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Prologue【発端はイギリスさんでした】
「あははは……こらお前達、何すんだよ……」 “何時も通り”自宅で“他の国には見えない妖精やユニコーンと戯れている”イギリス。 と、イギリスはある一人の妖精が青いマグカップを抱えているのを見た。重そうだな、と持ってあげる事にしたイギリス。 「重そうだしな。貸してみろよ」 ひょい、と妖精に有無を言わせずマグカップを取り、少し大きめのマグカップを握ったまままじまじと見つめた。 全体は青に塗られているが、側面に星の模様が付いており、真ん中に小さなハートが付いている。
「これ、どうしたんだ?」
不審に思ったイギリスが宙を漂っている妖精に聞けば、 『なんだかよく分からないけど、太ったおじさんがこれをあの机に置いてったまま忘れちゃってたの』 「は? おじさん?」 意味が分からず聞き返したものの、妖精にも詳しくは分からないらしい。しかも、机にはまだまだ沢山のマグカップが。 紫色の物やピンクの物、黄色い物や様々な色の物があり、やはりこの青色のと同じく色は違えど星の模様がある。 混乱してきたイギリス。だが何だかもう訳が分からなくなり、作業用机に積まれたこの大量のマグカップをどうにかしようと考えた。
――丁度全員分ありそうだな。
そんな事を考え、自分でも良い考えを見つけたと感じて、マグカップを箱に詰めて“あの全員”に送る事にした。 ……面倒だから送料は全員あっちで負担して貰おう。一つ一つ纏めたマグカップ入りの箱を営業中の郵便局に届け、
全世界の国々へと渡るようにしてみた。
「フランスやロシアに送るのはあれだが……仕方ねぇよな。そうでもねぇとこの机が埋もれちまう」 一人呟き、再び青いマグカップに視線を落とした。……変なデザイン。そう思いながらも、これで何かを飲むかと考えてしまっていた。
これが、今回の話の発端。
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