


剥き出しにされたネズミの怒りに、アクミは怯えたように唇を震わせる。


歯車が狂い始めた二人。果たしてその結末は・・・



.


■ こやまる (475回/2009/04/12(Sun) 18:39:26/No1379)
http://www.murumoya.com/


ユカナさん、こんばんは☆
二人はすぐにいい感じの雰囲気になるのかと思いきや、なかなかすごい展開になってきましたね。
持ち前の嫌みに加え、相手の気持ちを無理矢理聞き出そうとするところはまたネズミらしいのですが、ミルモやヤシチからは反対の意見が飛んできそうです。
とにかく今回はネズミの恋に対する不器用さ(?)がうまいですね。

果たしてこの先の展開は大丈夫なんだろーか?
・・まぁアクミの本物の想いがあれば大丈夫かとは思いますが、アクミの方も乙女チックさと素直じゃない性格の両方を持ち合わせているので、後者が強くなると危なそうですね。
ユカナさんの予告されたハッピーエンドを信じて続きを楽しみにしています。

それとネズミの口から「ヤマネ」という単語を聞いた瞬間の、アクミが必死に推理する描写がいいですね。
ネズミももったいぶってロケットのことを”届け物”と言うところがまた憎い!
アクミの面子を保とうとしているとか主張しそうですけど、ここまで執拗だと本当に嫌みでしかないですよね(^^;。

連載4回達成しましたので「いただきもの小説」へ掲載させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?
お返事をお待ちしております。
それでは次回もまたよろしくお願いします〜。


■ ユカナ (11回/2009/04/13(Mon) 21:15:50/No1382)

こやまるさんへ

恐れ多いことに、もう4回も連載していたんですね・・・(汗)
「いただきもの小説」に掲載してくださるなんて、これ以上光栄なことはありません!
恐縮ですが、是非ともお願いします!

連載もあと2回投稿すれば終ります。多分次はネズミがようやく観念してシメます;
結構嫌味な性格だったネズミでしたけど、ここまで酷かったっけかなぁ〜と、自分でも段々不安になってきたり(殴)。

なるべく早いうちに投稿するように努力します。
本当にありがとうございました。


■ ユカナ (12回/2009/04/13(Mon) 21:19:03/No1383)

「ネズミ兄様たち、上手くいっているでしょうか・・・。」

日本の、妖精たちが密かに多く住んでいるある街の公園。今頃ドイツにいるであろう兄たちの事を思うと、ヤマネはとても心配だった。そんな不安そうなヤマネに、隣にいたリルムは優しく語りかける。


「私たちはやれるだけの事をしました。後はご本人たち次第ですわ。」
「そうですね・・・。ですが、ネズミ兄様はなかなか素直にならない方ですから、アクミ殿と上手く付き合えるのか心配なのでございます。」
「そうですわね。アクミさんもアクミさんで、素直な方ではありませんから。ですが・・・。」
「ですが・・?」
「お互いに素直になれたら、きっとお似合いの二人になりますわ。」

ヤマネは少し驚いたようにリルムを見て、やがて微笑んだ。

「・・・私も、リルム殿からお預かりしたロケットの写真を見ました。ネズミ兄様がアクミ殿に無理矢理撮らされた写真のようでしたけど、私にはお二人共とても楽しそうに見えました。」
「私もですわ。アクミさんの気持ちがちゃんとネズミさんに伝わるように、私たちはここで祈ってましょう。」





遠くても、同じ空の下にいるはずの二人のために・・・。







『素直になったら』








「何故そう思うんだと聞いている!」


始めて見る、本気で怒ったネズミの顔。ラットの時でさえ見たこと無かったから、思わず震えてしまった。

何とか言わなきゃ・・・。リルムが言った通り、思っている事を言わなかったらきっと後悔する。


「だって・・・だって、お前がアタイに会いに来てくれなかったから・・・。」
「・・・!」

少し泣きそうなアクミの声。ネズミは我に帰ったようにハッとし、アクミの胸ぐらをそっと離した。

「だって・・・ミモモショップを使えば、アタイのマグカップの場所なんか一発でわかるだろう? お前は各地を移動してるからわからないし・・・だからお前と会うとしたら、お前が来るのを待っているしかないじゃないか。」
「・・・。」

それはネズミもよくわかっていた。アクミと会うとしたら、自分から彼女に会いに行くしかないと。

「でも・・・アンタは全然来てくれないから、だからアタイの事はどうでもいいのかなって思ってた。ダアク様の時みたいにアタイの一方的な気持ちだけだったら、それこそアンタに迷惑だもん・・・。」
「・・・拙者はダアクではない。」

今までアクミの話を静かに聞いていたネズミは、少し躊躇いながらも口を開いた。

「拙者とダアクは違う。だから会いに行かなかったからといって、拙者がアクミの事はどうでもいいと思っているとは限らない。」
「・・・じゃあ、アタイの事はどう思っていたんだよ?」
「・・・。」

アクミは本当に不安そうだった。こんな時はいつもの嫌味なんか言えない。言ったら彼女を傷付けるだけだ。つまり、今の自分に残された最後の方法は・・・




「・・・アクミがどうしているか、ずっと気になっていた。」




本当の気持ちを、全て話すこと・・・。



「え・・・?」


その言葉を聞いたアクミは驚いたように目を見開く。そんな反応にネズミは恥ずかしそうに目を反らしつつも、続きの言葉を綴っていく。


「お前の事は、ダアクの命令でつるんでいたに過ぎない存在だと思っていた。全てが終わって、お前が江口沙織のパートナーになった後もな。だがそれからひとりで旅をしていると、たまにラットとして行動していた時の事を思い出していた。ヤシチたちと戦って、色んな策略を張り巡らせたりして、隣にはお前がいて・・・。」
「ネズミ・・・。」
「そう思うと、お前に会いたいと思うようになった。だがそう思う自分自身を認めなくなくて、アクミの方から会いに来てくれればいいなと有り得ない事を願い、自分の気持ちから逃げていた。ヤマネが手を差し伸べなかったら、拙者はいつまでもアクミに会いに行こうとしなかっただろう。」
「・・・どうして、否定しようとしたんだ?」
「アクミと同じ理由でござるよ。」


ネズミは優しい笑みを浮かべて、ポケットから写真を取り出した。



「もしかしたら、アクミは拙者の事なんか忘れているかもしれないと思ったりしてな・・・拙者も臆病なのでござるよ。」



それはアクミの持つロケットに収められている写真と、同じ写真だった。

ラットも・・・ネズミも捨てないで持っていてくれたのだ。あの時無理矢理撮らせて渡した、二人の唯一の思い出である写真を。



「・・・馬鹿。アタイと同じ気持ちだったんなら早く話せよな。アタイだって怖かったんだから・・・。好きな奴の気持ちを確かめる事が、すごく怖かったんだから・・・。」
「・・・すまなかったな、アクミ。」






涙が止まらないアクミを、ネズミはそっと、優しく抱き締めた。



.


■ ユカナ (13回/2009/04/14(Tue) 21:14:05/No1385)

『後日談』






―それから1ヶ月後



「まぁ、今遊びに来てくださっているのですわね。どこかお出掛けなさったらいかがですか?」
「何かありましたら、私アクミ殿の味方として相談に乗らせていただきます。」
「私も相談に乗りますわ。」



「おーい。お前ら何してんだ?」

楓の部屋でヤシチ、サスケ、ハンゾーと一緒にババ抜きで遊んでいたミルモが、少し離れたところで誰かと通信しているリルムとヤマネに向かって聞いた。


「アクミさんと、女の子同士でお話をしているのですわ。」
「はて? リルムはともかく、ヤマネはアクミといつの間にか仲が良くなっていたのか?」
「ちょっと色々とありましたのでございます。ですよね、リルム殿。」
「そうですわね。」

女の子二人はそう微笑み合う。何だか含みのある微笑みだった。


「アクミかぁ。前はよくアニキたちにちょっかい出してたよな。」
「今じゃ懐かしいのら〜。」
「へん。アクミなんか俺の敵じゃなかったぜ。俺のケツアタックを受けた時の顔ったら、すげー変形してて面白かったぜ。」
「今思えば、ラットはネズミだったんだよな・・・。あの時、奴の尻にもっと手裏剣をぶっ刺しておくべきだったな。」
「リルムに魔法跳ね返された時の、あのブタのアクミも・・・ウッ・・プププ・・・思い出しただけでもウケるぜ。」
「しかしそう思えば、ラットがフルボッコにされているのを思い出すと、非常に爽快だなぁ〜。」


言いたい事をズバズバ言うミルモとヤシチ。するとリルムが一言。


「お二人共。アクミさんとネズミさんが、今から行くから首を洗って待ってろ、と言ってましたよ。」






―・・・え? 全部聞こえてたの?



―つーか、ネズミもいたの・・・?






「すみませ〜ん。」


頭が真っ白になるミルモとヤシチの前に、ゴミ箱の中からクモモ(人間バージョン)が現れた。トレイにはマグカップが二つ置かれている。


「ゲッ!あれはネズミのマグカップ・・・!」
「おい、クモモ!それいらない!送り返してくれ!」
「すみませ〜ん。」
「すみませ〜ん、じゃない!置いてくなー!」

しかしクモモはマグカップを置いて、ゴミ箱の中に消えていった。そしてマグカップの中からは、ちょっと昔によく対立していた、少し懐かしい知り合いの妖精二人が・・・。


「ミルモ〜!よくもズケズケとアタイの悪口を言ってくれたな〜!」
「ヤシチ・・・今こそお前と拙者の格の違いを見せてやるでござる。」

「・・・ネズミ兄様、かなりご立腹みたいですね。」
「ぎゃああ!何でよりによって、お前ら二人が一緒にいるんだよ!」
「お前に話す事なんてねぇよ!覚悟しな、アクミでポン!」


アクミの魔法で、ミルモたちが持っていたトランプが一斉に襲い掛かってきた。


「イテイテー!」
「オ・・オイラたち何も言ってないぜ〜!」
「痛いのら〜!」


「ヤマネ、口を開けるでござる。」
「はぁ、こうでございますか・・・んぐ?」


ヤマネが大きく開けた口の中に、ネズミはミルク味の飴を投げ入れる。その瞬間、ヤマネの顔はほんのり赤くなり、目はとろ〜んとした目になった。

「ウフフのフー。とっても美味しゅうございます。」
「うげっ!ヤマネを利用するとは卑怯な・・・うぎゃああ!」







「みんなー。沙織から手紙が来てたよ・・・って!?」

外に出ていた楓が帰ってみると、部屋は妖精たちによって手裏剣だの魔法だのが飛び交う危険地帯に様変わりしていた。

「あれ・・・?何でアクミちゃんとネズミがいるの・・・。」
「楓様。ここは危険ですから、一回外に出ましょう。」
「あ・・・そうね、リルムちゃん。」


後でミルモたちに部屋の片付けを押し付けようと思いながら、楓は危険な部屋からリルムと共に抜け出した。そして部屋の前に座り込む。

「ねぇねぇ、何でアクミちゃんたちが来てるの?」
「えっと・・ちょっと色々ありまして・・・。それより、沙織様から手紙が届いたというのは。」
「そうそう。さっきポスト見たら来てたのよ。」

楓は封をきって、沙織から送られてきた手紙を読み始めた。






―親愛なる楓へ―


楓、元気にしてる?
私は勿論元気に過ごしてるわ。桐生先生のところでフルートを吹く毎日だけど、少しずつ上達しているのが自分でも実感できるようになったの。桐生先生も褒めてくれるし、もっともっとフルートと友達になれるように頑張るわ。
それと、最近ネズミ君っていう妖精が頻繁にアクミのところに遊びに来てくれるようになったの。それ以来、ずっと元気がなかったアクミも元気が出たみたい。アクミが心配だったから、本当によかったわ。あ、私が心配していた事はアクミには内緒にしてね。あれでも私に隠していたみたいだし。

私は最後に好きになった人はまだ変わらないけど、アクミを見てるといつか私にも新しい恋が来る日があるのかなって思うの。本当に恋って不思議よね。どんなきっかけ恋するのか、本人たちにも予測が付かないものだからね。
楓も自分の恋を頑張ってね。


―江口沙織―







「もう、沙織ったら。でも、アクミちゃんを見てたらって・・・。」
「まぁ、沙織様もアクミさんの事に気付いていらしたのですね。」
「えぇ!?じゃあアクミちゃんには好きな人がいて、その人はもしかして・・・。」




「くたばれ、ヤシチー!」
「うぎゃああ!」

「相変わらずやるじゃねぇか。アタイもフィニッシュといくよ!」
「油断するなよ、アクミ。」
「わかってるさ。アクミでポン!」
「うぉぉぉ!俺のクモっちょがぁぁ!」

部屋の中から聞こえる様々な歓声。楓が部屋の中を指すと、リルムは「はい」と笑顔で頷いた。


「へぇー。なんかお似合いな二人だね。」
「そうですわね。どんな形であれ、二人一緒にいられる時が、きっと一番幸せな時ですから。」





「てめぇらよくも俺のクモっちょをー!」
「ちっ!ミルモが本気を出してきたか・・・。」
「何言ってんだい。それでこそ倒しがいがあるじゃないか。行くよ!」






部屋の外でアクミの新しい恋の事を微笑ましく語っている二人とは対照的に、扉と壁を隔てた部屋の中では、当人たちが恋愛もへったくれもなく暴れまくっているこの状況。





忍者とじゃじゃ馬娘の物語は、まだ始まったばかり・・・。











(あとがき)

とりあえず書き終わりました・・・が、自分で見返す事もできないくらい恥ずかしい文章になりました・・・。
とりあえずネズミがアクミに対して、直接「好き」と発言しないよなと思いました。これ以上キャラを崩壊させては、ネズミファンの方々に申し訳立たないし(汗)。
最後の後日談は、パートナーの沙織だってアクミの事は心配してて、手紙を通してアクミを祝福したこと(直接言うと、あのくしゃみが出ちゃうし)、そして関係が変わってもネズミとアクミはそのまんまだという事が書きたかっただけです。無駄に長々とした文で申し訳ないです(殴)


■ こやまる (478回/2009/04/14(Tue) 22:20:36/No1387)
http://www.murumoya.com/


ユカナさん、こんばんは☆
いただきもの小説の掲載許可をくださりありがとうございます。
今週は少々忙しいため掲載はもうちょっとだけお待ちくださいませ。

ストーリーはついにクライマックス!
そして涙ながらのアクミの反撃!!
さすがのネズミも、好きな女の子に涙を見せられたら威勢を張り続けるわけにはいかないですからね・・・ネズミの”男”が試される瞬間がじわじわと近づいてきていて、読んでいてすごくドキドキしましたよ。

そして期待通りネズミが男になってくれました!
「好き」と言わない告白もネズミらしくて良いですね。
ネズミの行動を考えると、もう一枚の写真を持っている時点でネズミはアクミに告白する気満々なのですが、そう考えると本当に回りくどいというか、恋に関してはアクミ以上に臆病というか…。
そのうちアクミが「回りくどいことすんなよ」とネズミにツッコミを入れそうです。

…それはさておき、ネズミの優しさに包まれるようにして、涙を流しながらも幸せの絶頂にあるアクミがまたたまらなくいいですね〜(T-T)。
涙もそのうち「またこれからも隣にいられる!」といううれし涙に変わるんでしょうか。
ネズアクはいろんな解釈があるけれど、ユカナさんのネズアクは駆け引きが面白くて、読んでいて気持ちがいいです。
小さな体のくせに絆はめちゃくちゃ大きいという妖精カップルの魅力を再認識させられました(^^)。

それにしても妹ヤマネに心配されるネズミ…。
今回の件にヤマネが絡んでいることについて、頭のいいネズミのことだからそこからヤマネの思いを感じていて、この後ヤマネに会うのを恥ずかしがりそうです。
アクミの方は、沙織にこんな風に思われているなんて全然気がついてもないでしょうね。
ミルモもヤシチも、新たなカップルが誕生したことに気がついていなくて…。
いろいろな思いが交錯する後日談がとても楽しかったです。

連載お疲れさまでした!
ぜひまたネズアク小説や他の妖精のストーリーにもチャレンジしていただけるとうれしいです。
では!


■ ゆり (45回/2009/07/10(Fri) 23:02:19/No1544)

こんばんは、ユカナさん、こやまるさん。
ゆりです!
私は、いただき物小説コーナーで読みました!
ネズミとアクミの表情を想像しっぱなしでした!
すばらしい作品をありがとうございます!
(私が言うことじゃないかな・・・)




1468/ ガイア族vsリルムの激マズチキンレース
□投稿者/ スミレ -1回-(2009/06/06(Sat) 23:43:33)

はじめまして、掲示板の方でも挨拶した者です。
いきなりですが小説に挑戦してみようかなと思います。
この話はタイトル通り(?)キャラクターがぶっ飛んでたり、ギャグだったり
無理の有る展開がかなり多いですが温かい目で見守ってやって下さい。
時間軸は最終回の後のつもりです……。


第1話『間違った刺激』

 妖精界のガイアの里。
 聖なる樹の神殿で五人の妖精が呪文を唱える声が聞こえる。

「ガイアでポン!」

 五人の名前はフィアにアクア、ドンタにウィン、そしてピクモ。
 可愛らしい外見からは想像出来ないが彼らは妖精界の神様ガイア族である。
 それぞれ火、水、土、風、雲を司る神として。
 そして楽器の妖精トプルが作った楽器を、妖精に送り届ける神として生きている。
 
「どうも、今日もお疲れさま」
 彼らより少し大きいトプルが彼らに向かって言った。今日の楽器を送り届ける仕事が終わったのだ。
 妖精界には、今も新たな命が生まれている。
 だが、ガイア族が生まれたのは昔と呼べるのかと言うぐらい昔のこと。
「終了……」
「よぉ〜しっ。終わったよぉ〜」
「今日も終わったね。早く神殿に戻って花壇に水あげないと……」
「にしても、また今日も楽器運ぶ仕事か。
 ダアクみたいなのがまた現れるのは勘弁だけど、何かねーかな」
「ダ〜アクはともかく、ウン年前から続いていた事に今更なにを〜?」
 火の妖精フィアは不機嫌そうに言う。
 風の妖精ウィンが彼の考えに疑問を持つが雲の妖精ピクモがフォロー(?)をする。
「じゃあクイズでもしましょうよぉ。
 私たちが今まで送った楽器で名称的に重複しているのは幾つでしょう?
 もちろん全部が全く同じって言うのは無いから、色や大きさが違う物も含めてよ」
「知るか! そういう問題じゃ無くってだな!!
 オレはあの焼き芋みたいな刺激がまた欲しいんだよおおおおおおおおおお!!!!」
 フィアの頭の炎が燃え上がる。実はこれはよくある事。
 あの焼き芋とは恐らく、何だかんだでミルモがフィアに渡した石焼き芋の事だろう。
 彼の燃え上がった頭から出てきた焼き芋を本人はニコニコ顔で頬張る。
「……うんうん、コレも良い」
「結局どっち」
 土の妖精ドンタが突っ込みを入れる。そんな様子を見つつ水の妖精アクアは呟くように言う。
「まあ、確かに最近は何も無いね。
 この間……人間と妖精の絆が掟を変えちゃったのは本当に驚いたけど」
「今頃、どうしているのかしら〜」
「本当にねぇ〜。また追いかけっこしたいよぉ〜。流石に掃除機は勘弁だけどね〜ぇ」

 そんな会話をしつつ、アクアは五つ有る内の自分の神殿、水の神殿の方を向く。
「僕、そろそろ神殿に戻らなきゃ。さっきも言ったけど花壇の世話が有るんだ」
「ふ〜ん。そうか」
 仕事を終えて普通に神殿に戻る、つもりだった。
 ……有る一人の妖精の声が聞こえるまでは。

「ご機嫌麗しゅう! ガイア族の皆さんは、こちらにいらっしゃいますか!?」

「?」
 五人とトプルが振り返ると見覚えのある妖精の姿があった。
「こんにちは、ですわ」
 ピンクの服に黄緑色の巻き毛。
 手を出せない人間界にダアクが潜んだ時に、力を借りた妖精の一人リルム。
 とりあえず突っ込み所はたくさん有る。最初に口を開いたのはアクア。

「ねぇ、君。……僕たち、君の事呼んだっけ?」
「あの子じゃあないけど、私たち、呼んで無いわよ〜?」
「うん。間違いない」
「……と言うことは、まさかあの洞窟を?」
 トプルが考え込む。ガイアの里へ続く洞窟は、とにかく凶暴な生き物や障害物だらけ。
 ガイア族が呼び出す他に、ガイアの里に来るには洞窟を抜けるしか方法は無い。
「それならどうやってあの洞窟抜けて来たのかなぁ〜?」
「今日はガイア族の皆さんに、お願いがあって来ましたの」
「……はぁ?」
 ウィンの疑問も無視しつつリルムはかしこまり、口を開く。
「ガイア族の皆さん、私の料理の新メニューを食べて下さいな!!」
「ちょっと待てええええ!?」
 フィアは思い切り叫んだ。いきなりこんな事を言われたら誰だってこうなる。

「あらあら?」
「うーん。新境地だな」
「ピクモっ! トプルも何言ってやがる!!」
「……確かに新境地」
「ドンタ、てめぇまで!!」
「そもそもガイア族にって言う意味わぁ〜?」
 フィアはとにかく突っ込みを入れ、アクアは頭に疑問符を浮かべている。
 ウィンが聞いたところ、リルムは再び口を開いた。

「ええ、厚かましいとは思っています。ですが……」
「ですがぁ〜?」
「ミルモ様に認めて貰うべく、皆さんに食べて頂きたいんです!」
「だ・か・らっ! 何故にオレたちなんだああああああああああ!!!」

 フィア、本日三度目の絶叫をする。


___________________________

長くなった故、いきなりぶっ飛んだ展開になりました……。
「」横に人の名前は入れてないですが、区別はつくかどうか……。
今ごおるでんを見返している途中で、
各最終回とかがうろ覚えなので何処か矛盾有るかもしれません。
次回はこれ以上にぶっ飛びますので、申し訳有りません……orz


■ こやまる (512回/2009/06/10(Wed) 07:50:18/No1474)
http://www.murumoya.com/


スミレさん、おはようございます☆
お初の挨拶の後に早速小説投稿も…これはとてもうれしいです。
ぜひスミレさんのミルモ魂を小説で思いっきり表現してくださいませ。
私もストーリー作成のためにアニメを見直さなきゃ…。

さすがはガイア族のファンだけあって、ガイア族のセリフがそれぞれのキャラの特徴も表れていて、まさに完璧!
誰がどのセリフをしゃべっているのかちゃんと分かりますよ。
私的にはフィアの「焼き芋みたいな刺激が欲しい」のセリフがお気に入りです。
フィアならすごく言いそう…って未だに石焼き芋の作り方が分からないんですね〜。
頭から出てきた焼き芋の設定とかウィンの掃除機とかも懐かしいです(^^)。

そして突然現れたリルム(笑)。
いやほんと突然の登場に驚きました。
あの洞窟を抜けてきたというのに平然としているその態度がリルムらしいというか、また超個人的な理由のためにガイア族まで利用しようとは…。
さすがのガイア族もリルムの行動にはびっくりですね。
真面目に驚くガイア族たちの反応がよく描けていてとても面白いです。
さてさて…何となくミルモと性格が似ているフィアが今回のストーリーの犠牲者になってしまうんでしょうか。
次回の展開がすごく楽しみになってきました。
それではこれからも連載をがんばってくださいね。
では!


■ スミレ (2回/2009/06/10(Wed) 23:51:51/No1476)

>こやまるさん
どうもです。お褒めの言葉ありがとうございましたv。
とりあえず口調だけでも彼ららしさを出したかったので、
それぞれ誰だか分かって頂けたようで嬉しいです。
石焼き芋はミルモの魔法で出た物で、フィアの焼き芋は基本自家発電(!?)ですからね。
(そういえば他メンバーの水飴&綿菓子&ソフトクリーム&団子は何処から……)
あれだけ美味しそうに食べてたら恋しくもなるかなと思ったので。
フィアの焼き芋はともかく、ウィンの掃除機は私も見返すまで忘れてました^^;

リルムの出現は私ですら突然過ぎると思います(笑)
リルムちゃんは「オルァオルァ〜!!!」と相手をボコボコにした直後でも
余程の事が無い限り(「リルムの大切な日」のような)
第三者には何事も無かったように普通に振る舞ってるような印象が強いです(どんな印象だ)
ギャグで彼らに通用しそうなキャラで何人か候補を挙げた所、
ミルモの愛の為に走る暴走リルムが一番書きやすいかなと思ったらあんな事に……。

そこまで話数は多くならないとは思いますが、頑張りたいと思います。
それでは。


■ スミレ (3回/2009/06/11(Thu) 01:40:21/No1477)

更にキャラクターのギャグ化が進みます....。
特にリルムがとんでもない事に……。

第2話『犠牲者登場?』

 フィアの絶叫が聖なる樹の神殿近くは愚か、ガイアの里に響きわたる。
 余りの声の大きさにアクアは少し迷惑そうな、トプルは少し呆れたような表情をする。
 だが当のリルムは取り乱したりはしない。
「ええ……。実は……」
 リルムが語ると同時に、ほんわほんわと何かが見えてくる。
「ん? 何か見えてきたぞ」
「これが、漫画で良く有る回想シーンって言うの?」
「なんだか薄い」
「漫画もそうだけど水晶玉で見るのと、どことなく似てるねぇ〜」
「まあ。雲みたいで素敵なワク」
「ところで……君たちは、漫画の事を知っているのかい?」
 トプルが疑問を持つがスルー。ピクモ風だと「気にしないで」と言う所だろう。
 そのままリルムは6人に『回想シーン』を見せる。その詳しい方法は永遠の謎である。

〜〜

 いつものように、黄緑カールの妖精は罪無き笑顔でミルモに話しかける。
『ミルモ様。このチョコバナナ、どうぞお食べになって下さいませ!』
 ミルモの前に出されたおぞましいものことリルムの弁当。
 動いている、動いている。チョコが溶けているとかそういうレベルでは無い。
 『動いている』のだ。
 料理とはここまで自分で動くものなのか。
『ヒィィ!? これがチョコバナナぁ!!?』
『お兄たま、これも愛の為でしゅ。婚約者なら泣いて喜んで食べるべきでしゅよ』
『ムルモてめぇ〜……。喜んでるのは絶対ムルモの方だろ!?』
『さ、どうぞお食べになって!』
『ギャアァア〜!?』
 そのままリルムは、ズイッと弁当をミルモへ押しつける。
 自覚しないのが、彼女の一番の罪であった。
『……くっそ、リルム! 前にも言っただろ!
 てめぇの料理は神様仏様ですら、裸足で逃げ出すぐれぇの激マズなんだよ!』
『!!』
『お兄たま……。そんな事言ったら、あの時の悲劇の再来でしゅよ……』
『せめて神様に料理…いや、食べ物だと認識して貰えるぐれぇにしやがれ!』
 言葉こそ乱暴だが、動いている料理を見ていれば、食べ物だと認めたくない気持ちにもなるだろう。
 自分の大好物を扱われているならば尚更だ。
 目の前にいる、涙を目にためているリルムは自覚していないが。
『うっ……ううっ……。
 ミルモ様の馬鹿あああああぁあああぁああぁああぁぁぁ!!!!!!!!』
『ぶっ!!??』
 拳に秘めた一撃は戦士の物と見ても良いぐらいだった。
『やっぱりでしゅ』
『……分かりましたわ、ミルモ様。神様に認めて貰えばよろしいのですね』
『あっ、リルムしゃ〜ん!』
 リルムは団扇を取り出し、ミルモの元から飛んでいった。

〜〜

「あら。雲が……」
 回想が消えていく。洞窟の件を聞きたくもなったがリルムは締めくくろうとしている。
「……と、言う事ですの……」
「…………」
 どう考えても、リルムの料理を凌ぎたいミルモが適当に言っただけである。
 よく見るとリルムは大きな何かを風呂敷に包んで、背負っていた。
「って、本当に個人的事情にも程が有るじゃねぇか!!」
「まあ落ち着いてフィア……。ちょっと頼めば、なんとかなるかもしれないし」
「ん〜。そういやそう…」
 ガイア族である彼の『頼めば』にどんなニュアンスが込められているのかはさておき。
 アクアの言葉にフィアが納得しかけていた所で、目の前には悲劇の扉が出来ていた。

「へえ、どんな物なんだい? 君にはダアクの件で世話にもなったからね」
「あら。では、トプルさんもよろしければ」
 ニコニコとリルムは大きな風呂敷の中から小さい箱を取り出した。
 大きな風呂敷に幾つかの弁当が入っているらしく、一つを開ける。
「トプルーーーー!!!!!」
 フィア・アクアは絶叫した。ドンタとウィン・ピクモは、そのままその光景を見つめる。
「こ……これかい? お……美味しそうだね……」
 流石のトプルも言葉が詰まっているらしい。
 だがお世辞でもこんな事を言ってしまったのが運の尽きである。
「まあ! それならどうか遠慮なさらずに!!」



 数秒後。ガイア族が唖然とする光景がそこにはあった。
「げぇ……」
「う゛……」
「……」
「ヒョ〜……」
「まあ……」

 結局、トプルはいつも料理の犠牲になっているミルモの如く気絶する。
 一回り大きな妖精だからか、無駄に迫力は有るが。
「うおおおおおお、トプル! お前の命は無駄にはしねぇぇぇぇぇ!!」
「いや、勝手に殺さないであげて」
「女の力は恐ろしい」
「あぁ、それ今回の纏めで良いよぉ〜」
 彼らの漫才を無視し、普通と言うような顔でトプルを見つめるリルム。
「あら、どうかなさいましたの?」
「……やっぱり頼むべきかな……」
「……そうしようぜ……」
 アクアとフィアが小声で呟いた時。
 既に第二の悲劇への扉は開いていたのかもしれない。

______________

リルムちゃんのキャラ崩壊が偉い事になりました…こんなキャラの筈では…。
とりあえず次回で彼らの中からも……と言う事になりますが、
話全体のオチがもう見えそうになっているぞ……orz


■ こやまる (515回/2009/06/12(Fri) 08:05:59/No1481)
http://www.murumoya.com/


スミレさん、おはようございます☆
ギャグストーリーの盛り上げ役としてリルムはまさに適役ですよね。
料理が下手な特徴に加え、今回の回想シーンにもあるような周りが見えないという設定もまた生き生きと描かれていて、読んでいて楽しいです。
ギャグの他にも恋や格闘話でも活躍できるリルムは、まさにオールマイティなキャラと言ってもよいでしょう。
そんなリルムに対してガイア族はどんな対応を取るのか?
思ったことを口にするフィアあたりがはっきりと「こんなもん食えるか!」と言ってしまえばいいのですが、回想シーンを先に見せられたせいでそれも封じられ、ますますリルム主導な展開になってきていて面白いです。

しかしあの頑丈そうなトプルまでもが気絶してしまうなんて。。
確かにトプルの気絶するシーンは「どしーん」という音とともに迫力がありそう。
衝撃の光景を見てもリルムは「あら?気絶するほど美味しかったのでしょうか?」とか言いそうですが、そのリルムに対してガイア族はどんな新たな作戦を取るのでしょう?
世界を救ってもらった時と同じ人に救いを求めるのかな?(^^;
次回予告の「彼らの中からも……」がうまく予想できない私には、まだまだオチは見えていなかったりします。

>リルムちゃんのキャラ崩壊が偉い事になりました…こんなキャラの筈では…。
いえいえ、リルムはこんなキャラです(笑)。
次回以降も崩壊したリルムをたくさん見せてくださいね。

それでは続きを楽しみにお待ちしております!
では!


■ スミレ (4回/2009/06/12(Fri) 20:23:51/No1483)

>こやまるさん
こんばんは、コメントありがとうございます♪

リルムちゃんは恋は勿論、女の子ながら格闘もこなせますからね〜。
と言うか格闘は主要妖精四人中は愚か、登場人物の中でもかなり上なんじゃ……と思うぐらいです。
強引なところも有りますから、書いてる内にギャグでも結構向いてるんじゃ無いかと思えてきました。

料理に関しては、同レベルのアクミもダアクを吹っ飛ばしてたぐらいですからね〜。
彼女らの料理に敵う相手はいないのかもしれません(笑)
食べても拒否しても幸せになれない恐怖の料理の作り手リルム……。
とりあえず3話はある人のせいで作戦どころじゃなくなると思いますw

リルムちゃん、これくらいでも大丈夫ですか!(笑)
なら、もうちょっと冒険してみようか……と考えていたり(おい)
よろしければ後数話、お付き合い下さい♪
それでは。


■ スミレ (5回/2009/06/12(Fri) 23:51:56/No1485)

第3話『余計なことを』

 しばらくトプルを見つめていたリルムだが、
「分かりましたわ。箱一つ分食べて頂いたと言う事は、トプルさんには認めて貰えたと言う事ですわね!」
 何故か曲がった方向に解釈をし、ルンルンと笑顔になってしまう。
 食べて貰えればその後は全く考慮しない女・リルム。
 (しかも食べて貰えると言っても自分から無理矢理食べさせる)
 彼女にいつも料理を勧められるミルモに、五人は少しだけ同情した。

「ガイア族の皆さん。先ほども仰ったように、どうかお願いします!」
 改めて振り返るリルムに、ウィンから返事をした。
「で、でもトプルに食べて貰ったならもう良いんじゃ無いかなぁ?」
「フン、そうだそうだ」
「しかしミルモ様は食べ物と認めて貰えと……」
 不安そうな表情のリルムを見て、アクア達はチャンスだと言うように口を開く。
「少なくとも口に入って飲み込める時点で食べ物じゃ無い? 飲み込める時点で」
「食べる物と書いて食べ物。と言ってもただ『る』を抜いただけ……」
 微妙に残酷な事を言っているアクアにドンタが付け足す。

「そうですの? では、このスイートポテトは認めて頂けますか!?」

 ずいっと突き出す箱。中には何かがウネウネと音を立てて動いている。
 その言葉に疑問を持ったのはフィアだった。
「はん? スイートポテト?」
「芋を使ったお菓子よ。
 綿菓子ほどじゃ無いけれど、ふんわりしているって言われているの」
 ピクモの説明通りなら、リルムの「スイートポテト」が原型を留めていない事は間違いない。
「ふぬぬ……」
「ん〜?」
 フィアの様子がおかしいと、ウィンが思った瞬間いつものように彼の頭が燃え盛る。
「馬っ鹿もおおおおおおおおおおおおおおん!!!」
「ええっ!?」
 いきなり叫んでくる戸惑うリルムだが、彼は続けた。
「芋は焼き芋に使ってこそだろうがあああああああああああ!!!」
「フィ、フィア!?」
 突っ込む所はそこなの?、とアクアは突っ込みたかったがそんな空気ではない。

「百歩譲ってスイートなんとかだとしても、それを芋だなんて芋を舐めてんのかああああ!!」
「はぁ……」
 アクアのため息には二つの意味が込められていた。
 一つは、焼き芋云々以外の突っ込みも出来たんだと言う安心の意味。
 もう一つは、あーあ正直に言っちゃったねと言う諦めの意味。
 リルムはフィアの勢いに押され、しばらくは呆然としていたが。

「そんな! 私はお菓子、芋を舐めているなどいませんわ!
 好きな方を思って作ったと言う気持ちなら、誰にも負けていません!」
「気持ちを込めて作ったんなら、あんなのになるか!
 焼きい……芋への気持ちが詰まってるなら、もっと芋らしくフカフカしている筈だ!!」
「良く見て下さい! フカフカしているでは無いですか!!!」
「何処がだあああっ!!! お前の目は節穴かあああああああ!!!!」
「そちらこそ、目なのかどうか分からない目をしている方に目が云々と言われたくありませんわ!!!!!」
「オレを馬鹿にしたなぁぁぁ!! 頭も含めて生まれつきだあああ!!!!!!」
「それを申すなら私のこの黄緑の髪も私の目も生まれつきって事ですわね!!」
「だからそういう目にした神様を恨むんだな!!!」
「あなたが神様なのでは有りませんか!!!!????」

 とりあえず、意識の有る他の四人は言い争いの光景をただ見つめるだけ。
「……何だか、関係ない話になってない?」
「と言うか、いつの間にシュークリームの話になってるのかなぁ?」
「気にしないであげましょう」
「……」

 そう言い争っている間にフィアに固い石が投げつけられる。
「……ってえな、ドンタかよ!」
「早く終わらせて」
「……ったく」
「お待ち下さい! ……こうまで言われては私、引き下がれませんわ!!」
「あぁ〜。それを言うんならオレだってそうだ」
「こうなったら意地でも、食べて頂きます!」
「ならガイア族であるオレたち全員捕まえて、お前から食べさせてみるんだな!
 本当に芋に気持ちを込めてんなら、そんな試練ぐらい芋の為にやってのけろ!!」
「ええ! 望むところです。その試練、受けて立ちますわ!!」
 リルムとフィアの間に、炎が燃え盛る。

「……え?」
 最初に、この状況に疑問を持ったのはアクア。

「フィア? もしもーし?」
「……はっ!」
 ようやくフィアも状況を把握したらしいが、既に遅かった。
「芋の為に熱くなりすぎちゃったみたいだねぇ〜」
「余計なこと……」
 恨めしそうに見つめてくるアクアに、フィアはただ暴れるだけ。
「あ、あんなのが芋だなんて許せねーんだよ!!」
「それはそうとしても、相手に乗っちゃう?」
「ぬ〜〜……」

 だが遅かった物は遅かった。目の前にはリルムが風呂敷を背負い鋭い目つきで向かってくる。
 団扇で飛びながら。
「ミルモ様、待っていて下さいませえええええ!!!!」
 
「もう、話が滅茶苦茶な程にズレてる〜……」
 そうアクアが言う中で、何故か五人はガイアの里を走っている状態にある。
「捕まえて貰う側としては瞬間移動は『びがく』に反するんだよねぇ〜」
「ウィンのそんな個人的な理由の為……?」
「気にしないでおきましょう」

 そう言っている間に、水の神殿が見えて来た。
「!」
 リルム乱入で忘れてしまっていたものの、アクアは花壇に水をやる事を思い出した。
「早く水やらないと、花たちが暴走しちゃうな……」
 アクアが自分の花壇を心配し、裏庭の方へ行こうとしていた時には。
「え?」
 気がつくと他の四人の姿は無く目の前には、箱を一つ手に持っているリルムの姿があった。

_____________

いや、今回の話の飛びっぷりは異常です。
アクアの言うように、無茶苦茶に話がズレてますね〜。
フィアは、(焼き)芋に対する愛情>>>>その他のようなイメージによってこんな事に……。

7/2 誤字修正


■ こやまる (519回/2009/06/15(Mon) 21:17:43/No1492)
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スミレさん、こんばんは☆
今回もまたリルムの勘違い…というか、自分の都合の良いように勝手に解釈する様が生き生きと描かれていて迫力満点です(笑)。
いつものミルモがそうするように、恐怖の料理の犠牲にならない限りリルムの暴走は続くのだろーか?
それとも妖精界の神様にもまだまだ秘策が残されているのかどーか。
私が同じ立場なら「自分でまず食べてみろ」と真っ正面から言いたいところですが、「いいえ、ぜひ皆さんに食べていただきたいのですわ」とか言ってリルムは少しも聞き入れてくれないでしょうね。

前回私は思いっきり勘違いをしていましたが、今回からガイア族5人の中から一人ずつ犠牲者が生まれていくのですね。
まさに犯人が最初から明かされている連続殺人ミステリー。
最初の犠牲者はあの優しいアクアが・・・推理物で犯人に殺される直前のシーンにも見えてぞくぞくしてきます。

さて今回はフィアとリルムのやり取りがとても素晴らしいです。
こんなにも強引なリルムを見ると、フィアがマトモキャラに見えてくるから不思議(笑)。
言い争いの相手がミルモだったら、リルムは頭に血が上って暴力行為に出そうなものを、今回はさすがに誇り高き神様が相手なので、リルムも大人の議論をしようとしているのでしょうか。
(もはや会話のキャッチボールも出来ていないけれど^^)

次回はアクアがやはり犠牲になってしまうのかなぁ。
これ以上の犠牲者が出ないようガイア族には恐怖の料理から最後まで逃げ回って欲しいですが…。
それでは次回も楽しみにしていますね。
では!


■ スミレ (6回/2009/06/15(Mon) 22:46:48/No1494)

こやまるさん、コメントありがとうございます。

リルムちゃんの暴走はどこまでも続くような気がします……。
自分で食えと言ったらこの話は成立しません(おい)
尤も、例え言ってもこやまるさんの方のような答えが返ってきそうですけど(^^;)

犯人に殺されるシーン、まあミルモやヤシチが気絶するレベルなんで
死にやしないでしょうが、間違ってないとも言えません(笑)

リルムちゃんを余りにも強引なキャラにしてしまったので
芋バカフィアもマトモに見えてきますね……。
リルムもフィアも立場や性別の都合上、キャッチボールは出来てませんが
【比較的】(強調)大人な議論はしています。
(フィアは某回ではヤシチに思い切り蹴り食らわせてましたし)
それでどっちかがもう少し譲れば良いのに……。もっと言えば平和の為にリルムが。

ギャグとは言えガイア族もただでは終わらないとは思いますが……この辺りはこれからで。
それでは♪


■ スミレ (7回/2009/06/19(Fri) 23:37:54/No1500)

第4話『花すらも分かってる』

「フィ……」
 アクアは半分無駄と分かりつつも。
 フィア・ドンタ・ウィン・ピクモの名を呼ぼうとしたが彼らの姿はもう見えない。
 代わりに目の前にいるのは、花壇と、原型を留めていないスイートポテトが入った箱を持ったリルムだけ。

「試練の通り、お一人確保ですわ!!」
「で、でも僕は花壇の水やりがあるし……」
「まあ。ではお菓子で元気になられてから水やりをして下さいませ!」
「うっ……」
 せめて終わらせてからにしてくれないかなと言いたくなる。
 だが彼女のキャラを考えると、それも通用しなさそうだった。
 仮に待って貰えてもその後は問答無用で押し込まれるに違いない。
 箱のスイートポテトらしき物はただ動いているだけでなく、紫色の湯気まで出している。
「お願いしますわ!」
「……」
 アクアが言葉を詰まらせた時だった。後方から、何か声が聞こえてくる。
「キャァァァァァ……」
「え?」
 弱々しい声が聞こえてきた方にアクアが振り返ると、思わず絶叫したくなる光景がそこにあった。

「あああああ!? 僕の花たちがあぁぁあ!!!」
「あら。お花さんたち、どうかなさいましたの?」
 水が無いことに怒ったのか、花壇から這い上がって来た花たち。
 だが凶暴な花たちは目をバツ印にして倒れている。
 原因はどう考えても、スイートポテト(リルム曰く)から放たれた異臭だろう。
 花すらも直ぐに気絶する程の異臭を持つスイートポテトらしきものに改めて引く。
 ー不味い、流石にこのままでは花たちが本当に駄目になってしまう。
 特殊な花故にまだ生きているとは言え、それも長続きしないだろう。
 自分にとっては可愛い花たちを何とかしなければならない。
 でも目の前には動くお菓子の魔の手が出てくる、どうにかしなくてはと思っていると……
「じ、じゃあ! 君が僕の花たちに水をあげて元気付けてくれたら、食べてみるよ」
 勢いで口が動く。
 (ガイア族であるアクアにとって)少しだけ前の時、別の妖精にそんな頼み事をしたような気もするが状況は流石に違った。
 リルムは少しだけ間を開けてから、
「分かりましたわ! それも試練と言うものならば!」
 そんな事を言うものだから、アクアもつられる。
「う、うん……頑張ってね。神殿の水なら、多分直ると思うから……」
「はい!」
 リルムは神殿の水が入ったジョウロを手に取り、顔はいつもの鬼のような表情になった。


 数分後。
「はあ、はあ……。これでよろしいでしょうか?」
「まさか本当にやっちゃうなんてね……」
 とにかく彼女のジョウロ裁きは色々な意味で凄かった。
 あの顔で大量の水投入は、元気に『した』と言うよりも元気に『させた』と言うべきかも知れない。
 花たちですらも、リルムの恐ろしさが分かってしまったのかも知れないと思う程だった。
 とりあえず花たちは花壇に戻ってくれたので結果的にはOKと言うことになる。
「約束は守らないとね……」
 リルムがああして、リルムが戻したのだからプラスマイナス0のような気もする。
 だが半ば勢いとは言え、自分で言った以上は流石に守らないといけない。
「確かに動きは怒ってる時の花壇に近いんだけど……」
「?」
 ニコニコするリルムを相手にアクアはため息をつくしか無かった。
「勢いで言っちゃう気持ちは少し分かった気もするよ、でも……。
 ……恨むよ、フィア……」
 そう呟いてスイートポテト(?)を手に取った。

 数秒後の水の神殿内で立っているのはリルムだけだった。
「後四人ですわね……。
 特にフィアさんには意地でも食べて頂かなくては!!」
 リルムは、再び箱を風呂敷に包んで背負い団扇を取り出す。
 髪と帽子の噴水だけがプルプルと動いているものの、本体は気絶しているアクアを置いて。
 リルムは水の神殿から、飛び立った。

ー同時刻、ミルモの里のとある妖精の小さな家にて。

 キュッキュッ、サー……
「あれ……? 蛇口から水が少ししか出ない……。
 このまま水が無くなって、僕たち水分が取れなくて生きて行けなくなるんだ……ガビ〜ン……」

_______________

案外あっさり脱落したアクアです。(他の四人+一人ほどネタが思いつかなかった作者のせい)
アクアはガイア族の中では【比較的】(強調)良心のイメージが有りますが、
ナンダカワカンナイノ騒動や何処か可愛い顔してひどい所(ミルモ談)も有ったりと
イメージが場所によってばらけるので、ドンタの次に動かしにくいキャラでもあります……。
リルムのジョウロ裁きとやらがどんな物だったかはご想像にお任せしm(蹴)


■ こやまる (523回/2009/06/23(Tue) 11:10:40/No1507)
http://www.murumoya.com/


スミレさん、こんにちは☆

あぁぁ、あの優しそうなアクアがついにリルムの料理の餌食に。
アクアが実際に食べたときのシーンもなんとなく想像できますね。
一口食べて「おいしいけどおなか一杯」と言って食べるのを中断しようとしたけれど、リルムの「全部食べてくださいませ」な視線からは逃れることができず、結局一人分を全部食べてしまって気絶してしまったと想像。
気絶したアクアを見て、リルムは「気絶されるほど味わっていただけるなんて!」とか思ったに違いない!
アクアもリルムのこれ以上の暴走を恐れて、「不味い」の一言は我慢したのでしょうね。

今回もリルムの暴走っぷりがすごいというか、もはや悪魔ですね(^^;。
(バックミュージックにはわんだほうでリルムの料理が登場したときの曲が流れ続けていそう)
「後四人ですわね……。」のセリフがまるで連続殺人犯みたいで恐ろしいです。
リルムの暴走を止めるには全員が犠牲になるしかないのか・・それとも?
私としてはアクアだけで終わらず、これからも犠牲になっていくガイア族を見てみたいです。

今回は料理から放たれた異臭で気絶する花たちの描写に迫力があってすごいです。
今後の犠牲者もいろんな特徴を持っているので、それがリルムの料理とどうシンクロするのかも楽しみですね。
そしてこんな生き物みたいな料理を食べて、被害に慣れたミルモはともかく、初心者のガイア族は果たして立ち直れるのでしょーか?

さてさて4話達成しましたので、「いただきもの小説」に掲載させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?
ぜひお返事をお待ちしています(^^)。
そして続きも迫力のあるやつをまたお願いしますね!
では!


■ スミレ (8回/2009/06/23(Tue) 18:12:31/No1509)

こやまるさん、こんにちは☆ コメントありがとうございます。

ついにガイア族五人の中での最初の犠牲者が登場です。
アクアはガイア族では【比較(ry 場の空気が読める子と言うイメージなので
仮に一口食べて耐えられても、リルムに押される運命になるんだろうなぁ……と思います。
(え? そもそもこんな運命に無理矢理させたのは誰かって?)

ええ、リルムがもはや悪魔と言うか魔人と言うか(^^;)
実を言うとこの話にも原型と言うものがあって(ただこの第4話の時点で既に原型を留めていません)
元々この役はピクモだったんですが、リルムにした途端予定以上に暴走してしまいました……。
上記にある通りギャグで彼らに通用しそうと言ってもやり過ぎたなぁ…。
本当は恋に一生懸命なリルムも大好きなんですが……。
この話を完結させた後でネタが出ればミルリルのドシリアスでも書きたいなぁ……。
あくまでネタが出ればですが。

ちなみに次回はちょっと料理と反れた方向になります〜。
次回のターゲットがタイトル的には一番捕まりにくそうな人なので。
それでもリルムちゃんの特徴だけは出そうと考えてます。
恐怖の料理にガイア族は立ち直れるのか、その辺りはまた後々で。

>「いただきもの小説」
こちらはOKです〜。
かなり暴走している話なのでむしろこちらが良いのですかと聞きたいぐらいです(笑)
一話一話の長さがかなりバラケてる気もしますがそれは気にしない方向で……。
それでは♪


■ スミレ (9回/2009/06/23(Tue) 19:55:35/No1510)

今回は無意味に不気味です。

第5話『風と魔法と化け物と』

 他の四人は同じ神として分かるのか、とりあえずアクアがやられた事は察した。
 察したと言っている内にも黄緑色のカールはガイアの里の地に砂埃を発生させまくりつつも走って来る。 

「ヒョヒョ〜。風の妖精として、ここまで追ってくれればやる気が出るってものだねぇ」
 陽気なウィンだが今回は久々の『追いかけっこ』だからかいつも以上に声を弾ませている。
「ウィン。お前なんか楽しんでねーか?」
「まあ、楽しめるなら良いんじゃないかしら」
「そもそも、これの原因は誰……」
「うぐっ……」
 ドンタに言われるも、返す言葉が無い。
 フィアも芋好きとしての誇りの為にも譲る事はしたくは無いのだが返す言葉は無い。
「……よ〜し。ヒュ〜!」
 そんな事を言いつつ走っていると、何を思ったかウィンは逆方向に向かって飛んで行く。
 逆方向、すなわちリルムの居る方向。
「おい! 一体何を……!?」
 フィアが振り向き、そのおかしな行動に突っ込みを入れようとした時の事だった。

「捕まえるって言うのなら、ボクの所までおいで〜。ヒュウ〜」
「……!! では、行かせて頂きますわよ!!!」
 ウィンは挑発的に何回かクルクルと回った後で風の神殿の方へと飛んでいく。
 それを見、聞いてあっさりとリルムもウィンを追うべく方向転換し走り出した。
 残った三人は思わず、今まで走っていた地にキキッと音を立てつつ止まってしまう。

「……挑発に釣られた」
「って言うか何でわざわざあんなのに向かってくんだよ、ウィンは……」
「楽しそうだから良いんじゃないかしら」
 三人が見た限り、分散とかそんな事は考えていないらしい。
 恐らく『素』でリルムと『追いかけっこ』をしようとでも思っているのだろう。
 料理の恐怖がちらついているのを忘れているのだろうか。
 どっちにしろ今回の騒動の発端として人の事は言えないが、馬鹿かコイツはとフィアは少し思う。
「ところで私たちはどうしましょう?」
「さあ?」
「……じゃあ、アイツがまた来ても大丈夫なとこまで逃げるぞ」
「それも良いかもしれないわね〜」
「大丈夫なところ?」
「とりあえず走るんだよ!!!!」
「……」
 フィア。ドンタ相手に何故か逆ギレ。


 風の神殿。外側はウィンの帽子の風車の如く色々な物がクルクルと回っているのが目立つ。
「ヒョヒョヒョ〜」
「きゃあっ! ……色々と邪魔をしてくる物が多すぎますわ!」
 ウィンはともかく、リルムにはそれが障害物にしかならない。
「こうなったら、これを止めるしか方法はありませんわ!!」
 リルムの手にはタンバリン。つまり魔法をかけようとしているらしい。
「リル・リル……!!」
「ヒョヒョ〜。キミの魔法でこの神殿が止められるのかい?」
 ある一件でリルムを含めた四人の妖精の魔法の腕を少し見た事がある。
 ……リルムはその中でもかなり下手な部類に入る。
 それでこの神殿を止めるのは……とウィンは飛びながらも思っていた。
 以前のミルモの時は魔法を使った別の方法でやられたが、
 魔法下手のリルムで、しかも対象が神殿ならきっと……
 
「リルムでポン!!!!!」
 タンバリンから出てきた黄色の光が風の神殿を包み込んだ。

「〜?」
 ウィンが見たところ、神殿の物は変わらず回り続けている。
「ヒョヒョ〜。失敗みたいだねぇ」
 やはり不発かと思っていた所でくるりと一周としてみた。
 悲劇に気づいたのはその時である。

「ヒ、ヒョ〜〜!? し、神殿がぁ〜〜〜……!?」
 ウィンが叫ぶのも無理は無かった。
 風の神殿で回っている物には変化は無いが、それよりも重大なのは。
「あ〜〜ん、また失敗ですわ!!」
 かけた本人が飛びながら嘆いた。
「ウ、ウソ……」
 リルムの言葉にウィンは思わず呟く。何故なら。


 風の神殿から、大量の腕らしきものがぷらぷらと出ていたのだから。

 
「意図せぬ物ほど無意味にいろんなのを押し退けるって本当なんだねぇ……。
 早く戻させて貰わないと〜……」
 もはや化け物な神殿を唖然として見上げていた。
「……ウィンさん、お願い致しますわ!!」
 ーこのような油断が正に『命取り』と言うのだろう。
「……ヒョ〜?」

 多分戻すのは簡単だろうな、等とウィンは思っていたのだろう。
 立ち止まってならぬ、飛び止まって。
 油断していて。

 
 ーベチョッ。
 

 リルムは蓋の開いた弁当箱を、思い切りウィンの顔面に叩きつけた。


■ こやまる (527回/2009/06/27(Sat) 21:40:47/No1516)
http://www.murumoya.com/


スミレさん、こんばんは☆
まずは「いただきもの小説」掲載許可ありがとうございます。
近々皆さんの小説を含め「いただきもの小説」の更新を行う予定です〜。

さて次なるターゲット(?)は…ウィンでしたか。
この恐怖かつ緊迫した場面を「追いかけっこ」として楽しんじゃうあたり、ウィンらしさがバッチリ出ていますね。
そしてその結末もまたウィンらしいと言えます。
ウィンは話しても説得できる相手ではないと悟ったリルムは、ウィンの油断を一秒でも見逃さず、「チャンスですわ」と鬼気迫る形相で弁当箱をウィンの顔に叩きつけたんだろうなぁ。
まさに一触即発、狙った獲物は逃がさないリルムの性格の描写が素晴らしいです(というか怖いです^^;)。
この後はウィンの顔面をお弁当の中身がうにょうにょ動いている光景を想像しますが、その後の背筋の凍るシーンは次回を待ちたいと思います。

挑発に釣られたウィンに冷めた視線を送る3人もまたガイア族らしさがうまく表れていますね。
普段からウィンはつかみ所のない発言をするから、他のガイア族は「ウィンにはウィンの好きにさせておいて自分は…」という構図が成り立っていそうです。
それにしてもガイア族でこのような大惨事が起きている中、妖精界は大丈夫なのかとちょっと心配になります。。

>アクアはガイア族では【比較(ry 場の空気が読める子と言うイメージなので
自分の言ったことをきちんと守ったり、相手と対等の立場に立ったりと律儀なアクアですが、そのアクアならではの性格が災いをもたらす展開が実に良かったです(^^)。
ウィンに続いて他のガイア族もどうなるか楽しみ…私的には紅一点のピクモがどんな運命をたどるのかすごく気になっています。

>この話を完結させた後でネタが出ればミルリルのドシリアスでも書きたいなぁ……。
これはすごく楽しみです!ぜひぜひ♪
でも今回の悪魔リルムの余韻はどこかに入り込みそうな予感が。。

それでは次回も楽しみにお待ちしていますね。
では!


■ スミレ (10回/2009/06/28(Sun) 10:44:27/No1518)

こやまるさん、毎度コメントありがとうございます♪
テストも終わったので更新速度を上げたいと思っているスミレです。
(紹介長ぇよ)

“レース”だけあって一番捕まりにくそうなウィンでしたが
本人の性格が災いして今回の犠牲者になって頂きました。
顔に弁当を叩きつけられたウィンは大変な事になってますが、それはまた次回に^^;
リルムは本当、狙った獲物は逃がさないと言うイメージがあります。
「感動の松竹ファイトでしゅ」も、ミルモが上手く説得するまで
松竹が塔登る間にチョコ大福食べさせようとしていましたし。

ガイア族は五人とも性格が異なるので、
それぞれ自分で好きなことしてるイメージもありますね。
今回のウィンのように自爆行為に出ても余り気にしないような。
ガイア族と妖精界は……ただ気絶してるだけなのでアクア気絶時のように
多少司ってる力が弱くなったりと言うぐらいだと思います……(それも問題じゃね?)

ミルリルは好きですし、シリアスも書いてみたいところです。
でも書きたい物と降ってくるネタの神様は違うのが複雑な所ですorz
今思いついてるのが今作の登場人物の五倍ぐらいの妖精たちが
妖精版夏祭りでドタバタする話ですし。(何故だ)
でもベタながらも恋愛ものは入れれそうだから
そこの枠にミルリルを入れてみるのも有りかも……?

今作はあと4話ですが、よろしければお付き合い下さい。
それでは♪


■ スミレ (11回/2009/06/28(Sun) 19:49:56/No1519)

もちろんギャク的な意味でですが、ややグロテスク注意。

第6話『重労働は馬鹿力で』

 ウィンの顔の上に被せられた「それ」は、魔法をかけられた神殿以上の化け物だった。
 紫のぶよぶよした物が、うにうにとまとわりついて来る。
 ……残酷な光景なのでこれ以上は想像にお任せするとする。
「ヒョ? ヒョエ〜!? ヒャア〜〜〜!?」
「……い、如何でしょうか!?」
 ウィンは箱から出る声の限り叫び、手と足をバタバタとさせる。
 風車も倍速で回っているのだが、それが意思表示になると言うとNo。
 何故ならリルムはミルモの為、ウィンの感想を聞きたくて仕方が無いのだから。
 だがこの反応が答えというのを考える事は出来ない。
「ま…負けた、よぉ……」
 飛ぶ気力を失ったウィンは後ろに倒れると言う形で弁当箱から離れる。
 一言呟くと神殿近くに(ぽてっと言う音を立て)落ち、そのまま気絶した。
「ヒョ〜……」
「あら……」


 ウィンの言葉を聞いたリルムが『負けた』の意味を料理の腕だと勘違いして、
 走りが更に勢いづいたのは言うまでもない。


「ちっ、ウィンもやられたか」
 風の神殿を避けながらも、ガイアの里の適当な所を走っていた三人は察する。
 アクアの方はともかく、ウィンは仕方ないとは思ったが。
「ったく。いつになったら芋じゃねーって認めるんだよ!!」
「ところで〜……土の神殿が見えて来たわね」
「……うん」
「そういやそうだな」
 何気に足の動きが一番細かいピクモが二人に向かって話しかける。
 確かに見えるのは土の神殿。

「あ」
 普段は土の神殿で生活しているドンタが口を開くとフィアが振り向く。
「ん? 何だ?」
「まえ」
「前ぇ〜……? 前ってなん……だぁぁ!?」
 言われるままに前を見て、フィアは驚愕する。
 走っている途中、ロクに周りを見ていなかったフィアはようやく気がついた。
 目の前でリルムがニコニコしながら、団扇で飛んでいる事に。
「オ、オイッ。なんで此処にいるんだよ!?」
「私はわからないけれど、土の神殿の向こうに風の神殿があるからじゃないかしら〜」
 いつもと変わらない、のほほんとした顔でピクモは話す。
 確かに土の神殿の向こうには風の神殿がある。
 風の神殿は土の神殿と、雲の神殿に挟まれている形になっている。
 ウィンを気絶させた後に、リルムが向かったのが土の神殿だったと考えると自然だった。

「意地でも食べて頂きますわよ!!
 先ほども言った通り、このままでは引き下がれませんもの!!」
「あれを芋と呼ぶのは許せねぇっつってんだろ!!」
「だからこれはスイートポテト、れっきとした芋料理ですわ!!」
「……」
 二人が言い争う中でドンタが手を前に出す。
「ん〜?」
「え……!?」
 大量の石が降りそそぎ、リルムやフィアが見上げている間に塔のような物が出来る。
 塔はリルムとドンタ・フィア・ピクモを分けていた。
「こ、この高さでは団扇で飛んでも一苦労ですわ!!」
「どけて」
「え?」
「どかして」
「ええ!?」
「ところで……塔に阻まれても声って聞こえるのかしら〜」
 リルムとドンタの会話に、ピクモが疑問を持つが二人は無視。

 しばらくリルムは辺りをキョロキョロと見回していたが
「……では!!」
 何かを決めたように空気を吸う。目つきが変わった。
「ウリャリャリャリャリャリャリャリャーーーーーー!!!!!」
 そう叫び、パンチの連続を繰り出す。
 塔は直ぐに大きな音を立て、崩壊が近づく合図を出している。
「まあ。凄い力ね」
「これがダアクに通じなかったと思うと恐ろしいぜ」
「うん……」

 三人が見上げてる内に石は辺りに散らばる。
「……壊れた」
 呆然としているドンタの目の前には馬鹿力を発揮して間も無く、息の荒いリルムがいる。
「……ってそういや、あの内に走れば良かったじゃねぇかぁぁぁ!!」
「降ってくる石とあの力に、呆然としていたものね」
「そんな事言ってる場合じゃねぇ!! ドンタもピクモも走れぇぇ!!」
 今更重大な事にフィアは気づいた。
 たまたま近くの方にいたピクモの手を、とっさに引いて走り出す。

「……逃げられましたわ〜。……あら?」
「……」
 遠くなっているフィアとピクモをリルムは追おうとした。
 ……が、バラバラになった石を呆然として見ているドンタに気づいてしまう。
「ドンタさんも、どうかよろしくお願い致しますわ」
「……?」
「さあさあ」
 リルムは紫の物体を箸でつまみ、石を見つめているままのドンタの口に向けた。

_____________

単独ではかなり書きにくいドンタ……。
好きなキャラだけど、作中での登場が少ない分動かしにくいです。
そのせいでフィアやピクモのキャラもいつもよりおかしい事に。
まあ出番のこと言っちゃうとフィアやウィンも一緒なんですが……。
どうも彼は他の四人の台詞をフォローするイメージが強いです。
と言うわけでウィンの結末と一緒にして長さを誤魔化すと言う形に(おいおい)
あと塔の件は横に回るとかそういうのは考えちゃいけないらしいです(何)
ちなみにフィアがピクモの手を引いたのは特に意味はありません。
地震になると枕を持って出てしまうみたいなアレの乗りです(笑)

6/30 サブタイトル変更


■ こやまる (529回/2009/07/01(Wed) 16:20:24/No1522)
http://www.murumoya.com/


スミレさん、こんにちは☆
ウィンが落ちる様子・・・助けを求める声が風車の倍速回転で現れる様子が最後の力を振り絞っているようにも見えて、リアルかつ残酷すぎる…(^^;。
それでも倒れるときの音が「ぽてっ」というかわいい音なのがまだ救いでしょうか。
気絶して目を回しながら放置されたアクアやウィンを想像するとやはり残酷ではありますが。
(ウィンはいつも目を回してますけど)

そんな殺人鬼リルムの前にまさかフィアたちが自分から突っ込んでしまう展開には驚きました。
神様のくせに大事な場面で抜けているところがガイア族らしいんですよね。
そして焦るガイア族とは対照的にニコニコしているリルムがまるで悪魔です(汗)。
すべての読者の意見を代表して・・・ガイア族、逃げて〜っ!

ってこの劣勢の状況に逃げずにドンタは自ら立ち向かってしまいましたか。。
ドンタは走り回って逃げるタイプではないので、この展開はある意味自然といったところ?
こういう”静”のタイプの妖精は動かしにくいところではありますが、ドンタの逃げずに待ち構える行動といい、土の塔といい、ドンタらしさが随所に現れていてとても見ごたえがありました。
もともと影の薄いキャラだけにリルムには簡単に突破されてしまいましたが、このままドンタにも悲劇が訪れてしまうのでしょーか?
それとも影の薄さを返上する行動を見せるのか…次回を楽しみに待ちたいと思います。

>今作の登場人物の五倍ぐらいの妖精たちが
5倍ってことは総勢30人以上・・・すごすぎ(^^;。
スケールが大きいというか、とても騒がしい光景になりそうな予感がしますね。
夏祭りとなるとやはり恋愛…ミルリルの裏であちこちで男女がいちゃついてほしいです。

>ちなみにフィアがピクモの手を引いたのは特に意味はありません。
こう言われるまで、フィアとピクモの組み合わせもいいかも?なんて思ってしまった私でした(^^;。
ミルモと同じような行動をとるフィアにファンが増えそうな予感です。

それでは次回もまた楽しみにお待ちしております。
では!


■ スミレ (12回/2009/07/01(Wed) 20:12:43/No1523)

こやまるさん、こんばんは♪
昨日の内に第7話を書こうとしたものの、文が纏まらなくなって
結局書けずorzの状態でいたスミレです。
(だから紹介長いって)

ウィンのあのシーンは残酷な事に結構前から決めていたり……。
とりあえず彼の風ぐるまも生かして残酷さを表してみました。
もしかしたら後の人も含めた今作の犠牲者の中で一番残酷かもしれないです。
顔面直撃……。

色々里を回ってる内にリルムと鉢合わせと言う結果になりました。
ガイア族はどこか神様らしくない、抜けた所が可愛いですよね。
妖精を滅ぼす程の力を持っていたり、ダアクと命がけで戦い封印したと言うのに……。

ドンタのキャラは本当に苦労しました〜……。
ドンタとピクモは自分の意志で逃げると言うよりは
結構「ノリ」で逃げてるような感が強かったので
今回ドンタには(良く分からない物になってしまいましたが)
行動に出て貰いました。……あっさり突破されましたけど。
ここから逃げるのは難しいと思いますが……それは次回で。

>総勢30人以上・・・
5倍と言っても殆どはチョイ役になると思いますけどね。
ミルリルメインの予定ですけど他のカップル達も書きたいなと思います。
……当たり前ですが、その前にこちらの話をきちんと纏めなくては(^^;)
上手く行けば開始1ヶ月に近い日に書き上げられるかもしれません。
後3話なので。

>フィアとピクモ
話の都合上、フィアとピクモを逃がす為にああなり&補足しましたが
フィアはミルモと性格が似てるので性格的には無くは無いかも?
ピクモはどちらかと言うとサリア様ですが。
でも腐っても(言い方酷い)神様なので、それ関連は難しいと言うか……。
唯一プレイした「謎のカギ〜」のフィアはウィンやピクモを探してたり、
それをミルモに頼んだりとリーダーっぽい姿が印象的でした。

早くラスト3話である第7話を書き上げたいなとは思います……。
それでは♪


■ スミレ (13回/2009/07/03(Fri) 01:23:19/No1524)

第7話『グロテスクなクモ祭り』

「さあさあ〜」
 笑顔で紫の異物が挟まった箸を突き出すリルムに対し、ドンタは無言。
 トプルにアクア・ウィンが既に餌食になっている時点で破壊力は分かっている。
 しかし彼女が本気を出した時の実力も今、目の前で見てしまった。
 この状態で、選択肢は二つしかない。
「石を破壊する力よりは……」
「どうぞお食べになって下さいませ?」
 呟くドンタ相手に箸を持ったまま疑問符を浮かべるリルム。
 彼は手を出すと、リルムから異物が挟まった箸を受け取った。
 
「ミルモ様、もう少しお待ち下さいませぇ〜。
 ……あらドンタさん? どうかなされたのですか?」
 土の神殿前。唯一立っているリルムの声が聞こえている。

 フィアと、フィアに手を引かれているだけの状態であるピクモは未だガイアの里を回っていた。
 リルムから逃げるべく、水の神殿の方へと引き返す。
 上の方で気絶しているアクアがいる筈だが、気にはしていられない。
 そこから向こうにある火の神殿をも通り過ぎ、雲の神殿内へとたどり着いた。
 近くの床に、フワフワとした雲が敷き詰められている。
 その柔らかな雲に捕らわれたように疲れが押し寄せて来たため雲の神殿の中で座り込んだ。
 同時に手を引かれっぱなしだったピクモも、ようやく自分の足で立つこととなる。
 ……ドンタがやられたことも察してしまった状態で長居は出来ないが。

「ーったく。ヤケにしぶとい奴だな〜。
 こんなことなら、さっさと追い出しておくべきだったぜ」
「流石に妖精相手に言ってしまったことを簡単に変えてしまっては
 ガイア族としての面子も立たないものね」
 焼き芋に燃えすぎて色々と大変なことをしてしまったフィアに対して
 全く危機感の無いピクモは相変わらずの笑顔だった。
 ここの雲のようにホロリと柔らかい綿菓子が好きだと主張していたピクモに
 フィアの焼き芋への熱は分からない。
「里の構成からいたちごっこになる訳だし
 このままだと、また追いつかれてしまうかもしれないわね」
「……」
 やはりピクモから危機感は感じられない。
 いつものマイペースなピクモだ。
 料理のこともそうだが土の神殿から水・火・雲の神殿まで手を引かれ、
 ブンブンと振り回されるような状態が続いた中で良く平然としているなとフィアは思う。
 ……そう思っている内にも魔の手は忍び寄って来るどころか駆け足でやって来る。

「見〜つ〜け〜ま〜し〜た〜わ〜……!!」
「げ!」
「まあ」
 弁当箱を持って高速で走って来るリルムの姿が見えた。
 フィアがリルムを怒らせてから、大分時間が経ったような気もするが
 それだけ怒りの力は上がっているのだろうか。
「本当に追いつかれてしまったわね〜」
「と、とにかく追いつかれねーよう……!!」
 フィアに対してピクモも「ノリ」的な物で立ち上がった時ーリルムの悲鳴が聞こえた。
「きゃあっ!!」
「!?」
 フィアもピクモも思わず後ろを振り向くと、軽い雲に足をとられ倒れるリルム、
 そして彼女が持っていた弁当箱一つが床一面にばらまかれていた光景があった。
 量はそこまで無いのだが、雲から雲へと液体が伝わり色はどんどん紫になっている。
 この状態に流石にピクモも、少しだけ表情を変えた。
 笑顔が少し引きつった笑顔に見える。

「大変ね〜。……雲の欠片を落とした時は色が違ってて便利かもしれないけれど」
「なに言ってんだ?」

 今の雲の神殿ー「雲」と言うよりは
 「蜘蛛」が発生しても可笑しくないと言うレベルのグロテスクな広場が出来上がっていた。

「これを、元に戻すことは出来ないかしら〜?」
 現状に気づいたリルムは立ち上がり、周りの光景に気づいた。
「も、申し訳御座いません!
 食べて頂く筈の物を神殿にぶちまけてしまって……」
「だからその前に芋にあやま……」
 リルムに対してフィアが愚痴をこぼした時だった。

「なんだかお腹が空いて来たわね〜……」
「ピクモ!?」
 何を思ったか紫が浸食して来た雲をすくい上げるようにしてピクモは口に入れた。
 こんな光景では、手を引かれた状態で飛ばされた挙げ句に
 グロテスクな物と化した神殿を見て、気が変になったとしか思えない。
「あ、ああ。この間水晶玉で見た、ミルモの里で売られていたフドウ味の綿菓子に
 少し似ていたものだからつい〜。気に、しない……で……」
 笑顔を絶やさないピクモは、顔の色だけ真っ青になり雲に埋もれるようにして倒れる。
 ピクモが倒れた所には、ポコッと雲が弾む音が鳴った。

「自分の神殿の物をお菓子と間違って食う奴があるかああああ!!!」

 珍しくまともな内容のフィアの絶叫がガイアの里に響き渡ったと言う。
 今頃、魂をぶらぶらとさせているアクアがこの場にいたら
 「君の神殿にはそれっぽいのは無いけどね」とフォローしていただろうか。

「フィアさん、あれはミルモ様を想って作ったれっきとしたスイートポテトですわ!」
「だからこれを芋と言うなって言ってんだろ!!」
 トプルが倒れた後、フィアが勢いでリルムに試練を与えてから
 アクア・ウィン・ドンタ・ピクモが自分の神殿で倒れる事となった。
 だがリルムの背の風呂敷からは、まだ弁当箱一つ程度の膨らみが見えるので終わりではない。
 リルムは口を開いた。

「どんな物にしろ食べないで判断なされるのは、やはり心外ですわ!」

 端から見たら真っ当なことを言っているようなリルムも、
 フィア同様真っ赤に燃えていた。

_______________

我ながら思ったのですがピクモの脱落理由が酷すぎる……。
多分気が変になった説も間違ってはいないかもと言うことで一つ……。
あとフィアの独特の声を文で表すのはハンパなく難しいです。


■ こやまる (531回/2009/07/08(Wed) 23:27:29/No1536)
http://www.murumoya.com/


スミレさん、こんばんは☆

今回もまたすごいサブタイトルですね(^◇^;)。
そのサブタイトル通り、今回はピクモに危機が迫るわけですが、これまでの3人とはまた違った展開なのが素晴らしいです。
ちょっとずれた考えの持ち主であるピクモは「おいしそうだわ〜」と自分から食べてしまうのかもとある程度は予想していましたけど、スミレさんの考えた展開の方が数倍迫力があって、また無理のない展開に仕上がっていますね。
恐怖のお弁当に汚染されていく光景がとにかくグロテスク!
まさに汚染物質ですね。
初めて体験するこのピンチの状況に、ピクモも我を忘れてしまったのでしょう。
「気にしないで…」とフェードアウトしていくピクモがピクモらしくって、さすがガイア族通のスミレさんだなぁと思いました。

こうなってくると、不可解な行動を取るピクモにツッコミを入れるフィアが、とても現実的に見えてきますね。
こうなればフィアにはとことんリルムの魔の手から逃げて欲しいです。
私はフィアを応援しますよ!

ドンタの最期(?)のシーンもまたドンタらしくって。
倒れるときも絶叫などなく無言なんですね。
リルムの力を恐れ、恐怖の料理を選ぶドンタは本当に神様なのか?とツッコミを入れたくなりますが、普段からドンタは何を考えているかよく分からないから、こういうずれた決断もアリでしょうね。

>唯一プレイした「謎のカギ〜」のフィアはウィンやピクモを探してたり、
>それをミルモに頼んだりとリーダーっぽい姿が印象的でした。
ミルモのゲームはストーリーをすっかり忘れてしまいました。
(特に「謎のカギ〜」が私的に一番印象が薄い・・)
妖精たちの意外な性格を復習するために、私ももう一回プレイしてみようかな。

それにしても今もガイアの里で4人+トプルが気絶している光景を想像するとまたグロテスクですね〜。

それでは次回もまた楽しみにしております〜。
では!


■ スミレ (14回/2009/07/09(Thu) 17:37:31/No1540)

こやまるさん、こんにちは♪

サブタイトルの中では今回のが一番やばいと思います(笑)
テーマの一つである「グロテスク」が入ってますからね〜。
雲と蜘蛛のネタはもう少し上手く出来れば良かったと後悔しています……。
ちなみにタイトルに入ってる割には未だに明確な説明がされていない
「チキンレース」に関しては直に書けるであろう最終話にて説明する予定です。

今回の犠牲者はピクモでしたが、これまでの展開を纏めると
・下手に構ってしまい無理矢理やられる。
・本人の自覚無しに人(花?)質を取られ無責任な約束をする。
・自ら挑発した後に油断して顔面直撃。
・二択を迫られ料理を選ぶ。
となっているのでつかみ所の無いピクモなら自分で食べるかなと思って
何とか神殿に結び付けれるよう色々と考えてみました。
神殿の雲を綿菓子と間違える辺りはちょい無理矢理だったかなと思いましたが^^;
ピクモの「気にしないで〜」はアニメ本編でも
数回しか使われていないにも関わらずインパクト強いですよね。

今回の騒動の原因の一人でもありながらまともに見えるフィアですが
残り二話で彼がどうなるのか、きちんと書いて行きたいと思います。
リルムもセリフだけならまともに見える箇所も幾つかありますけどね。
セリフだけなら……。

ドンタは……まあ、彼もつかみ所のない性格ですので。
土の神様なので科学的(!?)な物よりは肉体的なパワーを恐れていると言うイメージが。
……土以前に魔法を使う神様じゃんと言う突っ込みは無しで(汗)

「謎のカギ」はピクモがドンタのことをさん付けで呼んでいたのが
未だに引っかかっていたりします。
記憶が正しければアニメは他の四人を名前で呼んだ事は無かったと思うのですが
他のキャラを呼ぶ時のを考えると呼び捨てのイメージがあるんで……。
他のゲームではどうなんでしょうかね。
決めないと今作はともかく次作が非常にやりにくい事になります……orz

最終話の構想は殆ど終わっているので
とりあえず第8話を早めに上げたいと思います。

それでは♪


■ スミレ (15回/2009/07/10(Fri) 07:51:26/No1541)

当作品は何かを食べながら見ることをお勧めしません(今更すぎ)

第8話『神様vs恐怖料理戦争の終息』

 余りにも悲惨な光景となった雲の神殿から脱出し
 火の神殿へとたどり着くも、リルムも後を追ってきた。
 雲の神殿での休憩時間が僅かだった為か、疲れは直ぐに貯まる。
 一般妖精であるリルムがどうしてここまで疲れないで走れるのか
 こんな状況で無ければ聞いてみたいとも思った程だった。

「はっ。い、意外にやるじゃねーか……」
「一つ余分に作っておいて正解でしたわ……。
 だって五つでしたら、もうなくなっていましたものね」
「余分に作っていたとしても、芋への愛情は欠如しまくってるけどな!」
「まあ、ひどいですわ!
 私はミルモ様を想って……芋にだって愛情を込めて作りましたもの!」
 バックの神殿以上にメラメラと燃え上がる二人。
 こうなった原因は芋。とにかく芋。芋と言ったら芋。
 最初のトプルはともかく、その後の四人は芋論争の為に犠牲になったとも言える。
 そしてリルムはその芋を使ったスイートポテト、らしきものをずいっと突き出した。
「ちっ、これが芋って言えるのが理解出来ねーな」
「何度も言いましたけれど、これはスイート“ポテト”ですわ!」
 何度見ても変わらない異臭に不気味な色。
 そしてドンタを除くガイア族四人の髪並に動いている『それ』
 第三者から見たら食材に謝れと言うのも、正しいような気がする。
 だがリルムは譲らない。

「召し上がって頂きますわよ!」
 リルムの手元で、ポンと音が鳴りタンバリンが現れる。
「リルムでポン!」
 そのままリルムは魔法をかけた。
「ちいっ!」
 フィアが飛んで魔法の光を避ける。
 光は神殿にある小さな火山らしきものに当たり、魔法がかかった。
 そこからブラブラと足らしき物が幾つか出てくる。
 それは下手なホラーよりもホラーな現象。

「また失敗ですわ!」
 リルムは嘆きつつも、追ってくる。
「く〜っ……」
 一瞬なにをしたら良いか分からず、とっさに芋の山を魔法で出した。
 だが、これまでを見ているとリルム相手には通用しない訳で。
「ウリャリャーッ!!」
 リルムの腕力により、芋は砕け散った。
「あーー!! 芋が勿体ない!!」
「でも、これはフィアさんが魔法で私を通せんぼする為に出した物ですわよね?」
「ったく! 芋を無駄にしやがって!通せんぼにしろ、芋は大切にしろ!!」

「!」

 自分で出しておきながら滅茶苦茶な事を言うフィアの言葉にリルムはピクッと動いた。
 突然足を止めたリルムにフィアも違和感を感じて止まった。
 そしてリルムは、呟くように言った。
「……フィアさん、いま芋を無駄にするなと仰いましたよね」
「ん? だからお前のそれが芋を無駄にしてるっつってんだろ!」
「端から芋と認めないで一口も食べないのは、
 それこそ芋を無駄にしているのと同じではないですか!?」
 改めて異臭のする弁当箱を片手に持ち掲げる。
「端から見て論外な時点で駄目なんだよ!」
 そんなフィアに対してリルムは、今度はゆっくりと口を開いた。
「…料理を作る時は好きな人や、食べて貰う人を思って作るものですわ。
 ミルモ様は当然ですが、食材を使う時はフィアさん達の事も思い浮かべていましたもの。
 フィアさんに食べて頂けなかったらきっと芋だって悲しみますわ!」
「は!?」
 熱演するリルム相手にフィアは唖然とする。
「なに言ってんだ! 芋が悲しむ……わ……け……」
 言葉が詰まった。流石にそこは否定してはならない部分だったからだ。
 芋が好きで、焼き芋を上手く美味く焼けなければ無駄になってしまうと思うほど。
 そんなフィアが芋の『気持ち』を蔑ろにする事は出来ない。
 芋が悲しむと言うのなら、むしろリルムにこんな姿に変えられた事。
 しかし食べずに美味い不味いを判断せずに捨てるのは確かに無駄にすると言うことになる。
 だからといってリルムのを食べるのは…と揺れていた時には既に遅し。

「今ですわ!」
 ドロドロとした固まりをリルムは箸で掴んだ。
 心なしか、その固まりはアクアやドンタやピクモの一口よりも多く見えた。
 その固まりから、幾つかの欠片レベルの大きさの物が地面にこぼれ落ちる。
 そこからは神殿にある火山の炎も汚染されそうなぐらいの異臭が漂う。
「与えられた試練、終わらせて見せますわ……!!」
 
 芋論争から起こったバトルは終結した。
 芋に始まり、芋に終わったこの試練。
 口論から始まったのもあるので、言葉を詰まらせた時点で終わりでもあった。
 ……終結したのはあくまで、リルムが五人に食べさせるという箇所だけであるが。
 

 数刻後、聖なる樹の神殿にて。
「……本当、花だって気絶しちゃうし大変だったんだから」
「ははは……。しかし、彼女にあれほどの力があったとはね」
「だよね。ある意味ダアクよりも凶悪なんじゃない?」
 聖なる樹の神殿から、噴水が吹き出る音が聞こえる。
 神殿にいたのは早期気絶組であり比較的温厚組のトプルとアクア。
 目覚めた彼らが先に話している中で、更にふよふよと三つの影がやってくる。
「……あ」
「二人はもう戻っていたの?」
「ドンタに、ピクモと…ウィン……?」
「ヒョ〜……。花畑がクルクルクルクル回ってる〜……」
 ドンタやピクモよりも早く倒れた筈のウィンは未だにヨロヨロと飛んでいた。
 原因はどう考えても“アレ”を顔面に直接ぶつけられた事だろう。

「あ、そういえばフィアは?」
「まだ戻って来ていない」
「『彼女』の方はもう帰ってしまったらしいけれど」
「ヒョ〜……」
「じゃあ、もう一人の張本人には後で責任取って貰わないとね」
 アクアが両手を身体の中央に向ける。
 手の間からは彼が司っている水エネルギーの塊らしきものが出ていた。


________________________

ようやく次回で終了です。
よりによって頭に血が登っていたリルムに口論でボロ負けという、
敢えて一番フィアらしくない結末となりました。
と言うか、押しつけ・底なしパワー・不得意な魔法・腕力・悪運と来たら
残りは 恋 す る 女 の 子 と し て の 熱 演 ぐらいしか
浮かばなかった訳ですがorz
フィアにはもう少し粘って貰っても良かったような気もしますが
元々勢い勝負の話なのであんまり引き伸ばし過ぎるのもなあと……。


■ スミレ (16回/2009/07/11(Sat) 00:29:54/No1545)

最終話『悲劇の終わりと新たな悲劇』

ー人間界にて

「ミルモ様ぁ〜!」

 ピンクの服と黄緑のカールが目立つ妖精が、窓から楓の部屋に入って来る。
 先ほどリルムの拳で、正に「ぶっ飛ばされた」ミルモにとってそれは死の宣告のようなものだった。

「げっ、リルム!」
 逃亡体制に入ろうとしたミルモの腕をリルムはがっしりと掴んだ。
 やられる…と。ミルモも、たまたま遊びに来ていたムルモもそう思っていた時だった。

「私、もっともっと努力致しますわ!」
「え?」
「自信もつきましたし、改めてもっともっとミルモ様を想って、
 ミルモ様に美味しいと思って頂けるような料理を作って見せますわ!」
「リ、リルム……?」
 予想外の答えが返って来て、ミルモは戸惑う。
「ま、まあ……良いんじゃねーの」
「ミルモ様……!!」
 リルムの自信と言うものがどこから来たのかミルモには分からない。
 正直リルムが、自分を唸らせるような料理を作れるとは思えない。
 だがリルムの意外な言葉を聞いたら突き放せなくなってしまった。
 まあ、流石に前言撤回はしなかったが。
 リルムは口を開いた。
「では先ほど作ってきた、この愛のチョコクレープを召し上がって下さいませ!」
「でぇっ!?」
 リルムが出してきた弁当箱に、ミルモ唖然。
 余りにもグロテスクな料理だったからだ。
 以前のチョコバナナなど比べものにならないぐらいの色・臭い・動きよう。
 ……チョコバナナを食べていた方が、まだ平和だったかもしれない。
「一生懸命作りましたわ、ミルモ様への愛を込めて!!」
「一生懸命作ってこれか!? それならいっそ手を抜いてくれ!」
「なにを仰るんですかミルモ様!
 ミルモ様への愛を込めて作る手料理……手を抜くなどありえませんわ。さあさあっ」
「嫌だあああああああ! やめてくれええぇぇぇぇぇ……」
「……相変わらずのむごさでしゅ」
 ムルモはその悲劇を、ただただ見ているしか無かった。


「ったく〜……。確かに芋の遺伝子は0.01%ぐらいは残ってたぜ……。何でだ……」
 口直しか、自家発電の焼き芋を手に持ちながら
 フィアはフラフラと聖なる樹の神殿へと向かった。
 そこで待ちかまえていた、四つの影。
「ん?」
 最初に口を開いたのはアクア。それにドンタ、ウィン、ピクモが続く。
「遅かったねフィア。君のワガママに僕たちを巻き込んだ責任、取ってくれる?」
「これでおあいこ」
「正直な話、ボクらの力は同じぐらいだから量が物を言うんだよねぇ〜……」
「一応死なない程度に手は抜いておくから、気にしないで?」
「は? な、何言ってんだ?」
「あー……」
 疑問符をわざとらしく浮かべるフィア、彼も理由は大方分かっている。
 そんなフィアを見たトプルは哀れみと言うか何というか微妙な表情を見せる。
「ちょ、ちょっと待ちやがれ! 大体ウィンは自分で挑発してた訳だし
 ピクモだって自分で間違えて……」
 だが四人は『問答無用』と言わんばかりに力を集める。

「アクアで……」
「ドンタで……」
「ウィンで……」
「ピクモで……」

「「「「ポン!!!!」」」」

 基本的に妖精6人+αしかいないガイアの里。
 そこで大爆発が起こったとか、起こらなかったとか。
 そして妖精界で、一時的にナンダカワカンナイノの数が微妙に増えたとか増えなかったとか。



「でも……いくらおあいことは言え、まだあの時の恐怖はしばらく忘れられそうにないね」
 どこから出したかは不明の水飴を加えながらアクアはドンタ・ウィン・ピクモと話す。
「誰かの夢に出てきそうよね」
「今思えば、大地を揺るがしそうな力よりも恐ろしかったかもしれない」
「あ、あと50年ぐらいは芋とつく物に関わり合いになりたくないね……」
「ウィンが脅えるなんて、珍しい。僕も同じ意件だけど」
「気にする必要があるかは分からないけれど、
 『チキンレース』って一体なんなのかしら?
 人間界では度胸試しをするゲームって聞いた事があるけれど」
「フィアじゃ無いけど芋の為に何もかもやる、って度胸が無いと出来ないでしょ。こんなこと。
 僕みたいに花に惑わされちゃう例もあるしね。
 まあ僕たちにはそんな度胸いらないけど」
「それに、そのままの意味のレース?」
「あと、チキンレースには様々なルールを取り入れる事があるんだけれどね。
 競技者が命を落としてしまう危険もあるって言う、
 妖精界ではとてもやらせられないようなルールもあるんだって……分かる?」
「死に近い恐怖って言うなら、ものすごく説得力あるねぇ〜……」
「そういえば……。僕が倒れた後に、ウィンが倒れたんだよね?」
「うん」
「ウィンは瞬間移動はしたくないって言ってたけれど、ドンタやピクモもそうだったの?」
「あ……」
「あら……」

 奇想天外な行為に出る暴走妖精・リルムは今回も奇妙な騒動を起こした。
 だが、リルムの料理は更にグロテスクになり、結果的に犠牲者に恐怖を植え付けただけ。
 得た物と言えば、ミルモとフィアが「勢いで物を言うな」と言う教訓を得たぐらいである。

「ミルモ様〜。今日もリルムは、ミルモ様の為に愛を込めてお弁当をお作り致しますわ!」
 
___________________

長くなるので後書きは分けます。

7/11 脱字部分修正


■ スミレ (17回/2009/07/11(Sat) 01:19:34/No1546)

〜後書き?〜

リルムとガイア族のグロテスクなバトルも何とか完結しました。
とりあえず勢い勝負の全9話で、何がしたかったんだと思われるかもしれませんが
言ってしまうと「ガイア族のギャグが書きたかった」に尽きます。

二期はシリアスムード、三期はタコスによる物なのか出番皆無、四期は最終回のみの出番。
一期で言うなら、17話はドタバタしてましたが一応重大な話でした。
となると39話が彼らの関わる最初で最後のギャグ回となってしまったような印象があります。
もちろん二期や三期も大好きなんですが、ガイア族好きのドタバタ回好きとしては、
少し寂しいと言う思いもありました。
夢落ちで終わるようなお遊びネタからもことごとくハブられてきたガイア族……。
一人一人に個性は凄いあっただけに勿体無いなあと。
そういうのが上手く表現出来なかったのには、やはり実力の無さを嘆きたくなります……。
それ以前に話がかなり無理矢理でしたが^^;

内容自体はもう、色んな人にごめんなさいと言いたくなりますが
私自身が書いてて楽しかったのは確かです。
こやまるさん、この場でこの話を書かせて頂き、
そしてコメントを書いて下さり本当にありがとうございました。
ここまで見て下さった方も、ありがとうございましたと言いたいです。

※今更気がついたんですが、アニメ17話の出来事を連想させるシーンで
アクア=ガイア族の彼にとって少しだけ前
ウィン=久々
と真逆の方になっていました……。
性格の違うガイア族は時間の感覚も違うと言うことで見逃して下さいorz

今考えている次作もリルム(&ミルモ)がメインとなりますが、
今回に比べれば魔人度も減っていると思います……多分。
暇があったら見てやって下さい。

後書きって難しい……。それでは、失礼しました。


■ こやまる (536回/2009/07/13(Mon) 22:36:44/No1554)
http://www.murumoya.com/


スミレさん、こんばんは☆
逃げても逃げても追ってくるリルムが夢に出てきそうです(汗)。

ラストのフィアはどんな仕打ちに遭うのかとドキドキしていましたが、まさかリルムの正論(のようでずれまくっている主張)に屈してしまうとは…(^◇^;)。
普段は怒りっぽいフィアも、いざというときはアドバイスしたりする優しい性格がアダとなってしまったような感じですかね。
まぁ元々の言い出しっぺだから自業自得(?)という見方も出来ますけど。
そんな彼に足りなかったのは、「一口も食べないのは…」に対して「他の5人はみんな気を失ってるぞ!」と、現状をリルムに伝えることでしょうか。
いや、こういう状態のリルムがそれを聞き入れることはないか。。。

リルム→フィアのお口にあ〜んのシーンは読者の想像任せですね。
リルムはきっと残さずフィアの口の中にお弁当の中身をぐいぐいと押し込んだんだろうなぁ…なんてグロい!!
妖精の神様でもこのリルムの暴走は止められないのか…。
いや、リルムに弱みを突かれまくりのガイア族は弱点だらけのような気がしますけど。。またいつか、ガイア族の敗者復活戦も見てみたいです。

エピローグもミルモとリルムも、またいつもの風景で和やか(?)ですね。
ミルモもこんなにしょっちゅう食べされていたら、いつかミルモがミルモで無くなってしまいそうな気にもなってしまいます。

リルムの料理で始まり料理で終わる…リルムの恐怖の料理のフルコースを楽しませていただきました。
リルムの暴走気味な性格も最後まで衰えることなく書ききったのは、まさしくスミレさんが初めてです。
スミレさんの考えるリルムの料理の辿り着く先を、次回作以降にまた描いていただきたいですね。

>チキンレース
全員気絶というまさに完敗の結果…神様がこれでいいのかどーか。
そういえばガイア族は瞬間移動出来るんでしたね(忘れてた…)。
他にも巨大化などありましたけど、料理から逃れる恐怖でそれどころじゃ無かったのかな?

>「謎のカギ」はピクモがドンタのことをさん付けで呼んでいたのが
>未だに引っかかっていたりします。
う〜ん、私は完璧忘れています(^^;。
ピクモによるさん付けは全然違和感を感じませんが、何を考えているのか分からない&会話のキャッチボールが出来ない性格がリルムと似ているからなのかもしれません!?

それでは連載お疲れさまでした。
また次回作を楽しみにお待ちしています〜。
(いただきもの小説への掲載はもう少しお待ちください。。)

では!




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(2009.5 koyamaru edit)