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3721/ シエル族とテラー族 第2章 2つの族、戦いの時
□投稿者/ 梨璃 -109回-(2011/04/07(Thu) 21:56:47)

皆さんこんばんは!

今回から前回の小説の2章を書いていきます。
注意事項的な何か
・舞台はごおるでん
・恋愛要素や戦いの要素多め
・オリフェもいます
・妖精メイン

今回から戦い要素を増やしていきます。
土曜日には書き始める予定です。
ご感想や、誤字等があれば教えてくれるとありがたいです^^;


では!


■ いっちゃん (63回/2011/04/07(Thu) 22:13:00/No3723)

梨璃さん、こんばんは!いっちゃんです。

おぉ〜ついに2章目がきましたね! ←この小説の愛読家(笑)
1章目は気になるところで終わりましたからね。
うぅ!続きが気になる〜!!(特にエピローグの謎の妖精が・・・)

チハルとスバルも気になる存在です!
あの二人の本当の目的は何なんでしょうか?
しかし、やっぱり梨璃さんのラクアクは最高ですね(^^)
2章はバトルもありということでワクワクしてます!(もちろん恋愛のほうも気になります!)

新しいオリフェも楽しみです!
それではっ!


■ 梨璃 (111回/2011/04/09(Sat) 22:44:08/No3729)

いっちゃんさんこんばんは☆

小説の愛読家とは嬉しいです^^*

チハルとスバルの目的はこの章で明らかになりますのでお楽しみに!
ここからもやっぱりラトアクですよ!
チハルの登場により更に書きやすくなります。

では!


■ 梨璃 (112回/2011/04/09(Sat) 22:51:14/No3730)

プロローグ

「父上・・・!母上・・・!」
ガランとした家に一人の妖精の泣き叫ぶ声。
「どうして・・・・。」
「・・・・・・」
声をかけると、ゆっくりと此方へ振り向いた。




「・・・!おい、ラット!」
ある昼下がり、アクミと共に作戦を練っていたラットだったが、何時の間にか眠っていたらしい。
「・・・大丈夫か?顔色悪いぞ。」
「・・・平気だ。」
「そうか?まぁいいや。それで、アタイの考えた作戦だけど・・・。」
アクミは話し始めるが、ラットには耳に入ってこなかった。
「(最近まで観なかったのに、あの夢が・・・。嫌な予感がする。)」




■ 梨璃 (113回/2011/04/11(Mon) 23:32:16/No3738)

第1話 一人の少年

「「結木くーん!」」
楓と安純が結木の元へ近づく。
「今日は何の本よんでいっ!!」
楓が話す途中、安純は楓の頭に鞄を投げつける。
「痛いじゃない!」
「結木くんの読書の邪魔すんじゃないわよ!ね〜結木くん。」
結木へ先ほどまでと違い笑顔で接する安純。
「そういう日高さんもじゃない!」
そして2人の睨み合いが続く。
結木は慣れたのか気にせず本に集中していた。
「お前らあきねぇなぁ。俺たちは先に帰るぞー。」
ミルモたちが呆れたように眺める。
「用事でもあるの?」
「お菓子デパートがセールしてるんだ〜。じゃ〜な!」
ミルモは涎をたらしながらうっとりしている。
「ミルモ、あんまり食べ過ぎないでよ。」
「わかってるって!じゃ〜な〜!」
ミルモ・リルム・ムルモ・ヤシチの4人はそれぞれの家へ帰っていた。


ミルモ達が帰り、残ったのは人間たちだけであった。
これを見ていた、アクミとラット。
「チャンスじゃん!」
「今なら邪魔な妖精共もいない。絶好のチャンスだな。」
「よ〜し!とっとと南楓を倒してお菓子デパートに行くじゃん!」
2人が楽器を手にした時だった。
「やめた方がいいと思うけどなぁ。」
後ろからした声に2人は振り返る。
そこに立っていたのは銀色のロングヘアに、片目が髪と包帯で隠れている一人の妖精。
「お前何者か知らないけど、アタイ達の邪魔をするんなら容赦しないよ!」
「待って。・・・よく見ていて。」
アクミの脅しにも怯まず、妖精は穏やかな口調で楓たちを指差す。

「あ、楓さんたちだ!」
楓たちの元にサファイ、サスケ、ハンゾー、ヤマネ、アマネの妖精忍者がやってきた。
「皆どうしたの?」
「ヤシチの兄貴に今日は修行するかどうか聞きに来たんだぜ。」
「兄貴いないのら〜。」
「あぁ、ヤシチなら・・・。」
安純が話したとき、
「「「「「やい!お前たち!」」」」」
そこに現れたのはワルモ団。
「今日はお菓子デパートがセールをしているからな!」
「食い意地をはったミルモたちが行くのは当然。」
「相手が人間だけならばこっちのもの。」
「我らの読みどおりだな。」
「さぁ、覚悟しろ!」
ワルモ団は楽器を取り出す。
楓達は思わず一歩下がってしまう。
「そんなことさせないぞ!ワルモ団!」
「私も戦うでございます!」
「元首領とはいえ、今は敵だぜ!」
「覚悟するのら〜!」
「この方たちに手は出させません!」
ヤマネ達は手裏剣や楽器を手にする。


■ 梨璃 (114回/2011/04/11(Mon) 23:56:14/No3739)

第2話 謎の妖精

「相手が子どもとはいえ容赦はしないぞ!」
「「「「「しないぞ!」」」」
ワルモ団はサファイの元へ向かう。
「まずはお前からだ!子ども相手に倒される我らでは・・・!」
「氷忍術!氷柱落とし!」
サファイが唱えると氷柱がワルモ団の元へ落ちる。
「「「「「ぐああああ!・・・ならばこっちだ!」」」」」
サファイの忍術から何とか逃げたワルモ団はヤマネの元へ。
「ヤマネはてんだん!」
ヤマネの必殺技がワルモ団に命中。
「こ、子どもとはいえゆだんした。ならば・・・元子分のサスケ、ハンゾー覚悟しろ!」
次の標的はサスケとハンゾーに決めたらしく、2人へ攻撃を仕掛ける。
「わわ!どうしようだぜ!」
「と、とりあえず手裏剣でもなんでもなげてみるのら〜!」
2人は手裏剣、身近にある物を投げつづける。
奇跡的に命中したらしい。
「くっそー!もう容赦せん!・・・そうだ、そこの女。お前怖いだろ・・・?」
怯えているアマネをみるとワルモ団は一斉に攻撃をはじめる。
「怯えている相手など我らに勝てるわけが無い!」
「お前を人質にとってやる!」
ゴローはアマネの腕をつかむ。
「え、や、やめてください!こっちにこないでぇ!」
アマネは振りほどいた。
しかし、怪力の持ち主アマネにかかれば投げ飛ばすのと同じ物だった。
投げ飛ばされたゴローはワルモ団にぶつかり、空へ飛んでいった。


「こ、こわかったぁ・・・。」
アマネの元へサスケ達が近づく。
「あ、相変わらず怪力だね、アマネちゃん。」
「リルムと同じぐらいの力だろうな。」
楓たちは呆然と見ていた。
「・・・でも皆ありがとう。助かったよ!」
楓はにっこりと笑うと、サスケ達は少し照れたように笑った。




「・・・ね。言ったとおりでしょ?」
「確かにな・・・。でも何でお前分かったんだ?」
「それは教えられないな。・・・じゃあまたね。」
「また・・・?どういうことだ。」
ラットが聞く。
「・・・すぐにわかるよ。」
その妖精は団扇で飛んでいった。


■ りょく (241回/2011/04/13(Wed) 20:56:48/No3741)


梨璃さん、こんにちは!

ネズミの両親に何があったのでしょうか?
とても心配です(´・ω・`)

いつの間にか眠っていたラットが可愛いvv
寝てる間に覆面を剥がされる心配しなくていいのかな…(^-^;)
(素顔で勝負しろと言ったワルモ団に「お前らだって覆面じゃん」と一刀両断したアクミの前なら平気なのかも)
アクミの前では気を許してるとかだったらいいなー、なんて…ニヤニヤ

ちび妖精達にやられるワルモ団はまさに雑魚キャラ(超失礼
本人達に聞かれたら「何をー!」と怒るでしょうね(笑

突然現れた謎の妖精が気になります。
アクミとラットにとって敵か味方か男か女か…。
予想が付かない展開にハラハラさせられっぱなしです。

では!


■ 梨璃 (115回/2011/04/14(Thu) 21:36:53/No3743)

りょくさんこんばんは☆

プロローグの妖精は・・・かなり先になってしまいますがお楽しみに^^;

寝ている間に覆面を剥がすのはアクミは試みたけど出来なかったら可愛いです。
アクミの前では気を許すなんてニヤニヤですね^q^

ちびっこ妖精と雑魚・・・ワルモ団のシーンは最初はあっさり終わるはずだったのですが、以外にも1話使い切るほど・・・。

謎の妖精の正体をお楽しみに・・・^^
性別は今回で明らかに!

では続きです!

第3話 もう一人の味方

翌日、アクミ・ラット・ワルモ団・そして新しくダアクの手下に入ったチハルは公園に呼び出されていた。
呼び主は無論ダアク。
「お前たち、人間の娘一人に随分と苦戦しているようだな。」
「も、申し訳ございません!」
アクミ達が頭を下げる。
ただ一人チハルは興味が無いようだが。
「お前ら昨日ちび共に負けてただろ!情けないな。」
アクミはワルモ団へ怒りをぶつける。
「何だと!あ、あれは油断しただけだ。」
「「「「しただけだ。」」」」
アクミとワルモ団は互いににらみ合う。
「ラットさん、この後2人で遊びに行きましょう〜」
「一人で行ってろ。」
「相変わらず冷たい・・・。でもそこが素敵です!」
チハルのアピールにアクミは思わず反応してしまう。
「ちょっと待て!今ダアク様のお話を聞いてなかったのか!」
「聞いてたけど〜まぁいいじゃない。アクミには関係ないでしょ?」
「よくねえ!確かに関係ないけどな・・・」
今度はアクミとチハルの睨み合い。
「なんか新しく入ったチハルって奴かわってるな。」
「ダアク様にも歯向かっているし。」
「恐ろしい奴だ。」
「どうやらラットに好意をもっているようだがな。」
「同じ覆面の癖に生意気な・・!」
と一人闘志を抱くゴロー。
それをダアクは呆れたように見ていた。
「・・・お前らまだ話は続いているぞ。」
ダアクが言ったが誰も聞いてはいなかった。


「いいじゃないですか、ダアク様。」


後ろを振り返れば、鉄棒の上に乗っている一人の妖精。
昨日アクミとラットとあった妖精であった。
「お前昨日の・・・。」
「何だ小僧?今我らは・・・。」
「こんにちは。僕はアシラ。ダアク様の手下に入った者だ。」
昨日のように穏やかな口調で話す。
「「「「「な。なにいいいいいいい!?」」」」」」
チハル、ラット以外の2人は信じられないようであった。
「ど、どういうことですかダアク様!」
「・・・新しい戦力だ。これからは協力してもらうぞ。手始めにアクミ、ラットと行動してもらおう。」
ダアクはそう言い残すと姿を消した。
「そういうわけ。よろしくね。」


■ 梨璃 (116回/2011/04/17(Sun) 21:38:14/No3747)

第4話 アシラ
「それじゃあ、早速行こうか?作戦があるんだ。」
「まぁ。今回はお前の作戦に協力してみるよ。」
「・・・俺も、協力させてもらう。」
「ありがとう。じゃあ行こう。」
アシラはふとチハルと目が合う。
「よろしく。」
「・・・えぇ。」




「へぇ。彼女が南楓・・・ね。」
「あぁそうだよ。」
上空にて登校している楓たちをアクミ達が偵察している。
「じゃあ、僕があの妖精たちの相手をする。アクミちゃん、ラット君は南楓の相手をしてくれるかい?自分の任務が終わったら南楓の攻撃に加わること。・・・いいかい?」
「いいけどさ、認めたくないけどあいつら結構強いぞ。」
「そっか。逆に倒されないように気をつけないとね。まずアクミちゃんが注意をひきつけてくれるかい?」


「日高さん!結木君から離れてよ!」
「南さんが離れればいいでしょ!?」
「・・・お前らな・・・。」
何時もと同じ登校風景。
「お前たち!」
そこへ、アクミ・ラットの2人。
「またお前らかよ〜。しつけえな〜。」
ミルモはめんどくさそうな顔をしながら言う。
「ふん!今日はアタイらの勝ちだからな。」
「勝ち?しょうがね〜な。とっとと懲らしめてやるぜ。」
ミルモは楽器を取り出す。
アシラはミルモ達の後ろに少し離れて立っていた。
その時、アシラはミルモ達に向かってカプセルを投げる。
カプセルに当たったミルモたちはカプセルの中に閉じ込められてしまう。
「なんだ!?」
「此処から出せでしゅ!」
「でも、何処から攻撃をしてきたんでしょう?」
「くっ・・・楽器が出せない・・・!?」

「いい気味じゃん!」
「ミルモ・・・!?皆大丈夫!?」
「気を抜くのはまだ早いよ!アクミでポン!」
アクミが魔法をかけると、楓たちに向かって近くの植木鉢が投げつけられる。
「きゃぁぁ!」
「楓!」


■ 梨璃 (118回/2011/04/19(Tue) 22:00:22/No3762)

第5話 実力

「南!」
「南さん!」
結木達も叫ぶ。
楓は恐怖のあまり立つことしか出来なかった。

「やぁみんなおはようっ!?」
曲がり角から桐生、沙織、そしてサファイのパートナー瀬川。
植木鉢は桐生に当たった。
「イタタタタ。おや、君たちこの間の遠足もいたよね。駄目じゃないかこんな事しちゃ・・・。」
桐生は涙を浮かべながら言った。
「お前には関係だろ!」

「・・・まさか、彼が・・・。」
後ろから聞こえた声。
声の主はアシラ。
「2人ともありがとう。見事にミルモ王子たちを捕獲できたよ。ちょっと強力な魔法がかけてあるから、魔法は無理だよ?」
「誰だお前は!」
カプセルの中からミルモが叫ぶ。
「僕はアシラ。思っていたより弱いから退屈だなぁ。・・・南さん?倒される準備は出来たかい?」
「・・・楓には手出しさせないわ。」
「僕も南さんには手を出させないよ。」
「南、お前は隠れてろ。」
「・・・沙織、瀬川君、結木くん・・・。」

「くそぉ・・・俺はあきらめねぇぞ!!」
ミルモがカプセルの中から叫んだ。
その時ミルモの手にはマラカスが握り締められていた。
「そんな馬鹿な・・・!この魔法を打ちやぶるだと・・・。」
「ミルモでポン!」
カプセルは割れ、ミルモの姿が見える。
その表情は怒りに満ちていた。
「よくも楓を・・・!絶対にゆるさねぇぞ!」
しかし、アシラはそんなミルモを見ても笑顔であった。
「さすがは、1回ダアクを倒したことはあるね。そうでなくちゃ。」
そう言うとアシラも二胡を取り出す。
「アシラでポン!」
魔法を唱えると突風が起こる。
「くっそぉ!ミルモでポン!」
ミルモは前に巨大な壁を作り身を守る。
「・・・凄い奴だな・・・ってラット如何した?」
「・・・いや。(こいつ、妙だ・・・)アシラ!」
「・・・なんだい?」
戦いの最中でもアシラは穏やかな口調であった。
「今日は此処で引き上げるぞ。お前に用がある。」
「・・・しかたないね。確かに今回はやめておこう。」
そう言うと突風は収まった。
「おいまて!逃げるのか!!」
「この勝負はまた今度。じゃあね〜。」
そう言い残して3人は去っていった。
「何なんだあいつ。」


「それで、何のよう?」
先程の公園にアシラとラットが立っていた。
「お前・・・一体何者だ?俺たちとは違う。ミルモの里・・・いや里周辺の者でもないな。」
「・・・何でそんな事を聞くんだい?」


■ こやまる (1102回/2011/04/21(Thu) 08:35:15/No3768)
http://www.murumoya.com/


梨璃さん、皆さん、おはようございます☆

謎の妖精アシラの存在により、楓やミルモたちが大ピンチですね。
アニメではごおるでんのラストに入るまではずっとミルモたちの方が優勢でしたが、これは新たな展開が見られそうで楽しみです。
そしてヤシチとは違って出来のいいラットは、アシラについて早速何かに気付いた模様…。
自然とラットの身の危険を感じてしまうのですが、果たして・・・?
そして第2章でいきなり目立っていない(?)チハルとどういうやり取りが交わされるのかも気になるところです。
それとアマネとサファイの関係も・・・(^◇^;)。

>「ふん!今日はアタイらの勝ちだからな。」
この威勢の張り方がアクミっぽくてかわいい(^^)。
でもアクミもプライドが高いから、自分以外の妖精がミルモたちを倒してしまうのはあまり面白くなかったりして。。
いずれにせよ、アシラの存在がダアク一味をどう引っかき回してくれるかが楽しみです〜。

それでは続きを楽しみにしています。
では!


■ 梨璃 (119回/2011/04/22(Fri) 21:10:36/No3774)

こやまるさんこんばんは☆

アシラの登場により、他の妖精が目立たなくならないように気をつけなければならないんですよね^^;
有利なアクミ達は描いていて楽しかったです。

チハルはこの後目立つはずです。

サファアマの話も書いていきたいですね。

では続きです!

第6話 アシラの目的

「まずお前が使った魔法からは黒魔法の力を感じなかった。それに、見たことも無い武器を使う上に・・・ミルモ達を攻撃したときは尋常でない敵意を向けていた。・・・ミルモの命が目的か?」
ラットの話を聞き終わるとアシラは拍手をした。
「・・・お見事!結構鋭いね。さすがはラット君・・・」
アシラはそこまで言うと、先程までの笑顔とは逆に、緑色の目を開いた。
「いや、ネズミ君。」
「なっ・・・。」
思わず、同様してしまった。
「・・・ふふ。何で知っているのかって言いたそうだね。敵の事を知るのは戦いの常識だもんね。あ、このことは誰にも言わないよ。」
何時ものような笑顔に戻り、アシラは話す。
「確かに僕は里のものではないよ。ミルモ王子・・・いや、妖精、人間皆を消すためにね。勿論君たちもね。君たちに協力するふりをして、ミルモ王子たちを倒す。そして、その後で君たちを消そうと思ったんだけどねぇ。」
「ダアク様のことは如何するつもりだ?裏切るつもりか?」
「・・・・・・そうだね。そうだ、1つ提案があるんだ。」


■ 梨璃 (120回/2011/04/22(Fri) 23:05:04/No3775)

第7話 提案

「提案?」
「そう。・・・僕らの仲間になれば命は助けてあげるよ。」
「ふざけるな!誰がお前らの・・・。」
「待って。ヤマネちゃんだよね?君がダアクの仲間になることになったのは。妹さん思いなんだね。」
「ヤマネを如何するつもりだ。」
「そんな怖い顔しないで。僕の仲間になるんだったら、彼女を助けてあげる。今のダアクの力に比べれば僕の力の方が上だからね。助けるのは簡単だよ。」
「・・・。」
ラットは何も言わなかった。
「(ヤマネが助かる・・・。)」
妹を助けるために、ダアクの軍勢に入った。
助けられる。その言葉が気になった。
「・・・ただし、断るって言うのなら君の命は無いよ。こんなにも早くばれちゃうんだもん。そうだ。君よりもアクミちゃんを先に狙おうかな?」
「アクミは関係ないだろ。」
「彼女の魔力もかなりの物だからね。意外と早くばれるかもしれない。」
「ふざけるな!」
声を荒立てる。
「どうする?僕らの仲間になる?それともやめておく?答えは決まってるよね?」
「・・・あぁ、そうだな。俺の選択は」
ラットは同時にクナイを投げる。
アシラは間一髪よける。
「此処でお前を倒す。」


「・・・なるほどね。結構アクミちゃんのことも大切とでも思ってるのかな?」
「勘違いするな。お前の性格が気に入らないだけだ。」
「・・・だけどさぁ、アクミちゃんが傷ついたりでもしたらどうするの?僕の仲間がさっきのアイテム持ってるんだよね〜。」
アシラは楽しそうに言った。
再びラットはクナイを投げる。
しかし、またも避けられる。
「此処で君と戦うわけにはいかないからね。じゃあね〜。」
アシラはそう言うと地面に手をかざすと、地面からほころび穴のような空間が現れる。
「待て!」
追いかけようとした瞬間、木の上から刀を持った妖精が現れた。
「・・・どけろ。」
「此処は任せたよアンバ。」
アシラが空間に入ると空間は閉じられた。


■ ぴこまる (12回/2011/04/23(Sat) 10:10:31/No3776)

梨璃さんおはようございます^^ぴこまるです。

アシラはいったい何者なのでしょう…ラットの正体も彼がダァクに仕えている理由も全て知っているとは。
しかもダァクの部下として潜入しているのにダァクよりも力が上とは!!これからの展開が楽しみです。

しかし出来る人同士のシリアスな会話はやっぱりかっこいいですね^^なんだかんだでアクミのことを
大事に思っているラットが素敵ですwwアシラもつかみどころがない怪しい感じが実に私好みですw

そしてまたしても新キャラ登場ですね!! 刀が武器とは……彼も妖精忍者なのでしょうか?
気になります^^

続きを楽しみにしています。頑張ってくださいね!


■ 梨璃 (121回/2011/04/25(Mon) 23:21:25/No3790)

誤字訂正をお願いします。

6話
×思わず、同様してしまった
〇思わず、動揺してしまった

ぴこまるさんこんばんは☆

アシラの目的や、ダアクより力が上な理由は後数話で書く予定です。

アシラトの会話はとりあえずかっこよく書きたかったんで満足です・・*
アクミのことは大切にしてほしいです。
アシラのような悪役にみえない悪役は好みです^q^

新キャラの正体・・・是非お楽しみに^^



■ 梨璃 (122回/2011/04/28(Thu) 00:06:08/No3792)

第8話 刀使いアンバ

「そこをどけろ。」
「悪いな。アシラ様のご命令だ。此処でお前を倒す。」
アンバと呼ばれた妖精。
黒いフードをかぶり、口元をスカーフで覆っている為素顔、性別が分からない。
「だったらお前を倒すまでだな。」
「・・・その余裕何時まで持つか?」
ラットはカラクリガンを構え、引き金を引こうとする・・・しかし、アンバの姿は見えなかった。
「遅い。」
アンバはラットの後ろに回り込み、刀で切りかかる。
ラットはカラクリガンで防いだ。
相手も攻めつづけるが、ラットは防ぐ一方だった。
「守るだけか?」
「(こいつ強い・・・だが・・・)」
ラットには1つ気がかりなことがあった。
ラットはいったん距離をとり、棒手裏剣を投げる。
アンバが刀で打ち落とした時、ラットはカラクリガンを構える。
「(打ち落とした瞬間を狙うしかない・・・)」
銃を撃ち、攻撃を仕掛ける。
「・・・そう上手くいくと思ったか?」
アンバは弾を簡単に切る。
「なっ・・・」
「敵うとでも思ったか?・・・これで終わりだ。」
アンバが砂場に向かって刀で切りかかると砂嵐が起きる。
「(目くらましか・・・。どこから攻撃を仕掛ける)」
周りが見えない為どこから攻撃を仕掛けてくるか分からない。
ラットは注意を払う。
「秘義・かまいたち!」
前方から強い風で切りこまれる。
風の為ラットは防ぐことが出来ない。
「とどめだ・・・!」
ラットの目の前には刀を振り下ろすアンバの姿がいた。





■ 梨璃 (123回/2011/05/01(Sun) 21:00:31/No3797)

第9話 意外な人物

その日の放課後、楓とミルモは通学路を通っていた。
「くっそー。今日は酷い目に会ったぜ。」
「そうだね・・・遅刻しちゃう所だったよ。でも結木くんが助けてくれて嬉しかったな〜。」
楓は思い出して顔が赤くなってしまう。
「お前なぁ。・・・にしてもダアクの仲間になったアシラとか言う奴は気をつけねぇとな。」
「結構強そうだったもんね。・・・あ、サファイ君!」
公園にてサファイが手裏剣の的当ての訓練をしていた。
「あ、楓さんミルモ様!こんにちは。」
「自主トレしてるの?」
「はい!一流の忍者になる為、練習はかかせません!」
「そっか。サファイ君は道場の後継ぎだったもんね。」
「何処かの誰かも見習って欲しいな〜。」
ミルモがからかう。
「ミルモ様!ヤシチさんは修行とは思えないものもありますけど、努力は人一倍されていました!」
「いや、確かにヤシチだけどよ・・・。」
子どもは素直である。
ミルモはそう実感した。
「じゃあ私達帰るね。」
「帰って昨日買ってもらったくもっちょ新味を食うんだ〜。」
ミルモは涎を垂らしている。
「はい。」
サファイは再び的当てを続ける。
しかし、1枚それて、茂みの中に入る。
サファイは拾いに行く。
すると、
「わあああああ!!?」
サファイの叫び声に楓たちは引き返した。
「どうした!?」
「この人・・・。」
サファイの近くには傷つき、気を失っているラットの姿がいた。


■ 梨璃 (124回/2011/05/01(Sun) 22:17:49/No3798)

第10話 夢


「ネズミ!」
名前を呼ばれ振り返れば赤い髪を束ねた姿。
顔は見えない。
しかし、その姿には覚えがあった。
「いったい何のようでござる?」
「私と勝負するんだ!」
「またでござるか・・・?飽きないな・・・。」
名前を呼ぼうとしたが、言葉に出ない。
姿は段々遠ざかっていく。



「あ、気づいた!」
ラットが目を開けると楓が覗き込んでいた。
「大丈夫ですか?」
サファイも心配そうにやってくる。
「・・・夢か・・・」
小さく呟き、辺りを見渡す。
何度か偵察にきた楓の部屋。
「気を失ってたけど何かあったの?」
「(あの時・・・負けて気を失っていたのか。)」
ラットは自分が負けたこと、そして敵であるミルモとそのパートナー楓に助けられたことが情けなく思った。
ラットは起き上がり、窓辺へと歩いていく。
「ちょっと、無理しない方が・・・。」
「助けてもらったことは礼を言う。だがお前らに助けを求めるつもりはない。」
「おい、」
先程まで黙っていたミルモが声をかける。
「今朝の奴・・・アシラとか言う奴一体何者なんだ?」
「さぁな。俺も知りたい事だ。」
「・・・まさかそいつにやられたんじゃねえだろうな?」
「・・・そんなわけ無いだろ。まぁ、犯人はお前より強いってことだ。・・・その前に南楓。1つ聞いておく。」
「私に?」
楓は自分を指差す。
「何故敵である俺を助けた?」
「・・・え?そんなの怪我しているからだよ。敵も味方も関係ないよ。」
「お人好しだな・・・。」
ラットは窓辺へと歩いていく。
テーブルの端まできたとき
「ケツアターック!」
「なっ・・・!」
ミルモのケツアタックがラットに当たる。
急に食らったのでテーブルから落ちかけた所を楓が受け止める。
「ミルモ!」
楓の声は珍しく怒っていた。
「けっ、いつも俺にやられているのに俺より強い奴に敵うのか?」
「・・・なんだと!」
ラットはカラクリガンを構える。
「ミルモでポン!」
カラクリガンはラットの手から離れ、楓の勉強机の上に落ちる。
「だったら俺からも1つだけ聞く。本当はアシラにやられたんじゃねえのか?」


■ 梨璃 (125回/2011/05/03(Tue) 22:01:34/No3802)

第11話 一時休戦

「・・・何度聞かれても同じだ。これは別に・・・」
「だったら誰にやられたんだよ?」

「あれ?あれだけの怪我をして生きているなんて、結構しぶといわね。」
窓辺にはミルモ達を見下ろしている、チェックのスカートを着た一人の女の妖精。
「なんだお前?まさかお前がラットを・・・」
ミルモは楽器を構える。
「私じゃないわよ。私はアシラ様の手下のカンム。・・・今朝あなたたちを苦しめたカプセルの製作者。」
「なんだと!」
「悪いけど命令により、あなたたちを消させてもらいます。」
カンムはカプセルをミルモたちに投げる。
「同じ手に何度も引っかかるか!ミルモでポン!」
バットを出しカプセルを打つ。
「なかなかやるじゃない。・・・でも、狙いはあなた達じゃないの!」
楓に向かって無数の教科書が向かってくる。
「しまった!」
「楓さん!」

しかし、教科書は楓の前に出されたクッションにより、床に落ちる。
「まさかこいつを狙うとはな・・・。」
ラットはカラクリガンを構えていった。
「へぇ。まさか敵である彼女を助けるなんてね。」
「おしゃべりはそこまでだ!今度は俺たちの出番だぜ!」
ミルモとサファイは楽器を手にする。
「・・・では、私は此処でおさらばするわね。」
「逃げるのか!?」
「違うわよ。私はただの偵察。消すと言う命令は下っているけど今回は偵察だけよ。」
カンムはその場で消えてしまった。



「ラット、どういう事か全て話してもらうぜ。」
「・・・わかった。」


ラットはアシラとの出来事を話した。
「なるほど。結局アシラってやつじゃねえか。」
「でも目的ってどういうことでしょう?」
「そもそもアシラくんって何者なんだろ?」
「・・・情報が足りないな。」
ミルモたちは考え込む。
「とりあえずラット。今は一時休戦だ。アシラを倒すぞ!」
「ミルモ!?」
「ぼ、僕達じゃ無理ですよぉ・・・」
サファイは震えた声で言う。
「うるせぇー!お、俺より強いってのが気にくわねえんだよ!」
「・・・いいだろう。お前の作戦に乗ってやってもよい。」
「てめーなんで上から目線なんだ!」
「お前に従うつもりはないからな。」
「なんだとぉ!!」

ミルモとラットの言い争いを楓とサファイは見ていた。
「い、いいんでしょうか?」
「・・・きっとミルモ、ラットが怪我をしているのほっとけなかったんじゃないのかな
。」
「そうなんですか?」
「素直じゃないからね。」



■ いっちゃん (71回/2011/05/04(Wed) 20:53:39/No3804)

梨璃さん、こんばんは!

おぉ〜いつのまにやらラットが大変なことになってきましたね。
しかし、本当にアシラは一体何をしようとしているのでしょうか・・・?
だんだんダアクがなんでもないように思えてくる・・・(笑)

私は結構梨璃さんの書く小説でのヤシチの扱われ方が好きだったりしますww
あの皆にバカにされてる感が最高です。
サファイ・・・それ、ヤシチに言わないようにね(笑)

しかし、ラットの夢にでてきた妖精が気になっています。
束ねた赤い髪というのをみて「アクミかな?」とも思ったのですが、一人称が「私」だったので違うと判断しました。
私はプロローグとなにか関係があると考えています!

それではっ!


■ 梨璃 (126回/2011/05/07(Sat) 22:53:11/No3835)

いっちゃんさんこんばんは☆

アシラの行動は書いていて楽しいです。
ダアクがなんでもない存在になってきてはいますが、最後に活躍・・・してくれると思います。(え

ヤシチは皆から馬鹿にされてこそヤシチなのでこんな役回りです。
愛はありますよ!

ラットの夢に出てきた妖精もお楽しみに^^*

では続きです!

第12話 賑やかな登校
翌日、楓はミルモとラットを連れて学校へ向かっていた。
「はぁーくもっちょくもっちょ・・・。」
「食べたいのなら食べばいいではないか?」
「てめぇー!ルール分かってていってるだろ!」
「ははは・・・。」
それは昨日の事、サファイが帰った後にミルモは新発売のくもっちょを食べようとしていたのだが、すぐに「妖精は一家に一人。その間お菓子は食べられない」事をを思い出した。
自分から言い出したのだから帰れと言うわけにはいかない。
一晩中ミルモはくもっちょをみては溜息をついていた。
ミルモとラットの言い争いに呆れていた楓だったが、前方に結木を見つけると駆けて行った。
「結木くーん!」
「おす。」
「おはようございますわ。ミルモ様、楓様。・・・あら?どうしてラットさんが?」
「あ、実はね・・・。」
楓が訳を話そうとすると、楓の頭に靴が、そしてミルモの頭手裏剣がぶつかる。
「結木くんに近づくんじゃないわよ!結木くーんおはよう。」
「お、おお・・・。」
「痛いじゃない日高さん!結木君から離れてよ!」
楓は結木の腕にしがみ付いている安純をにらむ。
「あんたが離れればいいでしょ!」

「てめぇヤシチ!いきなり何しやがる!」
「はーはっは!油断しているお主が悪「ケツアターック!」
ヤシチが言い終わる前にミルモの攻撃。
楓と安純、そしてミルモとヤシチの喧嘩が始まる。
そこへ松竹、ムルモの2人がやってくる。
「南さーんおはよう!」
「相変わらずおにいたまは馬鹿な事をしてるでしゅね〜」
松竹の挨拶・・・むしろ松竹がきた事にも気づいていない楓であった。
松竹はもう一度声をかけようとしたが、ヤシチの打った手裏剣が松竹にあたり、ムルモのすぐ隣を通り過ぎる。
「いったああああ!」
「なにするでしゅかああああ!」
ミルモとヤシチの喧嘩にムルモも加わり賑やかとなる。

「毎度毎度あきないのか?」
ラットは結木の頭に非難し、眺めていた。
「そうですわね・・・。」
「いいかげんにしないと遅れるぞ。・・・今日は長引きそうだから先に行くか」
結木は読んでいた本から一旦目を放し、また本を読みながら学校へ向かっていた。


■ 梨璃 (127回/2011/05/07(Sat) 23:04:00/No3837)

第13話 チハルとミルモ達

「まぁ!そんな事があったんですの!?」
楓達の授業中、ミルモたちは屋上でラットとのことを話した。
「全く、危険な事になったなぁ。」
「でもラットさん、アクミさんにも話しておかないと・・・。」
「そうしたいが、昨日から連絡が取れなくてな。」
「それにやつらの対策も考えないとな。」
5人で話し合っていたとき。
「ラットさーん!」
声のした方をみれば心配した顔でチハルがやってくる。
「心配しましたよ!急にいなくなるんですもの。」
「あの、この方は?」
「あ、アタシはチハル!一応ダアクの手下よ。」
「ダ!ダアクさんの!?ミルモ様・・・?」
「あ、俺ミルモっていうんだ〜。」
「拙者はヤシチだ。」
「僕ムルモでしゅ〜!キャハ」
デレデレのミルモとヤシチ、そしてぶりっ子のムルモ。
「ミルモ様あああああ!」
リルムがミルモ達を睨む。
「皆さんよろしくね〜。ラットさんとは恋人同士なの。」
「なってない!」
「照れなくてもいいじゃないですか〜。」
「え、ええええええええ!」
ミルモたちは驚いた声を出す。
「お前まさかラットをねえ・・・。」
「人の好みはそれぞれとはいいましゅけどね。」
「どういう意味だ!」




「まったく、急にラットの奴どこか行きやがって・・・!」
住宅街をアクミが絨毯に乗りつつ愚痴を零す。
「標的発見です。」
アクミの目の前に紫の髪をポニーテールにした妖精が現れる。
「何だお前。アタイに何か・・・」
アクミの声が小さくなっていき、アクミはその場にバタリと倒れてしまった。
「私の力。思い知る事です。」


■ ぴこまる (18回/2011/05/08(Sun) 10:20:00/No3838)

梨璃さんおはようございます!!

ラットとミルモという組み合わせもなんだか新鮮ですねwwしかしなんとなくヤシチとネズミの組み合わせと
雰囲気が同じに感じるのは、ミルモとヤシチがなんとなくからかったときの反応が似てるからなんでしょうか(笑)

今まで敵として散々攻撃を仕掛けてきたラットが楓やミルモと一緒にいるのにみなさんほとんど気にしない
あたりがいいですね。彼ららしいというかwリルムとラットは一章で絡みがあったせいもあってなんとなく
仲良く見えますね^^

チハルはにこやかにミルモたちと接触しましたがチハルも結構怪しい存在ですからね……今後どうなっていくか
非常に気になります。そして年相応の男の子の反応なミルモたちも可愛らしいw普段はお菓子ばっかりでも
やっぱりかわいい子にはしっかり反応するんですね。

アクミの方にも敵が来たようでさらにシリアスになっていきそうです!
続きも楽しみにしていますね!! ではでは^^


■ 梨璃 (129回/2011/05/08(Sun) 22:48:14/No3849)

ぴこまるさんこんばんは☆

ミルモとラットの組合せは昔から気に入っています^^*
近くに料理苦手がいたり、妖精としては珍しく一人称が俺とか・・・。

敵としているのに殆ど気にしない、それが妖精クオリティ又の名をこのアニメのお約束でしょう。(何だそれ
リルムとラットの絡みも書いていて楽しいですが、ムルモとラットの絡みもお気に入りです。

ようやくここでチハルもちゃんと登場です。
チハルの目的も、ここから明かしていきます。

では!


■ 梨璃 (130回/2011/05/09(Mon) 22:27:55/No3856)

第14話 スバル、再び

先程のメンバーにチハルも加わり、賑やかになった屋上。
「あの、アクミさんに連絡が取れないのなら探しに行ってみてはどうでしょう?」
「そうだな。めんどくせぇけど・・・。」

「何集まってんだ?」
そこへ、アクミが不思議そうな顔をして絨毯に乗っていた。
「アクミ!」
「無事だったんでしゅね。」
「なにか知らないけど、心配かけたみたいだな。悪い。」
アクミは屋上に降り、頭を下げる。
「・・・アクミさん実は・・・。」
「お前、アクミじゃないな?」
ラットは冷たく言い放った。
「ラット?お主何を言ってるのだ?」
「納豆しゃん何を言ってるんでしゅか。」
ムルモが名前を間違えているが、ラットは何も言わなかった。
「正体をあらわせ。」
「そうだよ、ラット何を言って・・・。」
「ラットさんがそう言ってるのよ!正体をあらわしなさい!」

「・・・偽者だとすると。あなたの正体はツクモ・・・ですね。」
団扇で飛びながら、冷静に言い放つのはスバルであった。
「だ、誰だお前?」
「ああああ!あなた以前アクミさんとデートなさっていた・・・!」
「スバル!あんた遅いのよ!」
アクミは小さく笑った。
「・・・ばれましたか。」
アクミが倒れるのと同時に妖精が姿を表す。
「・・・確かに彼の言うとおり、彼女の体を貸してもらっていました。私の名前はツクモ。
アシラ様から偵察されるよう言われましたけど、なかなか強そうですね。では、私の力をお受けください。」
ツクモは胡弓を取り魔法をかける。
「ツクモでポン!」
ツクモの魔法により周りに積み重なれていた、机や椅子がミルモ達に襲い掛かる。
「わっ!」
ミルモ達がかわしても、意思を持つかのようにミルモ達を追いかける。
「なっ、どういうことだ!?」
「まるで生きてるみたいでしゅ。」
ミルモがかわした椅子の1つがアクミの元へ行く。
「しまった!」
「アクミさん!!」
スバルが叫ぶと同時にラットがアクミを抱きかかえよける。
しかし、少し遅れた為ラットの体と椅子が接触する。
「ラット!」
「よくもラットさんを・・・!チハルでポン!」
チハルが魔法をかけると机・椅子の脚にロープが巻きかかり、動きを封じる。
「僕もいきますよ!」
スバルはオーボエを出し魔法をかける。
「スバルでポン!」
スバルの魔法により、動きを封じられた数個の椅子がツクモ目掛けて飛んでくる。
「くっ・・・さすがですね。ここは退散としましょう。」
ツクモの姿が消える。



■ 梨璃 (131回/2011/05/09(Mon) 23:16:45/No3857)

第15話 心配

「ま〜たアシラの手下かよ。」
「うう。なんだかもう少しいそうでしゅね。」
ミルモとムルモは落ち込む。


「・・・・・・ここは?」
アクミは目がさめたのか、辺りを見渡す。
「アクミさん!大丈夫ですか?」
リルムが近寄る。
「な、なんでお前がここにいるんだよ。」
「よ、よかったです。ご無事ですか?」
スバルが顔を赤らめながら尋ねる。
「あれ?スバルじゃん。久しぶりだな。なんでいるんだよ。」
「話せば長くなるんですけど・・・。」
ミルモ達はアシラの事、そして今の状況を話した。
「それ本当か!?」
「信じられないかもしれないけど、本当だ。」
「・・・確かに妙な奴とは思ってたけどよ・・・。信じるしかないのか・・・?」

「あら、ラットさん、手を怪我をされてますわ!」
ラットの手は少し赤く腫れていた。
「もしかして、先程アクミさんを庇われた時に怪我を・・・。」
リルムが心配そうな顔をする。
「馬鹿じゃねーの?」
アクミが呟く。
「ラットさんはあんたを庇ったのよ!それを・・・」
チハルが怒る。
「アクミ。お主、ここはそんな事をいうべきでは・・・。」
「なんで、アタイなんか庇ったんだよ。こんな怪我なんてして・・・。」
アクミの声は震えていた。
「・・・・・あの場にいられたら邪魔なだけだったからな。」
「それどういうことだよ!」
「もうこれだけの元気が出るとはな。それだけがお前のとりえだからな。」

「でも、素敵ですわ〜!大切な方を守るため助けに行くなんて、これぞ愛の力ですわ〜!」
「な、ななななに言ってるんだ!!!」
アクミは顔が赤くなる。
「・・・・・ところで、スバル。お前は先程の女・・・ツクモの事を知っているようだったが。」
「・・・・わかった。まさか君たちに被害が行くとはね。・・・全て話すよ。」


■ 梨璃 (132回/2011/05/13(Fri) 22:50:49/No3859)

第16話 2人の目的

「僕の名前はスバル。・・・シエル族の王子です。」
「アタシはチハル。スバルとは幼馴染。」
「ちょっとまて!シエル族ってなんだ?」
ミルモが聞く。
「あなたたちの住む里やグルミ族が住む場所よりも遠くにある古く小さな里です。」
「人口は少なめだけどね。」
「そして、アシラや先程のツクモ、また昨日ミルモさんたちを襲ったカンムは僕らと里と昔敵対していたテラー族の一人。・・・いや生き残りと言った方が正しいかもしれませんね。」
「生き残り・・・でしゅか?」
「シエル族はあなたたちの里ができるよりも前につくられました。2つの里は魔力の強い者でした。初代の王は『魔法を皆が幸せに暮らせるように。人間の為に尽くせ』と決めていました。しかし、隣にあるテラー族の初代の王はその考えを否定しました。『魔法は自らの為に使え。人間の為に使うなど馬鹿げている』・・・これが原因となり戦争が行われました。」
スバルは一息つく。
「戦争は数十年にもかかって行われたの。戦争はアタシ達シエル族の勝利。
テラー族は何人もの人が犠牲になったわ。」
「あいつらはその一族の子孫。・・・ということか。」
「そう。その戦いの後テラー族は里を離れたの。そして、戦争が終わった後、ガイア族が現れたそうよ。。」
「何故ガイア族が?」
「ガイア族は『数百年後、再び戦が起こる。テラー族の王の子孫が再び動く。』
。そう伝えに来たわ。」
「そこで僕らの王は自らの命を引き換えに魔力を全て使い一人の妖精を生みだしました。再び戦争が起こったとき、その代の王子はこの妖精に力を借りるよう・・・。それが僕らに代々継がれていきました。」

「え〜っとつまり、今戦争が行われていようとしている・・・ってことか?」
「そうです。・・・まさかあなたたちにも被害が及ぶとは、真に申し訳ございません。」
スバルは頭を下げる。
「いや、お前が謝る事ねえよ。」
「それで、チハルしゃんとスバルしゃんがこっちへ来たんでしゅね。」
「・・・スバル、あんたもう1つ忘れてない?」
「えっ・・・!!いやそれはぁ・・・・」
スバルの顔が途端に赤くなる。
「スバルのお父様。つまり今の王様は人間界に行った際、誰か婚約相手でも見つけてきたらどうだ・・・と仰ったわ。」
「へぇ。相手は見つかったのか?」
アクミが聞く。
「・・・・い、いいいいいいいえいえ。そそそそそんな暇ありませんよぉ!」
「そこまで慌てなくても・・・。」
「・・・それと、アタシ達はあなたたちの里に行く用事があるの。・・・あなたたちの里にこの戦いを調べている者がいるときいてね。」





■ 梨璃 (134回/2011/05/15(Sun) 23:38:20/No3865)

第17話 忍者と花と

ミルモ達が屋上で話していたころ、河原ではサスケ、ハンゾー、ヤマネ、サファイが走りこみをしている。
「いっちにーだぜ!」
「さんしーなのらー」
「いっちにー」
「さんしーでございます。」
そして何週か走り回った後、近くの岩に座り込んだ。
「ふぇぇー結構疲れたぜ。」
「でも、これで体力ついたんじゃないの?」
サスケとサファイが肩で息をする。
「自手練をして兄貴をぎゃふんといわせるのら〜!」
「ハンゾー先輩、『ぎゃふん』は違うと思いますが・・・。」
とヤマネが突っ込みをいれる。
「でも、アマネもくればよかったのにな〜。ヤシチの兄貴も喜ぶはずだぜ。」
「なのら〜。」
と、4人で談笑していた。


「おやおや、子ども達か〜。2人が強いとは聞いたけどね。」
背後からの声に4人は振り返る。
そこに立っていたのは、水色の髪を三つ編みにした男の妖精。
4人は岩から降りる。
「お前誰だぜ?」
「ウ〜ン・・・。」
妖精は少し考えたように言った。
「やっぱり子どもは対象外だ。」
「意味がわからないけど、一体何の用があるのら〜?」
「俺はロウェル。アシラ様の目的で会いに来たよ。」
4人は顔を見合わせる。
「アシラって誰だぜ?」
「僕も知らないのら〜。」
「僕も。」
「私も・・・。しかし、あの方からは敵意を感じます。」

「子どもを倒すってのはあまり気が進まないけど・・・いくよ?」
ロウェルはクラリネットを出し、魔法をかける。
「ロウェルでポン!」
するとサスケ達の足元の草が足に絡まり、バランスを崩して倒れてしまう。
「わあ!」
「痛いのら〜」
ヤマネとサファイは苦無を手にし、草を切り、サスケとハンゾーに絡まっている草も切る。
「岩の上に逃げるぜ!」
サスケ達は岩の上に逃げる。
「無駄だよ〜。」
草は急速に伸び、サスケ達に襲い掛かる。
「空へとびましょう!」
4人は団扇を出し、空へ逃げていく。
「兄貴に助けて貰おうぜ!」
サスケは電話を出し、ヤシチにかける。
「如何したサスケ?」
「兄貴ぃ!今川原で・・・!」
「そうはさせないよ!」
ロウェルは薔薇の花束を出し、宙に放る。
「ロウェルでポン!」
魔法により、薔薇の花弁が舞いサスケ達の視界を遮る。
「サスケ!いったい何が・・・!!」
電話の向こうでヤシチが叫ぶ。
「前が見えないよ!」
4人が混乱していると、先ほどの草が足に絡まり引き込まれ、地面に叩きつけられる。
その衝撃により、電話は切れてしまった。


■ りょく (251回/2011/05/18(Wed) 22:50:46/No3871)

梨璃さん、こんばんは!

スバルはシエル族の王子様だったのですね〜。チハルちゃんは強気なので、彼女の方が地位が高いのかと思ってました。
ミルモやムルモも王子なのにワルモ団の他にそこを意識している妖精はほとんどいないので、妖精界の王族は王以外はあんまり偉くないのかも。

自主トレをしているちび妖精四人が可愛いです。兄貴がいない方がまともな修行が出来てますね(笑

水色の髪を三つ編みにした男の妖精は、なんとなく三つ編みを左右にした男の娘が思い浮かびましたが、んなわけないか。

では!


■ 梨璃 (135回/2011/05/25(Wed) 02:05:35/No3881)

りょくさんこんばんは☆
お返事送れて申し訳ございません・・・。

スバルは王子に見えませんが、王子ですw
チハルは最初は姫の設定だったのですが、一般にさがりました^^;
妖精界の王族は王以外はあんまり偉くない・・・・
意外とそうかもしれませんね。

自主トレは可愛く描きたかったので可愛いといってくださって嬉しいです。
ヤシチがいない方がまともな修行・・・兄貴涙目ですねw
ロウェルはちゃんと男ですよw


では続きです。
第18話 師弟

「どうしたサスケ、ハンゾー、ヤマネ!!」
「おい、今のって・・・・?」
「もしかしたらアシラの部下でしょうね。花を使っていたことからロウェルでしょうね。」
と、スバル。
「川原と言っていたな。行くぞ。」




「うぅぅ・・・!」
サスケ達は身動きが取れないよう、手足を縛られていた。
「子どもを倒すのは紳士な俺には辛いけど、命令だから・・・ね?」
ロウェルはクラリネットを構える。
「そ、そうやって余裕こいていられるのも今のうちだぜ!」
「そうなのら〜!兄貴がお前なんてボロボロにしてくれるのら〜!」
「兄貴?」
「私たちの師匠でございます!」
「今のうちに逃げた方がいいんじゃないのか!」
「・・・それは怖いねぇ。そんな口が利けないようにしてあげるよ!ロウェルで・・・・!」
魔法をかけようとした瞬間、上空から巨大な手裏剣が降りかかる。
「なんだ?」

「お主・・・よくも拙者の大切な弟子に・・・・!」
ヤシチがロウェルを睨む。
「「ヤシチの兄貴!」」
ミルモたちは地上に降りる。
「拙者の大切な弟子に・・・!ヤシチで・・・?」
ヤシチがトライアングルを構えたが、先ほどまでいたロウェルの姿が消える。

「緑色の髪に綺麗なカールヘア・・・。あなたの桃色の服と似合っていますよ。僕はロウェル。お嬢さんお名前は?」
とロウェルはリルムの前に立っていた。
「え、リ、リルムですわ・・・。」
「ふふ。あなたにお似合いの可愛らしいお名前ですね。この花をどうぞ。」
ロウェルは赤い薔薇の花束をリルムに手渡す。
「ま、まぁ綺麗ですわね。」
リルムは苦笑いを浮かべながらも受け取った。
「おい!貴様・・・。」
ヤシチが怒鳴るが、リルムの前から消え、今度はアクミの前に立っている。
「赤い髪と黒い服。あなたの可愛い耳を飾るピアスも素敵です。お嬢さんお名前を・・・。」
「アクミだけど・・・お前さっきも・・・。」
「可愛いお名前をお持ちですね。ではこの花をどうぞ。」
ロウェルは赤いチューリップを渡す。
「綺麗だけど・・・。」
「おい!貴様聞いているのか!」
ヤシチが再び怒鳴る。
「何の用?俺は女の子と話しているんだ。・・・邪魔するなら君にも消えてもらうよ。・・・さすがに子どもじゃないから手加減はしないけど。」
「煩い・・・!拙者の大切な弟子達を・・・。」
「おやおや。恐いな。・・・でもさすがにこの人数はきついから、帰らしてもらうよ。」
ロウェルの姿は消えてしまった。
「お前たち、怪我は無いか?」
「大丈夫だぜ!」
「兄貴かっこいいのら〜!」
「助けていただきありがとうございます!」
「そうか。それはよかった。」
ヤシチを囲んで、サスケ達は笑顔を浮かべている。

「あの、ところでこの方たちは・・・・?」
「どうして絨毯女たちが此処にいるのら〜?」
「こいつらも被害にあったんだ。また狙ってくるかもしれねーぞ。」
「狙うのはリルムしゃんやアクミしゃんもいるかもしれましぇんけどね。」



■ こやまる (1111回/2011/05/28(Sat) 20:14:51/No3886)
http://www.murumoya.com/


梨璃さん、皆さん、こんばんは☆

だいぶレスが遅くなってしまい、ごめんなさい。
その間にも登場人物の相関図がかなり複雑なことになってる・・・!?
梨璃さんの小説は、立場上の敵対関係や、恋の敵対関係などが入り乱れているところが面白いです。
そしてその裏では忘れ去られたダアクの存在(笑)。

>「お前、アクミじゃないな?」
見事見破ったラット、お見事です。
元々ネズミは真偽を見破るのが得意そうですが、今回は何からそう判断したのか気になります。
アクミが自分から「悪い」なんて言うはずないとでも思っているのかな?

そしてちびっ子妖精忍者たちの大ピンチ…。
団扇を使って全力で逃げようとする光景に、「早くヤシチたち駆けつけて!」と、かなり手に汗握らせていただきました。
ヤシチもここは弟子たちにいい格好を見せるチャンスですね。
果たして梨璃さんは格好いいヤシチを描くのかどうか?(笑)

そしてロウェルも早速リルムに手を出すとはくせ者の予感…。
ミルモがどんな反応を示すのかなぁ。

それでは続きを楽しみにしています。
では!


■ 梨璃 (136回/2011/05/30(Mon) 23:47:14/No3893)

こやまるさんこんばんは☆

この話では恋愛をメインに書きたかったのですが、相関図がすさまじいですね。
そんな中書いていて楽しいミルリル。
そして忘れられたダアク様。
最後に出る・・・はずです。忘れなければ(え

ラットがアクミを見破ったのは、ヤマネの時と同様に違う気配のようなものを感じたんだと思います。
一緒にいる事が多いから分かったんでしょうね。

ちびっこ忍者のピンチを、ヤシチは不戦勝のようなものでしたが、ちゃんとカッコイイ兄貴はでますよ!・・・哀れな面も多いですが。

では!


■ 梨璃 (137回/2011/06/07(Tue) 22:37:22/No3906)

第19話 最後の手下

ここはアシラ達のアジト・・・。
そこのカンムの起こった声が響き渡る。
「ちょっと、ロウェル!」
「ん?どうした〜?」
「どうした〜?じゃないわよ!あんたは敵の女の子にまで声をかけて・・・。女の子だったらだれでもいいの!?」
「甘いな!年下には興味が無いんだよ。」
「そんなこと力説するな!」
それを遠くからアンバが見つめ、カンムが宥めようとする。
「い、今は喧嘩をしている場合では・・・。」

「フフ・・・賑やかだね〜。」
「「「あ、アシラ様!」」」
「そういえば2人は幼馴染だったんだよね?」
「え、はい。ま、まったくアシラ様を見習って欲しいです!」
「リルムちゃんにアクミちゃんか〜。」
とロウェルはソファーに座って遠くを眺める。
「・・・知らないで。」
「カンム、何か言った?」
「何でもないわよ!(・・・・私の気も知らないで・・・)」
「・・・おや、そういえばカムイの姿が見えないね。人間界へ向かったのかな?」
「はい。必ず敵を倒す・・・と」




一方こちらは人間界。
パピィとアマネが公園で話し合っていた。
「ムルモどこにいるのかちら?、それとアマネ!そんな消極的じゃだめよ!もっとあたちみたいに行動しないと!」
「う、うん・・・。」

「ムルモ?へぇ、君たちあいつらの知り合いか?」


■ 梨璃 (139回/2011/06/10(Fri) 22:44:42/No3920)

第20話 カムイ

パピィたちが振り返ると、黒い帽子を被り、長い前髪で目が見えない一人の妖精。
年齢は自分たちと同じぐらいであろう人物がいた。
「し、知り合いだったら如何するの?その前にあなただれよ!」
「・・・ボクはカムイ。お前たちみたいなヤツラと話すのはボクの主義じゃないんだ。囮として倒されてもらうよ。」

「や、ヤダ・・・!」
「よ、妖精忍法火とんの術!」
カムイの前に火が広がる。
2人はこの隙に逃げ出した。
「まてっ!」



「そういえばお前さっき言ってたよな 。俺の里に用があるって。」
「そうですね、ではそろそろ参りましょう・・・。」

「「助けて-!」」
「ほえ!?ぱ、パピィ!?」
「アマネ?どうしたの?」
「訳のわかんない人に追いかけられてるの!」

「追い詰めたよ・・・!」
とそこへカムイが現れる。
「何だお前?」
「ボクはカムイ。キミたちのようなバカのお相手を任されたよ。どうやらボク以外のメンバーとは会ったみたいだね。」
「誰が馬鹿だ!」
「そうだ初対面の相手に向かって!」
ミルモ、ヤシチ、ムルモ、サスケ、ハンゾーは相手の挑発に簡単に載せられる。
「フン。挑発にかかるなんてやっぱりバカだね。」
「てめええ!」
ミルモはマラカスを構える。
「といっても、さすがにこの人数じゃボクでも無理だ。・・・今回はただキミ達のバカな顔を見に来ただけだから。」
カムイの姿は消えてしまった。

「む、むかつく奴でしゅ〜!」
「随分と嫌味な奴だな。まるでネズミみたいだ・・・!」
とヤシチ。
「・・・先程のカムイは、「ボク以外のメンバーとは会ったみたい」と言っていたわね。」
「どうやら、こいつ等が俺たちの相手・・・というわけか。」
「では、そろそろ妖精界の方へ行きましょう。僕の会いたい人がいます。」

「ま、まってよ!一体どういうことか説明ちて!」
「そうですよ!」
「もしかしたらパピィさんやアマネさんにも攻撃を仕掛けてくるかもしれませんわ。」
「・・・君たちのような小さい子を危険にしたくないけれど、逆に僕たちと一緒にいた方が安全かもしれないね。」
「・・・どういうこと?」
「それについては説明するわ。」


■ 梨璃 (140回/2011/06/16(Thu) 21:54:11/No3949)

第21話 考古学者

妖精界
ミルモ達は、スバルたちの後に続いていて森の中を歩いていた。
「一体何処まで行くんだ?」
「もうすぐつきますよ。・・・見えてきました!」
そこに、1つの家が建っていた。
「こんにちは。」
とスバルはドアをノックする。
しかし、返事は無い。
「・・・いったいなんのようじゃ?」
後ろを振り返れば、籠に木の実を詰め込んだ青い髪のおかっぱ頭の妖精。
「ツバキさん・・・ですね?」
「そうじゃが一体儂に何のようじゃ?」
「僕はスバルと申します。」
「スバル・・・ほぅ、シエル族の王子か。・・・聞きたい事はあの頃の話か?」
「はい。」
「そうか、結構な客人じゃの。まぁ家の中に入るが良い。」


「なるほど。もう動いたのか。さて、相手の名は?」
「リーダーにアシラ。手下としてカンム、カムイ、ツクモ、ロウェル。そして、・・・」
「俺はアンバという奴にあった。」
「なるほどなるほど。」
ツバキは頷く。
「そもそも、テラー族の初代の王は昔人間界でパートナーを持っていた。
しかし、そのパートナーというやつは自分勝手で、妖精を道具のように扱っていたそうじゃ。」
「そんなの酷いぜ!」
「王は耐え切れずに、妖精界へ帰った。一方のシエル族の初代の王はパートナーとの信頼関係に優れていた。そこから戦争の原因がおこったのじゃ。」
皆は真剣な表情で、ツバキの話を聞いていた。
「テラー族のものは人間に対して敵対心を持っておる。人間界と共に、シエル族のものを消すかも知れんな。」
「そんな!」
「・・・心配するな。儂もお前たちの力になる。」
「ありがとうございます!」
チハルは頭を下げる。

「今夜は遅い。明日から行動を開始しよう。・・・その前に軽く夕食でも食べるか。もう一度木の実を取ってくる。」
「あ、私たちもご一緒しますわ!」




■ 梨璃 (141回/2011/06/20(Mon) 23:08:15/No3964)

第22話 師匠

ミルモたちは森で食料を探す事にした。
「じゃあ、別れて食料を探すか。」

ガサッ
近くの草むらで大きな音がする。
「まさか、アシラの手下か!」
「うぅ、今日は忙しいな・・・。」
サファイが嘆く。

「あれ?ヤシチ君たちじゃないか。久しぶりだね」
そこに現れたのは、灰色の忍者服を着た一人の妖精忍者が立っていた。
「あ、あ、あなたはシグレ殿おおおおお!?」
ヤシチが驚いた声を出す。
「な、なぜこちらにシグレ殿が…?」
「シグレ殿、修行の旅は…?」
サスケ、ハンゾーは
「この人どっかで見たことあるぜ?」
「僕もなのら〜」
「おい、誰だよおっさん。」
ミルモの一言にヤシチは怒る。
「な、おっさんだとぉ!!こちらはシグレ殿!拙者たちの暮らした村のなかでも、超エリート忍者なのだぞ!」
「ハハハ。しかたないよヤシチ君。相手は王子様なんだし。」
とシグレは朗らかに笑っていた。
「し、しかしシグレ殿ぉ…。」
「エリート忍者…?」
「そうです唯一の弟子は僕の師匠でもあるネズミ師匠だけなんです!」
と、なぜかサファイが誇らしげに言った。
「それにしてもこんなに大勢で、何かあったのかい?」
「実は…、」
これまでの出来事を話した。
「おやおや、大変だね。俺でよかったら協力するよ。」
「優秀な忍者であるシグレ殿が協力していただければ100人力でございます!」
「ありがとうね。」
「では、複数のチームに分かれて食糧をもってこよう。」


■ りょく (271回/2011/06/21(Tue) 23:10:56/No3969)

梨璃さん、こんばんは!

ロウェルさんのプレイボーイの凄いこと(笑
その上女の子に花を渡しまくってるなんて、キ、キザ〜…ラットといい勝負です!ヤマネに手を出したら兄さん飛んでくると思います。
カンムちゃん苦労人。

夕食→リルムの手作り料理→バッドエンド…にならないといいのですが…(^-^;)

では〜。


■ 梨璃 (143回/2011/06/24(Fri) 19:53:02/No3977)

りょくさんこんばんは☆

ロウェルの女の子好きの設定はお気に入りですw
ラットといい勝負って…wラットが聞いたら否定しそうです^^;

夕食の展開はBADENDになるのかどうかお楽しみにしていてください。

では☆


■ 梨璃 (144回/2011/06/24(Fri) 22:58:31/No3978)

第24話 シグレとラット

「この森には美味い木の実がある。とはいってもあまり採りすぎるなよ。」
ツバキが注意する。
「ミルモ様のために美味しい食材でお料理を作りますわー!」
「なにぃ!?」
ミルモは思わず声が裏返ってしまった。
「よかったでしゅねぇ〜おにいたま。」
「テメー!ムルモォォ!」
「皆さんの分もご用意いたしますわ〜!」
「なっ!」
リルムの料理の腕を知らない、ツバキ、スバル、チハル、シグレ以外は顔が青ざめる。
「ふむ。いい考えじゃの。そうじゃ、せっかくじゃし女性全員でつくってみんか?」
「え、えぇいいわね!ね、アマネ!」
「そ!そうだね!」
「皆様のためにおいしいお食事をお作りいたします!」
「料理は苦手だけどよ…まぁ作ってみるか。」
男性陣は不安であった。
「ラットさん!アタシラットさんだけのために作ります!」
「勝手にしてろ。アクミよりまともであったらいいがな…。」
「アタイのこと馬鹿にしてんのか!」

「ムルモ、あ、あんたはそこら辺の雑草でも食べてなちゃいよ!」
「なんでしゅって!?でもパピィの料理を食べるぐらいなら雑草の方がましでしゅよ!」
「ムカッ!ムルモのばか!」
「アホのパピィ!」

と数名が喧嘩をし始めた。
「はぁ。じゃあ分かれて食材探しに行こうか?」



「お、ラット君ちょうどいいところに。俺向こうで木の実を見つけたんだけど、一人で運ぶの大変だから手伝ってくれないかい?」
「かまいませんが。」

「楽しみだねぇ。女の子たちが作る夕飯。」
「…腕に不安のある人がいますけれどね。」
「そうなの?ヤマネっていう子の料理は美味しいから。」
シグレは笑い飛ばす。


「それにしても、何故そんな恰好をしているんだ…ネズミ。」


「…いきなり何を言い出すんです?」
「…ちょっぴり動揺してるね。…これくらい見抜けないと俺クビになっちゃうよ。」
「…やはり、シグレ様にはかないませんね。」


■ こやまる (1118回/2011/06/25(Sat) 17:52:34/No3982)
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梨璃さん、りょくさん、こんにちは☆

森での夕食はバッドエンドになる可能性大ですね。。
ヤマネを除く公式女の子妖精は料理が苦手なのばかりですが、チハルやアマネも同類なのか、それとも実は…う〜ん気になります。

そして突如加わったシグレも気になりますね。
妖精は変装を見破るのがすごく苦手ですが、あっさりそれをこなすシグレはやはりかなりの実力の持ち主なのですね。
そんな彼がこうして現れたのにも何か理由があるように思います。
その前に彼の見た目や年齢はどんな感じなのかな?
ぜひお絵描きと一緒にオリフェ紹介をお願いしたいです〜(^^)。

それでは続きを楽しみにしております!


■ 梨璃 (147回/2011/07/04(Mon) 23:36:37/No4008)

こやまるさんこんばんは☆

森の夕食はやはりバットエンドと予想ですかw
確かにヤマネ以外公式組の女の子は料理が…!
オリフェの腕は、どうでしょうか(ぉぃ

シグレは見た目は陽気なオジサンですが、かなりの腕前の持ち主です。

そろそろ続きを書かないと…!

では!




2071/ シュンの旅3部の紹介と用語
□投稿者/ ムラサメ・シュン -173回-(2009/12/31(Thu) 11:41:02)

皆さんこんにちは、ムラサメ・シュンです
今日はシュンの旅3部の紹介をしますね

シュンの旅3部0話運命のプロローグ
ノアの大戦(シュンの旅2部)により世界は崩壊した
人間界、妖精界、クリスタルランド、精霊界の
生き残った人々が絶望に生きたまま
シュン達はヒロにキョウジの持つノルンの鍵の力である
世界を構築する力を使い世界を再生させ
3年の眠りについた生き残った人々は
崩壊した世界を1つにして新たなる世界で国を2つ作った・・・
1つは力を信じるネルガル2つ目は
ノアを創りし神々はヒトがいるかぎり同じことの
繰り返しを行うと考え世界の中心に塔を建て
神々の世界を創りヒトは削除する考えを起こし
新たなる世界に作られた国であるガイアを建国した
そして強大な力でネルガルとゼウスに攻撃を仕掛け
ネルガルとゼウスで戦い勝ち残った国が
従う事を許しそれ以外を破壊する戦争
を仕組んだ・・・しかしそれをよしとせず
戦うもの達もいたそれが自由を手にする者達
が集まった集団、フリーダムである
そのフリーダムの中にミルモ達はいた
そしてネルガルにいる少年剣士と
ゼウスにいる魔術士の少女を軸に
3年の後目覚めた、
新たなシュンの旅が始まる・・・・
こんな所です。

用語の方は
ネルガル・力そのものを考える国家
魔法の力は使わないが肉体のすぐれた者が多い
ゼウス・規律そのものを考える国家
魔法に長けている
ガイア・神々の兵団全てが謎に包まれている
1つだけ分かっているのは、ヒトはオモチャとしか考えていない
フリーダム・戦いを止めるために戦う者達
ミルモ達もここで戦っている主なメンバーは
ノアの大戦で生き残ったメンバーが多い
戦争での非難民もここでかくまっている
新たなる世界・ノアの大戦後(シュンの旅2部の事)
崩壊後1つになった世界・・・名称は付けられていない
ガイアの塔・神々が住む塔周りには
バリアがあり入るのは困難である。
こんな所です

それでは。



■ こやまる (696回/2010/01/04(Mon) 22:19:57/No2085)
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ムラサメ・シュンさん、こんばんは☆

いよいよ第3部のスタートですね。
何とももやもやした終わり方をした第2部に対し、第3部は果たしてみんなが幸せを取り戻すことが出来るのだろーか?
しかしその舞台となる2つの国家はまたどちらもいわく付きな感じですね。

それと・・文章を書く際は常に読む側のことを考えて、句読点(。や、)はしっかり付けた方が良いですよ。
文章が読みにくいとストーリーも相手に伝わりにくいですので、多くの人に読んでもらいたいと思うのであれば文体にも気を遣ってみましょう。
(今回はいつも以上に読みにくさが・・・)

それでは続きもよろしくお願いします。
では!


■ ムラサメ・シュン (174回/2010/01/05(Tue) 12:14:56/No2088)

こやまるさんこんにちは、ムラサメ・シュンです。
確かに句読点などをつける事をがんばって
小説を書いてみたいと思います。
また文体の方も頑張ってみたいと思います。
こんな所です。

それでは。



■ ムラサメ・シュン (175回/2010/01/20(Wed) 09:07:55/No2131)

皆さんこんにちは、ムラサメ・シュンです。
今日は小説の続きを書いてみました。

シュンの旅3部シュウ編1話シュウの旅立ち

ネルガル帝国では今日13部隊の隊長を決める
大会をやっていた、そしてこの中にシュウはいた
しかし、この大会で起こった事件が後に
世界を命運を分ける事になる事はシュウは
知るよしもなかった、

サカタ「おい、シュウ出番だぜしっかりな・・・」
審判「ただいまより13部隊隊長決定戦を行う。」
リョウ「シュウ、お前には負けないぜ!」
シュウ「リョウ、いくぞ!」
激しい戦いとなり・・・シュウが僅差で勝つ・・・
リョウ「負けた・・・完敗だ・・・」
審判「見事、シュウ、そなたを13部隊の隊長に任命する。」
シュウ「了解しました・・・」
審判「リョウ、そなたには・・・の副隊長をやってもらうぞ!」
リョウ「わかったぜ!」
審判「そして、シュウには新開発した刀、水月を渡そう
リョウには新開発した二刀剣、新月を渡そう」
シュウ、リョウ「ありがたき幸せ・・・」
???「その刀もらったぞ・・・・」
仮面の男の手により、水月、新月奪われる・・・
シュウ「何者だ・・・」
仮面の男「我らの目的の為に、この刀は頂いていく・・・」
シュウ・リョウ「させるか!」
仮面の男「威勢だけは一人前だな・・
しかし、お主らの腕は未熟・・・」
仮面の男の術により・・・シュウ・リョウ
気絶する・・・

その夜・・酒場で・・
リョウ「畜生・・・・畜生、俺にもっと力があれば・・・」
シュウ「しっかりしろよ・・リョウ
皇帝陛下も仕方ないと言っていたぞ・・・
俺たちの手で、奪われた刀を取り返そうぜ!」
リョウ「そうだな・・もっと強くなってみせる!」
サカタ「話は大方聞いた・・一諸に同行するぞ・・」
シュウ「一諸に行ってくれるのかサカタ、
君の盾の守り方は素晴らしいからな、頼もしい!」

明朝
ネルガル「水月と新月の回収を頼む・・
それが、13部隊初めての任務だ!」
シュウ「判りました、無事に欠員を
出すこと無く回収をしに行きます。」
リョウ「そろそろ出発するぜ!」
こうして旅立つことになった、3人の若者達
果たして・・・水月と新月を取り戻せるのか・・・
続く・・・

今回はネルガル編の主人公
シュウの旅立ちを書いてみました
ネルガル編の主なキャラは

シュウ・ネルガル編の主人公かなり明るい性格で
友達が多い絆を大事にする性格
そのためか3人のリーダー
反射神経はかなり良い
リョウ・シュウの幼馴染、主に槍と二刀剣を得意とする
かなり炎のように熱い性格
サカタ・シュウの幼馴染、戦うのは得意ではないが
盾を使い味方を守る事が得意
3人のなかでは一番状況判断が一番上手い
リョウとは性格が反対だが何気に気が合うところもある
こんな所です。

それでは。








■ ムラサメ・シュン (176回/2010/01/26(Tue) 17:56:33/No2145)

みなさんこんばんは、ムラサメ・シュンです。
今日は小説の続きを書いて見ました。

シュンの旅3部レナ編1話卒業試験

ゼウスでは国を守る為に新兵を訓練していた
そして新兵のレナは仕官学校にいた
今日レナの訓練生の卒業試験が始まろうとしていた・・

ホーク「おい、レナ!いつまで寝てるんだい
もうすぐ俺たちの卒業試験が始まるぞ!」
ロック「ドレイク隊長と互角以上の戦いをすれば・・
ゼウスのエリート部隊に入れるぞ!」
ドレイク「これよりお前らの卒業試験を行う
お前達ヒヨッ子達が、どれ程成長したか、
試してみるぞ、いくぞ・・勝負だ!」
レナ「フォースフィールド・・・皆を守って・・」
レナ、ホーク、ガイに守りの力が加わる・・・
ドレイク「なかなかいい手だ・・ならば、
これでどうだ!阿修羅連撃」
ホークに連撃があたりそうになる
ホーク「何とかよけれたか・・・・」
ドレイク「なかなかいい反射真剣だ・・・」
ホーク「冗談じゃない、まぐれもいい所だ」
ロック「俺が足止めを行う、その間に2人は攻撃してくれ
行けー、ダイヤモンドダスト!」
吹雪がドレイクの動きを止める
ドレイク「なかなかの技だがそれだけでは足りん!」
レナ・ホーク「いけー!ツイン・バードアタック!」
レナとホークが高速でドレイクを攻撃する・・」
ドレイク「見事なチームワーク・・・合格だ・・
これよりお前達はゼウスの
独立部隊として行動せよ!」
ホーク「部隊名はどうする・・・」
レナ「ワルキューレはどうかな・・」
ロック「かなりいいネームだな・・・」
ドレイク「明朝より諸君らには
ネルガルの様子を探ってほしい」
レナ「分かりました・・・」

今回はシュンの旅のゼウス編の主人公
レナの旅立ちを書いてみました
ゼウス編の主なキャラは
レナ・ワルキューレの隊長かつ
ワルキューレ隊唯一の女の子
守り、補助の術に長けている
戦闘もそれなりにこなせる
シュウとは後に運命的な出会いをすることになる
ゼウス編の主人公
ホーク・手先が器用な少年、元盗賊
かなりクールな性格
ロック・知的な性格の少年、魔導師
でありさまざまな魔法を使える
ホークとは昔から仲が良い
こんな所です

それでは。






■ こやまる (721回/2010/02/02(Tue) 23:50:29/No2164)
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ムラサメ・シュンさん、こんばんは☆

2つの主人公グループの行動が始まりましたね。
小説にも書かれている通り、この2つのグループはいずれどこかで合流する運命にあるのでしょうか。
その運命を操作する役(悪役?)もきっと出てくるのだと思いますが、それはこれからといったところですかね?
その合流に向けて、彼らがどんな成長を遂げるのか、存分に描いていただきたいと思います。

確か第3部は第2部とは時間軸が異なっていたかと思いますが、今回はミルモたちは登場するのかな?
それでは続きを楽しみにしています。
では!


■ ムラサメ・シュン (177回/2010/03/17(Wed) 08:41:38/No2270)

みなさんこんにちは、ムラサメ・シュンです。
今日は久しぶりに小説の続きを書いてみました

シュンの旅3部シュウ編2話憎悪への架け橋

シュウは奪われた水月と新月の回収を行う為にハデスの橋に
向かう事となる・・・しかしハデスの橋ではゼウスとネルガルの
激しい戦闘が行われていた・・・・

シュウ「ようやく・・・ハデスの橋についたが・・・
この大規模な戦闘は何なんだ・・・・」
サカタ「ここは帝国がゼウスへいく為の拠点の1つだ
激戦区であって当然か・・・」
リョウ「このままじゃこの橋が破壊されてしまうのは
時間の問題だな・・・・」
シュウ「よしここは戦闘を止めるためにネルガルに協力するぞ」
サカタ「確かに僕らの国に侵攻されるような事にはできないからな」
ネルガル仕官「あれは18部隊協力してくれるのか・・・」
シュウ「母国を失うワケにはいかないから・・・」
18部隊の協力により次々とゼウス兵士を倒してゆく・・・
ネルガル兵「あれだけの力を持ち敵に致命傷を与えても
止めを刺さないとはまさに武人なり・・・」
リョウ「敵兵の数が多すぎる・・・」
サカタ「敵の指揮官の乗る母艦ドミニオンを破壊するしかない」
シュウ「それしかなさそうだな・・・」
リョウ「敵母艦の位置は、あれか!行くぞ、灼熱の太刀」
ゼウス指揮官「何・・・白兵戦をされただと・・
弾幕薄いぞ!何をしている・・・」
シュウ「このまま続けて攻撃するぞ!」
ゼウス指揮官「いい気になるなよ・・・ディバインバスター発射」
サカタ「こんな技・・効きはしない」
サカタの盾がディバインバスターを無効化する・・・
サカタ「シュウ、今だ!行け!」
シュウ「いくぞ!水鳥剣」
シュウが音速で敵母艦のドミニオンに多大なダメージを与える」
ゼウス兵「被害ブロック拡大・・これ以上の戦闘継続はできません」
ゼウス指揮官「くっ・・徹退する・・・」
ドミニオンと全部隊徹退する・・・・
リョウ「追撃をするか・・・」
シュウ「いや・・ハデスの橋を修復する方が先だ・・
それに俺たちにはやる事がある。」
ネルガル指揮官「18部隊の初陣には
素晴らしい活躍でしたね。我々も頑張ります・・・・」
サカタ「国の守りを頼む・・・」
ネルガル工作兵「ゼウスに進入するのならこのガイドを
渡します・・これを使えばゼウスへの隠し通路が
一目で分かります・・」
シュウ「ありがとう・・・」
こうしてハデスの橋をわたりゼウスへ向かうシュウ達
何がまちうけているのか・・・・
続く・・・





■ こやまる (765回/2010/03/20(Sat) 09:22:47/No2283)
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ムラサメ・シュンさん、こんにちは☆

導かれるようにして18部隊(あれ?前回は13部隊?)の初めての実戦がやってきましたが、圧倒的な強さを発揮していますね。
今回は武力で勝敗が決まりましたが、今後は第2部以前と同様に少しずつ状況が変化していくのでしょうか。
過去のストーリーとの繋がりもどんな風に描かれるのだろーか?
まだまだ始まったばかりで疑問点がたくさんある感じです。

次回はゼウスの中枢へと向かうシュウたち、果たしてこの快進撃はこの先も続くのかどうか、まだまだ分かりませんね。
それでは続きを楽しみにお待ちしております。
では!


■ ムラサメ・シュン (178回/2010/03/26(Fri) 07:59:28/No2293)

こやまるさんこんにちは、ムラサメ・シュンです。
今日はネルガル編にあるネルガルの全18部隊の説明を
したいと思います

第1部隊 皇帝ネルガルを中心とした精鋭部隊
第2部隊 法術を得意とする部隊
第3部隊 己の体で敵に切り込む部隊
第4部隊 空を飛翔し戦う部隊
第5部隊 盾で味方を守る機甲部隊
第6部隊 水中を得意とする海戦部隊
第7部隊 隠密行動を得意とする暗殺部隊
第8部隊 補給を主に行う部隊
第9部隊 戦場の橋等を作る工作部隊
第10部隊 艦隊により敵を攻撃する部隊
第11部隊 各地でネルガルの兵器を実険する為に戦う部隊
第12部 隊兵器を作り全部隊に渡す部隊
第13部隊 シュウを始めとする遊撃隊
第14〜18部隊 各地で転戦する主力部隊

ネルガル仕官がシュウ編2話で、
あれは18部隊といっているのは全18部隊の1つの
部隊の1ついう事の為です、説明が遅くなり
すみません、こんな所です

それでは。






■ ムラサメ・シュン (180回/2010/05/19(Wed) 14:22:27/No2445)

みなさんこんにちは、ムラサメ・シュンです
今日は久しぶりに小説を書いてみました

シュンの旅3部レナ編2話ネルガルにて・・・

レナはドレイク将軍の命でネルガルの都市を
調査する事になった、果たして彼女たちに待ち受ける
出来事何があるのか・・・

ロック「もうすぐネルガル近郊だな・・・」
ホーク「この国を調査すれば僕たちの国に有益な
情報をもたらす事ができるね・・・」
レナ「戦うのは嫌い・・けど今はこうするしかないのね・・」
レナ達ネルガルに侵入する・・・
ホーク「どんな所から調べる・・・レナ」
レナ「まずは酒場にでも行きましょう・・・」
ロック「たしかにそれがいい・・」
レナ達酒場に入る・・・
バーのマスター「お嬢さんたち見ない顔だね・・・
ところで何をしに来たんだい・・」
レナ「お茶をたのめるかしら・・・
あとこの国がどうなっているか教えて・・
簡単な事でいいわ・・」
バーのマスター「最近ゼウスとの争いがひどく
なっているね・・こちらの国には傭兵や正規軍の
募集が絶えないよ・・またゼウスを倒す兵器を
開発している噂が絶えないね」
レナ「そうなの・・・ひどいものね・・・」
バーのマスター「大きな声ではいえないが
武器商人が暗躍している噂を聞くよ」
ホーク「寒い時代になったという事か・・・」
バーのマスター「気を落とさないで、
戦いを止めようとするレジスタンスがいるらしい
聞いた話によると1機の戦艦に難民を匿い
ゼウスやネルガルに疑問を抱いた者達が
団結して争いを止める為に戦っているようだ」
レナ「興味深いわね・・」
ホーク「会ってみる価値はあるな・・・」
ロック「いい情報をありがとう、これは情報量だ」
金貨をマスターに渡す・・
バーのマスター
「あなたたちの旅に幸せがありますように・・」
ネルガルをでる・・レナ達
レナ「一刻も早くドレイク将軍に
情報を伝えましょう・・・」
ロック「レジスタンスか興味深い・・」
ホーク「敵となるか・・味方となるか・・賭けだな・・・」
こうしてレジスタンスがいるという情報を得たレナ達
果たしてレジスタンスとは誰なのか・・
続く・・・




■ こやまる (820回/2010/05/24(Mon) 23:13:10/No2462)
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ムラサメ・シュンさん、こんばんは☆
だいぶ久々な小説連載…途中で断念という結末にならなくてホッとしてます。
今後も無理せずじっくり進めていっていただければと思います。

酒場での情報収集が冒険のセオリーですね(笑)。
その酒場でのやり取りが実際のゲームみたいに自然に描かれているのが素晴らしいです。
バーのマスターの知識からも、いろいろな人物がいろんな話題を日々とりとめもなく語り続けているといった雰囲気を感じました。
こういう渋い雰囲気は私は結構好きだったりします。

耳寄りな情報を得られたレナたちが次に向かう先は・・?
それでは続きを楽しみにしています。
では!


■ ムラサメ・シュン (181回/2010/06/27(Sun) 16:55:53/No2561)

皆さんこんばんは、ムラサメ・シュンです。
今日は小説の続きを書いてみました。

シュンの旅3部シュン編1話 目覚めと旅立ち

ラグナロクがおこり世界が再構築した後
3年の時が経ち遺跡内部にて・・・
シュン達は目覚める・・・

シュン「ようやく3年の時が経ったな・・・」
キョウジ「多くの物を手に入れ多くの物を失った・・・」
アヤ「絶望だけじゃないわ・・・・
希望がまだ世界にはあるもの・・・・
私たちが世界を守るために生きなければ
再びラグナロクは発動してしまうわ・・・」
シュン「そうときまれば旅立とう・・・
この世界を守るために・・・」
キョウジ「シュン、アヤさっきから気になる事があるんだ」
シュン、アヤ「どうしたのキョウジ?」
キョウジ「ミルモ達の姿がみえないんだ・・・」
シュン「おそらく世界を再構築した時に
離ればなれになったんだと思う・・」
アヤ「大丈夫きっと信じれば又出会えるわ・・」
キョウジ「そうだね・・」
シュン「まずどこへ行こうか・・・」
アヤ「ここから1番近くにある街に向かいましょう
物事を決めるのはそれからでもいいわ。」
キョウジ「それもそうだな・・・・・」
こうして再び旅立つ事を決意したシュン達
果たしてどうなるのか・・・

続く・・・


■ こやまる (853回/2010/07/01(Thu) 23:26:48/No2569)
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ムラサメ・シュンさん、こんばんは☆

いよいよシュンたちの登場ですね。
3年ものブランクは、シュンたちにとってどんな風に映ったのでしょうか。
そして3年後の世界はシュンたちの望む世界なのか。。
ミルモたちの行方は私も気になりまくりです。
3年経った後も妖精らしい生活を送っているといいなぁ。
そんなミルモたちの再登場を楽しみに待っています!

では!


■ ムラサメ・シュン (183回/2010/08/01(Sun) 19:49:18/No2643)

みなさんこんばんは、ムラサメ・シュンです。
今日は小説の続きを書いてみました。

シュンの旅3部シュウ編3話水月回収命令
仮面の男により奪手された水月と新月
その片方の水月はゼウス第08基地に運び込まれて
いる事を知ったシュウ達は新月の奪還をすることになる

ネルガルキャプテン
「13部隊に次ぐ水月を必ずや奪還又は破壊せよ・・・・」
シュウ「この作戦に失敗は許されない
ネルガルの未来がかかっているんだ!」
リョウ「入口を見つけたぞ・・・」
サカタ「迅速に行動するぞ・・・」
ゼウス兵士1「ん〜ひまだな〜」
ゼウスオペレーター「レーダーに敵影ネルガルの13部隊です」
ゼウス兵士2「水月の搬入をするまでここを死守します」
ゼウス砲兵「援護します・・・3,2,1,ファイア」
シュウ「ききはしない」
リョウ「1気にいくぜ・・火竜剣」
ゼウス兵3「そこだ!」
サカタ「やれやれ・・・」
ゼウスの激しい抵抗をかいくぐり水月を奪還する
シュウ「水月は取り返せてもらう・・・」
ゼウス仕官「奴らを逃がすな・・・」
戦艦の砲撃がシュウ達に向かってくる・・
シュウ「みんなを守りたい・・・・」
水月が反応しシュウの体に触装され
戦艦の砲撃をはじく・・・
サカタ「シュウ、リョウ、ここから離脱するぞ・・」
シュウ、リョウ「了解したこの宙域から離脱する・・」
シュウ達08基地から離脱する・・・・
ゼウス仕官「くそ・・・取り逃がしたか・・・」
仮面の男「まあいい新月と水月と新月の
コピーデータはとったのだこれでネルガルに
大打撃を与えることはできる」
こうして水月を取り戻したシュウ達
ゼウスとネルガルの戦いは止められないのか
続く・・・・




■ こやまる (879回/2010/08/06(Fri) 00:54:07/No2657)
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ムラサメ・シュンさん、こんばんは☆

水月と新月をめぐり、それぞれの思惑が交錯していますね。
失敗の許されない奪還作戦を見事成功させたシュウたちですが、すでにコピーのデータを吸い上げられ済みで、何とも後味の悪い展開だこと…(こういう後味の悪さは私は好きです^^)。
後手に回ってしまっているシュウたちの次なる作戦はいかに!?

それでは続きも楽しみにしていますね!
では!


■ ムラサメ・シュン (186回/2010/09/14(Tue) 15:59:28/No2768)

皆さんこんにちは、ムラサメ・シュンです。今日は久しぶりに
小説の続きを書いて見ました。

レナ編3話ネルガル脱出
シュウ達が水月を取り返した頃ネルガルでは
レジスタンスがいることをレナ達は知り、
急いでゼウスに戻ることを考える
しかしネルガルがこれを見逃すはずが無く
レナ達は追手と戦う事となってしまう

レナ「あまりの数の追手がいるわ・・・」
ホーク「くっ!うじゃうじゃといやがる」
ロック「逃げた方が賢明だが・・・包囲されているぞ」
ネルガル第7部隊「おまえ達はワルキューレ隊
ネルガルの為にも消えてもらう・・・」
レナ「なぜ戦わねばならないの・・・」
ホーク「こいつらに何をいっても無駄だ!やるしかないぜ!」
ロック「いたしかたないが・・・戦うのみ」
圧倒的な力で第7部隊を押すものの数の差で徐々に
疲労し押されていく・・・・
ホーク「このままじゃやられる・・・・」
ネルガル第7部隊「このままやられてしまえ!」
その戦いにレナのような妖精が現れる・・・
???「戦いなんてほんとはいやだけどよ
戦うことで争いを止められるなら助太刀するぜぃ」
レナ「助かるわ・・・・」
???「いくぜぃ!ミルモでポン」
すさまじい魔力が07部隊の動きを止める・・・
ロック「よし脱出するぞ!」
ゼウスの国境へ脱出する・・・
レナ「ありがとう・・・・ところであなたの名前は何?」
ミルモ「俺はミルモ、レジスタンスのリーダーだぜ!」
ロック「我々と共に戦ってくれないか・・・」
ミルモ「残念だがそれはできない・・
俺はこのネルガルとゼウスの戦争の真実を確かめ
かつて共に歩んだ大切な仲間を探しているんだ
この戦争が終わったら、また合おうぜぃ」
ホーク「ああ必ず生き抜いて見せる」
レナ「また出会えたらいいわね・・・」
ミルモ「そうだな・・・」
こうしてレジスタンスのリーダーミルモに
命を救ってもらいネルガルの情報を
ドレイク将軍に伝えたワルキューレ隊
しかし彼女達は知らなかった
これから大きな戦いが始まる事を
そしてひたすら大切な友を探すミルモ
はたしてこれからどうなるのか・・・・




■ こやまる (915回/2010/09/21(Tue) 08:44:07/No2793)
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ムラサメ・シュンさん、おはようございます☆

第3部開始以来、ついに我らが主役ミルモの登場ですね。
しかもレジスタンスのリーダーを務めていたとは…。
そのレジスタンスとは、戦いを止めることを主張している団体なのでしょうか。
この第三者とも言うべき存在がシュウやレナたちの味方になるのかそうでないのか、今後どのように絡んでくるかが楽しみです。

それでは次回を楽しみにしています。
では!


■ ムラサメ・シュン (189回/2010/11/12(Fri) 16:15:23/No2945)

みなさんこんにちはムラサメ・シュンです。
今日は久々に小説の続きをかいてみました。

レナ編4話避けられぬ争い
ゼウスの国境へ脱出しネルガルの情報
及びレジスタンスに命を救われた事を
ドレイク将軍へ伝えたレナ達そのころ
ゼウスでは仮面の男が水月をコピーした
バトルスーツ、ヴァーチャーの最終チェックが
完了していた・・

仮面の男「ヴァーチャーの調整は完全か!」
ゼウス技術士官「はい!ヴァーチャーの調整は
完全です!水月程の性能は引き出せませんが
遠隔攻撃と間接攻撃性能は水月より上です」
仮面の男「量産配備はどのくらいでできる・・・」
ゼウス技術士官「水月自体のコピーデータがあるため
1日で30体配備できそうです」
仮面の男「そうかならばヴァーチャーを量産してくれ」
ゼウス技術士官「あの1つ申し上げたい事があるのですが」
仮面の男「なんだね・・・今は戦争と
内政で忙しいのだぞ!用件なら手短にたのむぞ・・・」
ゼウス技術士官「ヴァーチャーのエース専用機を
製造してはどうでしょうか?」
仮面の男「おもしろい、やってみたまえ・・」
1週間がたち
ゼウス技術士官「やっと専用機が3体できました
1つ目はガブリエル、バランス重視のスーツです
2つ目はウリエル、攻撃重視のスーツです
3つ目はラファエル、支援重視のスーツです
仮面の男「すばらしい、すぐにでも
ワルキューレ隊へ配備してくれ」
ワルキューレ隊へ専用スーツが配備される
レナ「すごい力を感じるわ・・・
このガブリエルで戦争を抑止することができるのなら・・」
ホーク「このウリエルの力で世界を平和にしてみせる」
ロック「感じるこのスーツの力を」
ドレイク将軍「ネルガルとの戦いは避けられそうにない
お前たちがその力を如何にして世界を守るのかが
知りたいものだな・・そしてお前達を助けた人達の
気持ちを無駄にするんじゃないぞ・・・」
レナ「はいドレイク将軍」
こうして避けることのできないネルガルとの戦争
果たしてどうなるのか・・・

続く・・・・


■ こやまる (969回/2010/11/20(Sat) 08:06:28/No2962)
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ムラサメ・シュンさん、おはようございます☆
お久しぶりの連載でしたね。

無条件に戦闘能力を高めるバトルスーツ。
これが量産されて早速配備されるとなると、一気に形勢が逆転されそうですね。
相手の量産に対してこちらもバトルスーツの開発を…となると、戦争はどんどん泥沼化していきそうです。
レナたちの方はバトルスーツに対してどんな作戦に出るのでしょう?

それでは続きをよろしくお願いしますね。
では!


■ ムラサメ・シュン (190回/2011/01/25(Tue) 15:21:45/No3214)

皆さんこんにちは、ムラサメ・シュンです
今日は久しぶりに小説の続きを書いてみました

シュン編2話 避けられぬ争い

ネルガルとゼウスが戦争の準備をしている頃
シュン達はゼウスとネルガルの中間地点である
アウムドラの街を訪れていた

シュン「聞いた話によるとここはネルガルとゼウスの
境界線となるアウムドラの街というらしいな・・・」
キョウジ「ネルガルは力に固執しゼウスは規律に
盲信しているようだ・・・」
アヤ「ゼウスはかつて人形兵士となっていた私を
思い出すわ・・・」
キョウジ「ネルガルは昔の僕が組織化したみたいだ
力しかしんじれず争う事をを求めているみたいだ・・」
シュン「この街がゼウスとネルガルの境界線だと
いうのなら・・・・・・まず間違いなく
この街が戦場になってしまうだろう・・」
キョウジ「僕らが世界を復元した果てが
争いと規律に縛られた世界なのか・・・」
シュン「別れてしまった大切な仲間、
けど・・・再び出会える事を信じて
争いを止めなくてはいけない
そのために僕は闘神の力を使う!」
アヤ「憎しみでは人を救うことができない
愛の心で人を慈愛に包むわ・・
それがわたしの女神の力だもの・・・」
キョウジ「俺の魔神の力は忌み嫌われし力だ
けどそれが人を救えるのなら俺はこの力を
使うたとえ英雄でなくてもいい、
人の心を救える人になるために・・」
シュン「この街を守るために戦うよ!
力の本質をネルガルとゼウスに教えるために」
キョウジ「俺はネルガルの兵を説得するぞ」
アヤ「私はゼウスの兵を説得します」
シュン「僕は街の正門を担当するよ」
(アウムドラの街は東門がネルガル側
 西門がゼウス側 正門は南大陸に続いている)
キョウジ「とりあえず今はこの街に滞在して
ネルガルとゼウスの情報を集めよう」
アヤ「別れた仲間の事も知りたい所ね・・」
シュン「そうだね・・アヤ」
こうしてアウムドラの街を守る事を考えた
シュン達はたしてこれからどうなるのか

続く




■ ムラサメ・シュン (191回/2011/01/25(Tue) 15:26:46/No3215)

こやまるさんすいませんタイトルをうっかり間違えて
同じタイトルにしてしまいました
すみませんがタイトル名を変更しますね
 シュン編2話争う者守る者
こう言ったことがないように以後気をつけますね
すいませんでした


■ こやまる (1043回/2011/02/12(Sat) 12:07:44/No3439)
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ムラサメ・シュンさん、こんにちは☆

少々久しぶりな更新でしたが、シュンやキョウジ、そしてアヤはずいぶんと成長したなぁと改めて思いました。
心と心で争いを解決しようとする真の強い力は、戦時下だとなかなか発揮できないものでうすが、この3人ならそれを実現出来るはずと思えてきますね。
あとはその力がどこまで通用するのか・・・。
この先も楽しみにしています。

タイトル変更も了解しました。
では!


■ ムラサメ・シュン (193回/2011/03/21(Mon) 20:20:02/No3626)

皆さんこんばんは、ムラサメ・シュンです
今日は小説の続きを書いてみました。

シュン編3話アウムドラ防衛戦(前編)
アウムドラの街を守る事を決意した
シュン達その頃ネルガルとゼウスは
アウムドラの街に向け大量の
戦艦が向かっていた・・・
それを知ったミルモ達レジスタンスは
この争いを止めるべくアウムドラの街に
向かっていた・・

リョウ「もうすぐアウムドラの街だな
俺達は東門を正面突破するぞ」
シュウ「無関係な人を攻撃するのは
乗り気じゃないがこれも命令か
致し方ない」
サカタ「今は戦いを終わらせる事
だけを考えるだけだ・・・」
そのころレナ達は・・
レナ「神により争わねばならない世界
私たちは戦わなければ神に粛清される
定め・・・だからこの戦争を終わらせて
自由を得るしかないのね・・・」
ホーク「悲しいけどこれは戦争だからな・・・」
ロック「この戦争は多くの犠牲を生むしかし
今の俺達には争いしか方法がないんだ・・・」
アウムドラを目指すシュウとレナ
そして多くの戦艦がアウムドラを目指している
シュン「情報屋の予想より多くの敵がアウムドラに
きているな・・だが僕らは悲しくても戦うしかないのか」
キョウジ「イツワリの大義に正しさなどあるものか
この争いを終わらす為に今は戦うのみ」
アヤ「哀しいわ・・元々1つの国が歪んだ理念で
争うなんて・・・私の力を使い争いをとめてみせる」
こうしてゼウスとネルガル2つの国と戦う
シュン達果たしてどうなるのか?


■ ムラサメ・シュン (194回/2011/03/23(Wed) 14:14:44/No3633)

皆さんこんにちは、ムラサメ・シュンです
今日は小説の続きを書いて見ました

シュン編4話アウムドラ防衛戦(中編)
共にアウムドラを目指すネルガルとゼウス
アウムドラがどちらの手に渡っても多くの犠牲が出る
そう判断したシュン達はアウムドラの防衛隊に協力し
アウムドラを守る事となる一方シュウとレナは
戦う事で世界を守れると考えバトルスーツを使い
アウムドラをめざしていた・・・
アウムドラ東門にて

ネルガル帝国大佐「ネルガル第2〜5部隊及び
13部隊はアウムドラの東門を破壊せよ!」
シュウ「了解したこれより東門を破壊する
水月=アムド」
リョウ「新型の暁の力でこの戦争を終らせてみせる
暁=アムド」
サカタ「僕は皆を守る事くらいしかできないけど
今は戦うことしかできない、暁=アムド」
キョウジ「多くのプレッシャーの数を感じる
ん、なんだ!この凄まじいプレッシャー
何者なんだあの3人の少年達は・・・」
リョウ「俺が一気に突撃するシュウ、サカタ
その間に東門に攻撃を仕掛けるんだ」
キョウジ「そんな悲しみしか生まない力を
使いその果てに何を望むというんだ!
俺の身体の限界まで戦い抜くのみ」
???「力が欲しいか・・・
欲しければくれてやる!」
キョウジが魔神のような姿となる・・・
キョウジ「戦いを止めるその為は俺も力を
いけ!アルマゲスト」
凄まじい魔導破が大部隊を気絶させて行く
シュウ「なんとかよけれたが・・
冗談じゃない威力だな・・・」
リョウ「暁をもっても勝目はない
1度師退くぞ・・」
サカタ「そのほうがいいな・・・」
キョウジ「くっ身体が限界だな・・・
だが東門は死守したぞ・・シュン、アヤ」
こうして限界寸前までの力を使い東門を守ったキョウジ
シュンとアヤはどうなっているのか・・

続く・・・


■ ムラサメ・シュン (195回/2011/06/01(Wed) 09:14:35/No3894)

こやまるさんみなさんこんにちは、ムラサメ・シュンです
かなり久しぶりになりますが小説の続きを書きたいと
思います

シュン編5話アウムドラ防衛戦
なんとか己の限界の力を引き出し東門を死守した
キョウジそのころアヤは西門でゼウスのワルキューレ隊と
戦っていた・・・

レナ「なぜ・・・どの国にも属さないあなたが
戦うの・・・なんの得にもならないと言うのに」
ホーク「俺達は自分を信じて戦うだけだと言うのに
そこをどけ」
ホークの短剣がアヤをかすめる・・・
ロック「これでどうだ・・・ライトボール」
光の玉がアヤめがけて飛んで行く
アヤ「仕方なく戦うのは理由にならないわ
自分にできることをするしかないのよ!
女神の力よ・・・私の心と同調して」
アヤが女神のような姿になる・・・
レナ「あれがあの子の力だというの
みんなアムドを行うわ!」
ホーク、ロック「了解!」
ガブリエル、ウリエル、ラファエル機動・・・
共に戦い、接戦となる・・・
アヤ「このままじゃ数が多い分相手が有利ね・・・
けど・・・諦めるわけにはいかないもの・・・」
???「そのとおりだぜぃ・・・」
???「そうですわ・・・」
???「何とか間に合ったようだな・・・」
???「そうでしゅ・・」
レナ「あなたたちはレジスタンス・・・」
アヤ「やっと再開できたわね・・ミルモ」
ミルモ「大規模な戦いが行われるという
情報を聞いたからかけつけてみたぜぃ」
ヤシチ「まさかお主たちがいたとはな・・」
ミルモ「所でシュンとキョウジはどうしたんだ・・」
アヤ「シュンは正門、キョウジは東門を死守しているわ」
ムルモ「はやくさいかいしたいでしゅね・・」
ミルモ「けど今は戦闘を終わらす事に専念するぞ!」
アヤ「あなたたちがいれば百人力よ」
レナ「ごちゃごちゃと無駄口を・・
たかが4人増えた所で何もかわりはしないわ・・・」
ミルモ「そんなの試してみなきゃわかんねーぜ!」
アヤ「その通りよミルモ!」
こうしてかつての仲間と再開したアヤ
果たしてどうなるのか・・・

続く・・・


■ ムラサメ・シュン (196回/2011/07/18(Mon) 10:42:15/No4024)

皆さんこんにちは、ムラサメ・シュンです
今日は小説の続きを久しぶりに書いてみました

シュン編6話 明日を救え超闘士
かつての仲間と再開しアウムドラを守る為に
戦うアヤとミルモ果たしてどうなるのか・・

レナ「私たちは戦う事でしか生きる事を
許されない存在・・あなた達のような
反乱分子を倒すしかないのね・・・」
アヤ「悲しいわレナ・・・かつての
私と同じ過ちを繰り返す訳にはいかないわ
女神の力よ私に力を貸して」
アヤが女神のような姿となる
「もう2度と過ちを繰り返させわしない
気ずいて争いわ憎しみしか生み出さないわ
そして多くの人が傷ついてしまうのに
わからないの」
アヤ達とレナ達がぶつかり合い
僅差でアヤ達が勝利する
レナ「戦わなければ明日がないのに・・・
このままじゃ・・・ここは1度退くは」
アヤ「私はレナ達を救えたのかしら・・・」
ミルモ「くよくよしてもしかたないぜぃ」
リルム「今は前に進む事しかできませんわ」
ヤシチ「そのようだな」
ムルモ「お兄たまのいうとうりでしゅ」
ミルモ「正門の方に駆けつけるぞ」
そのころ正門では
ネルガル指揮官「あの白い奴一人でどれだけの
相手をたおしているんだ・・・・」
ゼウス指揮官「くそこのままでは・・アウムドラを
奪取できんな
ネルガル指揮官「くそこうなればアポロボムを使うまでだ)
アポロボムとは人工太陽のような爆弾
非常に強いエネルギーを持ち半径数十キロは
火の海となる破壊兵器である
ゼウス指揮官「ネルガルがアポロボムを使うだと・・・」
シュウ、リョウ、サカタ「あんなものを使ったら街の人は
全滅するどころかアウムドラが使い物にならなくなるぞ
レナ、ホーク、ロック「アポロボム正気かネルガルの奴らは」
シュン「あんな偽物の太陽を使わせるわけにはいかない
闘神よ力を貸してくれ」
シュンが闘神のような姿となりアポロボムの信管をきり
爆発を消す
ネルガル指揮官「ええい失敗か・・引き上げるぞ」
ゼウス「これ以上ここにいても無駄だな引き上げるぞ・・」
シュウ「白い超闘士あれだけの強さが俺にもあれば・・・」
レナ「私も欲しい大切な人を守れるだけの強さが・・・」
その後再開するミルモとシュン
シュン「久しぶりだなミルモ」
ミルモ「まっていたぜぃ・・・」
こうしてアウムドラの街を死守した
シュンとミルモ果たしてこれからどうなるのか・・
続く・・・

今回は久しぶりに小説の続きを書いて見ました
こんな所です。

それでは


■ ムラサメ・シュン (197回/2011/07/25(Mon) 09:34:42/No4041)

こやまるさん、皆さんこんにちは、ムラサメ・シュンです
今日は小説の続きを書いてみました。
シュン編7話 強き想いとすれ違う心

アウムドラの防衛が終わり再び再開した
ミルモとシュン そしてシュウやレナに
間違った力は悲劇を生むと伝えたシュン達
果たしてこれからどうなるのか

シュン「やっと出会えたねミルモ」
ミルモ「そうだなこの荒廃した未来だけど
俺達は生きているんだ」
リルム「これからどうしますの」
アヤ「私たちも貴方達と共に行動しても良いかしら」
ヤシチ「お主達がいれば百人力だ」
ムルモ「そのとおりでしゅ」
キョウジ「口をはさむようで悪いが
これからどうするんだ・・・」
ヤシチ「サスケ達の聞いた情報によると
ゼウスが新型兵器を密林地帯の基地に
建造しているらしい」
シュン「それは止めさせなければ
ネルガルがアポロボムを使いそうになった位だしな」
ミルモ「流石に危険な兵器によって多くの人が
犠牲になっては本も子もねぃしな」
そのころネルガルでは
ネルガル士官A「13部隊貴様らはあまりにもふがいない
あの作戦が成功すればゼウスの兵士をたおせたのだぞ」
シュウ「しかしあれでは味方が巻き添えになります」
ネルガル士官B「貴様ら兵士が我らに意見するか」
リョウ「シュウやめろ俺たちの言えることなどないのさ」
ネルガル士官C「お前たちには穴埋めとして
ゼウスの密林基地にいってもらうぞ」
サカタ「たしかゼウスの秘密裏に開発している
兵器が開発されている基地ですね」
ネルガル士官C「察しがいいな現地で戦う第5部隊の
傘下につくように」
シュウ「わかりました」
シュウネルガルを出発する・・・
ネルガル士官B「あいつらはだいじょうぶか・・・」
ネルガル士官C「なぁに・・第5部隊は
別名ハデスウォール、冥王の壁と呼ばれる部隊だ
やつらでも上手くやれるだろう・・・それに
第5部隊は生存率99%を誇る我が軍の精鋭だ」
ネルガル士官A「それなら心配はないな・・・」
こうして密林地帯に向かうミルモとシュウ達で
あった・・・・

続く・・・・






4082/ ネズアクにミクルをそえてリターンズ再開
□投稿者/ ゆり -135回-(2011/08/18(Thu) 11:26:39)

これまでのあらすじ。
オリフェ・ユーリひきいる何人かの勇ましき者達は、
廃れた病院に足を踏みいれた!
さぁ一体どうなる!?
若者達の活劇にご期待ください!
ミルモ「なんだこのあらすじは〜〜〜〜〜!!!!」


■ ゆり (136回/2011/08/18(Thu) 11:50:55/No4083)

現在の状況。

ミルモ、ヤシチ、リルム→休憩中
ネズミ、アクミ→霊安室前で何かが出現
ユーリ→何者かに襲われました
ミクル→不明

そしてこちらはミルモチーム。

ミルモ「あ〜〜〜〜疲れた…」
ヤシチ「フッ、これしきのことで情けないなァミルモ!」
リルム「お二人とも汗だくですわ!
…なんかこんなやりとり前もあったような…」
ミルモ「そういやさっきからユーリのやつ音信不通なんだけど…」
リルム「何かあったのではないのですか?」
ヤシチ「例えば?」
リルム「幽霊に襲われたとか…」
ミルモ「まっさか〜……」

ヒタ………ヒタ………

ヤシチ「何か音しないか?」
ミルモ「変な事言うなよ……」

ヒタヒタヒタヒタ……………

ミルモ「……音……聞こえるな……」
リルム「足音でしょうか?」

ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ

ミルモ「ヤベェ明らかに何か近付いてるよ!」
ヤシチ「何かって何なのだ!?」
ミルモ「知るかああ!!」

一旦きります


■ ゆり (137回/2011/08/18(Thu) 13:20:04/No4084)

ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ

ミルモ「ちくしょうこうなったら戦うぞっ!?
(マラカス装備)
だ、誰だああああああ!」
ヤシチ「落ち着け!つーか戦うって……でも他に得策ないな
(トライアングル装備)」
ミルモ「うおりゃぁあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ…………ばたん(気絶)」
リルム「ミルモ様ー!!」

リルヤシ&気絶者ミルモの運命やいかに!?

続く!


■ りょく (310回/2011/08/18(Thu) 18:48:12/No4085)


ゆりさん、こんにちは!

初めまして、りょくと言います。
結構前に掲示板で挨拶もそこそこにいきなり失礼な書き込みをした者です。
あの時は大変申し訳ありませんでしたm(_ _;)m
(覚えていないならそのままで…)

テンポの良い文章が読んでいてわくわくしますo(^-^)o
ヒタヒタヒタヒタって…、な、何…!?
大声を上げて気絶する怖がりなミルモが面白いです。
「リルヤシ」とは危険な略し方ですね(笑
不明のミクルちゃんはどこに消えてしまったのでしょうか。

続きを楽しみにしています♪

では★




4057/ シュンの旅についての質問оr募集
□投稿者/ ムラサメ・シュン -198回-(2011/08/08(Mon) 16:55:56)

みなさんこんにちは、ムラサメ・シュンです
ボクの書いているシュンの旅ですが
皆さんのオリフェを登場させても
よろしいですか・・・
(登場させるオリフェは1人につき1体
どんなプロフィールかを教えてください)
前から頭の中で考えていたのですが
皆さんがよろしければシュンの旅に登場させます
なお質問の方はシュンの旅でこういった
展開が欲しいという所はありますか
小説のシナリオに沿っていた時に
上手く書こうと努力して行きたいと思います
こんな所です。

それでは。


■ りょく (298回/2011/08/08(Mon) 17:37:09/No4058)

ムラサメ・シュンさん、こんにちは!りょくです(^-^)
こういう企画を待っていました。

早速ですが展開のリクエストをさせていただきます。
戦いの中の暫しの休息といった形で、ミルモとリルムの仲を進展させてほしいです。
企画14みたいに主人公シュンくんとヒロインのアヤちゃんが手助けするような感じをお願いします。

オリフェは…私のオリフェは扱いにくい子ばかりなので誰にしようか迷っています。
また来ますね。

では!


■ ムラサメ・シュン (199回/2011/08/19(Fri) 12:59:25/No4091)

皆さんこんにちは、ムラサメ・シュンです
皆さんのオリフェを登場させる企画ですが
まだ答えがこないので
こういう風にしてみました

1その妖精の名前
2その妖精の境遇とプロフィール
3どのようにしてシュン達と出会ったか
(なおシュンの旅の3部は妖精界人間界全てが融合し
 一つの世界となり人間も妖精のような姿になり
 戦っているという設定です)
なお登場させるオリフェは1人につき1人です
(あまり多いと小説の構想を練るのが大変なことになるので)
なおシュンの旅の始まりの時系列はちゃあみんぐが終わった
ほんの数日後でありIF(イフ)=ストーリーと
思ってもらってけっこうです
皆さんのオリフェの参加を待っています
こんな所です

それでは。




3550/ 妖精忍者物語 〜時を越えた絆〜
□投稿者/ 月白 -1回-(2011/02/26(Sat) 20:01:13)

初めまして、月白です!!
皆さんの小説は少し前から読ませて頂いていました。
ですが受験生である事と自分のパソコンを持っていなかった為に書き込みは
出来ませんでした。
しかし今日ついにパソコンをゲットし受験勉強も済んだので私がずっと前から一人密かに書いていた小説「妖精忍者物語 〜時を越えた絆〜」を書きたいと思います!

この小説は題名の通り妖精忍者中心です。
オリフェは最低でも20は出ます。多すぎるので目立たないキャラも出ると思いますがすみません…(汗)
主人公は妖精忍者ではなく唯一人間のオリキャラの女の子です。
主人公はネズミと一緒に活躍させたいと思っています!
妖精忍者達の中心として活躍するのは物語で一番の鍵となるヤシチです!
出来たらカッコいい戦闘シーンも入れたいです。最も私はあまり文章力がないので上手くいかないかもしれませんが…。

過去の捏造設定もあるので少しキャラが違う?と思えるところもあるかもしれませんが出来る限りは外れないように頑張ります!
小説をこんな風にのせるのは初めてなのでダメなところは多々あるでしょうがその時は遠慮せず言って下さい。

皆さんにほんの少しでも喜んで頂けたら良いなと思います!
拙い文章ですが一生懸命やりますのでこれからよろしくお願いします!

では長々と失礼致しました!!


■ いっちゃん (47回/2011/02/26(Sat) 20:23:50/No3551)

月白さん、はじめまして!いっちゃんです。

おお〜!月白さんも妖精忍者がお好きなのですね!
同じくです(^^)
私の好きな妖精はヤシチ、ネズミです。(一番はヤシチ)
CPでは、ミルヤシ、ネズアク、ヤシ対ネズが好きですね。
ヤシチが物語の鍵をにぎるときいて、叫んでしまいました(笑)
しょっぱなからこんなんですいません・・・(汗)

受験、お疲れ様です!!
受験ということは中学3年生でしょうか?それとも高校3年生?もし、中3だったら私の2こ上ですね!(私はただいま中1なので)
名前はどう読むのでしょうか?
月が白いなんて、とても綺麗ですね。

小説のほうはオリフェがたくさんでるということで、ぜひ、お絵かきで姿を知りたいなっと思います!
ああ〜今からどんな話なのか楽しみです。
私も「激突っ!忍の里VS忍者の村」という小説を書いています。
国語の成績最悪の私ですが、妖精忍者がでますので、ぜひよろしくです(笑)

それではっ!


■ こやまる (1069回/2011/02/26(Sat) 22:08:40/No3554)
http://www.murumoya.com/


月白さん、いっちゃんさん、こんばんは☆
初めまして、ムルモ屋本舗の管理人のこやまると申します。
私の自己紹介はプロフィールページをご覧くださいね。
よろしければ通常掲示板で自己紹介いただけるとうれしいです^^。
まずは今後ともよろしくお願いしますね!

受験の方もお疲れさまでした!!
受験後の解放感と受験記念(?)のPCがあれば、バッチリ小説連載出来ますね。
勉強中に暖められた熱いストーリーを期待しています。

それにしてもオリフェ最低20人はすごいボリューム…(^^;。
まるでAKBみたいですが、大半が妖精忍者ばっかりなのかな?
せっかくのオリフェなので、性格や容姿などをしっかり説明していただけると私を含めた読者も喜ぶと思います。
そしてお絵描きもあると…これはちょっと高望み?(^◇^;)

公式設定もあまり意識しすぎることなく、多少の独自解釈があっても全然OKですので。
とにかく面白くてミルモらしさがあれば問題なしでございます^^。
それでは連載開始を楽しみにお待ちしています。


■ 月白 (2回/2011/02/27(Sun) 11:08:48/No3560)

いっちゃんさん、こやまるさん、おはようございます!!
こうゆうの初めてなので返事をもらえてついテンションが上がっちゃいました(笑)
それと申し訳ないのですが私はパソコンで絵はほとんど描いた経験がないので絵をのせるのは難しいと思います。想像力もないので設定は考えていても姿はあまり…。でも頑張って出来る限り文章で説明したいと思います!!

『いっちゃんさん』
妖精忍者、大好きです!私もヤシチが一番好きですよ。
私は中3なので二つ違いですね。
いっちゃんさんの小説「激突っ!忍の里VS忍者の村」いつも楽しく読ませて頂いているのですがまさか年下とは!?レ、レベル高いですね…(汗)
ちなみに名前の読み方はそのまま「つきしろ」で結構ですよ。
楽しみにして頂けると緊張しますが嬉しいですね!期待に答えられるかはわかりませんが頑張りますね!
お互い妖精忍者の小説という事でよろしくお願いします!

『こやまるさん』
熱いストーリー…、となるでしょうか?少し展開が早いかもしれません。
オリフェ最低20人というよりも話の全体的な構成は最後まで出来ているのですが途中ら辺がどう話をもっていくか考え中なのであやふやにしてます。
現段階でちゃんと設定があるのが細かくて21人なのです。しかもちょっとしか出番がないのも含め…(汗)
妖精忍者は大半というより下手したら半分以下?といっても少ししか変わりません。約半分ですね。
敵キャラがいるのですがほとんど妖精忍者ではありません。なぜ妖精忍者達が関わっていくのかも物語の重要部分ですので(ネタバレ?)

それでは書いていきたいと思います!最初は一応主人公は人間の女の子ですので妖精忍者は出番無しです。すみません…。頑張って早く進めて妖精忍者出します!それでは!


第1話「片瀬瞳です」


人間界と妖精界。
一時はその平和を脅かされたがミルモ達の活躍により二つの世界は再び平和を取り戻した。そして平和を取り戻したミルモ達は今日も人間界でパートナーである人間達と平穏な日々を…。

「痛いじゃないの日高さん!」
「結木君に近づくからでしょ!」
「ほ、本が読めない…。」
「南さ〜ん!南さ〜ん!」

「ったく、相変わらずうるせ〜な〜。」
「ミルモ様〜!!私、今日はお弁当を作ってきましたわ!!」
「ぎゃあああああああああああああああ!!!!」
「この二人も相変わらずだな。」
「でしゅでしゅ。」

…否、今日も騒がしい日々を送っていた。
そんな周りにははた迷惑な騒ぎをしながらもいつも通り皆で学校に向かう。
穏やかではなくても騒がしくても彼らにとってはいつもの日常だった。
そんな中で今日、新しい出会いがミルモ達を待ち受けていた。


「痛いよぉ〜。もう、日高さんったらあんなに強く叩かなくたっていいじゃない!」
「よくやるなぁ、お前ら。結木も苦労するぜ。」
「日高さんには負けられないの!それにしても先生遅いなぁ〜。」
「いや〜、すまんすまん。遅くなったな。」

楓が教室のドアに目を向けたのと同時に先生がドアを開け入ってきた。

「実は今日から転校生が入る事になった。皆、仲良くするように。」
「わぁ、転校生だって!女の子なら友達になれるかな。」

先生の言葉の楓も含めあちこちから声が聞こえざわつき始める。
しかし楓のテンションの高い声を聞いてもミルモは興味なさそうにあくびをした。
すると教室のドアが開き転校生であろう女の子が入ってきた。

「「「「「おぉーーーー!!!」」」」」
「静かにしろ!」

その瞬間あちこちの(結木以外の)男子が歓声をあげた。先生が怒鳴るが全く持って効果はなさそうだ。
男子が声をあげた理由は転校生の容姿にあった。
小柄な体に白い肌。サラサラとした薄茶色の髪に整った顔立ち。雰囲気や顔は綺麗というより可愛いだが間違いなく美少女に分類される。

「うわぁ、可愛い子だねぇ。」
「オホッ美人!!楓よりずっと可愛いじゃねーか♪友達になるには不釣り合いだな、諦めろ。」
「うるさいわよミルモ!!」

「ふん。あんな子、私と比べたら大した事ないわよ。結木君に近づいたらただじゃおかないわ。」
「「「「………(汗)」」」」

安純の言葉はさすがに耳に届いていないだろうが男子に騒がられているからか女の子は少し怯えたようにおどおどしていた。
だが先生に促され聞き取りにくい小さな声で自己紹介を始めた。

「片瀬瞳、です…。」

瞳の席は楓の後ろになった。休み時間になると楓は瞳を気にしてる男子の視線を気にもとめずさっそく瞳に話しかける。

「初めまして、片瀬さん!私は南楓!よろしくね!」
「え、あ、よ、よろしく…。」
「席も近いし困った事があったら何でも言ってね!」
「う、うん。ありがとう。」
「楓、勢い良すぎて引かれてるんじゃねぇの〜♪」

ミルモの言葉にムッとして楓は言い返そうと思ったが瞳の前なので言い返せずに後でくもっちょ抜きにしようと心に決めた。

しかしその時、瞳が一瞬、本当に一瞬だけミルモに目を向けた事は楓もミルモも全く気付かなかった。


第1話終わりです!
お気づきの通り(?)主人公は片瀬瞳です。タイトルまんますぎたかな…?
ていうか、男子騒がせすぎですね。瞳は内気で控えめな可愛らしい女の子設定でいきます。安純とは正反対な性格になるよう意識しました!
でもおとなしいから最初あたりはあまり主人公らしい活躍はないでしょうね。
少しずつ精神的に成長させます!

次回も早めに書きあげます!出来たら今日中に書きたい…。
それでは!


■ いっちゃん (50回/2011/02/27(Sun) 12:25:16/No3561)

月白さん、こんにちは!いっちゃんです。

おおっ!中学3年生なのですか!先輩ですね(^^)
つきしろさんですね!やっぱり綺麗な名前だなぁ。
「月白先輩っ!」て先輩ぽい感じがしていいですね(笑)

私の小説を読んでくれているのですか!感激ですね。
いやいや、かなり行き会ったりばったりの小説ですよ。(授業中に考えてますし・・・汗)
月白さんの小説もおもしろくなってきそうですね!
この転校してきた片瀬瞳ちゃんがどう動いていくのか・・・!
うーむ、興味深い。 ←お前は誰だっ

返事をもらえるとテンション上がりますよね!
私も初めてこのムルモ屋にきて、皆さんからお返事を貰ったときは笑顔全開でした(笑)
ぜひ、小説版に限らず、掲示板のほうにも行って見てください!
いろんなミルモ好きの皆さんがいてとても楽しいですよ!

続きが楽しみです!
それではっ!


■ 月白 (3回/2011/02/27(Sun) 19:14:33/No3567)

どうも、いっちゃんさん!!

年齢的には先輩ですがムルモ屋では後輩なので何かあれば遠慮なく言って下さいね!
いっちゃんさんに名前をほめて頂いて嬉しいです。
ちなみに月白という言葉は実際にあって「月の出ようとする時、空のしらんで見える事」だそうですよ。ってどうでもいい話ですね(笑)
後、主人公の瞳はしばらくは動いていくというより動かされる(?)感じです。
気が弱いので周りに流されたりする事が多いです。周りは個性豊かで賑やかですしね。

時間ができましたので続き書きたいと思います。ではっ!


第2話「秘密のメモ帳」


「はぁ…。」

誰もいない屋上で転校生、片瀬瞳は一人ため息をついた。
クラスメイト達からの質問からほとんど逃げるように瞳は屋上に来た。

あんな風に誰かとあまりしゃべる事がない為に戸惑い、最終的にはあまりの緊張で何も言えなくなってしまった。

「やっぱり私ってダメだなぁ…。なんでこうなんだろう。」

瞳は初対面でも気軽に話し掛けてくれた楓の事を思い出す。
本当は嬉しかった。仲良くなりたいとも思った。
でも瞳はそのテンションについていけず返事もしどろもどろになってしまった。

ひょっとしたら嫌な子と思われたかもしれない。
今頃暗い子だと言われているかもしれない。
教室に戻ったらもう相手にされないかもしれない。

考えれば考えるほどどんどん悪い方へ考えてしまう。
これは昔からの瞳の悪い癖だ。

「………。」

瞳はそんな考えを振り払うように頭を横に振ると周りに人がいないのを確認しメモ帳を取り出した。
瞳はそのメモ帳の真っ白な新しいページになんと楓のパートナーで普通の人には見えないはずの妖精、ミルモを描いたのだ。

「南さんのパートナー、こんな感じだったかな。」
「すっご〜い!上手〜!!」

突然の声に瞳は驚きのあまりメモ帳をうっかり落としかけた。
自分一人と思っていた屋上にはいつの間にかもう一人、楓がいたのだ。

「み、南さん!?あ、これは、その…、ちがっ…!」
「片瀬さんも妖精が見えたんだね!それならそうともっと早く言ってくれたらよかったのに〜。でもそれってミルモでしょ?あ、ミルモは私のパートナーの名前ね。すっごくそっくりだね!」
「そ、そうかな?」
「うん!他にも何か描いてあるの?見せてもらってもいい?」
「あ、ど、どうぞ。」

メモ帳にはミルモ以外にも楓も知らない妖精達がたくさん描かれていた。
楓はページをめくる度に感嘆の声をあげる。

「片瀬さんって本当に絵が上手なんだね!それに妖精がたくさん!いつも絵を描いたりしてるの?
「ちっちゃい頃からよく描いてたから…。」
「ねぇ、他にも妖精とかの絵はあるの?」
「う、うん。家に…。」
「わぁ〜!見たい見たい!今度片瀬さん家に行ってもいい?」
「で、でも、大した事ないよ…?」
「そんな事ないよ!だってすごく上手だもん!」

楓の反応に瞳はいろいろと戸惑ったが別に嫌われたわけではないのだとわかるとゆっくり頷いた。

「楽しみ〜。あ、そうだ!私のパートナーの他にも妖精がいるからつれていってもいい?皆も紹介したいし。」
「う、うん。良いよ。」

するとそこでチャイムが鳴った。

「あ、もう戻らないと。行こ、片瀬さん!」
「う、うん。」



「まぁ。瞳さんも妖精が見えてらしたのですね。」
「瞳しゃんっていう人はどんな人なんでしゅか〜?僕も会いたいでしゅ♪」
「今日は転校初日だからいろいろと忙しいみたい。すごく絵が上手なんだよ、片瀬さん。今度家に行って見せてもらう約束したんだ。ねぇ、結木君も一緒に行こうよ。リルムちゃんとムルモちゃんも。」
「別に良いけど。」
「私も喜んで♪」
「僕も行くでしゅ♪」

皆がそう言う中、ミルモだけくもっちょを食べていた。

「ミルモもだよ!」
「何ー!俺は忙しいんだよ!」
「何が?」
「当然、くもっちょを食べる事でだ。まぁ、お菓子が出るんなら話は別だがな。」
「もう!そんな事言ってるくもっちょ抜きにするよ!」
「なんだと!」

そんな言い合いをしていると突然楓の後頭部に強い衝撃が走り楓は倒れこむ。

「結木く〜ん♪一緒に帰りましょう♪」
「何すんのよ、日高さん!痛いじゃないっ!!」
「結木君に近づくな何度言ったらわかるの!ねぇ、結木君♪」
「あぁ!ズル〜い!日高さん、結木君から離れてよぉ!」
「こいつらは…。」

ミルモの呆れたような呟きも視線も派手に火花を散らす二人は全く気が付かない位。

「ふん、まぁ良いわ。それより話は聞かせてもらったわ。あんたと結木君を二人きりにさせるわけにはいかないから私も行くわよ。」
「えぇ〜!なんで日高さんが来るのよ!」
「抜け駆けなんてさせるものですか!それに片瀬さんが結木君に手を出さないとも限らないからね!ちゃんと見張らないと。」

「考えすぎではないか?」
「ていうか二人きりじゃないんだぜ。」
「脅迫でもしてくる気なのら〜?」
「あ、兄様、先輩方…。」
「なんですって、あんた達!!」
「「「ひぃぃぃぃ〜〜〜!!!」」」

「ヤシチしゃん達いつの間にいたんでしゅか…?」
「南さ〜ん!南さんが行くなら僕も行くよ〜!」
「ま、松竹君!」

かくして、いつもの人間達四人とちびっ子忍者を含めた妖精達七人で瞳の家に行く事が決まったのだった。



第2話書き終わりました!
楓を少し図々しくさせすぎた気がします。
でも瞳が気弱すぎるからこれぐらいしないと話が進まないんですよね。
松竹君の出番がない…。なんか完全に楓のおっかけ状態ですね(笑)

少し話の展開を変えて次回オリフェの妖精忍者二人出す事にしました!
主人公の瞳が目立ちませんが…。
まだ少し考え中だから下手したら出ませんね。(おい)
主人公なのに出番がないって…。でも瞳が活躍するシーンは既に考えてます!
ネズミも主人公と一緒に活躍させるんだから早く出さないとって思うんですが話の展開上もうしばらくでませんね。

それでは!


■ 月白 (7回/2011/03/01(Tue) 21:59:48/No3578)

どうも、月白です!
昨日今日と学校を休んでしまいました。卒業間近なのに…。
でも病院行ったら薬もらっただけで大した事ありませんでした。
具合もだいぶ良くなったし第3話出来たんで書きます!



第3話「突然の来訪者」



「うんめ〜♪」
「もう、こんなにいっぱい買ってたらお小遣いなくなっちゃうよぉ〜。」


ある休日。
ミルモと楓は部屋でのんびりした時間を過ごしていた。


「ミルモ様〜。楓様〜。遊びに来ましたわ♪」
「楓しゃ〜ん♪」
「あ、リルムちゃん、ムルモちゃん。いらっしゃい。」
「なんだよ、お前ら。帰れ帰れ。俺はくもっちょを食べてて忙しいんだ。」
「ミルモ様!?ひどいですわ…。そんな言い方…。」

まずい!?ミルモがそう思った時にはすでに遅かった。
ムルモはさっさと二人から距離をとる。

「ミルモ様のバカァァァァ!!!!」
「ぎゃあああああ!!!!」
「「………(汗)」」



リルムの鉄拳を受けたミルモがようやく復活した頃。
突然楓の部屋の引き出しが開いた。

「すみませ〜ん。」
「ん?なんだ?何にも頼んでないぞ。」
「違いますわ、ミルモ様。これはマグカップの配達ですわ。」
「誰か来る予定だったんでしゅか?」

しかし誰にも心当たりがなかった。
人間姿のクモモはそのままマグカップを二つ置いて「すみませ〜ん」と言いながら去って行った。

「誰のマグカップ?」
「見覚えのねぇマグカップだな。誰のマグカップだ?」

全員が頭の上に?を浮かべている中、マグカップから妖精が二人出てきた。

「よぉ。」
「久しぶり!」

一人は茶色の髪に緋色の忍者服を着た妖精忍者の男の子。
一人は紫色の髪を一つに結び水色の忍者服を着た妖精くノ一の女の子。
しかし、どちらもミルモ達には全く見覚えがなく…。

「「誰だ、お前ら。」」

どうやら向こうはこっちを知っている、というわけでもないらしく緋色の妖精も怪訝な表情でミルモと同じ事を言ってきた。
そこでミルモは理解した。また、クモモがドジをしたのだと。
少し気まずい沈黙が流れる。


「ヒイロ!アゲハ!」


その時、沈黙を破ったのはその場にいる誰でもなく窓から入ってきたヤシチだった。
その後ろにはサスケ、ハンゾー、ヤマネもいた。

「「ヤシチ!」」

「まだここにいたか。先ほどクモモから連絡が入ってな。マグカップを送る場所を間違えたというから慌てて迎えに来たのだ。」
「あの店員間違えたのか…。」
「ヤシチ〜!良かった〜!本当、どうしようかと思ったわ!」

どうやら二人の妖精忍者はヤシチの知り合いだったらしい。
ミルモ達だけでなく後ろにいるサスケとハンゾーもポカンとしている。

「兄貴〜。いい加減説明してほしいんだぜ〜。」
「その人達は誰なのら〜?」
「おい、ヤシチ!そいつらお前の知り合いかよ。」

その言葉に真っ先に水色の妖精が反応をする。

「あ、ごめんなさい!つい挨拶をするのを忘れちゃってた。初めまして、あたしはヤシチの幼馴染で忍者の村のアゲハって言います。」
「同じくヒイロ。」

アゲハという妖精は明るく笑顔で気さくな感じだがヒイロという妖精はあまりミルモ達に興味がなさそうだ。

「ヒイロ!何よ、その失礼な挨拶は!もっとちゃんとしなさい!」
「別に良いだろ。俺もお前と同じなんだから。なんで二回も同じ事言わなきゃなんねぇんだよ。」
「せめて相手の目を見て話しなさいよ!失礼でしょ!」
「お、落ち着けアゲハ。お主も相変わらずだな。」

騒いでる三人をよそにミルモ達はヤマネ達と話し始める。

「忍者の村って事はヤマネもあいつら知ってるのか?」
「はい。アゲハ殿とヒイロ殿にはいつもお世話になっております。」




すみません!切ります!


■ りょく (221回/2011/03/03(Thu) 17:29:30/No3584)

白月さん、初めまして!
りょくと言うものです。

私も妖精忍者が大好きで(特にネズミ)これからどんな展開になるのか楽しみにしています(*> U <*)
妖精忍者は四文字熟語ですよね(←

物語の方は、美少女の瞳ちゃんは妖精が見えるってことは、妖精のパートナーがいて、それってもしや、公式キャラ…?
(全然違ってたらすみません)

オリフェのアゲハちゃんとヒイロは性格が正反対ですね。
アゲハちゃんは親切だけど、ヒイロはあんまり協力的じゃなさそう。
ヤシチの忍者レベルの低さに内心呆れてたりして。それともはっきり口に出すタイプ?

どっちにしろ、まだまだ情報が少ないのでお話の続きが楽しみですvv

では!


■ 月白 (8回/2011/03/05(Sat) 16:20:52/No3592)

りょくさん、初めまして!

りょくさんの小説いつも読ませて頂いています!
またそちらの方でも顔を出させて頂きますね。

りょくさんは鋭いですね!
ヒイロとアゲハの性格はどんぴしゃかと思います。
アゲハはよく言えば親切、悪く言えばお節介といった感じです。
ヒイロは自分が認めた相手としか仲良くしません。後、内心どころかはっきり言います。
ヤシチの(ネズミを含めた)幼馴染達はこの物語で重要キャラになります。
頑張って早くネズミを出します!
瞳のパートナーに関しては追々わかります。

それでは続きを書きます!



「で、結局お主達は何しに来たのだ?」
「何しにって、ヤシチに会いに来たに決まってるじゃない。」
「お前やヤマネちゃんを訪ねる以外に何かこっちに来る理由があるのかよ。」
「そうではない!なぜ何の連絡もなしにいきなり人間界に来たのだと言っているのだ!」
「なぜ、ですって?」

その言葉を聞いた瞬間、アゲハが満面の笑みを浮かべる。
だがヤシチはぴたりと固まる。心なしか少し青ざめてもいる。

「いつまで経っても里帰りはしない。連絡もよこさない。ヤマネちゃんはこまめに連絡してくれるしこの前里帰りした時もちゃんと私達に挨拶来てくれたわよ?その時あんたも誘ったらしいじゃない。それなのになんで帰ってこないのかしら?」
「あ、いや、えっと…、それは、だな…。」

ヤシチは完全にしどろもどろになっている。
長い付き合いだからこそ、このアゲハの笑顔は本気で怒っている時の笑顔だとわかる。

「笑って怒ってるアゲハはこえーぞ?」
「う、うるさいヒイロ!わかってる!」

小声でヒイロと言い合ったところで当然状況は好転しない。
ヤシチはとにかく状況を打破する為に頭をフル回転する。何も思い浮かばないが…。

「お、おいヒイロ。なぜアゲハはここまで怒っておるのだ?」
「ま、確かにお前に対して過保護なアゲハがここまで怒るのは珍しいけど…、そこは察しろよ。相変わらず鈍いな…。」

ヒイロが呆れたようにため息をついた。
ヤシチとしては昔からしょっちゅう言われて理解出来ない事なのでムッとして言い返そうとした。
が、今はアゲハを何とかする方が優先と考え止める。

「えーっと、アゲハ?」
「何?」
「あ、いや、なぜそこまで怒っているのだ?」
「「「「「………。」」」」」
「…ヤシチ、お前、それはまずいだろ…。」

それを聞いた周りは全員がヒイロと同じ事を思った。
アゲハの表情から笑みさえ消える。

「ヤシチ。あんたはいつもいつもいつも…。どんだけ心配したと思っているのかしら?」
「え、えっと、だな…。」
「あんたは昔から無茶するからいつも心配してるのに連絡の一つもよこさないしヤマネちゃんが人間界に来るまでは一切音沙汰なかったじゃない!たまには里帰りぐらいしなさいよ!だからこっちから来たんじゃない!それなのになんで来たですって!?幼馴染を心配して訪ねる事に何か問題でも!?」
「う…。し、心配とはなんだ!心配とは!お主に心配されるような事など何もない!拙者だっていつまでも子供ではないのだぞ!」
「あたしから見ればあんたもヒイロも子供よ!子供!」
「や、俺もお前もヤシチも三人共同い年…。」
「うっさい、ヒイロ!」

冷静にツッコミを入れるヒイロに問答無用とばかりにアゲハは怒鳴った。
ヤシチは完全にアゲハ勢いに押されている。

「大体あんた本当に危なっかしいのよ!心配するなって方が無理でしょうが!も〜〜〜!!!あんたといいネズミといいなんでそうなのよ!たまには村に帰ってこいっての!あんた達まで出て行っちゃって村に残ったのはあたしとヒイロの二人だけよ!どうゆう事か少しぐらい察してよね!」
「わ、わかった!拙者が悪かった!なるべく連絡するし近い内に村にも帰る!それで良いであろう!」
「良くない!それだけじゃ今まで散々心配させた分は帳消しにならないわ!」
「じゃあどうしろと…。」

ヤシチが言いかけた時、黙っていたヒイロが口を開いた。

「んじゃ今日一日付き合ってもらったら?人間界の観光、ヤシチに案内してもらうとか。」
「へ…?」
「それいい、ヒイロ!ヤシチ!良いわね!」
「何〜!?いきなり来て勝手な事を言うな!きょ、今日はやる事があるのだ!本当はすぐにでも帰らねばならんのだ!」
「あ、あの、なら私がご案内を致しましょうか?」
「ヤマネ!」

黙って話を聞いていたヤマネが恐る恐る話に入ってきた。
その言葉にヤシチはホッとするが…。

「ありがとう、ヤマネちゃん。相変わらず優しいわね。でもこれは今まで帰ってこなかったヤシチへの罰なんだから!」
「だ、だからこれから気を付けると…。」
「お前から連絡も何もなくてピリピリしてたアゲハを俺一人で相手してたんだぞ?報いを受けろ。」
「報いとはなんだーーー!!!」
「大体修行なんかしたって無意味だろ、落ちこぼれ。」
「うるさいわ!」

始まった喧嘩をちびっ子忍者達は呆然と見ていた。
だがやがて痺れを切らしたのは…。

「お前らいつまで居座るつもりだぁーーー!!!」

やはりと言うべきかミルモだった。

「あ、ごめんなさい!すぐに出て行きます!」
「うるせーな…。」
「ヒイロ!」
「で?どうすんだ、ヤシチ。」
「くそー。わかった!案内すれば良いのだろう!」
「そうこなくっちゃ♪たまには幼馴染孝行してくれないとね♪」
「なんだよ、幼馴染孝行って…。まぁ良いけど。」
「お前達!今日の修行は休みだ!後は好きにしろ!行くぞ、ヒイロ!アゲハ!」

そう言うとヤシチは団扇を出し窓から出て行く。ヒイロとアゲハも団扇を出しヤシチを追いかける。
アゲハは窓から出て行く前にミルモ達に振り返る。

「お騒がせしてすみませんでした。それでは失礼します。」

アゲハが頭を下げたのでミルモ以外もつられて頭を下げる。

「ていうか、一番騒いでたのはアゲハだろ。」
「確かに。」

ヒイロの言葉にヤシチも頷いた。
アゲハはそんな二人に「うっさい!」と怒鳴ると最後にヤマネに一言かけて去っていった。


「騒がしい奴らだったぜ。」
「クモモちゃん、また間違えちゃったんだね。」
「でも、あまりお話出来ませんでしたわ。」
「アゲハしゃんともっとお話ししたかったでしゅ。」
「オイラ達ほとんどほっとかれてたんだぜ。」
「最終的には置いていかれたのら〜。」

あまりの急転ぶりにまだ呆然とした感じが残っている。
最も、ミルモだけがずっとくもっちょを食べているが…。

「でも先輩方。今日は三人だけにして差し上げましょう。ヤシチ兄様達は本当に仲がよろしいのです。アゲハ殿も怒っておりましたが本当はヤシチ兄様の事をずっと気にかけておられたのでございます。」
「気にかけてたって事は、アゲハさんは兄貴の事が好きなのら?」
「え!?」

ハンゾーは何でもないようにあっさり言ったがヤシチに気のあるヤマネにとってその言葉はあっさり返せるような言葉ではなかった。
ヤマネだけでなく皆も一瞬動きを止めヤマネに視線を向ける。

「そ、それは、私にはよく…。」
「わからないのら〜?」
「は、はい…。ただ、アゲハ殿はヤシチ兄様には特別優しいという話を昔、他の方から聞いた事が…。」

ヤマネの声はどんどん小さくなり落ち込んでいってるのが誰の目にも明らかだった。
リルムは慌ててヤマネを慰める。

「大丈夫ですわ!ヤマネさん!まだそうと決まったわけではありませんわ!」
「そうだよ!他の人から聞いた話なんて鵜呑みにする事ないよ!」
「ヤ、ヤマネ!げ、元気出すんだぜ!」
「でも、確かにアゲハ殿はヤシチ兄様に何か特別なものがあるような気が致します…。アゲハ殿は私なんかよりもずっとヤシチ兄様と長い付き合いですし…。」
「心配いりませんわ!ヤマネさん、しっかり!」
「ヤ、ヤマネ!げ、元気出すんだぜ!」
「サスケ、さっきと同じ事しか言えてないのら〜。」
「リルム殿、楓殿、サスケ先輩。皆さん、ありがとうございます。そうでございますよね。まだアゲハ殿がヤシチ兄様を好いているかどうかもわかりませんしね。」
「そのいきだよ、ヤマネちゃん!ファイト!」
「はい!」



―おまけ―

「ところで、兄貴って確か安純から掃除を頼まれていたんじゃなかったんだぜ?」
「でももう行っちゃったのら〜。このままじゃ安純に怒られて恐ろしい事になるのら〜。」
「では私、今から掃除してきます!」
「え〜、でも兄貴は好きにしていいって言ってたのら〜。わざわざ掃除なんてする事ないのら〜。」
「師匠の代わりを勤めるのも弟子の役目。それにヤシチ兄様の為でもございますし?」
「な、ならオイラもやるんだぜ!たまには兄貴を驚かせるんだぜ!」
「仕方ないのら〜。サスケもヤマネもやるなら僕もやるのら。」

弟子のおかげでこの後ヤシチは何とか安純からのトイレ流しを免れたのでだった。



第3話終了です!
瞳を出せなかった…。
次回は(多分?)瞳の家です。入ればオリフェ出します!
ちなみにこの話はこの先の伏線が少し入っています。
ヒイロやアゲハの事はあまり説明出来なかった…。その内設定書きます!

それでは!


■ こやまる (1078回/2011/03/15(Tue) 07:04:01/No3607)
http://www.murumoya.com/


月白さん、りょくさん、おはようございます☆

突如現れた妖精忍者の二人、早くもキャラの濃さ全開ですね。
特にアゲハのヤシチへの想いが熱いっ。
どこぞのムルパピみたいですが、アゲハに恋のことを訪ねるとやはりパピィみたいな反応を示すのでしょーか?
もう早くも恋のにぎやかな展開にドキドキしっぱなしです。

そしてすっかり落ち込んでしまったヤマネちゃん。
アゲハに遅れを取っていることを自覚しているだけに、次回以降でもっと積極的(というか暴走?)になって欲しいです(^^)。

ヒイロはアゲハとは血縁関係は無しの幼馴染みな関係でしょうか?
ヤシチを加えた3人の幼い頃のエピソードもいつか見てみたいですね。
頼りないヤシチのせいでアゲハの性格が過保護になったのかな。
アゲハがヤシチを好きになったきっかけもぜひ・・・♪

瞳のパートナー妖精がいまだ謎に包まれているのも気になります〜。

それでは続きを楽しみにしています。
では!


■ 月白 (10回/2011/03/15(Tue) 18:19:57/No3609)

こんばんは、こやまるさん!
この大変な時期にコメントありがとうございます!

前回はなんかアゲハばかりが目立ってしまいヒイロが目立ちませんでしたね。
アゲハは普段は(多分)こんな事ないんですよ!ヤシチ『には』優しいというか甘いんです!
ただ全く連絡がなかったので爆発したというか…、なんというか…。(おい)
アゲハにヤシチが好きか尋ねれば好きと答えますね。ツンデレじゃないです。
正確に言えばアゲハは恋という意味で答える事はありません!
アゲハのヤシチに対する思いは恋なのか!は、まだ明かす気はありません。
今聞いても「幼馴染だもんね♪」で終わらします。はぐらかしているのか本気なのかは皆さんのご想像で。

恋の展開でヤマネちゃんを暴走させてみたい!(待て)
恋する暴走乙女大好きです♪でもその展開は後回しですね。先にやる事が…。

3人共血縁関係はありませんね。
彼らの出会いや幼い頃のエピソードは必ず書くつもりです!
ヒイロは普段は冷静(?)な性格なのであまり喋りませんでしたが次の出番ではもっと出てきます。
アゲハもヒイロもまだ出せていない設定があるので後2話くらい書いたら設定を書こうかと思います。

長くなっちゃったか?
まぁ、とにもかくにも前回出せなかった瞳を出します!ではっ!



第4話「お菓子パーティー」



ヤシチの幼馴染二人が楓の家に現れた日から数日後の休日。
ミルモ達は前に約束した通り瞳の家を訪れていた。
そこには話を聞いてついてきたパピィの姿もあった。

「い、いらっしゃい。」
「片瀬さん!今日は大人数でごめんね。思ったより増えちゃって。」
「あ、いや、平気だよ。ど、どうぞ。」
「「「お邪魔(致)します!」」」

ちびっ子忍者達の声に他の皆も家にあがる。
家に入った瞬間、甘いお菓子の匂いがし当然のごとく妖精達がすぐに反応する。

「お菓子だ!」

ミルモを筆頭にすぐに飛び出しお菓子の匂いがする部屋に飛び込む。
部屋には様々なお菓子が並べてある。
楓達が部屋に入ってきた時にはすでに(ヤマネを除く)妖精達はお菓子を好きに食べまくっている。

「ちょ、ミルモ!勝手に食べちゃ…!」
「あ、き、気にしないで。今日の為に作ったから。」
「これ作ったの!?」
「う、うん。」

「瞳しゃんって絵だけじゃなくてお菓子作りも得意なんでしゅね。すごいでしゅ〜♪」
「ちょっと、ムルモ!ぶりっ子ちないでよね!どうせ可愛くないんだから!」
「な!!僕のどこが可愛くないんでしゅか、パピィ!」
「全部よ!そんな事もわからないなんてムルモはおバカたんね!」
「僕の可愛さがわからないパピィの方がおバカしゃんでしゅよ!」
「何よ!」
「何でしゅか!」

ムルモとパピィが喧嘩を始めるが慌てるのは瞳だけで他の皆はいつもの事と全く気にも止めずお菓子を食べている。

「ヤマネは食べないんだぜ?」
「いえ、私は…。」
「ちょ、ちょっとぐらいなら良いと思うぜ!一人だけ何にも食べれないのはオイラだったら嫌なんだぜ!」
「でも…、ありがとうございます、サスケ先輩。私は大丈夫です。」
「ヤ、ヤマネ…。////」

ヤマネに微笑みかけられサスケは顔を赤くする。
その時ヤマネにヤシチから声がかかった。

「ヤマネ!このお菓子は甘くないからヤマネでも食べられるぞ!」
「ヤ、ヤシチ兄様!ありがとうございます…。//////」

その様子をサスケは複雑な思いで見ていた。
そんな光景など目にくれず安純と結木を取り合っていた楓が思い出したように瞳に振り返る。

「そういえば片瀬さんのパートナーはどうしたの?」
「え、あ、今はいない、の…。」
「え〜、そうなんだ〜。」
「残念ですわ〜、お会いしたかったのに。いつ帰ってきますの?」
「そ、それは…。」
「ひょっとして今は里帰りをしているのでございましょうか?」
「そ、そう。そうなの。」

楓の言葉に一瞬、瞳の目が泳いだ事には誰も気付かない。
だがヤマネの言葉に納得した楓とリルムを見てホッとした表情になる。

「あ、ねぇねぇ片瀬さん!これって片瀬さんの絵だよね。見ても良い?」
「私も見せて頂きたいですわ!」

楓が指差したのはいくつかのスケッチブックだった。
瞳が小さく頷いたのを見ると楓がスケッチブックを手に取り他の皆も絵を見ようと寄ってくる。
スケッチブックにはいろんな妖精の絵が描いてあった。

「おぉ〜、すげぇなぁ。」
「これは見事だ。」
「たくさん描いてありますわ!」
「すごいでしゅ、瞳しゃん!」
「そ、そんな事ないよ。」

ミルモ達の言葉に瞳は照れながら微笑んだ。
すると楓があ、と小さく声を上げた。

「ねぇ、片瀬さん。片瀬さんのパートナーの絵はないの?」
「そ、それは…。」

その時、窓から物音がした。
皆が窓の方に視線を向けるとそこには…。

「ハーハッハッハ!久しぶりだな、ミルモ!」
「「「「久しぶりだな!」」」」
「あ、お前ら!」

ミルモや他の皆の表情に呆れや疲れやとにかく良くないものが浮かぶ。
そこにいたのは黒服の五人組の妖精達。
(皆さんが予想している通りだと思います)

「この世に闇が―――――」

割愛

「「「「「おい!!」」」」」

言わずもがなワルモ団です。セリフは長いから割愛します。
(ワルモ団ファンの皆様ごめんなさい)

「それはないだろ、それはー!」
「折角の出番なんだぞー!」
「最後まで言わせろー!」
「格好つけさせろー!」
「これから出番ないかもしれないんだぞー!」

ていうか無いですね、はい。

「「「「「ふざけるなー!」」」」」

それよりもミルモ達お菓子食べてますよ。
すでに完全無視状態です。
このままだとこの話さえボツになって出番無しになりますよ。

「コラー!俺達を無視するなー!」
「「「「無視するなー!」」」」
「あぁ?うっせーなぁ。俺はお菓子を食べるので忙しいんだ。」
「ワルモ団みたいなおバカたん達に何が出来るのよ!」
「「「「「何だとーーー!!!」」」」」

「あ、えっと、ミルモ君達のお友達?よ、良かったらお菓子どうぞ。」
「「「「「違ーう!!!」」」」」

唯一現状を理解出来ていない瞳の発言にツッコミが入る。
きょとんとした表情の瞳にミルモが怒鳴る。

「んなわけねぇだろうが!空気をよめ、空気を!」
「我々の目的は王国の打倒!」
「その手始めに打倒ミルモだ!」
「断じて友達ではなーい!」
「そうだ!勘違いするなぁ!」
「でもお菓子は食べたいな…。」
「「「「おい!!」」」」

ミルモとワルモ団に突っ込まれ瞳はおろおろする。
が、ふと「あれ?」と声をあげる。

「どうして王国を打倒するのにミルモ君を倒そうとしてるの?」
「あ、そういえば片瀬さん知らないんだっけ?ミルモは妖精界にあるミルモの里の王子なんだよ。」
「え!?そうなの?ミルモ君って王子様なんだ!す、すごい…。」
「へっへー。まぁな〜。」
「そうは見えないけどな。」
「でしゅでしゅ。」
「何だとーーーー!!!」

喧嘩を始めたミルモ達に珍しく瞳は慌てるそぶりは見せなかったが何か考えているようだった。
楓がどうかしたのかと思い話し掛けると瞳はミルモ達を見ながら言った。

「あ、いや、ミルモ君とムルモ君が王子様って事はやっぱりそうゆう風に呼んだ方が良いのかなって。」
「別に良いと思うぞ。」
「そうかな…?」
「そうそう、結木君の言う通り!」
「あはは、片瀬さんって真面目だねぇ。」
「今更呼び方なんか変える必要ないでしょ。」

そうゆうものなのかと瞳が考えていたその時…。

「だから俺達を無視するなー!」
「「「「そうだ、そうだー!」」」」

「ふわわ!?あ、ごめんなさい!」
「あ、まだいたのかよ。」
「てっきり帰ったかと思ったぞ。」
「正直忘れていましたわ。」
「いつまでいる気でしゅか。」
「早く帰りなちゃいよ!」
「今日は皆でお菓子食べてるんだぜ!」
「いい加減しつこいのら〜。」
「それほど戦いたいのならばお相手致します!」
「「「「「何をー!」」」」」

瞳の慌てぶりとは対照的に妖精達の反応はかなり冷淡。
扱いが酷いワルモ団はついにキレたのか楽器を取り出した。
ミルモ達も応戦するべく楽器を取り出した。
窓からベッドに飛び降りたワルモ団を追いミルモ達もベッドに飛び乗る。

「「「「「ワルモでポン!」」」」」
「ミルモでポン!」
「ヤシチでポン!」
「リルムでポン!」
「ムルモでポン!」

魔法で出したものを互いに飛ばし合う。
(ムルモを除く)ちびっ子妖精達は後ろの方で応援していた。
何回かやり合った時…。

「「きゃあ!」」

瞳と楓の悲鳴が聞こえた。
振り返ると瞳達の方にも魔法で出したものが飛んできていたのだ。

「きゃ〜、結木君こわ〜い!」
「あー!日高さん、離れてよ〜!」
「お前らな…。」
「南さんは僕が守っ、ぐはっ!」
「ま、松竹君!?あ、あ、ミルモ君達、と、えっと、ワルモ団さん、危ないから止めようよ。」

楓達はこんな時もいつも通りだった。
だが瞳はこんな状況には慣れていない為かなり慌てている。
ミルモ達は周りが見えていないようで構わず続けている。

「あ、危ないって…!」
「ええい、うるさい、邪魔するな!」
「「「「邪魔するな!」」」」
「へ、きゃあ!」
「あ!片瀬さん!」

ワルモ団が魔法でバットを出して瞳を攻撃しようとする。
ミルモ達が魔法を使おうにも間に合わず瞳も避けられない。
皆が当たると思った瞬間…。

「女の子に乱暴すんじゃねぇよ。」

聞きなれない声と銃声が響いた。



第4話終わりです!
お昼から書き始めたのに時間がかかってしまった…。
最初考えていたよりも長くなってオリフェが最後しか出せませんでした。
次回はヒイロとアゲハがまた出ます!謎の妖精の正体も当然明らかに!
では次回をお楽しみに…!!

瞳「あの、わざとワルモ団さん達のコメント避けてませんか…?」

………それでは次回!!(^^)/

瞳「えええ!?ちょ、それは、あ、あー!逃げちゃダメですよー!」

失礼しましたー!


■ いっちゃん (55回/2011/03/15(Tue) 21:03:59/No3610)

月白さん、こんばんはです(^^)

最近忙しくてあまりコメができなかったのですが、今の時期はちょっと時間が空くのでやっとレスができました!!
おお〜なにやら新展開?が入ってきました!
最後のセリフの主はもしかしてアク○か!?
もしそうとしたら銃声の主はラッ○!?
・・・いや、でもここまで言っておいて間違ってたら恥ずかしいですね(汗)
あれ・・・?なんか自信がなくなってきたぞ・・・。

ヤシチの幼馴染がオリフェとして出てきましたね!
アゲハとヒイロ・・・。この二人はこれからどんな感じに物語を動かしていくのでしょうか?
特にアゲハはヤシチのことを本当にどう思っているのか・・・?
うぅ〜気になる!!

月白さんはアゲハ(?)→ヤシチ←ヤマネ←サスケの関係をとても上手に表していますよね!
ヤマネが落ち込むたびにサスケが落ち込むのが見てて痛々しいです・・・。
この四角関係(?)はこれからどうなっていくのでしょうか?
(まだアゲハが本当にヤシチに恋愛感情を抱いているのか分からないので(?)で誤魔化しています 汗)

ネズミはもうそろそろで出てくるのでしょうか?
おとなしい性格の瞳ちゃんとイヤミ〜な性格のネズミがどうやって関わっていくのかが気になっておりますっ!

それではっ!


■ 月白 (12回/2011/03/18(Fri) 11:30:03/No3615)

おはようございます、いっちゃんさん!

今更ながらこの話がいつら辺か説明していない事に気が付きました…。
最初の方に書くつもりだったのに!!バカか私は!(わかりきってる事ですね。)
いっちゃんさんの言う事もごもっともですね。自分で読んで確かにと思いました…。
この小説は設定ではダアクを倒した後ですね。
アクミは出てきますがラットは出てきません。ネズミとして出ます。
最後の聞きなれない声と銃声は新しいオリフェです。
マヌケな失敗してすみませんでした!

アゲハの態度もヒイロの態度も実はそれなりに理由があるんですよ〜(^^)
この幼馴染達にはまだまだある設定があるのでお楽しみに!(こんな事言って大丈夫か?)

四角関係…、確かに!(え
上手に表してなんかいないですよ。
ただこんな場面になったらこの妖精はこうするかなって思って書いてるだけですし。
そのせいで今のところミルモがただの食いしん坊に…(汗)
でもこのまま終わらせませんよ!一応!(おい)

ネズミは…、もう少しお待ち下さい(^^;)
今回出てきたオリフェの件が落ち着いたら出てくる『はず』です!
本当にすみません…。それでは!



第5話「もう一人の妖精」



突然聞こえた声と銃声に驚く暇もなくワルモ団が魔法で出したバットは壊れた。
楓は慌てて瞳の所へ行く。

「か、片瀬さん、大丈夫!?」
「う、うん…。」
「我々の邪魔をするのは誰だぁ!」
「「「「誰だぁ!」」」」

ワルモ団やミルモ達が声のした窓の方へ振り返る。
そしてそこにいた妖精にミルモ達は見覚えがあった。

「あ、お前ヒイロか!?」
「まぁ、どうしてここに?」
「なぜか服装が違うでしゅ〜。」
「でも助かったんだぜ!」
「ありがとうなのら〜。」

そう。そこにいたのは前に突然ミルモ達の前に現れたヒイロだった。
だがそこにいるヒイロは前に着ていた忍者服姿ではない。
翡翠色の服を着て前とは違う雰囲気が感じられた。

なぜヒイロがここにいるのか…。
どうして服装が違うのか…。

疑問や驚きはあるものの瞳を助けてもらった事に感謝するサスケ達。
一方瞳達(楓を除く)人間は誰だかさっぱりわからない。

「み、南さん…。あの妖精さんは?」
「あの子はヒイロ君!ヤシチの幼馴染なんだよ!」
「という事は妖精忍者か?」
「それにしては格好が違うけど…?」
「どうでも良いわよ、そんな事。」

皆が口々に言う中、ヤマネだけは違和感に首を傾げ…。
そして、ヤシチだけが…。

「違う…。あいつはヒイロではない…。」
「「「「へ?」」」」

その妖精を知っていた…。



短くてすみません!切ります!


■ 月白 (13回/2011/03/20(Sun) 16:22:47/No3623)

続きです。



ヤシチの言葉にミルモ達は怪訝な表情になる。
そしてもう一度窓の方に目を向ける、が…。

「何言ってんだよ、ヤシチ!どっからどう見てもヒイロじゃねぇかよ!まぁ、服装は違ぇけど…。」
「だからあれは…!」

ヤシチが言いかけた時、ヒイロ似の妖精が初めて口を開いた。

「おい、そこのバカ王子!俺をあんなダメ忍者と一緒にすんじゃねぇよ!」
「誰がバカ王子だーーーーー!!!!!」
「その口の悪さ…。やっぱりお主か、ヒスイ!」
「ヒスイ?」

聞きなれない名前と目の前の(服装や雰囲気は違えが)ヒイロにそっくりな翡翠色の妖精が結びつかない。
しかし、ヤマネだけは心当たりがあったようで声をあげた。

「ま、まさか!その方はヒイロ殿の双子のお兄様であるヒスイ殿!」
「そうだ。」
「双子ぉ!?」
「まぁ、そうでしたの?」
「そっくりなわけでしゅね。」

双子の兄弟という事でミルモ達はようやく合点がいった。
見た目は似ていても違うところはいくつかある。
だが同じほっぺの模様が兄弟である事を示している。
ミルモ達は納得した、が、ヤマネはまだ腑に落ちないようだった。

「し、しかし、確かヒスイ殿はもう何年も前に村を出て行方不明だったはずでは?」
「行方不明だったんだぜ!?」
「だからヤマネもすぐにはわからなかったのら〜?」
「は、はい。」

ヒスイは周りの様子など一切気にせず部屋の中に入りテーブルの上に座り込む。
ヤシチは慌ててベッドからテーブルに移動しヒスイのそばに行った。

「ヒスイ!お主、今までいったい何をしておったのだ!?」
「そんなの俺の勝手だろ。」
「何を言う!お主まで突然いなくなってしまって皆、心配していたのだぞ!」
「ヤシチ、お前も相変わらずだな。幼馴染だからってお節介はいらねぇよ。」
「そうゆう問題では…!」

「「「「「だから無視するなーー!!」」」」」

完全に忘れられていたワルモ団。
正直ヒスイの登場で少し真面目な雰囲気になっていただけにお邪魔度がUPしている。

「お前らマジうぜぇ!!」
「「「「「何だとーー!!」」」」」
「少しは空気読んだらどうでしゅか?」
「くぅ〜、バカにしおって〜。我らの力を見せてやる!」
「「「「見せてやる!!」」」」

ワルモ団が楽器を取り出した。

「「「「「ワル、ワル、ワルモで…。」」」」」

だが、最後まで言い終わる直前に先ほどの銃声が五つ響いた。
そして寸分の狂いもなくワルモ団のそれぞれの真横に掠る。
ワルモ団は固まりミルモ達は銃を構えているヒスイの方へ顔を向けた。

「「「「「ひぃぃぃ〜〜〜!!!」」」」」
「ヒ、ヒスイ…?」
「おい、お前ら。」

ヒスイは顔を青くしているワルモ団を無表情で見据える。

「うぜぇ。失せろ。」
「な、何を〜!ちょ、調子にのるなぁ!」
「「「「そうだ、そうだ!」」」」

ワルモ団はしぶとさを見せてもう一度魔法を使おうとする、が。

「ケツアターーック!!」
「「「「「ぎゃああああ!!!」」」」」

ミルモのケツアタックに撃沈。
そして…。

「やれ。ムルモ、リルム。」
「わかってましゅよ。触覚ビーーーム!!!」
「とどめですわ!どぉりゃあああ!!!」
「「「「「ああああああ!!!!」」」」」

ワルモ団は星になった…。



第5話終わりです。
ちょっと短いうえにヒイロとアゲハ出せてなくてすみません…。
ややこしいので急遽分ける事にしました。
どう繋げば良いかわからなかっ…ゴホン!ゴホン!
もう1話書いてから設定書きます。
ヒイロとアゲハも次回出します!

新しいオリキャラはヒイロの双子の兄のヒスイです。
ちなみにヒスイは忍者の村から突然姿を消して長い間音信不通でした。
なのでヒスイはヤシチ達と同じく妖精忍者の一族ですが忍者は止めています。
その証拠に手裏剣などは使わず銃を使ってます。忍者服でもありません。

ふと思った事ですが確か妖精のほっぺの模様は父親と同じという設定でしたよね?
ミルモとムルモは同じ模様ですし、アンリとセンリも一緒でしたし。
だからヒイロとヒスイも双子ですし同じという設定にしたのですが…。
「ネズミとヤマネはなんで別?」という疑問が出ました。
あの2人も兄妹なのになぜ違うんでしょうか…。
女の子だから?じゃあアンリとセンリは?
まぁ考えても仕方ないですね。

では次回は久しぶりに再会した双子、ヒイロとヒスイの行動にご注目下さい。
アゲハも十分目立つと思いますが…。
ちなみにミルモがペータ達と久しぶりに会ったらするあの挨拶はしません。

では!


■ 月白 (15回/2011/03/22(Tue) 23:03:25/No3632)

こんばんは、月白です!

今日は高校の登校日でした。話長かった…。
課題がまた出てきて「え〜!」って感じでした。
でも今日は小説を書くって決めていたので書きます!
それでは第6話です!



第6話「双子の妖精忍者」



「てめー!!もう一回言ってみろ!」
「おー、何度でも言ってやるよ、くそ王子!」
「さっきと言葉変わってるじゃねぇか!!」
「バカ王子もくそ王子も同じてめえの代名詞だろ!」
「んなわけあるか!!」
「んだと!」
「んだよ!」

ワルモ団が吹っ飛びとりあえずごたごたの中で起きた事をよく把握していなかった者達にある程度説明していた間…。

ミルモとヒスイはひたすら相性が悪い事が判明した。

ヤシチと喧嘩をする時よりも圧倒的に不機嫌な表情のミルモ。
幸いな事はまだ口喧嘩で収まっている事ぐらいだろう。
むしろまだ口だけで留まっている事が不思議なくらいだ…。

「もう、ミルモ様ったら…。」
「しかし、あいつ以外でヒスイとあそこまで言い合えるとは…。」
「ヤシチしゃん?あいつって誰でしゅか?」
「あ、いや。」

さすがにここまで険悪になると誰も止めに入る勇気はないらしい。
ミルモとヒスイは現在進行形で睨み合っている。

「でも初めて見た時から合わないという気はしていたのら〜♪」
「ハンゾー、なんだか楽しそうだぜ…。」
「こうゆう事は楽しまないと損って本に書いていたのら〜♪」
「そうなのかだぜ!?よ、よーし、じゃあオイラも楽しむんだぜ!」
「なのら〜♪」

幸い、サスケとハンゾーの会話はミルモ達には聞こえていなかった。

「いつまでこんな空気が続くのよ!ヤシチ、幼馴染ならなんとかしなさいよ!」
「そ、そう言われてもだなぁ。あの状態のヒスイを止められるのはアゲハだけ…。」

ヤシチが最後まで言い終わる前に窓の方から物音がした。
まさかまたワルモ団かと思ったが違った。
そこにいたのは…。

「ヤシチ!ちょっと良いか!?」
「ヒ、ヒイロ!?な、なぜお主人間界に!?」
「お前に聞きたい事があるんだよ!」
「よりによって今でなくとも…!」

ヤシチに明らかな動揺が浮かぶ。
だが他の者はなぜヤシチがそこまで慌てるのかさっぱりわからない。

「よぉ、久しぶり。」

ヒスイがヒイロに声をかける。
久しぶりに再会した弟にかける言葉としてはあっさりすぎるとも思ったがヒスイの性格を考えると無視しなかっただけマシだろう。
だが次の瞬間、彼らのそんな考えは一気に壊れ予想外の出来事が起こった。


「ヒスイーーーー!!!!」


ヒイロは一瞬で表情に怒りなどを浮かべなんと、刀を持ってヒスイに斬りかかった。
周りは止める暇もなくあまりの予想外の出来事に思考が一瞬、停止する。
ただヤシチだけは慌てて止めようとし、ヒスイは予想していたかのようにあっさりと避けた。

「てめえ、何しに現れやがった!!」
「やめろ、ヒイロ!」
「止めるな、ヤシチ!」

ヒイロはヒスイに刀を突きつける。
隙さえあればいつでも飛び掛かりそうだ。
だがヒスイは全く余裕な態度でしかも次の一言がさらにヒイロを怒らせた。

「ったく相変わらず騒がしいなぁ、てめえは。それが久しぶりに会った兄弟に対する態度か?」
「な!?」

ヒイロは今にもヒスイに飛び掛かろうとしたが駆け寄ってきていたヤシチに後ろから掴まれた。
ヤシチはとにかくヒイロを止めようとしヒイロは思い切りヒスイを睨み付けながら何とか斬りかかろうと暴れる。
一方のヒスイはまるで無関係のように涼しい顔をしている。

「ヤシチ、離せ!」
「だから、やめろと言っているであろう!」
「別に離しても良いぞ?どうせ俺そんな奴に負けねぇもん。」
「んだとーーーー!!!!」
「火に油を注ぐな、ヒスイ!」

ヤシチ、ヒイロ、ヒスイ以外は呆然とその光景を見ているしかなかった。
とにかく頭を巡るのは確かこの二人は双子の兄弟ではなかったかという確認。
その時ヤマネがあっと思い出したように我に返る。

「そう言えば、ヒイロ殿とヒスイ殿は双子のご兄弟でありながら仲がとにかく悪いとお聞きした事が…。ヒイロ殿の前ではヒスイ殿の名前を出す事さえいけないと…。」
「たちかに、とんでもなく仲悪いわね、あの二人。」
「でもどうして?」
「さ、さぁ…。それは私にも…。」

楓の質問にヤマネは力なく首を横に振る。
ヒイロとヒスイは今も大騒ぎしている。
ヤシチがなんとか抑えているがヒイロは今にも振り解いてヒスイに斬りかかりそうだ。

「ふざけんなよ、ヒスイ!お前今更何しに現れやがった!」
「お前には関係ねぇよ。」
「関係ない!?数年前、勝手に姿消して今更現れたくせに!」
「おい、ヒイロ!」

ヤシチの制止も聞かずにヒイロはヒスイを睨み付ける。
最も、ヒスイは全く怯まず気にも止めない。

「俺は許してないからな!お前らの事!お前もネズミもあいつも!勝手に村から出てって勝手にまた現れて!ヤシチやアゲハは許しても俺は絶対許さねぇ!お前ら三人なんか俺は大嫌いだ!」
「ヒイロ!」
「お前も!ネズミも!あいつも!自分勝手なんだよ!そうゆうところがムカつくんだ!大嫌いなんだよ!」
「落ち着けヒイロ!ヤマネもいるのだぞ!」

ヤシチの言葉にヒイロの言葉も止まった。
ヒイロは一瞬、ヤマネの方を見るとすぐに目を逸らした。
気まずい沈黙が流れる、が。

「あーあ、妹ちゃんの前で兄の悪口言うなんてひっでーの。」

ヒスイの言葉に再びヒイロの怒りが復活した。

「てんめーーーーー!!!!!」
「だ、だからやめろって!」
「離せ!ヤシチ!あいつだけは斬らせろーーー!!!」
「だからやめろーー!!」

エンドレス。
そんな言葉がミルモ達の頭を過ぎった。
だんだんとミルモの中にも怒りというかイライラが募る。

「あぁ、お前らいい加減にしろー!!」
「うるっせぇ!!お前は口出しするな!」
「そうだぞ。黙ってろ、アホ王子。」

プチン、という音が聞こえた気がした。
ミルモの怒りも二人の言葉で…。

「うるせぇのはてめえらだーーーー!!!!アホ王子って言うなーーーー!!!!」

MAXに達した…。

「大体お前らいきなり現れて好き勝手騒いでんじゃねぇぞ!」
「基本暴れてるのはそっちだ。」
「てめえが現れなけりゃよかったんだろうが!」
「お前らがどっか行きゃいいだろ!」
「んだと!てかお前王子だか何だか知らねぇけど初めて会った時から気に食わなかったんだよ!」
「それはこっちのセリフだ!初めて会う奴にあんな失礼な態度とるような奴にんな事言われたくねぇよ!」
「何で俺がお前なんかに愛想ふりまかなきゃいけねぇんだ!」
「突然現れたくせに挨拶もなしなんて失礼すぎるだろ!」
「好きで現れたわけじゃねぇ!どっちもヤシチに会いに行ってたまたまお前がいたんだろ!しかも一回目は店員のミスだし!」
「そんなの俺が知るかよ!」
「ったく、ぎゃあぎゃあ喚くなよ。ちょっと黙れ、そこのバカ王子&バカ忍者。」
「「誰がバカ【王子/忍者】だ!!!」」
「バカだろどっからどう見ても。」
「俺はバカじゃねぇ!天才忍者だ!」
「自分で天才とか言うなよ!」
「事実だ!」
「うわ〜、すご〜い。(棒読み)」
「てめえ、斬るぞ!ヒスイ!」
「やってみろよ、お前なんかに出来ないだろうけど。」
「お前らまた暴れる気か!!」
「お前もう下がってろよ、うぜぇ!!」
「ふざけんなーー!!」

もはや誰も入れないレベルに発展。
先ほどまでヒイロを抑えていたヤシチも手を離して少し三人から離れている。
おそらく全員が同じ事を考えているだろう。
どうしよう、と…。



すみません!切ります!


■ いっちゃん (58回/2011/03/24(Thu) 21:57:52/No3636)

月白さん、こんばんは!いっちゃんです。

いや〜最近忙しく忙しくて・・・(汗)やっと感想がかけました!
おおっ!なにやら激しくなってきましたな!
ヒスイ・・・なにやら過去にやらかしたことがありそうな雰囲気ですが、はたして何をやったのでしょうか?

ヒイロも何をそんなに恨んでいるのでしょうか?
私が気になっているのはヒイロが許さないといった、ヒスイ、ネズミ・・・後の「あいつ」ですね。
あいつ・・・とは一体誰なのでしょうか!?(それが重要なポイントだと予想中です)
てか・・・ネズミ・・・、お前も一体何をやらかしたのだ(汗)

ミルモが入ってさらにヒートアップしてしまった言い合い・・・。
ヤシチが大人に見えます(笑)
月白さんの小説はヤシチがとても活躍するので楽しいですっ! ←ヤシチ好き
なんか回を重ねるごとにどんどんおもしろくなっていっているような・・・!
いや〜さすが先輩!(笑)
私もそのセンスが欲しいぞっ!

では、続きを楽しみにしています(^^)


■ 月白 (17回/2011/03/26(Sat) 13:24:08/No3643)

おはようございます、いっちゃんさん!

忙しい中感想を書いて下さりありがとうございます!
>あいつ・・・とは一体誰なのでしょうか!?(それが重要なポイントだと予想中です)
う〜ん、鋭い!…というよりあからさま?
過去のネズミと「あいつ」はこの小説でかなり重要です。
「あいつ」の正体が明かされるのはもうしばらく先になるかも…。

ヤシチが大人に見えるのはこの喧嘩を見慣れているからだと思います。そうでなければ100%加わるパターンです(笑)
私のセンスは全く良くないと思いますよ。
なぜなら主人公が活躍していないから…(汗)
妖精忍者好きだからつい!でもここから目立ってくる!はず!多分!(おい)

それでは続きです!




「あ、あの、これ、止めないとまずいんじゃ…。」
「片瀬さんの言う通りだけど、どうやって?」
「は、白熱してますわ〜。」
「勢いは増すばかりでしゅ〜。」
「犬猿の仲って感じだね。」
「下手したら手が出かねないぞ。」
「ヤシチ!何とかしなさいよ!」

安純に怒鳴られヤシチは考え込む。
だがここにいる全員も含めどうしようもない状況だ。
下手に手出しすればこっちに被害がきそうだ。

「ヒイロもヒスイも怒らすと見境がないからな。あんな状態になったあいつらには出来る限り近付きたくはないのだが…。」
「でもこのままは嫌なんだぜ〜。」
「その内僕達も巻き込まれそうなのら〜。」
「ヤシチ兄様…。」
「せめてアゲハがいたら…。いや、だがそれはそれで恐ろしいな…。」

考え込むヤシチから聞こえた呟き。
恐ろしいとはどうゆう事かと周りが思ったその時…。


「ヤシチ!ヒイロ!ヒスイ!」


「「アゲハ!?」」
「おぉ、アゲハか。」

声と共に現れたのは先ほどからヤシチが口にしていた妖精、アゲハだった。
アゲハの登場にヤシチとヒイロは驚きの声をあげヒスイは特に驚いた風もなかった。

「ヒイロ…、ヒスイ…、何してるの?(にっこり)」
「あ、や…。」
「相変わらずのおっかなさだな、アゲハ。」

アゲハは満面の笑みを浮かべ後ろに黒い何かを漂わせている。
前よりもはるかに強いそれにちびっ子妖精達は半泣き状態。
ヒイロもヤバいと感じているのか少し焦りヤシチはやはりという感じの表情を浮かべながら少し顔が青くなっている。
ミルモはいつの間にか危険を察知したのか少し下がって離れていた。
唯一ヒスイだけが平然とししかもまさしく余計な一言を言いヒイロはさらに焦り始める。

「こ、このバカ!」
「誰がバカだ!てめえじゃあるめぇし。」
「な!俺はバカじゃねぇよ!」
「バカだろ、バーカ。」
「てめ!ガキみてぇな事抜かしてんじゃねぇよ!」
「お前の方がよっぽどガキだろ。」
「同い年だろうが!」
「俺の方が先に生まれてんだよ。」
「俺はお前が兄だとは絶対認めねぇ!」
「認めるも何も事実だ。認めろ、負けを。」
「関係ねぇだろ!なんでそこで負けを認めんだよ!」
「お、お主ら…。」

アゲハがとにかく怒っているこの状況で再び喧嘩を始める二人。
本当にいい根性をしていると思うが褒める気には決してなれない。
その時、アゲハの表情から笑顔が消え目が細められた。
そして次の瞬間…。


ドガッ!!×2


鈍い音が二つ、瞳の部屋に響いた。
気付いた時にはヒイロとヒスイは喧嘩をやめ頭を抱えてうずくまっていた。
ヤシチは冷や汗をかき他の皆は状況を把握出来ずにいた。
そしてアゲハはなぜか弓を持ってヒイロとヒスイの傍に立っていた。

「ったく、このバカ双子が。皆さん、こいつらがご迷惑おかけして本当にすみませんでした。人様の家で暴れるなんて、後でちゃんと…。」
「あ、いや、気にしないで!あの、むしろヒスイ君は助けてくれたんだし。」
「女の子を助けるのは男として当然ですから。それは気にしなくて構いません。」
「お、落ち着け、アゲハ。とりあえず弓をしまえ。」
「ってか、何で弓…?」
「ア、アゲハ殿は村で一番の弓矢使いなのでございます。」
「いや、弓矢じゃなくて弓だろ、あれは。」

軽い現実逃避にも近い会話をしている内にどうやらヒイロとヒスイの痛みも半減してきたらしい。
ヒイロはうずくまりながら顔だけあげてアゲハを睨んだ。

「アゲハ、てめえ!ヤシチには弓なんか使わねぇくせに!」
「げ〜、思ったよりいってぇ〜。」
「うっさい!黙れ!バカ双子!」
「だから、いい加減落ち着けアゲハ。」

ヤシチに言われ少し時間をおいて落ち着くアゲハ。
その間にヒイロとヒスイも立てるぐらいに回復する。
まだ頭を押さえ続けているが…。

「で、ヒスイ!あんた今までどこ行ってたの!」
「ん〜?あっちやこっち。」
「ま、待て、アゲハ!抑えろ!」

ヒスイのふざけた答えに無言で弓を構えるアゲハをヤシチは慌てて宥める。
そう、何度もやられたら聞きたい事も聞けない。(痛みのせいで)
ヒイロは当然兄を庇う気などないので無視。

「とにかく!父上もあんたに会いたがってるの!忍者の村に帰るわよ、ヒスイ!」
「やだ。」
「即答したってダメに決めってるでしょ!今まで行方不明だったんだから村に帰りなさい!」
「俺は長に会う気はねぇよ。」
「父上はあんたを心配してるのよ!」

何人かが「ん?」と思った。
アゲハとヒスイの言葉に違和感を感じたからだ。
長。それは忍者の村をまとめている妖精だ。
だが、アゲハは父上と言っている。
少し離れた所から聞いていたミルモ達はそばのヤマネに視線を向ける。

「今、長って言ったよな?」
「えっと、実は、アゲハ殿は忍者の村の長殿の娘なのでございます。」
「「「えぇ!?」」」
「アゲハさんって偉い人だったんだぜ!?」
「すごいのら〜!」

ちなみに驚いているミルモ達をよそにアゲハとヒスイはまだ言い合っている。

「ヒスイ!」
「やだ。」
「もう!あんたねぇ!」
「良いんじゃねぇの?帰りたくないなら二度と帰らなければ。」
「お、おいヒイロ…。」
「ヒイロ!あんたも意地張らないの!」
「張ってねぇよ!そんな奴帰ってこない方が良いね。」
「兄弟でしょ!」
「知るか!俺にはヤシチとアゲハだけで十分だ!そんな奴必要ねぇよ!」
「お前相変わらず友達出来ねぇんだな〜。」
「出来ないんじゃねぇ!つくらねぇんだよ!特にお前は要らねぇ!」
「いい加減にしなさい、あんた達!」

アゲハの怒鳴り声にヒイロもヒスイも口喧嘩をやめる。
すると、先ほどまで座り込んでいたヒスイが立ち上がった。

「おい、ヒスイ!?」
「どこ行く気よ!」
「さぁな。また適当にどっか行く。たまたま来た町にヤシチがいたから寄っただけだ。長居したからもう行く。」
「ちょっと、ヒスイ!」
「待て、ヒスイ!」

ヤシチ達が止めるのも聞かずにヒスイは窓の方へ行ってしまった。
ミルモ達は呆然としヒイロはヒスイを睨んでいた。

「ふん!二度と俺達の前に姿を現すな!」
「へいへい。…現れずに済んだら良いんだがな…。」

ヒスイの最後の呟きは誰の耳にも届かなかった…。




第6話終わりです!
ヒスイ達の口喧嘩が楽しくて調子にのって長くし過ぎちゃいました…。
今まではあらかじめ別の場所に書いてあったものを間違いなどを修正しつつ書いていたんですが今回のお菓子パーティの下りはかなり大幅な書き換えがありましたからなんかめちゃくちゃな感じに…。
話に区切りがついたところで分けていたら長い話と短い話でかなり差が出てきてましたね。
話を分けるのは難しい…。

次の更新はヒイロの設定をお絵かきと一緒に出したいと思います!
頑張って出来る限り早く描きます。

それが終わったら次回からは新展開に入ってバトルやシリアスな展開が多くなる、かも?(おい)
後(多分)1話やったらようやくネズミも出せます!敵キャラもようやく出せます!
先にヒイロ達3人を出したかったから展開がかなり遅かったですがこれからようやく本番って感じです。
まぁ、その前にヒイロのお絵かきしっかりしないと…。
アゲハの設定も時間があれば近い内に出したいです!

では☆


■ 月白 (18回/2011/03/28(Mon) 19:58:10/No3665)

こんばんは、月白です。

描けました、ヒイロです!
とりあえずまずは設定を…。


・ヒイロ
忍者の村の優秀な天才忍者。
刀の扱いに長けていてそこいらの大人にも負けない実力がある。
同年代ならネズミにも引けをとらないと言われているほど。

口が悪く冷静沈着な性格。
少し冷めているところがあり他の妖精とは滅多に仲良くしない。
忍者の村の中でも普通に親しくしているのはヤシチとアゲハだけ。

双子の兄のヒスイとはとにかく仲が悪い。
その時だけは冷静さはなくなり怒りのままに斬りかかる。
兄弟そろって口が悪いので口喧嘩は必ずと言って良いぐらいにある。
ネズミやある妖精の事も嫌っているようだがネズミの妹のヤマネの前では出来る限り控えるようにしている。
(その分ヒスイには当然のように遠慮がない)


こんな感じです!(どんな感じ?)
好きなお菓子や楽器などの設定は必要ないのでありません(汗)

大した特徴のない感じになっちゃいました。
私の想像力不足です…。
男の子の髪型って考えるの難しいんですよね…。
でも掲示板の方でヤシチを描いていたので少しは楽でした。
忍者服が緋色になるように少しずつ色を変え調節したのですがちゃんと緋色になっているか不安です。
ちなみにヒイロが持っているのは『刀』です。
わかりにくいですが『刀』です。

なんか色がヤシチに近いな…。
いろいろすみません!では今日はこの辺で!

300×300

paint1301296155.png
/80KB

■ いっちゃん (61回/2011/04/01(Fri) 20:38:16/No3695)

月白さん、こんばんは!いっちゃんです。

おぉうっ!!ヒイロの姿が明らかになりましたねっ!!(笑)
私の想像とほとんど同じでびっくりしました(^^)
掲示板のほうのミルモやヤシチの楽器がとても細かくてすごかったですが、刀もとても細かくてすごいですっ!!
(私は小道具を描くと細かくかけないのであまり描かないようにしています)
私も月白さんの様に細かく描かなければ!

しかし・・・ヒイロってすごい優秀だったのですね・・・! ←小説を読んでいくうちにその設定を忘れた人
ネズミにも引けをとらないとは・・・!!ヤシチがますます目立たなくなってしまうっ!(笑)
魔法は上手なのでしょうか?個人的に、ヤシチは魔法だけは忍者の村でもトップレベルだと嬉しいです。
でも、やっぱり魔法も上手なんだろうなぁ。

なぜヒイロはヤシチやアゲハとしか仲良くしないのでしょうか?
そこのエピソードも明かしてくれたら嬉しいです(^^)
しかし・・・本当に「あいつ」って誰のことなのでしょうか?
というより、こんな大変なときにネズミは何をやっているのだ!!
・・・て、まあ・・・旅をしていただけだと思いますが・・・(笑)

それではっ!


■ りょく (239回/2011/04/02(Sat) 21:53:06/No3707)


月白さん、いっちゃんさん、こんばんは★

来ました、ヒイロ!

やっぱりかっくいー(*> U <*)
「へ」の形に曲がってる口と眉にひねくれた(失礼)性格が表れていて可愛いです。
怒ってる時はさらに目が鋭くなってるんでしょうね。見てみたい。ニヤニヤ(・∀・)

ですよね。男の子の髪型は考えるの難しいですよね〜。
女の子と比べてだいたいの子は髪が短いから、キャラごとの違いが出しにくい(^-^;)
私の場合は髪の毛の太さを変えたり、諦めて目をどうにか(黒以外で塗るなど)したりしてます。

服はちゃんと緋色になってます。ヤシチと比べてオレンジ掛かってますよ。
刀は見てすぐに分かりますよ。とってもお上手ですね。
私も細かくてすごいと思います(^-^*)


アゲハちゃんとお兄さんのヒスイのお絵描きも楽しみにしています。
双子の兄弟で名前の文字と意味が違うのが何か気になる…。

物語はヒイロとヤマネの会話が増えてほしいです。もしかして…vvの展開を期待してしまう(笑


■ 月白 (20回/2011/04/05(Tue) 22:23:25/No3718)

いっちゃんさん、りょくさん、こんばんは!

返事が遅くなってすみません(汗)
では感想のお返事を…。

『いっちゃんさん』
>私の想像とほとんど同じでびっくりしました(^^)
そうなのですか!?すごい偶然…。
もしやいっちゃんさんはエスパー!?(笑)
刀は細かい=丁寧ではないんですよね〜。
それに小道具よりも妖精に力を入れた方が良いのかも…。
いっちゃんさんの妖精は十分細かくてとってもお上手ですよ♪

ヒイロはネズミの次に優秀な妖精忍者。…ですが天才ぶりが発揮されるシーンはあるのかな…?
ちなみにネズミはヤシチ達より年上な設定です。
魔法は…、物語の展開上ある事があるので曖昧にしておきます。(ネタバレ?)

過去のエピソードはいずれ必ず出します!
「あいつ」の存在はしばらくお待ち下さい…(汗)
なんか曖昧な事ばかりですみません!

『りょくさん』
全然失礼じゃないですよ。
むしろ確かに!と思いました。ヒイロはひねくれてます(笑)

りょくさんのオリフェは個性がきちんとしていて本当にすごいですよね!
私にはりょくさんのような豊かな想像力はないです〜。
目を変えるのは思いつかなかったです!
りょくさんの絵も細かくてすごいと思いますよ!

ヒイロとヒスイの名前はそんな意味はないんですよ〜。
友達が持ってるシリーズもののゲームの題名からもらいました(笑)
ヒイロとヤマネはすみませんがそんな展開にはなりません(^^;)
ヒイロ達にとってヤマネも幼い頃から知っていて妹みたいな存在なんですよ。
ヤマネの前で兄のネズミの悪口を言うのは…みたいな。
期待に答えられなくてすみません!

ミルモでポン!らしく恋愛の展開も増やしたいですが物語的に友情の展開が多いかも…。
今日はあまり時間がないのでコメントだけで終わります。
近い内に続き書きます!

それでは!


■ 月白 (21回/2011/04/09(Sat) 18:15:44/No3728)

こんにちは、月白です!
ようやく時間も出来まして続きを書きたいと思います!
今回はオリフェオンリーとなります。
設定を出すのはしばらく先かも…。
それでは書きます!




第7話「闇と謎の暗躍」




漆黒の空間。
そう呼ぶのに相応しいであろうその部屋に妖精達がいた。

「あ〜〜〜、くそ暇!暇!暇!」
「うるっっせぇよ!昼寝もまともに出来ねぇだろうが!」
「だったら寝なきゃいいじゃん。」
「あんだと、てめえ!」

暇と騒ぎ始めた妖精の名前はネイク。
その騒ぎ声のせいで目を覚まし怒鳴る妖精はディマ。
言い合いを始める二人に本を読んでいた妖精が呆れた視線を向ける。

「うるさいんですけど…。」
「暇とか男のくせに軟弱な事言ってんじゃねぇよ!」
「あんたみたいなガサツ男と違って俺はもっと繊細なの。」
「てめ!誰がガサツ男だ!」
「あんた女の要素ねぇじゃん!」
「黙れ!ぶっ殺すぞ!」
「やってみろよ!」

すると二人は勢いよく同時に立ち上がり何か取り出そうとする。
しかしその時、鈍い音が二つ響くとネイクとディマに鋭い痛みが走った。

「「ってぇぇぇ〜〜〜〜!!!!」」

痛みの原因は先ほどまで一人の妖精が読んでいた本だった。
二人は本の角で思いっきり叩かれたのだ。


「喧しい。(にっこり)」
「「………。(汗)」」

とにかく黒いその笑顔に二人は文句どころか何も言えなくなる。
するとその妖精、トルマは何事もなかったかのようにまた椅子に座り本を読み始めた。

「くっそ〜、いって〜。」
「てめえのせいだぞ、ネイク!」
「ほぼ騒いでたのはディマじゃん。」
「んだ…。」
「うるさいんですけど?」
「「………(汗)」」

「ふぇぇ〜、なんか怖いの〜。」
「平気平気。僕がついてるからね♪」

ネイク達の騒ぎから少し離れた所にいる妖精達。
他よりも少し幼い女の子妖精とその女の子に向けてかなりハートを飛ばしている男の子妖精だった。
ディマは二人を強く睨み付ける。

「文句あるのかよ!」
「ふぇぇっ、イリューく〜ん。」
「あぁ、リオネちゃん!もう、ディマ!僕のリオネちゃんを怖がらせないでよ!よしよし、大丈夫だよ、リオネちゃん♪」
「んだと、コラ!」
「ロリコン…。」

男の子の妖精はイリュー、女の子の妖精はリオネというらしい。
漆黒の空間にいる妖精達は見た感じはどこにでもいる普通の妖精だった。
だが何か異質なものをこの妖精達は持っていた。

その時、どこからか二人の妖精が現れた。
その瞬間、さっきまで騒いでいた妖精達は現れた二人に視線を向ける。

「あぁ、マシロ様にカムイ様なの〜。」
「あ、どうも。」
「はーい、皆さん。楽しそうですね〜♪」
「やぁ。」

その妖精達の名前はマシロにカムイというらしい。
他の妖精達の態度や言葉からこの二人はネイク達よりも上の立場のようだ。

「あれ、一人足りないね?」
「ピエロの事ですか?」
「ん〜、普段から何考えているかわからない奴だしな〜。」
「…あ。」

イリューが指差した先は天井。
見上げればそこには天井に足をつけ逆さになった妖精。

「「うぉぉ!?」」
「ミャハハハハハハ☆ヒャッッッホーーーー!!呼んだ?呼んだ?今僕を呼んだみょーーーん!?」
「うるせぇよ!」
「まーーぁま♪そんな怒るなみょーん♪」
「相変わらず、変な奴…。」

ピエロは天井から足を離し一回転して下りてきた。
マシロ、カムイ、ピエロの登場で漆黒の空間は先ほどより一層に闇は濃くなり不気味な雰囲気が流れてきた。

「それで、一体どうしたのですか?」
「あ、そうそう。忘れるところだった。今まで君達には影からこっそりと人間の負のエネルギーを集め続けてもらってたでしょう?」
「えぇ、まぁ…。」
「そろそろ皆さんにも〜、ハデに暴れてほしいなぁ〜って思ってるんで〜す♪」
「おっしゃあ!ようやくかぁ!」
「いい加減コソコソするのも飽きてきてたんだよなぁ〜。」

その言葉にまずディマとネイクが反応する。
するとカムイが懐から4枚の写真を取り出した。
その写真にはなんとミルモ、ヤシチ、リルム、ムルモの4人が写っていた。

「それは…?」
「君達も話は聞いてるだろうけど、あのダアクを倒した4人の妖精達の写真だよ。厄介な存在だから…、始末してほしい。」
「ま、皆さんには力を差し上げてますし心配はないと思いますけど♪」
「なるほど。」
「あたしが行く!」
「調子にのらない方が良いですよ。」
「リオネは怖いの嫌なの〜。」
「リオネちゃんは僕が守るよ!」
「ミャハハハハ☆なんか面白くなりそうなのみょん♪」

カムイから告げられた事に全員各々の反応を見せる。
特にディマとネイクはやる気満々のようだ。
それをカムイが宥める。

「まぁ落ち着いて。マシロの言う通り心配はしてないけど油断はしないでね。ダアクを倒したセッション魔法には要注意。後、念の為にこの妖精達のもとに『烈火』を送り込んでおいたから。」
「あぁ、あいつか。それで今はどうしてるんですか?」
「既に4人のターゲットと接触済みです♪」

「そういえば例のモノはどうなったのですか?」
「既に『氷牙』達が動き出してもらっているから大丈夫だと思うよ。まぁ邪魔者が入って少し手間取っているようだけど。」
「奴らはどうにかしなくてもいいんすか?」
「平気ですよ♪一人だけ厄介な人がいますが一人で出来る事など高が知れてます。他はどうとでもなりますから♪」
「まぁ、とにかく『烈火』とかからの報告で何か分かったらまた報せるから。頼んだよ。」
「全て順調♪後は邪魔者を消して手に入れるもの手に入れるだけですよ♪」

笑みすら浮かべ淡々と喋るカムイとマシロ。
普通の妖精が見れば圧倒的な恐怖を覚えるだろう。

「それで、邪魔者の始末には誰が行くんですか?」
「あぁ、それならネイク。まずは君が行ってきて。」
「よっし!任せて下さい!」
「ちっ!どーせ失敗すんだろ!」
「ディマじゃあるまいしありえねーって。」
「んだと!」
「ほらほら、落ち着いて下さい♪油断しないでお願いしますよ♪」


「当然!狙った獲物は逃がさねぇ!この俺『照準の大蛇』ことネイクがその妖精共を確実に始末してやる!」


「期待してますよぉ〜、『大蛇』さん♪」
「それじゃ、他の皆は今まで通りお願いね。」
「「「「「「了解!」」」」」」

そして漆黒の空間にいた妖精達は一瞬で姿を消した。
後に残るのは不気味な気配と漆黒の闇のみだった。




第7話終わりです!
ちょっと今回は会話が多かったですね。
あまり動きがないから…。
オリフェばかりの登場ですが外見などの設定に関してはいずれミルモ達の前に現れるまでは謎としておきます。
数が多くややこしくてすみません…。

途中で出てきた謎の名前は異名や通り名のようなものです。
今回現れた妖精達にはそれぞれ異名がありますが設定と同じくでしばらくわかりませんね。
(由来も同様の理由で…)
とりあえず名前だけは明かしました。
後の事は追々わかる…、と思います。(おい)

彼らの正体は次回明らかになります!
急展開な感じですが(重要な部分以外は)出来る限り曖昧でややこしくならないよう頑張ります!
けど既にややこしい…?


それでは!


■ こやまる (1098回/2011/04/10(Sun) 21:47:46/No3735)
http://www.murumoya.com/


月白さん、いっちゃんさん、りょくさん、こんばんは☆

ストーリーは妖精忍者中心で動くかと思いきや、最新の更新では、これまで傍観者だったミルモたちに危険が迫っていたとは…。
(ワルモ団は完全に除外^^;)
人間の負のエネルギーを集めるあたり、ダアクとの共通点もある!?
烈火や氷牙という謎のキーワードも気になるところです。
使い魔的な存在なのかな?
とにかくいきなり不穏な展開へと変わってかなり驚きました。
ヒスイの突然の登場もこの展開と大いに関連があるのでしょうね。

それにしてもヒスイとヒイロ、そしてミルモの言い争いのすごいこと!
アニメで放送したら「音量注意」と画面に表示されそうです(笑)。
ヒスイはどうしてミルモのことがそんなに気にくわないのかな?
過去にそれを紐解く経緯や事件がありそうですが、そんな彼らの幼い頃のエピソードがいつか小説で語られるといいなぁ。

オリフェ紹介もありがとうございます。
私もヒイロの天才っぷりにびっくりしました。
ネズミにも引けを取らないって相当ですね。
そんなヒイロをヒスイやアゲハが上回るとなると、残されたヤシチくんの実力は・・・?(^^;
冷静沈着と言いつつ、ヒスイの言葉で熱くさせられてしまったヒイロ…。
彼の本来の性格や実力が表れるような展開が来ることを期待してます。

それでは続きを楽しみにしています。
では!


■ 月白 (25回/2011/05/01(Sun) 22:57:50/No3799)

こんにちは、月白です!
最近、高校の勉強についていけてなくて忙しいです…(汗)
時間がとれないまま前回の更新から大分経ってた事にびっくりです!
せめて夏休みに入るまでには舞台を妖精界に移したいと思っていたのですがこの調子じゃ難しいかな…?

『こやまるさん』
返事が遅くなり申し訳ございません!
ちょっと妖精忍者関係ないのでは?みたいな展開になってますがいろいろ明らかになるのはまだまだ先です。
烈火や氷牙は妖精の事を指しています。
『照準の大蛇』を『大蛇』と短縮しているのと同じ事です。
明かさないのは片方は勘の鋭い人は正体がわかっちゃいそうなので…。
最初は瞳、ヒイロ、アゲハ、ヒスイを登場させるのと伏線を入れるのが目的だったので日常に近い感じにしてました。
ヒスイの登場はこやまるさんの予測通り…!?

ヒイロとヒスイとミルモ…。
案外似た者同士なのかも?同族嫌悪とか(笑)
常に喧嘩腰な彼らの過去を紐解くにはあと一人、登場すべき妖精が足りないんですよね。

純粋に忍者としての実力や才能ならヒイロはヒスイやアゲハには負けません。
ただヒスイとは冷静さを失ってしまうんですよね。
双子なので実力に圧倒的差はないのですが実力的にはヒイロが、精神的にはヒスイが勝っていると言えばわかりやすいかもしれません。
アゲハは…(汗)
設定ではアゲハの父である長には昔からお世話になっているんですよ。
加えてアゲハは本気でキレると1番恐いし女の子だから手が出せない…。
という事でヒイロとヒスイはアゲハには頭が上がらないんです。
アゲハの実力は設定でも書きますが同年代の普通の忍者よりも優秀というか優等生です。
しばらくは謎も多いでしょうがいずれ必ず明らかにします!

それでは第8話いきます!




第8話「戦う者と眺める者」




「行くぜ、ハンゾー!」
「来るのら、サスケ!」

サスケとハンゾーはいつも修行をしている河原で遊んでいた。
横にはヤマネもいる。
修行の時間よりも早く来たサスケとハンゾーはたまたま通りかかったヤマネと先に河原に来ていた。
だが修行の時間まで結構時間がありしかもヤシチは今日、安純について出かけていたのでしばらくは来ない。
暇になったサスケ達は紙飛行機を投げて遊ぶ事にした。

「えぇーい、だぜ!」
「キャッチなのら〜!」
「すごいでございます、先輩方!」
「ヤ、ヤマネ!////」
「ヤマネもやってみるのら〜。」
「私なんかに出来るでございましょうか。」
「だ、大丈夫だぜ!ヤマネならすぐ出来るんだぜ!」
「では、てえぃ!」

ヤマネが投げた紙飛行機は綺麗に飛んで行った。
それを見たサスケとハンゾーは歓声を上げる。

「すごいんだぜ、ヤマネ!」
「さすがヤマネなのら〜!」
「あぁ!紙飛行機が遠くに飛んで行ってしまいました!」
「「あ。」」

紙飛行機は上手く風に乗ったらしくどこまでも飛んで行っている。
今更団扇じゃ追い付けないだろう。
ヤマネはかなり慌て始める。

「申し訳ございません、先輩方!」
「き、気にする事ないんだぜ!紙飛行機はまた作ればいいんだぜ!」
「そうなのら。それよりもすごいものが見れたのら〜。」
「先輩方…、ありがとうございます。」

ヤマネの微笑みを見てサスケは顔が赤くなる。
だがヤマネはそれに気づかなかったようだ。

「そう言えばヤシチ兄様はどちらにいるのでございましょうか?」
「あぁ、兄貴なら今頃安純に連れられて図書館に行ってるはずなのら〜。」
「兄貴も大変なんだぜ。」
「ヤシチ兄様も忙しいのでございますね。」



「ねぇ、今ヤシチって言った?」




大騒ぎで一際目立つのは今日も恋のバトルを展開させている楓達。
図書館に行く結木に楓や安純、松竹がついてきたのだ。

「結木く〜ん♪」
「日高さんダメ〜!」
「あ、南さ〜ん!」
「………。」

いつも似たような会話しかしていない気がするが慣れているらしい結木は涼しい顔で本を読んでいる。
ミルモ達はそれぞれの肩に乗ったり飛んだりでのんびりしている。

「にょほほ〜♪うんめぇ〜♪」
「ミルモ様〜!今日は時間がありませんでしたが今度はミルモ様の為にケーキをお作りしますわ!」
「そ、それはいらねぇ〜〜〜!!!」
「お兄たまは幸せ者でしゅね〜♪」
「うるせぇ、ムルモ!」
「騒がしい奴らだ。」
「そう言えばヤシチしゃん。ヤマネしゃん達は今日はいないんでしゅか?」
「あぁ、修行まではまだ時間があるからな。」

今日はサスケ、ハンゾー、ヤマネ、パピィはいない。
瞳もいないので人間四人、妖精四人のメンバーだった。

「あ〜あ。片瀬さんもくれば良かったのに。」
「お前らの騒ぎなんかに巻き込まれたくなかったんだろ〜。ま、賢明な判断だな。」
「もう、ミルモ!」

特になんの変哲もない日常でいつものように楽しく賑やかだった。
そう。
なんの異変もなかったのだ。
この瞬間までは。


「見つけたぞ!」


その時、取り戻した日常に終わりを告げる声が響いた。
全員が突然現れた妖精に見覚えがなく首を傾げる。

「誰だ?おい、お前ら知ってるか?」
「見慣れない方ですわね。」
「僕も知らないでしゅ。」
「拙者も知らんな。どこの者だ?」

ヤシチが問うとその妖精は逆に質問をしてきた。

「あんたらがミルモ、ヤシチ、リルム、ムルモか?」
「質問に質問で返すな!」
「それもあるけどなんで俺らの名前を知ってんだよ!」
「やっぱりお前らか。」

しかしその妖精はヤシチとミルモの言葉を無視して勝手に納得している。
その様子にミルモは余計に苛立ちを覚える。

「だーかーら、お前は誰なんだよ!」
「どうして僕達を知ってるんでしゅか?」
「どこかでお会いしたのでしょうか?」
「俺の名前はネイク。あんたらにちょっと用があってな。」
「用だと?」

怪訝な表情になるミルモ達。
それとは対照的にネイクは表情に笑みを浮かべる。
その笑顔を見た瞬間、ミルモ達は周囲の温度が一気に下がったような感覚に襲われる。

「な、なんだか怖いでしゅ…。」
「ミルモ様…。」
「なんだ、こいつ…。」
「何が目的だ!」
「あんたらに話す気はない。俺の使命はただ一つ…。ダアクを倒した妖精、ミルモ、ヤシチ、リルム、ムルモの四人を始末する事だ!」
「なんだと!?」
「ま、そうゆうわけだから大人しくやられてもらうぞ。」
「ふざけるな!貴様なんかにやられる気はない!」
「俺達をそう簡単に倒せると思うなよ!」
「それはどうかな?」

ネイクはニヤリと笑うと地面に手をつける。
何をしているのかわからず見ていると突然、ネイクの体から禍々しいオーラが出てきた。
するとネイクの周辺の石も禍々しいオーラに包まれ浮かび始める。

「な、なんだよこれ!?」
「楽器も使っていないのに…?」
「ふえぇ〜!」
「ミルモ様〜!」

リルムとムルモが恐怖で震えている。
ダアクの時よりも恐ろしい、圧倒的な力が強く感じられたのだ。

「見せてやるよ。俺に与えられた支配魔法、その力をな!」
「支配魔法だと!?」
「そうだ。あんた達が知ってる黒魔法よりも強大で圧倒的な力だ。そして、あんた達は俺には決して敵わない。」
「なんだと!支配魔法だかなんだか知らねぇけど、そんなものに負けるかよ!」

ミルモはマラカスを出しそれをネイクに突きつける。
ヤシチもトライアングルを出す。
二人の戦闘態勢にもネイクは全く動じない。
むしろ余裕そうな表情をしている。

「わかってないな。あんたらは俺に勝てないんだよ。なんたってあんたらは俺に攻撃する事は愚か指一本触れられないんだから。」
「どうゆう事ですの…?」
「ま、逆らいたきゃ逆らえよ。無駄な足掻きに終わるだろうがな。」
「バカにしてんじゃねぇぞ!ミルモでポン!」

ミルモは魔法で大きなボクシンググローブを出した。
そしてネイクに向かってパンチを繰り出す。
だが…、ネイクが手をあげそれを振り下ろした瞬間に浮かび上がっていた石の一つがそのグローブに向かって当たる。
そしてミルモの魔法は消えてしまった。

「な!?」
「ミルモ様の魔法が!」
「石一つで消えちゃったでしゅ!」
「バカな…。」
「甘いな。その程度の魔法で支配魔法を破る事は出来ない。この支配魔法はかつてダアクとその手下共が使っていた黒魔法とは比べものにならないんだ。そしてその力の一片を与えられている。」

ミルモの魔法がいとも簡単に消されてしまった事に全員が驚きの表情を浮かべる。
かつてはダアクの黒魔法にも勝ったミルモ達の魔法はそこらへんの妖精に負ける程弱くはない。
だがネイクは余裕そうな表情を一切崩さない。
しかもこの力はまだ一部にすぎないというのだ。

「お前、一体なんなんだ…?」
「与えられたとか言っておったがひょっとして他にも仲間がいるのか?」
「ふん。何も知らないあんた達に教えてやるよ。俺はあんた達を始末する為、『ゼロノス』より送られた刺客『照準の大蛇』ことネイク!『ゼロノス』の目的の為にはあんた達が邪魔なんだよ。」
「貴様らの目的はなんなのだ!」
「そこまで答えてやる気はない!」

ネイクは再び手を振り上げる。
すると浮かんでいた石がより一層禍々しい力を強める。

「な、なんでしゅ…?」
「俺の支配魔法によって与えられたこの力は確実にターゲットを狙う力だ。」
「だったらなんだってんだよ!」
「わからないか?今のターゲットは…。」

ネイクは手をミルモ達に向かって振り下ろす。
すると浮かんでいた石は先ほどのように一つではなく全てがミルモ達に飛んでいく。

「あんた達だよ!」
「な!?ミ、ミルモでポン!」
「くっ!ヤシチでポン!」

ミルモとヤシチが魔法で壁を作りなんとか防ぐ事に成功する。

「へっ!言う程大した事ないじゃねぇか!」
「それはどうかな?」
「ミルモ!」

ヤシチに言われミルモはネイクに向けていた視線を周りに移す。
すると先ほど防いだ石がまた浮かび上がる。
いや、むしろ数は増えていた。

「な、マジかよ!」
「あんたらの攻撃はさっきと同じようにいくらでも防げる。俺はこの力であんたらの攻撃を確実に撃ち落せるしどんな状況でもあんた達を的確に狙える。つまり、俺のターゲットになった時点であんたらは決して俺から逃れられない。もう勝ち目も逃げ場もないんだよ。」

ネイクはミルモ達は嘲笑うように石をミルモ達の周りに回転させる。
そのネイクの見下したような態度にミルモは苛立ちを覚える。
だが今の状況はかなりまずかった。
この短時間でネイクにはそこらの魔法では通じないという事を痛感したのだ。

「ミルモ!」
「来るな、楓!お前達は下がってろ!」

心配そうにミルモ達を見る楓達。
駆け寄りそうになる楓をミルモは止める。
楓達はどうしたら良いかわからず立ち尽くすしか出来なかった。
ネイクはミルモ達の様子を見てため息をついた。

「全く期待外れだな。これだったらさっきのちび忍者の女の方がまだやるぜ。」
「「「「!?」」」」

その言葉にミルモ達はネイクの方に目を向ける。
特にヤシチは一歩前に踏み出しネイクを睨み付ける。

「どういう事だ!」
「あぁ。さっき河原であんたの話をしてるちび忍者を三人見つけたからあんたの居場所を聞こうとしただけだよ。そういやあんたの弟子なんだって?あの三人。」
「貴様!サスケ達に何かしたのか!?」
「だからあんたの居場所を聞こうとしただけだって言ってんだろ?ま、素直に教えねーからちょっと思い知らせてやったけど。なかなか強情な奴らだったよ。」
「な、ふ…、ふざけるなぁ!!!」
「おい、ヤシチ!」

ミルモが慌てて止めようとするがヤシチは怒りのままに飛び掛かる。
すると少し大きめの石がネイクの力によって直撃する。
その衝撃でヤシチはミルモ達の所まで吹っ飛んだ。

「ぐっ!がはっ!」
「ふえぇ!?ヤシチしゃん!」
「大丈夫ですの!?」
「てめえ!ミルモでポン!」

ミルモは魔法で再びネイクに攻撃を仕掛ける。
だがそれもまたネイクの力で打ち消されてしまった。

「学習能力がないな。無駄だっての。」
「くっそ!」
「さてと、いつまでも遊んでらんないし…、そろそろ始めようぜ。戦いをな!」

ネイクはさらに邪悪な力を強める。
ミルモはマラカスを強く握りしめる。
リルムとムルモもいつまでも怖がっていられないとそれぞれの楽器を出す。
ヤシチも先ほどのダメージの残しながらもなんとか立ち上がる。

「早くこんな奴は倒してサスケ達を助けに行かねば…!」
「支配魔法だろうとなんだろうとそんなものに負けらんねぇ!」
「私も、全力でいかせて頂きますわ!」
「いつまでも見てばっかりじゃないでしゅよ!」
「結果はわかりきってる事だがな。くらえ!」
「ミルモでポン!」
「ヤシチでポン!」
「リルムでポン!」
「ムルモでポン!」


そして戦いが始まる…。
だがミルモ達も、ネイクも気付かない存在がこの戦いを見ていた。


「死ぬなよ、ヤシチ。それと他の奴らも。これはまだ、『始まり』なんだからな…。」


そこには銃を携え、冷たい目で戦いを見下ろすヒスイの姿があった…。




第8話終わりです!
とうとう明らかになった敵の正体、ゼロノス!
名前の由来は特になかったり…。
ネイクの姿はまだ未定で書きませんでした(汗)
支配魔法についてはまだ謎も多いですが一つ言える事は普通の魔法とは違うという事ですね。
しかし楓達が目立たない…(^^;)

今回の戦いに瞳は登場しません。主人公なのに…。
ただ瞳は後々に出てきます。
それと出すと言っていたネズミはもうしばらくお待ち下さい!
急遽、ストーリーの展開に変更が…。
ネズミファンの方、申し訳ございません!
最初のストーリーからちょこちょこ展開や登場の順番に変更が出て…(汗)
出来る限り早く更新してネズミを出します!

それでは!


■ ユウカリ (8回/2011/05/02(Mon) 19:59:53/No3801)

      月白さん、こんばんは。ユウカリです。

      おぉ!なんか、すごい事になっていますね。
      ネイクの登場により、事態が悪化?してますね。
      それより、ネイクにやられたヤマネ達がとても心配です。
      そして、子分思いのヤシチは、これから、どんな
      行動に出るのか?
      とても楽しみです(えっ?

      では、今日はこの辺で。
      それでは♪


■ 月白 (30回/2011/07/09(Sat) 23:42:31/No4013)

こんばんは、月白です!
前回の更新から2か月経っている…!?
あまりにも遅すぎですね…。
私は打つのが遅いのか1つの話に相当時間をかけてしまうんですよね(汗)
絵のように残してはおけないからちょっとの暇な時間に、は出来ないんですよ。
とにかくもっと更新出来るよう頑張ります!

『ユウカリさん』
あまりにも遅い返事で申し訳ありません!
そして感想ありがとうございます!
ネイクだけでなくゼロノスのメンバーにはこれからどんどん状況を悪くしていってもらいますよ(笑)
ヤマネ達に手出しされた事でヤシチには怒りを見せてもらいました。
あっさりやられちゃいましたが…。←
ネイクとのバトルは今回で終わらせます。
あんまり長引かせるのもまずいですからね(汗)

それでは第9話です!




第9話「」




「うわ〜ん!出れないんだぜ〜!」
「ケータイもつながらないのら〜!」
「この狭さではヤマネはてんだんも使えないのでございます…。」


先程まで三人が遊んでいた河原。
そこには一つの檻があった。
そしてその中にはサスケ、ハンゾー、ヤマネの三人。
突然現れた妖精、ネイクによって閉じ込められてしまったのだ。
ヤマネはさっき起こった出来事を思い返す。
当然あんな怪しい妖精にヤシチの事を話す気なんてなかった。
だがあの妖精は自分が考えていたより遥かに強く攻撃一つ掠りもしなかった。

「あの妖精、兄貴を狙ってたんだぜ…。」
「ひょっとしたら今頃やられてるかもしれないのら〜。」
「私が…、未熟なばかりに…。」
「ヤマネのせいじゃないんだぜ!」
「僕達も何も出来なかったのら〜!」
「先輩方…。」

やがて沈黙が流れる。三人は何も出来ずに力なくうなだれていた。
すると…。


「あ、ヤマネちゃん達じゃない!」
「なんでそんな所に…?」


突然、聞き覚えのある声が響く。
その声のした方向に慌てて顔を向ける三人。
その姿を視界に入れた瞬間、三人は目を見開いた。



「どうした?守ってばかりじゃ俺には勝てないぞ!」

あれからミルモ達はネイクと戦うもののひたすら防戦続きだった。
ネイクはミルモ達の攻撃を完璧に撃ち落としさらに攻撃も仕掛けてくる。
その為ミルモ達もその攻撃を防ぐ事しか出来なかった。
結局反撃のチャンスもないままミルモ達には焦りと疲れが募っていく。

「くっそ〜。なんであいつはあんなに余裕なんだよ!」
「早くサスケ達の元に行かねばならんというのに!」
「ミ、ミルモ様〜。私、もう、そろそろ限界ですわ〜。」
「僕も疲れてきたでしゅ〜。お兄たま、なんとかして下しゃい!」
「無茶言うな!」

ミルモ達の周りには依然として飛び交う石の数々。
そしてそれは的確にミルモ達を狙ってくる。
避けてもご丁寧に追跡機能まであるらしく攻撃して撃ち落とす他防ぐ方法はない。
その為ミルモ達は休む暇もなく魔法で防いでいたのだ。

「僕やリルムしゃんは普段から喧嘩で魔法を無駄遣いしてるお兄たま達とは違うんでしゅ!」
「うるせぇな!俺だって無駄遣いしてるわけじゃねぇよ!」
「無駄に体力使ってる場合か!」
「お二人共、喧嘩はやめて下さい!」
「…あんたらやる気あるの?」
「うるせぇよ!お前なんかに負けてたまるか!」
「支配魔法の力を侮るなよ。この程度じゃ疲れなんて出ないんだよ。」
「なんて魔力の量なんでしゅか…。」
「私達とは比べものになりませんわ…。」
「当たり前だろ!あんたらとじゃ器が違うんだよ!」

ミルモ達と違いネイクには戦う前との変化が一切見られない。
その為、余計にミルモ達には焦りが出て疲れが襲う。
特にヤシチはずっとサスケ達が気に掛かっているらしく戦いに集中出来ていない。

「くっ!こんなとこでいつまでも時間をかけてはおれんのに!」
「ヤシチさん…。」
「ヤシチしゃん…。」
「くそっ!どうしたら良いんだよ!」

焦りと疲れにプラスして苛立ちも募る。
だが今のミルモ達は防戦するしかなかった。

「ど、どうしよう!このままじゃ!」
「ムルモ達がやられちゃうよ〜!」
「ヤシチ〜!しっかりしなさいよね!」
「まずいな。」

楓達もまた何も出来ずに傍観しているしかなかった。
しかしやがて楓が我慢出来なくなり飛び出そうとする。
その楓を結木は慌てて止める。
ミルモ達の周りは石が飛び交い下手に近づけば確実に怪我をするだろう。

「ゆ、結木君…。」
「…ここで俺達に出来る事はない。だから、ミルモ達が戦ってる間に俺達はサスケ達を助けに行こう。」
「!…うん、そうだよね!」
「み、南さんが行くなら僕も!」
「結木君が行くなら私も〜♪」
「「「………(汗)」」」

全く危機感を感じていない安純はともかく、楓達はサスケ達を助けに行こうとネイクに注意しながら行動しようとする。
その時…。


「やぁ!」


その声と共にネイクに向かって飛んできたのは一本の矢。
しかしネイクはすかさず石でその矢を撃ち落とす。
矢が飛んできた、声のした方向に目を向けるとそこにいたのは…。

「ヤシチ達に何してるのよ!」
「な、アゲハ!?」
「「兄貴!!」」
「ヤシチ兄様!」
「サスケ、ハンゾー、ヤマネ!」

矢を放ったのはなんとアゲハだった。
だがアゲハの登場に驚く間もなくサスケ達三人の姿にヤシチは驚きと安堵の表情を浮かべる。

「お前達、無事だったのだな!」
「兄貴も無事で良かったんだぜ〜!」
「アゲハさん達に助けてもらったのら〜!」
「兄様、申し訳ございません…。」
「何を言っている!お前達が無事で何よりだ!」
「ヤシチ兄様…。////」

ヤシチの笑みにヤマネは思わず頬を赤らめる。
しかし事態はそう和やかでもない。
既にアゲハは再びネイクに向かって弓矢を構えてる。

「邪魔するなよな、女のくせに。」
「うっさい!あたしの大事な幼馴染と妹分に手ぇ出してんじゃないわよ!」
「ギャーギャーとうるせぇなぁ…。」
「なんですって!もう、喰らいなさい!」

するとアゲハは矢を射る。
しかしネイクもまたそれを撃ち落とす。
アゲハは続けていくつも射るがミルモ達の時と同様に掠りもしない。

「あんた腕は良いが、正確過ぎて軌道が丸わかりだぜ。魔法でさえも当たらないのにそんな武器で俺に勝てるわけねぇだろ?」
「!?」

その言葉にアゲハの攻撃が一瞬止まる。
そしてネイクはその隙を逃さず攻撃を仕掛ける。

「あっ…!」
「あんたはターゲットじゃねぇから早々に退場願うぜ。」
「させるか!ヤシチでポン!」

しかしネイクの攻撃はアゲハに届く前にヤシチに防がれる。
そしてヤシチはすぐさま急いでアゲハとサスケ達を自分の後ろにやる。

「拙者の後ろから離れるなよ!」
「ヤシチ兄様!私も…!」
「ダメだ!あいつらの狙いは拙者達だ!お前達は関係ない!」
「ヤシチ…!」
「アゲハ、ヒイロは!?お主がおってなんでヒイロがおらんのだ!」
「あ、ヒイロは…。」


「ここにいるっつー、の!」
「な!」


その時、ヒイロの声が響く。
だがそれはヤシチ達の傍ではない。
ヒイロの声が響いたのはネイクの傍だった。
ネイクは振り下ろされるヒイロの刀をかろうじて避け近かったヒイロと距離をとる。

「ヒイロ!」
「い、いつの間に!」
「てめえがアゲハとやり合ってる間にだよ!」

ミルモ達の視線がアゲハに向かう。
アゲハはホッとしたようにため息を一つついていた。
しかしミルモ達の視線に気づくといたずらっぽい笑みを浮かべた。

「あいつの厄介な力を何とかするには隙をつくって近寄らなくちゃいけなかったからね。あたしはただの囮♪」
「やってくれんじゃん…。あんたら。」
「そりゃどうも。」

一瞬の間。
ミルモ達は黙ってその状況を見ていた。
そして次の瞬間、先に行動をしたのはネイクだった。
数個の石がヒイロに向かって行く。
しかしヒイロはそれを避けてそのまま刀を構えてネイクに斬りかかる。

「当たるかよ!」
「じゃあ、これはどうだ!」

ネイクはヒイロの足元を狙う。
ヒイロはそれを飛んで交わすがネイクはそれを狙っていたかのように再び攻撃をする。
だが空中にいる状態では避けられない…。

「「「あぁ!!」」」

それを見て何人かが思わず声をあげる。
ただヤシチとアゲハの表情には心配も驚きもない。
ヒイロも余裕そうな表情を崩さなかった。

「俺が刀しか能がないと思ったか!」
「んなっ!」

ヒイロが懐から出し投げたのは手裏剣。
それは的確にネイクの攻撃を防ぐ。
そしてヒイロはネイクに再び刀を振り下ろす。
ネイクは石をその刀にぶつけて威力を落としてなんとか避ける。

「くっ!妖精忍者であの邪魔者以外にここまでやる奴がいたとはな…。」
「すごいんだぜ、ヒイロさん!」
「カッコいいのら〜!」
「お見事でございます、ヒイロ殿!」

ちびっ子忍者達はヒイロの戦いぶりに歓声をあげる。
ミルモ達も圧倒されていた。

「ヒイロしゃん、本当にすごいでしゅ〜。」
「私達よりもずっと戦い慣れていますわ!」
「当然ですよ。あいつは忍者の村では天才忍者なんて呼ばれているもの。」
「マジだったのか、あれ…。」
「実際、村の者であいつの実力を認めていない者はおらんぞ。」
「ヒスイはどうなんだよ。」
「…あいつはまた別だ。」

完全に傍観者状態でミルモ達は会話していた。
しかしそんな事はよそにヒイロとネイクのバトルは白熱していってる。

「無駄に重てぇ攻撃だな。ま、大した事ねぇけど。」
「くっそ…!調子にのってんじゃないぞ!!」
「うっ!」

刀じゃ防ぎきれない一際大きな石にヒイロは何とか避けてやむを得ずヤシチ達の所まで下がる。
ヒイロは少しだけ乱れた息を正す。
その間ネイクは何もしなかった。
だが先程よりも力の禍々しさが上がったのを感じミルモ達は再び楽器を構える。

「てめえら、マジで調子にのってんじゃねぇぞ!もうターゲットとか関係ねぇ…。俺達の邪魔をする奴らは全員始末してやらぁ!」
「お前、さっきより口調が悪くなってるぞ。」
「うるせぇ!」

余裕なく怒っているネイクとは対照的にヒイロは息を乱しながらも挑発的な笑みを浮かべてる。
ネイクは先程よりも多い数の石をミルモ達に向けた。
そしてまたさっきと同じでミルモ達の防戦一方になる。
違うところといえばサスケ達を守りながら、ヒイロも参加している事ぐらいだ。

「これじゃさっきまでと同じじゃねぇかよ!」
「このままじゃその内に限界がきますわ!」
「ていうかもうほとんど限界でしゅ〜。」
「や、やはり私も…!」
「ダメよ、ヤマネちゃん!ヤマネはてんだんや手裏剣程度じゃこの威力の攻撃は防げないわ!私の弓矢もなんだけど…。」
「絶対絶命なんだぜ〜!」
「万事急須なのら〜!」
「絶体絶命、万事休す、な。」
「ヒイロ、冷静に訂正してる場合ではないだろうが!」




すみません!今日はこの辺で切ります!


■ 月白 (31回/2011/07/10(Sun) 23:50:43/No4018)

すみません!
前回題名を入れ忘れてました(汗)

第9話「照準の大蛇 ネイク」



では続きです!




段々と激しくなる攻撃にミルモ達はまた焦りと疲れに襲われる。
ヒイロとアゲハが戦っている間に少しは回復したリルムとムルモも限界は近付く。


「も〜!!どうしたら良いのよ!ヒイロ、なんとかしなさい!」
「無茶言うなよ。騒ぐくらいなら黙って下がってろ。」
「なんですって!」
「お主ら、こんな時に下らん事で言い合うな…。」
「もうダメですわ〜!」
「これ以上は無理でしゅ〜!」
「バカ野郎!諦めんな!」

アゲハは相当焦ってイラついているようだ。
そしてリルムとムルモの口からも弱音が吐かれた。
反撃も出来ず疲ればかりが溜まっていく。
ネイクはいまだに疲れが感じ取れない。
おそらく長引けば長引く程ミルモ達が不利になるだろう。
すると唐突にヒイロが口を開く。

「このままじゃ負けるな。」
「っ!あんな奴に負けてたまるかよ!」
「口先だけなら何とでも言える。」
「なんだと!」
「いい加減にしなさい!喧嘩したって状況は変わらないのよ!」

ミルモとヒイロの喧嘩に見かねたアゲハが怒鳴る。
それに二人は口を閉ざす。
が、少ししてヒイロがため息を一つつく。

「あいつを倒すのに一番厄介なのは攻撃だ。」
「確かにこの攻撃が止まらない限り絶対に近付けんな。」
「ま、攻撃は最大の防御って奴だ。」
「相手を褒めても仕方ないでしょー!状況が状況なんだから結論から言いなさいよ!」
「うるっせぇな。とにかく防いでるだけの今の状況じゃ勝てないのは確かだ。あいつはまだまだ余力がある。防いで隙を狙うなんて戦法は絶対通用しない。先に倒れるのは俺達の方だろうからな。」
「でも攻撃する隙なんてありませんわ!」
「近付いてもあっという間にやられちゃうでしゅ!」
「あぁ。だからあいつを倒すには防御と同時に攻撃しないといけない。それもあいつの攻撃じゃ防げない攻撃でな。」
「理屈じゃそうだろうけど…。」
「んな事出来たら苦労しねぇよ!出来ねぇからこんなに苦戦してんだろ!」
「だがあいつに攻撃の隙なんて期待出来ない。出来ないのなら尻尾巻いて逃げるのが最善だな。逃げるが勝ちとも言うし。」
「んな事出来るかよ!」
「あれも無理これも無理。それなのに意地ばっかり張って…。みっともねぇ奴。」
「な…!てめえいい加減にしろよ!」
「本当の事だろ!俺は口先だけの奴が一番嫌いなんだよ!」
「お二人共、喧嘩なんてしないで下さい!」



本当にすみません!また切ります!


■ 月白 (32回/2011/07/11(Mon) 23:37:42/No4022)

今度こそ終わらせます!
それでは続きです!




今にも掴み掛かりそうな程険悪な雰囲気を漂わせる二人。
幸いなのは攻撃を防ぐ手は止めないという点のみかもしれない。
そんな中、ヤシチは口出ししなかった。
ヒイロの言葉に何か引っかかりを覚えたからだ。

「(攻撃と防御…。)」

考えてもなんなのかがわからない。
ヒイロの言い分は最もだと思う。
天才忍者であるヒイロが勝てないと判断したのなら方法はないのかもしれない。
だが何かが引っかかる。
そう考え事をしていると攻撃が迫ってきた。
ヤシチは慌ててその攻撃を防ぐ。

「ヤシチでポン!」
「ミルモでポン!」

ミルモの所にも石が飛んできたらしく偶然、二人の声が重なる。
その時、引っかかっていた事が何か…。
それがわかりヤシチは思わず一瞬動きを止める。
そして声をあげた。

「おい!奴を倒す方法があるかもしれんぞ!」
「なんだと!?」

ヤシチの言葉にミルモが思わず驚きの声をあげる。
だが、それが悪かった…。
その瞬間、全員が驚いて隙をつくってしまったのだ。

「何しようとしてんのか知らねぇけど、隙だらけだぞ!」
「しまった!」

一斉に襲いかかる石の数々。
速い攻撃にミルモ達は慌てて魔法を使おうとするが間に合わない。
だが…。


「っ!?」


その時、ネイクは突然飛んできた物をかろうじて避ける。
その為意識がそちらにいきミルモ達に向かっていた攻撃は威力も速度も落ちる。
おかげでミルモ達は何とか攻撃を防いだ。
それは小さな変化…。
切羽詰まっていたミルモ達はその変化に気付かない。
ネイクは足元に刺さっている物、くないに目を向ける。
そしてそのくないが飛んできた方向を見た。
そこには誰もいない。
だがネイクは誰だかわかっているかのように忌々しげに睨み付ける。

「あんの野郎…、邪魔しやがって…!やっぱ先に始末しときゃ良かった…!」

そう言うとネイクは先程まで攻撃をしていた石を自分の頭上、一ヶ所に集める。
ミルモ達はその様子を見て魔法を止める。


「もう我慢出来ねぇ!てめえら一人残らずぶっ飛ばしてやる!お遊びもここまでだ!」


その力にリルムやアゲハ、ムルモとサスケ達が顔を青ざめる。
ネイクの力は先程よりも明らかに上がっている。

「も、もうダメですわ〜!」
「ふえぇぇ〜〜!!」
「…いや、これはチャンスだぞ!」
「はぁ!?この状況で何言ってんだよ!」
「お主こそ忘れたか…。」
「ゴチャゴチャ言ってんじゃねぇよ!どのみちてめえらこれでお終いだ!」

もうダメだとリルム達が思ったその瞬間…。



「そうか!その方法があったか!」


ミルモの声に閉じかけていた目を開ける。
声の方に目を向けるとそこには楽器を持ちやる気満々な様子のミルモとヤシチの姿。

「ミルモ様…?」
「ヤシチ…?」
「ヒイロ!すまぬが皆と一緒に下がっていてくれ!」
「はぁ?何するつもりだよ、お前ら。」
「説明している暇はない!」
「ちょ、お兄たま!」
「後は俺達に任せろって!ようやくあいつに反撃出来るぜ!」
「あぁ!目にものを見せてやる!」

ミルモとヤシチに言われリルム達は後ろに下がる。
どうする気なのかと不安にハラハラしていると突然ミルモとヤシチの楽器、マラカスとトライアングルが光り始める。
それを見てようやく二人が何をする気かわかったリルム達は同時に声をあげる。



「「「「「セッション魔法!!」」」」」
「セ、セッション魔法…?」
「………。」



アゲハとヒイロは知らないらしくアゲハは首を傾げている。
ヒイロは何も言わずその様子を見ている。



「消え失せろ!」



ネイクの声が響く。
そして邪悪な塊がミルモ達に向かって襲い掛かる。
しかし避けようともしないミルモとヤシチにアゲハが焦り始める。

「ヤシチ、危ない!」
「アゲハ殿、ダメでございます!」
「でも、ヤシチが…!」
「大丈夫ですわ!今はお二人を信じて下さい!」

リルムとヤマネがアゲハを何とか抑え込む。
アゲハの視線の先には顔を見合わせ頷き合うミルモとヤシチ。
そして二人はかつてダアクとその手下達を倒す為に得た力を再び使う。





「ミル・ミル・ミルモでポン!」
「ヤシ・ヤシ・ヤシチでポン!」





ミルモとヤシチの前に現れる魔法陣。
それはネイクの強力な攻撃を…、倍にして返す。


「喰らいやがれ!!」
「今までのお返しだ!!」
「な、これは…!?しまった、セッション魔法!!」

ネイクはミルモとヤシチがした事に気付く。
だが気付くのが遅く全力で攻撃したのでその倍の攻撃を防ぐ手立てもない。


「くそっ!!これで終わると思うなよ、てめえら!覚えてやがれ!」


そしてネイクは攻撃を受ける寸前に姿を消した。
そのままセッション魔法の力は空に消える。
しばらく沈黙が続くが助かった事を悟りヒイロとアゲハとヤマネ以外は一斉に座り込む。

「た、助かりましたわ〜。」
「今回ばかりはダメかと思ったでしゅ〜。」
「兄貴すごいんだぜ!」
「さすが僕達の兄貴なのら〜!」
「お見事でございます!ヤシチ兄様!ミルモ殿!」
「でも、くそ〜!あいつに逃げられたぜ!」
「結局倒す事は出来なかったな。」
「でも勝てて良かったよ!皆、大丈夫!?」
「楓様!大丈夫ですわ!」
「松竹しゃ〜ん!僕、おなかすいたでしゅ〜!」
「帰ったら最高級マシュマロ、たくさん食べさせてあげるよ!」
「お前らな…。」

ちゃっかりしているムルモはともかく…。
ネイクが去り、楓達はミルモ達の元に寄る。
楓は心配そうにミルモを見る。

「ま、この程度大した事ねぇよ!でも腹減った〜!楓、くもっちょ買ってくれ〜!」
「もう、ミルモったら!今日は特別だよ?」
「よっしゃ〜!」

楓の言葉に元気になるミルモ。
現金だというツッコミは置いといて…。

「ヤシチ兄様!大丈夫でございますか?」
「あぁ。まぁ、ちょっと疲れたがな。」
「無茶し過ぎよ、全く!先に説明しといてよね!本当に心配したんだから!」
「いや、だがあの状況じゃ…。」
「言い訳しないの!」
「そこら辺にしとけよ、アゲハ。しかし本当に攻撃と防御を同時にやってのけるとはな…。」

ヒイロが感心したような呆れたような表情で言う。
アゲハは本当に心配したのか目に薄ら涙が溜まっている。

「お主は心配し過ぎなのだ…。」
「誰が心配させてるのよ、このバカ!」
「す、すまん…(汗)」
「でも…、あの時は助けてくれてありがとう…。」

アゲハの言うあの時とは隙が出来た時ヤシチが魔法でネイクの攻撃を防いでくれた時の事だろう。
照れくさいのかアゲハは少し頬を赤らめて目を逸らしながら言う。
最も、とにかく人の感情に鈍いヤシチはその事に全く気付かないのだが…。

「ん?あぁ、あの時か。だが寧ろ拙者の方が感謝しているぐらいだ。巻き込んでしまったのはすまないがお主達がヤマネ達を助けてくれて良かったのだ。」
「それはヒイロがやっただけだからあたしは何も…。」
「何言ってんだよ。囮だってよくやったじゃん。正直お前がやるって不安要素しかなかったけどアゲハにしては上出来だろ。」
「あんたそれ全然誉めてないでしょ!!」
「ま、まぁとにかくお主達のおかげで助かったぞ。」
「でもヤシチ!あんたあんまり無茶するんじゃないわよ!」
「わ、わかった…。」

その光景をヤマネは複雑な思いで見ていた。
アゲハの様子を見てアゲハはやはりヤシチの事が好きなのかもしれないと思ったからだ。
ヤシチとアゲハの会話にも入り込む隙間などないように思えた。
その事実はヤマネの心に重くのしかかる。
その元気のないヤマネの様子にサスケは気付きながらもなんと声をかけたものか悩んでいた。


「んじゃ、皆怪我もないようだし今日は僕がご馳走するよ!」
「おぉ!松竹、太っ腹じゃねぇか!」
「さすが松竹しゃんでしゅ〜!」
「お菓子食べ放題なのら〜!」
「そんなのんきで良いのか…?」

松竹の言葉でこれから松竹の家に行ってお菓子を食べる事が決まる。
結木の言葉もご最もだが妖精達は訳分からない組織よりも目の前のお菓子が優先らしい。

「ヒイロ、アゲハ、お主達も行くぞ。」
「でも、なんか悪くない…?」
「心配しなくて良いよ!お菓子はたくさんあるから!」

ヒイロとアゲハが行く事も決まりミルモ達は移動する。
だが、その時一番後ろにいたヒイロが止まる。
そしてヒイロはある所に視線を向ける。
それは先程、ネイクにくないを投げ、自分達を救った者がいた筈の場所だった。
ヒイロはそこを感情もなくただ見ている。

「ヒイロ、どうしたのだ?」
「早く来なさいよ!置いていくわよ!」

ついてこないヒイロに気付きヤシチとアゲハが声をかける。
ヒイロは二人の方に振り返る。


「…今行く。」


そしてその一言だけ言いもう一度さっきの場所をちらりと見るとヤシチ達の後を追う。
後は誰もいなくなり静けさだけが漂う。
その時、一人の妖精がその場所に突然現れる。



「なんとか勝ったみたいだな。だがこのぐらいで苦戦しているようじゃまだまだか。…しかし、あいつが手出しした事には驚いたな。」



そこに佇むのは格好は違えどヒイロにそっくりな顔の妖精…。
翡翠色の妖精、ヒスイだった…。
ヒスイは目を閉じ考え込むように黙る。
そしてゆっくりと目を開け辺りを見渡す。





「ま、邪魔がいくつか入ったとはいえあいつらのセッション魔法が見れた事は大きな収穫か…。戦いは、これからだしな…。」





第9話終了です!
更新がかなり遅かった事と長々としてる事と何度も切った事は…、すみませんでした!
今週は通常授業がなく宿題もないので夜に頑張って書かせて頂きました。
でもいつも11時ぐらいになると親に寝ろと言われるんですよね…。
最高で起きれて12時…。
母親が心配性なもので私の体調の為に言ってくれてるのもわかってるからあんまり反抗も出来ないのでぎりぎりまで粘るんですが心配かけてるから遅くまで起きれないんですよね…。
だから最終的に間に合わず切ってしまいました(^^;)

さて、今回でネイク編(?)は終了です!
無理やり詰め込んでる気がしますがそこはスルーで!←
会話と地の文の割合が極端…(汗)
とにかく今回は戦闘シーン頑張りました!
ヒイロとネイクの一騎打ちでそれっぽく見せようと…、これでも一応頑張ってはいるんです!(おい)
とりあえずヤシチとヒイロに活躍してもらいました。
実際のミルポンでのヤシチはあんなに頭は回らないと思いますが(え
でもこの小説ではヤシチを活躍させる気満々なんで!

次回からはちゃんと主人公に出てもらいます!…多分。←
ああ!なんかすごい行き当たりばったりだ!
でも次の更新も早く出来るように頑張ります!

それでは!


■ 月白 (33回/2011/08/14(Sun) 18:52:05/No4065)

小説板ではお久しぶりの月白です!
前回の更新から一ヶ月以上経ってましたね。
演劇部の県大会が終わり一週間は休みなのでさっそく小説を書こうと思います!
今回はミルモ達は出ずに主にオリキャラです。
瞳も出します!




第10話「始まりの出会い」




「う〜ん…。」

机の前で唸っているのは片瀬瞳。
楓達と出掛けずに瞳は引っ越しの間に遅れてしまった勉強をしていた。
瞳の前には既にいろいろと書き込まれているノート、教科書、参考書が置かれている。
実は瞳は基本の所は終えて応用に移っていたのだ。

「やっぱ難しいなぁ…。」

今日は終わりにしようと瞳は開いていたノート等を閉じる。
そしてため息を一つついた。

「それにしても、せっかく南さん達が誘ってくれたんだから行けば良かったかなぁ…。」

外を見るともう真っ暗で月も星も出てる。
瞳は窓をゆっくり開けてしばらく空を眺める。
その瞳の表情は明るいものとは言えず浮かないものだった。

「はぁ…。」

瞳はまたため息を一つこぼす。
今瞳の胸の内を締めているのは罪悪感。
それは楓達に話す事の出来ない秘密を抱えている事…、嘘をついている事…。
誘いを断るのは申し訳なかったがそれ以上に隠し事をしたまま一緒にいるのが心苦しかったのだ。

「…あれ?」

そこまで考えたところで瞳は暗闇の中、何かが動いているのが見えた。
それは人間や動物とは思えない動きや大きさ…、妖精だった。
かなり速い動きで目で追うのは難しいが瞳は二人の妖精がぶつかり合っているのが見えた。
時々金属がぶつかったように光が走り距離が出来ると互いに何か投げているように見える。
その妖精達は屋根づたいに少しずつ瞳がいる場所に近づいてくる。
すると…。


「あっ!?」


一人の妖精がもう一人の妖精に押し負けたように屋根から道路の方に姿を消してしまう。
一気に我に返った瞳は慌てて外に走り出た。



「ぐっ…!」
「これ以上…、俺達の邪魔をするな。」

瞳が外に出ると思ったよりも近くに二人の妖精はいた。
姿が見えるとその会話も瞳の耳に入ってくる。
道路の上で壁に寄りかかって立つ妖精はどこか怪我をしているのか苦しそうだった。
もう一人の妖精はそれを見下ろすようにその向かいの壁の上に立っている。
瞳が咄嗟に言葉を発しようとする前に壁の上に立つ妖精の声が響いた。

「…次はないぞ。」

呟くように言ったそれはとても小さかったが静かなその場所には不思議なくらい響いた。
それだけ言うとその妖精は背を向ける。


「待て…!フブ、キ…。」


道路の上にいた妖精は身を起こそうとしたがそれは叶わずそのまま倒れてしまった。
フブキ、と呼ばれた妖精はその言葉が聞こえたか聞こえないかぐらいで一瞬にして壁の上から姿を消した。


「………!き、君!大丈夫!?しっかりして!」


瞳の声にも反応しないその妖精はただ浅い呼吸を繰り返すだけだった。
焦りながらも呼吸はある事に瞳はホッとする
そして慌ててその妖精をそっと両手で包み込むように持ち上げると急いで自分の家に向かった。




「くっそ!!あいつら次は絶対許さねぇ!!」

同じ頃、漆黒の空間でミルモ達にやられたネイクは近くの椅子を蹴り飛ばして悪態をついていた。
ギリギリのところでセッション魔法から逃れたので無傷で済んだがイライラだけはいつまで経っても収まる気配はなかった。

「なっさけね〜!」
「うるせぇ、ディマ!」
「はんっ!な〜にが狙った獲物は逃がさねぇ、だよ!てめえが逃げてんじゃねぇか!」
「ちょっと油断しただけだよ!次は…!」
「次、なんて弱い奴が使う言葉なんだよ!」

ディマの言葉にネイクが言い返そうとした時…。
漆黒の空間に歪みが生じる。


「二人共、そこまでだよ。」
「いつまでも喧嘩しないで下さ〜い♪」

カムイとマシロの二人が現れた。
騒がしい口喧嘩に参加していなかった妖精達は黙って二人に目を向ける。
ネイクとディマは互いに睨み合いやがて同時に視線を逸らした。

「今回は残念だったね、ネイク。でも油断しないよう注意はしてたはずだよ。ペナルティとしてしばらくの間は掃除でもしててくれる?」
「うぅ…、わかり、ました…。」
「ザマーミロ!カムイ様、マシロ様!次はあたしに行かせてくれよ!ぜってぇ仕留めてやるから!」
「ごめん、ディマ。悪いけど次はトルマに行ってもらうつもりなんだ。」
「はぁ!?なんだよ、それー!」
「ざまぁみろ。」
「黙れ、負け犬!」
「んだと!」

再び口喧嘩を始めるネイクとディマをスルーしてカムイとマシロは話を続ける。

「ディマに行ってもらう事も考えたけど今回は君の方が適任かと思ってね。」
「力押しじゃ苦戦しそうですからね〜♪『紳士』さんの頭脳なら確実に任務を遂行出来ると思いまして♪」
「お二人に期待して頂けて光栄です。このトルマがその四人の妖精を始末してやりましょう。」
「うん。期待しているよ。」

カムイはニコッと笑みを浮かべたがその目は決して笑っていなかった。
普通の妖精が見たら背筋に悪寒が走り恐怖を覚えそうな…、そんな気配は出していた。

「くそっ!俺だってあの時、邪魔さえ入らなければ…!」
「あぁ、その邪魔者の事なんだけどね。」

ネイクの言葉にカムイが思い出したように話し始める。
邪魔者…、それはおそらくネイクがミルモ達と戦っている時にくないを投げ邪魔した者の事だろう。

「『氷牙』がその邪魔者と戦ったみたいだよ。結構な傷を負わせたからしばらく僕達の邪魔をする事は無理だろうとの事だよ。」
「ふ〜ん。で、フブキの奴は例のモノ見つけたのか?」
「まだのようですよ〜♪まぁ、まだ時間はありますし、焦る事もないでしょう♪」

すると今まで黙っていたイリューが突然話に入ってきた。

「そう言えば『烈火』は?ネイクが邪魔された時もだけど何してたの?」
「そういやそうだ!あいつがなんとかしてりゃ…!」
「負けたのはてめえの自己責任だろ!その事は置いといても、あいつはいつまであたしらに顔も見せねぇんだ?」

『烈火』…。
カムイとマシロがミルモ達の事を探る為に送り込んだという妖精。
しかしどうやらネイク達は『烈火』の正体について知らないらしい・
彼らは不満気な表情を見せる。

「『烈火』はちょっと特別な状況にあるからね。秘密にしてる方が都合良いんだ。」
「ほら、よく言うじゃないですか〜♪敵を欺くにはまず味方から、って♪」
「まぁ、そりゃそうだけど…。」
「仕方ないのでは?ネイクやディマに話せばあっさり敵に言ってしまいそうですから。」
「「なんだとっ!!」」
「本当の事だから騒がないでよ。リオネちゃんが起きちゃうでしょ。」
「イリュー、てめえ…!ってか寝てんじゃねぇよ、リオネ!」
「ちょっと黙ってくれる?ディマ。君と違ってリオネちゃんは繊細なの。」
「ぶっ飛ばす!!」
「話進まないから止めて下さい。」

騒ぎ始める周りにトルマは問答無用で冷静に黙らせる。
するとカムイはまた何か思い出したように辺りを見渡す。

「どうしました?」
「すっごく今更なんだけど、…ピエロは?」
「いつものごとくどっか行ってますよ。」
「あいつの行動マジでわかんねぇ!いたりいなかったり、どっちかにしろっての!」

ディマは憤慨したように怒鳴る。
ある意味、八つ当たりに近いが…。

「まぁ、良いですよ。『烈火』もピエロも、いてもいなくてもどうでもいい。私は私だけで任務を遂行するだけですから。」
「わ〜い♪頼もしいですね〜♪」
「既に彼らの情報は収集済みです。彼らを倒す計画も出来ている。私の計算に狂いはありません。」
「ま、でも油断はくれぐれもしないようにね。」
「もちろんです。そこのバカ達とは違いますから。」
「ちょ、待て!達ってなんだ、達って!」

ディマの怒鳴り声も無視してトルマは背を向ける。
そのまま無言で出て行こうとする…が、扉の前で立ち止まり振り返る。


「あぁ、そうだ。ついでに人間達の負のエネルギーも集めてきますね。」


そう言いニッコリと笑うとトルマは漆黒の空間を後にした。
それからその場所に集まっていた妖精達も解散し漆黒の空間にはカムイとマシロのみになった。


「順調、ですね♪」
「あぁ。ネイクも失敗はしたけどセッション魔法の情報を集めるのに貢献してくれた事は誉めるべきだね。」
「一番最初に発動したセッション魔法、でしたっけ?『烈火』も目にしたという報告でしたし大きな収穫ですね♪」
「だね。でも例のモノの情報が手に入らないのは困ったものだよ。」
「彼らが随分必死に隠しているようですからね〜♪ま、いつまでも庇いきれるものでもないでしょうし、やっぱり時間の問題です♪」
「そうだね。さて、厄介な妖精達が動き出す前に計画をもっと進めよう。」
「は〜い♪」


そして漆黒の空間からカムイとマシロの姿も消え、その場所は静寂に包まれた。





第10話終了です!
今回はいろいろと大事な事を入れさせてもらいました!!
『氷牙』の正体はもうしばらく先、と言ったところですが『烈火』の正体は本当にかなり先になります。
ですからしばらくはそういうのがいる、と頭の片隅程度で認識しといた方が良いかも…。
なんかもう謎だらけですみません!!
でもまだ明かしたくない!←

さて、ようやく主人公の片瀬瞳にも登場してもらいました!
今回、彼女が出会った妖精、怪我をして家に連れ帰った妖精の正体は次回わかります!
勘の鋭い人にはすぐにわかりそう(汗)

さぁ、次回は瞳とようやく登場!のあの妖精に出てきてもらいますよ〜!(え
次の更新も早めに出来るよう頑張ります!

それでは!


■ 月白 (35回/2011/08/20(Sat) 22:10:18/No4095)

こんばんは、月白です!
今回はオリフェのアゲハを描いてみました!
では設定を!

・アゲハ
忍者の村の長の娘。
弓矢の腕前は忍者の村で1番と言われている。
同年齢の忍者の中では優秀な優等生。

しっかり者だが短気で強気な性格。
かなりのドジで昔は相当なあがり症だったらしい。
でもやる時はやり責任感が強い。
心配性なところもありヤシチに対しては過保護でもある。
ただ昔はそうでもなかったらしい…。

双子達の自称保護者でストッパー。
収拾方法は弓でぶっ叩く事。
頭巾についている紋は忍者の村の長の直系である証。
くノ一でありながら次期長候補でその事を重く感じながらも周りの前では表に出さないようにしている。


ようやく2人目のオリフェが描けました!
あぁ…、もっと画力が欲しい…。
今回1番悩んだところは色遣いと長の直系である証の紋ですね。
やっぱり絵を描くのは難しいです…(^^;)

ネイクも描かないと…。
でも実は外見を考えているのはヤシチの幼馴染達だけなんですよね…(汗)
また考えなければ…!
次描くとしたらヒスイかもしれません。
でもヒスイの服装どうしよう←

こんな行き当たりばったりですが気長にお付き合い下さい!
それではまた!

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3897/ Mirumo Story-忍のほこらと封印されし闇-
□投稿者/ ぴこまる -24回-(2011/06/05(Sun) 21:50:43)

こんばんは!ぴこまるです。
前回連載していた「大切なもの」も完結ししばらくたちまして、次はオリフェも登場する長編に
挑戦してみようと思います!!タイトルは「Mirumo Story-忍のほこらと封印されし闇-」です。
ネーミングセンスがほしいなぁ……皆さんに分けて頂きたいですw

登場人物はやはり妖精忍者メインになりますが後でミルモたちの出番も増えていきます。
バトル要素もあります。前回の連載のように書き溜めたストックの一気出しではなく
書きあがるたびにちょこちょこ出していこうと思います。前回よりもだいぶ長くなりそうな
予感がしているので^^;

そして、ここでのオリジナル設定の補足を……。
ヤシチの師匠が出ますがダァクの設定はアニメ側です。つまりヤシチの師匠とダァクには主従関係が
ないですwヤシチの師匠も多少王家に反発心はありますがそこまでこだわってなかったり。あと、
ヤシチは小さいころから修行のために師匠の家に住み込みで修行していたという設定。ネズミやヤマネも
そこにちょこちょこ顔出ししていたという感じです。


スローペースな更新の予感ですがどうぞ最後までお付き合いくださいませ^^


■ ぴこまる (25回/2011/06/05(Sun) 21:52:59/No3898)

1

「ムルモー!!てめぇ俺のお菓子返しやがれー!!」
「こっこまっでおいでーでしゅー♪」

 天気のいい日曜日。今日もいつものように妖精たちが楓の家に遊びに来ていた。リビングでみんなで
おやつの時間を楽しんでいたのだがミルモの皿に残っていた最後のお菓子をムルモがちゃっかり横から
かすめ取り、先ほどから追いかけっこが続いているのを楓とリルムはあきれたように眺めていたのだった。


「ほんと……あの二人も飽きないよねー」
「全くですわー……」

 止めてもどうせ意味がないことがわかっているのでもう二人とも何も言わないことに決めていた。
いつものパターンだと最終的にムルモが触角ビームでミルモをノックアウトして終わりである。
今回も見たところその流れになりそうだったので二人は大して心配もしていなかった。

「でも兄弟ってどこもこんな感じなのかなぁ……私は兄弟いないからよくわからないけど」

 楓が何気なくつぶやいた。

「男の子の兄弟は喧嘩することも多いのかもしれませんわね。私は下に妹が3人いますけどあんまり
喧嘩をしたこともないしとっても仲良しですわ〜」
「へー、リルムちゃんって妹いたんだ!!」

 リルムの両親には何度かあったことはあるが妹たちがいたとは楓は全然知らなかったので少々驚いた。

「はい、少々やんちゃですがとても可愛らしいのですわ」
「リルムちゃんはいいお姉さんなんだねー」
「い、いえ、そんな……当たり前のことですわよ」
「……その当たり前が出来ん奴もいるようだがな」

 かりんとうをぽしぽしとかじりながらヤシチがつぶやいた。目線の先ではすでにムルモの触角ビームによって
やられたミルモが黒こげになっていた。どうやらやっと決着がついたようだ。

 ヤシチも今日は珍しく楓の家に来ていた。安純の部屋の掃除を終え、別の用を言いつけられる
前に早々に外に出たその時に買い物に出た楓と会い、遊びに来ないかと声をかけられたのだ。
お菓子もあるというし特に用もなかったので、サスケたちもつれてみんなでお邪魔することにして今に至る。

「そういえばヤシチは兄弟とかいないの?」

 話の流れで楓はなんとなくヤシチにも話題をふった。ミルモ以外の妖精の家族はあまりよく知らなかったので
なんとなく興味もあったのだった。

「ん? 兄弟か? 拙者にはおらんぞ」
「え、そうなんだぁ」

 子分たちに対する面倒見もいいし、下に前々から弟がいるのかもしれないと思ったのでヤシチの返答は
楓には少々意外だった。

「まぁいなくてさみしいと思ったことはないな。サスケたちが弟や妹みたいなもんだし。
それに………上にややこしい奴らもいたから……もうこれ以上はいい………」

 途中で急に言葉に詰まった後、どことなくあきらめたような表情をしながらヤシチはぼそりとつぶやいた。

「あー……」

 その場にいた全員の頭に青い服の忍者の顔が浮かんだ。従兄であり歳も近かったのだから彼がヤシチの
兄のようなものなのかもしれないが、嫌味な彼の性格を考えると一同はヤシチにいささか同情せざるを得ない。
人間界に来る前からヤシチが色々苦労してたこともうかがえて空気が重くなってしまったのを振り払うように
楓はあわててヤシチにお茶のおかわりを勧めた。


「あれ? 今そういえばヤシチしゃん……”奴ら”って言わなかったでしゅか?」

 はた、とムルモが気が付いてヤシチに尋ねた。ミルモもそれに続いて尋ねる。

「そういえばそうだな……まだ他にいたっけか?」

言われてみれば先ほどヤシチが言ったのは奴ではなく奴ら。
複数形だった。他に誰かいただろうかと思い返すもみんな思い当る人物が浮かばない。ヤマネも少々
頭をひねらせている。

「ああ、お主らはあったことなかったか? ヤマネは小さいころ遊んでもらったりしていたのだがなぁ」
「え? 私あまり記憶にございませぬ……どなたかいらっしゃったでしょうか?」

 ヤマネは不思議そうに首をかしげた。




「悲しいなぁヤマネ……忘れてしまったのか? 時間というのは残酷なものよのぅ」


■ ぴこまる (26回/2011/06/05(Sun) 21:58:35/No3899)



 突然きこえた声にみんなは一斉に窓の方に振り返った。そこには一人の女の子の妖精が立っていた。
藤色で少しウェーブがかかった長髪で頭巾にはワンポイントに花の文様が入っている。腰に短刀を下げ、
紫の忍者服を着ていることから見るとどうも妖精忍者のようだ。

 そして、その妖精を見て真っ先に反応したのはヤシチだった。

「さ……サクヤ姉ぇ!?」
「おお、元気そうではないかヤシチよ!!」

 サクヤというらしいその妖精はヤシチたちが乗っているテーブルにひらりと飛び移りヤシチの目の前に
着地する。ヤシチは本当にびっくりした様子でサクヤに詰め寄ろうとする。

「なんで急にこっちのせか……」
「まぁ待て。こちらの方々へのあいさつが済んでおらんからな。初対面の方々が多いようだからきちんと
しておかねば」

 サクヤはすっと手を出してヤシチを制した。仰々しい口調だがこれが彼女のデフォルトらしい。
サクヤは楓やミルモたちの方に向き直って片膝をつき頭をスッと下げた。それが様になっているところから、
彼女がだいぶ実力者なのだろうということがミルモたちにもなんとなく感じられた。

「お初にお目にかかる方も多いであろうし、初めましてと言っておこう。某(それがし)はサクヤ。ヤシチの
忍術の師であるシショーの娘だ。この度人間界の旅をいったん終え帰郷するにあたり、人間界にいるという
このヤシチに少々用があって参上した。以後よろしく頼む」
「あ、はい! どうもご丁寧にっ!!」
「お、おう、よろしくな……」
 礼儀正しいサクヤについかしこまってしまう楓やミルモたち。それを見るとサクヤは急に吹き出し
ケラケラと笑った。

「あっはははは!! そんなに大層に構えなくともよいではないか! 某もただのしがない妖精忍者だ。
ヤシチやヤマネたちと同じように扱ってくれてかまわぬぞ」
「え……そうか?」

 口調は武士のような雰囲気のものだったが基本的な性格はけっこう気さくなようだった。笑顔でそう言う
サクヤにミルモたちはすっかり緊張も解けたらしい。
 
「俺ミルモってんだよろしくな」
「私はリルム、そちらはムルモ様ですわ〜」
「よろしくでしゅ〜♪」
「おお、王族関係の皆様方か。ご活躍のほどは耳にしておるぞ。どうぞよろしく頼む」


 みんなが次々と自己紹介するのを横目に見ながらヤシチは軽くため息を吐いた。
ヤマネがそれに気が付きヤシチのそばへと寄って行った。

「どうしたのですか兄様」
「いや……ほんっとに変わっとらんなぁと思ってな」
「サクヤ殿のことでございますか?」
「ああ」

 先ほどヤシチが口にしていた他の年上の妖精というのはサクヤのことだったのかとヤマネは納得した。
しかしヤマネ自身はどうにもあまりサクヤのことを覚えていなかったので不思議な感じだ。

「兄貴ー。サクヤさんってどういう人なんだぜ?」
「僕たちも一回も会ったことないのらー」

 サスケやハンゾーもヤシチと同じ師匠のもとで修行をしているのにサクヤのことを知らなかったので
サクヤに対してとても興味深々な様子だった。ヤシチたちがそうやって話しているのに気が付いてサクヤが
振り返る。

「ああ、お主らがヤシチの子分のサスケとハンゾーだな。父上から話にはきいていた」
「そ、そうだぜ……初めましてなんだぜ」
「なのら〜……」
 
 ニコリと笑うサクヤに少々恥ずかしそうに二人は返事をし、頭を下げた。

「某は長年修行の旅に出ていたからな。お主らが入ってくる前に旅に出たのだからお主らが某を知らぬのも
無理はない………ヤマネに忘れられてしまっていることもな。あのころはまだだいぶ小さかったのだし……
仕方ないが某は実に悲しいぞ…うっうっ……」
「も、申し訳ありませぬサクヤ殿!!」

 サクヤがわざとらしく嘘泣きをすると、本気でとらえてしまったヤマネがあわてて謝罪した。するとすぐに
サクヤは笑顔に戻り、ヤマネの頭をわしわしと力強く撫でた。

「はっはっは、じょーだんだよ冗談!! ヤマネは相変わらず真面目でかわいらしいな」
「あわわ……ありがとうございます……」


「……そろそろ何で来たのかちゃんと教えてもらえんかサクヤ姉ぇ……」

 若干置いてけぼりを食らっていたヤシチが遠慮がちにサクヤに声をかけた。サクヤはさも今
思い出したかのようにポン、と手を打った。

「おお忘れておった!! 実はな、お主らを誘いにきたのだ」
「は? 何に?」
「いやぁ、ひっさしぶりに実家に帰ったもんだから一人じゃ何分さみしくてな? どうせならみんなで集まって
話でもしたいなぁと思ったのだ。どうだ?どうせしばらく父上のところに顔出しておらんのだろう?」
「まぁ……そういや師匠にも最近会っておらんなぁ……」
「だろ!?」

 サクヤはパッとヤシチの両手を取った。ヤマネはそれを見て一瞬複雑そうな表情になった。

「じゃー一緒に帰ろうぞ!! 断ったら怒るぞ!!」
「いや、どのみち連れて行かせる気満々ではないかっ!」
「細かいことは気にするなよモテないぞ〜」
「余計なお世話なのだ!!」

 ヤシチは怒ったように言うがサクヤは全く意に介していなかった。


「……アイツ……ホントに大変だよなぁ」
「それでこそヤシチしゃんでしゅもんね」

 サクヤのノリに完全に流されているヤシチを見て、サクヤもネズミとはまた違ったタイプの曲者なのだなぁと
ミルモたちは思った。サクヤは人が良い分ネズミより相手にしても腹が立ちはしなさそうだが、その分強く言い切れず
ヤシチが完全に圧し負けてしまっている。

「ほら、お主たちも一緒に来ようぞ。 お主らの話も色々聞きたいしな」
「行くぜ!」
「僕も行くのら〜!」

 サクヤがサスケとハンゾーにも呼びかけると、2人とも二つ返事で了承した。頼りがいがある姉御肌のサクヤに
すっかり懐いてしまったようだった。ヤシチはあきらめたようにまたため息を吐いた。

「わかったわかった……取りあえず拙者のパートナーに連絡してからな……」
「よし、それでこそ某の知ってるヤシチだ。相変わらず優しいなお主は♪」
「わ、よさんかサクヤ姉ぇ……」

 サクヤに頭を撫でられ困ったような顔をしているヤシチはほっぺを赤くしていてどことなく照れているようにも見えた。
そんなヤシチを見てミルモが放っておくはずもなく、

「やーい、ヤシチの奴照れてやんのー」
「なんだとぉ!!」

と、今度はミルモとヤシチの喧嘩が始まってしまった。もはやこれにも誰も割って入る気はない。皆はそれを眺めながら
好き好きに雑談を続け、楓はサクヤにお茶とお菓子を勧めた。サクヤはそれを「かたじけない」と言って受け取り
美味しそうに食べていた。

 しかしヤマネだけが一人だけなんだか寂しそうな表情でヤシチの方を見つめていた。

「………兄様」

 ヤシチとサクヤの関係は姉弟と大差ないものなのだと思う。しかし、サクヤに対してどうにも気持ちがもやもやして
しまっっていた。この気持ちが何なのかヤマネ自身もよくわかっていないのだった。


「ヤマネも一緒に行くんだぜ?」
「え……あ、はい、私もご一緒するでございますっ」

 サスケに声をかけられ、ヤマネはあわてて取り繕った。サスケはそれを見て一瞬不思議そうな表情をしたが
すぐにまた楽しそうな表情に戻った。ヤマネと一緒に里帰り出来ることがサスケも嬉しいからだろう。
ヤマネはまだ少ししょんぼりしたようであったが。

(ふぅん……なるほどな。しばらく見ない間にずいぶん面白い関係が出来上がったものよのぉ♪)

 サクヤはその様子を見てニヤニヤと笑っていたことには誰も気がついてはいなかった。

===========================================
というわけで、初オリフェのサクヤ登場です。ミルポンでは今まであんまりいなかったような
頼れるお姉さんタイプのキャラを作りたくて考えました。次回の更新時にはキャラ紹介のイラストも描きますね。
サクヤはテンション高いので会話考えるのは楽しいのですが話が進まないww そして人数多いとホントに
会話を回すのが大変です(笑) ホント、皆さんの小説スキルに頭が下がります^^;

ではでは!


■ いっちゃん (79回/2011/06/05(Sun) 22:32:01/No3900)

ぴこまるさん、こんばんは!

きたぁーーーっ!!!!ぴこまるさんの新作っっ!!(落ち着け
実は「新しい小説書かないのかなぁ・・・」と思っていたところです!
あのすばらしい文章力の小説がもっとみたいなぁ・・・とww
しかも今回はオリフェありですと!?そしていきなりのキャラの濃さに圧倒です(笑)
そして、今回もヤシチが中心ぽくて嬉しい限りです(>U<)

頼れるお姉さんは確かにいませんでしたね。(頼れるお兄さんもいたっけ?)
こうゆう性格のキャラ大好きです!!
ヤシチは昔、サクヤのことが好きだったとか裏設定があるのかな?(黙れ
そして、ヤシチがミルモの家に遊びに来ているというところが非常につぼりましたね(笑)
照れているところにすかさずからかうところとか・・・。。
今回の小説でも、ミルヤシの絡みがあるようで嬉しいです!!
やっぱりぴこまるさんといえばミルヤシなので・・・(いや、もちろん他のこともすごすぎですがww)

これからどうなっていくかが楽しみです>∀<
それではっ!


■ ぴこまる (27回/2011/06/07(Tue) 22:55:26/No3907)

いっちゃんさんこんばんは!さっそく感想ありがとうございます!

おおう、まさか私なんぞの小説を楽しみにしてくださっていたとは嬉しい限りです!
普段も原作やアニメの話から派生させる形でお話を考えることが多いんですが、ほかの皆さんのオリフェが
たくさん出てくるオリジナルエピソードの素晴らしい小説たちを見ていたらつい書きたくなってしまいましてw
しかし今回は前回とちがってかなり登場人物が多いのに加えてシリアス部分以外も多いので、いつものような
モノローグの書き方が出来なくて少々難儀していたり(笑)色々工夫していきたいと思います^^;

サクヤは初めて考えたオリフェになりますね。レギュラーメンバーを食う勢いのキャラにしようと思ったら
こんな性格にwwキャラは確かに濃いと思いますwwヤシチとの絡みももちろんありますよ^^
サクヤは自由気ままだけど優しいし、ヤシチも割と懐いてたことと思います。(←他人事かよ)

ミルヤシはやはり入れていきたいですよね。しかし今回の小説ではそれ以外の関係性も色々盛り込んでいきたいと
思っておりますよ!そして前半は里帰りした妖精忍者たちがメインになってきますのでしばらくミルモたちの
出番はお休みです(笑)どうも私の小説は主人公の活躍シーンが遅くなる傾向にあるようですw

私の中ではミルヤシと言えばいっちゃんさんだったりします(^^)
続きも頑張りますね!


■ ぴこまる (28回/2011/06/07(Tue) 23:04:42/No3908)

こんばんは。どうにも続きがいい感じに進まないので先にオリフェのサクヤの紹介からしておこうと思います。

名前:サクヤ
性別:女
年齢:ネズミの一つ上
楽器:クラベス
好きなお菓子:ボーロ


ヤシチの師匠の娘さん。忍術の腕はネズミと肩を並べるほどで、くノ一としては最高水準の実力の
持ち主。しかしそれを鼻にかけることもなく、基本面倒見がよくて気さくな性格のお姉さん。
一人称は「某(それがし)」。女だからと言ってなめられることを嫌がるので昔から男のような
口調で話していた。ヤシチが師匠のもとで住み込みで修行していた時から色々よくしてあげていた。
そして性格は意外と曲者だったりする。自由奔放すぎてヤシチはもちろんネズミすらも
自分のペースに巻き込んでしまう。恋愛関係の心の動きに敏感。忍術は幻術を特に得意として、
鏡を利用した多重分身からの忍者刀の連続切りが必殺技。


こんな感じです。続きは少々待ってくださいね。なんか最近すごく忙しい^^;


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■ プー (30回/2011/06/10(Fri) 18:28:00/No3912)

ぴこまるさん、いっちゃんさん、こんにちは!!

おお!ぴこまるさん、新しい小説書くんですね!!(もう書いてるよ
しょっぱなから面白いです!!
それにしてもミルモよくけんかするなぁww
そしてヤシチとサクヤとヤマネの
三角関係!!(妄想野郎wwwwwwww
ヤマネはこれからどんな行動をするのか楽しみです!!

そしてオリフェの絵がうまっっっっ!!!!!!!!!
見た目からして頼れるお姉さんですね!!

今後とも小説楽しみにしてます!
では!


■ りょく (256回/2011/06/10(Fri) 18:42:51/No3913)

ぴこまるさん、皆さん、こんにちは!

まずは師匠にお子さんが居たことが衝撃です(笑
そしてサクヤさんのウェーブに触りたい。ふわつや。
(お名前が東方のメイドさんを思い出します^^)
意外どころか曲者しゅうがぷんぷんしてますよー(失礼)
戦闘方法が素敵!彼女の戦う場面が楽しみです!
これからどのような展開になるのかわくわくしてます。無理せずぴこまるさんのペースで続けて下さいね。

では!


■ ぴこまる (30回/2011/06/10(Fri) 20:01:29/No3914)

プーさん、りょくさん、こんばんは!感想をありがとうございます^^

>プーさん
ミルモは本当によく喧嘩しますよね。人をおちょくるのが好きなせいなのかおちょくられやすいのかww
でもそこが書いていても楽しいところだったり。可愛いですしね^^

ヤマネちゃんの心の動きは今回結構重要ポイントだったりするのです。しかし私の書くヤマネは
しょんぼりしていることが多いなぁ^^; あと、先にネタバレしちゃうとサクヤはヤシチに別に恋愛感情は全然
無かったりします(え

オリフェは初めて描いたのでそう言っていただけると嬉しいです!!サクヤは本当にかっこいいお姉さんな
感じで書いていきたいと思っているのでこれからを楽しみにしててくださいね!

>りょくさん
実はヤシチの師匠が結構好きなんですよ(笑)で、どうにか絡ませていこうと思った時にサクヤが
頭に浮かんだのでした。サクヤさんの髪の毛は結構こだわりましたね。キューティクルバリバリww
そしてりょくさんも東方知っているのですね。私もあのメイドさんは大好きです^^
サクヤはネズミとはまた別種の『扱いに困る子』wでもいい子なのです。戦闘シーンの描写書くのが
すごく好きなので、頑張って書きますよ!!今後はなかなか長くなっていきそうですがどうぞ最後までお付き合い
下さいませ。

下から続きになります↓
===============================================



 人間界のとある場所。とある高原を歩く妖精が一人。


「……ずいぶんと歩いたでござるな」

 ネズミは三度笠を指で軽く押し上げ、空を仰ぎ見た。出発した時には東の空にあった太陽がもう真上にまで
上っている。もうそろそろ真昼である。人里からももうずいぶんと離れ、あたりには誰もいない。
昼食時だし一休みしようかと思い、近くに生えていた木の根元に腰を下ろした。
前の町で調達しておいた食料を食べようと包みに手をかけようとしたところで―――ふと手を止めた。
こちらの様子をうかがっている気配に気が付いたからだ。

「―――木の上にいるのでござろう? 早々に姿を現すのが身のためだぞ」

 頭上の太い木の枝に向かってクナイを投げると、ガサッと葉が大きく揺れる音がした。直後、今しがた
木の上にいた人物はネズミの目の前にスタッと着地した。

「久しぶりであるなネズミ♪ 歓迎としては少々手荒な気もするが」
「さ、サクヤ!?」

 思いがけない人物にネズミは珍しく驚いた様子である。

「いやぁ、人間界というのは便利だなぁ。マグカップを運んでもらうだけでどこにでも行けるのだし。
お主を探す手間も省けたというものよ」

 機嫌よく笑いながらネズミの近くにサクヤは腰を下ろす。そしてネズミの手元にあった包みをひょいと奪い、
ネズミが止めた時にはもう包みの中の食料を食べ始めていた。

「……で、わざわざこんな僻地にまで拙者に何の用でござるか?」

 ネズミは呆れたように尋ねた。

「んっ、しょれがにゃ、ひょっとひょうがあっふぇにゃ」
「………食い終わってからでいいでござるよ」
「わくぁっふぁ……ん、んっ!んっ!」

 口をもごもごさせながらでは何を言っているのかネズミにはさっぱり伝わらなかった。サクヤはゴクリ、と急いで
全部飲み込んだが案の定喉につかえさせてしまい胸をドンドンと苦しそうに叩いた。見かねたネズミが差し出した水筒を
ひったくり、中身を一通り飲み干した後ようやくサクヤは落ち着いたようだった。

「あー、死ぬかと思ったぞ!!」
「……で?」

 一向に話が進まないので若干イライラした様子でネズミが再び尋ねる。

「ああ、あのな。お主を迎えに来たのだ。某も久しぶりに里帰りしたものだからみんなの顔が見たくなっての。
お主もこの機会だし一緒に里に帰ろうぞ!!」
「……どうせ断っても無理やり連れて行くのでござろう?」
「さっすがお主は話が早くて助かるぞ!」

 ぱぁっ、とサクヤは満面の笑みを浮かべた。ネズミの表情とはひどく対照的だ。
ネズミとしては正直面倒くさかったのだが、サクヤに食料も食べられ水も飲み干されてしまったので、どのみち
次の町までの食料がないのだ。この辺りは食料になりそうなものもないし、選択肢としてはサクヤについていく
以外には残されていなかった。

「……お前これわざとではなかろうな……?」
「何のことだ?」

 あっけらかんとした表情でそう言い放つサクヤは本気なのかとぼけているのかわからない。相変わらずなこの
幼馴染に対してネズミは再び大きなため息を吐く以外になかった。 



■ ぴこまる (31回/2011/06/10(Fri) 20:19:44/No3915)

4

 ―――妖精界の森の一角にある忍者の村。

 ヤシチ、サスケ、ハンゾー、ヤマネ、そしてサクヤの5人はみんなで今シショーの家を目指して歩いていた。

「いやぁ……なんだかここに帰ってくるのも久しぶりなのだ……」

 ヤシチが懐かしそうにつぶやいた。

「私は今でもよく父上のもとにも顔を出しておりますが……兄様はあまり帰ってきてはいなかったのでございますか?」
「まぁな。たまには顔出さなきゃなーとは思っておったのだが………なにせ忙しくてな。たまの帰省くらいゆっくり
満喫したいものだが………はぁ」

 ヤシチは最近は人間界での用事(主に安純の命令)が忙しくあまり里帰りできていなかったのだった。
今回の帰省も、帰ったらため込んだ家事を一気にやるという約束で泣く泣く許してもらえたらしい。
安純はため込むつもりがなくても自然体で散らかす癖がついているので、ヤシチは帰った時にしなければ
ならない家事の量を想像すると帰省の喜びだけに浸りきることもできず、がっくりと肩を落とした。

「……あやつのパートナーはえらく曲者のようだの?」

 ヤシチの後ろでサクヤはサスケたちにぼそぼそと耳打ちした。

「そうなんだぜ。兄貴のパートナーの安純はめちゃめちゃおっかないんだぜ」
「そのうち目から光線でも出しそうないきおいなのら〜」
「ほぉー、それはぜひともお目にかかりたいものよ」

 サスケとハンゾーが楽しそうに話すとサクヤも興味津々な様子であった。

「兄貴はいつも掃除させられたりトイレに流されそうになったり大変なんだぜ」
「こき使われっぱなしで全然頭があがらないのら〜」
「まぁヤシチは昔っからこき使われるのが宿命みたいなやつだったからなぁ♪ ふふっ」

「………さっきからぜぇんぶ聞こえてるんだぞお主ら………」

 どすの利いた低い声にビクリと反応して顔を上げるとヤシチが普段はしないようなものすごい顔で
こちらを見ているので3人はあわてて話をやめた。これ以上この話題は禁句らしい。
何だかんだで自分の不憫な境遇に慣れてきてはいるもののそれを当然のように言われるのはやはり
ヤシチとしても腹が立つようだった。

「あ、ほ、ほらヤシチ!!もう家だぞ!!」

 サクヤがごまかすように大げさなモーションで指を指す。懐かしい自分の修行場を見るとヤシチもすぐ
もとの表情に戻り、嬉しそうに声を上げる。それを見て3人は後ろでほっと胸を撫で下ろした。

「おお、本当に久しぶりだな!」
「(あー……良かった機嫌直った……)あ、父上にはお主らを連れて帰ると言っておいたからな。
家にいるはずだぞ」
「そうか! よしっ」
「あ、兄貴待ってくれだぜー」
「置いてかないでなのらー」

 ヤシチが玄関まで駆けていくとサスケたちもあわてて走っていった。その様子を後ろから見ながら
サクヤは楽しそうに笑っていた。ヤマネが不思議そうに尋ねる。

「何を笑っていらっしゃるのですかサクヤ殿?」
「ふふっ、ヤシチの奴良く慕われておるのだなぁと思ってな。まぁ某がいたころからアイツは面倒見も
よかったしな。あの頃のアイツはお主の兄貴よりもよくお主の面倒見てた気がするぞ」
「ヤシチ兄様は昔からとてもお優しい方でございます。今でも全然変わらなくて……」

 そうやって頬を染めながら話すヤマネを見てサクヤは改めて自分の推測が当たっていたと確信した。
そして、とりあえず口に出して直接聞いてみることにしたのだった。

「そんなアイツのことが好きなのだろ?」
「え…っ!! そ、そんなこ……」

 ニヤニヤと意地の悪そうな笑顔をしながらサクヤがそういうとヤマネは真っ赤になってしまった。 
ヤマネの案の定の反応に笑いが止まらない。しかしその後に急にヤマネの表情が曇った。

「ん? どうかしたのか?」
「……サクヤ殿……は」

 直後ヤマネの口から出たセリフにはサクヤも驚いた。

「サクヤ殿は……兄様のこと……どう思ってらっしゃるのですか……?」
「……え?」

 真剣そうな面持ちで尋ねるヤマネ。サクヤは少々焦った。ヤマネは自分がヤシチに対して何かしら
思うことはないのかと聞いているのだ。それは恋愛対象としてのことと見て間違いない。自分としては
ヤシチのことをそんな風に見たこともないので笑い飛ばしてやったほうがいいのかもしれないが、
幼いながらも繊細な彼女はそれを言葉通りにそのまま受け取ってくれるだろうか。ちゃんと答えて
やった方がいいのではないか。そういった迷いが一瞬生まれてしまった。

「あのな、ヤ……」
「おーい、お主らー! 早く来いよー!!」

 サクヤがヤマネに説明しようと口を開いたその時に、ヤシチの声で遮られてしまった。
なかなか来ないヤマネたちを不思議に思ってヤシチが遠くから手を振りながら呼んでいた。

「は、はい!! すぐに行くでございます!」
「あ、ヤマ……」

 サクヤが答を言う前にヤマネはヤシチの方へ駆けて行ってしまった。

「………まぁいいか。後できちんと話をしてやらねばならんな……」


====================================================
サクヤとヤシチの関係について色々もやもやしているヤマネ、ヤマネがヤシチを好きなのをわかりつつも
どうしてあげようか少々悩んでいるサクヤ。そして全く気が付いていないヤシチ(笑) このお話の
一つのカギですね。

もうちょっと平和(?)な場面が続きます。敵キャラが出てくるのはいつになることか^^;
最初からクライマックスっぽかった前作とはえらい違いですw

ではでは!


■ いっちゃん (81回/2011/06/10(Fri) 21:00:42/No3916)

ぴこまるさん、こんばんはです!

おぉ!ネズミ登場ですね>∀<
しかしネズさん、いきなりクナイを投げるとはおっかないですな(笑)
やっぱりサクヤはネズミをも自分のペースへ持っていってしまうのですね。
恐ろしい人だ・・・www
嫌味を言えないネズミが妙に可愛いです^ω^

安純の話題が出たときのヤシチの反応が可愛すぎる(笑)
でも、その後にすぐ機嫌を直してしまうところも単純で可愛いです(笑笑)←
しかし、サクヤの髪のボリュームはすごいですね!
忍者としてあの髪はいいのだろうか・・・(汗)

>どうも私の小説は主人公の活躍シーンが遅くなる傾向にあるようですw
確かに・・・否定できませんねw(失礼)
でも、登場したときはめちゃめちゃかっこいいのでこうゆうときの主人公って良いですよね。
いわゆるいいとこどりってやつですが(笑)
ちなみに、私はミルヤシが好きなので、ヤシヤマは大好きっ!・・・てわけではなかったります^^;(いや、ちゃんと好きですが 汗)
どうしてもヤマネとヤシチがうまくいってラブラブになっているところを見ると、ミルモやネズミだったら・・・と考えてしまうんですよね><;
(お前の頭は大丈夫か?w)
でも、やっぱりこんな可愛いヤマネちゃんを見てしまうと応援したくなっちゃうのですよね^^;
サクヤが言わなかったのが原因で、これからヤマネちゃんの勘違いが爆発しそうです(笑)

それではっ!


■ プー (32回/2011/06/10(Fri) 21:39:37/No3918)

ぴこまるさん、いっちゃんさん、こんにちは!!
小説面白かったです!!

サクヤ・・・・
意外と面倒見がいいですねww
ネズミとの絡みもよかったです!!
いっちゃんさんと同じく、安純のお話のときのヤシチの反応がww
そしてヤマネ!!正々堂々と聞きましたね!
ヤマネは途中でいってしまったので、
やっぱり勘違いも長く続きそうwwwwww
それでは次回楽しみにしてます!

では!


■ 梨璃 (138回/2011/06/10(Fri) 22:34:44/No3919)

皆さんこんばんは☆

ぴこまるさんの新連載ですね^ω^*
今回はオリフェも登場していますね・
サクヤちゃんがかっこ可愛いです。
そしてまさかのシショーも登場だなんて!

最初のミルムルの兄弟喧嘩も微笑ましくて可愛いです・・・w
ヤマネの勘違いも可愛いです。

次回も楽しみにしてますね!

では!


■ ぴこまる (32回/2011/06/12(Sun) 00:23:00/No3922)

いっちゃんさん、プーさん、梨璃さんこんばんは!!

>いっちゃんさん
ネズミは一人旅してるんだから敵の気配に対して常に非常でいないとダメかと思ってww
サクヤは嫌味とか言われてもあんまり気にしないおおざっぱな性格してるからネズミとしても対処に
ちょっと困るのでしょうね^^;嫌味無しで普通に話すネズミを書くのはなかなか楽しいです^^

ヤシチだってさすがに今の境遇を完全に受け入れているわけではないでしょうから
たまには怒っていいと思うのですwwそして単純に切り替えられる頭してないとあの生活は耐えきれない
と思うのです。(←それはフォローしているのか
サクヤの髪の毛のボリュームは確かに忍者としては派手でしたね^^; 幻術使いは美しくなきゃ!なんて
謎の思考が働いてあんなデザインにw でもヤシチやネズミたちも忍者のくせにあんな派手な色というか
原色の服着ているくらいだし、この際なんでもいいかなぁと。(お前…

うちの王子はいいとこどり大名です(笑)最初っから出しちゃうと自分の中の抑えが利かなくなって
ヤシチと絡ませすぎてしまって話が進まなくなるので、ミルモの遅めの登場は実は保険の意味合いも
あったりしてww(ほんとかよ)
そしてヤシチとヤマネとサクヤの関係は確かに話に絡んできますが別にヤシヤマプッシュでは
ないのでそのあたりはご安心を。(ヤシヤマファンには申し訳ないような^^;)今後の敵との絡みでヤマネが
勘違いしてることが重要になってくるのでこういう流れなのです。前半戦はむしろネズヤシが多くなる気がしますし。

>プーさん
サクヤっておおざっぱな性格の割には面倒見がいいんですよねー^^  ネズミとは属性的に相反する感じですが
そこがむしろいい感じに絡むテイストになってくれています。この二人の会話考えるの好きです。

ヤシチの反応よかったですか^^普通に怒鳴らせるかどうするか実はちょっと迷ったんですけど、本気で切れたら
ヤシチだったらこんな怒り方のような気がしたのです。ふだん温和な人が切れると怖いですww

ヤマネもいざってときは直球で頑張りますよ!!まぁ勘違いしてるんですが^^;この勘違いは結構引っ張る
予定です。私の小説はホントにヤマネちゃんがなんかしょんぼりしてることが多くて困ります。

>梨璃さん
梨璃さんのオリフェいっぱいの素敵小説に感化されてしまいましたwwサクヤちゃん褒めて頂けて
嬉しいです^^シショーも一度出したかったので無理やり設定を作ってしまいましたwミルモに出てくる
大人の妖精たちが私は結構好きなのです。

ミルムルの喧嘩はいつ見ても微笑ましいんですよね^^「兄弟」という話の振りに使いたかっただけだったので
安純と瑞希でもよかったのですがやっぱりミルムルのほうが書きやすくて好きなのでこっちになりました。
ヤマネにもたまには焼きもちとか焼いてほしいのですw彼女はこれから結構かわいそうな感じなのですが^^;

次から小説の更新になります。思いのほか早く次の話ができましたww



■ ぴこまる (33回/2011/06/12(Sun) 00:23:54/No3923)



「師匠ーっ!! ただ今戻りましたー!!」
「ただいまなんだぜー!」
「なのらー!」

 3人が元気よく戸を開けて入っていくのにヤマネとサクヤが続いた。

「おじゃまするでございます!」
「父上ー!ヤシチたちを連れてきましたぞー!」


「ん? おお! おめぇら久しぶりじゃねぇか!!」

 入口から入ってすぐ上にぶら下げられているハンモックに寝転がって本を読んでいたシショーは、その声に反応し
顔を上げた。ヤシチたちの顔を見ると嬉しそうにハンモックから飛び降り、ヤシチたちのもとへ駆け寄る。

「よぉヤシチ、サスケ、ハンゾー……お、ヤマネちゃんも来たのか。オメェら元気にしてたか?」
「まぁそれなりに……師匠の方こそお元気そうで何よりです!!」

 ヤシチは礼儀正しくぺこりと頭を下げた。それに続いて弟子たちも頭を下げる。
 
「かたっくるしいのは抜きにしようぜ。久しぶりの再会なんだしよぉ……それはそうとサクヤ」
「なんでありましょうか父上」

 シショーはサクヤをまじまじと見た後になぜだか呆れたような顔をして肩をすくめた。



「お前久々に帰ってくるんだったらちゃんと”本体”で帰ってこいよなぁ。わからんとでも思ったか?」
「え?」

 ”本体”という単語にヤシチたちは首をかしげたが、サクヤは特に気にすることもなく普通に会話を続けている。

「いえいえめっそうもない。”本体”のほうは今別の奴を迎えに行っているところなので直に来るかと」
「ちょ………サクヤ姉ぇ、本体って何のことなのだ?」

 サクヤ自身の口からも”本体”という言葉が出たことから、自分たちが知らない話をしているのだと分かり
ヤシチはサクヤに尋ねる。このサクヤが本体でないのならば何だというのか。ヤシチの記憶にある
彼女と何ら変わりがない。

「ああ、お主にも見せたことはまだなかったからな。これは……」

 サクヤが答えようとしたその時、玄関の扉が開いた。

「邪魔するでござるよ」
「げ、お主も来たのか!?」

 旅装束に身を包んだネズミがいきなり入ってきたのに驚いてヤシチはおもわず声を上げる。
ネズミは全くそれにはかまわずに中を見渡して呆れたような声を出した。。

「なんだ……みーんな来ておったのでござるか。こいつらもお主が呼んだのか?」

と、ネズミは自分の背後の人物に向かって言う。まだ他に誰かいるのかとヤシチたちが疑問に思っていると
その当人がネズミの背後からぴょこりと顔を出した。それを見て、ヤシチたちは驚きを隠せずにはいられなかった。

「だーってみんなでいた方が楽しいではないか? のう、ヤシチ?」
「え、な、何で!? 何で……2人!?」

 ネズミの後ろにはサクヤが―――今もヤシチたちの横にいるサクヤと全く同じ顔同じ姿の彼女がそこにいたのだった。
サスケ、ハンゾー、そしてヤマネも何が起こっているのかわからないと言った顔だった。しかしシショーやネズミは
全く気にした様子もなく、

「よぉ、やっとちゃんと帰ってきたなサクヤ」
「お主らも未熟でござるなぁ……お主らといる方のサクヤが分身でござるよ」

などと平然と言っていた。ヤシチたちは二人のサクヤを見比べるが全く同じと言えそうなくらいに同じ容姿、同じ声で、
分身と言い放たれた方のサクヤにもおかしなところは全くなかった。ただ、頭巾の花柄の文様の位置が逆なところを
除いて。

「さて、ややこしいしもう戻すかな」

 ネズミと一緒に来た方のサクヤが手を素早く動かし印を結ぶと、ヤシチたちといた方のサクヤの姿は完全に
消えてしまった。そして消えた後には鏡の破片が一つ残されていた。

「ど、どうなっているのだ?」
「お主は某が幻術が得意なのを忘れたのか?」

 鏡の破片を拾い上げながらサクヤはからかうように言った。サクヤは昔から忍術においてはどんなものでも優れていたが
特に幻術に関しては抜きんでた才能を見せていた。そのことを思い出してヤシチは納得したようにあ〜、と間の抜けた声を
出した。

「鏡を媒体に限りなく本人に近い現身を作り出す術だ。まぁ鏡を使った幻影分身は昔から得意だったしちょっと応用して
みたのだ。鏡には呪文も書きこんであるから記憶も共有できる。用事がいっぺんに済むし、買い出しなどにも重宝しておるぞ。
あはははっ」

 
 鏡を媒体にしていたから、花の文様が鏡に映したようにお互いに対照の位置にきていたのだという。分身だけならばまだ
幻術としても納得はいくが、彼女の分身は記憶を共有し、別々の行動が出来る個体である。鏡に書いたという呪文が
肝なのだろうが、もはや幻術の域を超えたオリジナルの忍術だ。そんなにすごい術を買い出しや使いっぱしりに使うあたりが
この人なんだよなぁ……とヤシチも呆れるしかなかった。

「フフフのフ〜、お主も旅を通して力をつけたようでござるな。サクヤ」

 普段嫌味ばかりのネズミもこれにはさすがに感心したらしく素直に褒めていた。

「お主もやるではないか。この術を初見で見破った奴はお主が初めてだぞ」
「拙者も長年旅で修行を重ねておるからな。このくらいは当然でござるよ」

 同じように旅をしながら修行しているエリート同士こういう話をするのが楽しいようで、二人とも話が弾んでいた。
ネズミとサクヤが話しているのを見てサスケたちは物珍しそうな顔をしていた。

「ネズミさんってあんなに普通に話せるのかだぜ……」
「嫌味も何も言ってないのら……」
「……まずいな……」

 ヤシチ一人がそれを見て複雑そうな顔をしている。

「何がまずいんだぜ兄貴?」
「……アイツらが二人で楽しそうに話をしとる時はろくなことにならんのだ」

 どういうことなのかとサスケたちが尋ねようとしたその時、サクヤが急にパッと手を上げて、提案した。

「よーし!! ひっさしぶりの実家だし、皆の実力も見たいし、皆でこれから修行でもしないか!?」
「おお、悪くないでござるな。拙者としてもお主の実力を見ておきたいし………この機会にきちんと修行をすべき奴も
いるからなぁ……」
「あー、それもそうだなぁ。きっちり某が鍛えてやろうぞ。………なぁ?」

 二人の視線が自分の方に向いたのに気が付きヤシチは背筋をこわばらせた。
その横では何も知らないサスケたちが嬉しそうにはしゃいでいた。普段と違う本格的な修行が出来ることが楽しみ
なのかもしれない。 

「わーい! よろしくお願いしますなんだぜ!」
「頑張るのらー!」
「よろしくご教授くださいませ!」
「お前ら……知らんからな……」

 ヤシチがボソリとつぶやいた言葉は弟子たちには届いていなかった。

=========================================================
レポートの合間に書いていたらいつの間にか一話分くらい書いていたので投稿することにw
まぁ更新できる時にしとかないと……バイトが決まったらいっそう忙しくなりそうなので^^;

サクヤとネズミさんは割といいコンビだといいです。ホントにエリート仲間って感じで。
プライベートな話に立ち入ってくるといまいちネズさんのほうが押しが弱そうですがww
サクヤさんの分身術は今後もちょこちょこ出てきますです。しかし便利な能力だ……w

修行シーンはおそらくおおざっぱに割愛されそうです(笑) 次回の更新あたりから話がちょっと動き出すかもです。

ではでは!!


■ りょく (261回/2011/06/14(Tue) 19:08:53/No3936)


ぴこまるさん、こんばんは!

シショーの出番が嬉しいです!!口の悪いところにハートを撃ち抜かれてしまいました!オッサンだけど超可愛いです!

サクヤさんの忍術がさすがエリートって感じです。すごい!見事に騙されてました(笑

ヤマネの勘違いが面白くてたまりません。ニヤニヤ(・∀・)

サクヤさんにもそういった相手はいないのでしょうか?

では!


■ ぴこまる (34回/2011/06/22(Wed) 23:57:21/No3971)

りょくさんこんばんは!!
妖精のオッサンキャラは結構キャラが立っていて美味しいと思うのです。私結構エンマ先生とかワルモ団も
好きですしね(笑) シショーも出来たらアニメに出てきてほしかったです^^;
サクヤの忍術に関しては誰か気が付くかなぁ……と思いつつ書いていました。ヤシチたちと行動しているはずの
サクヤが、同じ時間軸でネズミと会ってますしね。この忍術は相当に使い勝手がよさそうです。
ヤマネちゃんの勘違いはしばらく続きそうな予感……私が書くといつもあんまり幸せになれないヤマネちゃん……
悪気はないんだけどなぁ……。

サクヤが好きな人……あえて触れないでおきます(笑)彼女の売りはスッキリサッパリなので恋愛関係の心の
葛藤はあんまりなさそうですねw

続きから小説になります!! 



「ぜぇ……はぁ……も、もう動け……な……いぜ」
「な……なのら〜……あぅ……」
「だ………だから言ったであろうが………」

 あれからシショーも少々用があると言って出て行ってしまったこともあり、サクヤの提案通りに
皆で修行場を利用して修行をすることにしたのだった。しかし修行のメニューはネズミやサクヤが
決めたものなので、ヤシチたちが普段している修行などとは比べ物にならないくらいハードだった。
ヤシチ、サスケ、ハンゾーはもう疲労困憊といった様子で地面にあおむけに寝そべって呼吸を整えていた。

「だらしないでござるなぁ……これくらいで」
「まぁまぁ……そろそろ日も落ちてきたし、こやつらも限界だろう。年下にはもう少し優しくしてやれよネズミ」
「お疲れ様でございました!非常にためになる修行をさせていただきました!」

 ほとんど汗もかかずに普通にしゃべっている3人にヤシチたちはもう何も言えなかった。実力云々以前に
体力的にもすでに負けている。

「さて、とりあえずこれで今日の修行はおしまいだ。お主らも上がってよいぞ」
「やった〜……」
「もう疲れたぜ…」
「おなかぺこぺこなのら〜……」

 サクヤがパンと手を叩いて言うと、ヤシチたちは嬉しそうに(といっても疲れ切った様子で)声を上げた。
その時、サクヤの分身が袋を抱えて帰ってきた。ヤシチたちは一瞬ビクリとしてしまう。分身だと分かっていても
同じ顔の人物がその場に二人いるというのはやはりなかなか慣れない。

「おお、ご苦労。戻ってよいぞ」

 サクヤが印を結ぶと分身は袋を残してスゥッと姿を消した。傍目から見ると慣れるまでは少々
不気味かもしれないが本当に便利な術だ。普段の家事に使えないかなぁなどとヤシチは漠然と思った。

「なんでござるかその袋は」

 鏡を拾いながら袋の中を確認するサクヤの横からネズミがひょいと覗き込んだ。
中には肉、野菜、お菓子含め大量の食材が入っていた。

「今晩の晩飯の買い出しだ。というわけでヤシチ、これで作ってこい。7人分な」
「はぁっ!? 拙者もう疲れて動けんぞ!!」

 いきなり自分にふられて、ヤシチはガバッと身を起こした。もう何時間もぶっ通しで修行をして疲れ切っている
というのに、これから7人分の食事を作れというのは無茶振りにもほどがある。というか、先ほどの『年下には
優しく』発言がさっそく適応されていない。

「これも修行のうちではないか。ほれ、先に風呂入ってきていいから」
「嫌だっ! サクヤ姉の分身にやらせればよいではないか! 大体何で招待されたのに拙者がみんなの分の
料理を作らねばならんのだ!?」

 笑顔で流そうとするサクヤだったがヤシチも今回はさすがに食い下がった。本当に疲れているのだ。
帰省先でも人間界にいる時のように仕事に追われるのは御免なのだった。

「 父上があと数時間ほどでご帰宅なさるからそれまでには食事の支度を済ませておかねばならんのだぞ。
お主が一番うちの台所を使い慣れているだろう? それに父上はお主が作った煮物が久々に食べたいと
おっしゃっていたぞ」
「ぐ………っ」

 しかしやはり師匠の名を出されると弱い。ヤシチはがっくりと頭を垂れると疲れた体に鞭打つようにして
立ち上がり、買い物袋を脇に抱えてヨロヨロと厨房へ向かう。

「あ、ヤシチー! 某は天ぷらが食べたいぞー!」
「拙者はそばがいいでござるな」
「兄貴ー、オイラは豆ごはんなんだぜー」
「僕は卵焼きなのらー」
「お前らそろいもそろってバラバラな注文すんなぁあああああああああ!!」

 後ろから好き勝手にメニューを注文するサクヤたちにヤシチは疲れも忘れてツッコミを入れるしかなかった。
一緒になって言っているサスケやハンゾーたちはどうしてこう言う時に限って妙に回復が早いんだ、とか、
やっぱりネズミとサクヤが二人揃うとろくなことにならん、とか、ぶつくさつぶやきながらヤシチは厨房に食材を
置きに行き、その足でそのまま風呂場へと向かっていった。『皆で協力して作る』という選択肢が最初からない
ことに関してはヤシチはもはや何も言わなかった。

「まー……なんだかんだ言ってもアイツ……全員の注文通りに作ってくれるんだろうな」
「面倒見いいというよりは言いなり癖がついてるんでござるよ情けない……そこが扱いやすくていいのでござるが
……おっとヤマネ、お前はなにもしなくていいからな」
「え、でも………」

 やはりヤシチ一人に仕事をさせるのがはばかられるのか、ヤシチが風呂に入っている間にある程度下ごしらえを
済ませようとヤマネも厨房に向かおうとしていたが、予想していたらしいネズミに素早く止められた。

「まぁ、ここはヤシチに任せようぞヤマネ。アイツの料理は美味い。たまにはごちそうになるのも悪くなかろう♪」

 サクヤがそういうとヤマネもしぶしぶうなずいた。修行の間は大丈夫だったのだが、やはりなんとなく
ぎこちない関係は続くようになってしまったようだ。サクヤは困ったように頭をポリポリと掻いた。



「……さて、修業はこれで打ち止めでござるし、お主らも夕食まで好きに過ごすといい」
「じゃあオイラたちもお風呂入ってこようぜ!」
「兄貴といっしょに入るのら〜」
「それでしたら私はお風呂が空くまでもう少し修行をしてくるでございます」 

 サスケたちは立ち上がって、ヤシチを追いかけて風呂場へと向かっていく。まだ元気の残っているヤマネは
もう一度修行場の中に駆けていった。サクヤたちはそれを見送ってから近くの木の根元に腰を下ろした。
同じ屋外でも、木蔭に入るとずいぶんと涼しい。

「はぁ……ヤシチの子分たちはみなしっかりしておるのぉ。これからが楽しみだ」
「兄貴がふがいないから下がしっかりして見えるのでござるよ。拙者からしたらアイツらみんなまだまだ
未熟者だ。………ヤマネはまだ全然マシだがな」
「相変わらず妹には甘いのだの」
「………うるさい」

 ネズミが珍しく照れたように吐き捨てた。サクヤがそれを見てクスクスと笑う。

「それにしてもヤシチの奴はずいぶんと成長したのぉ。某が旅に出る前はまだ手裏剣もまともに投げられなかった
というのに。特に魔法の技術には驚いたぞ」
「幼稚園に通いだして王子ミルモと関係を持つようになってから、修行に対してもだいぶ熱がこもるようになった
ようでな。あの時からそこそこ成長が見られるようになっていった気がするでござる。まぁ、まだまだ全然
なっとらんが………やはりライバルは必要ということなのかも知れんでござるな。魔法だけならアイツは
拙者たちよりも力は上だろうし」

 忍術の修行、戦闘訓練などと色々な修行をし、その間に魔法の訓練も行ったのである。風の魔法を滝に向かって
放ち、出来るだけ上の方まで滝の水流を割る、というような修行だったが、ヤシチは唯一滝のてっぺんまで水流を
割ることが出来、サクヤもネズミも思わず舌を巻いたのだった。魔法の力に関してはヤシチは妖精忍者の中でも
相当抜きんでているらしい。

「確かにな……しかし王子をライバルにするとはえらく高い目標を持ったものよの」
「アイツらは頭の中のレベルは一緒だからな。しかしあの王子がいなかったらヤシチもここまで成長はしなかった
ろうし、何だかんだでミルモには感謝しているでござるよ」

 自分で言いつつも恥ずかしいらしく目線はサクヤの方には向けずに独り言のように言うネズミ。

「嫌味ばかり言っても何だかんだでアイツらのことを見てやっているのだな。しかし……そういうことをちゃんと
ヤシチにも言ってやれば良いのに。あれだけ嫌味だといつまでもヤシチに苦手にされたままだぞ?」
「別にそれでも全然かまわんでござるよ。拙者はアイツをからかえればそれでいい」
「ほんっと変わらんの」
「お主もな」

 夕方の気持ちのいい風が吹く。とても静かな時間に感じた。久しぶりに話す幼馴染との会話は、長い旅で人と
接する機会も少なかった二人にはとても心地のいいものだった。嫌味ばかり言って人のことを馬鹿にしているだけ
に見えて実は誰よりも相手のことを見ているネズミ。彼がこんな風に話せるのはサクヤくらいのものである。
照れくさいながらも話自体は嫌ではないらしく、ネズミも会話を止めようとはしない。

「まぁ、アイツは忍術の方はまだまだだがな。中身もいつまでたってもネジが一本抜けたまんまでござるし………
あんなのにヤマネを任せておくのは正直今でもいまいち納得はしてないでござるよ」

 ヤマネやサスケたちが必死で頭を下げたし、ヤシチが自分に対してものを頼むという珍しいことも起きたので
ヤマネがヤシチのもとで修行をすることに了承はしたものの、ネズミとしてはやはり時折連れ戻したくなりは
するらしい。過保護さが増したような気がするなぁ…と思いながらサクヤが苦笑いをした。

「まぁ、ヤマネももうあの歳なのだし、少しくらい自由にやらせてやってもいいのではないのか?」
「あれくらいの歳だから今懸命に修行に励むべきなのでござるよ。ヤマネもなんであんな奴がいいのやら………」

 ヤマネがヤシチのことを好きだと分かっているせいもあって、兄である彼もいまいち気が気ではないようだ。
ヤマネの修行の足を引っ張りかねないのが気に入らないのか、兄である自身よりもヤシチに懐いているのが
気に入らないのかそのあたりは定かではなかったが。

「好きな理由なんて惚れている本人にしかわからんものだし、ましてや惚れられている奴になど絶対にわからん
ものぞ……ヤシチの場合は惚れられていることにすら気が付いていないからやっかいなのだがな……はぁ」
「? なにかあったのか?」

 サクヤが珍しく大きなため息を吐いたのでネズミが不思議がって尋ねた。ヤマネとサクヤの二人だけの問題
として解決したかったのだが、サクヤ自身も少々困っていたのでネズミに話してしまうことにしたのだった。




■ ぴこまる (35回/2011/06/23(Thu) 00:10:30/No3972)



「…………ほんっとに馬鹿でござるな………」
「すまない……某がヤマネに誤解をさせるようなことをしてしまったから」

 心底呆れたような声をネズミが出したのでサクヤも申し訳なさそうに頭を下げる。

「まぁお主は悪くなかろう。ヤマネの早とちりでござる……一番の愚か者は周りを振り回しまくっておいて
一切気が付いておらんアイツだしな」
「ホントに罪な男よ………なまじ気が付いているよりタチが悪いわ」
「全くだな」

 二人は同時にため息を吐いた。昔からヤシチのことは見てきたものの、どうにもあの抜けているところや
鈍いところは直る気配もなく、見ている方は気がかりで仕方がないのだった。ネズミは何気なく空を見上げ、
ごろりと寝転がる。

「……惚れた者には責任はない。感情など移り気なもの……当人にもどうしようもないことなのだからな。惚れられた
相手が責任を取るべきなのでござるよ。それがどんな形であれな。アイツにはその器量が足りんと言うに……ん、
どうした」

 不自然に静かになったのでネズミが視線を横に向けると何故だかサクヤが少しむくれたような表情でこちらを見ていたのだ。
サクヤはジトリとネズミの方を睨みつけながら距離を詰めてくる。

「……ずいぶんとまぁ語るようになったのぉ。そんなことには全く興味ない奴だったのに。というか某を振った
お主の口からそんなこときくとは思ってもみなかったぞ」
「あっ………あれは別に……」
「『そんな対象とは思っていない』と某に言い放ったではないか。立派に振っておるわ」
「………」

 なんとなく恨めしそうな口調でそう言うサクヤにネズミも思わず弁解をしようとしたが、正直何も言えなかった。
ずいぶん前のことでもあったし正直サクヤの性格上気にも留めていないと思っていたので、ネズミも今さら
この話題を蒸し返されるとは思っていなかったのだった。自分の恋愛沙汰に関しては不器用なネズミは目線を
下げつつ少々言葉に詰まっている様子だった。サクヤはそんなネズミの反応を見て目を細める。

「あははっ、今さらそんなこと蒸し返す気もないがな。某は今はこれくらいのお主との距離感が気に入ってるし。
とっくに吹っ切れておるわ。それにあれがあの時のお主なりの心からの返事だったのだから、それをとがめること
も出来んだろ」

 一応それなりにサクヤとしては満足の行く反応が得られたらしく、もう先ほどのような態度は微塵も見せていない。
ネズミも安心したが、さすがに少々罪悪感も感じていた。

「……あの時は悪かったでござるな」
「何を言うか。あれがお主の言う『責任』だったのだろ。だからはっきりと返事してくれたのだろ? 今さらそのことの
弁解などいらぬ」 

 けろりとした表情でそう言い放つサクヤに思わずネズミも口元がゆるむ。コイツとの付き合いはこれだから悪くない。
適当な性格をしているようで頭の中の論理は至極筋が通っているのだ。昔から気心の知れている数少ない友人をネズミは
何だかんだで尊敬もしていた。無駄に勘がよく人をからかうのが好きなところを除けば。

「というか、あのように恋愛をお主が語るようになるとはのぉ。あ、もしやお主もついに女子に惚れたのか?」
「なっ!! そんなこ……!」

 思わずガバリと身を起こしたネズミを見てサクヤは今日一番楽しそうな顔をした。

「素直な反応で結構なことであるな。で、誰だ? 妖精忍者か?」
「………詮索は無用でござるよっ」

 図星を指されて思いっきり反応を見せてしまった自分自身をネズミは盛大に呪った。サクヤがニヤニヤしてこちらを
見ているのが癪だったので、ネズミはすぐに立ち上がると煙と共に素早くその場から身を消した。

「……なんだかアイツも昔に比べて随分と丸くなったものよ。しかし……あの偏屈が女子に惚れる日が来るとは。
どんな相手かぜひ見てみたいものだな」



「………つくづくアイツには適わんでござるよ」

 木の上でサクヤのセリフをききながらネズミはぼそりとつぶやいた。
 


==================================================
絵とか曲作りとかの作業ばっかりやってると頭痛くなってくるので息抜きにこうして文章打ったり
することが多いのですが、こういう時に書くといつもよりも進みが早いのはなんでなんでしょうねw
きりのいいあたりまで行ったので投稿してしまいました。

前回の投稿時、次の投稿でちょっと話が進むかもと言ったのにそこまで行き着かなくてすみません^^;
次回は本当にちょっと進みますので…(ちょっとかよ
年上幼馴染二人の会話は丁寧に書いてあげたかったのです。平和なシーンって後々のシリアスに移行した時の
対比になるので書けるときはしっかり書きたい。そしてネズミとサクヤの会話考えるのが楽しいのですw
ネズミが友達として素直になれる相手がサクヤだといいなぁと思うので。

ではでは!


■ いっちゃん (88回/2011/06/23(Thu) 19:06:34/No3974)

ぴこまるさん、こんばんは!

いや〜勉強の合間に見たら再新されていたので「これは返信しないとっ!!」・・・と、思ってしまいました^^;
今回の期末は危なそうだ←(おい
それはおいといて、・・・えっ!!サクヤって昔ネズミが好きだったの!?
あまりの真実にびっくりしました>Д<;
そして、もちろんネズミの好きな女子というのはあの赤毛でじゃじゃ馬なあの子ですよね?ww

ネズヤシとミルヤシ(ネズミ視点)が間接的に入っていて嬉しいですね!!
ネズさんのヤシチとミルモに対して思っていることがひどいようでスゴイようで・・・(^^;
とりあえず、とてもヤシチのことを見てるということでしょうね。
ヤシチもそんなネズミの一部分を気づいていればいいのですが・・・。
あの鈍さじゃ無理かな?w(ただの嫌味なイトコぐらいにしか思ってなさそう)

みんなからどんどん注文を受けるヤッくん、ドンマイ☆←
でも、作中でも述べているように、きっとヤシチは注文の品を全部作ってあげるのでしょうね。
そこがヤシチの長所ですよね^^(ネズミに言わせると癖らしいですが・・・w)
次回は話が少し進むというので楽しみですね>∀<
そろそろミルモ達が出てくるのかな?

今、結構いっぱいのミルヤシ小説を考えています。(しかも授業中w)
最近ミルヤシ好きの人が増えてきているので、ぴこまるさんがサイトを作ったらすごい盛り上がりになりそうです!
試験が終わったら、掲示板のほうでリクエストに答えながらちょこちょこっとミルヤシ、ネズヤシや、あの3人の絵を擬人化などで描いていきますね!
・・・・・て、私は何が言いたっかたんだろう?(笑)

それではっ!


■ ぴこまる (37回/2011/06/30(Thu) 00:33:41/No3996)

いっちゃんさんこんばんは!!いつも感想ありがとうございます^^
しかしテストは頑張らなきゃだめですよw ……と最近の私が言えたことではないけれどww

最初にヤシチと出会わせてヤマネの勘違いを誘発してたサクヤさんですが実のところはこういうことなのでした。
昔一度告白してしっかり玉砕してます。でもその後もこういういい感じの関係が続けられるあたりが彼女なのだな
と思います。ネズミの好きな女子……当然彼女に決まってるじゃないですか!!w

年上二人のこの会話は構想段階でもじっくり書くことを決めていました。間接的にミルヤシ、ネズヤシ、ネズアク
全要素を入れられるように結構試行錯誤した場所です。こういう場面を色々入れているから全体としての物語の
進度がゆっくり目ですが^^; ちょっと急がなきゃなー。
嫌味言うにも相手のことをしっかりと観察することが必要ですし、ネズミはなんだかんだで結構ヤシチのことも
気にかけていると思うのですよ。関わっているミルモのことも。思っている内容はちょっと残念でしたがw
ヤシチもネズミのそういうところはなんとなくは察しつつも、嫌味ばかり言うから素直になれないのだと思います。
そのあたりもサクヤはきちんと助言しているのにネズミはきく気ないですからねww

ヤシチはしっかり全員分の注文引き受けます。ヤシチの料理の腕前はヤマネには及ばなくても遠からずくらいの
腕だと思うのです。男の子としては十分すぎるくらいw昔から個性の強い年上たちにこき使われすぎてもはや
習慣になりつつあるのでしょう。そこも彼のいいところなのですがホント下っ端癖という方がしっくりくる
のかもしれないですww

あらかじめ予告しておくと、おそらくこのスレッド中はミルモたちは出てきません!!(え!?
前半は妖精忍者だけで物語が進行するので………ミルヤシは後半に入ってくるので待っていてくださいね!
相変わらず出番の遅い主人公だwwまぁ今回は全体が長いので全体から見ると5分の3のあたりで彼は出てくる
ことでしょう。(それでも遅いよ

最近ホントミルヤシ好き増えましたよね!嬉しい限りで^^
今擬人化設定案をパソコン上でちまちま描き起こしてます。よろずサイトになりそうだから膨大な人数が…w
時間かかりそうですが頑張ります。

試験終わった後のいっちゃんさんのイラストたちが楽しみすぎますww試験最後まで頑張ってくださいね!

次のレスから続きになりまーす。中途半端な切れ方嫌だから一気に行きます!!


■ ぴこまる (38回/2011/06/30(Thu) 00:34:58/No3997)



 日も落ちてあたりはすっかり暗くなる。森の中は陽が落ちると光がほとんど入ってこないので、忍者の集落は
この時間はとりわけ暗い。家々の明かりだけがぼんやりとした明かりを暗闇に浮かび上がらせている。

「おーい、今帰ったぞー」
「お、いいタイミングですぞ父上!!」

ガラリと戸が開いてシショーが帰宅したのに気が付くとサクヤは元気よく振り返った。

 部屋の中には夕食のいい匂いが立ち込めていた。ヤシチが結局一人ですべて支度した夕食には、サクヤたちの
希望がバランスよく全て取り入れられていて、とても豪華で美味しそうなものになっていた。

「師匠、今ちょうど食事の支度が整ったところですのでどうぞお召し上がりください」
「おお、やっぱオメーはその恰好がよく似合うよなヤシチ!!」
「……それは褒めておられるのですか……」

 ヤシチが若干落ち込んだ様子でつぶやいた。

 三角巾を頭に巻き割烹着を着て完全に家政婦スタイルのヤシチは、シショーも昔から見慣れたものであったらしい。
結局人間界でも妖精界でもヤシチが家事に追われていることにはあまり変わりがなかったようだった。

「どれどれ……お、うめぇじゃねえか!お前人間界に行って料理の腕上がったんじゃねーか?」
「ありがとうございます。まぁ……色々ありまして……」

 自分の師に褒められるのは嬉しいものの、正直内容が内容だけに複雑だった。

「美味しいぜ兄貴ー!!」
「日ごろの修行の成果がばっちりでてるのらー!」
「兄様、大変おいしゅうございます!」

 子分たちも満足しているようなのでヤシチも笑みをこぼす。ハンゾーが何やら気になるセリフを言っていたこと
に関しては聞き流すことにした。

「コイツは昔っからここで家事全般担当しておったからな。これくらいしか取り柄もないしまぁ当然でござろう」
「某がいたころから家事はかなりの腕前であったからな。全くもって素晴らしい家政夫であるぞ」
「拙 者 は 忍 者 だ!!」

 ヤシチが楽しそうだといじめたくなるのかネズミがお得意の嫌味を飛ばす。楽しそうにサクヤも便乗してきた。
からかう年上二人に怒るものの、向こうはむしろそれを楽しんでいる。シショーはその様子を懐かしそうに
眺めていた。

「おめぇらホントに昔っから変わらねぇよなぁ。これでアイツも帰ってきてたらな……」
「クマリのことでありますか……アイツも探したのですがやはり連絡がつかなかったのですよ父上」

 サクヤが少々寂しそうにつぶやく。

「クマリって誰なんだぜ?」

 聴き慣れない名前にサスケたちが首をかしげていた。割烹着を脱ぎながらヤシチが説明をする。

「クマリ姉ぇはサクヤ姉ぇの妹なのだ。そう言えば来ておらんのだな。確かサクヤ姉ぇより先に
修行の旅に出たのだよな?」
「うむ。アイツも素晴らしい忍者だったから、年幼くとも修行の旅に出るには申し分ない実力だった。
ただ、あの日以来一度も連絡もないし、父上のところにも一度も帰ってこなかったというし……少々
心配ではあるな」
 
 ある日突然に旅に出ると言って出て行ったっきり誰も彼女の姿を見ていないという。ネズミやサクヤのように
あちこち旅してまわっているにしてもここまで連絡がつかないのも不安になる。サクヤには珍しい暗い表情が
浮かんだので、シショーはサクヤの頭をガシガシと撫でた。

「わ、父上、なにをなさるのか…っ」
「オメーがそんな顔したってしかたねーだろうが」

 サクヤがヤシチたちの頭をよく撫でるのはシショー譲りだったらしい。
あまり似てはいないがやはり親子である。

「アイツは昔っから何考えてるか親の俺でも底が見えないところがあったしな。でもまぁクマリはしっかり
してるやつだし実力もあるし、それなりにやってるだろ」
「そうでござるよ。あんな憎ったらしい奴が早々くたばるはずがなかろう。気に病むなサクヤ」
「はは……」

 ネズミが少々皮肉を込めた言い方をしたことにサクヤたちも苦笑する。どうにも昔からネズミはクマリと
反りが合わなくて犬猿の仲なのだったそうだ。

「そう……だよな。しかしお主はつくづくアイツが嫌いなのだの……」
「あの嫌味ったらしい性格がどうにも好きになれないのでござるよ」

(それをお前が言うか……)
 
 と全員がこの時心の中で思った。



■ ぴこまる (39回/2011/06/30(Thu) 00:36:09/No3998)



 その後楽しく食事を済ませ、食器の片付けも済ませた後にシショーはヤシチたちを書斎に集めた。
シショーは書斎の大きな机で待っていた。横にはサクヤが控えている。

「師匠、お話とはなんでしょうか?」

 何故呼び出されたか見当がつかなかったのでヤシチはシショーに尋ねる。他の皆もその問いかけに同調して
うなずいた。師匠は口元に笑みを浮かべながら本棚から一冊の本を取り出し、ヤシチたちの前に差し出した。
表紙の傷み具合からするとかなり年季の入ったもののようだ。そこに、明らかに最近はさんだことが分かるような
しおりが一枚挟まれている。

「その、しおりを挟んであるページを開いてみな」

 本を受け取ったヤシチがそのページを開くとみんなでそれを覗き込んだ。妖精文字が昔の文体で崩して書いて
あったのでいまいち読めなかったが、横に墨で描かれている挿絵を見ることにした。洞窟のような絵が描かれて
いる。最初にこれが何か気が付いたのはネズミだった。

「……これは『忍のほこら』でござるか?」
「さっすが察しがいいじゃねぇかネズミ」

 シショーが嬉しそうに言った。

「忍のほこらって……この家の裏の森深くにあるあの怪しいほこらのことか? 確か立ち入り禁止になっていて
小さい時から一度も入ったことがなかったんだっけな……」

 聞き覚えのある名前に反応してヤシチが思い出そうとする。サスケたちはこのほこらの存在も知らなかった
らしく首をかしげたままだ。

「何で立ち入り禁止になってたかわかるか?」
「いえ、それは……」

 入ってはいけないところなのだと純粋に認識していたので、今まで理由についてはきちんと考えたことは
なかったのだった。ヤシチが言葉に詰まったのを見て、シショーは存外すぐに解答を与えてくれた。

「ここの深部には封印があるんだ」
「封印……何を封じているのでございますか?」
「遠い昔に封印された悪の妖精……だと伝えられているな」
「!!」

 ヤシチたちは驚いて顔を見合わせた。ダァクとの死闘を経験した彼らにとってそれは反応せずにはいられない
ポイントだった。ダァクの時にも封印されていた彼と偶然アクミが出会ったというだけであんな戦いが
始まってしまったのだ。封印されている悪の妖精がまだ存在していたというだけでも恐ろしいことだった。

「ダァク以外にも……封印されている悪の妖精っていたのか?」

 ヤシチが恐る恐る尋ねる。

「妖精界には大昔に封印された邪悪な魔物や生物が結構いるらしい。ここもそのうちの一つなのだ。うちの一族が
代々このほこらの封印を担当していたそうで、今は父上が担当していらっしゃるのだ」 
「け……結構って……」

 ダァクを倒して妖精界が平和になったと思っていたのにまだそんなにたくさんの危険要因があったとは
思わなかった。妖精界の神から力をもらっている自分やミルモたちは何か厄介事があると大概あの気ままな
神様たちに使われるのでヤシチは正直先の未来に軽い不安を覚えた。

「しかし……師匠がそんな大役を担っていらっしゃったとは思いませんでした」

 別のところに反応してしまっていたが、悪の妖精の封印を管理しているというのはかなりすごいことだと思う。
自分の師がそのような仕事を受け持っていたことにヤシチたちは尊敬の目を向ける。

「封印を管理って……なんだかかっこいいんだぜ」
「なんか偉い感じがするのら〜」
「と言っても、封印の力のバランスを管理するだけの仕事だし、大昔のご先祖がしっかりした封印を施して
下さっているからそこまで大変な作業ではないんだが……」

 シショーが不意にため息を吐く。そして少々真剣な口調に変わった。
 
「最近になって急に封印のバランスが揺らいでいるんだ。元々10年に一回くらいの頻度で封印の石の穢れを
取り除きに行かなきゃならないってのはあったんだが、今は前の点検の時から5年しか経っていないし……
どうにも不安でな。封印の石の力が弱まっているのかもしれない」
「長い間の魔力疲労に石自体が耐えられなくなったかもしれない……ということでござるか?」
「そういうことだな。俺が管理している限りは誰かに封印に干渉された感じもなかったから。こういう時のために
替えの石は前から用意しておいたんだ。長年清めておいたやつをさっき取ってきた」

 先ほどまでの外出の理由はこれだったらしい。シショーは懐から3つの石を取り出してみんなに見せる。
赤、青、緑の3つの光り輝く石で、内部で何か揺らめいているようにも見える。シショーが言うには、
封印の力を持つ清らかな魔力の流れが視覚的に見えているものらしい。

「とてもきれいな石でございますね」
「これをほこらの中の3か所にある祭壇に収めるんだ。しかし内部はなかなか広くてモンスターも多い。
一人で行くには……って感じでな」
「だから某も最近になって急に里に呼び戻されたのだ。あのほこらにはこの家の者かここの門下生しか入れん
からな」
「え…それじゃあ………!」

 ヤシチの嫌な予感に呼応するようにサクヤは真っすぐにヤシチたちの方を見据えてはっきりと言った。

「お主らには今回某と共に忍のほこらに入ってもらいたい」


■ ぴこまる (40回/2011/06/30(Thu) 00:43:53/No3999)

10

「拙者たちが!?」
「ここに入るのかだぜ!?」
「怖そうなのら〜……」

 話の流れからなんとなく予想はついていたものの、いざ入れと言われるとさすがにヤシチたちも驚いた。
悪の妖精が封印されていて、しかも封印が不安定になっていると言われているようなそんな危険な場所に
喜んで入ろうとする奴はいないだろう。

「ここの門下生は今現在ヤシチとサスケとハンゾーだけだ。父上がもう少し真面目に弟子をとってくれたら……」
 
 サクヤがジトリと父の方を睨む。結構面倒くさがりのシショーは昔からあまり積極的には弟子をとろうと
しなかったらしい。シショーは妖精忍者の中でもかなり上位にいる忍者だし、やろうと思えばたくさんの弟子が
集まってくるだろうに……とサクヤは少々もったいないと思っているのだった。シショーはそのことに対して
全く気にしていないらしくケラケラと笑っている。

「俺はあんまり大勢弟子をとりすぎるのは好きじゃねーんだよ。一人一人に目が行き届かないとそいつらの力も
伸ばしてやれねーだろうが」
「しかしこやつらの力は大したことないと思うのでござるが。特にこの赤いのは」
「なんだとぉ!! というか赤いのって何だ赤いのって!!」

 頭をぺしぺしと叩かれながら馬鹿にされてヤシチがネズミの手を払いのけながら怒る。

「俺は何だかんだで素質は持ってる気がするんだよなこいつら。頭が抜けさくなだけでよぉ」
「師匠………」

 全くフォローになっていない発言にヤシチも頭を垂れる。それを見てネズミはフフフのフ〜♪と
実に楽しそうに笑っていた。ひとしきり馬鹿にした後はまた真面目そうな表情に戻ってネズミはサクヤの方に
向き直った。

「やはりお主が拙者たちを集めたのは理由があってのことだったのでござるな。昼間の修業を企画したのも
拙者たちの実力が任務に足るものか確認したかったからなのでござろう?」

 ネズミは早々にサクヤの行動の理由には勘づいていたようだった。サクヤは申し訳なさそうに笑いながら
軽く頭を下げた。

「あっはは……すまんかったなぁ。適当な理由だけで連れてきてしまって。しかし久々に会うのにいきなり
こんな話をして呼びつけるのもなんだか嫌だったのだ。用事があるときだけ呼ぶなんて都合のいい感じだし」
「お主らしいな……結果的には同じことではないか」

 ネズミは少々あきれていたがもはやサクヤの奔放さには慣れていたので取り立てては何も言わなかった。
嫌味な彼であるが、嫌味も相手の反応がなければ楽しくない。基本的に嫌味も気に留めないサクヤやシショーには
あまり嫌味を言う気にもなれないのだった。


「あの……しかしどうして私とネズミ兄様までお呼びになったのでございますか?」

 と、遠慮がちに手を上げながらヤマネが尋ねる。ヤマネとネズミはヤシチたちとは違って彼らの家で修行を
行っていたためにシショーの弟子ではないのである。よく遊びにきてはいたのでシショーとも親密ではあるのだが
先ほどの話を聞いている限りでは自分たちは入ることは出来ないのではないかと思ったのだ。

「やっぱりサクヤはともかくとしてこいつ等だけじゃさすがに何分不安も残るんでな。お前らにサポートを
頼みたかったんだよ。クマリも帰ってこねぇし、俺は別の仕事も引き受けているから今場を離れてはいけないし。
ヤマネちゃんはヤシチのところで修行してるんだから俺の弟子も同然だし、ネズミは特例でお願いする。
まぁうちの修業にもちょこちょこ顔だしてたんだし、傍目的には問題ないだろ」

 重要な任務のはずなのだがなんとなくノリが適当である。まぁ封印に干渉している者がいないということだから
考えなければならないのはほこら内部のモンスターや仕掛けの問題だけだ。その当たりは腕のたつ3人がいる
ということで安心しているのだろう。付き合いが長い分シショーの彼らに対する信頼も深い。

「わ、私がサポートだなんてそんな恐れ多い!! でも信頼していただけるのであれば喜んで尽力させて
頂くでございます!!」
「しかしアンタも相変わらずテキトーでござるな……まぁそこの3人に任せるのが不安になる気持ちはよくわかる
でござるし、頼られているというなら力にもなるでござるよ」

 対照的な反応だったが二人はシショーの頼みをしっかりと承諾した。彼らは直接の弟子ではなかったものの
シショーは何だかんだで尊敬できる優秀な忍者である。そのあたりの礼儀は二人とも当然きちんと心得ていた。

「ふん、お主のサポートがなくとも拙者たちだけでもしっかりやれるんだからな!!」

 最初は少々臆していたものの、こうも露骨にネズミに馬鹿にされているのにヤシチとしては引くわけにも
いかなかった。サスケたちもやる気十分といった様子だ。

「その意気だヤシチ。某も頼みがいがあるというものぞ。お前たちも期待しておるぞ」
「おー、だぜ!!」
「なのら!!」
「それじゃあ明日の朝6時に忍のほこらの前に集合だ。おめぇらよろしく頼むぜ」
「「「「「「合点承知!!」」」」」」

 6人の元気な号令が揃い、シショーも満足げな表情を浮かべた。


=============================================
やっとサークルの発表会に出す作品たちが仕上がったので今回も一気に仕上げて一気に投稿です。
これからため込んだ課題たちと戦わねば……7月は試験ラッシュです。

10話目にしてやっとお話にちょっと動きが出てきました。驚異的な進行の遅さwwしかし長期戦の構えなので
長い目で見てやってください(笑)

今回は色々とフラグ立てまくり回です。新キャラのイメージイラストはまた本人が登場した時にでも描きますね。
クマリもなかなか個性が強いキャラなのでw しかしネズミとばかりオリフェが絡んでいるように見えますが
ヤシチも結構絡んでます。ヤシチはどっちのオリフェにも程よく可愛がられ程よくからかわれ程よくこき使われて
いたのであまり目立たないのかもしれないwwネズミは対人関係ヘタそうだから合わない子とはとことん合わない
のだと思います。

ではでは!!

 


■ こやまる (1121回/2011/07/09(Sat) 08:42:13/No4010)
http://www.murumoya.com/


ぴこまるさん、皆さん、おはようございます☆

感想が遅れてしまい、ごめんなさいm(_ _)m。
第2弾連載を楽しく拝見させていただいております。

連載も早10話・・・。
おっしゃるように、ストーリーからいろいろな伏線を感じます(^^)。
特に未だ登場しないクマリがストーリー上の重要人物な予感が…。
ってあまり詮索してはいけませんね。

前作ではヤシチやネズミの心情の深掘りが素晴らしかったですが、今作ではそれがいろいろな妖精忍者に見られるので楽しみです。
サクヤの設定が綿密に考えられている点がぴこまるさんらしいですね。
ヤシチたちとの掛け合いを見ても、サクヤがまるで公式妖精だと思ってしまうほどです。

そしてあのシショーに優秀な娘を持たせるという設定は、私ではとうてい考えつかない!
というかシショーってヤシチと似て、忍者としての実力は???と私は思っていました。。(^^;
サクヤとネズミの優秀忍者コンビがヤシチのことを言いたい放題言うシーンは、ヤシチファンには良い意味でたまらない光景ですね(笑)。

そしてヤマネの勘違いフラグ〜。
ヤマネ好きな私としてはこのままフラグが立った状態で、わがままなヤマネがサクヤに敵意を持つなどの暴走を期待したいかも^^;(リクエスト?)。

それでは続きを楽しみにしております。
では!


■ 月白 (28回/2011/07/09(Sat) 17:01:38/No4011)

ぴこまるさん、こやまるさん、こんにちは!月白です!

感想が遅くなってすみません!
新しい小説もとっても面白そうです!
個人的にサクヤとネズミがヤシチの事を話しているところが好きです(>v<)
以外とヤシチに対する周りの評価が高いと嬉しかったりします!
そしてヤマネの勘違い展開も嬉しいです!
勘違いで暴走するヤマネちゃんも好きなんで!
ぴこまるさんの小説には私の好きな展開がたくさん入っていて本当に楽しく読ませて頂いてます!

オリフェのサクヤの絵も本当にレベルが高くてびっくりしました!
ネズミが好きだったという点にも驚きました。
忍術の設定もとっても面白いです!
続きも楽しみにしています!

それでは!


■ ぴこまる (41回/2011/07/10(Sun) 11:46:27/No4014)

こやまるさん、月白さん、こんにちは!!

>こやまるさん
今回は登場キャラも多くてストーリーもオリジナルということで色々と自由にお話を構成しております^^
伏線色々張っていくのは楽しいですね。後々しっかり回収しないといけないのでそのあたりのやり逃しは
ないように気をつけないと……。おっしゃるようにクマリは結構重要キャラですよ!!ちゃんとした出番は
もうすぐですので待っていてくださいね^^

前作はヤシチとネズミだけに絞っていたからまだ考えやすかったですけど今回のように登場人物が多いと
こんなに書くのが大変だとは思っていなかったですwそれぞれのキャラが色々と思うところもあるだろうし
それを万遍なく、でも強調するところは強調して……のその加減がなかなかに難しいです。サスケとハンゾーが
気がついたら空気になっていたり(笑) やはりオリフェだからってキャラが一人浮いてしまうのだけは嫌だった
ので、サクヤの設定や会話も色々考えました。なのでそう言っていただけるのが一番嬉しいですね^^

シショーは原作でダァクの直属の部下だったし、意外と偉くて強いんじゃないかという妄想がw
性格がおおざっぱなだけで実力はあるのではと思ってます。顔も結構貫禄ありますし(笑)歳的にも
娘くらいいそうだなぁとwしかし奥さんは別居中っぽい。(え
ヤシチはいじられてプンプンしてるのが一番可愛らしいと思うのです^^

ヤマネの勘違いフラグはそこそこに引っ張りますけどとりあえず先の展開は秘密でw
今回の小説はヤマネにも割と出番はあるので楽しみにしていてくださいね!

>月白さん
あの二人の会話シーンは書いている側も結構好きなシーンだったりするのですw年上らしい雰囲気を
出しておきたくて^^ヤシチのことをおちょくりつつも何だかんだでよく見てあげているし評価もして
あげているそんないいお兄さんとお姉さんみたいな2人だといいなと思うのです。
ヤマネの勘違い展開好きな方多いのかな? それならもっと前半でサクヤと絡ませてもよかったかも
しれないなーなんて今さらなことを考えてしまいましたw
月白さんとは色々とツボが似ているのかな?これからも私の好きなような展開でガンガン書きますので
気に入ってもらえたらいいなぁと思います。

公式に負けないように、そして公式メンバーにまじってても違和感がないように、それを意識して
サクヤのデザインは頑張りましたwヤシチの方のフラグと見せかけて実はネズミ寄りだったという
引っかけも狙っておりましたwサクヤの技は今後色々役に立ってくるので続きを楽しみにしていて
下さいね!! それでは次のレスから小説になります^^


■ ぴこまる (42回/2011/07/10(Sun) 11:47:16/No4015)

11

 早朝。昨日の予定通りにほこらの前に全員が集合した。夏ということもあり、この時間でも
すでに日は昇っているが、ほとんどの者はまだ眠りについている時間だ。

「ふぁああ……眠いんだぜ……」
「何でこんな朝早い集合なのら〜……?」

 歳幼いせいもあって早起きにあまり慣れていない2人は眠そうに目をこすっている。

「一応任務だからな。普通忍の任務ってのは大体人目につかない時間帯に行われるのが普通なんだぞ。
なんだか気分でるだろ?」
「はぁ……ふぁあ………そうでふね……」

 昨日の疲れが残っているせいもあってかヤシチも少々眠そうだ。そんな様子を見てネズミもため息を吐く。
修行が足りんな……と口には出さなかったが思っていたのだろう。眠さでぼんやりしていたヤシチには気付かれて
いなかったが。

「中の広さはどれほどでござるか?」
「対人除けのトラップも仕掛けてあるし、迷いやすい構造になっているからな。なかなか大変な広さだと思うぞ」
「そんなところにオイラたちだけで大丈夫なのかだぜ?」
「大変そうなのら〜……」
「だから拙者たちがわざわざ呼ばれたのでござろうが。お前たちだけでこのような任務が務まるはずがないしな」
「そうだぞ。某たちがいるのだから大丈夫だ。修行のつもりと思って取り組めばよい」

 不安そうにしているサスケたちを安心させるようにサクヤは頭をなでてやった。

 正直自分たちと比較しがたいくらいの実力者たちがいるのだから彼らだけで十分なのではないかとヤシチたちも
思うのだが、シショーが言うには、あくまでしきたりでこの家の者か門下生しかほこらに立ち入れないと決まって
いる以上、最低限ヤシチたちがほこらに入ることになっていないとネズミたちを特例として入れることができなく
なるのだそうだ。昔からの慣習やしきたりというものに忍はとりわけうるさいことを知っているのでヤシチたちも
特に文句は言わなかった。正直シショーはそんなタイプでもないのだが、シショー本人としてはヤシチたちの修行を
させたいという気持ちがあったので黙っていたのだった。やはり娘同様にちゃっかりしている。

「そうだ、お前たちにこれを渡しておくよ」

 シショーはサクヤに唐草模様の風呂敷包みを一つ手渡した。サクヤはそれを地面に置いてからゆっくりと開く。

「これは……宝石と地図?」

 風呂敷の中には昨日シショーが見せた封印の宝石と地図が3つずつ入っていた。地図にはそれぞれ違うルートの
目印がつけられている。

「その宝石をそれぞれ対応する祭壇に納めて、今ある宝石は回収してくる。内容自体は至ってシンプルだな」
「あの、地図が3つあるということは……」

 ヤシチが恐る恐る尋ねる。

「そうだ。これからお前らは3組に分かれて目的地に向かってもらう。全員でまとまってうろちょろしてたんじゃ
効率も悪いしな」
「え!!? 2人行動!?」

 昨日の話と照らし合わせても内部が結構危険であることが分かっているのにあえて二人ずつで行かなければ
ならないなんて思っていなかったのでヤシチたちはかなり驚いていた。しかしシショーはあくまで気楽に
構えている。

「大丈夫だ。ネズミもヤマネもサクヤも並みの忍では並び立つものがほとんどいないし、こいつらと一緒なら
問題ないだろ。ついでにいい修行にもなるだろうし、おめぇら頑張ってこいよ!」
「あ、師匠!?」

 シショーはそれだけ言うとすぐに自宅の方へ戻って行ってしまった。


「師匠……ホントについてきてくれんのだな……」
「父上は他にも色々責務が溜まっていらっしゃるからな。ここは某たちに任されたということだ。しっかりと
役目を果たそうではないか」

 サクヤがそう言うもののやはり不安なものは不安である。シショーは確かに優秀な忍者ではあるのだがイマイチ
大雑把で昔からさらりと危険なことをやらせることが多いのだ。昨日はネズミに嫌味を言われて勢いで言って
しまったとはいえ、ヤシチは今になって少々後悔していた。

「でも2人ずつってどうやって分かれるんだぜ?」
「とりあえず、某、ネズミ、ヤマネに対して一人ずつお主らがつく形でいいのではないかな。それでおおよそ
実力のバランスは取れそうだし」

 そう言ってサクヤはネズミとヤマネに宝石と地図をそれぞれ手渡した。ネズミが青、ヤマネが緑の宝石だ。
残った赤の宝石をサクヤが担当することになる。

「では、どう分かれようか。希望はあるか?」

 2人ペアと聞いて、やはり俄然やる気を出したのはヤマネとサスケだった。サクヤの言う組み合わせの方法ならば
彼らの望む組み合わせになれる可能性があるからだ。先に行動に出ようとしたのはヤマネで、緊張しながらも
ヤシチに声をかけようとする。

「あ、兄様! 私と……!」
「ではとりあえずこの阿呆は拙者が引き受けてやるでござるよ」

 しかしヤマネがヤシチに声をかける前にネズミが素早くヤシチの頭巾をつかんでほこらの方へ引っ張っていった。
いきなりすぎてヤシチもとっさの反応が出来ず、ズルズルと引きずられながら手足をバタつかせている。

「え、ちょっと……離せ! なんで拙者がお主と組まねばならんのだ!!」
「お前みたいな足手まといをアイツらに任せるのは可哀想だからでござるよ」
「なんだとぉおお!!」

 ヤシチの文句には一切応対せずに、サクヤに「異論はないな?」と言うように目くばせを送る。

 特に口に出しては言わなかったが、ネズミは昨日のサクヤの話を聞いた以上はサクヤとヤシチを組ませることは
よくないだろうと考えたのだった。ヤマネとヤシチを組ませたくないのは……兄としての性である。
それを察したサクヤは取り分け何も口出しはせず二人を行かせた。表情には呆れも少々浮かんでいたが。

「わかったわかった……よろしく頼むぞヤシチ、ネズミ」
「まぁ……気は進まんが了解なのだ……。さっさと済ませて帰ってくるぞ!!」

 ヤシチは、ネズミの手を振り払い立ち上がる。そして二人はほこらの中へと入って行った。


「じゃ、じゃあヤマネ、お、お、お……オイラと……!」

 ヤマネは少々しょんぼりしていたがサスケにとってはチャンス到来である。しかし声をかけようとしているが
緊張して声がどもっている。サクヤは冷静にその様子を見ていたが、途中でなにかあきらめたような
申し訳ないようなそんな表情をしながら割って入った。

「……いや、お主は某と組んだ方がよさそうだな」
「へ?」

 サスケは状況が分からず間の抜けた声を上げた。サクヤはすぐにヤマネに指示を出す。

「ヤマネよ。お主にはハンゾーを任せてもよいかな?」
「は、はい!! ハンゾー先輩!! よろしくお願いするでございます!!」
「うんなのら!」

 特に誰と組むことにもこだわりのなかったハンゾーは無邪気に返事をする。

「では、行くぞ」
「はい……だじぇ……」

 あからさまにしょんぼりした様子のサスケを連れてサクヤがまず中に入っていく。ヤマネたちもその後に
続いてほこらの中へと入って行った。


■ ぴこまる (43回/2011/07/10(Sun) 11:56:16/No4016)

12

 ―――暗い暗いほこらの奥深く。ひときわ広い空間。その中心には積み重なった岩が塔のようになっている。
そのてっぺんの冷たい岩盤の上で横になっていた彼女はゆっくりと目を開いた。

「―――誰か来たようなのです」

 ほこらの中に彼女が張り巡らせている糸が反応し合っている。数からして6人。2人ずつ分散しているらしいと分かる。
彼女は楽しそうな表情を浮かべながら起き上がり、高い岩の塔から勢いよく飛び降り、しかし途中で急激に減速し
ゆっくりと地面に着地する。

「久しぶりの来客なのですよ。少人数に分かれているのは好都合……あのお方の復活のために小生も仕事を
しなければならないのです」

 そう言って、彼女は岩壁から染み出た水が作り出した水たまりに魔法をかける。すると水面が揺らぎ、水鏡と化した
それはほこらに立ち入った侵入者たちの姿を映し出してくれた。しかし彼女の表情は彼らを見た瞬間に一瞬驚きを
含んだものに変わった。

「これは……! まさかアイツらなのですか?」

 改めて侵入者たちをよく見、人違いではないことをはっきりと確信すると、彼女の口角がいやらしく上がる。

「あはっ……実に……実にすばらしい来客なのです……!! これは丁寧なおもてなしをしなきゃなのですよ……!!」



===================================================


 ほこらに入り、緩やかに地下に向かって下降している道筋を長い間直進していくと3股の分岐点にあたる。
そこから皆が自分たちの地図の目印に沿ってそれぞれの目的地へと向かう入口に入って行った。




「全く……相変わらずお主の考えておることはよくわからんぞ……拙者といるだけで嫌味ばかり言う癖に
何でわざわざ自分から拙者を選んだのだ?」

 地図を確認しながら歩くネズミの後ろをヤシチがついていく。しかし普段からあまり仲がいい方ではないので
二人でいても気まずいだけだ。ほこらに入ってからの長い沈黙に耐えられなくなりヤシチは口をとがらせながら
ぼやく。ネズミは鬱陶しそうにチラリとヤシチを一瞥し、またすぐ視線を地図に戻した。

「だから言っておろうが。お主のような未熟者の世話をアイツらにさせるのは申し訳ないから拙者がわざわざ
引き受けてやったのでござるよ」
「なんだとぉお!!?」

 馬鹿にされたこともそうだが、何か別の理由を隠しているらしいことも感覚的にわかったのかヤシチは
いつも以上に怒った反応を示した。

「なんだ、事実でござろう?」
「拙者だって人間界で修行も重ねたしずいぶん強くもなったのだ!!お主なしでもやれるくらいなんだからな!!」
「……ほぉ? そんなに成長しておるのか? ほうほう……」

 この時のネズミの言い方に妙な含みがあったことにヤシチは気が付いていなかった。

===========================================

「結構暗いのら〜……」

 ほこらの中は薄暗く、ごろごろとした石がたくさん転がっているので足場も悪い。岩壁に手をつきながら
ヤマネとハンゾーは地図を確認しつつも慎重に進んでいく。

(出来ることならば……兄様とご一緒したかったでございます……)

 やはり先ほどネズミに遮られてヤシチと組めなかったことが残念だったようである。
サクヤとヤシチが組んでいないのでそこまで不安に駆りたてられたりすることはないのだが。

 サクヤがヤシチを好きだと確認したわけでもないが、やはり自分以外に子供時代からヤシチと近しかった女性が
居たことは少なからずヤマネに焦りを感じさせたのだ。自分はまだ歳幼くて未熟だ。だからヤシチが自分を
そういう目で見てくれないのではないか。そう考えていたから。それにサクヤは女のヤマネの目から見ても綺麗だし
強く素敵な女性だ。ヤマネの歳ではそれだけで彼女のことを不安要因としても不思議ではなかったのだ。

 どことなく足取りの重いヤマネを見てハンゾーはなんとなく察したのかヤマネに明るく声をかける。

「ヤマネ、兄貴だったら心配いらないのら!!」
「ハンゾー先輩……」
「ネズミさんもいるし、兄貴だったら大丈夫なのら! だから僕たちもいっぱいいっぱい頑張って後で一緒に
兄貴に褒めてもらうのら!!」

 ヤシチ、サスケ、ヤマネの一方通行な関係を一人常に横で見ているハンゾーは、何も考えていないように見えても
本心では彼らのことを応援したりも心配したりもしているのだ。ヤマネがしょんぼりしている理由もヤシチのことに
よるものだと察したハンゾーは、内容に触れることもなくヤマネのことを励まそうとする。その思いが伝わったのか、
ヤマネもいつものきりりとした表情に戻った。そして元気よく足を踏み出す。

「地図に沿ってきちんと進めば問題はなさそうでございます。モンスターに遭遇すれば戦闘にはなるでしょうが…
先輩! 頑張りましょう!!」
「合点承知なのら!!」

===========================================

「悪かった!! 悪かったって!!」
「……はい……だぜ」

 サクヤは先ほどから必死でサスケを慰めようと奮闘している。必死で声をかけようとしていたのに肩透かしを
食らい、結局ヤマネと組むことが出来なかったことが結構ショックだったらしい。今回の任務でいいところを
見せようと意気込んでいたのかもしれない。敢えてサスケを遮った理由を話さなければこのままだろうなと
思い、サクヤはサスケの頭をポンポンと叩きながらため息交じりに話す。

「……お主はヤマネに惚れておるだろ?」
「なっ……! 何でわかるんだぜ!?」

 顔を真っ赤にしてオーバーなリアクションを取ったサスケを見てサクヤは苦笑を浮かべる。
ヤマネも似たような反応をしていたなぁ……と、昨日のことをぼんやりと思い出したのだった。
結局あの後もゆっくり話が出来なかったし、色々問題が残っているなぁと一瞬憂鬱な気持ちになったが
なんとかすぐに持ち直す。任務に気持ちの乱れをそのまま持ち込んではいけない。

「まぁそれは置いといてだ……恋愛というものは良い方向にも悪い方向にも働くものだ。愛する者のために
頑張ろうとして普段より力を出せる者もいれば、焦りや緊張から何分の一にも力が落ちてしまう者もいる。
お主は後者だと思ったのでな。だから申し訳ないとは思いつつも今回は分けさせてもらった」

 サクヤの分析は完全に的を得ていただけにサスケも何も言えなかった。緊張しがちな自分はヤマネの前で
いい恰好をしようとしても情けない姿を見せる可能性は十分ある。まがりなりにも任務なのだ。危険な可能性は
出来るだけ避けようと考慮することに何も間違いはない。サスケはしょんぼりと、そして申し訳なさそうに
頭を下げる。

「ごめんなさいなんだぜ……」

 素直に納得したサスケを見てサクヤも笑顔を浮かべる。ここまでくれば後は元気にすることはお手の物だ。

「気にすることはない。若いころはよくあることよ。まぁ今回は某とだが、お主が今回の任務で活躍してくれれば
ちゃんとヤマネにも伝えてやるし、某のとっておきのものを見せてやってもかまわんぞ?」
「へ? とっておきって何なんだぜ?」

 サスケがもたげていた頭を少し上に向ける。

「某たちの幼少期のアルバムだ。ヤシチやネズミはもちろん、ヤマネの写真だっていっぱいあるぞ?」
「ほ、本当なんだぜ!?」

 ヤシチやヤマネの幼少期のことはサスケは全く知らないのでこれはとてもうれしいご褒美だった。兄弟のような
幼馴染のような彼らの関係をうらやましく思ったりもしたことがあったのでサスケとしても彼らの昔について
色々と興味があるのだ。完全に元気になったサスケを見てサクヤは優しく微笑む。

「ああ、望むならば何枚か渡してもよい。だからしっかり頑張るのだぞ?」
「了解なんだぜ!!」

 サスケは元気な返事をして、率先して奥に進んでいこうとしたが―――その瞬間

「!! 伏せろっ!!」

 サクヤに首布を掴まれてサスケは頭を下げさせられる。今しがた彼の頭のあったところを大きな岩が
通り過ぎて行った。トラップかとも思ったがどうやら違うようだ。サクヤは冷静にあたりの気配を探る。
1、2……6つの気配。

「………さて……さっそく頑張りどころが来たようであるな」
「へ……、え、何なんだぜ……?」

 未だに状況がつかめていなかったサスケは頭を上げてきょろきょろとあたりを見渡す。その時、何もないと
思われていた暗がりに鋭い眼光が浮かび上がった。

「ふぇえ、何だぜぇえ!?」
「魔物の群れだ。このほこら自体の持つ魔力のせいもあってかこのような異形の魔物がちょくちょく生み出されて
いるらしい―――気合を入れろよ。サスケ」
「は、はいだぜ!!」

 サクヤの声色が低く落ち着いたものになる。その語気から真剣味を感じ取り、サスケも素早く手裏剣を構える。
サクヤは腰の短刀に手をかけて体制を低くし、そしてニヤリと笑った。

「さぁ、魔物どもよ。某の剣を存分に堪能するがよいぞ」

======================================================
ついにほこら突入です。ここまで来るまでが長かった……^^;
2人ペアをどうするかは結構悩んだのです。どの組み合わせでも結構面白く書けそうだったし話の上でも
問題がなかったので最終的にあみだくじで決めるという荒業をwwwでも最終的には一番いい組み合わせで
落ち着いたかなぁと思っています。

敵キャラもチラリと登場しましたし、次くらいからバトルシーンも入ってきます。3組に分かれちゃったから
場面転換が大変ですが頑張ります^^;次のお話までははちょっと間が空きそうな予感……


■ いっちゃん (89回/2011/07/11(Mon) 18:34:39/No4020)

ぴこまるさん、こんばんは!

感想が遅れてしまい申し訳ないです><
いや、でも再新されるたびに何度も読み直していたのですが(笑)
ヤシチがみんなにいじられているのを見ると、「ヤシチはMだなw」とつくづく思いますねww
しかし、ミルモはこのスレッドではでてこないというのに驚きました!
まぁ、ヒーロー(ていうか主人公)はいいとこどりが許せるキャラですからw
この前の小説は見事ないいとこどり(笑)でしたが、今回はどうなのでしょうか?

え・・・えぇーーーーっっ!!!???まさかのあみだぁあぁあ!!??←
いやいや、読み終えてびっくりです>д<あのとてもしっくりくる組み合わせがまさかあみだくじだったなんて・・・(汗)ぴこまるさんは運も良いのかw
ちなみに、ネズヤシコンビができたのが一番嬉しかったりします(笑)
いろんなことを話して欲しいなぁ・・・←希望するな!
しかし、サクヤが妖精忍者の複雑関係に入ってきていますね。
サスケにアルバムを見せるなんて・・・!!ぜひ私にも見せてくださいよ!←
なにやら戦いも入ってくるようで興奮が止まりませんなぁ〜♪
(ドラゴンボール見てたんで戦闘シーンが燃えるんですww)
しかし・・・ヤマネとハンゾーペアは大丈夫なのか・・・?

あと、これは絶対ぴこまるさんに伝えたかったことです。
昨日、pixivでミルポン絵を検索してたら・・・なんと!ぴこまるさんのあの100カキコ達成のときの神絵を見つけまして!!
そして、PIXIVなら腐のミルヤシ絵も描けるではないかっ!!!・・・ということを発見しました!!
そう思って、pixivに新規登録もしました!!
ぴこまるさん、どうでしょうか?私は結構自分で考えたのものでありながら、GUTアイディア!!!・・・とか考えてしまいました(汗)←おい
ぴこまるさんがミルヤシのタグを作ってくれたので、私もこれからどんどんミルヤシ絵を描いていきたいと思っています!!
まぁ、私が一方的に思いついただけなのですが、ぴこまるさんはどうでしょうか?
ぜひご意見をお聞きかせください!

ではっ!


■ ぴこまる (44回/2011/08/12(Fri) 00:20:47/No4061)

いっちゃんさんこんばんは!!遅くなってしまってすいませんでした><

え、そ、そんなに読み返していただいていたとは……誤字がばれ(ry
いえいえ、私なんぞの小説をそんなに読み込んでいただけるとは実に嬉しいです!!
ヤシチ……きっとMですよねww私の脳内は不憫キャラ=Mと解釈しているのでヤシチの印象は
最初っからMでしたw←
今回も遅れて登場予定の王子ですが、前作のようにいいとこだけかっさらっていくような漁夫の利な出方(酷)は
しませんよww今回はいろんなキャラに活躍の場を見せようと思っているので^^でもやっぱりミルモは
リーダーシップ取っていくだろうしミルヤシ多めになりそうですけどねwwその辺はいい感じのさじ加減を
していこうと思います。

あみだであの組み合わせが出来たのは奇跡だと思いますww特にネズヤシww後々にもまた何組かに分かれる
シーンが来る予定なので、最悪書く時までに組み合わせが決まらなかったらまたあみだするかもです^^;でも
できるだけちゃんと考えないと……普段はくじ運の悪さに定評があるくらいの残念なくじ運なのでw

せっかくオリフェを出すなら空気にならないようにいい感じに絡ませたいと思ってたんですがサクヤがあんな感じの
世話焼きな性格のせいなのか、思ったよりがっつり絡んできてますww戦闘シーンは書くの好きなんですが
上手く書けるかがものすごく不安です^^;そしてハンゾーとヤマネペアはどう考えても不安要素ですw
人数が多いから活躍させる比率的にもこの子らは不安です←

pixivには私も色々投稿していこうと思っていますよ!!ホームページがどう考えてもすぐにできそうにないので
作品のストックをためる意味でもお絵かきソフトの練習をする意味でもこれからたくさん絵を描きたいと思って
いるんですよ^^だから描いたやつは大体投稿していくと思います。こないだ女体化とかも投稿しましたし
すでに自重がありませんwwよかったらこれからも見てやってくださいねwそしていっちゃんさんも色々投稿
してみてくださいね!!……そしてちなみに綴りミスを修正させていただくとGUTではなくてGOODです^^;

ではでは次から小説投稿します!!



■ ぴこまる (45回/2011/08/12(Fri) 00:31:33/No4062)

13

 魔物たちはサクヤたちが戦闘態勢になったと同時に姿を現し襲いかかってきた。
その姿は全身が真っ黒で背はサクヤの4倍はある。そして目だけが怪しく黄色に光っていて、その姿は
ところどころ揺らめいているようにも見えるので非常に不気味だ。

「え、えいっ! だぜ!」

 サスケがそれに向かって手裏剣を投げてみるが魔物は不自然に体を屈曲させてかわしてしまった。
そしてその直後にこちらに向かって伸縮自在らしいその腕を勢いよく伸ばしてくる。サスケは思わず頭を抱えて
しゃがみこんだ。

「ふぇえぇええ!!」
「大丈夫だサスケ」

 サスケの頭上でスパンッと小気味よい音がした。恐る恐る目を開けると、足元にはさっきの魔物の
腕があった。サクヤが切り落としたのだ。サスケは一瞬それにビクリとしたが、その腕は影のように暗闇に
溶けて消えてしまった。

「あ、ありがとうなんだぜ……」
「のんびりしとる暇はないぞ。すぐに散れ」
「はいだぜ!!」

 サクヤの合図とともに二人は別の方向に跳んだ。

 魔物たちは自分の手足を自在に伸縮させ、鞭のように振り回しながら2人を捕まえようとする。
軌道が読み辛い上に人数が多いので非常に厄介だ。サクヤは魔物の注意が出来るだけ自分に向くように大きく
動き回る。サスケの方に敵が行き過ぎないようにするためだ。忍者刀で魔物の腕や足を切り落とすが、ほとんど
ダメージはなさそうだ。バランスを崩して一瞬動きは止まるものの、いくらかすればまた元通り生えてくる。

(無形の……影の魔物か。どこかに核があるのだろうが……)

 こういった魔物はどこかにそれを動かしている媒介や核がある。サクヤの分身術における鏡のようなものだ。
核を破壊すればもう再生も行われないだろうしこいつらを消し去ることが出来るが、さすがにすぐに
目のつくところには見当たらない。

(見習いには少々つらい敵かもしれぬな……しかしうまく逃げ回ってくれておるわ)

 焦りのせいもあってさすがに敵に攻撃する余裕まではなさそうだったがサスケは敵の攻撃をしっかりと
かわしている。安純のハリセンをよくヤシチのとばっちりで食らっているせいもあってか、ある程度の速さの
攻撃ならば目が慣れているのだ。ある意味修行の成果とも言えるのかもしれない。

(さて、そろそろこちらも攻撃に移るとするかな。影の魔物なら弱点も分かりやすい)

 サクヤは魔物から少々距離を取り、クラベスを取り出す。

「サクヤでポン!!」

 クラベスを鳴らすと、サクヤの周りには何枚もの大きな鏡が現れ、サクヤの周りを取り巻くように浮かび
上がった。その後素早く印を結び、勢いよく両手を広げると、鏡が魔物の周りを大きな円状に取り囲むように
して散らばった。実は先ほど逃げ回っているときにサクヤはしっかり魔物たちを一か所に誘導していたのだ。
サスケを追いかけていた魔物もきちんと鏡の輪の中に囲い込み、サスケは逃げ切ったことに安心してその場に
へたり込む。

「忍法・鏡華分身」

 サクヤがそうつぶやくと鏡が一瞬光った。そして、驚いたことにそれぞれの鏡の中からするりとサクヤの分身が
抜け出てきたのだ。

「さ、サクヤさんがいっぱいなんだぜ!?」

 一体の分身なら昨日何度か見たが、ここまでたくさんの分身が出来るとは思っていなかった。
ざっと数えても10人はいる。それらの分身が、本人と同じように不敵な笑みを浮かべ、忍者刀を構える。

「サスケ、魔物の動きが止まったらこの鏡の円の中央上空に魔法で明かりを出してくれないか?」

 視線は敵に向けたまま、分身の一人がサスケに指示を出す。

「りょ、了解なんだぜ!!」
「いい返事だ。さて――――では、行くぞ」


 サクヤが動き出したと同時に、分身たちも高速で移動を始める。鏡を足場のように使いながら縦横無尽に
敵を取り囲む鏡から鏡へ飛び移り、魔物は全く身動きが取れなくなっていた。横で見ているサスケには
サクヤの姿はすでに目で追えていない。時折閃光が走り、直後に魔物の身体の一部が切り落とされていく。
それくらいしか視認できなかった。

 魔物は手足を切り落とされたことによって自由に動くことが出来なくなっていた。再生してもその都度
サクヤに斬られてしまうので同じことだった。それを見たサスケは今だと思い、鉄琴を構えて魔法をかける。

「サスケでポン!!」

 意図はわかっていなかったが、きちんとサクヤの指示通りにサスケは大きな電灯を出した。それを確認すると
サクヤと分身たちは鏡の円の外にすぐに退避した。

「一瞬目を閉じてろよ!!」

 サクヤの指示に従いサスケはすぐに手で目を覆った。直後―――!

 カッ!!!

 電灯の光を受けた鏡がその光を反射する。しかも吸収元の何倍もの明るさで。
四方からの強烈な光は身動きの取れなくなっていた影の魔物たちを苦しめ、
やがて魔物たちはギィイイイイイイイイとうめき声を上げながらどんどんと形を失い小さくなっていき、
最終的に手足もない真っ黒な球体が6つ浮かんでいるだけになった。

「なんか変なのが残ったんだぜ?」
「あれがアイツらの核だ。やはり影の魔物に光は定石であるな。さてっ!!」

 いつの間にか人数が減って4人になっていたサクヤたちがみな敵に向かって跳びあがり忍者刀を構える。

「奥義・百華連斬!」

 再びサクヤたちの姿は見えなくなった。直後、斬撃音だけが辺りに響いたかと思うと、魔物の核は
粉々になるまで切り刻まれ、鏡の反射光にかき消されてしまった。

「ふわぁ……すごいんだぜ……!」

 サクヤたちははサスケの前に降り立ち、そのうちの一人が印を結ぶ。すると残りの3人はすぐに鏡に
戻ってしまった。

「どーだサスケ! 某も結構強いだろ?」
「ホントにすごい強いんだぜ!! びっくりしたんだぜ!!」
「あの魔物は形からして影の魔物のようだったからな。おそらくこの空間の影も利用して大きくなっていた
のだろう。お主が出してくれた光を我が魔鏡で増幅し、影を打ち消したのだ」
「へー……なるほどなんだぜ……あれ、そういえば鏡はそれだけなんだぜ?」

 昨日サクヤが見せた分身のように今回も鏡を媒介にしていたようだったが、サクヤの今手元にある分身媒体の
魔鏡が3つ。先ほどの分身ではその3倍はいたのに、とサスケは不思議に思ったのだった。

「ああ、実体を持つ分身……真分身は3体までが限界だからな。さっきの分身の大半は幻術だ。
光の屈折を利用しているんだがな。実体の攻撃は4人だが、高速移動での攻撃によって相手に大人数での攻撃で
あると錯覚させるのだ」
「ほえぇ〜……」

 分身全員がサクヤが魔法で呼び出した鏡によって生まれた分身のように見えていたが、実際はそれとは別の
鏡を用いて実体のある分身を複数生み出していた。幻術というのはいかに相手がその幻を本物だと認識するかが
肝であるので、その使い手はそのための”だまし”の技術を色々と駆使する必要があるのだという。そうサクヤは
説明したが、サスケは呆けた表情を浮かべていた。おそらく半分も理解できていないのだろう。

「あやや……難しかったかな? まぁ、あー、あれだ。本物ばかりを見つけようとすればかえって足元をすくわれる
ということだよ。色んな幻術全般に言えることだからよく覚えておくのだぞ」
「はいだぜ!」
「では先を急ごうか」
 
 二人はさらにほこらの深部へと足を進めていった。



■ ぴこまる (46回/2011/08/12(Fri) 00:36:44/No4063)

14

 一方、ヤシチ・ネズミのペアも魔物たちに遭遇した様であった。

「のわぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 ヤシチは先ほどから二本足で爪を振り回しながら追いかけてくる猫型の魔物から必死で逃げ回っていた。
一見キバニャンゴのようにも見えるがマタタビダンスも効果がなく結構動きが速い。ヤシチは逃げながら
手裏剣で応戦しているがなかなか当たらない。

「逃げ回っているだけでは勝てないでござるよー。お主の手裏剣は大した腕前でもないんだからもっと引き付けて
から接近戦で処理するでござるー」

 ネズミは背の高い岩の上に腰かけて逃げ回るヤシチを眺めながらやる気のなさそうな声で助言する。

「いっ、言われなくてもわかってるのだ!!」

 文句を言いつつも武器を大きめの手裏剣に持ち替えて、それを刀のように使って魔物を斬るという
ネズミの指示通りの接近戦主体の戦い方に切り替えた。向こうも爪で攻撃を仕掛けてくるので紙一重だが、こちらの
攻撃の命中率は確実に上がる。ヤシチは次々に魔物を切っていくが如何せん数が多いので大変だ。流石にキツく
なってきたので、ヤシチは手裏剣を2、3度大振りして、魔物たちが一瞬ひるんだすきに後方の岩場に飛び移った。
そしてビシィッと音がしそうな勢いでネズミの方を指さし、先ほどからずっと言おうと我慢していたことをぶちまけた。

「というかお主も拙者ばかりにやらせてないでちょっとは手伝わんかぁあああ!!」

 敵が現れてからずっとネズミは戦闘に参加していない。魔物に翻弄されているヤシチをのんびり見ている
だけだ。時折自分の方に向かってくる魔物だけは片手間のようにクナイで眉間を射抜き倒しているが。


「……手伝い? 必要なかろう?」
「なっ……!?」

 ネズミが実に嫌味ったらしいニヤニヤとした表情を浮かべたのでヤシチも思わずおののく。

「だって拙者なしでもやれるくらいにお主は成長したのだろう? 自分で先ほど言ったものなぁ。ならお役御免の
拙者はお主のすばらしい成長ぶりを存分に観察させてもらうでござるよ♪ フフフのフ〜♪」
(こ……こいつ……!!!)

 先ほどうかつに挑発に乗って要らぬことを口走った自分をヤシチは呪った。こういう奴なのだと昔から
分かっていたのに………!! 

「ほれ、もう近づいてきてるでござるよ」
「げっ!!?」

 ネズミに言われてヤシチが下を見ると、先ほど引き離した魔物たちがすでに距離を詰めてきていた。
ヤシチは慌てて手裏剣を構え、また一人で魔物たちに応戦する。相変わらずネズミはニヤニヤしながら見ているだけだ。

「まぁどうしてもと言うならば……『拙者はとても未熟なダメ忍者です。優秀な忍者のネズミ様どうかお力を
お貸しください』とでも言えば助けてやらんでもないでござるよ?」
「だ、誰がそんなこと言えるか!!!」
「なら一人で頑張るんでござるな〜」
「薄情者ぉおおおおおおおおおおおお!!!」

 ヤシチのむなしい叫びがほこらの中に響いた。

===============================================

 同じころハンゾーとヤマネは、地図に沿ってほこらの深部へと降りていくところだった。
ほこらの中の広さや内部構造の複雑さは想像以上のもので、地図がなければ出口に戻れるか心配になるくらいだ。
一応念のために2、3歩毎に地面に蝋石で印を書きつつ、二人は慎重に進んでいった。

「ヤマネ、あとどれくらいかかりそうなのら?」
「地図通りだと大体3分の1くらいでしょうか……」
「まだまだ全然着きそうにないのら〜……」 

 このルートは比較的安全だったのか今のところ敵には遭遇していない。けれど足場も視界も悪いところを
延々歩き続けるのはまだ幼い彼らにはなかなか酷だった。ハンゾーがため息を吐き、少し休もうと岩場に腰を
下ろす。その時、

 ゴトッ!

「うわぁっ!!」
「ハンゾー先輩!?」

 ハンゾーの腰かけた岩は、ハンゾーの体重がかかった瞬間大きく沈んでしまった。
岩が急に動いたせいで転んでしまったハンゾーは強か腰を打ち付け、涙目になりながら起き上がる。

「いたたた……なんなのら……」
「大丈夫でございますか先輩………あら?」

 自分たちが今しがた来た方から音が近づいてくることに気が付きヤマネは振り返った。
その音が近づくにつれて地面が振動する。そして、音の原因を視界に捉えた瞬間2人は慌てて走り出した。

「あ、あれはまずいでございます!!」
「つ、つぶされちゃうのらぁ〜!!」

 自分たちの身の丈の4倍はあるであろう巨大な岩がこちらに向かって全速力で転がってきていたのだ。急いで逃げるが
どんどん距離を詰められていく。今二人がいるあたりは道幅が狭く、横に避けることもできないので二人は岩の前を
ひたすら走って逃げるしかなかった。

「あ、ヤマネ!! そこに横道があるのら!!」
「は、はい!! ひとまずそこに退避するでございます!!」

 あと少しで押しつぶされそうな距離まで岩が迫ってきたその時、ハンゾーが右の壁に道が空いているのを発見し、
二人は急いでそこに飛び込むようにして避難した。しかし直後後悔することになる。


「「えっ……!?」」


 二人が入ったその先は……下の見えない絶壁になっていた。

「うわぁああああああああああああああああああああ!!」

 勢いよく飛び込んだために踏みとどまって戻ることも出来ず、二人はそのまま真下に落下していった。

「なんでこんなに大きな崖があるのらぁあああ!!」
「これは……まずいでございます!! はっ!!」

 ヤマネは空中で一回転して体制を整え崖に足をつけると、そのままその岩壁を走りながらハンゾーの方へ
向かう。落下に慌ててしまって余裕のないハンゾーはまだ自由落下を続けている。

「ハンゾー先輩!! 今助けるでございます!!」

 ハンゾーと同じ高さまで追い付くと、ヤマネは岩壁を蹴ってハンゾーを空中で捕まえる。そしてすぐさま
懐から鍵縄を取り出し、落下しながらも岩壁の上の方に向かって投げた。落下しているヤマネ自身も落下している
ので、投げる位置を調節するのは至難の業のはずだが、鍵縄はまっすぐに崖の上部に向かって的確に投げられ、
岩にしっかりと引っかかった。ガクンツという衝撃と同時に落下も止まり空中で縄に揺られながら二人は
安堵のため息を吐いた。

「ハンゾー先輩、大丈夫でございますか?」
「あー……びっくりしたのら……ありがとうなのらー」
「やはりあらゆるところに罠が仕掛けられているようでございますね。慎重に行きましょう」
「はいなのら!」
 
 その後、ヤマネが引っかけた鍵縄を上まで登り、二人はまた先ほど歩いていた道筋に戻って行った。




=================================================

「………ほうほう、流石なのです。想像以上に実力を上げていますね。こんな適当に作った魔物やトラップに
相手させていてはもったいないのです」

 3組の忍者たちを静かに見つめながら、彼女は嬉しそうに口元を緩めた。


「………小生もそろそろ出ましょうか」


=================================================
長いこと間が空いてしまって実にすいませんでした^^; テスト期間+文章の組み立てに難航して
おりました。やっぱり人数多いとそれぞれ見せ場を作るのが大変ですね。思った通り若干の偏りがww
サクヤのシーンは色々と設定も見せたかったので少々長め。
次回からやっと敵キャラが姿を現してくれます。

ではでは!!


■ ぴこまる (48回/2011/08/18(Thu) 20:26:26/No4086)

こんばんは!続きを投稿させていただきますね!

15

「かなり進んだな……ようやく敵も落ち着いたようだし」

 サクヤはそう言って刀を鞘に納める。

 先ほどの影の魔物の後もかなりの数の魔物と戦闘を繰り返してきたもののサクヤにはさほど疲れは見られない。
流石に長年旅をしながら修行していただけのことはあって戦闘は慣れっこのようだった。

「もう少しでこの宝石を祀るための祭壇があるはずだ。そこに着いたらとりあえずひと段落だな」
「オイラすっごい疲れたんだぜ………」

 サクヤとは対照的にサスケはもうヘトヘトだった。ほとんどの魔物はサクヤの手によって倒されていたのだが、
長い時間戦いの緊張感を解くことが出来ないままでいることはやはり見習い忍者には大変なことだったらしい。

「まぁ……無理もないな。ちょっとだけ休むか?」
「だ、大丈夫なんだぜっ」

 サクヤの進言をサスケは断り、疲れを振り払ってまた元気を出そうとする。やはり女性の前で情けない部分をあまり見せたく
ないのだろう。やはり男の子なのだなぁとサクヤはくすくすと笑う。

「わかったわかった。では進むか………しかしお主は想像以上に働いてくれたな。某はとても感謝しているよ」
「ふぇ? ホントなんだぜ?」
「ああ! 家に帰ったら楽しみにしてろよ♪ とっておきの写真を見せてやるからな」
「わーいだぜー!!」

 小さな子の無邪気な笑顔はいつ見ていても飽きない。元々世話好きな彼女はこうして父のもとに修行に来る
弟子たちの頑張っている姿を見ることが昔から大好きなのだった。

「さて、次の進路は……ん?」

 先の進路を確認しようとサクヤは地図に目をやったが、妙な違和感を感じ、地図と見比べながら冷静に
辺りを見渡した。サスケはサクヤの様子が突然変わったことに首をかしげる。 

「どうかしたんだぜ?」
「やはり………地形が変わっている」
「え?」

 地図によればこの先は一本道のはずだ。なのに目の前には2つの入口。サクヤは眉間に少々しわを寄せる。 

「―――先ほどからなんとなく気になってはいたんだ。このほこらは地図に表記されている地形といくらか
違いが見て取れたからな。ここまで道がそれることはなかったのでさほど気にしなかったが……」
「ど、どういうことなんだぜ?」

 ここに至るまでにも表記されている目印の位置が微妙にずれていたり、地図にない横穴が出来ていたりして
いたのだが、進むうえでさほど影響はなかったためにあまり考えないようにしていた。しかしここまで露骨な
変化が見られるのであればさすがに無視するわけにもいかない。

「やはり結界のバランスがおかしくなって封印されているものが外部に影響を及ぼしているということ
なのかもしれぬの……」

 シショーが軽いノリで任せたので忘れがちだが中に封印されているという魔物は大昔から封印されている
悪の妖精なのだ。書物に載っているような情報や聞いた話以上の危険がある可能性はある。もしや自分たちが
考えている以上に状況は深刻になっているのではないだろうかとサクヤが一抹の不安を感じながらそうつぶやくと、

「おっしーい。ちょーっと違うのですよ」

 サクヤの言葉に応対するかのように聞こえてきた間延びした声。

「え……!? 誰なんだぜ!?」
「この声……! あっ!!」

 どこからか聞こえてきた声に反応して二人は慌てて振り返った。するとその方向から無数の糸がこちらに
向かって一直線に飛び出してきていた。サクヤはサスケをかばって前に立ち、忍者刀に手をかけようとしたが、
その糸はサクヤが刀を抜く前にサクヤの両手両足をしっかりと捕まえてしまい、サクヤは身動きが取れなく
なってしまった。
 
「サクヤさん!!!」
「くっ……不覚を取った……!!」

 完全に拘束されたサクヤは糸に引っ張られてするすると上の方へ持ち上げられる。暗くてよく見えていなかったがほこらの
上部には糸がまるで蜘蛛の巣のように張り巡らされていて、サクヤもその巣に固定される。サスケが糸を切ろうと懸命に
手裏剣を投げるが全く切れる様子はなかった。やはり特殊な術を施しているようだ。

(さっきの声………それにこの糸……いや、そんなわけは……!!)

 先ほどの声はサクヤにとって聞き覚えのある声だった。だからこそ一瞬攻撃への反応が遅れてしまったのだ。
ずっとききたかった声……でもここで聞こえてくるはずもない声。それはまた再びサクヤの耳に飛び込んでくる。

「封印されているものが影響を及ぼしているのではなく、その部下が頑張っているのですよ♪」
「お前……何で……!!!」

 ほこらの上部の暗がりからゆっくりと姿を現す妖精の影。浮かんでいるようにも見えるがどうやらサクヤを縛っているのと
同じ糸を足場に使っているようである。ほこら内の薄い灯りによって妖精の顔が映し出されるとサクヤは驚愕の表情を浮かべた。

 そこにいたのは長年会っていなかった妹自身であったのだから。

「お久しゅう、姉様。小生のことを覚えておいでで?」
「クマリ……!!」

 紺色の忍者服にオレンジ色のセミロングの髪。片方側の上部だけ髪を束ねており、頭巾の結び目がリボン
のようになっている。見た目は可愛らしいのだが放っている雰囲気はなぜかとても嫌な感じだ。

「クマリって……サクヤさんの妹の……?」

 昨日の食事の時にチラリとヤシチたちの会話の中に出てきたヤシチの幼馴染、サクヤの妹。

「あら、すでに小生のことを知っておりましたか。初めましてなのです小さな忍者さん」

 クマリは礼儀正しい言葉づかいでサスケに向かって微笑むも、その表情にどことなく不気味さを感じてサスケは
身震いする。反射的にこの人は危ない人だと察知した。クマリが手元の糸を数本引くと縛られたサクヤはクマリの
目の前にまで移動させられた。クマリはそっとサクヤの長い髪に触れながら冗長な口調で話しかける。

「ホントにお久しぶりなのです姉様。5年ぶりでしょうか。小生の声に反応して攻撃が遅れてしまったのです
よね?相変わらず実にお優しい姉様で小生は嬉しゅうございます」
「そんなことはどうでもいい!! 一体どうしたというのだ!? どうして某たちに攻撃など……!!」

 至極穏やかに微笑みながら話すクマリと対照的にサクヤは驚きと戸惑いの表情を隠せないでいる。

「簡単なことですよ姉様。先ほども申しましたでしょう?」

 そう言うとクマリは鋭い視線でサクヤの方を睨む。口元は無邪気に歪んでいる。サクヤは、自分の記憶にない
妹の表情に背筋を震わせた。

 知らない……こんなクマリは知らない………!!! 

 そしてクマリはそんなサクヤを突き放すようにして宣言をする。

「―――小生は姉様たちの敵なのですよ」
「………なんだって……!?」

 状況からうすうす勘付きつつも、決して彼女の口からはききたくなかった言葉だった。 

「小生はこのほこらに封じられている偉大なる悪の化身―――マダラ様に忠誠を誓う身。だからお仕事を
完遂しなければならないのです。だから……このまま捕まって頂きますよ」
「何を馬鹿な!! お主に一体何があったというのだ!! そんな得体のしれないものに手を貸すなど……」

 クマリの表情には心からその悪の化身とやらに浸透している様子が見て取れた。そのことが余計にサクヤを
焦らせた。自分の知っているクマリは絶対にそんなものに興味を示すような子ではなかったから。そんな
心配した表情のサクヤを小ばかにしたような目でクマリは苦笑する。

「人のことをとやかく言っている場合ではないと思うのですよ? 小生の狙いは姉様だけではないのですから」
「何……?」
「ホント……細かく分散して行動してくださって非常に助かったのですよ。こちらとしても一度に大人数を
相手にするのはあまり好きではありませんし……」

 サクヤとサスケの表情がサッと青くなる。回りくどい言い方ながらも、クマリの言葉の意図する意味は
はっきりと伝わった。 

「お前……まさか……!!」
「あはっ、狙った獲物は逃しませぬ。全員捕まえさせていただくのですよ……!!」

 邪悪な笑顔を浮かべながらクマリは心底楽しそうにそう言った。

=========================================
やっと……やっと敵キャラを……クマリを出すことが出来ました。気がつけばもう15話目…遅ぇorz
クマリはサクヤとは比較的性格が真逆な感じなので人気が出るか不安ww作った本人としてはそこそこに
好きなんですけどね。嫌味な子は大好きです。

次はクマリのキャラデザを上げようと思います。


■ ぴこまる (49回/2011/08/18(Thu) 20:38:08/No4087)

名前:クマリ
性別:女
年齢:ヤシチの1つ上
楽器:カバサ
好きなお菓子:甘納豆

ヤシチの師匠の娘さん。サクヤの妹。優秀な姉に対して昔から劣等感を感じていたが、実際はそんなこと
感じる必要がないくらい十分強い。一人称は「小生」。「〜なのです」が口癖。姉に対する劣等感のせいもあって、
同じようにエリートな兄のような存在(ネズミ)がいるヤシチのことをなんとなく似たもの同士だと感じていたため
比較的ヤシチには甘かった。ネズミのことは昔からかなり嫌っており、彼に関してだけはかなりツンツンしている。
今のようになる前から結構腹黒。糸と薬を使った術が得意。姉に負けないように密かに幻術のスキルは磨いていた様子。
悪の化身のマダラから色々と力をもらっているためか闇の術も扱える。


あんまり書きすぎるとネタバレになっちゃうなー^^;
とりあえずこの子の配色にめちゃめちゃ迷いました。クマリは今でこそこんな感じですが、実際は悪い子ではなかったん
ですよ? 早く進めて過去の回想にまで飛びたいもんですがだいぶ先になる予感w

ではでは!!

300×300

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■ いっちゃん (90回/2011/08/18(Thu) 22:47:36/No4088)

ぴこまるさん、こんばんは!

おぉ!クマリ登場ですね!!
しかし・・・何かあると思っていたけど、まさか敵キャラとして登場するとは・・・!(汗)
しかも可愛いぞっ!敵キャラなのに可愛いぞっ!!どツボなんですけどっ!!!←落ち着けよ
皆さんがどう思うかはわかりませんが、私はかなり好きなキャラですよ^^
そして相変わらずクオリティがお高くて・・・ww

劣等感・・・確かにその気持ちはわかるかも・・・。(私も上がいるので^^;
でも、果たしてヤシチはそれを感じているのか?(笑)
ヤシチとの絡みも見てみたいです^^あ、ネズミとの絡みも猛烈に見たいww
嫌味同士が絡んでいるのはすごく面白いので最高です!w
しかし・・・「小生」とはどうよむのでしょうか?←漢字パーの人
実はサクヤの「某ーそれがしー」もぴこまるさんの人物紹介を見ないとわかりませんでした(汗)

pixivのほうのミルヤシ女体化絵見ました!!
2人とももしかしたらその辺の女の子よりも可愛いじゃないか?ww
しかし、ヤシチの長い黒髪を見ていると安純が何故か思い浮かんできますね。
女体化ヤシチと安純、一回並んで欲しいな(笑)←
私も夏休み中は無理そうですが、ひまがあったらミルヤシ絵を投稿したいと思います^^

それではっ!


■ 月白 (34回/2011/08/20(Sat) 17:42:25/No4094)

ぴこまるさん、いっちゃんさん、こんばんは!

相変わらずのクォリティの高さにもう脱帽です!
新しいオリフェのクマリも可愛いです!
サクヤといいクマリといいぴこまるさんの画力の高さ&設定の素晴らしさは本当にすごいです!!
サクヤの頼もしい感じの性格も好きですがクマリのような性格や設定も大好きです!

敵として登場したクマリですがそうなってしまった原因はサクヤへの劣等感でしょうか…?
それとも他にも理由があるのか…、それに他にも部下はいるのか…、気になります!
さらにヤシチには甘くネズミは嫌い、という部分がとても面白い設定です!!
3人揃った場合の掛け合いがものすっっっごく楽しみです!!
新しくマダラ、という名前も出てきましたしこれからの展開に予測がつきません!!

ちなみに「小生」というのは「しょうせい」と読むのでしょうか?
(間違ってたらすみません!!)

pixivのぴこまるさんといっちゃんさんの絵は実は私も見せて頂きました!
お2人の絵がとても素晴らしかったです!!
いっちゃんさんの言う通りその辺の女の子よりも可愛いかも…!!

では続きを楽しみにしています!
それでは!!


■ ぴこまる (50回/2011/08/21(Sun) 13:16:50/No4096)

いっちゃんさん、月白さんこんにちは!感想をありがとうございます!

>いっちゃんさん
敵キャラの女の子はかわいくあってほしいと言うのが私の心情ですww
クマリ気に入ってくだされば幸いです^^個人的にはこの子割と気に入って
いるのでw(あれ、ただの親ばかだww

いっちゃんさんに上がいらっしゃったとは。お兄さん?お姉さん?
私は長女で上はいなかったのでちょっとうらやましかったりします。でも弟の方が
私よりしっかりしているので周りには私が妹みたいだとか言われるんですがw

クマリは結構プライドが高い子なので、あまり気にしなくてもいいところで色々考え込んで
しまうのです。クマリもサクヤと技のタイプは全然違えど十分強いので^^;
ヤシチは今はあまり劣等感とか感じてないんだろうけど、昔はそこそこに感じていたと思います。
なんたって自分の身近にいる忍者が全員エリートww 今はあんまり気にしてないにしても
たまーにネズミやサクヤとの実力差を感じてやる気出したりすればいいと思います。

小生は「しょうせい」と読みます。「小生」も「某」も結構昔の時代の一人称ですね。キャラが多くて
セリフが多い中目立つようにこの一人称を採用しましたw

女体化絵の感想もありがとうございますwあんなのとてもここにはあげられないww
レギュラーの男の子たちは女の子の格好したら相当かわいいですよね。彼らを好きな女の子たちが
それを見てやきもきしてればいいですwヤシチの長髪は確かに安純と似ている……。二人並ばせたら
姉妹みたいになりそうです^^


>月白さん
クマリが思いのほか皆さんに気に入って頂けて嬉しいです。次の話の彼女は悪な部分が前面ににじみ出ていますが
評判が落ちないことを祈りますww やはりオリジナルのキャラクターを出すためには設定をしっかり練り込んで
おかないとキャラが浮いてしまう気がするので、設定とデザインは結構考えております^^サクヤとクマリの
性格も両極端ですがお互いいいバランスで出来たと思ってますw

クマリが敵になった理由は後々明かしていきますがサクヤへの劣等感も原因の中にはあります。
長いスパンをかけてちょっとずつ明かしていきますので楽しんでいただければ幸いです。
マダラ様の出番は割と先になりそうだ……(またかよ

小生の読み合ってますよ^^ クマリやサクヤの話し方が古風なせいもあって難しい漢字を使いがちになるのは
ちょっと困ったものですね^^;あんまり難しすぎる字は読み仮名を書いておこうかな…。

おお、月白さんもあの絵を見て下さったのですね。これから色々とpixivの方にも投稿していこうと思っているので
また見てやってくださいねw

ではでは続きから小説になります。



■ ぴこまる (51回/2011/08/21(Sun) 13:21:25/No4097)

16

「ぜぇ……はぁ……」
「まーったく情けない奴でござるなぁ。あれしきの敵との戦闘くらいでもう疲労困憊とは」

 膝に手を置き肩で息をしている疲れ切ったヤシチを見ながらネズミは呆れたように肩をすくめる。

「やっかましい!! お主はほとんど見てただけではないか!!」
「最終的に敵を一掃したのは拙者でござるがな」
「あうっ……」

 長々と魔物の相手をし続けるヤシチを見ているのにも飽きたのか、あの後ネズミは傍観をやめて前線に
立ってくれた。そしてその直後、あれほどヤシチが苦戦をしていた魔物の群れを一閃で全てなぎ倒してしまった
のだ。この時ばかりはさすがにヤシチもネズミに対して何の文句も言えなかった。

(嫌味だし性格悪いし死ぬほど癪に障るが……やはり……コイツはホントに強い忍者なんだよな………)

 ネズミがいつもヤシチにあそこまで嫌味を言えるのも実際に実力が伴っているからだ。普段は嫌味に反応して
怒るばかりで考えもしなかったが、目の前でこうしてはっきりと実力差を見せつけられては改めてネズミの強さを、
そして自分の未熟さを認識せざるを得なかった。昔からわかっていたこととは言っても……やっぱり悔しかった。


「……拙者も………お主みたいに………もっと強くなれんのかな……?」


 ぼそりとつぶやくように言ったヤシチの言葉にネズミは思わず足を止める。そしてきょとんとした表情のままで
ヤシチの方を振り返る。

「……は?」
「え……な、なんでもない!!」

 ヤシチ本人も半ば無意識に口にしてしまっていたらしく、自分がものすごく恥ずかしいことを言ってしまった
ことに気が付くと慌ててパッと口を押さえた。しかし言った言葉は戻らない。ヤシチがちらりとネズミの方に視線を
向けると、ネズミは今日一番楽しそうな表情を浮かべていた。

「……なんだ? 実力差を痛感して珍しく真面目に修行する気にでもなったでござるか?」
「え、や、違うっ! そ、そんなんじゃないのだ!!」
「じゃあ何でござるか?」
「……いや、あの……」

 慌てて隠せば隠そうとするほどにどんどんドツボにはまっていく。顔を真っ赤にして焦るヤシチの姿に、
ネズミは笑いがこぼれるのを抑えられない。

(そう言えば昔はよく後ろ引っ付いてきたでござるよなー…『ネズミ兄ぃみたいに強くなりたい』とか言いながら)

 嫌味を言ったりいじめたりしているうちにいつのまにかそんなことはなくなっていたけれど。今思うと何だかんだで
あんな風に懐かれるのも悪くなかったかもしれないな……などとネズミは一瞬思ったが、やはりこうしてからかって
遊ぶ方が性には合っていると思い直した。

 しかし正直今のヤシチがこんなことを口にするなんて思いもよらなかった。今回はそれなりに真剣なのかもしれないと思い、
ネズミは多少は真面目に返してやることにした。やる気のある奴は別に嫌いではない。

「まぁ……伸びしろはあるでござろうよ。現状これだけ弱いのだから」
「ひ、一言余計なのだ!!」
「強くなりたいならもっと修行すればよかろう。成長が止まるのはそいつ自身が妥協した時なのでござるからな」

 自身が妥協した時に成長が止まる。だからこそ絶え間なく努力を続ける。これはネズミが昔から抱いている信念でも
あった。元々才能にあふれていて幼いころから並の大人忍者でもかなわないほどの実力を持っていたネズミだが、
決して妥協することなく修行に打ち込み続けていた。だからこそ自分の強さにも誇りが持てるしもっと強くなれるように
と前向きに修行を続けてこれたのだという。普段エリート自慢を散々されてきたヤシチからするとこの言葉は少々意外だった。
しかし、才能だけで素晴らしい忍者になったと思っていたネズミが意外と努力型であったことはヤシチとしては少々
嬉しい事実でもあったので自然と口元が緩んでいた。

「……なんだその顔は」
「べっつにー? 何でもないのだ」

 先ほどとは逆にニヤニヤしているヤシチにネズミが少々気恥ずかしそうな表情を浮かべる形になってしまった。
どうにも最近自分は他人に隙を見せすぎているのではないかと心配しつつ、ネズミは表情を隠すようにヤシチに
背を向ける。

「まぁ、普段のあんなぬるい修行では到底成長は見込めそうにないがな。どうしてもと言うのならば拙者が
今度修行を見てやらんことも…………っ!?」

 目の前の暗がりの中で何かが一瞬光るのが見えた。そしてわずかに風を切る音。 

「下がれ!!」
「えっ……な、なんだ!?」

 ヤシチを自分の後ろに押しやり、暗闇からいきなり飛んできた何かをネズミはクナイで片っ端から
はじき落とした。ちゃりちゃりと音を立ててそれらは地面に落ちる。

「千本……だと……? これは……!!!」

 この武器を用いる者はネズミの知っている限り彼女しかいない。個人的には出来れば絶対に会いたくない相手。

「あーあ、今のでさっさと倒れてくれれば楽だったのですが」

 急に聞こえてきたその声はまさしくネズミの嫌う幼馴染の声であった。声に反応して二人が顔を上げた先に
クマリはどこからともなく姿を現した。クマリは不意を突いたはずの自身の攻撃が当たらなかったので少し不満げだ。

「え……クマリ……姉ぇ?」

 目の前に現れた幼馴染にヤシチはポカンとした表情を浮かべる。5年ぶりであるが見た目の特徴はほとんど変わっていない。
服の色がちょっと違うくらいのものだ。

「お久しゅう、ヤシチ。お変わりないようで何よりなのです」
「あ、ああ……クマリ姉ぇも久しぶりなのだ」

 クマリはヤシチの顔を見るとにっこりと笑った。ヤシチもついそれにつられてにこりと笑い返していた。

「お主……何故ここにいる?」

 警戒心のあまりないヤシチとは違ってネズミはキッとクマリを見つめ、静かな口調で問う。昔から知っている顔であり
元々あまり仲が良くなかったとはいえ、クマリとは仲の良かったヤシチが一緒にいるにも関わらず明らかに自分たちを
攻撃してきた彼女を不審に思うのは当然だ。しかしネズミの問いかけにクマリは至極馬鹿にしたような態度で答える。

「そりゃあ小生にはここで仕事があります故? お主と違って暇ではないのですよ色々と。しかしあいっかわらず
憎たらしくて見ているだけでうんざりする顔ですねネズミ」
「それはこちらのセリフでござるよ。心なしかお主は前にもまして性格悪そうになったように見えるでござるがな」
「ホントに失礼な男なのです。でもお主も使えば便利そうですからね。捕まえさせていただくのですよ?」

 ぴくり、とネズミの眉が動く。昔から付き合いのあるヤシチは、ネズミが久しぶりに本気でイラついているのを
感覚的に察した。ネズミとクマリは幼いころからずっと誰もが認めるほどの犬猿の仲だったのだ。二人が言葉を
交わすたびに場の空気が張り詰めていくようだ。絶対零度の空気が流れる中、二人は武器を構える。

「―――フフフのフ〜♪ よくもまぁそんな口がきけたものだな。拙者に向かって」
「あっは♪ お主だからこそですよ。小生は基本的に品行方正が売りの素敵な淑女ですから」

 二人とも口調は軽く口元も笑っているが目は完全に冷えきっている。ヤシチはまだ状況が飲み込み切れていなかったが
今にも本気の戦いが始まってしまいそうな二人の空気が恐ろしかったし、何より、昔から見てきた二人の喧嘩の
雰囲気と何か違ったものを感じたのだ。主にクマリの方に。昔からこの二人の喧嘩は見ているだけで不安になるくらい
すさまじかったが、幼馴染としての一線は超えていなかった。しかし、今回は何か違う。本当の敵同士の戦いのような
そんな空気。とにかくいったん仲裁しようと二人の間に立った。

「や、やめるのだ二人とも!! クマリ姉ぇ! とにかく落ち着いてほしいのだ!!」
「……下がっていろ馬鹿者」

 そうやって説得しようとするヤシチの首布を掴んで引っ張り、ネズミは自分の後ろにヤシチを追いやる。
急に後ろに引かれたのでバランスを崩し、ヤシチは強く尻もちをついた。

「な、何を……!!」
「あれはお主の知っているクマリではないでござる」
「え……?」

 文句を言おうとするヤシチをぴしゃりと遮ってネズミは静かに言った。目線はクマリの方を向けたまま。
ヤシチが戸惑いながら再びクマリの方を向くと、クマリはネズミの時とは違った優しげな表情を見せる。
しかし……ヤシチはここにもまた変な違和感を感じた。

「ヤシチ、相変わらず優しいのですね。だからお主はできるだけ痛くないように捕まえてあげるのですよ?」

 ひどく優しい笑顔に眩暈がする。この笑顔は自分が知っているものと同じのはずなのに、全く違うものを
感じ取ったのだ。それに、優しい口調で言っているものの、彼女は自分たちを二人とも捕まえようとしている。
目的はわからないが、少なくともこんなに楽しそうな表情で自分たちに危害を加えようとするクマリは
ヤシチの記憶の中にはいない。

(違う、拙者の知っているクマリ姉ぇと……!)

 戸惑うヤシチをよそに戦いは始まる。

「行くのです!!」



■ ぴこまる (52回/2011/08/21(Sun) 13:44:32/No4098)

17

 先に仕掛けたのはクマリであった。大きなモーションから素早く十数本の千本を投げる。この武器は針のような
形状をしているために一度にたくさん投げられることが特徴だ。反面攻撃力は低く軌道が分かりやすい。
どちらかと言えばマイナーな部類に入る飛び道具である。

「ふん、そんな武器がただ投げただけで当たると思って……むっ?」

 しかし、使い手がクマリである以上そう単純には行かない。こちらに向かって投げられたと思われた千本は
急に大きく外側にカーブし、弧を描きながらこちらに向かって飛んできたのだ。武器の構造上一度手を離れたら
直線状にしか飛ばないはずであるのに。

「方向が変わった!?」
「……お得意の糸でござるな。千本自体ではなく、それらを通した糸を操っておるのでござろう?」

 ヤシチは焦っていたがネズミはあくまで冷静に分析を行う。彼女の投げる千本は通常の一本の針のようなものと少々違い、
真ん中あたりに小さなかぎ型の出っ張りがあった。おそらくそこに糸を引っかけ、糸自体を操作して千本の動きをコントロール
しているのだろう。ほこらの中であるために薄暗くて糸をはっきりと視認することは難しいものの、クマリの得意な技は
おおよそ知っていた。昔からよく喧嘩の流れで本気の勝負を何度もしたことがあったから。クマリも見破られることは
予想していたようで全く動じはしなかった。

「ご名答なのです。しかし……」

 クマリは再び右手に千本を構える。

「直接狙うことも可能なのですよっ!!」

 今度の千本はまっすぐ飛んできた。糸で操っている千本の曲線の軌道に加えて直線軌道の攻撃を始めたのだ。
手元を離れた瞬間には、こちらからは全くどちらがどちらかの判別はつかない。たくさんの千本があらゆる軌道を
描きながら二人めがけて向かってくる。

「ど、どうするのだネズミ!?」
「うろたえるな。お前は何もせずにじっとしてるでござるよ」

 全く慌てる様子もなくクナイでそれらを叩き落としていくネズミ。数が多いからと言って焦ってしまっては相手の
思う壺になる。威力の強い武器ではないのだからしっかりと見定めていれば比較的叩き落とすことは容易だ。
もっとも、ネズミの基準ではあるが。

(しっかし相変わらず小器用なやつでござるな……)

 右手で千本を投げつつ左手で糸を操っているのだ。全ての糸がどのように張り巡らされているかをきちんと把握し
なおかつそれを操る細かな技術が伴わねばこんな技を使うことは出来ない。ネズミとしては認めるのは癪であったが
やはりクマリも姉と同様に優秀な忍者であった。

(だが……まだ甘いでござる)

 一通りの千本を叩き落とすとネズミは地面を蹴り、クマリの方へ向かっていった。クマリはすぐにネズミめがけて
千本を投げるも、ネズミは全く速度を落とすことなく先ほどと同様に全て叩き落としていく。 

「いかに軌道が変わろうとも最終的にこちらに向かってくると分かっているのならば撃ち落とすのは容易でござるよ」
「さっすがエリート様。でも……油断していると痛い目見るのですよ♪」

 残りあと20mほどの距離。クマリは再び千本を放つ。一直線に自分に向かって飛んでくるそれを先ほどと同様に
クナイではじこうと腕を振った……が。

 ヒュンッ

「!?」

 ネズミは今、目の前に飛んできた千本を確かにとらえたはずだった。しかし………手ごたえが全くなかった。
薙いだクナイは大きく空を切っていた。クマリは満足そうに微笑む。

「幻術が使えるのが姉様だけなどとは思わないでほしいのです」
「なっ……しまった!」

 クマリの左手の指が糸を引くような動作をしたのを見て、ネズミは急いで振り返るが、すでに遅かった。
弧を描きながらネズミの後方に回り込んだ千本がネズミの左腕を突き刺さってしまったのだった。

「ネズミ!!!」
「ちっ……!」

 ネズミは痛みに耐えつつ体制を整え着地し、後ろ跳びに下がりクマリから距離を取る。
ヤシチは慌ててネズミのもとに駆け寄って行った。

(くそ……ぬかった………まさか放たれた千本の一部が幻術であったなんて……!!)

 あれだけの数の千本も、幻術を悟らせないためのフェイクであったのだ。それらは本気で当てるつもりで
投げられたものではない。全てはこの虚をついた一撃をくらわせる為のクマリの作戦であった。

「ネズミ! 大丈夫なのか!?」
「く……こんなものが一本当たった程度でやられるはずが……」

 腕に刺さった千本を引っこ抜き、再びクナイを構えようとすると……

「……っ!?」

 グラリ。

 急激な眩暈と眠気。一瞬平衡感覚を失って大きくバランスを崩し、そのままネズミは地面に倒れ込んでしまった。

「え……どうしたのだ!? ネズミ! ネズミ!」

 突然目の前で倒れてしまったネズミを慌てて揺り起こそうとするヤシチ。その光景を見ながらクマリは楽しそうに
笑っている。

「あっは♪ 小生がどうしてこんな威力も低くて弱い飛び道具を主要武器として使っているかわかりますか?
『糸』の他に小生が得意とする『薬』と実に相性がいいからなのですよ」
「薬!?」
「な……何を……」

 ネズミは必死で身を起こそうと腕に力を入れるようとするがなかなかうまく行かない。全身の神経がひきつった
かのようにしびれてしまっている。それに少しでも気を抜けば意識が飛びそうなほどの強烈な眠気。

「特製の睡眠薬としびれ薬をブレンドしたものを千本に塗りつけてあったのです。即効性がありますからすでに
急激な眠気と全身の麻痺症状が出てきているはずなのです」
「そんな……!!」

 クマリの作る薬がとても良く効くことはヤシチもよく知っていた。本気で攻撃のためにそれが使われれば
どれだけ恐ろしいかもよくわかっている。

「心配せずとも大丈夫ですよヤシチ。別に体に後遺症が残るものではありませんし、ちょっと大人しくおねんね
していてもらうためのものなのです。それにお主にはこんなもの使わないのですよ? お主は素直ないい子ですし
小生の言うこときいてくれますものね? 小生はあまりお主に手出しをしたくないのです」
「くっ……!!」

 優しい口調ではあるがこれは露骨な脅しだ。クマリは昔からヤシチに甘かったのでこう言っても違和感はない
かもしれない。しかし、彼女のセリフは裏を返せば『言うことをきかなければ同じことをする』ということだ。
昔の彼女ならともかく今のクマリはそれをやると思わせるだけの邪悪な雰囲気がある。しかし彼女に抵抗できる
だけの忍術の腕は自分にはないし、どうしたらいいのかヤシチは戸惑ってしまう。

「うろたえるな……馬鹿者め」
「ネズミ……!」

 ネズミはなんとか身体を起こし、立ち上がってクマリの方を睨みつける。しかし、しびれはやはり酷いらしく
身体のあちこちが震えている。意識が飛ばないようにしっかりと歯を食いしばっているネズミの表情を見て
クマリはとても嬉しそうであった。

「あっは♪ やはり一撃くらいは耐えますか。大型のペット妖精でも眠らせられるくらいに強力だと言うのに
しぶといのです」
「調子に乗るな……毒虫女……っ!!」

 しびれる手に力を込めてしっかりとクナイを握り締める。ヤシチが止めようとするがネズミはきこうとしない。
クマリは再び千本を両手に構える。

「さーて、根比べなのです。どれくらい耐えますかね? 楽しみなのです。あはっ♪」

=========================================================
なんだか心なしか長くなってしまったのはどうしてなんだろうw この子らシリアスが似合うので
モノローグの数が増えすぎる^^;ネズミとクマリのセリフも考えるの楽しいですね。殺伐としててw
ちなみクマリの技はリ○ーンのベルフェゴールの技から応用しました。リ○ーンは初期しか読んでなかったけど。

ついでに補足するとクマリもサクヤとはまた性質が違う術ですが分身使えます。

ではでは^^


■ いっちゃん (91回/2011/08/21(Sun) 20:47:42/No4100)

ぴこまるさん、こんばんは!

ただいま宿題(というか社会の新聞)に追われて頭が痛くなっています・・・。
しかし、休憩もかねて見てみた小説版でこんなにテンションが上がろうとは!
ネズヤシっ!!ネズヤシシーンハンパないっ!!!!←落ち着こうか
前にぴこまるさんが前半はネズヤシシーンが多くなるといっていたので納得しました^^
実はこのお話を最初から読み直してみましたww
そういえば、今は全体でいうと5分の何ぐらい話が進んでいるのでしょうか?
ミルモ達は5分の3あたりで出てくるといっていましたが・・・。
でも、もうすぐほこらのシーンも終わってくるのかな?

そういえば、サクヤ達がクマリと戦っているときとネズミ達がクマリと戦っているときは同じ時間枠で戦っていますよね?
クマリも幻術が使えるということはこれはサクヤの様に分身をしているのでしょうか?
しかし・・・忍術に加え、幻術・・・さらには薬まで扱えるとはっ!!
なんという恐ろしい敵なのでしょうか。。薬まで使われると絶望感がww
はたしてネズミは耐え切れるのでしょうか?
なんとかネズミがクマリを追い払い、苦しそうなネズミをヤシチが心配して介護したらなんとおいしいか←
(二つの意味でちょっと難しそうですが・・・^^;)
次はヤマネとハンゾーのターンでしょうか?

私は25日から学校が始まるのですが、学校が始まったら時間に余裕が出来るので小説の方も再新していきたいですね。
ずっと停止状態だったので・・・(汗)ぴこまるさんや他の方の小説を読んでいたら私も書きたくなってきましたww
しかし、絵のリクエストも溜まっているし、小説も全然再新できてないし・・・どんだけ仕事が遅いんだっ!私はっ!!><

それではっ!


■ こやまる (1130回/2011/08/22(Mon) 08:41:48/No4101)
http://www.murumoya.com/


ぴこまるさん、皆さん、おはようございます☆

まさかのネズミのピンチで、ヤシチの真の実力が試される時がやってきましたね。
これまでネズミやサクヤといった実力者の隣で劣等感丸出しだったヤシチくん、クマリの殺伐とした雰囲気には持ち前の優しさとギャグパワーで立ち向かって欲しいです。
忍術で立ち向かうと一瞬でやられてしまいそうなので・・・(^^;。

そんなクマリもまた劣等感の固まりですね。
幼い頃、ヤシチと組んでエリートな姉やネズミに対していろいろいたずらしていたんだろうなぁと勝手に妄想してしまいました。
今後のストーリーで、過去のクマリのエピソードを少しずつ見てみたいなぁとさりげなくリクさせていただきます(^◇^;)。

幼い頃といえば、ヤマネちゃんの秘蔵写真は私も見てみたい!
サクヤはいったいどんな恥ずかしい写真を持っているのだろうか?
サクヤとサスケが結んだ約束はこの小説中に果たされることを切に希望します!

>「……拙者も………お主みたいに………もっと強くなれんのかな……?」
これほど屈辱なセリフは他にありませんね。
劣等感を抱く男子にぴこまるさんの愛が注がれていることを感じつつ、このセリフを伏線として、この後のヤシチの活躍をやはり期待せずにはいられないですね。

pixiv・・・私もミルモでポン!とは全然違う作品を公開する目的で使ってみようかなぁ。

では!




3639/ 澄風亜美と妖精達B
□投稿者/ ふら -2回-(2011/03/25(Fri) 17:21:36)

こんばんわ☆
中断したままだった小説『澄風亜美と妖精達』を再開したいと思います。
やっぱりちゃんと完結させたいので・・・。
今までのを読み返してみたんですけど、今と当時でネズミのキャラのイメージが違ったり、色々ツッコミどころ満載でした(途中で変えるのもあアレなのでそのまま突き進みます)
かなりの亀更新になると思いますが、よろしくお願いします(^^;

あと、一応47章まで書き終えていたのですが『いただきもの小説』には44章までしか載っていないので・・・。
48章から書き始めても大丈夫でしょうか・・・?
あ、それとイブ吉のところをふらに修正していただけたら嬉しいです><

では!


■ 月白 (16回/2011/03/25(Fri) 17:56:14/No3640)

ふらさん、初めまして!月白です!

小説再会するんですね!
「澄風亜美と妖精達」はとっても面白くて続きも気になっていたので嬉しいです!
私がムルモ屋に来た頃はもう過去ログにいっていてふらさんとイブ吉さんが同じ人とは思わなかったので驚きました。
続きが読めるとも思わなかったので楽しみです!

ふらさんの小説のネズミはとってもカッコいいです!
澄風亜美ちゃんや個性豊かなオリフェ達も大好きです♪
楽しみにしてます!

それでは☆


■ 夏田みかん (264回/2011/03/25(Fri) 18:21:01/No3641)

こんにちは(^^)夏田です♪

きゃああああああああああああああああ
ふらさーーーーーーーーーーーーーーーーーーんvV(黙れカスwww
小説再開されるんですね!?あっやべwktkする(((
更新遅くても構いませんよ^p^月白さん同様に、ふらさんの書く
ネズミってカッコイイんですよね。少年漫画のようなノリも
私好みで・・・・・・・・(((
続き楽しみにしてますよ!
では☆


■ いっちゃん (60回/2011/03/25(Fri) 22:25:22/No3642)

ふらさん、月白さん、夏田さん、こんばんは!いっちゃんです。

おおぅ!!あの超おもしろい小説の続きが読めるなんて・・・!
ちなみに私は47章全部見ました(^^)
ネズミが活躍していてウホウホですよ!! ←ウホウホ・・・?
ちなみに今でも思い出せるセリフはネズミの「演技に決まっているでござろう!」ですね(笑)
ネズミがギャグに巻き込まれて見ていて楽しいです。

私も月白さん同様、イブ吉さんだったことに驚き中です!
この人の小説おもしろいなぁ〜続き書かないのかなぁ〜などという悠長なことを思っていたら、まさか実現するとは・・・!
まあ、なにはともあれ、また小説の続きが読めることになって嬉しいです!

それでは、続きを楽しみに待っています!!


■ こやまる (1086回/2011/03/27(Sun) 10:13:28/No3652)
http://www.murumoya.com/


ふらさん、月白さん、夏田みかんさん、いっちゃんさん、こんにちは☆

連載再開!!(^^)
長らくこの時をお待ちしていましたよ。
長く続いていた連載でしたので、その分続きが気になるもので…。
どんなにゆっくりでもいいのでぜひがんばってください!!
かわいいケムリとケムロの活躍をもっと見てみたいです。

>あと、一応47章まで書き終えていたのですが『いただきもの小説』には44章までしか載っていないので・・・。
お、後で確認してみます。。
まだ確認していませんが、途中で章番号がずれて連載されていて、私の方で47章を44章に書き換えてアップしていたかも…。
本日夜にでも投稿者の名前変更を兼ねて、いただきもの小説を更新する予定です〜。

では!


■ ふら (3回/2011/03/28(Mon) 17:31:20/No3663)

月白さん、夏田さん、いっちゃんさん、こやまるさん、こんにちわ☆
皆さんのレスですごいやる気が出ました!(笑)

【月白さん】
初めまして、月白さん!
いつも月白さんの小説、読ませてもらっていましたー。
月白さんの小説は公式キャラもオリフェも生き生きしていて読んでいて楽しいです(^^)
その月白さんに私の小説を読んでもらえていたなんて感激です!
これからよろしくお願いしますね!

【夏田みかんさん】
レスありがとうございます〜。
私の書くネズミがカッコイイだなんて嬉しいですっ///
というか読み返してみると結構酷い目にあってますね、ネズミ(笑)
あっれぇ・・・当時も好きだったんだけどなあ・・・(^^;

【いっちゃんさん】
うおおっ、いっちゃんさんにまで小説を読んでもらえていたとは!
実はいっちゃんさんの小説も読ませてもらっていました〜。
いっちゃんさんの書くヤシチが可愛くて可愛くて・・・!
最近ヤシチの株が急上昇してるんですよね、私(笑)

【こやまるさん】
いただきもの小説の更新、ありがとうございました(^^)
亀更新ながらも頑張って最後までやろうと思います!
ケムリとケムロの出番もまだまだありますよ〜。

では早速続きを・・・。



48、潔癖症

「着きましたぁ〜。」
「こ、この小屋がそうなの?」
ようやく目的地にたどり着いたわけだが・・・。
小屋って言うか廃屋って言うか・・・。
「小さいね。」
「そりゃ小屋だしな。」
「こんなとこに何の用があるっていうの?ハトセは。」
「それはまだ分からんが・・・。」
ネズミがジト目でキトウを見た。
「お主はここに何の用があるのでござるか?」
「・・・え!え、ぼ、僕ですか?い、いや別に、その、用っていうか・・・。」
「・・・。」
怪しい。
とはいえイノリちゃんだけはそう思わなかったらしく「とりあえず中を見てみますねー。」と小屋を開けた。

「って、きゃあああああああ!!」

「ど、どうしたの!?」
今までのやわらかい表情をこわばらせて、突然叫んだイノリちゃん。
顔は真っ青だし、体が震えている。
「こ、この部屋・・・・・・。」
「な、何!?」
「すっっごく汚いですーーーーーーーーーー!!!!」
「・・・・・・は?」
ということで、私も部屋の中をのぞいてみる。
「・・・確かに汚いね。」
・・・でも、他に気になる点はひとつもない。
「ひいぃぃぃっ!見て下さいこんなにほこりがっ!きっと私がいない間誰もお掃除していなかったんです!あぁなんて不衛生なんでしょう!こんな汚い部屋に入るなんて体によくありません!待っていてください、すぐに私がお掃除して清潔な部屋にして見せますから!」
「・・・・・・・・・。」
「ま、待って下さい!こんな時に掃除なんて・・・」
「キトウさんは黙っていて下さい!!!」
「はい・・・。」
・・・・・・・・・・・。
キャラ変わってる・・・。
「だから、こいつ潔癖症なんだって。」
ヤイバの声に振り返ると、ヤイバとネズミはいつも通りの表情だった。
「・・・いつもこうなの?」
「こうなったら掃除が終わるのを待つしかないでござるなぁ。」
「そ、そうなんだ・・・。」
「さて、その間に拙者たちは・・・。」
「・・・・・・・え?」
私達の視線に気がついた時には、キトウは完全に私たち三人に囲まれた状態だった。


こんなタイミングで48章は終わりますが、次はミルモ達の方に視点が移ります(^^;


■ Me゜ (11回/2011/03/28(Mon) 18:46:24/No3664)


ふらさんはじめましてっ
自分はこの小説が大好きですv
ムルモ屋本舗にはまったきっかけだったりします!
まぢおもしろくて続きが読めるのをずっと待ってたんですよっっ

ネズミかっこいいしみんな個性があって楽しいし
分かりやすいって言うか読みやすい♪

一方的なファンになっちゃって...w
これからも楽しみにしてますね!



■ AI (1回/2011/04/01(Fri) 15:17:28/No3691)

小説素敵でした!


■ ふら (4回/2011/04/02(Sat) 16:15:42/No3703)

こんにちわ☆
全然課題に集中できない・・・気分転換に小説書きます(いいのか?)

【Me゜】
初めまして、Me゜さん!
嬉しいお言葉ありがとうございます(^^)
Me゜さんに小説も面白いですよ〜。
私はオリフェのツカサがお気に入りですv

【AIさん】
初めまして、AIさん!
私の小説が素敵だと言ってもらえて嬉しいですっ。
ぜひAIさんに掲示板で自己紹介してほしいです(^^)
その時は掲示板の注意事項を参考にしてみると分かりやすい記事ができると思いますよ!


49、リーダー

一方、こちらはミルモ達一行。
「ココロ?」
と、聞き返すのはミコク・・・ではなくミハクである。
「ああ、なにか知らねえか?」
ミルモ、リルム、ヤシチ、ムルモの四人に囲まれて質問されてきょとんとするものの「そりゃ知ってるわよ。」と答えるミハク。
「だって、うちのリーダーだもの。」
「な、なんだってぇ!?」
後ろでハトセが、
「だから言ったじゃねぇか。」
とすまし顔で言った。
「あら、あなたたちリーダーのお知り合い?」
「あ、ああ。」
「でも、お兄たま。」
「なんだよ。」
「ココロしゃんとお兄たま達は随分長いこと会っていないんでしゅよね?向うはお兄たまの事なんか忘れちゃってるかもしれないでしゅよ?」
「う・・・。」
「ミハクさん、ココロさんは今どこにいるんですの?」
ミルモが言葉に詰まったところで、リルムがミハクに聞いた。
「そうねぇ〜・・・どこかしら・・・?」
「自分達のリーダーの居場所も知らんのか?」
「そうは言われても・・・。」
そこでハトセが口をはさんできた。
「大体の居場所はどうだ?」
「大体?それなら分かるわ。」
「じゃあ早く言えよ!」
ミコクはミコクで困った性格だが、ミハクもミハクである。
中々会話が進まない事にイライラしてミルモが怒鳴った。
「も〜、そんなに怒らなくたっていいじゃない。えっと、リーダーは今ね・・・」

「この近くにいると思うわ。」


次回も視点変わります(ぇ


■ こやまる (1104回/2011/04/24(Sun) 23:46:33/No3782)
http://www.murumoya.com/


ふらさん、こんばんは☆
レスが遅くなりごめんなさいです。。

さて久々の連載再開ですが、以前と同じく一人一人のキャラに個性があっていいですね。
イノリは存在だけですでに個性抜群でしたが、それに潔癖症という設定までついて、ますます変わり者(?)になった感じがします。
そろそろしっかりオリフェ紹介があってもいいかも…なんて思っていたり(^^;。
他にもキトウやヤイバのイラストを見てみたいところです。

>「この近くにいると思うわ。」
曖昧なミハクにとっての「この近く」とはどれくらい近くなんだろう?
ミルモはこういう曖昧ではっきりしないキャラが苦手ですよね。

ストーリーは少しずつ進んでいるのかいないのか、いろいろな側面で描かれていますが、最後にはこの別々になっているピースがくっつくのでしょうか。
ふらさんによるストーリー展開が楽しみです。

では!


■ ふら (6回/2011/05/29(Sun) 18:17:46/No3889)

こんばんわ☆
かなりひさしぶりの更新です(^^;

50、煙のごとく

「そこの貴方」「そこのお前」
「「こんなところで何をしているんですか?」」
「え・・・きゃっ!?」
小屋の中を一人で掃除していたイノリ。
ものすごく集中していたのだが、すぐ後ろからのシンクロした二つの声に振り返った。
一体どこから現れたのか・・・そこにいたのはケムリケムロの双子の姉弟だった。
かなりの至近距離の真後ろでイノリを見上げている。
「はわわ・・・こ、こんにちわ!」
とりあえず、挨拶をしてみた。
「・・・」「・・・」
「「・・・こんにちわ。」」
仏頂面ではあるものの、きちんと返事をする二人。
そしてもう一度、
「「こんなところで何をしているんですか?」」
と、繰り返した。
「えっとですね・・・部屋のお掃除を・・・。」
「「お掃除?」」
そんな間の抜けたイノリの返事を聞くと、2人は顔を見合わせてぱちくりとまばたきをした。
「お二人は一体・・・あ。」
そしてイノリの言葉を無視してスタスタと部屋を出て行ってしまった。
「・・・?なんだったのでしょう?」


「だからどうしてそんなこと話さなくちゃ・・・。」
こちらは小屋の外でイノリの掃除終了を待つ亜美、ネズミ、ヤイバ、キトウの四人。
ミルモ達が今頃ミコクを囲んでそうしているようにネズミとヤイバがキトウを問い詰めている。
「・・・。」
私はというと、疲れたので傍の岩の上に座って足をパタパタさせてそれを見物していた。
「・・・まあ、何か隠し事をしているのは間違いないようでござるな。」
「お前、ここでミコクと待ち合わせしてるって言うのも嘘なんだろ。」
「い、いや、嘘というか言葉の綾というか・・・。」

ガチャッ

「!」
その時突然小屋の扉が開いた。
出てきたのはイノリちゃんではなく、
「ケムリさん!ケムロさん!」
らしい。
そっくりな顔をした小さな2人の妖精である。
双子?
「げっ・・・お前ら・・・。」
ヤイバが顔をしかめた。
そういえば、ヤイバが今背中を痛めているのはこの二人にやられたからだと聞いている。
「あら?」「あれ?」
「「キトウさん、どうしてここに?」」
2人一緒にカクッと首をかしげる双子。
「それはこっちの台詞でござる。・・・イノリはどうした。」
ネズミの言うことはもっともだった。
イノリちゃんが数分前に小屋に入ってきた時には誰もいなかったはずなのに、そこからこの二人は出てきたのである。
「さて」「はて」
「「イノリ、とは貴方達の仲間のことですよね?」」
「なんというか、こう・・・年中平和ボケしているような、イマイチずれた感じの女なのでござるが・・・。」
「・・・僕と同じ妖術使いの服を着た人、と伝えればいいのでは?」
何故か雰囲気でイノリちゃんを説明しようとするネズミ。
「その人なら」「その方なら」
「「今もその部屋の中で掃除をしているかと。」」
「・・・。」
まあ、無事で何よりである。
「そもそもあんたらどっから湧いて・・・て、聞けよ!」
ヤイバの言葉を無視してスタスタとキトウのところへ歩み寄る双子。
「今日も」「今回も」
「「また、ミコクさんにおいていかれたのですか?」」
無表情で淡々と聞く二人。
「え、えーと、まあ・・・・・・・・・はい・・・。」
・・・可哀想に。
と、急に双子がそこで話題を変えた。
「それより」「なにより」
「「キトウさん、緊急事態です。」」
「え?」
緊急事態という言葉に私達も耳を傾ける。
「私達の」「僕達の」
「「リーダーが行方不明になりました。」」



オリフェ紹介も・・・いつか・・・・・・必ず・・・・・・・・・←


■ ふら (7回/2011/06/19(Sun) 19:09:56/No3962)

こんばんわ☆
どばっと進めるぜ!
今回やっとあのキャラがだせます(^^)

51、ココロ登場

「ゆ、行方不明って・・・?」
「今すぐ」「ただちに」
「「探しに行けとのことです。」」
「・・・分かりました。まずはミコクさんと合流しましょう。」
そう言ってキトウと双子ちゃんはここから去っていく。
「あ、おい!」
ヤイバの呼びかけにも応じない。
すぐに三人の姿は見えなくなった。
「・・・・・・どういうことだ?」
「行っちゃったけど、どうするの?」
「とにかく追っかけなきゃなんね。・・・ネズミ?」
見るとネズミは、キトウ達が行った方向は見ずに小屋の方を見て何やら考え込んでいる。
「いや・・・、拙者はもう少しここに残るでござる。」
「え?」
「そうか?じゃあ、また分散するか。イノリちゃんの方頼んだぜ。」
言い終えるか終えないかのうちにネズミは小屋の中に、ヤイバはキトウ達が向かった方向へ行ってしまう。
ていうか・・・。
「ちょっと待って!私はどうす、れ・・・ば?・・・え?」
何となく、近くのしげみから音がした気がして振り向いた。
「・・・。」
ネズミもヤイバも行ってしまったが、私はゆっくりその茂みに近づく。
「多分この辺かなぁ・・・・ぁあぎゃああああ!?!」
「うひゃあああああ!?」
茂みをかき分けると、間近に知らない妖精の顔があった。
び、びっくりした・・・。
「あわわわわわ・・・!」
「ま、待ってよ!」
慌てて逃げようとしたその妖精の手をつかむ。
妖精は、見た感じミルモ達と同い年と思われる普通の女の子だった。
・・・・・・・・・ん?
知らない妖精・・・じゃなくて、この子は・・・。
「もしかして・・・『ココロ』?」
「っ!?」
ぎょっとして私を見るその子。
うん、やっぱり私の昔の記憶とミルモ達に見せてもらった卒業アルバムに写っていたココロの姿と照らし合わせて間違いない。
「え、わたしのこと知って・・・え?なんで・・・。」
「うーんと・・・、ずっと前にあったことあるよね?・・・まあ、あの出会いだとハトセの印象の方がずっと強いと思うけど・・・。」
「あ、あの時のこと覚えて・・・。でで、でも、わたし、あの時名乗ってなかったはず・・・。」
正直な話、昨日まで忘れていたのだが。
「名前なら昨日、ミルモ達に聞いて・・・。」
「ミ、ミミミみミミルモォォォ!?!」
「うわっ!」
がしっと、私の肩・・・は届かなかったので腕を掴むココロ。
今度は私がつかまえられてしまった。
「み、ミルモの知り合いなの!?」
「う、うん・・・。ミルモなら、多分この村のどこかに・・・。」
「えええ!?ど、どこ!?どこにいるの!?」
「お、落ち着いて!どこって、リルムちゃんやヤシチとかと一緒に・・・。」
「リルムやヤシチも!?」
私の話を遮るように叫んで、パアッと顔を輝かせた。
なんだろう。
ココロは確か、強奪集団のリーダーだという話だったが・・・そんな雰囲気はあまりないような・・・。
少し、話し合いが必要そうだった。


「あら?ネズミさん、どうしたんですか?」
突然部屋に入ってきたネズミに目をパチクリさせるイノリ。
「随分と本格的に掃除したようでござるな・・・。」
ネズミは若干呆れ気味で言った。
ちょうど掃除は終わったところのようで、部屋には塵ひとつない。
「もう大変でしたよぅ。床にも凄いほこりがたまっていて、さっきまでそこに
床倉庫があることにも気づけませんでした!」
と言ってイノリが指差した先の床には、確かに取っ手が付いていて開けると収納スペースがありそうだ。
「イノリ、先程あの双子に会ったようでござるが?」
「あ、そうなんです!その取っ手見つけたの、双子ちゃんが現れたあとなんです。双子ちゃんが部屋を出て行ったあとそこを見たら、どうしてだか少しほこりが散っていまして。」
「・・・成程。」
するとネズミは、床の取っ手を引いて小さな扉を開けた。
「あらら?倉庫じゃないですね。」
収納スペースなどどこにもなく、かわりに階段があった。
どこまで続いているのかは、暗くてよく見えない。
「あの双子はここから出てきたと考えて間違いなさそうでござるな。」
「この下って・・・。」
「さて、どうしたものか。」
と言いつつ、ネズミはすぐに階段を降りていく。
後からイノリも、「あ、待って下さいー。」とついていった。
部屋には誰もいなくなった。



最近(前から?)勉強する気が全く起きなくて困りものです。
とか悠長なこと言ってる場合でも無かったりするんですが(^^;
ていうか、別にどばっと進んで無いな←


■ こやまる (1117回/2011/06/25(Sat) 17:13:19/No3981)
http://www.murumoya.com/


ふらさん、こんにちは☆

久々にケムリとケムロの登場!
まるでロボットのように無表情&マイペースで話す二人の周りには、相変わらず何とも言えない緊張感が漂いますね。
振り返ったらそんな二人が立っているといったシーンを想像するとちょっと恐いかも。。
さすがのイノリもこれには驚いていましたが、その後のリアクションがイノリらしいです。

>ココロは確か、強奪集団のリーダーだという話だったが・・・そんな雰囲気はあまりないような・・・。
突然の大ボス登場に驚きましたが、今の彼女からはそんな雰囲気は感じませんね〜。
表裏が存在するのか、それとも別の謎があるのか、彼女の真相が明かされるのが楽しみです。
楽しみと言えばネズミ達の向かった地下通路も気になりまくりです。
いったいどこにつながっているのでしょう?

それでは続きを楽しみにしています!


■ ふら (1回/2011/09/13(Tue) 13:08:58/No4155)

こんにちわ☆
今回もお久しぶりです(^^;

52、合流

「近くってどこだーーー!!だったら早く案内しろ!」
「そんなこと言われても、正確な場所は私にもよく・・・」
と、ミルモとミハクがあーだこーだとやっているが、全く話は進んでいないようだった。
そこへ、
「ミハクさ〜ん!!」
キトウと双子がこちらに向かってきていた。
「あらぁ、キトウ君。駄目じゃない、勝手にはぐれたら。」
「え、いや、その・・・すみません。」
「なんかまた人数が増えたでしゅね・・・。」
「キトウさん」「ミハクさん」
「「そんなこと言ってる場合ではありませんよ」」
「はっ、そうでした・・・ミハクさん大変です!実は・・・」
そうキトウが言いだそうとした時、ハトセがそっぽを向いたまま口をはさんできた。
「ところでお前さんら、あたしの弟子達と一緒じゃなかったのか?」
キトウががくっと肩を落とす後ろで、双子が顔を見合わせた。
「そういえば」「いわれて見れば」
「「あの追ってきたヤイバとかいう人、どうしたのでしょう」」


で、そのキトウはというと・・・。
「畜生あいつら見失ったーーーー!!」
「にゃっはは〜〜!まったく情けないねーー☆」
「お前がいきなりおれの前に割り込んできたからだろ・・・」
ハイテンション何でも屋のヒソカと一緒だった。
「むむっ!?なにかなその反応は?ヒソカちゃんの再登場ですよーー?せっかくココロのこと、調べてきてあげたのに〜。」
「仕事はやいな・・・。」
「もっと褒めて褒めて〜♪」
「というか、俺だけココロのこと知ってもなあ。」
「それだったら、さっきむこうでミルモ達を見たよんっ。」
「あー・・・じゃあ、とりあえずそっちいくか・・・。」
と言いつつも、ヤイバは自分がきた方向をちらりと見た。
「ネズミとイノリちゃんの方は・・・まあ、大丈夫か。」


そしてこちらはそのネズミとイノリ。
「ココロさんって、本当に強奪集団のリーダーなんでしょうか?」
「というと?」
「だって、ミルモさん達のお友達と聞くとそうとは思えませんよぅ。」
「お主の頭は平和で良いござるなぁ。」
「えへー♪」
「・・・。まあ、それはともかく、先程の双子の言葉は気になるところでござる。」
「双子ちゃんですか?」
「リーダーが行方不明になったというのに、誰にそれを探しに行けと命令されたのかということでござるよ。」
「はぁ〜成程〜。確かにコクちゃんさんも別の場所にいたようですしね。」
「他にまだ強奪集団がいるということも・・・」
そこでネズミの言葉が止まった。
先程見つけた階段を下りると、今度は廊下が続いている。
「あ・・・!」
そこでなにやら転がっている二つの人影を見つけて、二人がかけよる。
「ナギナにカナラ!?」
「ど、どどうしちゃったんでしょう!?」
すると倒れていた二人の、ナギナと呼ばれた女の子が「むにゃ〜。」と場違いな声を出した。
「すぴー・・・すぴー・・。」
「・・・寝てる?」
カナラと呼ばれた男の子も「くかー・・・くかー・・・」と寝息を立てていた。
「二人とも〜起きて下さい〜!」
とゆすってみても、起きる気配は一向にない。
「うう〜・・・でもこれ、妖術でもないみたいです。」
「魔法でもないとすると・・・あの双子の仕業でござるな。」
「二人を運んだあとで、私に会ったんですねぇ・・・。」
とりあえずこのまま放っておくわけにもいかず、外に一旦運び出すことにした。
「しかし、こんな形で合流とは・・・。」



ヒソカ再登場です。
それと、ずっと名前だけ出ていたナギナとカナラも登場ですが・・・人数の都合上しょっぱなからのびちゃってます←




3155/ 激突っ!! 忍の里vs忍者の村
□投稿者/ いっちゃん -8回-(2011/01/18(Tue) 19:51:22)

こんばんは!!いっちゃんです。
ずっと書こう、書こうと思っていた小説を書いていきたいと思います!
(今日の授業中に話を考えました 笑)

まあ、内容はタイトルどおり妖精忍者の話なのですが・・・。
ちなみに小説の鍵となるのはヤシチでしょうね・・・多分・・・。
ネズミやアクミ、さらにミルモ、ムルモ、リルムもでてきます!
(ミルモ、ムルモ、リルムの出番は多くないけど・・・)
あっ!もちろんヤマネとサスハンもでてきますよ。(出番少ないけど・・・)

バトルになることもあります。(まあ、vsとついている所からみりゃ当たり前か・・・)
オリフェも少しでてきます。
忍の里‐しのびのさとと、忍者の村‐にんじゃのむらは別々の忍の場所です!
違うということをわかっていてください。

初めての小説でグダグダのいきあったりばったりになると思いますが、どうか皆さん、最後まで応援お願いします!!
それではっ!


■ いっちゃん (9回/2011/01/19(Wed) 19:10:39/No3162)

こんばんは!!では、早速書いていきたいともいます。
まずはプロローグを・・・。

「プロローグ」

 「生まれなかったらよかったのに」

僕は生まれたその瞬間から存在を否定された。
僕の名前はこの体とは合わない。

ずっと憎んでいた。この体を名前を・・・。
ずっと怖かった。存在を否定した親と周りの目が・・・。

でも、あの日、初めて僕を見ていてくれる人と出会った。

 「綺麗な名前だなぁ」

この一言で、僕の全てが変わった。
名前も知らない、あの人のおかげで・・・


あれ?こんな暗くなるはずはなかったのだが・・・。
まず、この時点で作者が行き会ったりばったりになっているので・・・。
この先が心配です(汗)

プロローグは誰がしゃべっているのか。
それは小説を読んでいけば分かってくると思います!




■ こやまる (1015回/2011/01/19(Wed) 23:42:11/No3164)
http://www.murumoya.com/


いっちゃんさん、こんばんは☆

いっちゃんさんもついに小説にチャレンジ!ということで、すごく楽しみです。
ぜひお気に入りのヤシチを思う存分活躍させてください!
いっちゃんさんの描くヤシチはカッコ良いヤシチなのか、それともちょっぴりお茶目なダメ妖精忍者なのか、気になるところです。
この先の展開次第で決まりそうですが、プロローグはやや暗めなので前者の可能性大!?

忍の里と忍者の村という2地点が存在するということは、公式キャラ以外のオリフェが登場するということかな?
その際はぜひオリフェ紹介もよろしくお願いいたします!!

それでは続きを楽しみにしています!
では!


■ いっちゃん (10回/2011/01/20(Thu) 20:00:30/No3172)

こんばんは!いっちゃんです。
こやまるさん、レスをありがとうございます!!
ヤシチはこの小説の中ではかっこいい!?・・・のほうに近いかも(笑)
それでは、まず第一話から・・・。

第1話「現る」

それは、暑い夏を超えて、涼しくなってきた頃だった。
みんながまだ、いつもの通りの生活がおくれると思っていたとき・・・。


「も〜!!日高さんっ結木くんにくっついちゃダメー!!」
「南さんこそ!結木くんから離れなさいよ!!」

いつも通りの朝、いつも通りの光景を妖精たちは見つめていた。

「ったく・・・いつもいつも。こいつらよく飽きないよな」
「ミルモ様!恋のライバルというのは強敵なのですわ!!」
「けっ!だいたいこうゆうのは女より男のほうが大変なんだぞ」

ミルモが得意げに言った。

「じゃあ貴様は大変になったことなど無いであろう(断言)」
「同感でしゅ」

そこに、ヤシチとムルモが口をはさむ。

「どうゆう意味だ!!」

もちろんミルモはすかさず反論した。

「貴様なんぞを好きになる奴なんて二人もできないという意味だ!!」
「なんだとぉ〜!!ならヤシチだって同じじゃねえか!」
「拙者はお主とは違ってモテモテだからな!」
「お前、目ぇ腐ってるんじゃねーか(笑)」
「なんだとぉー!!!」


「うるさいでしゅねぇ〜二人とも」
「お二人ともそれぞれ一人は好かれている方はいらっしゃるのですが・・・」

リルムしゃんとヤマネしゃんですか・・・とムルモは心の中で思った。


「おもしれぇ!!そこまでオレと戦いたいならやってやるぜ!!」
「望むところだ!!」

いつのまにか言い合いがケンカになっていた。

「も〜ミルモ、ケンカはダメだよ。」
「うるせー!!ミルモで」
「覚悟しろ!!ヤシチで」
   
   シュンッ!!

「おわっ!?」

ミルモの足元には手裏剣が刺さっていた。

「ヤシチてめー!!(怒)魔法やると見せかけて手裏剣投げたな!」
「いや、まてっ!これは拙者が投げたのではないぞ」
「お前以外に誰がいるっていうんだよ!!」
  「オレだよ」
「!!!」

声の聞こえた塀の上を見ると、そこには見たことの無い妖精忍者が立っていた




よくありそうな一話だこと・・・(汗)
ちなみにこの一話は授業中に必死で考えました!(笑)
オリフェもノートに出来上がりました!(授業中に 笑)
話が進んできたらオリフェ紹介もしますね。




■ シンキロー (34回/2011/01/22(Sat) 11:48:16/No3183)

いっちゃんさん、こやまるさん、こんにちは。

小説を始めたようですね。
プロローグからシリアスな空気が伝わってきます。
本編から何か大変そうなことが起こりそうな気がしますね・・・。

ヤシチがどう動くか楽しみです。
これからどんな展開になるのでしょうか?

最後に出てきた妖精忍者の正体も気になりますね。
果たして味方なのか敵なのか・・・。

授業中に考えたんですね。
僕もそういう時間帯によく続きや構成を考えていたりします。(笑)
オリフェ紹介も楽しみにしています!

それでは!


■ いっちゃん (12回/2011/01/22(Sat) 22:35:43/No3194)

シンキローさん、こんばんは!!
シンキローさんが予想している通り、(忍者界だけだけど)大変?なことが起こります!!
では、またもや授業中に考えた第二話を・・・(笑)

第2話「謎の忍者」

「てめー!!何でオレに手裏剣なんて投げてきやがったんだ(怒)」

ミルモが謎の妖精忍者に怒りだした。

「オレはお前ではなくて、その横にいる赤い服の忍者を狙ったんだ。」

それを聞いたヤシチは青ざめた。

「お主、何者だ!忍者の村の者ではないな!?」

ヤシチが謎の忍者に向かって叫んだ。

「あんな村の者なわけないだろ。」
「なんだと!!」
「オレはただの偵察だ。『ボス』からの命令でな。」
「何をしにきたのだ・・・?」
「忍者の村の奴らの実力を測りにきたんだ。お前以外にもあと3人、人間界  に来ている奴らはもう確認済みだ。」

謎の忍者は手裏剣を手に笑う。

「まさか・・・お主、拙者の弟子にも手を出したのか!?」

ヤシチは血相を変えて叫ぶ。

「慌てるな。偵察だけだと言っているだろう。さっきみたいに不意打ちで手裏剣を投げてその時の反応を見るだけだ。」

それは聞いたヤシチはホッとしたような顔をした。

「三人のうち二人はまったくもって注意しなくても良かったのだが、そのう  ちの一人だけは少しやっかいだったな。だが、今のところ気をつけねばなら ない忍者は一人だけだがな。」
「一人?」
「そうだ。あいつさえ何とかして抑えればあの計画はうまくいくだろう。」

謎の忍者は不気味な笑みを浮かべる。

「計画とはなんなのだ?」
「そのことをお前に話す筋合いはない。」

ヤシチは「なんだとぉー!」と怒っていたが、謎の忍者は無視して話を続ける

「これで忍者の村の全ての奴らを偵察できた。礼を言う。」

そう言うと、謎の忍者は「さらばだ」と言って消えてしまった。

「なんか・・・やばいことになってきたんじゃないでしゅか?」
「新たな争いごとが起こるような気がしますわ。」

ムルモとリルムが不安そうな顔うをして言う。

「おい、ヤシチ。お前あの忍者を見たことはないのか?」
「うーん・・・。なんか見たことがあるような服だったのだがな・・・」

ヤシチはなにやら考えている。

「・・・あれは忍の里の者でござるよ。」
「「!!!・・・なっ」」

声のあるほうにはエリート忍者、ネズミが立っていた。

「ネズミ!何で貴様がここにいるのだ!?」
「うるさいでござるなぁ〜ヤシチは。それだからバカにされるのでござる。
 今から忍の里と計画というのについて話すから黙るでござるよ。」

ヤシチは今日で一番怒っていたが、ネズミは無視して話しだした。

(ヤシチ、シカトされすぎだろ・・・)

ミルモは話を聞きながらそう思った。





ネズミ登場です。
ちなみにこの小説はネズミとヤシチの絡みが多いです。
(ミルモとヤシチも多いかな?)
次回は忍の里のことがでてきます!


■ こやまる (1019回/2011/01/25(Tue) 08:24:13/No3212)
http://www.murumoya.com/


いっちゃんさん、シンキローさん、おはようございます☆

謎の忍者も登場し、騒動が起こる準備が整いましたね。
ミルモやムルモも巻き込んで、手に汗握る展開になるといいなぁ。
(「じゃオレはこれで・・・」と言ってミルモは逃げそうですが)
まぁエリートなネズミがいることで、ミルモもただ事ではないと思ってはくれるはず。
しかしまたネズミのセリフが見事なほどにいやみったらしいこと…(^^;。
この先二人は協力しないといけないのに、ヤシチはムキになってそれどころじゃなさそうですね。

>だが、今のところ気をつけねばなら ない忍者は一人だけだがな。」
これは紛れもなくヤマネですね。
サスケとハンゾーは偵察されたとき何していたんだろう?(^◇^;)。
ヤシチも、三人のうち二人と同じ評価をされていなければいいのですが(笑)。

それでは続きを楽しみにしています!
では!


■ いっちゃん (14回/2011/01/26(Wed) 14:33:29/No3225)

こんにちは!こやまるさん。いっちゃんです。

こやまるさんは気をつけねばならない忍者をヤマネだと予測しましたか!!
それが誰なのかは小説が進んでいけばわかってくると思います。
ヒントは注意して文をよく見てください。
それでは、またもや授業中(数学)のときに考えた第3話を・・・

第3話「忍の里」

「忍の里と忍「ちょっと待つのだ!!」

ヤシチがネズミの話をさえぎった。

「なんなんでござるか!?今から話そうと言うときに!」
「あ・・・や、すまん。ただ、ヤマネやサスケ、ハンゾーにも関係がある話なのだろう?あいつらにも話さないといけないんじゃないか?」

ヤシチのその言葉にネズミはあきれたような仕草をする。

「ハーア・・・、そんなこと百も承知でござるよ。拙者はお主とは違ってちゃんと昨日の内にここに集まって来いと言っていたのでござる。」
「へー!すごいねネズミ君」
「別にヤシチがマヌケなだけですごいことではないでござるよ。」

ネズミが嫌味たっぷりに言う。

「くぅ〜!!腹は立つがまあ、それなら良い。」

ヤシチが悔しそうに言っているときにちょうどサスケ達がここへ集まってきた

「「兄貴〜ネズミさん!来たぜ(のら〜)」」
「ネズミ兄様!ヤシチ兄様も・・・何事でございましょうか?」

ヤマネは疑問顔で訪ねてきた。

「実はな、今カクカクシカジカということがあってな。」
(小説はこれを使えるから良い 笑)
「へ〜兄貴の所にもあいつが来たんだぜ。」
「何か嫌な予感がするのら〜」
「ネズミ兄様!もしやあの方は『忍の村』の人では・・・。」

ヤマネが思いついたように言う。

「ヤマネの言う通りでござる。じゃあ今からそのことについて話すからよく聞いているでござるよ。」

そう言うと、ネズミは話し出した。

「妖精界には『忍の里』と『忍者の村』の2つの忍者の集まり所があるでござる。ここにいる拙者達はみんな忍者の村の者でござるよ。」
「忍者の村の者は友好的で王族とも交流があったのだが、忍の里は己達が一番だと考えている奴らだからな。王族とはもちもん。拙者達忍者の村にも反発的なのでござる。」

ミルモやムルモも「あ〜」と言いながら聞いている。

「事件はここからでござる。」
「忍の里の奴らは前から忍者の村を倒して、自分達が忍の頂点に立とうとしていたでござる。だが、今まではこっちのほうが実力は上だったので攻められることはなかった。ところが最近、忍の里のほうでとても優秀な忍者が出てきたのでござる。」

サスケ達は「えーー!」と言っていたが、ヤシチは真面目な顔をしていた。

「それがなんでやばいんでしゅか?」
「あっちでこっちより優秀なものがでてきたら、この機に忍者の村を倒そうと考えるでござろう。」
「じゃあ、オレ達は関係ないよな♪」

ミルモが他人事のように言う

「いや、忍の里はこっちの村を倒した後はますます武力をつけるだろう。
忍の里では魔法も学んでいるからその内妖精界全てに関わってくるでござる」

それを聞いた妖精達はみんな青ざめた。

「なにぃー!オレらにも被害が及ぶのか!?」
「そうゆうことでござる」

ミルモ達が騒ぐ。




すいません!!ちょっと用事があるのでいったんきります。


■ いっちゃん (15回/2011/01/26(Wed) 20:58:05/No3232)

↑の続きです。

「忍者の村ではこうゆうことが起こらないように、何度かこっちからあっちへ出向いて交流を深めようとしたのでござるが、ヤマネが物心ついたころには取りやめになってしまったのでござる。」
「拙者は最後のほうの交流会に一回だけ行ったことがあるぞ。」

ヤシチが思い出したように言う。

「じゃあ・・・さっきの奴は忍者の村を倒すための下準備をしにきたのかよ」
「そうなるでござるな」

一気に空気が重くなる。

そのとき、リルムが
「そういえばさっきの人、『ボス』がなんたらと言っていましたわ。」
と言った。

「今は調べ途中だから詳しいことはわからないでござるが、多分その『ボス』というのが最近でてきた優秀な忍者のことでござろう。」
「そいつがボスか・・・手ごわいな。」

ミルモ達がボスのことを話している間、ヤシチは一人あの時の記憶を思い出していた。






すいません、こんな3話が長くて・・・(汗)
ヤシチとネズミの協力シーンはもう考えています!!
今の二人を見ていると嘘の話の様に思えますが・・・(笑)

次回はついに出発です。
そして、お詫びを・・・。
最初はこの小説にはアクミを出すはずだったのですが、都合上だせなくなってしまいました!!
ネズアク話はまた今度で・・・。

それではっ!


■ いっちゃん (17回/2011/01/30(Sun) 18:04:11/No3266)

こんにちはっ!いっちゃんです。
やっとこさ忍の里へ出発です!! ←長かった・・・(笑)

×「ネズミ兄様!もしやあの方は「忍の村」の人では・・・。」
○「ネズミ兄様!もしやあの方は「忍の里」の人では・・・。」

第4話「出発」
忍の里へ向かうことになったメンバーは、
ミルモ、ヤシチ、ネズミ、リルム、ムルモ、ヤマネ、サスケ、ハンゾーになった。

「出発は明日の朝でござる。日の出の前に忍者の村の所へ集まっているでござるよ。」

ネズミはそう言って先に忍者の村へ向かった。

「チッヤシチしゃん、ボクを巻き込むなでしゅ!」
「なぜ拙者なのだ・・・?」
「ったくしょうがねぇなぁ〜。オレも関係があることだからついていってやるよ。どうせお前らオレがいないと何にもできないからな〜」

ミルモがバカにしたように言う。

「なんだとぉー!お前なんかについてもらわなくても全然大丈夫なんだぜ!」
「そうなのらー!ボク達だけでなんとかできるのらー!」
「せっ先輩方!落ち着いてください・・・!」

怒るサスケとハンゾーをヤマネが抑える。

「では、明日の日の出までに忍者の村へ来るのだぞ。」

そのヤシチの言葉を合図にみんなは帰っていった。

◆〜〜◆

時刻はAM5:00を過ぎた。

「全員集まったでござるか?」
『おぉー・・・。』

ネズミのその言葉にみんな眠そうな声で答える。

「なんなんでござるか、その声は・・・。」

ネズミは呆れたように言う。

「だってよ〜まだ暗いぜ。なんでこんな早くから行く必要があんだ?」
「忍の里はここからだと結構遠いでござる。夜暗くなってきたときに敵に襲われたらめんどくさいでござるからな。」
「?あの近道は使えないのか?昔、交流会へ行くときに使っていた山道ならまだ残っているのだろう?」

ヤシチがネズミに問う。

「マヌケでござるなぁ〜。あの山道は足の踏み場もそんなにないでござるし、あそこで襲われたら戦えないでござろう。
そんなことも考えられないとは・・・だからヤシチは低級忍者なのでござる」
「だれがマヌケで低級だとぉー!!(怒)」
「そうゆうところがでござる。」

一言発するたびに始まる二人のケンカ。

「この二人はこんなんで大丈夫なんでしゅかね?」
「先が思いやられるぜ・・・。」


そんな様子を木の影からあの謎の忍者が見ていた。

―忍の里「核」―
「コウヤ首領、忍者の村の者が動き始めました。」
「そうか・・・。ではお前は「あいつ」にそのことを伝えろ。」
「わかりました。」
   シュッ!

「ついに「あいつ」を使うときがきたか・・・。」

首領と呼ばれる男は、一人不気味な笑みをこぼしていた。





この物語で少し重要な役の人がでてきました。
しかし、私が書くネズミはイヤミったらしいことですね(笑)
これからはバトル?シーンが増えてきます!

それではっ!





■ りょく (184回/2011/01/31(Mon) 11:05:38/No3272)

いっちゃんさん、おはようございます!

いや、ネズミはこれぐらいイヤミですよ。説明的セリフが賢く見えます。
エリート忍者、ネズミさんはかっこいい(*> U <*)
言い返すヤシチはいつも勝てないのでしょうね。
そして騒いだせいで謎の忍者に見付かってしまいましたが…。
やはり戦いを仕掛けられるのでしょうか。

オリフェ紹介が超楽しみです!
私の予想ではネズミにも引けを取らないくらいかっこいい感じです。


■ いっちゃん (24回/2011/02/02(Wed) 20:44:58/No3303)

りょくさんこんばんは!いっちゃんです。

ネズミはやはりあれで良かったのですね!
というよりどんだけイヤミなんだ・・・。
ちなみに説明はネズミが言わないと冗談っぽく聞こえてしまうのでネズミに言わせました(笑)

オリフェはもう少ししたらでてきます!
まず最初のオリフェ紹介はこの物語の元となる人物を書きますね!
(ネタバレになるので名前はまだだしません)
うーん・・・、カッコいいと言うよりも可愛いというか・・・?
でも、ネズミよりカッコいいと言うのは相当がんばらないと無理ですね。

次の回は実はまだ考え中です・・・!
でも、いつも授業中に考えているのですが、席替えして一番後ろの席になったのですが、講師の先生がよく後ろで授業を聞いているのでばれそうなんですよね(笑) ←というか授業中に考えるなっ
でも、ばれないよう工夫をしているので大丈夫だと思います! ←オイッ!

それではっ!


■ シンキロー (41回/2011/02/03(Thu) 17:20:09/No3308)

りょくさん、いっちゃんさん、こんばんは!

ヤシチとネズミ・・・、相変わらずですね。(笑)
しかし、そんな様子を見ていた『あの妖精忍者』。
そして忍の里を目指すミルモ達に迫り始める影。
果たしてミルモ達の運命やいかに・・・?
ネズミがいるから大丈夫だとは思いますが、忍の里の妖精忍者は手強そうです。

コウヤ首領と「あいつ」も相当危険そうな相手ですね・・・。
果たして「あいつ」とは何者なのでしょうか?

続きを楽しみにしています!
それでは!


■ いっちゃん (25回/2011/02/03(Thu) 22:49:48/No3310)

シンキローさん、こんばんは!!感想ありがとうございます!

コウヤ首領は後々でてきますが、少し重要なキャラです。
「あいつ」のことはこれから書く5話から出始めてきます!
かなり重要な人物になっていくので。
それでは、第5話を・・・

第5話「あいつ」

「じゃあ、出発するでござるか。」
「「おおっ!!」」

こうして、忍者界や間接的に妖精界全てがかかった戦いが幕を開けた。


*〜〜〜〜〜*

「ネズミ兄様、忍の里には一体どのくらいでたどり着くのでしょうか?」
「そうでござるなぁ・・・大体一日半といったところでござるかな。」
「「一日半っ!?」」

みんなが声をそろえて言う。

「まじかよ!そんな遠いのかよ忍の里って・・・。」
「今まで他族との交流を避けていた奴らだからな。できるだけ目がつかないような場所に里を開いたのでござる。」
「あの近道が使えたら4時間で行けたのだがな・・・。」

ヤシチが残念そうに言う。

「ということは今日は野宿なんだぜ。」
「そうなるのら〜。」
「だからこそちゃんと食料を持ってきたのでござる。お主達もそれぞれ食料を持ってきたでござろう?」
「え・・・?私、そんな連絡は回ってこなかったのですが・・・。」

リルム一人がその言葉を口にする。

「あれ?お兄たまが伝える係じゃなかったんでしゅか?」
「まさか・・・ミルモ様、私に伝えてくれなかったのですか!?」

リルムが鬼の形相で訊いてくる。

「いや・・・!そっそれは、あのだな・・・(汗)」
「ミルモ様の〜バカぁーーー!!!」
「ギャああぁあああぁあぁぁ!!!!」

ミルモの顔にはプロボクサー以上の威力があるパンチがとんできた。

(助かった・・・大切な戦いの前に倒れてしまうところだった。)
  ((ミルモ、Nice!!))
「お前らふざけんなよっ!」

ミルモたちの心の叫び合いが始まった。
しかし、その時・・・

「忍者の村の者っていうのは君達なの?」
「!!!」

 その言葉が森から聞こえてきた。

「誰だ!?姿を現せ!」

みんなかまえて声の聞こえてくるほうへ向く。
その時、森の木と木の間で何かが動いた。

「そこかっ!」

ネズミはすかさずその『何か』にクナイを投げた。
だが、それは風呂敷によって全てはじかれてしまった。

(これは・・・相当な実力だな・・・。)

ネズミが思っていると、木の上から『何か』が降りてきた。

「・・・僕はコウヤ首領に仕える者だ。君らは忍者の村の者だな?」
「・・・そうだ。」

ここにいる誰もがそのなんとも言えない思いをその者に抱いていた。

「とても優秀な忍者・・・もしやこの方が『ボス』では・・・。」

ヤマネのその言葉に、みんなは動揺を隠せなかった。








ついに「ボス」が登場です。ネタバレになるのでまだ詳しい情報は載せませんが、絵を描いて投稿していきたいと思っています。
コウヤ首領も描かないと・・・。


■ いっちゃん (27回/2011/02/04(Fri) 21:53:01/No3329)

こんばんは!いっちゃんです。

この小説の重要人物となるキャラの絵を描いてみました!!
詳しいプロフィールはもっと内容が進んだら絵と一緒に書きますね。
ちなみに本名がわかるまで「ボス」か「優秀な忍者」でとおすので!
とりあえず、容姿だけ知ってほしいなと思いまして描いてみました!!
それでは、第6話を・・・↓

第6話「手合わせ」

「こいつが・・・ボス!?」
「・・・そうだよ。」

ボスと呼ばれる忍者は答える。

「何をしにきたんだ!?」
「コウヤ首領からの命令だ。少し・・・手合わせをしてこいっていうね。」

そう言うと、優秀な忍者は手裏剣をかまえる。

「一人ずつ来て。」

丁寧に、けれど強引に戦いを申し込まれる。

「じゃあ・・・まず、オレからいくぜ!!」

ミルモがマラカスをかまえる。

「ミルモでポン!」

ミルモは魔法で剣を数本だし、それを相手に向かわせた。
しかし、その剣はたった一本のクナイで全てはじかれてしまった。

「っ!!!」

そして、気づいたときにはミルモの後ろでクナイを突きつけていた。

「手合わせ、ありがとうございました。」

相手はクナイをひき、一礼をした。
その戦いに誰もが驚きを見せた。

「次・・・お願いします。」

こうして、ムルモ・リルム・サスケ・ハンゾーと戦っていったが、全て一方的に負けてしまった。
そして、残る妖精はヤマネ、ネズミ、ヤシチになってしまった。

「次は私がいくでございます!てーいっ!」

ヤマネが手裏剣をすばやく投げる。
「ボス」はそれをかわしながらクナイをなげる。

「ヤマネ派転弾!!」 ←字は合っているかどうかわかりません!

ヤマネが最強の必殺技をだす。
それを見ると、相手はなにやら琴をだし、

「――・・・でポン!」

魔法でヤマネの回転を止めてしまった。

「しまったでござる・・・!ヤマネ派転弾は回転がおちると威力もおちるのでござる。」
「やッヤマネ!」

ヤマネは身動きをとれずにいた。
相手は魔法をといた。

「次は君とやってみたい。」

相手が指名した者は、エリート忍者ネズミだった。









「ボス」が登場です!
とりあえずああいう姿をした子なので・・・(上の絵を参照 ↑)
何か感想があったらぜひください!!
次はコウヤ首領を描こうかな・・・?

それではっ!

300×300

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■ りょく (198回/2011/02/07(Mon) 21:38:10/No3382)


いっちゃんさん、こんばんは!

おお〜、ボスかっこいー!!
敬語で喋ったりお辞儀をしたり、礼儀正しくてスマートですね。
立ち振る舞いが丁寧な方が乱暴なのより強そうに見えます。
魔法も忍術も得意なんて強敵じゃないですか!!

ヤシチは一番にやられそうな気がしていたのですが、ネズミと共に残っているのが怪しいです…。
もしや気を付けねばならない忍者ってヤ○チ?(何故伏せ字
深読みのしすぎかもしれませんが…。

続きが超気になる〜(*> U <*)

では!


■ こやまる (1038回/2011/02/08(Tue) 11:26:34/No3383)
http://www.murumoya.com/


いっちゃんさん、皆さん、こんにちは☆

めちゃくちゃ凛々しい「ボス」さんの登場ですね。
実力がある上に礼儀正しいだなんて、完璧にもほどがある・・・。
ヤシチやネズミ以上にかっこいいかも(^^)。
ネズミでさえも勝てなかった相手に、しんがりのヤシチがどう立ち向かうんだろう?
ヤシチらしさ(いい意味に聞こえませんが)が出るといいなぁ。
ボスのプロフィールをまだ証せないということは、ストーリー全体に絡む重要キャラなのでしょーか。

「忍者の村」と「忍者の里」という設定がすばらしいです。
今まで平和だと思われていた妖精界も、絶妙なバランスで保たれていたわけですね。
忍者の里の反逆によって、ネズミやヤシチ、そしてミルモたちが想像もしていないようなピンチになることを密かに期待しています。

期待と言えば、ヤシチとネズミのやりとりもですね。
ヤシチよりも一枚も二枚も上なネズミ、さすがエリート忍者です。
子供のようにムキーッとするヤシチも想像するとかわいいですが、いつかヤシチの単純な考えがネズミよりも勝ることがあるといいですね(^^)。

それでは続きを楽しみにしています。
では!


■ いっちゃん (30回/2011/02/08(Tue) 20:00:13/No3384)

りょくさん、こやまるさん、感想ありがとうございます!

お二人ともとても勘が良いですね。
りょくさんは残っているヤシチを妖しいと考え、こやまるさんはボスがこの物語の重要キャラだと考えましたか・・・。
この第7話でりょくさんのほうの考えは当たると思います!
こやまるさんの予想はもう少し先になるかも・・・!?

第7話「手合わせ(弐)」

「拙者でござるか。いいだろう。拙者もやってみたいと思っていたところでござる。」

そう言うと、両方が忍具を構える。

 シュッ!!

両方がいっせいに手裏剣を投げる。
二人は地の利や忍具をうまく使って戦っている。

「すっすごい戦いだぜ!!」
「兄貴の十倍は強いのら〜!」
「ハンゾー・・・」

のんきに見ているサスケ達。

「・・・あいつが言ってた『気をつけねばいけない忍者』って君のことか。」

相手がそうつぶやく。
あいつというのはあの謎の忍者のことだ。

「・・・そろそろ森の木が可哀想だから決着をつけよう。」
「・・・そんな心を持っていながら何故忍者の村を滅ぼすなどと・・・」
「・・・・・・」

ネズミのその言葉に相手の忍者は何も答えなかった。

  ガキ――ンッ!!

二つのクナイが激しく重なり合う音がした。

「・・・引き分けでござるな。」
「・・・そうだな。」

二人ともクナイをひく。

「惜しかったな、ネズミ。あとちょっとだったのにな。」
「いや・・・拙者の負けでござるよ。あいつはまだ本気じゃないでござる。」
「「!!!」」

ミルモの言葉に予想していなかった返事がかえってくる。

「残る後一人は・・・」

相手が最後の対戦相手を探していると、ヤシチが目についた。
しかし、何故か敵の忍者はヤシチを見ると、驚いた顔をした。

「え・・・君・・は、まさか・・・!?」
「・・・?なんのことだ?お主とは会った覚えがないと思うのだが・・・。」

ヤシチがそう言うと相手はわかりやすくがっかりしたような顔をした。

「そ・・・か、そうだよね・・・。似てる人なんてどこにもいるか・・・」

相手は少し悲しい顔をして言った。
ヤシチは次は自分の番かと思って手裏剣を構えている。
しかし、相手の忍者は意外な言葉を言った。

「・・・やめた。」
「!!!」

いきなり言われたその言葉にみんなが驚いた。

「なっなぜ拙者とは戦わないのだ!?」
「別に・・・なんか戦いたくなかっただけだ。」

そう言うとみんなの方へ体を向けた。

「手合わせに付き合ってくれてありがとうございました。」

そういうと「さよなら」と言って消えてしまった。








すみません、ヤシチの戦いがなくて(汗)
でも、こやまるさんが期待しているヤシチとネズミの絡みはこれからだんだんと増えてきます!
ネタバレ?になるので言いませんが、ちょっとカッコいい!?ネズヤシシーンがあるかも!?

それではっ!


■ こやまる (1045回/2011/02/12(Sat) 21:08:50/No3447)
http://www.murumoya.com/


いっちゃんさん、こんばんは☆

私の前回の感想、とんだ勘違いをしていましたね。
ネズミが戦うのはこれからだというのに、すでにネズミが負けたことにしていた・・・(^^;←先の先を読み過ぎ。

>「そ・・・か、そうだよね・・・。似てる人なんてどこにもいるか・・・」
やはりヤシチが重要キャラでしたか!
…と思わせておいて、妖精違いでヤシチはダメ忍者でした…という残酷なオチにならないことを願います(笑)。
ネズヤシのカッコいいシーンがあるということは、能なしダメ忍者のヤシチにも華やかな舞台が設定されているということですね!
ヤシチ好きなので、ぜひカッコ良く&かわいく描いて欲しいです。

それでは続きを楽しみにしています。
では!


■ 聖華 (2回/2011/02/13(Sun) 09:55:43/No3451)

いっちゃんさん、おはようございます^^
初めてみたけど、めちゃ面白いです。
それに、好きな妖精忍者なので、続きが楽しみです^^
本当に面白いです。それでは、続きをたのしみにしています。
では!


■ いっちゃん (36回/2011/02/15(Tue) 20:40:54/No3479)

こやまるさん、聖華さん、こんばんは!!
返事が遅くなってすみませんでした(汗)このところ試合やら勉強やらで忙しかったもので・・・。
そして、聖華さん、こんな小説を読んでくださってありがとうございます!
こやまるさん、大丈夫です!結果的にはネズミは負けちゃいましたから(笑)
ネズヤシシーンはそんなに期待はしないでおいてください(笑)
ミルヤシシーンのほうがカッコいいかもしれないっ!? ←ネタバレ的発言
それでは、第8話です↓

第8話「野宿」

「あっあんなに強い人が相手のボスなんでしゅか!?」
「ネズミさんよりも強いんだぜ。」
「ああ・・・、あんなに強いとは思わなかったぜ。」

ミルモ達が口々に言っている。

「しかし、なぜあの方はヤシチ兄様とは戦わなかったのでしょうか・・・?」
「わからん。だが・・・あの者とは初めて会った気がしないのだ・・・。」
「ヤシチ兄様・・・?」

ヤシチの考え込んでいる様子にヤマネは不安になっている。

「まあ、とにかく進むでござるよ。魔法などをうまく使えば敵との勝負にも勝機はあるでござる。」
「・・・そうだな!」

ネズミ達は森や村をこえて、日が暮れたときには山の中へいた。

「もう日が沈んでしまったでござるから今日はここで野宿でござる。」
「おおー!」
「それじゃあとりあえず食べるものを作るでござる。材料はこの山にたくさんあるでござるからな。それに、各自が持っている具になる食料もあるでござろう。」

ネズミが言うと、リルムは鬼の形相をミルモに向けてくる。
(ネズミ〜!余計なことをいうなぁ〜〜−−!! 泣)

「じゃあ分担したほうがいいな。」
「誰が料理するんだ。」
「あっそれなら私が・・・!」
「えっ!!!」

リルムの一言でみんなが固まる。

「リッリルム!お前は山に材料取りに行ってくれねぇか(汗)」
「なぜですの?ミルモ様。」
「いっいや!たまには男が料理するっていうのも悪くないだろ!」

ミルモのウソはばればれだったが、リルムは「ミルモ様の手料理が食べられる
!」と言っていてわかっていなかった。

「(コソコソ)オイッミルモ!貴様、なに勝手なことを・・・!」
「(コソコソ)しょーがねぇだろ!お前あのリルムの料理食いてぇのかよ!」

ミルモがそう言うと、ヤシチは「う゛っ!」と言って納得した。

「それでは、私とリルム殿で食料を配達するでございますね!」
「お待ちになっていてくださいね!ミルモ様♪」
「げぇ・・・っ!」

リルムとヤマネは山の中へ材料を取りに行った。

「さてと・・・まずは何を作るか考えるでござるか。とりあえず持ってきたものをだすでござる。」

ネズミがそういうと、ミルモ達は待ってました!とばかりに自信満々にバックの中から食料をとりだした。
・・・が、ミルモ達のバックからでてきたものは、ネズミが言っていたものとは違うものだった。









野宿編突入です。
単純に男に料理をさせたかっただけです・・・(笑)
次の回はほんの少し?シリアスかも!?

それではっ!


■ いっちゃん (41回/2011/02/22(Tue) 17:43:50/No3530)

こんにちは、いっちゃんです。

テスト勉強の間があいたので書きますね!(実はもう後3話も出来上がっている・・・汗)

第9話「材料」

「・・・拙者はお菓子ではなくて具材をもってこいと言っていたはずでござるが・・・」

ネズミが呆れたように言う。

「だってよーチョコは絶対に持っていかないといけねえし、チョコを入れたらバックの中身がパンパンになってしまってよ〜」

他の5人もうなずいている。

「ハァー・・・これじゃあヤマネたちが取ってきた材料に頼るしかないでござるな。」

ネズミはもう諦めたように言った。
(こいつらを信じた拙者がアホだった・・・)

「それじゃあ、たき火をするでござるよ。」
「オイラ、木の枝取ってくるぜ!」
「ぼくもなのら〜」

サスケとハンゾーがキラキラした目で言ってくる。

「そうか・・・気をつけるのだぞ、二人とも。」
「「合点承知!!」」

そう言うと、二人はダッシュで山へ枝をとりに行った。

「おい、ムルモ。お前も集めてこいよ。」
「なんでぼくがそんなめんどくしゃいこと・・・」
「へ〜マシュマロって焼くとうまいのになぁ〜」
「ほっほへ!?なっ何を言ってるんでしゅかお兄たま、このぼくが行かないわけないでしゅよ!」

そう言って、ムルモも木の枝を取りに行った。

「・・・ヤシチ」
「なんだ?」
「今回の戦い・・・拙者はあまり良くない感じがするでござる。」
「なぜだ?」
「先ほどのボスと呼ばれる忍者がいる限り、拙者達の勝利は難しいでござる」
「・・・・・」
「でもよ、あいつ別に悪い奴でもなかったし、あいつさえどうにかなれば後は何とかなるんだろ。」
「何とかなれば、な・・・」

   ◆―――◆

一方、ミルモ達が深刻に話しているときのリルムたちは・・・

「ミルモ様の手料理が食べられるなんて・・・!夢のようですわ〜vヤマネさんもヤシチさんの手料理が食べられるのですわよ。」
「そっそんなっ!///お恥ずかしゅうございます。」
「照れなくてもいいのですわ!そうですわ!!この旅の間に想いを伝えたらどうでしょうか!?」
「わっ私がヤシチ兄様に想いを・・・!」
「そうですわ!」
「でも・・・ヤシチ兄様は私のことを妹ぐらいにしか思ってないのでございます。もし、私以外にヤシチ兄様のことを好きという方が現れたら私は・・・」
「ヤマネさん・・・ファイトですわ!!今の現状ではそんなことにはなっておりませんので、ここでヤマネさんががんばればいいのですわ!!」
「リルム殿・・・そうでございますね!」

ヤマネは自分が感じている不安を抑えて、リルムにそう返事をした。

    ◆―――◆

「ミルモ様〜!ただいま帰りましたわ!」
「おお〜サンキュー!」
(・・・まさかヤマネがいるから大丈夫だと思うが、変なもんじゃねぇだろうな・・・?)

しかし、幸なことに、ミルモの不安は当たらなかった。

「木の実にお魚に食べられる草ですわ!」
「おっおお〜!!役に立つもんばっかだぜ!(ホッ・・・)」
「じゃあ、早速持ってきた枝を使って魚を焼くでござる。これにはヤマネ、リルムが担当してくれ。木の実を砕くのに5人は必要だから、拙者とミルモとムルモとサスケ、ハンゾーはこっちにまわるでござる。」
「じゃあ拙者は何をすればいいのだ?」
「ヤシチは汁物担当でござるよ。」
「ちょっとまてぃ!なんで拙者だけ一人でやらないといけないのだ!!」
「しょうがないでござろう!うまく材料を使って作るでござるよ!」

みんなは「そういうことなら」と言ってさっさと自分の仕事についてしまった

「くぅ〜薄情者たちめ〜!」

ヤシチもしぶしぶと具材を手にとってスープを作り始めた。







中途半端なとこですみません・・・。
少しこれからヤシ←ヤマの関係が入ってきます!
・・・ていうよりこの小説はこの関係が後々大切になってきますから。
(おっと、ちょっとネタバレか 汗)

それではっ!


■ いっちゃん (44回/2011/02/25(Fri) 14:13:28/No3543)

こんにちは、いっちゃんです。

ただいま期末2日目が終わりました!
よし、この土日はミルモにドップリしよう。 ←普段やらない勉強をして頭が壊れています。
では、第10話を・・・↓

第10話「手料理」

作り始めてから一時間後、もう完全に外は闇に包まれたころ、忍の里から1kmはなれている山の中からは8人の妖精達の声がこだましていた。

「おお〜!うまそー!(>▽<)」
「スープに魚に木の実とお菓子のデザート・・・山でこれだけの料理が作れれば充分でござるな。」

ミルモ達は魔法で出したお皿にスープやデザートやらをよそっていた。

「「いっただっきま〜す!!」」
(バクバクムシャムシャ)
「もっと落ち着いて食うでござるよ・・・(汗)」

そんなネズミの言葉は今のみんなには聞こえていない。

「このスープ、ヤシチさんが作ったのですか?凄いですわ!」
「そうだろう!!ちょっとこのスープには自信ありだぞ!」

ヤシチが得意になって言う。

(ヤシチ兄様の手料理が食べられるなんて・・・!夢みたいでございます)
「どうだヤマネ、うまいか?」
「はいっ!!とても!」

ヤシチの質問に顔を赤くしながら答える。
ヤシチは「そうか、そうか♪」と言って上機嫌のようだった。

「・・・ま、拙者のほうが上手だかな。」
「なんだどぉー!!」

しかし、一気にまた機嫌が悪くなる。

「プッハァ〜!・・・あり?もうオレの分なくなっちまった。」

一人ガツガツと食べていたミルモはすでに完食していた。
・・・が、まだ食いたりねぇと思っていたミルモは隣にいるヤシチが幸せそうに最後の一口を食べようとしていたのを見て、「邪魔してやろう」という考えが頭に浮かんだ。
(ニヤリ)

「ア〜((パクッ!!」

こともあろうか、ミルモはヤシチがスプーンですくった最後の一口をヤシチの口に入る前に食べてしまった。

「うんめ〜!にょほほほ〜」
「ミッミルモー!!貴様、最後の一口をよくも!」
「うっせ〜細かいこと気にすんなよ♪」
「やかましい!!くそ〜こうなったら・・・」

ヤシチはそういうと、ミルモのバックをあさって取り出したチョコを食べてしまった。

「あぁ!!ヤシチてめー!!!オレのチョコになんてことをするんだ!」
「貴様人のこと言えんだろう!!」
「あんだとぉー!!」

結局ケンカになってしまった二人、そんな二人を見てリルムは

「まあ・・・ケンカするほど仲が良いと言いますから・・・。ミルモ様とヤシチ様は本当はとても仲がよろしいのですわ。私も時々ヤシチさんに嫉妬をおぼえることがありますわ・・・。」

と少し溜息混じりに言った。

(ヤシチ兄様はミルモ殿にあんなことをされても、ケンカにはなっても嫌がりはしないのですね・・・。ミルモ殿のようなことが簡単にできたらどれほど良いか・・・。)

ヤマネは今の光景とリルムの言葉を聞いて落ち込んでしまった。

「お兄たまたち、そろそろ黙るでしゅよ、触覚ビィーム!!!」
「「ぎゃあぁぁぁあああぁぁぁあぁ!!!!!」」 ←長いっ

こうして、二人のケンカはムルモによる触覚ビームにより、幕を閉じた。









あれ?またもや中途半端なところで終わってしまったぞ・・・(汗)
この場面は前々から書いてみたかった場面ですね。
ヤマネが・・・(泣)でも、この小説ではヤマネちゃんにはちょっと不幸なめにあってもらいます(こういう系で・・・ 笑)
次からまたバトル系に戻ります!!
この話展開早いなぁ・・・汗

それではっ!


■ りょく (215回/2011/02/25(Fri) 16:23:11/No3544)

いっちゃんさん、こんにちは!

私もヤシチは料理が出来るイメージがあります。無印で風邪を引いたサスハンにお粥を作っていたので。
掃除に料理…完全に家政夫ですね(笑
お付き合いする女の子はヤシチを越えなければならないので、パーフェクトなヤマネはぴったりかも!?

>「・・・ま、拙者のほうが上手だかな。」
ネズミのセリフが負け惜しみに聞こえます。
兄さんは妹を遥かに凌ぐ超エリート忍者ですが、どれか一つくらいヤシチに劣っている能力とかあったりして…。
(料理とか魔法とか)

落ち込んでしまったヤマネがヤシチともっと親しくなるには自分を変えるしかないのでしょうか?
恋の試練的不幸、好きです。
乗り越えた先に待っている愛は一生もの!?

では。


■ いっちゃん (51回/2011/02/27(Sun) 17:41:38/No3565)

りょくさん、こんにちは!感想ありがとうございます!

ヤマネはこれからさらに恋の試練が・・・っと、ネタバレか・・・(汗)
とりあえず、この小説ではヤマネちゃんは大変な目にあいます。
(恋の試練のほうで・・・)
最後まで読むとわかってくると思いますよ。

ちなみにこの絵のキャラはあの「忍の里の首領、コウヤ」ですね。
かっこよくを目指しました!カッコいいのかな・・・。
コウヤはこの後の展開的には結構な悪役になってきます。
あまり好きにならないほうが後々ショックが軽いかも・・・(汗)
でも、姿的には気に入っています!

ボスとの関係の話はネタバレになっちゃうのでまだかけませんが、だいぶ物語のほうも進んできているのでもうすぐまとめてオリフェ紹介ができそうです!

それではっ!

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■ 月白 (5回/2011/02/27(Sun) 19:39:45/No3569)

いっちゃんさん、こんばんわ!

おぉ!やはり絵がお上手ですね!
コウヤ首領はボスに比べるとカッコいい雰囲気ですね!

ヤシチは過去にボスと対面してそうですが覚えていないのか本当に人違いなのか気になりますね。
幼い頃なら覚えていなくても仕方ない気もしますが昔行った交流会の事を一人思い出しているようなシーンもありましたよね。
ボスの名前も気になるところです。

それでは続きを楽しみにしています!


■ こやまる (1072回/2011/03/01(Tue) 07:02:37/No3575)
http://www.murumoya.com/


いっちゃんさん、りょくさん、月白さん、おはようございます☆

いっちゃんさんの描くミルモとヤシチが子供っぽくてかわいいなぁ。
食材ではなくチョコをたくさん詰め込んでくるお約束のミルモ(笑)。
アニメではヤシチがリュックにかりんとうをたくさん詰め込んできたシーンもありましたが、今回はヤシチの方が大人な行動をしてくれましたね。

ヤシチの男の手料理はすごく食べてみたい!
きっと修行がお休みの日は、家でエプロン付けて料理していそうですね。
サスケ・ハンゾーにおかゆを作ったりと家庭的な一面を持っているヤシチなので、原作やアニメでその一面をもう少しアピールしてくれたら今頃ヤシチ人気も…(^^;。
ヤマネのヤシチへの想いが高まってきたことで、そろそろヤマネの独占欲の強い愛が爆発してくれることに期待しています。

>もし、私以外にヤシチ兄様のことを好きという方が現れたら私は・・・
このセリフの続きはいったい・・・?
力の限りヤシチを守ったりとか…もしやこの先に登場する予定とか!?
恋に不器用なヤマネをいっちゃんさんがどんな風に描くか楽しみです。

お絵描きもありがとうございます。
黒いデザインがすごく悪そうな雰囲気を漂わせています(笑)。
かなりの実力の持ち主の予感で、ネズミもヤシチも苦戦しそうですね。
いずれ性格とか趣味(?)などのプロフィールも明かしてくれたらうれしいです(^^)。

それでは続きを楽しみにしています。
では!


■ いっちゃん (56回/2011/03/16(Wed) 20:44:55/No3613)

月白さん、こやまるさん、こんばんは!

大分時間が空いてしまい、申し訳ありません!
しかし・・・月白さんは勘が鋭いですなぁ・・・(汗)
はい、そうです。ヤシチが昔行った交流会が鍵です。 ←あれ?ネタバレ?

ヤマネにはこれから試練が降りかかってきます、こやまるさん!
どうか(私の小説では)不幸なヤマネちゃんに応援をお願いします!
後、ミルヤシの会話には気合を入れています(笑)

ボスとコウヤ首領のプロフィールはもうちょっとで明かせそうです!
では・・・第11話を・・・↓

第11話「忍の里ー本拠地ー」

「まったく・・・うるさい奴らでござるな。もう遅いから明日に備えて寝るでござるよ。」
「ったく、大変な目に会ったぜ。」
「本当でしゅねぇ。」
「明日はもっと大変な一日になると思うでございます。」
「ハァ〜だよなぁー・・・またあいつらも来るんだろうな。」
「まあ、ここを抜ければ敵の本拠地に入っていくでござるからな。」
「じゃあもう寝るのら〜」

ハンゾーの言葉を初めに、みんなは自分の寝床についた。

「・・・なんで拙者の隣がネズミなのだ!悪夢を見そうだっ!」
「はぁ〜?それは拙者のセリフでござろう。しかし、思い出すでござるなぁ〜。ヤシチは小さいころ森でお化けを見たと言って拙者の布団にもぐって」
「ぎゃあぁあっ!!!やめろっ!それ以上言うなぁ〜!!」

ネズミのイヤミ返しにヤシチ、80のダメージ(笑)

「え〜ヤシチの兄貴かっこ悪いぜ〜」
「かっこ悪いのら〜」
「うっうるさい///!!ほらっ!もう寝るぞ!」
「は〜いだぜ(なのら)」

ヤシチ、さらに20のダメージで瀕死状態。


こうして、長い大変な一日が終わった。

◆―――◆

「みんな起きたでござるか?」
「「おぉ〜!!!」」

今日は8時起きだったため、単純な妖精たちは元気いっぱいであった。

「さて・・・早速これから敵の本拠地に入るでござる。全員知っての通り、相手側にはとても強い忍者がいる。気を引き締めていかないとあっというまにこっちの敗北が決まってしまうでござるよ。」

「ああ・・・わかってるよ。」

ミルモの言葉にみんなもうなずく。

「そうか・・・では、行くでござる。」


   ――忍の里「核」――

「また動き出したか・・・。こうなったらオレの目的のためには消えてもらわないと困るな。」
「では・・・またボスを?」
「いや・・・あいつには後でオレのために働いてもらわないと困るからな。今回は『暗隠忍者隊』のものに行ってもらおう。」
「わかりました。」
    シュッ!

「・・・哀れな奴だよ。あいつは」

コウヤはボスの書類を見ながら、誰もいない部屋でそうつぶやいた。








はいっ!もう強制的に終わります! ←燃え尽きた人
ちなみに暗隠忍者隊というのは次に出てきます。(なんでこんな名前になったかも次回で・・・)
ちなみにネズミの言っていた昔話は実話(笑)だと思います。 ←おい、作者!
その話をしていたときのヤマネの心情は想像にお任せします。

それではっ!


■ 月白 (11回/2011/03/17(Thu) 13:14:28/No3614)

いっちゃんさん、こんにちは。月白です!

いっちゃんさんはギャグとシリアスを上手く使い分けていますね。
見習いたい…。
ネズミとヤシチの幼い頃の話が出てきましたね。
なんだかつい笑みがこぼれました(^^)
ネズミのイヤミも絶好調ですね!こうゆうエピソードをネズミは山のように持っていそうです。
ヤシチ…、可愛い!(おい)

しかしミルモ達はいまだに緊張感が薄そうですね。コウヤ首領は何やら企んでいそうなのに…。
大丈夫かミルモ達!!…コホン。

ヤマネにこれからどんな試練が待ち受けるのかも気になります!
恋のライバルが現れるのか、それともヤシチの身に何か起こるのか…。
楽しみです!

楽しみといえば、ボスの名前やこれからの活躍も気になります!
それでは頑張って下さい!


■ こやまる (1082回/2011/03/20(Sun) 16:29:57/No3624)
http://www.murumoya.com/


いっちゃんさん、月白さん、こんにちは☆

今回の見所は、月白さんも挙げているように、ヤシチの幼い頃のエピソードですね(^^)。
う〜ん、いろいろな妄想をしたくなります。
サスケとハンゾーはかっこ悪いと言っていますが、ヤマネはヤシチの新たな側面を知ってうれしがっていそう♪

この幼い頃のエピソードは、今後の伏線ですよね。
幼い頃の経験は再び繰り返される…。
いや、いっちゃんさんなら確実にやってくれると信じてます(^◇^;)(←おい)。

次回からは再びシリアス展開に戻るのでしょうか。
ネズミに負けないくらいのヤシチの活躍にも期待しています。
では!


■ いっちゃん (64回/2011/04/11(Mon) 20:39:28/No3737)

月白さん、こやまるさん、こんばんは!
長らくほおっておいてしまってすみませんでした(^^;

いつも感想をくれてありがとうございます!
いやいや、私は小説を書くのは全然上手じゃないですよ。
というより、よくその文章力で小説をかこうと思ったなっと最近思うようになってきました・・・(汗)
ちなみにネズミのヤシチについてのエピソードはまだまだいっぱい持っていますよ。
小説中で何個か明らかにしたいなぁ〜(笑)

こやまるさん、忙しい中感想をくださって嬉しいです。
ちなみにヤマネもこのエピソードを聞いています。
たしかにこの位の可愛いエピソードだったらヤマネは喜びそうですが、ちょっと恥ずかしい話だったら複雑な気持ちになりそうな・・・(笑)
いやいや、私はそんな有言実行タイプじゃありませんよw
今のヤシチは果たして同じことをするのかな・・・?
でも、こやまるさんが言ってくれたのだから、がんばって入れてみたいと思います・・・(笑)

第12話「暗隠忍者隊」

「忍の里も、昔とは違うような感じになってしまったのだな・・・」
「里全体の空気がピリピリしているでございますね」

ヤシチとヤマネが言っているとおり、忍の里は明るさがみられない人ッ気の少ない里だった。

「(・・・殺気がさっきから満ちているでござるな・・・。これはどこかに敵が隠れている証拠か・・・)」

一人だけ敵の気をさとったネズミは密かにクナイに手をかけた。

        ザワッッ!

「・・・っ!そこかっ!!」

ネズミの投げたクナイが、道にある大きな岩に向かって飛んでいった。
しかし、それは岩の後ろからでてきた人物に落とされてしまった。

「ちっ・・・ばれちまったか」

さっきクナイを防いだ忍者がいうと、岩の後ろからさらに2人の忍者がでてきた。
いきなり出てきた3人組は、みんな同じ黒い帯を腰に巻いている。

「おっおめえら一体誰だっ!」
「・・・?誰だ?このブサイク面の水色ヤロウは」
「あぁ・・・、こいつはミルモの里の王子、ミルモだろう」
「ほぉ・・・なぜそんなブサイク王子がここにいるんだ」
「さぁな・・・、大方、そこの忍者の村のやつらが助っ人として呼んだのだろう」

まるで、ミルモの声は聞こえなかったのように、ミルモのブサイク話で話し込む相手。

「誰がブサイクだこんにゃろうっ!!!あと、オレの質問に答えやがれ!!」

もちろんミルモが怒る。

「うるさい奴だ・・・いいだろう、答えてやる。オレ達はコウヤ首領の第一暗殺兵『暗隠忍者隊』だ」
「あんにんにんじゃたい?」
「杏仁豆腐みたいでおいしそうなのら〜」

あんいんとあんにんを間違えるサスケとハンゾー。

「『あんにん』ではないっ!『あんいん忍者隊』だっ!!」
「どうでもいいけどうるさいから早くどいてほしいのら」

名前を間違えられて怒鳴る相手に対し、ハンゾーはすでに興味を失っている。

「そうですわ!私達はあなたの達にかまっている時間はないですわ!」
「時間の無駄でござるしな〜」

終いにはリルムやネズミにまで相手にされなくなる。
ところが、今までずっとぎゃあぎゃあ反論していた相手はスッと黙り、不意に短刀を横に振った。

すると、さっき3人が隠れていた大きな岩が、触れてもないのに真っ二つに割れてしまった。

「「!!!!!」」
「・・・そっちにはなくてもこっちには重要な用があるんだ・・・。どくわけにはいかないんだよっ!!!」

そう言うと、さっきまでとは打って変わって、完全に戦闘モードに入ってしまった。









杏仁豆腐ネタが書きたかっただけです(笑)
そのためだけに暗隠忍者隊が生まれたなんて口が裂けてもいえない〜ww
ちなみに今回ハンゾーが重要!?人物になってくれました。
しかし・・・ハンゾーって意外と動かしやすいなぁ・・・。
りょくさんの気持ちがすごくわかったような気がします(^^)


■ ユウカリ (1回/2011/04/13(Wed) 18:28:27/No3740)

 いっちゃんさん、こんばんは。ユウカリです。
 
 おおっ!なんか、すごい事になっていますね。暗隠忍者隊の登場により、
 ますます激しくなっていますね!
 それにしても、暗隠忍者隊を、杏仁忍者隊と聞き間違えるサスケと、
 ハンゾー。これには、笑ってしまいました。

 そして、ミルモのブサイク話で盛り上がる暗隠忍者隊。これも、おもしろ
 かったです♪

 しかし、1人だけ敵の気配に気づくとは、流石エリート忍者ネズミですね!
 さて、これから、暗隠忍者隊との戦いになると思います。
 どちらが、勝利するのか楽しみです。

 それでは♪


■ いっちゃん (78回/2011/05/16(Mon) 19:47:46/No3868)

ユウカリさん、こんばんは!

返事がとんでもなく遅くなってしまい、申し訳ございません!><
前回の話は杏仁豆腐ネタが書きたかっただけで作りました(笑)
それと・・・ミルモって妖精から見るとブサイクなのでしょうかね?
ビケーが一番カッコいいと言われてるほどなので、妖精視点と人間視点では基準が違うのでしょうか?
あと、重要部分はネズミに担当させてます。
ヤシチやミルモがやったらギャグっぽくなってしまうので・・・(笑)
では、プーさん、お待たせしました!久々の第13話です↓

第13話「あいつ」

「やっやばいんじゃねーか?」
「ワルモ団みたいに間抜けな集団だと思っていたんでしゅが・・・」

あまりの意外さにみんなが固まってしまった。

「今まで黙っていたが、黙っていれば人の悪口をズケズケと・・・!」
「気にするところはそこか・・・(汗)」

ヤシチが呆れたような感じで言う。

「黙れっ!どいつもこいつも人をバカしやがって・・・!そんなに“あいつ”のほうがいいのか!?」
「あいつ・・・?」

いきなりだされた代名詞にみんなは疑問を持つ。

「あぁ・・・そうだ。あいつだよ!あの昔から気にくわねぇ、名前すら教えてくれない“ボス”だよ!!」
「!!」
「あいつはこの村の出身じゃねぇのに、小さいころからコウヤ首領のところに置かしてもらってるんだ!オレ達には名前や前住んでた村のことは何にも教えてくれねぇくせによ!・・・まぁ、一つ同情してやってもいいなら、コウヤ首領にいいように使われてるって所だけだけどな!」
「何!・あいつは忍の里の出身じゃないのでござるか!?」
「あぁ、そうさ。あいつはちょうど最後に近い交流会が開かれたときに、一人でこの村に来たんだ。一体どこから来たのかも分からない・・・。なんせ、あいつ自身がかたくなに話そうとしないからな。」
「交流会だと・・・!?」

ヤシチは特に交流会という言葉に反応した。
それは、ヤシチも一緒に行った、交流会のときだったからだ。

「その後はよくわからねぇが、いつのまにかコウヤ首領の横に置かしてもらっていやがったんだ。それから何年かはそいつの話を聞かなくなったんだが、最近になって今度は“ボス”という名ででてきやがったんだ!」

敵は悔しそうな顔をして語った。
いきなり明かされたボスの話に気まずい雰囲気になる。

「・・・と、少ししゃべりすぎたな。まぁ、いい・・・。これからお前らはあいつに会うことは二度とないんだからな。」
「「ッ!!!」」

クナイを構え直した相手。
ミルモたちにも殺気が走った。

「お前達に別に恨みはないが、コウヤ首領の命によりお前らを消す。」

          シュッ!

その言葉を合図に、五人はそれぞれの相手の前に立った。
一人はハンゾーとサスケ。
一人はミルモとリルムとムルモ。
一人はヤマネ。
一人はネズミ。
そして・・・さっきまでボスのことを話していた男は、何故かヤシチの前に立った。

「コウヤ首領からの命令でな。お前は“あいつ”のさまたげになりそうだから最初に消せ・・・ってな。」









今回は「ボス」について少し触れてみました。
まだまだちゃんとしたことは言えませんが、もうそろそろラストパートに入っていくので、そのときにすべてが明かされると思います(笑)

しかし・・・久しぶりに書いた小説の内容がこんなんでいいのか・・・?
さて、いきなり的にされてしまったヤシチ君。
まぁ、次はサスハンの戦いなんですがww ←ヤッくん関係なし!


■ プー (23回/2011/05/16(Mon) 19:54:59/No3869)

いっちゃんさん、こんにちは!
つ、つ、ついに楽しみに待っていた小説が・・・・。
キタァァァァァァァァァァ!!((←落ち着けww

それにしても今回も小説面白かったです
ちょっとずつ、ボスの真実が明らかになってきましたね!
今後のヤシチとボスの関係が気になってきますね!!
果たしてこの2人の関係が気になります!
そして次回がサスハン!
サスハンは勝てるのでしょうか??

次回超×100000楽しみにしてまぁす!
では!


■ いっちゃん (80回/2011/06/06(Mon) 18:46:34/No3901)

プーさん、こんにちは!
返事が遅くなり申し訳ないです><

そろそろボスに触れていかないとしまりがつかなくなるっ!!・・・という恐れからこの回で詰め込みました(笑)
ヤシチとボスの関係はこの物語で一番!?重要になってくると思うので楽しみにお待ちをww(ほとんどネタばれじゃん!)

では、久しぶりの続きです〜。今回はサスハンの戦いです!↓

第14話「作戦」

「なんで拙者が・・・!?」

いきなりの抹消宣言にヤシチは驚きを隠せない。

「さぁな。コウヤ首領が考えていることはオレにはわからん。お前、自分でわかんねぇのか?」

その言葉にヤシチは戸惑いをみせる。
確かに、あの「ボス」と呼ばれる相手には前にも一度会ったような気がする。
だが、そんな「気」がするだけではっきりと記憶に残っているわけではない。

「さて・・・おしゃべりはここで終わりだ。本気でいくぞ。」
「・・・っ!」

相手の今までにない気迫におされる。
ヤシチも無言で手裏剣を手に取った。


◆―――――◆


場面はサスケ達へ移る・・・。


「・・・そろそろ始ったころだな。」

サスケとハンゾーの前に立った一人の忍者が言う。

「お前ら兄貴に何するんだぜ!!」
「兄貴をいじめたらボク達が許さないのら〜!!」

相手に対する恐怖心よりも、自分たちの大好きな兄貴が消される怒りのほうが大きかった。

「キャンキャンとうるさい奴らめ・・・。まぁ・・・忍者の村にもこんな弱っちぃ奴らがいたとはな。実力が知れる。」
「なんだとぉー!!」
「お前ら二人くらい、オレ一人で十分すぎるくらいだ。」

明らかに二人をバカにしたようば言い方だった。

「そんなこと言うのは戦った後にしろだぜ!」
「そうなのら!それで負けたらおまえなんてすっごくカッコ悪いのら!!」
「そうか・・・それならやってみればいい。」

二人の挑発を受けてもまったく余裕な態度の敵。

「サスケ!ボクに良い考えがあるのら〜!」
「よしっ!それでいくだぜ!!いつまでも兄貴に守ってもらっているだけじゃダメなんだぜ・・・!!」
「そうなのら!ボク達だけであいつを倒すのら!!」
「よしっ作戦開始だぜ!!」

そう言うと、サスケは敵の前に立ち、ハンゾーは敵の後ろに立った。




いったんきります。


■ プー (29回/2011/06/07(Tue) 19:11:23/No3905)

いっちゃんさん、こんにちは!!

まあヤシチも最初に抹殺なんていわれたら驚くでしょうね。
ヤシチ、がんばぁーー!!!!!!!!!!!!

ま、それはおいといて、サスケとハンゾー、
よほどヤシチが大切な存在ということが分かりますね。
ヤシチもこんな子分もって幸せでしょうね。
それにしても、サスケとハンゾーが立てた作戦が気になりますね。
それで勝てるのか・・・?
次回、楽しみにしてます!!

では!


■ ぴこまる (29回/2011/06/07(Tue) 23:52:30/No3909)

いっちゃんさん、プーさん、こんばんは!

あんなに強そうな暗陰忍者隊の一人を前にしても怖がらずに兄貴の心配する子分たちが可愛らしい。
すごく応援したくなります。二人で立てた作戦というのがほんとに気になりますね!!頑張って
いい線までは行ってほしいところです。(難しいかな?

そしてターゲットにされているヤシチ!!タイマン勝負ですがはたして勝てるのでしょうか!?
かっこいい兄貴が見れるところを期待したいですね!!頑張れヤッくん!!←落ち着こう
ボスとの関係も気になりますし、先の展開が読めなくてわくわくしてきます^^

次回も楽しみに待っていますね。ではではw


■ 明菜 (7回/2011/06/16(Thu) 21:26:22/No3946)

いっちゃんさんこんばんは!
初コメさせていただきます。感想を送るのがこんなにもおそくなってしまってすみません・・・。

さっそく感想いいます。
もうすばらしいです・・・!!!
内容もしっかりまとまっていて、なおかつ盛り上げるところはしっかり盛り上げる。素敵です!!
掲示板のほうではすでに自己紹介をしていただいておりましたが、中2だと・・・・!?
まさかこんなにも文才にあふれた方が自分より年下だとはおもってもみず、おもわず画面の前でシャウトしてしまいました。
正直末恐ろしいです・・・。

もう続きが気になってしょうがありません!
ぜひとも完結まで持っていってください!(スライディング土下座)
ヤシチがんば!!!!!
これからも応援します!


■ いっちゃん (87回/2011/06/18(Sat) 21:52:45/No3959)

プーさん、ぴこまるさん、明菜さん、こんばんは!
レスをありがとうございます>∀<

*プーさん*
いつもいつも感想をくれて嬉しい限りです^^
さて・・・ヤッくんはどうなるのでしょうか?(笑)←おい作者
サスハンの戦いはそんなに期待しないほうが・・・(汗)
でも、この子たちは二人でやればヤシチをも!?上回る実力が出せると思うので、真面目に修業をやれば伸びるはず!?w
ヤシチも子分達の戦いを見ればいいのに(いや、無理だからw

*ぴこまるさん*
なんと!ぴこまるさんから感想をもらえるなんて・・・!!
嬉しいです〜‖>Д<‖ちょっと頑張んないと(笑)
サスハンはそれなりにいけますよ!まぁ、相手が相手だった、ということも作中で話したいと思いますww
ヤシチの戦いをどうするかは実はまだ決めていなかったり・・・(笑)
でも、この暗隠忍者隊との戦いは、ネズヤシシーンとミルヤシシーンをだすきっかけを作るためだったりしますww(おい
私はミルヤシ&ネズヤシはぴこまるさんほどうまく表現できていませんが、自分の想像を全部つめこむつもりなので!
実はそのシーンが書きたいがためにこの小説を書いたとか・・・(笑笑)

*明菜さん*
感想をありがとうございます!とても嬉しいです^∀^
いやいや・・・どう考えても明菜さんの小説のほうが面白いですよ。
むしろその文才がほしい←
明菜さんは何歳なのでしょうか?
受験を終えた・・・ということは高校生でしょうか?
どっちにしろ私の素晴らしい先輩です〜^∀^
明菜さんもぜひ小説の完結まで頑張ってください!(すべり込み土下座w)


では、この前の続きからいきます〜。↓


  ――――――――――――――――――――――――――――――

「・・・なんだ?はさみうちをして二人で攻撃するって作戦か?そんな幼稚なものがオレに通用すると・・・」
「ちがうのら〜」
「おいら達、もっと恐ろしいことを考えちゃったんだぜ♪」

二人はニヒヒと意味深に笑う。
敵は、もちろん冗談だと思い、なんの構えもしていなかった。

「そんなのハッタリに決まっているだろう。それに、例えお前らが本当にたてたとしても、そんな大したもので・・・狽ャゃははははははっ!!!」

不自然に言葉が切れたと思うと、敵は突如大笑いし始めた。

「妖精忍法こちょこちょの術なのら〜」

草でわきをくすぐられ、敵はどうすることもできなかった。
しかし・・・作者も一番やられたくない術だなぁ・・・。

「サスケ〜!今なのら!!」

ハンゾーが叫ぶと敵の後ろの木に登ったサスケが姿を現した。

「わかったぜ、ハンゾー!!とぅっ!!!だぜぃ〜!」

木から飛び降りたサスケは敵目掛けて落ちてきた。
 
「うぐぁはぁ・・・っ!!」

不意をつかれた敵はたまらずKOしてしまった。

「うわーい!!やったぜ(のら)!!」
「ボク達だけで勝てちゃったのら〜!」
「後で兄貴に報告しなきゃだぜっ!!」

滅多にない勝利を喜ぶ二人。
そして、二人はここぞとばかりに敵に向かって嫌味を言った。

「やーい、やーい!カッコ悪いぜ!!ww」
「一人で十分だったんじゃなかったのら〜?ww」

敵は言いたい放題の二人に腹を立てはしたもの、体が動かなくて何もする術がなかった。


「そういえば、他のみんなはどうなったのら?」

そして、場面はミルモ達えと移る・・・―――




 ――――――――――――――――――――――――――――――――
とりあえず謝罪。こんな結末でごめんなさいww
いや〜・・・サスハンはこんな勝ち方をするんじゃないかなぁ・・・?と思いまして(^^;
しかし、だんだんこの二人がネズミに似てきたな(笑)
次はミルモ、ムルモ、リルムの戦いです!
(間接的にミルヤシシーンがあります^^)

ではでは!


■ こやまる (1137回/2011/09/22(Thu) 17:23:30/No4180)
http://www.murumoya.com/


いっちゃんさん、皆さん、こんにちは☆

多忙ないっちゃんさんのスレが過去ログへ行かないよう、レスいたします(^◇^;)。
というか私のレスも久々になってしまいすみませんです。
時間が出来て落ち着いてきたら、また続きをぜひよろしくお願いしたいです。
ヤマネの恋の波乱についても楽しみにしておりますので♪
ってこのスレッドも間もなく40レスに達してしまいますが…。

まさかのこちょこちょ攻撃…これは予想外でした!
でもサスハンらしさが出ていて納得です。
ハンゾーにこちょこちょされたこの名もなき忍者は、いったいどんな表情をしていたのでしょう?
木によじ登るサスケも想像するとかわいいなぁ。

次回はミルモたちの番ですが、一人でこの3人を相手するのはかなり無謀というか…。
かわいいムルモの活躍にも期待しています。

では!


■ いっちゃん (94回/2011/09/22(Thu) 19:01:03/No4182)

こやまるさん、こんばんは!

お気遣いありがとうございます〃>Д<〃
最近ほんの少し落ち着いてきたので近々再新していきたいと思います!

次の話は別スレッドをたてて書きますね。
でも、あまり期待はしないでください・・・。。(汗
何せこの暗隠忍者隊との戦いはネズヤシシーンろミルヤシシーンのふせんのためだけの戦いなので、実は相手がどんな戦い方をするとかまったく考えていませんでした><;
サスハンのだって行きあったりばったりだったからありきたり〜なオチだし・・・。。
しかも次回はミルヤシシーン入れるとか言っておいてほんの少し(しかも深読みしないとわからないぐらい)しかいれられなかったという・・・。
でも、一応この暗隠忍者隊との戦いが終わったらきちんとありますのでっ!
(誰も期待してねぇーっ!!
とりあえず、残りのミルモ達とヤマネとネズミとヤシチの(多い・・)の戦いを終わらせなければっ!!

ムルモもそんなに目立って活躍しないかもしれないですが、ちゃんと台詞や見せ場も作るつもりです!←当たり前

それではっ!




3968/ スウド!(洗濯物が乾きやすい季節)
□投稿者/ りょく -270回-(2011/06/21(Tue) 22:47:54)

こんばんは!
今日から新たな小説を連載します。
世界観やオリフェは話が進んでから紹介しますね。わりと早いです。
さあ、恋化妖精たちに名残惜しくも、新しい物語に向かって張り切ることまいか。





1スモーキークォーツの在処


「黒魔法を封印していた水晶が無くなったー!?」

妖精神の言葉に四人は驚愕した。



くもっちょを食べていた妖精界の第一王子ミルモ、彼に勝負を挑みに来た宿敵を名乗る忍者のヤシチ、ミルモを応援する婚約者のリルム、見物しているミルモの弟ムルモ。
その日は四人ともいつもと変わらぬ日々を過ごしていたが、妖精界からの届け物が四人をガイア族の元へと導いたのだった。

四人は悪の化身・ダアクに対抗するべくガイア族に魔力を高められ、ダアク消滅に深く関わった妖精でもある。
ガイア族は人間界に直接手を出すことは不可能。ならば自分達が呼び出された理由はまた人間界に危機が迫っているのだと四人は考えた。

ガイア族はダアクが消滅した後、彼が生み出した黒魔法の残骸を集めて封印しているのだ。

「どうやって消えたかは分かんねーけどよー…」

炎の神、フィアの口調は何やら思わせ振りだった。心境と同じく、若干、頭で燃え盛る炎の威力が弱くなる。

「…証拠は無いんだが、ダアクの手下だった奴らが怪しいと思って」

土の神、ドンタはいつもの無表情だったが声に元気が無い。あんなに大変な思いをして封印したダアクを今度こそ復活させないよう気を付けていたのに、うっかり監視を怠ってしまい落ち込んでいるのだ。

「僕らもそれだけで疑うのはどうかと思ったんだけどね」

水の神、アクアはしょんぼりと肩を落とす。よからぬ考えの連中に復活でもさせられたらなど…考えたくもない。

「他に手掛かりがないの。あの事件からまだ日は浅いし、どんなに悪しき考えを持っている妖精でも手は出さないと思うわ。全ての妖精を滅ぼそうとした悪の化身の欠片に。
彼らを疑ったのは、付き合いが長いのなら情が湧いているかもしれないと思って。まあこじつけ」

雲の神、ピクモは温和な表情を曇らせる。

「ちょっと様子を見てきてくれないかい?」

風の神、ウィンは普段の気まぐれな調子はどこへ行ったのやら真剣な声色で言った。

「ちっ、しゃーねーなー。オレ達が確かめてきてやらぁ。えーっとダアク族の手下だった奴っつーと…」

重くなりつつある雰囲気どうにかしようとかるーく承諾したのはミルモ。自分達の危機でもあるし、何よりシリアスなガイア族を見ていられない。

「ワルモ団さんと」
「アクミしゃんと」
「ネズミか」

リルム、ムルモ、ヤシチは答える。

「ワルモ団さんは人間界をうろついていますし、アクミさんは遠いですがドイツにいらっしゃいますけど、ネズミさんは旅をしていますから…」
「捜すのは困難と言うことなのだ。ふん。別に会いたくはないがな」

ヤシチは口を開けば嫌味を言ういとこを良く思っていない。二人は犬猿の仲だった。

「じゃっ、オレはワルモ団な」
「わたくしもご一緒しますわ」
「ボクはアクミしゃんを担当しましゅ」

三人は打ち合わせしていたかのようにテンポよく喋ると、ヤシチを置いて飛び立っていた。

「おのれ〜!一番面倒なのを拙者に押しつけおって…。一体どうやって捜せばいいと言うのだー!!」

赤忍者の嘆きの叫びがむなしく響き渡る。
ガイア族は「頑張って」と他人事の様に言うとそれぞれの神殿に戻っていった。





一方、ここは妖精界のどこかに建つ大きな宮殿。
薔薇の香る五人の妖精が大きな水晶を囲んで怪しげな会話を繰り広げていた。

「さて、盗みだしたのは良いんだがなァ…」
「トプルとかいう妖精の粋を軽く超えた大男の監視の目をどうやって突破するか何日もかけて探って、盗んだ後の水晶のありかがバレ無いようガイア族の封印魔法を包んで誤魔化す魔法を編み出して…、いくら計画をきっちり立てていたとはいえ、こんなにあっさり盗みだせるとは思わなかったじゅ。監視カメラも何も付いてなかったし。
どんだけノドカなんだって話。防犯対策が足りないじゅ」
「一般常識で考えて盗みだす奴が居ないんだもの。人間界を悪に染め上げ妖精を滅ぼそうとした物騒なものを」
「…僕は生きていないから関係ないけど」
「へ〜〜、じゃあわたし達ってぇスゴいんだろるぅ。天才ろるぅ!」
「一歩間違ったら大馬鹿だけど…。んなことより封印を解くのは生半可な作業じゃないぜェ。何しろ妖精神の仕業なんだからな」
「でもあなたなら必ず成し遂げるものっ!一家の大黒柱、私達のプリンスなら…」





スモーキークォーツ。和名は煙水晶だそうです。


■ りょく (272回/2011/06/23(Thu) 07:10:26/No3973)


2三色妖精とプラズマドラゴン


他の三人と別れたムルモは街にいた。
アクミの住み着く家と場所は違うがミルモとリルムもワルモ団がいる人間界へ向かうので、マグカップ置き場(転送ドーム)は絶対通らないと先に進めないのだが、あえて一人で行動するのには訳があった。


「せっかく妖精界に帰ったのでしゅから人間界にはないお菓子を買うでしゅ。ちょっとぐらいなら罰は当たらないでしゅよね〜。きゃは!」

ムルモはお菓子デパートで目当ての品を物色していく。要するにサボり。

買い物が済み、ベンチに座って買ったばかりのお菓子を頬張っていると、どこからかかぐわしい香りを感じた。この上品で優雅な香りは薔薇の香りだ。

ムルモがマシュマロから顔を上げると、前髪を真っ直ぐに切り揃え、赤、青、白、三色のワンピースを着たお洒落な妖精が立っていた。歳は同じくらいだろうと思われる。

「ハロー。お隣よろしいろるぅ?」

可愛らしく小首を傾げられては断る理由などない。何よりこっちから誘いたいくらい申し分ない勢いで、ムルモの好むタイプだった。

「どうぞでしゅ!」

素早く荷物を退かし、スペースを作る。

「ふふっ、ムルモがこっちに帰ってくるなんて珍しいろるぅ。人間界はどうろるぅ?」
「パートナーのお世話は大変でしゅけど、これも王子としての修行でしゅからね。全然苦ではないでしゅよ」

ムルモは初対面だと思っていたが、この子はなんとも親しげに話し掛けてくる。同じ妖精学校に通うの他のクラスの生徒かもしれない。

「(ボクは妖精界のアイドルでしゅから学校全体にファンがいて当然でしゅ!!それにしてもこんなに可愛い子が居たなんて知らなかったでしゅ。お名前を知らないけど、聞くのは失礼でしゅよね…)」

ムルモに見つめられた妖精は淡く微笑み返す。ぷにぷにの柔らかい頬っぺが薄く桜色に染まる。

「ほぇ…な、何でもないでしゅ…」

可愛い笑顔に胸をときめかせ、楽しい一時を過ごすはずだった。
そこへ妖精がもう一人現れた。

「むりゅも〜!」

ムルモを見つけ、嬉しそうに駆け寄って来るのはピンクのうさぎちゃん。幼なじみの女の子、パピィだった。

「パピィ!」

途端に触覚王子の表情が曇る。こいつも妖精界に来ていたとは…。
ムルモに恋するうさぎは照れるあまり素直になれず、つい罵声を浴びせてしまう。
ムルモはパピィのその部分は嫌悪していた。心の底では違うようだけど。いや、絶対全体的に好いているのだ。

「あら、トリコじゃない。久しぶりね。最近学校に全然行ってないんでちょ。噂になってるわよ」

パピィは言った。注意がトリコにそれたおかげでケンカにはまだ発展していない。

「トリコしゃんって言うんでしゅか。やっぱり聞いたことのないお名前でしゅ〜…あっ!」

触角王子は慌てて口を塞ぐが間に合わなかった。今の今までにこやかに微笑んでいたトリコから黒いオーラが溢れだした。

「…今、聞いたことないって言ったろるぅ?この最強綺麗なわたしの存在を知らなかったろるぅ?その表情は全くその通りのようろるね。…こんの触角ヤロー、妖精界一可愛いおれを知らねぇとはケンカ売ってんのかゴラァろるぅ!!」

トリコは人格が180度変わったかのように態度を豹変させ、懐から取り出した紅白の球体を開封した。

「出てこいるぅ!ローゼ!」

光に包まれ現われたのは一匹のドラゴンだった。
手のひらに収まるサイズのボールから妖精の4〜5倍はある生き物をどうやって入れていたのかいささか疑問。どこのモンスター。ムルモの祖母のバラモもドラゴンを飼っているが、同じ種族と言えども姿形は遠い。(可愛い系を想像してください)。

「ど、どうしたんでしゅか、トリコしゃん…。名前を知らなかったくらいで激怒するなんて…」

自らもぶりっ子二重人格のくせに他人にやられると驚くらしい。
だが次のパピィの言葉でさらに驚愕することになる。

「そうよ。男のくせに心が狭いでちゅ」
「ほぇぇぇ〜!トリコしゃんは男の子だったでしゅか!?」
「あんた知らなかったの?ムルモのことだから可愛い女の子だと勘違いしてデレデレしてたんでちょ。全く超おバカたんねぇ」

ふふふ、と勝ち誇ったような笑みを浮かべ、触角王子を見下すうさぎ姫。ほら来た!いつもの展開、お約束。ムルパピにケンカはつきものです。

「う、うるさいでしゅ!ボクがバカならパピィは激アホでしゅ!」
「何でちゅってぇ!レディに向かって失礼じゃないっ!」

二人が睨み合い罵り合いから殴り合いに発展しそうになった時、痺れを切らした男の娘が怒鳴った。
ああ、彼の名誉のために言っておくと女装趣味があるだけで、そっちの気はないそうです。オトメさんとは別。ややこしい。

「無視すんなろるぅ!ローゼ!」
「きゅーー!」

ドラゴンの背に乗ったトリコは指示を出す。するとローゼは鋭い牙が何本も生えた口から火炎を放射した。
とっさに避け直撃は免れたものの、火は地面に生える草花に燃え移ると瞬く間に広がり二人を取り囲む。

「きゃああ!」

先程の強気な態度から一転、女の子らしい悲鳴を上げムルモにしがみ付くパピィ。両耳が怯えるように垂れ下がる。
―ケンカもするけど、本当は、守らなければならない大切な存在―。
一緒に叫びたくなる自らを叱咤しパピィを強く抱き締めた。

「パピィ!」

地面の焼け焦げる音、匂い。避け場の無い熱気。勢いを増した炎が二人に迫る。

「おれの名はトリコ。ドラゴン遣いのトリコろるぅ!この偉大な名を存じなかったことを深く後悔しながら、そのまま灰となれろるぅ!!」

ひと呼んで女装少年、トリコロール。
これで妖精界一綺麗な少年の座はおれのもの。ようやく屈辱を果たせたのだ。
ふんぞり返ろうとした刹那、トリコの頬っぺたにぽたりと雫が滴れた。

「きゅ〜〜…」

ドラゴンのローゼが困り顔で主人に指示を仰ぐ。
小さな雫は大雨となりムルパピに降り注いだ。炎の威力は徐々に弱まり、やがて完全に消えた。

「けっ!天候に味方されるとは命拾いしたなろるぅ…」

トリコはローゼをボール(言っちゃった!)に戻すとその場をあとにする。

「待つでしゅ!」

ムルモは後を追うがすでに三色少年の姿は消えていた。

「何だったんでしゅか…」

雨が降らなければ二人とも今頃…!!

「ムルモ?」

安心して力が抜け、地面に尻餅を付いたパピィは敵の去った方向をじっと見つめるムルモに呼び掛ける。

触角王子はトリコのただならぬ風格に「きっとボクが可愛いから逆恨みでしゅね。きゃは!」といつもの自賛混じりの言葉を口に出来なかった。





火傷するくらい熱いと一秒くらいヒヤッとするか遅れて感じる。


■ りょく (273回/2011/06/24(Fri) 07:11:17/No3975)


3糸目の女侍


「一体、何処をどう捜せばいいのだ…」

道端にしゃがみこんでヤシチは途方に暮れていた。

何処へ旅に出たのか不明な嫌味な青忍者の居場所の特定するなど、はっきり言って無理だ。妖精界中を捜し回らねばならない。
仮にネズミが黒魔法の欠片を封印した水晶盗難に関わっているのならば、まだその辺に居るだろう。ヤシチがそう考えないのは、彼がダアクに仕えていた理由が妹のヤマネを救うためだったからだ。

嫌味で覗き魔で悪巧みが趣味の最低ヤローだが、滅多な理由がないと世界を滅ぼすまでの悪事に加担するような奴ではない。
ネズミとは仲は悪いがいとこなので旅に出る前はそれなりに親しく、認めたくはないが良いところもたくさん知っているし、その一つは頭を下げたヤシチらに免じてヤマネを預からせてくれたことだ。

―今頃、どこで何をしているのだ…。
ヤシチは青い空を仰ぎ、問い掛けた。もちろん答えなど帰ってくるわけはなく、ただ、真っ白な雲がゆったりと流れているだけ。

何にせよ、真相を確かめねばならない。

そう思いヤシチが腰を上げた刹那、どこからかかぐわしい香りを感じた。この上品で優雅な香りは薔薇の香りだ(2話と全く同じ)。と同時に背後から聞こえる声。

「ふーん。実物はさらにマヌケ顔じゅ」

蔑みの言葉にカチンときたヤシチが振り返ると、そこには淡い水色の和服を着た少女が立っていた。
服より濃い水色の髪を腰まで伸ばした女侍。
忍者と侍は同じ村に住んでいる同盟種族。その為、まず敵同士になることはない。個人的な事情を除いて。
笑っているような糸目の顔がデフォルトらしいが、穏やかな表情とは裏腹に、この女侍の物言いはヤシチを挑発しているようだった。

「な…貴様は何者だ!拙者がマヌケだと?」
「そしてかなり弱そうじゅ。良く言われないじゅ?」
「ふん。だったらその判断が正しいか試してやろうか?女だからといって手加減はしないのだ」
「ハナからそのつもりじゅ。掛かっておいでじゅ!」

女侍は鞘からよく手入れされている刀を慣れた手付きで引き抜く。きっとそれなりに重量もあるのだろう。見た目より遥かに重そうだ。
フランスパンも食パンのようにスライス出来そうなこの刃(パンスライサーが欲しいですね!)で、今まで何百人も斬ってきたのだろうと想像がついた。

―ハナからそのつもりだと?何が目的だ?…もしやダアクが封印された水晶がなくなったことに関わっているのかもしれない。いや、まさか…。
嫌な胸騒ぎを振り払うようにヤシチは手裏剣を投げた。

「せやっ!」

刹那、キィンと金属音がして、女侍に刀で軽くあしらわれたソレは地面に転がっていた。さっきと違う状態なのは真っ二つに別れているからだ。
攻撃道具である手裏剣はあっさり割けるほど脆くない。この刀自体がとてもいい品だからと使い手の腕があってこそ。
この二つの組み合わせの前では金属と同じ硬さのもの、或いはソレより柔らかいものは全てこうなる運命なのだ。もちろん妖精の身体も当てはまる。

買ったばかりだったのにとか、壊されてしまって勿体ないとかいう感情を通り越して、ヤシチの背中に冷や汗が垂れた。

「だったこれだけのことで怖じけついているようじゃ、予想を上回る弱さの実力に違いないじゅ。ううううん、役に立たなさそう…とりあえず家族に相談するじゅ。手裏剣と同じ運命を辿りたくなければあたしと一緒に来るじゅ。仲間になるじゅ」

糸目の女侍は勝負は見えたと思ったのか刀を鞘にしまう。

「…話が見えんな。弱いと思っている拙者を仲間に引き入れる理由は何なのだ」
「リストに載っていた六名の中にいた忍者があんただったからじゅ。あたしは忍者が嫌い。もっとも侍の方がさらに嫌いじゅ」
「リスト?何の話だ?」

ヤシチが首を傾げていると自分の名を呼ぶ声が後方から追い掛けてきた。

「ヤシチ兄様を傷付けるのならばわたしがお相手致すでございます!」

ヤシチの前に躍り出た黄色はいとこでくの一、ヤマネ。大好きなアニサマの危機に颯爽と参上する、赤い師匠より遥かに優れた弟子。
不穏な空気を読み取り、すぐさま戦闘態勢を取る。

「次から次へと…もう良い。ターゲットは変更するじゅ。あたしにやられて惨たらしく往ねばいい!」

糸目の女侍は顔に似合ぬ結構酷い台詞を吐くと、再び鞘から刀を引き抜きヤマネに向かって振り下ろす。

「ていっ!」

ヤマネは二本の刀を交差させ、女侍の刀を受け止めた。ヤマネは二刀流だ。使用している刀は女侍の刀に比べ、細くて軽い。片手で扱うのだからそれで十分だろうが強度にも差があるだろう。

「くっ…」

ヤマネの刀はぐいぐいと押されていく。彼女は苦しそうな表情を浮かべていたが、女侍は顔色一つ変えない。笑っているような温和な表情が逆に不気味である。

「ううううん…こいつを止めるとなると次は誰にしようじゅ〜。六名のうち三名は他の家族が担当しているから、ヤシチを除いて残り二名。どっちにするかな。今のところラットってのが妙に気になるじゅ。顔を隠した男はイケメンっていうのが相場なのじゅ」

糸目は力を緩めず考えを巡らせている。それが出来るのは彼女が本気を出していないからなのだった。

「ヤマネ!」

ヤシチは楽器を出し援護しようとした。すると何者かの攻撃によって女侍の刀が弾かれた。

「誰じゅ!?」
「いかにも。拙者がラットでござる」

少し距離がある木の上から見下ろす青い人物。
妹のピンチに青い紐を棚引かせかっこよく駆け付けたのは、言わずと知れたシスコン兄さん。ヤシチのもう一人のいとこのネズミ。
妹とは性格も顔もまるっきり似てない。血縁関係にいろんな説が飛びかうほど似てない。服の色はド○えもん兄妹を参考になさっていると思います。

「きゃあああー!!あなたはネズミくん!
ネズミくんがラット…ってそれマジじゅ!?だからあたしのイケメンレーダーが反応してたんだじゅ。ああ、覆面男はイケメン説は正しかったのじゅ〜〜!」

先ほどとは打って変わった様子で悲鳴を上げるように叫ぶ糸目の女侍。語尾にはハートが付いている。
その騒がしい様子に唖然としながら、ネズミはひらりとヤシチとヤマネの間に降り立った。

「ネズミ兄様!お帰りになられていたのでございますね」
「ネ、ネズミ…本物か?」

ヤシチは兄に挨拶するヤマネを押し退け、飛び掛かるようにしてネズミの両肩を掴んだ。
何処にいるか検討もつかない人物を捜し出さねばならないのに、急に本人が現れにわかには信じられないのだ。

「フフフのフー。この拙者を忘れるとは良い度胸をしているな。だから能無しダメ忍者なのでござるよ」

いつもは噛み付いてくるいとこの積極的な(?)態度にぎょっとしつつも答える青忍者。
嫌味を言われヤシチはようやく本物だと思えた。これこそ正真正銘のネズミ。嫌味でずる賢くて逃げ足の早い拙者のいとこ。ああ、良かったのだ!
ネズミはヤシチの手を振り払うと、糸目をハートに変化させた女侍に向き直った。

「お主はノドカだな。刀の腕は同年代で右に出るものはいないどころか、あまつさえ大人に引けを取らないと言われている。そこの無能な"いとこ"は好きにすればいいが、妹に危害を加えると容赦しないでござる」
「そういうあなたは旅をしながら忍術修行をしていて超強くて、そのスピードは天下一品!本気を出せば誰にも追い付けない程の早さで、しかもかっこいいネズミくんじゅ〜!あああ〜、ネズミくんがあたしの名前を…!!ノドカ感激〜!!」
「何故ヤシチ兄様を攻撃していたのでございますか?」

ヤマネは一人でぎゃーぎゃー騒ぐ糸目の女侍、ノドカに尋ねた。名前と顔は似合っているのに、唯一性格だけが一致しない。

「それはねぇ、ダアク消滅に関わった強ーい妖精六人の中から一人一命ずつ選んで、あたし達の仲間に引き入れようという計画をしていたからじゅ。こいつに関してはあたしの見込み違いだったけど」
「やかましい!六名のうち三名は他の家族が担当していると言っておったな。六名とは誰なのだ?」
「ミルモ、リルム、ヤシチ、ムルモ、アクミ、そしてラットのネズミくんじゅ」
「!!アクミの元へ向かった妖精がいると言うことのか!言え!!」

アクミの名前が挙がった途端、ネズミは血相を変えノドカを問い詰める。
この六名がどのようにしてリストアップされたのか正確さは微妙だね。

「い、いるじゅ…」

真に迫る青忍者の威圧感にうろたえるノドカから、答えを聞いたネズミの姿はすでに消えていた。

「(にしても奴がヤマネ以外の誰かの事であそこまで必死になるとは、らしくないのだ。恋愛沙汰だったりしてな…。ま、これを期にお角(かど)が取れてくれたら助かるのだがなぁ…)」
「ヤシチ兄様?」

華麗なるネズアク予報をお送りしました。







フランスパンに切れ目を入れるとき硬いからと言って力を入れすぎると手を切ります。出来ればまな板の上で行うのをおすすめします。


■ 梨璃 (142回/2011/06/24(Fri) 19:48:54/No3976)

りょくさんこんばんは☆

小説新連載きましたね!
ダアクの手下たちも出てくるようで…^^*

ムルパピと女装少年のトリコ君ににやにやしたら、次の妖精忍者でネズミの登
場にテンションMAXです!
ノドカちゃんのテンションにおもわず笑ってしまいましたw

ネズアク展開に期待しています!
続きも楽しみにしています。
では!


■ ぴこまる (36回/2011/06/24(Fri) 22:59:22/No3979)

りょくさん、梨璃さんこんばんは!

りょくさんの新連載楽しく読ませていただいております^^
ヤシチの不憫さがいい感じですね。ミルモたち素早すぎる……wまぁヤシチの今までの経緯考えると
誰を担当するにしてもめんどくさそうな気もするのですが…ワルモ団に一人で会いに行くのもややこしい
でしょうしww

薔薇の香る5人の怪しい妖精たちがすごく気になりますね!!ノドカのキャラが美味しいですw
そして狙い澄ましたようにヤマネのピンチに駆けつけるシ○コンな素敵なネズミさんが溜まりませんww
手裏剣一個に対してけち臭いこと考えてるヤッ君も大好きですw

しかし鈍さに定評のあるヤシチでもネズミがアクミに惚れていることを察することができたとは……!
兄さんわかりやすすぎます^^;

ネズアク展開にも期待しております!!更新頑張ってくださいね!!
ではでは^^


■ りょく (274回/2011/06/25(Sat) 06:44:46/No3980)

梨璃さん、ぴこまるさん、おはようございます!

*梨璃さん*
トリコはムルモに絡む同性ということで(?)女装少年になってしまいました。腹黒いムルモよりも純粋にしたいのですが、始めっからおかしい(・∀・;)
ノドカは明るく元気でおバカなイメージです。セリフからおバカが際立っているww
この小説のネズアクは世間様のイメージと違っているので自信ないです…。


*ぴこまるさん*
確かにヤシチの場合、誰を担当しても穏便には済まなそうですね。ヤッくん大変ww
ネズミとヤシチを絡ませたいのは趣味だったり。とはいえこの小説内の恋する兄さんはかなり分かりやすい設定です。
でもそのせいでヤシヤマが潰れた。しすこ〜んのせいでもありますが(笑)
あれ、ノドカ人気…!?
あ、薔薇の香りは柔軟剤です。

では!









4半分以上降りた瞼(まぶた)


ドイツ。
赤毛を一つに束ねた妖精少女は空飛ぶ絨毯から降りた。そこはどこかの家の屋根の上。気分が優れない時は大抵見晴らしの良いこの場所に来ていた。

「ダアク様…」

アクミは愛しいひとの名を切なげに呟くと嘆息を漏らす。

ダアク。人間界の怒りや憎しみといった負の感情が集まって生まれた悪の化身。
妖精界を滅ぼそうとし人間界を征服しようとした彼はこの世に存在してはいけなかったのだ。

アクミは彼のことが好きだった。
部下になり仲間とともにダアク復活の妨げになる妖精や人間を何度も倒そうとしていたが、ダアクの真の目的を知ると消えていくダアクを助けることは出来なかった。
自分はただ、利用されていたに過ぎず、役目を終えると他の妖精達と同じく消されてしまう予定だったのだから。

そのことに関しては仕方がなかったし、南楓にも酷いことをして悪かったと認めている。
ただ、恋は簡単に忘れられないし、想いは募るばかりで。

アクミはまた嘆息を吐く。

「あれ?」

すると、どこからかかぐわしい香りを感じた。この上品で優雅な香りは薔薇の香りだ(2、3話と全く同じ言葉)。
アクミの隣には見知らぬ妖精が浮いていた。

「会いにいこう」

それは赤い帽子を被り、ドット柄の上着を羽織ったわりと洒落た格好をした、歳はネズミくらいの少女。
半分以上降りた瞼(まぶた)にはパッションピンクのアイシャドウを塗りたくっている。

「え…」
「ダアクの欠片はうちで保護している」
「う、嘘っ!?」

ダアクの黒魔法の欠片は、悪用されぬようガイア族が集めて封印したことは知っている。
それを手に入れ、しかもダアクに逢いたいアクミの気持ちを見透かしたように誘いの言葉をかけるとは…。
アクミが驚くのも無理はない。

普通だったら信じられず笑い飛ばすだろう。しかしひとも妖精も怪しげな雰囲気に惹かれるものだ。うちわや他の道具を使わず宙に浮いている謎の状態、容姿(肌の質感が何か変。半目が変)、この妖精の異様さがアクミの心を揺らめかせた。
そしてダアク様に逢いたいのも事実。
たとえ黒魔法の欠片でも。

「でもね。あたいは理解してるんだ。ダアク様は、絶望と破壊を操る悪の化身はどこにも存在しちゃいけないんだって。誘ってもらって悪いけど諦めな。あんたを疑ってる訳じゃない」

アクミは言った。

「なぜ?」
「居ないひとの想い出は美化するものだから実際に逢うと大したことないって漫画で読んだし、それに…ほ、他に素敵な恋が見つかるかもしれないじゃん」
「目的が果たせないよ…」

それはとても残念そうな消え入りそうな声だった。

「残念だったな。もう帰んな」

アクミは半目の妖精に背を向け追い払う仕草をする。

「いや、貴様がダアクの黒魔法の欠片を使い狼藉を働く不届き者ならば逃がす訳にはいかない」

青い忍者。一時期キザなガンマンだったこともある、アクミの元相棒が現れた。

「フフフのフー」

ネズミは嫌味に笑いながらノドカと同じ香りに警戒心を限界まで高めた。危険度はさっきの糸目を遥かに凌ぐと忍者の勘が告げている。

「ネズミ!さてはお前の事だから覗いてたんだろ。あたいがそう簡単に寝返るとでも思ったのか?」
「ふふ。心配してわざわざ駆け付けたのでござるよ。ん、お前は…」

ネズミは半目に派手なアイシャドウをした妖精のアクミが気付けなかった点に注目した。
肌の質感だ。レーヨンとかポリエステル的な生き物にしてはあり得ない素材。さらによく見ると瞳はガラス玉だった(実は宝石。半目なのは予算をケチったのが理由の一つらしい)。

半目の妖精は空中から不機嫌そうにネズミを見下ろす。

「こんなに長居する予定じゃなかったんだ。天気が変わる前に帰らなくちゃ…」
「逃がさないでござる」
「お前は呼んでない」

不機嫌そうな声と共にネズミが放ったクナイは鈍器か何かで打ち返されていた。
武器を使ってきたのはこいつではないように思う。もう一人居たのか…なんて、気づいた時すでに遅し。

「アクミ!」

恋する青忍者は絨毯女が魔法でぬいぐるみに変えられるのを防ぐことは出来なかった。そして、アクミは連れ去られてしまった。





なんでもござれのネズミさんは、まず、人間界を捜しまくった。
ワルモ団に尋問するミルリルの上を通ったりもした。だけどいない。いないいない。どこにもいない。
次は妖精界だ!という時に彼女はひょっこり姿を現した。

「生キャラメルを練りこんで焼いてホイップクリームをサンドしたパン、生キャラメルパンさいこー!!一番美味かったよ!また遊びに行ってもいいか?」

それ練りこんで焼いた時点で"生"じゃないじゃん。
しかも超笑顔。傍らには半目のあいつ。

「アクミ!今までどこへ行っていたでござるか!よくもアクミを連れ去ってくれたな」
「あげる」

半目の妖精から差し出されたのは折菓子。全ての妖精が凄まじい執着心を抱く魅惑の食べ物。
だが、ネズミは高価な風呂敷に丁寧に包まれたさらに高価なそれを弾き飛ばした。
折菓子は宙を舞って離れた場所に落下する。

「あー、なんてことすんだよ!勿体ないじゃん」

アクミは慌てて拾いに行く。風呂敷に包まれているからセーフ。ばっちくない。

「良いって。ピリピリし過ぎじゃん。楽しかったから気にしてねーよ」


魔法でぬいぐるみにしたアクミを連れ去って半目の妖精は自宅に戻った。そこはミルモの城よりずっと大きく広い宮殿。

「ただいま」
「一番乗りだなァ。おかえり」

白髪で左に小さなシルクハットを被った妖精が出迎える。

「持ってきたよ」
「ぬいぐるみ…っていやいやいや、俺らの考えを理解した上で協力してくれる奴じゃねーと意味ねえっつーの。このドジっ娘ちゃんめ」

んな可愛いもんじゃないですよ。

「要らないのなら焼(く)べようか」

半目の妖精の目線の先には大きな暖炉。ぬいぐるみのアクミは怯えた。

「ヒヒッ。お前の思考は斬新すぎて付いていけないぜ。それよりクイズだ。さて、この家の掟ではゲストはどう扱う?」
「お客様は持て成すもの!さ、魔法を解いておあげ。私はお茶準備だもの」

新たに出てきた妖精がキッチンに進路を取る。眉の太い女の子。
すると白髪の妖精は慌てた。表情の変化に乏しいはずの半目の妖精もぎょっとしている事態。

「ま、待て!俺がする。カナエはゲストの相手を。オリョンは俺様の手伝いだ」
「…私よりオリョンの方がプリンスと付き合いは長い。もっと早く出会っていればポジションが逆だったに違いないもの…」


「んで、たくさんのお菓子と紅茶で持て成してもらったのさ」
「ずいぶん良い思いを…」
「羨ましいだろ〜」
「無事で何より。毒を盛られたりしていないでござろうな」

そう言ってアクミを見つめるネズミは今までになく優しげな目付きをしていた。そして半目の妖精、オリョンに向き直ると、再び細い眉毛を吊り上げ生意気な顔に戻るのだった。

「それはないよ。無理強いするのはアレの趣向にそぐわないって」

オリョンは青忍者がむき出す怒りと警戒心をとても不思議がっていた。

「それは失礼。しかし何にせよ、黒魔法の欠片をガイア族の元から盗みだした不届きな連中を見逃す訳にはいかないでござる」
「判断するのは彼女だ。恋人だからお菓子を渡してって言われたのに捨てるなんて」
「こいつとはそんな関係じゃないよ。一緒に歩いてたらよく言われるけどな」
「そうなのか。男のことはよく分からない。じゃあ、天気が変わるから長居する訳にはいかないんだ」

オリョンは曇り空を見上げる。今すぐじゃないにせよ、雨が降るのは確実。

「逃がすか!」

ネズミは棒手裏剣を投げる。クナイより威力は小さいが細くて軽い武器。それは目にも止まらぬスピードでオリョンの肩へ貫通。
そして糸がほつれるように腕が取れた。

「っ…!?」

驚いたのは攻撃された半目、攻撃した青忍者、傍観者の絨毯女。
断面図はよかった、全然グロくない。驚きの白さ。

「やはり生身の妖精ではないな。奇怪な…」

ネズミは呟く。考えられないほど不思議で不気味な様子。彼はソレの存在する仕組みは知らないが正体が分かった。(この時点で分かったあなたはエスパー。さあスプーンを曲げてみよう)
オリョンの患部にはもこもこの綿が詰まっていた。

「痛い…。生きてた時みたい…。ひとの身体を壊すなんて、ここまで酷い仕打ちを受けたのは初めてだ…」
「アクミをぬいぐるみにし、火に焼くべようとした貴様にだけは言われたくない言葉でござる。バラバラにされたくなければおとなしく縄にかかれ」

冷ややかな目でそう言ったネズミは、まるでサツジン予告をする凶悪犯だ。
ちなみに"おとなしい"を漢字で書くと温和しい。今まで大人しいだと思ってました…。

「幽霊はそう簡単に縛られない存在。降りてくる…」

オリョンはよろよろと取れた腕を回収すると姿を消した。走って移動したわけではなく、ワープの類いのようだ。

「あいつらの家、また行きたいな」
「味を占めたでござるか。連中とは親密になるな」
「どうせ関わったんだからもう遅いし。あたいだって超悪いことしてたんだから、これくらい心得てるんだぜ」

アクミはネズミに向かって片目を瞑る。その可愛らしい動作にクールな青忍者は暫し照れたのだった。









アイシャドーとアイシャドウだったら"ドウ"の方が好き。


■ りょく (276回/2011/06/27(Mon) 06:46:38/No3986)



ある女の子妖精が床磨きをしていた。
額に滲む汗、痛む腰をも気にせず丹念に。

「ふぅ…」

やっと終わったと思われたが、少女に向かって別の妖精が寄ってくる。
妖精は食器棚から皿やコップ等、手当たり次第の物を取り出すと床に叩きつけ、部屋をめちゃくちゃに散らかした。
足の踏み場も無いくらいガラスの欠片が散乱している。少しでも動くとケガを負うだろう。

「どうやらお前は掃除を怠ってしまったようだな。私が戻るまでこの部屋を片付けておくこと」
「そ、そんな…」
「まさか文句でも?」

妖精は少女を召使のように扱い、彼女を義娘として蔑(ないがし)ろにしていた。



5四つ恋が歩みだす


「だから知らないと言っている!」

ボロボロのワルモ団はあくどい顔付きをしたミルリルに怯えながら答える。これじゃあどっちが悪役なのかねぇ。

ミルモとリルムは黒魔法の欠片を盗みだしたのかもしれないワルモ団を散々痛め付けたが、知りたい情報は何一つ聞き出せなかった。
どうやら本当に関わっていないらしい。

「ミルモ様、どうしましょう…」
「しゃーねーな。一旦引くか。ムルモとヤシチはどうしてるか気になるし」

二人の注意が逸れた隙にイチローが「今だ!」叫ぶ。するとワルモ団は蜘蛛の子を散らしたように逃げていった。
ミルリルはその様子を気にも止めない。
哀れ。いい歳の大人が毎度毎度子供にやられているなんて、親が知ったら泣くぞ。

「お兄たまーっ!」

入れ代わりにムルモがやってきた。
彼を追ってくるのはうさ耳の女の子。

「パピィったら…、これは遊びじゃないんでしゅよ」
「知ってるわ!だから協力ちてあげるんでちゅ」

パピィはツン、と澄ますと当然のように言った。本当は何よりもムルモが心配なのだ。

「ミルモ!」

次に現われたのはヤシチ。隣には黄色いエリートくの一。

「この件に関わると、またヤマネを危険な目に合わせるかもしれないのだ。お主に何かあればネズミに合わせる顔が無い。戯れではないのだぞ。引き返すなら今のうち…」
「いいえ!確かにわたしは未熟者ですが精進します。立派な一人前の忍者になってヤシチ兄様のお役に立って見せます。だからヤマネはこれからも兄様のお側に居るでございます!」

ダアク戦の時に戦えなかった自分を不甲斐なく感じていたヤマネは、今度こそ役に立ちたいと思っていた。大好きなヤシチを守りたい想いは何より強い。

ヤシチとムルモは、それぞれのヒロインの気持ちは誰よりも感じていたが、危険な厄介ごとに引きずり込むわけにはいかないと思っていた。
―とても、とても、大切なひとだから。

「うふ。心強いお仲間が増えましたわ」

そう言って微笑んだのは、鮮やかな黄緑のカールがチャームポイントの、おしとやかでたおやかな喋り方の女の子。

「リルムしゃん…」
「良いじゃねーか。オレ達を手伝うってんなら助かることだろ。パピィが居るとムルモがおもしれーし、ヤマネはヤシチよか役に立ちそうだし」

我らが妖精界の第一王子はけらけら笑い、弟とライバルをからかった。
ミルモの気遣いによって、お互いを思いやるゆえの反対意見が中和されていく。

「やかましいっ!…ノドカは忍者の武器である手裏剣を一撃で斬り裂いた。その力がどれだけの強さなのか、よく考えて行動するのだぞ。拙者も肝に銘じておくのだ」
「はいっ!ありがとうございます!」

ヤマネは輝く笑顔を向けると、ヤシチのことはどんな目にあっても守りぬく、と心に強く誓った。

「…パピィは戦力外だからもっと鍛えるでしゅ」
「何でちゅってぇ!偉そうに…さっきトリコが逃げていったのは、たまたま雨が降ってきたからじゃない」
「だからでしゅ!また同じような目にあったら、ボクが全力を尽くして隙を作りましゅから、パピィは全力を尽くして逃げるでしゅよ」

それはムルモがパピィの隣に居ること前提の発言だった。
恋するうさぎちゃんは紳士なぶりっ子王子があまりにも眩しくてかっこ良くって、あんたを置いて逃げるわけないじゃない!、との言葉が喉の奥に使(つか)えてしまった。

「やってんな。あたいらも混ぜろよ。暇潰しに付き合ってやるじゃん」
「どうやら目的は同じでござるな」

またまた来たのは、空飛ぶ絨毯に相乗りするアクミとネズミ。

「ネズアク!お前らも襲撃されたのか?」

ミルモは頭を真上に傾け二人を見上げた。

「ああ。あたいだけ結果的に楽しかったけど。
あたいらのコンビに適う奴はダアク様だけなのさ。つまり無敵ってこと!味方に付いてやることをありがたく思いな」

アクミの妙に偉そうな態度に、同じく敵に遭遇し強さを目の当たりにしたムルモとヤシチは反感を覚えた。

「そこまで言うのなら、当然敵を倒したのでしゅよね〜?」
「お主らの奮闘っぷりを是非とも拝みたかったのだ」
「アクミ、敵をあまり買い被ると痛い目を見る。相手の戦闘能力を見極めることが戦いにおいて重要なのでござるよ」

ネズミは久々のトラブルのせいで上昇したアドレナリンに支配されている相棒を、説得するように宥める。

「何だよ?ネズミの癖に弱気発言なんてらしくないじゃん」
「……………」
「らしくあれってんだよ!このおたんこピーマン!ふん。こんな時、ラットだったら何て言うか!」
「奴はもういない。拙者がどれだけ心配したと思っているでござる!理解出来ぬだろうな!血眼になり捜し回ったと言うのに…!!」
「わ、悪かったよ。でも何が起きてもネズミが助けてくれたらいいじゃん。言わなくてもそうすんだろ。どうせ」

アクミはネズミの剣幕に謝りつつ、彼の行動パターンを冷静に指摘する。
でしょうね。今回の設定はネズ→アク(つまりズミーの片想い)ですもの。
しっかし、どのカプも糖度パネェっす(他人事)。ミルリルはこれからよ!


「あら…あの方は…」

リルムが、浮かない面持ちでこちらを見つめる見掛けない妖精の存在に気が付いたのは、そんな折りだった。


■ りょく (277回/2011/06/28(Tue) 06:26:21/No3988)


6太眉の格闘娘


人間界の公園。雨が降りそうな天気がもう何時間も続いている。季節的に空気中の水分量が多い。
こちらへゆっくりと歩みを進めるのはオレンジの瞳にかかる太い眉毛が特徴的な妖精だった。頭に付けているのは帽子と言うより二つのおだんごに被せるシニヨンカバー(ドアノブカバーみたいなの、ライチより小さい)。
腕組みをし意思が強そうな少女の歳頃はミルモらよりも少し上くらいだろう。
上品で優雅でかぐわしい薔薇の香り。少し甘ったるいのは実は漂白剤の香りだから(だうにー)。

内から溢れる異様な気迫にしんとしてしまい、みんなただ彼女を見つめるだけだった。
見兼ねたミルモが口を開く。

「誰だおめー、何か用か?」
「あたいをもてなしてくれた妖精のうちの一人だよ…」

アクミが加えた説明だけで彼女が誰で、どんな用事があるのか物語っていた。

「私はカナエ。望みは叶えのカナエ。ガイア族からダアクの黒魔法の残骸を盗みだして利用しようとしている妖精の一人よ。あなたを家族に引き入れに来たの」

カナエは言った。面倒な用事を早く終わらせたいような気だるい感じだった。

「あの三人の親玉というわけだな」

ヤシチは尋ねた。あの三人とはこの三人。トリコ、ノドカ、オリョン。

「違うわ。この計画ごときにプリンスが出向くまでも無いもの」
「他の奴らがびびってるからって舐めやがって。オレが相手してやるぜ!」

ミルモはマラカスを出現させ、戦う気満々だった。他の妖精もそれぞれ武器を構える。

「いいえ、私が選ぶのはあなただもの」

カナエは血の気が多い相手に嘆息。他の三人とは違い、突然襲い掛かってくるような強引さは持ち合わせていないらしい。年上なだけあって少し大人。とは言えこんなことしている時点でどうかしてるけど。
彼女の目線はカールの女の子へ向いていた。

「わ、わたくしですの!」

カールのリルムちゃんは突然の指名に驚きを隠せない。なぜ自分なのか。もちろん展開的にチェンジ不可です。

「そう。一対一の真剣勝負。負けた方は勝った方の言うことを何でも聞くの。簡単でしょ」
「そんなこと言って、リルムたん一人を選んだのはあたち達全員と戦う自信がないからでちょ」

パピィは言った。怖いのかムルモの隣をキープしている。

「あら。別にリルムが一人になったところを狙っても良かったのよ。全員を相手にしても上手く立ち回る自信があるから、あえてこの場に現われたの。この私を下の三人、特にあの半目ヌイと同じにしないでちょうだい」

カナエの言葉は憎しみと恨みがこもっていた。憎悪は恐怖から来るもの。つまり自分の立ち位置に自信がなく、相手を恐れているのだ。

「何故そいつでござるか?」

ネズミは尋ねた。いつ不意に攻撃されるか分からないので、さり気なくアクミの前に立っている。

「あなた達のことは調べ尽くしたもの。
ダアクが操る悪の障害になる明るさを宿している人間のパートナーを持つミルモ、腕っぷしの強さは格闘家並みのリルム、忍者のヤシチ、ぶりっ子のムルモ、ダアクの部下のアクミ。唯一、ラットの詳しい素姓(すしょう)は分からなかったけれど。まさか忍者だったなんて驚いたわ。
リルムを選んだ理由は格闘家として個人的に興味があり、また挑戦したいと思ったからなの」

カナエは言う。偏った情報は調べが甘いからだ。挙がる名前が後になるにつれ、評価が適当になっていっている。本人の興味順だろう。

「カナエさんは格闘家ですのね。…分かりました。この挑戦状、引き受けますわ!」
「おい、リルム…」

ミルモは心配するが、リルムは心配無用!と笑顔を向ける。意外と熱い展開になってきた。

「武器は己の肉体のみでございます。他者の手出しは無用。よろしいでございますね」

リルムとカナエは向かい合い位置に着く。他の者は全員ベンチへ移動した。

「よーい」

ホーホケキョ、とヤマネがウグイス笛を鳴らす。

「どりゃあ〜!!」

試合開始と同時に、リルムは鬼も逃げる凄い形相で拳を振り回し、カナエのお腹を狙った。
しかし、

「食らいなさいっ!」

カナエは素早く間合いを詰め、硬いパンチがリルムの肩を襲う。

「きゃああ!」

砂ぼこりが収まると右肩を押さえたリルムの姿があった。
カナエの拳はまるで鉄の塊、硬くて重い武器のように感じた。これが妖精の手だとは思えない。

「リルムたん頑張って!」
「ファイトでございます!」
「応援するでしゅ〜!」
「う、うかつに攻撃を受けてしまいましたが、平気…ですわ!ご心配なく!」

ちび達の声援に答えようと気丈に振る舞うリルム。負けられない。絶対に…。

「果たしてそうかしら。あらゆる闘技場を巡って編み出した鋼の拳をまともに食らったのよ?平気なわけ…」
「まだまだぁー!!」

カナエの言葉を遮り、相手のみぞおちにパンチを打ち込んだリルムさん。
ボコン、何かがへこんだ音。
※みぞおちを殴るなどして衝撃を与えると強い痛みを感じる。これは後述するようにみぞおち奥の腹腔神経叢には多数の交感神経(神経叢)が走っており、痛覚が鋭敏なためである。さらに衝撃で横隔膜の動きが瞬間的に止まることがあり、この場合呼吸困難に陥る。そのためみぞおちは人体の急所の一つとなっており、ボクシングや空手、ムエタイ、柔術、杖術などの格闘技や武道ではみぞおちを狙う攻撃が重要な技術となっている。(うぃきぺより)

「うぅ…ひとの話を遮って攻撃を仕掛けるなんてちゃっかりしてるわ…」

真正面からまともに食らったらしい。カナエはみぞおちを押さえて死にそうな顔をしていた。超痛そう。

「大好きなミルモ様の前で不甲斐ない姿をお見せするわけには参りませんわ!」

ガッツ溢れるコメントをするリルムさんだったが、ちょっとセコくてあくどいその姿からは狂気すら感じる。
こええぇー…、と婚約者すらおののく始末。他の者はカナエに同情していた。

「こ、降参されますか…」

ヤマネの問いにカナエは体勢を整えると首を振った。横に。

「さっき(5話にてお菓子でもてなしてもらった)のお礼に忠告するけど、む、無理しない方が身の為じゃん…」
「大したことないわ。油断していた自分と意外と汚いヒロインに驚いただけ。…我が師から伝授されたあの技を披露する機会がついに来たのだわ」

カナエはそう言うと拳にスウゥ…と力を込めた。
今までの自信に満ちた余裕な態度から一変し、真に迫った顔付きに変わる。カナエの緊張が場を包み、空気が張り詰めていく。
この雰囲気にリルムは呑まれていた。完全に相手のペース。
危険だと直感が訴えているが、今さら引き下がるわけにはいかなかった。








明日で設定を明かす手前まで進めたら…。


■ りょく (278回/2011/06/29(Wed) 08:18:55/No3992)

7一家の目的


「私にサダルスウドのご加護がありますように。…必殺、―氷雪拳―!」

カナエは避けようと距離を取るリルムに拳を叩き込んだ。冷たく硬い氷を纏った拳はリルムを遠くに吹き飛ばしただけでなく、力なく起き上がった彼女の身体を凍らせ始めた。

「こ、これでは動けませんわ…!!っくしゅ!」

リルムが身動きを取れば取るほど氷が全身に広がっていく。
やがて首(ないけど)下はすべて氷に覆われ、いよいよ顔に迫り来る。
冷気を吐いて凍える婚約者を目にしてミルモの心がギュウっとなった。今すぐにでも魔法を使って助けてやりたいのに、賭けのせいでそれが出来ない…。

「おい、お前ら!氷から抜け出す方法はないのか!?」

皆に意見を求めるも、揃って困惑するばかり。その間にもリルムは寒さで体力を奪われていく。

「もう良いだろ!リルムの負け…」
「勝負事に口出ししようとするなんて"はしたない"妖精ね。うちのプリンスの方がそちらの第一王子より、よほど王子らしいわ。
知的で繊細で気品があって…何といっても美麗だもの!そして幸運の中の幸運を名に持つに相応しいお方。ふふっ、逢いたくなって来たでしょ。
そう言えば盗みだした黒魔法をどのように使用するか言ってなかったわね。王国を乗っ取り、新しい妖精界を作り上げるのよ。
そしたら里の名前も素敵に改名してあげる」

※上記の発言には一部、美化と妄想が入っております。
カナエは勝ち誇った笑みを浮かべ、リルムに近付いていく。完全に凍結する前にとどめを差すらしい。氷はリルムの口に到達している為、彼女は喋ることが出来ない。それ以前に口が利けないほど、体力を消耗していた。

「(ミルモ様…皆様…ごめんなさい…)」

リルムは口に出来ない言葉を心に留め、切なく目を閉じた。その刹那、砂ぼこりが舞いカナエが姿を消した。

「リルムをイジメんじゃねー!!」

ミルモが魔法を使ったのだ。それにより、カナエはベンチの脚に叩きつけられていた。

「な、何てひどい…。邪魔するなんてこんなの勝負じゃない。やってられないもの!!失礼させて頂くわ」

カナエは服の汚れをぱんぱん払うと怒って帰っていった。

ミルモは再び魔法を使うと、凍り付けのリルムにヤカンのお湯を掛ける。

「ミルモ様…温かい…」

ようやく解放されたリルムは地面に倒れこむ。ミルモは彼女にタオルを放った。

「あんな奴にやられて風邪引いたらかっこわりーからな。よく拭いとけよ」
「リルム殿、おケガはありませぬか?」
「気にちなくて良いわよ。相手が悪かったわ」
「カナエしゃんは強すぎたでしゅ…」
「厄介なのだ。あんなのが五人も居るとなると、この八人で太刀打ち出来るか…」
「いずれにせよ一筋縄で倒せないことは明白でござる。拙者もさらに精進せねば」
「てことは旅は一度休むんだな。あたいがいつでも遊んでやるからケーバン教えろよ。ネズミはケータイ持ってるよな?」

セリフにはそれぞれの個性が色濃く出ていた。リルムを気遣うミルモとヤマネ。励ますパピィ。敵に怯えるムルモとヤシチ。一番真面目に捉えているネズミ。半分楽しんでいるアクミ。ダアクのことを忘れたくて必死なのだ。

「悪かったな。勝負の邪魔しちまって…。だけど勝負は見えてんのに、さらにトドメを差すような卑怯なやり方が許せねーんだよ!」

ミルモはやり場のない怒りを、拳をきつく握り締めることでこらえる。止められなかったせいでリルムを危険な目に合わせてしまった。八人掛かりで挑めば、カナエ一人くらい捕まえられただろうに。

「まあ嬉しい。わたくしを心配して下さっているのですわね。ありがとうございます!ミルモ様、大好きですわ〜!」

リルムを守れなかったことに責任を感じているミルモに対して、当の本人の反応は、意外な程にいつもと同じだった。

「…るせー!」

照れたようにそっぽを向くミルモ。ツンデレ〜。

時刻は十八時をとうに過ぎていた。それでも曇り空が明るいのは夏がすぐそこまで来ているから。
そして、とうとう雨が降り出した。
雨粒の量は少ないが身体が小さな妖精にとって少々厳しい。一同が解散しようとしたところ、ガイア族が現れた。

「んだよ、こんなタイミングわりー時にぃ」

ミルモ達四人は一般の妖精の中ではガイア族と交流のあるほうだが、パピィ、ヤマネ、アクミ、ネズミは驚いていた。妖精界を司る神々とはそう簡単に会えるものじゃない。
ミモモとかダアクとかタコイカとか居るのに、姿形が普通の妖精と何ら変わりないのがびっくりです。

「あの後、黒魔法の置き場を調べ直すとやっぱり盗まれていた事が判明したんだ」

フィアは言った。最初から徹底的に調べましょう。

「ちょうど君達くらいの年齢で五人組の男女だった。…ただ気配はとても少量で、それ以上の手掛かりは掴めなかったけど…」

アクアは言った。五人組って表現が某悪の組織と被ってやだなぁ…。

「ボク達八人はそれぞれ、その一家と顔を会わせたでしゅよ」
「何だって!?」

ウィンは叫ぶ。他の四人も驚いている。そりゃそうだろう。

「拙者らを仲間にして、王国を乗っ取り新しい妖精界を作り上げる、と言っていたのだ」
「私達は神として妖精同士のいざこざに関わることはしないけど、黒魔法を悪用された際に制御出来ずに暴発するのを防ぐ義務があるわ。関係のない妖精を巻き込むのは避けなくちゃ…」

ピクモは言った。すでにミルモ達が巻き込まれていますよ〜。

「今はこれだけしか言えないけれど、封印を解除すると居所が分かる仕組みになっている。ガイア族が捜索してはいるが、もしもの場合はその時を狙って取り戻すしかない」

ドンタは言った。

―もしもの場合…、

これから先、緩くて騒がしい様々なトラブルがこの八人を待ち受けていると断言しましょう。








驚異の更新率がキモくてすいません。最近早寝早起きのし過ぎで夜明け前に目を覚ますのでちょっと時間があるのでした。
次は世界観設定とキャラ紹介です。


■ りょく (279回/2011/06/29(Wed) 08:21:13/No3993)



8公式さんメインキャラ


・ちゃあみんぐ
・他の小説との繋がりはない
・ネズミはミルモやヤシチと同い年設定
・外国との時差や季節の違いは気にしない方向で
・設定と言うより、作者がこの八名をどう思っているか、みたいな


リルム
ミルモに一途。冷たくされようが関係なし。美化する時もあるけど、ベタボレじゃなくて基本的には怒ると殴り飛ばす。
おせっかいで、特に恋愛に関して敵味方関係なく首を突っ込む。

ミルモ
婚約者のリルムには素っ気ないけど傍に居ないと心配。
でも可愛い女の子にはデレデレしちゃったり。
幽霊が弱点。


ネズミ
旅はお休み中で師匠の下で仕事を手伝っている。
アクミが好き。妹がいる分、女の子には慣れている。
挨拶はきちんとするので礼儀は正しいとか。

アクミ
戦闘技術が高く頭が良いネズミを認めていて、彼の言うことなら素直に聞く。
ダアクが封印されてからもまだ彼を忘れられない。今のところ他に好きな相手はいない。ネズミのことは元相棒程度。
ネズミが妹を救うためにダアクに仕方なく協力していたのを知ってから、彼の前でダアクを崇拝していた態度を申し訳なく思っている。複雑な心境。


ヤマネ
だいたいの能力がヤシチを超えているが、謙虚な性格に加え彼を美化しているのでそれに気が付かない(思い込みが激しい?
ヤシチに近づくことには積極的だけど、周りのお膳立てがないと具体的な行動に移せないから、恋愛には奥手気味。

ヤシチ
子分のヤマネより忍者としての実力が劣っていることを気にしている。
ヤマネの想いには気付いているものの、恋愛対象として見ていない。
ネズミのアクミへの恋心をいち早く見抜いた。


パピィ
ムルモが好きだけどどうも素直になれず、顔を会わせる度に殴りあいのケンカに発展する。
彼女さえ折れればラブラブカップルどころか結婚までトントン拍子に進むのでは…?

ムルモ
女の子に可愛がられるのが趣味。ぶりっ子で愛想を振りまく。紳士。パピィには自分から手は上げない。
パピィとは友達以上恋人未満。ほんのり好きだけど売り言葉に買い言葉。









並びはカップル合わせた戦闘力順です。恋してる方が上。ムルパピ以外は大差ない気がする。
「ヤマネ参上でございます」で、ネズミとアクミはすれ違っていたのでは?(←今イチオシの妄想。しかも捏造しようと企んでいる
もう一つ裏カプが存在。


■ りょく (280回/2011/06/29(Wed) 08:25:50/No3994)



9オリフェメインキャラ

スウド家の妖精


・他の小説に出ていたオリフェもいるけど関連はありません。基本的に別人


王国打倒して新たな王に君臨するため、封印されたダアクの黒魔法を盗みだした。しかしガイア族の封印魔法を解除するのにてこずっていて、その間に力を付けようとミルモらを倒そうとしている。
全員血の繋がりはないけど家族。
妖精界のどこかに建っている大きな宮殿に五人で住んでいる。
用事が無いかぎり晩ごはんはみんなで食べるという掟がある。家族行事は盛ん。
家事は分担制となっている。しかし家はとてつもなく大きく加えて一部屋一部屋が広いので、掃除はしっかり者と暇人しかやらない。料理は出来る妖精しかやらない。洗濯はある妖精の楽しみの一つ。
使用している柔軟剤(だうにー)が強力なので、全員バラと何かの香りがする。
地下にはお仕置きルームが沢山あるらしい…。


プリンス
薔薇と湿気た室内の香りがする。ショッキングピンクとグレー。
ミルモ達と同い年。家事全般が得意。ヒッキー気味。
王国打倒の野望を抱いているがなかなか進まないようだ。その合間に魔法アイテムを作り出しては手渡している。
ミルモらに負けて帰って来た家族(主にノドカとトリコ)に気合いを入れるという名目でお仕置きしては楽しむ趣味がある。
笑い方が不気味。中二病。かっこ付けて玉座に座る姿が痛々しい。
もう一つの趣味は薔薇を愛でる自分に陶酔すること。寒い。


カナエ
薔薇と洗剤のいい香りがする。太眉。
ルンバ(マンボのお姉さん)と同い年の格闘娘。プリンスに憧れ慕っている。
お買い得やらに弱くバーゲン大好き!ポイントカードとかに細かい。神経質で事が予定通りに進まないとイライラ。
重いものを持つ力はリルムに劣るが、技の腕は勝る。大食漢。料理はできるけど味は美味しくも不味くもない。
生き別れになった妹を捜している。


オリョン(改良版)
薔薇とホコリの香りがする。常に半目。
ミルモと同い年。
無愛想で寡黙。興味がある物事にたいしては積極的で一気に口数が増える。正体を知ると余計に信用ならない。
自分を模したぬいぐるみ(プリンスお手製)に取り憑いている悪霊。水が弱点なのはぬいぐるみだからともう一つ理由がある。眠そうだけど全く睡眠を取らなくても平気。
ぬいぐるみを操って何かをさせる魔法が得意。生き物をぬいぐるみにすることも出来る。
家族内で遠慮されているプリンスの事を「あいつ」と呼んでいるのはオリョンだけ。


ノドカ(改悪版)
薔薇と金属の香りがする。糸目。
ミルモと同い年。女侍。
一見穏やかな顔をしているけど喜怒哀楽が激しい。
ミーハーで色んなアイドルの追っかけをしている。イケメンには目が無い。ホレっぽい。恋に恋する暴走娘。
侍を継ぐのに不満がある。しかし今のところ女侍を辞めておらず、何になりたいのか自分でも分からない。
トリコとはよくケンカしているが仲が悪いわけではない。


トリコ
薔薇とケモノの香りがする。ぱっつん。
可愛いちび妖精。でもどこにでも居る可愛さ。いつもムルモと比較されていたので嫉んでいる。
普段はぶりっ子、怒ると口調が変わる。女装は趣味なだけでソッチの気はない。洋服は自作。
ドラゴン遣い。ローゼと言うドラゴンをペットとして飼っており、うちわの代わりに乗り回している。
オリョンとノドカと三人で、ミルモ達を倒そうと頑張るが失敗ばかり。


ローゼ
ドラゴン。トリコの飼っているペット。大きいのでスペースが無いときは紅白の球体に収納されている。電気・炎タイプ。特殊型。
背中は子供の妖精を三人(大人だと二人)くらい乗せられる広さ。トリコの次に多く乗せているのはノドカ。
言葉が通じる相手がオリョンだけなので積極的に話し掛けているけど、あんまり相手にされていない。でもめげない。
気性は穏やかだけど怒らせると鋭い牙の生えた大きな口でガブられるかもしれない。打撃力もそれなり。
食用。食べ頃真っ盛り。


相関文

・トリコはどんなものも斬り倒していノドカを姉のように慕っていて、悪霊のオリョンを内心気味悪がっている。
プリンスはすごくキモいしカナエはいちいちウザイ。

・ノドカは珍しい戦闘技術を持つオリョンを頼りにしていて、女装するトリコを気持ち悪がっている。
ぼちぼち男子に言い寄られるカナエを羨ましがっていて、得体の知れないプリンスを恐れている。

・オリョンは裁縫が得意なトリコにひそかに尊敬心を抱いていて、気が多いノドカを女としてはしたないと思っており(昔のひとだから)、そして所帯染みているカナエに呆れつつ好意・協力的で、プリンスを毛嫌いしている。

・カナエは一目惚れしたプリンスを慕っていて、プリンスに信頼されるオリョンを嫌っている。全然モテないノドカを女子として見下しており、トリコは可愛い弟。

・プリンスは今の自分に変わるきっかけを作ったオリョンを一番信頼していて、ベタベタしてくるカナエを鬱陶しく感じている。元気で明るいノドカが眩しい。


一方的な想いは通じない。
同じ家で生活しているので大きな揉め事を起こさないようにそれぞれ気を付けている。家族だと考えているのはプリンスだけで、実際は会社員みたいな関係。










よし、ここまで設定を作りこんでおけばキャラがブレるのも少なくなるはず。
相関文に載ってないのは想像してください。どのキャラも大まかに逆のことを思っています。
オリフェは出番が多い子と少ない子に絞って公式さんを目立たせたい。

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■ りょく (282回/2011/07/04(Mon) 16:19:50/No4005)

10人間界には鬼が住んでいるのか…


「黒魔法の話なんだが、さすがはガイア族様の封印魔法だぜェ。そう簡単には解けねえなァ」

朝食後、食器を片付けようとした家族を引き止め、一家の大黒柱はそう言った。生活費はこの妖精から出ている。遺産がすごくいっぱいあるらしい。

スウド家は、トリコ、ノドカ、オリョン、カナエ、そしてプリンスの五人で形成された家族。妖精界のどこかに建っている大きな宮殿にみんなで住んでいる。

「えぇ〜、トリコちゃんびっくりぃ〜。じゃあ王国打倒は諦めるのろるぅ?あの触角を一泡吹かせてからじゃないと怒りが収まらないろるぅ」
「せっかくあの目障りな忍者を倒す機会に恵まれたのにじゅ。それにあたしは家出してきたから他に行く場所ないじゅ〜…」
「寝言は夢の中で仰るもの。プリンスの知性と魔力があればガイア族さえどうってことないわ」

プリンスが王国打倒を目指さないと都合が悪いらしく、すぐさま騒ぎ立てるトリコ、ノドカ、カナエの三人に対し、オリョンの反応は薄い。というか興味が無いらしく、紅茶片手に雑誌(ぬいぐるみ情報誌)を眺めていた。食後のティータイム。
どうでもよく思っているのか、はたまたプリンスの考えをお見通しなのかは定かではないが。

「いんや、買いかぶり過ぎだっつーの。いつになるか先が見えねェ。そこでだ。封印を解けるようになるまでの間、奴らに挑んで力を付けてこい」
「あいつらの一人や二人、相手じゃないじゅ。ネズミくんを除いてだけど。プリンス、本気で言ってるのじゅ?」

糸目のノドカは目元だけ見ると常に微笑んでいるようだ。しかし、きゅっと結んだ口元や吊り上がった眉や、握り締めた両手など身体全体で感情を現しているのが夏の日差しのように明るくて、プリンスは眩しげに瞳を細めた。

「俺様だって、お一人様二名くらい余裕で相手できるのは十分承知しているぜェ。だが三人、四人となると難しいだろ。仲間が増えない以上、個々の戦力を上げるに越したことはねェからな。ヒヒッ」

怪しげな笑い声を立て顔に影を落とす。表情が分からなくなったが、さぞかし面白そうに笑っているんだろう。

「んでんで〜、メンバーなんだが…、トリコ、ノドカ、カナエ、お前さんらが行ってこい」
「残念。私には掃除に洗濯に料理に…やることがたくさんありすぎて時間がないもの。代わりにあなたが行って来てちょうだいな」

もっともらしい理由を付けて即座に断ったのは太眉のカナエ。代理を立てるのを忘れない。
彼女はプリンスに特別な感情を抱いているのだが、向こうはオリョンの方を気に入っているらしい。
なので、これ以上二人の仲が進展するのを防ぐために二人きりにさせまいとしているのだった。(いや、プリンスは心から信頼しているのです。しかしオリョンは毛嫌いしている)。
家事の方は洗濯がカナエ、掃除が2カナエ:8オリョン、料理がオリョン。この宮殿は無駄に広く、掃除のほとんどを眠らない悪霊が皆が寝静まった後、暇潰しに行っている。カナエの料理は評判が良くないので、これまたオリョンの担当。プリンスはとある理由で家事嫌い。残りの二名は出来ない依然にやらない。

「ううううん…カナエさんのご飯は胃袋が受け付けないって言うか…ま、あたしらもやってないけどじゅ〜」
「うぇ、料理だけは絶対やってほしくないろるぅ」

残りの二名は外野でごちゃごちゃ話していた。―ま、どうせプリンスのお言葉に逆らえるわけ無いけど。

その時、雑誌を読み耽っていた気だるそうな半目が顔を上げた。

「行く」
「え?」
「行くよ。あの妖精達のところに」

相当暇だったんだろう。カナエの気持ちを汲んだと言うより、やたらかっこ付ける中二病なんかと二人で留守番するのがこたえるようだ。
オリョンはすべての食器を念力でキッチンに運び、いそいそと支度を始めた。

「チッ、しゃーねーなァ。料理はもしもの場合、俺様が担当するぜェ。その代わり気を付けろよ。サダルスウドの幸運がお前達に降注ぎますように」

祈りの言葉を受けた三人は、人間界へと足を運んだ。





「で、どうするじゅ?」
「勢いで計画立てずに来ちゃったろるぅ」
「きゅー」

飼っているドラゴンの背にトリコはノドカと相乗り。オリョンは宙に浮いている。
プリンスはミルモらを倒すのが目的ではなく、もっと強くなれと言っているようなもの。八名にこの三人が真正面から挑んだとしたら勝機は二分の一。仮に勝ってしまったらつまらない(偉そう)。
どうすべきか悩みながらその辺をぶらついていると、川原で厳しい忍者修行に勤しんでいる妖精忍者四名を発見した。

「喜べお前達!今日は新しい術を伝授してやるのだ。拙者の手本をよく見ておくのだぞ」
「だぜ!」
「なのら!」
「でございます!」

ヤシチ、サスケ、ハンゾー、ヤマネは窺う三人+一匹に気付く様子はない。忍者だろうがお約束。

「ふふっ、みーっけぇ。ここで偶然見掛けたのも何かの縁ろるぅ。関係ないのもいるけどトリコちゃんがサクッと倒してきて…」

トリコは自信満々に言い放ち、ノドカの前でかっこ良く決めるはずだったが、その時すぐ近くをイケメンオーラを放つ人間男子(爽やか系)が通った。

「かっこいい〜!!」

ホレっぽいノドカは目が釘づけ。
ドラゴンを降り、その爽やか系男子に付いていく。

「ノ、ノドカおねーちゃあぁん、待ってぇろるぅ!!」
「きゅ〜…(・×・;)」

トリコはドラゴンを急かし後を追い掛ける。おかっぱっつん哀れ。彼は可愛らしい顔立ちに加えワンピースを着ているので、女の子に見えるが、紛うことなく男の子。
ローゼの容姿決まってなくて描写出来ないからって、鳴き声に顔文字入れるのとかどんだけ手抜きだよ。
すると結構な音量で騒ぎ立てていたためヤシチ達が気付いた。場に残されたのはオリョン一人。

「あーっ、変わったぬいぐるみだぜ」
「変なデザインなのら〜」

サスハンは世にも珍しい動くヌイグルミに興味津々な様子。オリョンの帽子を引っ張ったり、顔をつねったりした。

「ま、待てお前達!この女は敵なのだ。親しくしちゃいかん。貴様はネズアクが会ったというスウド家の一人だな。拙者を倒しに来たのか!?」
「ヤシチ兄様を襲う曲者にはわたしが全身全霊でお相手するでございます!」
「触るな。生地が傷む」

身構えるヤシヤマを気にせず、オリョンはサスハンの手を軽く払う。

もう七月。夏。暑い。
行き交う人々は大半が半袖かノースリーブで、長袖を着るのは日焼け・紫外線対策をする人(主に女性)のみ。

「ヤーシーチぃー!!」

学生なんかは六月辺りからとっくに夏服だ。ヤシチの後ろから近付いてくる黒髪ロングの美少女も。

「何、道草食ってんのよ!今すぐ掃除に戻りなさ〜い!!」

美少女と言っても、今の元はの姿とはかけ離れていた。頭には二本のツノを生やしており、髪の毛は意思を持っているかのようにうねうねと動いている。そして表情は言わずもがな。もはや原型を留めていないヤシチのパートナーの安純さん。

「ひぇ〜、あ、あじゅみぃ…!!」
「ごっ、ごめんなさいだじぇ〜!」

地獄へのゴーサインにヤシチとサスケは震え上がり、全速力で安純の家に戻って行った。

「きゃあっ!恐いのら〜…」

ハンゾーのみオリョンの背に隠れその場をしのいだ。運が良かったね。
ヤマネはパートナーが居るから家政婦としてカウントされていない。他の理由があるとすれば女の子だからじゃないの。

「人間界には鬼が住んでいるのか…」










出来るだけこの十三人しか出さないって決めてたのに、いきなりサスハン出してしまった。
サスケだけ行かせたのはサスヤマを避ける為です。
ハンゾーは使いやすいので場に残しました。ホント使いやすい。ありがとう。
次回は名前の最後に「み」が付く公式キャラがメインで参戦。三択ですね。


■ りょく (283回/2011/07/11(Mon) 13:41:22/No4019)

11ヤマネの、「好きを伝えたくて」


「人間界には鬼が住んでいるのか…」

オリョンは綺麗な黒髪を揺らし澄まして歩いていく安純と、もうスピードで遠ざかるヤシチとサスケを交互に見ながら言った。

「厳密には違うけど似たようなものなのら〜」

ハンゾーは言った。実は毒舌の緑くん。
ヤマネはともかく、キミは行かなくていいのかね。

「それはそうと、ヤマネは相変わらず兄貴一筋なのら〜」
「ハ、ハンゾー先輩!?」

先輩の言葉に顔を赤らめ慌てる黄色いくの一は初々しい。

「恋をしてるのか」
「ヤマネがしてるのら。お前はしてないのら?」
「家族は四人ともしてるのに一人だけしてない」

そう答えた半目ヌイは少しだけ寂しそうに見えた。

「じゃあしたらいいのら」
「幽霊はそう簡単に誰かを好きにならない。生前好きだった人物を愛し続けるのは別だけど。時間が進まないから」
「あの…失礼ですが、オリョン殿は幽霊とヌイグルミのどちらの性質も兼ね備えているのでございますか?」

ヤマネの疑問はもっともだった。お前の正体は何なんだ、不気味だから説明くらいしろ、と言っているのだ。

「そう。自分の姿を模したぬいぐるみに取り憑いているんだ。せっかく作ってくれたから」

オリョンはもともと地縛霊。縛られていた場所は家で、解放された後はポルターガイスト化しているので(つまりインドア派)、何かに取り憑かないと野外活動はしづらいそう。この話は家族以外には秘密です。

「妙に複雑な設定なのら」
「誰かを好きになるのはどんな気持ち?」
「えっ、あの…」
「答えにくいなら、あいつに聞いてみよう。メエル…」

オリョンは片言で言うと、何やらケータイをピポパポ弄っている。
数分後、現われたのは絨毯に乗った赤毛の彼女だった。

「絨毯女なのら〜」
「変な異名付けるな。合ってるから否定できないけど…。で、あたいに何の用じゃん?」
「呼び出しでわざわざ出向くほどオリョンと仲良いのら?」
「メル友だよ。昔の奴だから初めは機械音痴で困ったけど、今はそれなりに使いこなしているようだし。お菓子の割引情報が載ってるサイトを紹介してもらってんだ」
「ふーん」
「恋とは何?」
「誰かを好きになってその人とデートしたくなる気持ちに決まってんじゃん。後は付き合ってキスして…って一言で説明できねぇよ。ヤマネだったらなんて説明するのか?」

アクミは言った。
いやいやいや、結構すんなり言葉が出てくる方じゃん。さっすがぁ。

「わ、わたしもアクミ殿の仰る通りだと…」
「説明になってねーじゃん。ウブな奴。仕方ないからお前の恋を手伝ってやる」

脈絡が話の展開的にやや不自然だけど、こうしてヤマネの好きをヤシチに伝えることになった。

「具体的なプランはあるのら?」
「ああ。好きなひとに対する素直な気持ちをその相手にぶつけんだよ。大好きーとか、ラブラブーとか。簡単だろ」
「ですが…」

ヤマネは口籠もる。それが出来れば苦労しないのに。
告白自体はそこまで難易度は高くない。しかし相手の返事次第で関係が進展するか後退するかが不明な為、気持ちを悟られるのを嫌がるひとが圧倒的。中にはアクミみたいに積極的なタイプも存在するが。

「あたいが指導してやってんのに口答えすんな。とっとと言ってこい!近くに居んだろ!あたいは言いたくても言えないんだぞっ!」

アクミの好きだったダアクは優しい気持ちを抱いた途端、消滅してしまった。二度と会えないし、会ってはならない。

「申し訳ありませんでした。アクミ殿、ご指導感謝致します。…ではっ!」

ヤマネは丁寧に頭を下げ、想いを告げるためヤシチの元へと向かった。

安純の家。

「はーっ、疲れたのだ。ハンゾーの奴は居なくなるし…あんなの子分でも何でもないわ。後はアイロン掛けのみ。そういえば風呂掃除があったな…」
「兄貴ー、ここは頭を使って分担するんだぜ。おいらは風呂掃除を!」
「おお、任せたのだ。さて、もう一仕事頑張るかな!」

ヤシチはアイロン掛けの準備を始めた。アイロンは熱いので、涼しい水場を選んだサスケの判断は正しいといえよう。
サスケの姿が見えなくなると、ヤマネはヤシチの元に舞い降りた。

「おお、ヤマネ!掃除を手伝いに来てくれたのだな。さすがは拙者の子分…」
「兄様っ!!」
「何だ?」
「だっ、大好きですっ!」
「何なのだ、唐突に…?」

いつもと異なる雰囲気の子分に兄貴は疑問符を浮かべた。

「ヤマネは…ヤシチ兄様の忍術修行に励むお姿、掃除に打ち込むお姿、ミルモ殿を倒そうと努力なさるお姿、かりんとうを頬張るお姿、私達弟子に厳しくも優しくご指導なさるお姿、…全部全部、大好きですっ!」

言った。ヤマネはヤシチに対して思っている事を素直に伝えた。全てと言うには足りないけれど、これで上出来でしょう。

「そ、そんなに褒められると照れるのだ…」
「兄様はヤマネのことをどう思われていますか?」
「ふむ、そうだな。真面目で謙虚で努力家なのがヤマネの良いところだと思うぞ。ミルモに負けてばかりの不甲斐ない拙者に付いてきてくれることを何よりも感謝しているのだ」
「ありがとうございます!」

ヤマネは満面の笑み。アクミの言っていたこととは違ったけれど指導は役に立ったし、本人的には結果オーライみたい。



「う〜ん、ヤマネは嬉しそうだけど、あたいに言わせるとイマイチだな〜…。あんまり進展してないってか…。いいのか、こんなんで…」
「ラブラブってことなのら?」
「恋は楽しそう…」



ヤマネが帰った後、ヤシチの兄貴は密かに思っていたことを誰も居ない部屋に吐き出した。

「こう素直に言われると、真面目に照れたではないか…、本当に…」

服と同じくらい顔を真っ赤にしたヤシチは、サスケが風呂掃除を終えるまでその状態だったとか。










よっし!一応両想いです。
ヤシチはヤマネの想いに気付いているけど、自分の想いには気付きつつ抑えている的な。
妹として可愛がっている家族愛的な感情も混じっていますし。


■ りょく (284回/2011/07/20(Wed) 19:39:14/No4029)


12不味いもの食べたさ


楓の部屋。
妖精界の第一王子はクーラーをガンガンに掛け携帯ゲームで遊んでいた。
午前と言えどももう七月。ゲームに熱中していたのも相まって冷房器具を使用していたにも関わらず、顔は真っ赤で額には汗が滲んでいる。

キャラのレベルが上がり目標達成したところで、ミルモはようやくセーブし電源を落とした。暫しの間、音楽が頭の中でまだ流れているのはプレイヤー全てに起こる現象。

「白金からペンギン連れてきて正解だったぜ…」

アイスココアを飲みながら一息付いていた時だった。部屋の窓が勢い良く開き、ハツラツな声と共にリルムが現われた。

「ミルモ様ー」

カールがよく似合う婚約者は大きな風呂敷を背負っている。今までの経験からすると中身は彼女の手作りの…。嫌な予感しかしない。

「今日は愛するミルモ様のためにチョコアイスケーキを作ってきましたの」

はい、予感的中。
大きな風呂敷から茶色のモンスターが出てきた。ドロドロのそいつはお世辞にも食べ物とは言えない。ナウシカの溶けていく巨神兵みたい。
リルムの料理の腕は作るたびに何故か、別の意味でパワーアップしていく。どゆこと。

「暑い夏ですがこれを食べて涼んで下さいな。さぁ、たぁんと召し上がれ」

そう言った未来の嫁の微笑みには、悪意は無いが殺意が潜んでいるようにしか見えない。
ミルモはぞっとし、この危機を回避する方法(食べなくて良いような言い訳)を口にしようとした。回避率はゼロだったような。

そうして再び部屋の窓が開いて、糸目の妖精が飛び込んで来たのは、その時だった。

「ハロー」

ちょっと垂れた糸目、艶掛かった腰まで伸ばしたさらさらの髪、見るからに穏やかそうな外見とは裏腹に、聞いた話によれば一方的に襲い掛かってくるほど攻撃的だそうで。薔薇の香りが鼻孔を突く。

「まぁ、あなたは!」
「ヤシヤマから聞いたぜ。その垂れた糸目、スウド家のノドカだな…!」

驚き警戒する二人にノドカは耳を傾けず、リルムの隣で蠢くモンスターに注目した。刀に手を掛けていつでも引き抜けるように構えている。そりゃそうだ。

「じゅ…こいつは!」
「こちらはわたくしが愛するミルモ様のためにお作りしたチョコアイスケーキですわ。ノドカさんもご一緒にいかがでしょう。ご遠慮なさらずに」
「お菓子ー?これがじゅー?」

ノドカは蠢く茶色の物体がが皿の上に乗っていることに気付くと、なんと食べ物だと認識した。通常あり得ない。この場合、ノドカが通常あり得ない。
途端に変わったものを見る目でリルム談・チョコアイスケーキを見上げる。

「へー、面白そう」

美味しそう、ではない。
この発言はノドカの好奇心旺盛な性格から来たものだ。家族の一人があまり口にしたくない料理を作るので、その妖精より酷い食べ物はこの世にはないだろうという、一方的な思い込みがあったからでもある。

「では遠慮なくじゅ」

スプーンですくってパクりと一口。直後、ノドカの意識は遠退いた。

彼女が目を覚ましたのは数十分後。体を起こすとミルモがいつも寝ているクッションの上にいた。

「おい、大丈夫かぁ?」
「気絶するほど味わって下さったのですわね。とっても喜ばしいことですわ〜」

出ました!リルムさんの勘違いにも程がある超前向き発言。
ノドカがいなければああなるのは自分だったと思い、身震いをする未来の旦那。

「口の中がゴルゴ13に狙撃されたかと思ったじゅ。何ていうか爆発したかと思った」
「料理は下手な奴ほど人に勧めたがんだよなー。自分で食えばいいのに」
「お次はミルモ様の番ですわ。はい、あーん」

リルムはスプーンですくった自称チョコアイスケーキをミルモの口元に近付ける。
ノドカは先ほど好奇心から口にしてしまった、いわゆる不味い料理を回避する方法を心得ていた。加害者・被害者、両方ともに余計な口は挟まず、陰を薄くして時が過ぎるのを待つのだ。

「こんなもん食えるかーっ!」

ばしっ。ミルモはスプーンを払いのけた。

「しつけーな!だいたいお前の手作り料理は食いもんじゃねーよ」
「ひ…酷いですわ。ミルモ…」

ミルモの暴挙にリルムは俯き肩を震わせた。

「わたくし、悲しくて悲しくて…ミルモ様を投げ飛ばしてしまいますわーっ!」

ぼこっ。予告通りミルモは投げ飛ばされた。空の彼方に消えた王子。
空気の入れ替えのため、都合よく窓は開いておりました。ガラスが割れたりしたら危ないもんね。

「ミルモ様…、またやってしまいましたわ…。ミルモ様に嫌われたら、わたくし生きていけませんわ…」

ぽろぽろ。リルムの目から涙が零れた。本気で悲しいときに流れるやつ。可哀相に。原因に気付かないのは自分が悪いけど。
ノドカは泣きじゃくる彼女がどんどん可哀相に思えてきた。―あたしがどうにかしてあげなければ。
そうして沸き上がる使命感。人間界に何をしに来たか、目的は忘れ去りました。

「あんなの照れてるに決まってるじゅ。あたしがミルモを説得してくるから、リルムは涙を拭いて待ってるのじゅ。女の武器は笑顔だよ!」

ノドカはそう言い残し、ミルモを捜しに向かった。





ミルモは公園にいた。ベンチの下の日陰。リルムにぼこられた左頬っぺた患部には湿布が貼ってある。

「見つけたのじゅ。ふてくされてる」
「うっせーな。てめーも食っただろ。あの激マズ料理を。オレなんか毎回食わされてんだぜ」

ミルモからは後悔している様子が伺える。
涼しい部屋から、突然照りつける太陽の下に放られて体中から汗が吹き出ていた。にも関わらず図書館など涼しい場所に行かないのは、リルムがいる楓の部屋に戻る気があるのだろう。

「不憫じゅ。あのさー、あたしが思うにぃ、ミルモってリルムに直接好きだって言ったこと無いでしょ」
「別に好きじゃねーからな。婚約なんて親同士が勝手に決めたことだしよ」
「嘘じゅ。だって本当に好きじゃなかったら婚約くらい解消するんだから、じゅ。
でもまだまだ、あなたには愛が足りないの」

怪訝な顔をするミルモにノドカは続けた。

「リルムにはっきり好きって言うのじゅ」
「い、言えるかーっ!んなこと面と向かってなんて…」

ここで、別に好きじゃねーからな、と繰り返さないのが何よりの証拠。ミルモは所詮ツンデレ。

「だーかーらー、ミルモが愛を示さないから、リルムはお菓子を作って愛を示すのじゅ」
「い、言ったら、リルムはお菓子を作らなくなるってことか…」

口を閉ざし考え込む王子だったが、すでに決心は固まっていた。









リルムの料理ってどんな味がするんだろ。
生魚や虫さんが顔を出す系は遠慮しますが、それ以外は味見したいです。怖いもの見たさ、不味いもの食べたさ。
わんだほうでアンナちゃんに作っていた"心が落ち着くデザート"は夏バテに効果がありそう。


■ りょく (285回/2011/07/20(Wed) 19:41:06/No4030)

13愛妻家の告白


「す、す、す…」
「じゃあ英語、アイラブユー」
「あ、あい、あ………、ってダメだー!くぁー、恥ずかしいんだよ…」

リルムに"好き"だというために、ノドカに特訓を受けるミルモ。
その目的は面と向かって気持ちを伝えると(不味い)料理を作らなくなるのでは、と考えたものだったが、この際ミルリル出来たら何でも良いじゃないか。

「え〜〜。好き、なんて二文字なのにじゅ」
「簡単に言ってくれんじゃねーか。おめーこそどうなんだよ」

もどかしげに言うノドカにミルモは唇を尖らせ尋ねる。とても不満げな顔をしていた。

「あたし?あたしは素直に好きって言うよ。だって好きなんだもん」
「本当かよ…」

はっきり過ぎるノドカに納得がいかないのか、信じようとしないミルモ。
そこへうってつけの人物が現れた。

「きゃあああ〜、ネズミくんじゅ〜!!かっこうぃー!!ラブ〜!!」

ノドカを騒がすイケメン(笑)はネズミ。
風の噂(恋愛の勘というヤツ)でアクミがスウド家の一人と接触したと聞き、心配して捜して回っているらしい。でもそれは口実で本当はただ会いたいだけのようだ。急いでいるのか、話し掛けるなオーラが全身から噴き出している。

「ネズミは言ったことあんのか?アクミに好きって」
「藪から棒でござるな。何故お主とそのような話題で語り合わねばならないのだ。時間の無駄でござる」

ネズミは言った。嫌味全開なのは性格故と話題を逸らすため。今はいつもの余裕を持ち合わせていなかった。

「!」

不意に何者かから見られている気配を察知して振り返る。ネズミに見付かった事がマズいらしく、その者は慌てて身を潜めた。他二名が気付かなくても忍者には簡単に見破れる。同時に危険人物ではないことも分かったので敢えて放置しておくことにした。

「?…いちいち嫌味な奴だな。もっと素直になれよ」
「それはお主にも言えることでござろう。将来を誓った仲の相手に何を遠慮しているのやら。哀れな」
「うるせー!オレだって好きで告白するわけじゃねーよ」

視線がぶつかり合ってスパーク。
本来なら一戦交える場面だったが、次の言葉で雰囲気はぶち壊された。

「はあぁ、かっこいい…!!ネズミくんってサイコーじゅ〜!どうしてこんなに素敵なのーっ!」

女侍は糸目をハートにして、うっとりと青忍者に見惚れている。ミルモはもちろん、ネズミにまで引かれていた。どん引き。
しかし誰にどう思われようとお構い無しといったところが、かつての黒アクミと良く似ているとネズミは思った。今でも名前に様を付ける癖が抜けないほど、アクミの中でダアクの地位は揺るぎないものらしい。

「…こやつがいると話にならん。さらばでござる」

ネズミは唖然とした様子でため息を吐くと、再びアクミを捜して飛び立っていった。今はミルリルでネズアクはまだ先。

「あーーんネズミくん…行っちゃった…」
「趣味悪だな。あんな嫌味でずる賢い奴に惚れるとこなんかねーだろ」
「失礼じゅ!全てに決まってるじゃない。あんたこそ王子っていうから美形で知的で優雅で物腰柔らかい妖精を期待してたのに、容姿も性格もブサイク全面に押し出してるとか、どれだけ乙女の理想をぶち壊せば気が済むの…」
「誰が容姿も性格もブサイクだーっ!!」
「ともかく行くのじゅ!愛の告白はぶっつけ本番が一番なんだよ」
「お、おい…、まだ心の準備が…」

反論もむなしくミルモ王子は糸目のお節介に引きずられながら、婚約者の待つ楓の部屋へ向かったのだった。


「お帰りなさいませ、ミルモ様!お待ちしていましたわ〜」

リルムは暴言を吐いた婚約者を当然のように笑顔で迎え入れた。どこで何をしていたのか汗をかいていて息が上がっている。緊張しているのだろうか。
そんな彼女の様子にミルモも緊迫してコホンと咳払い。

「お前に話したいことがある」
「は、はいっ!」
「あー、そのよー…」

あの二文字を口にすれば料理を食べなくて済むかもしれない。しかし言葉が喉に仕えて出てこない。
リルムはワクワクしながら時を待った。

固唾を飲んで物陰から様子を見守るノドカは苛立っていた。時間を掛けても口にするセリフに変わりはないのに。恋に恋する糸目の女の子からするとむしろツンデレが理解できないようだ。

「もうじれったい!告白くらいさっさと済ますじゅ」

ノドカはとうとう我慢ならなくて部屋に乗り込んだ。
恥ずかしい計画をバラされ瞬く間に赤面するミルモ。

「まぁ素敵!ミルモ様はわたくしに愛の告白をしようと練習なさっていたのですわね。嬉しいことこの上ありません!どうぞ存分に仰って下さいな。遠慮なんてなさらずに。全てを受け止めて見せますわ」
「未来の王妃は寛大じゅ。ほら、"好き"の二文字を。口にすれば心満ちる。愛の言葉を紡ぐとき世界は薔薇色に染まるよ。さんはいっ!」
「うううううるせーな!オレはリルムなんかちっとも好きじゃねーし、毎度毎度不味い手料理を食わされて迷惑してるって言いたかったんだよ!」

言ってしまって、ミルモは「しまった、またリルムに殴り飛ばされる…!」と後悔したのだけれど、怒りに支配され攻撃的になったのはリルムではなかった。

「同じ水色だから協力してあげたのに!恋する女の子に酷いことを言う奴は、このノドカが斬るじゅ!覚悟しな!」

女侍は刀を構え、空気を切り裂いた。ひゅん、風がミルモの髪を撫でる。敵ながら協力した理由は色だったのかい。
リルムはノドカの後ろでがっかりしたような諦めるような微妙な表情を浮かべていた。

「受けて立つぜ!ミルモでポン!」

ミルモの魔法で、身体をまるまる覆う防御の盾が現れた。鋼鉄製。
※焼き鍛えて強くした鉄。炭素を0.04〜2パーセント程度含む鉄。銑鉄から、平炉・転炉・アーク炉などによって脱炭して作る。炭素鋼。炭素のほかにニッケル・クロムなどを含むものは特殊鋼という。スチール。はがね。鋼鉄。

「このあたしに斬れぬものなどない!」

だがノドカは己の実力を微塵も疑わず一振り。スパァン、と鋼鉄を切断する音が響き、見事、楯を真っ二つに斬り裂いた。
顔に似合わず凄まじい気迫と威圧感が漂っている。

「げっ、マジかよ」

思いがけず女侍として相応しい実力を持ち合わせているノドカに圧倒され、思わず息を呑んだミルモが次の標的は自分だと理解した時は、すでに刃先が振りかざされていた。
斬られる。ミルモが目を閉じかけた瞬間、リルムの耳に響いたのと同時にノドカは寸でのところで動きを止めた。

「お待ちくださいノドカさん!」
「か、庇うなんてどうして?こんな何もかもブサイクな男どうにでもなったらいいのじゅ」
「ですが、婚約者がやられるのを見過ごすわけにはいきませんので」
「ちったぁ否定しろっつーの…」

誰も味方に付いてくれないので拗ねるミルモ。

「そして本日二度目の暴言を吐いたミルモ様を成敗するのはわたくしの役目ですわ!てりゃー」

決まった。拗ねる王子の顔面に渾身の一撃。黄緑のカールが軽やかに揺れる。

「きらーん」

ぱりーん。今度はガラスを突き破った。まるで正義の味方にやられた雑魚キャラのようである。夏の青空を全力飛翔する未来の国王。

「ううううん…あたしが思い描いていた結果じゃないんだけどな…」

一撃必殺だろうなぁ…、と思いながら恋に恋する女侍は空を見上げた。










あと二組が済んだら、カップル以外の組み合わせもします。それがこの文章を書く目的。かけ算じゃなくてもネズヤマ兄弟とか。


■ こやまる (1123回/2011/07/21(Thu) 12:17:27/No4032)
http://www.murumoya.com/


りょくさん、皆さん、こんにちは☆

感想がだいぶ遅くなりごめんなさい。
新シリーズは恋化妖精の時以上にオリフェ設定が個性的ですね。
これだけ個性的だと、オリョンが一番マトモに見えてきたりも…。
そのオリョンも、地縛霊という設定には驚きました。
彼女の本体は別の場所で何か悪さをしているのでしょうか?
(↑それとも私がいろいろ勘違いをしている!?)

そしてノドカの改悪っぷりも光りますね(笑)。
恋化妖精の時はモブキャラに近い扱いだった気がしますが、ここまで設定を変えて再登場させるとは恐るべしりょくさん。
彼女はネズミにかなりお熱のようですが、ネズミの方も別のお相手もいるようで、この三角関係は今後も大注目ですね。
かと言いながらもノドカはミルモの恋を手伝ってあげようとする女の子らしさも持ち合わせている点がかわいいです。
リルムとノドカの恋の協力シーンは別のシーンでも見られるといいなぁ(^^)。

さて今回のストーリーを一言で表すと「ガイア族による黒魔法の残骸の不始末」?
いえ今回のメインはそこではなくて、公式・オリフェを絡めた恋の複雑な関係がターゲットですかね。
連載中に正式カップル成立する組み合わせが、果たして1組くらいはあるのか否か、楽しみです。

せっかくの超個性派揃いのオリフェですので、よろしければ1人1人ご紹介いただけるとうれしいです。

それでは続きを楽しみにしています。
では!


■ りょく (286回/2011/07/25(Mon) 11:00:51/No4042)


こやまるさん、こんにちは!

今はどんどん書き進めて誰が陰の薄いキャラか見極めたいです。すでに何となく分かってきていますが。
設定イラストはデザインだけですごく苦労したので、二度と書きたくないかも(^-^;)

オリョンは家族と出会ってから地縛霊を止め、現在はポルターガイストになりました。出掛けるときにぬいぐるみに取り憑いているのは、家の外に出ると力が弱まるからです。
ううううん…感情が乏しいとマトモに見える…?って悪魔(違)で五人中の話でしたね。幽霊ならではの噛み合わない台詞を書きたいです。
水が苦手な設定は悪さと関係しています。だから成仏できない。
こやまるさんが仰る本体が別に居る設定が気になります(笑)これ以上増えたら大変。でも今後、別の話を書くときにまた設定を変えて出すかもしれないのである意味正解です(笑)
(※このひと一話の下らへんで萌えない僕っ娘になってます。もう今さら変更する気なし(何))

今回のノドカは、性格の一部を少女漫画の主人公を意識しています。明るく元気で騒がしく。全体的に及ばないですが。
オリョンとトリコを合わせた三人の中心的な存在にしたいです。
ノドカはミーハーでネズミに本気で恋しているわけではないので、三角関係はどうでしょうかね(・∀・)

今回のテーマ
表、公式キャラを色々絡ませる(恋愛・友情など)
裏、ヤシ→ネズが書きたい、女の子同士をもっと仲良く…。


では!






14ぶりっこ王子の効かない技


「ムルモのバカー!」
「パピィのアホー!」

いつもの如くケンカになった二人。

「パピィなんかもう知らないでしゅ!」

怒ったムルモは、パピィの顔なんかもう見たくないとうちわで飛んでいく。

「ムルモー!!」

慌てたパピィが名前を呼んでも、ムルモは戻って来なかった。



「あたちって、どうちていっつも可愛くないこと言っちゃうのかちら…」

一人になるとこう思う。どうしてムルモの前で冷静になれないのだろう。

「うぅ…、ひからびちゃうわ…」

額に滲む汗。
照りつける太陽が意地悪をしているように思えた。暑さは体力を奪う。

そうして落ち込むうさぎちゃんの耳に、聞き覚えのある声が入ってきた。

「ノドカおねーちゃあああん!!」
「きゅーーー!!」

それはトリコロールの女装少年とドラゴン。甘ったるい香りがキャラと存在感を一段と濃くしている。
家族を捜して不慣れな人間界の住宅街を彷徨っているようだ。おかっぱっつんの妖精は泣いているような表情をしていた。涙を流していないのは恐らく男としてのプライドがあるからだろう。

「あっ…」

パピィに気付くと貼りつけたような笑顔を取り繕う。
それは同じように落ち込んでいるパピィの中に仲間意識を芽生えさせた。

「ハロー」
「何しょげてんのよ。情けないわねぇ。
そんなところをいつまでも飛行してると、砂漠に埋葬されたミイラみたいに日からびてちまうわよ」
「正確にはピラミッドろるぅ。蘇生を信じて秘宝と一緒に大事に扱われたんだぜ、ろるぅ」
「そうだったかちら。あんたって物知りね。ともかく涼みまちょ。あたちはミイラになるのはまっぴらごめんよ」



「案外可愛いじゃない」

ローゼは撫でられると気持ち良さそうに両目を細めた。

「きゅ〜〜」

トリコを促し着いた場所は図書館。館内は冷房の涼しい風が行き渡っている。
三名は人間が来ない本棚のてっぺんにしばらく居ることにした。

「…愛玩用に改良された種類だからなろるぅ」
「落ち込んだって仕方ないでちょ。ケータイに連絡入れれば?」
「それがメールも電話もしたけれどちっとも気が付いてないみたいろるぅ。ノドカはケータイが必要ないみたいで、音も振動も光さえもならないように設定しているから」
「ふーん。この時代にずいぶんアナログね」
「まあな。穏和に見えて非常にさっぱりしている、そこがノドカの魅力だぜろるぅ」

ワンピースを来た男の子妖精はごく普通に発言したけれど、あんなに惚れっぽい奴の、どこが"非常にさっぱり"しているものか。
想いを寄せる人物を美化することは案外珍しくない。トリコもそのうちのひとりだった。
(代表的なのが黄色いあの子ですね)




「あっ…」

妖精界のアイドル可愛い可愛い触角王子は、うさぎ姫とケンカして苛立ち中、思わぬ敵と遭遇してしまった。薔薇香る着物姿の妖精。

「(あの垂れた糸目は、話に聞いていたノドカしゃんに違いないでしゅ。マズいでしゅ…、トリコの時みたいに襲われたりしたらひとたまりもないでしゅ…。何とか逃れる隙を作らなくては…!)」

焦るムルモ。
と言うかあれだけ派手に宣戦布告していたのに、スウド一家を危険な敵だと認識しているキャラは彼とヤシチのみである。

「ハロー」

陽気に喋りかける糸目の女侍。こちらは使命を完全に忘れているようだ。

「こ、これはノドカおねえたま!初めまして、こんにちはでしゅ」
「うちのお姉様、知らないじゅ?赤い帽子を被ってドット柄の上着を羽織った方なんだけど」

これはあの半目のこと言っているのだけれど、挙げる特徴は他にあるだろうに。この説明では分かるまい。すごいチョイスミス。
ムルモは逃げることで頭が一杯で聞いちゃいないが。

「(…ボクのぶりっこで油断させるでしゅ)きゃはっ☆ボク、こんなに可愛いでしゅ〜」

ムルモは地面を可愛らしく転がる。ぶりっこ全力。本人は命乞いのつもり。
砂とかで全く汚れないのは可愛いから。

「キモっ…」

ノドカの反応はまさかのどん引き。もよおした吐き気を押さえるように口に手を当てる。
本気で体調不良のようだ。

「ガーーーン!!な…何でしゅってぇ…!?」

ムルモ、大ショック。

「女々しい男には興味ないじゅ。やっぱ?男子は強くて凛々しくないと。ネズミくんみたいにね!!ネズミくんってぇ、見た目も性格も最高にかっこいいと思わない?」

思いますよね!!ね!!!

「ビケーくんみたいにスマートなのも素敵だけど。クールなムーンくんも良いよね〜じゅ」

つまり、こいつは惚れっぽいのだ。(面食い?)

「大事なことだからハッキリ言うけど、可愛い系はタイプじゃないから該当者ゼロだよ」
「しょ、しょんなぁ…、ここまでの侮辱を受けたのは生まれて初めてでしゅ…」


数分後。新たな敵の参上。
園児サイズの小さなぬいぐるみを従え歩いてくるのは、自身もぬいぐるみの半目。
薔薇に混じってホコリっぽい匂いがするのは最近洗濯してないからだ。

「(ゲッ、またまたマズいでしゅ!)」
「汗を流すってどんな感覚なんだろう。もう忘れたよ」
「(はっ、ぶりっこの勘が語っているでしゅ!目付きが独特のオリフェにはぶりっこが通用しにくいと…。
でも妖精界のアイドルを自負する者が、ここで試さない訳にはいかないでしゅよ!)」

先程受けたダメージが残っているものの、ムルモは気合いを入れてぶりっこを披露することにした。

「オリョンしゃん、初めましてでしゅ〜。見てくだしゃい!ボクってこんなに可愛いでしゅ。きゃは!」

これまでで一番、顔の筋肉を工夫した最高の笑顔。
一般論としてめちゃくちゃ可愛い。
問題は対象の相手に有効かどうか。

「…性根から」
「ほぇ?」
「男らしくない」

はい、無効。
オリョンの生きていた時代にはムルモのようなタイプの男はいなかった。男は男らしく、女は女らしくを求められた遠い昔の話。
なのでノドカのように拒否はしないものの、可愛いとは思わないようだ。ムルモを上回る強烈なのが家族に居るので多少の理解はある。

「(ここで挫けてはボクのぶりっこ生命が廃るでしゅ。何としてでも認めさせるでしゅ。このボクの可愛さを…!!)
心にも無いことを…。ボク、傷付いたでしゅ…悲しいでしゅ…うるうるでしゅ…(今度こそイチコロでしゅ)」

愛想が駄目なら幼気(いたいけ)でいこう、必殺泣き落とし!
うっすら涙を浮かべるのを忘れない。触角をしゅんと垂れさせ、見ている者の心をくすぐる。

「性根から、男らしくない」

しかしオリョンは先程よりさらに抑揚の無い声で、本日二度目のセリフ。
効果はないようだ。

「もうダメでしゅ…。ばたんきゅ〜でしゅ〜…」

ムルモは持っている全ての力を出し尽くした清々しい顔で、失意のどん底へ落下したのだった。










ムルモ、初めて見たときは、「何で男の子がかわいこぶってんだろ??」と思いました。私も若かった。いや、幼かった。


■ りょく (287回/2011/07/31(Sun) 19:28:42/No4044)

15触角のミイラとうさぎの干物


「このボクのぶりっこが通用しない女の子が二人も存在していたなんて…。さすが悪事を働く妖精は奥が深いでしゅ…。パピィすらそこまで言わないのに…」

落ち込んだムルモは暑さに耐えられず身体を起こした。夏の日差しは弱った小さな身体を容赦なく照りつける。

「いけないいけない…こんな暑さの中、お外にいつまでも居るとボクのマシュマロ頬っぺが日焼けしてしまうでしゅ」

このままここで過ごすと干物になるかもしれない。ムルモは涼しい場所に避難することにした。

「そういえば、パピィは今頃どうしてるんでしゅかね…。ミイラみたいにひからびてなきゃいいでしゅけど」

心の中にうさぎの干物が浮かんで消えた。
一抹の不安がよぎる。場所は図書館。

幼き王子の予感は的中したようなしてないような。
ムルモは親しげに喋るうさぎ姫とおかっぱっつん(おかっぱ+ぱっつん)を見付けた。

「(パピィのやつ…、ボクにはツンツンしているくせに悪者と仲良くしてるとはなんなんでしゅかね!)」

そりゃ、デレツンですからね(ツンデレはミルモ)。

「(そう言えばボクがトリコと出会うずっと前から、二人は親しかったっけ…)」

何げに"トリコ"、呼び捨て。
落ち着いて喋るパピィの様子が意外で、どうしてだか胸の中がモヤモヤする。いわゆる嫉妬と言う奴だ。
しかし、ムルモがこっそり近付くと意外な会話が繰り広げられていた。

「…他の女の子にはすーぐぶりっこちて、あたちがきたら『ゲッ…!』って嫌そうな顔をするくせに」
「彼女に対して、んな態度を取るなんざ男の風上に置けねぇろるぅ。つめてー奴だぜろるぅ(テメーの努力の賜物だろ…)」
「でもね、なんだかんだ言って、結局まるごと好きなのよ、あたち。今の言葉をムルモに伝えられたらいいのに」

パピィは「はぁぁ」とため息を吐く。
ばっちり伝わってますよ。だって彼の顔が優しくなっているから。

「へーえ…、ずいぶん惚れてるみてぇだなろるぅ。じゃあ奴の良いところをもっと具体的に思い付く限り述べよろるぅ」
「そんなの簡単でちゅ。触角がゆらゆら揺れる可愛いところでちょ、赤いリボンが似合うカッコいいところでちょ、ぶりっこばっかりちてるけど意外に紳士なところでちょ、腹黒いけどけっこう純真なところでちょ…」
「ふふっ、話は尽きぬようだなろるぅ」
「あったりまえじゃない!ムルモを追い掛けて人間界に住み着いてさらに色々な面を知れたから、あたちうれちいの!」

パピィは言い切った。
余計なことも言われているのが逆に本音だと実感させられ、ムルモは一人、照れてしまう。
その時、ムルモは気付いた。トリコが意味ありげに含み笑いしていることを。
ムルモが聞いていることに気付いて、からかっているのだ。

「まだまだあるわよ〜。えーっと…」
「ややや、止めるでしゅ!ストップでしゅーっ!」

ムルモは二人の間に入るとバタバタ両手を動かす。恥ずかしさのあまり赤面していた。

「パピィに何、言わすんでしゅか!からかわないでくだしゃい!!」
「はん。ガールフレンドの本音を聞くことが出来てありがたく思えろるぅ」
「ムルモ…、さっきは悪かったわ。色々と言いすぎてしまってごめんなちゃい…」

謝罪するパピィ。素直に非を認めたのは、ムルモ以外の同い年の異性とした会話のおかげだろうか。

「(ツマンネーろるぅ…)」

空気を読んで音を立てずに退席する女装少年。

「ボクの方こそ悪かったでしゅ…。ごめんなさいでしゅ」
「し、心配ちてたのよ!とろーいムルモの事だから、涼み遅れて、ミイラみたいにひからびてないかって」

ん…雲行きが怪しく…。

「むかっ…珍しく素直だと思ったら!パピィこそ干物になってなくて良かったでしゅね〜。うさぎの干物が想像で済んで残念でしゅ」
「誰が干物でちゅって!失礼ねっ!」
「ボクはミイラみたいにひからびましぇん!」
「ムルモのバカー!」
「パピィのアホー!」

ダメだこりゃ。

「(あの触角をからかうのにちょうど良かったから、パピィの本音を引き出してやったのにろるぅ。別にどうでもいいがなろるぅ…)」





もう十一時。
蝉の鳴き声が騒がしい。
ノドカ、トリコ、オリョンの三人はようやく巡り合えたのだった。

「ノ、ノドカ…おねーちゃん…!いっぱい捜し回ったのに全然見付からないし、連絡してもケータイが繋がらないからどうしようかと思ったろるぅ…。会えて良かったろるぅ…」
「やっと見つけたじゅ!やっぱりオリョンがいないと寂しくて…」
「人間界には鬼もいた。このままじゃ憑かれる。帰ろ。目的はまだ達成しなくていい」

オリョンは出していたぬいぐるみをしまう。「も」ということは、他にお化け系を見かけたのだろうか。ちなみに憑かれる、は誤変換ではありません。

「そっか。あの八人を倒すためにわざわざやってきたのに、色々協力しちゃったじゅ。プリンスにお仕置きされるかな…」

ノドカはお仕置きとやらを思い出して青ざめている。一体どんなことをされるのか…。

「言わなきゃバレないろるぅ。封印解除にずいぶん没頭しているようだしな、ろるぅ」

トリコは言った。さすが末っ子は要領が良い。

「あっ、じゃあ早く帰らないと!プリンスが作るとか言ってたのに、やっぱりお昼ご飯がカナエさんの手作りになるじゅ。あれは食べる気にならないよ〜…」
「オリョンが作れろるぅ。トンカツがいいろるぅ。カツ丼じゃねえろるぅ!
こいつは、カレー頼んだらシチューになるし、チャーハン頼んだらチキンライスになるし、たこ焼き頼んだらお好み焼きになるし…ちったぁ学習しろっつーの、ろるぅ!」
「同じものじゃないの?」
「どこがろるぅ!!」
「(作ってもらってるから文句言える立場じゃないんじゃ…。あたしも同じこと思ってるけど…)」










トリコはムルモとどっちの外見が上かでケンカさせたくて、作り出したオリフェです。
子供の「子」をオリフェに付けたかったのですが、偶然とはいえ、まさか男の娘に付けることになるとは。
ムルモより無垢にしたかったけど、なんだか狡猾に見えますね。
それよか、タイトルひどい。


■ りょく (288回/2011/07/31(Sun) 19:32:28/No4045)


16トリコの逆恨み


「男子トイレはあんたしか使わないんだから、掃除はあんた一人がやるべきなんだよ。なんであたしまで…」

スウド家、妖精界のどこかに立っている広い広い宮殿。
ノドカとトリコの二人は一階にある男子トイレを磨いていた。
この家はどこもかしこも広い。個室の豪華さは家庭並、全体的な広さは学校並、と言ったところか。ちなみに芳香剤も薔薇。
しかも(女子トイレも)三階と地下二階にもある。五人しか住んでいないし男女分ける意味が無い。無駄。

普段は掃除が習慣付いているカナエか睡眠を取らない暇人のオリョンがやっているが、カナエに「たまにはしなさい」と言われて、二人は渋々掃除しているのだった。

「おれに言われても困るのじゅ。カナエに訴えればいいろるぅ」
「うううん…それを言われると…。女子トイレだったらまだ納得出来るけどさ。でも一人じゃ広すぎるのじゅ…」

だるそうにデッキブラシに寄りかかるノドカ。
垂れた糸目がうんざりしていた。

「疲れたのかろるぅ?ここはおれに任せてノドカは部屋で休めろるぅ」

トリコはノドカを気遣うように言った。一見親切に見えて、優しいと思われるんじゃないかと言った下心がちらちら見え隠れしている。
彼の今の口調は語尾を除けば男らしい。心を許せる相手の前では素が出ているのだろう。

「平気。ドラゴンに乗ってるあんたより、刀を振り回しているあたしの方が体力あるもん。変態女装ヤローのくせにいっちょ前に口利きやがってじゅ」
「おれだって男だろるぅ!体力には自信あるろるぅ」
「男って…そのカッコをどうにかしてからじゃないと認めないし」
「うるせーバカ!似合ってるから良いだろ、ろるぅ」
「あたしは嫌いじゅ」

口ゲンカ。ムルパピと違って取っ組み合いには発展しないものの、そこに愛は無い。何故ならトリコはノドカが好きだけど、ノドカはトリコを相手にしていないからだ。
年下も可愛い系もノドカの好みとは真逆で、何より女装が受け入れられないらしい。トリコは彼女の嫌いな要素にすべて当てはまっていた。

掃除が終わる頃には口ゲンカは治まっていたが、トリコは面白くない。
ノドカはデッキブラシを放り出すとこう言ったのだ。

「ビケーくんやムーンくんも素敵だけど、やっぱりネズミくん!ネズミくんが一番だよ」

その後すぐに、「やっぱりアイドルの○○くんや××くんも素敵だし…選べないじゅ〜!」と言っていたが、トリコの耳には聞こえていなかった。

「(ネズミなんてネズミなんて…、オシャレなおれと比べて明らかに劣ってるろるぅ。おれの方がずっと側にいるのになろるぅ…。ノドカの惚れっぽい性格も困ったもんだぜ、ろるぅ。さて、どうしたものかろるぅ)」

トリコは悩みながら二階をうろついていると、プリンスの部屋のドアの隙間から喋り声が聞こえてきた。
プリンスは一家の大黒柱。働いてないけど金持ちですよっと。家族の生活費はこの妖精から出ている。
部屋に引きこもり滅多に外出せず、薄笑いを浮かべ自らの言動に陶酔している白髪のことを、トリコは不気味で気持ち悪いと思っていた。…そういう一面もあるにせよ、そこまで変人じゃないのよ!

窓は閉めっぱなしで空気の入れ替えを行っていないため、この部屋は湿っぽく、それに加えて物がそこらじゅうに散乱していた。
唯一片付いているテーブルの上には、背の高い花瓶にユリの花が活けてある。二本のユリは寄り添うように飾られていた。

「ヒヒッ。どうしてお前さんを呼び出したか分かるかい?ぬいぐるみちゃん」

部屋には他に誰かいるようだ。
プリンスが手を取り自分の隣に引き寄せたのはオリョンだった。
派手な色のアイシャドウが重たそうな半目の妖精は、好きなように扱われても微動だにしない。ぬいぐるみそのもののようだ。

「俺様、見せたいもんがあってなァ。そこら辺にあった材料をテキトーに混ぜ込んだら、完成しちまったぜェ。"乙女チックパウダー"なるものが」

プリンスは半目妖精の濁った鉱物の瞳を覗き込み、しばし自分の姿に見惚れる。
その距離、飴玉一つ。
オリョンは取り憑いていたぬいぐるみからとっくに離れて、離れた場所から、キザな妖精の痛い様子を眺めていた。

「(ちょっ…、マジきめぇろるぅ…!)」
「こいつァ、漢(おとこ)に使うと、あら不思議。なんと乙女になっちまうのさ。以前は売っていたものの重大な欠陥が見付かり、生産中止になった幻のアイテムらしいぜェ。ヒヒッ、偶然の産物にせよ、俺様天才」

プリンスが持っているのは、見た目は何の変哲もないフェイスパウダー。

「(あれだ!こいつらが居なくなった隙に持ち出して、ネズミにぶっかけてやるろるぅ。女になったらノドカに振られるがいいぜ!ろるぅ。プププ…)」

おかっぱっつんの女装妖精は元気良く出かける支度をしに部屋に戻った。



バホバホ!!オリョンは"乙女チックパウダー"を白髪の妖精の顔面に叩き付けた。

「ぶはっ!コラコラー。きかねーぜェ。ゲボゴホッ…」
「これはトリコに?」
「華麗に実験済みだぜェ。眠っている時は歳相応にあどけないもんよ」
「女になったって、どうやって確認したんだ?」
「それはこう…脱がして…」











白髪の妖精のセリフは書いてる人がゾッとしたので、当初の予定より控え目になりました(^-^)


■ りょく (289回/2011/07/31(Sun) 19:33:41/No4046)

17トリコロールの襲撃


妖精界の昼下がり。真夏の人間界と違って、相変わらず気候は穏やか。
忍者が住む村のはずれにある森の奥で、ネズミは忍者修行をしていた。

ぱすん。ぱすん。ぱすん。…。

一斉に投げた十本ものクナイはすべて的の中心に突き刺さっている。
絶好調。

ひとは、楽しいことが待ち受けていると、浮かれて身が入らない者と、いつもより調子が良くなる者の二通りに別れるという。
ネズミは後者のタイプだった。
すごーーく調子が良い。
なんてったって、今からきっかり一時間後にアクミと映画を観に行くのだから。いわゆるデートですね。

そろそろシャワーを浴びて身支度でもするかな、余裕があったほうがいいし…、そう考えながら自宅に歩みを進めていると、突然現れた妖精に行く手を阻まれた。
ドラゴンに乗り、トリコロール柄のワンピースを着た男の娘。

「食らえろるぅっ!"乙女チックパウダー"!」

トリコが放ったそれは、ネズミの顔面にクリーンヒット。
色鮮やかな手並みは逆恨みが為せる技だった。

「不覚…。チビだと思って油断していたら不意討ちを食らってしまうとは…」

煙たさに粉を払いながら咳き込む。ふと、手に触れた髪の毛。ネズミは違和感に気が付いた。
なんと髪の毛が伸びている。お尻の位置まで。

「!」

それに何だか身体つきにも違和感。口では言い表わせないがともかく変。
勘の良い青忍者は嫌な閃きに鏡を取り出して確認すると、そこには見知らぬ少女が写っていた。





旅人は情報と知識が豊富。
ネズミは"乙女チックパウダー"のことを知っていた。使用すると二度と元には戻れないと言われていることも。
が、何としてでも戻らなくてはならない。
女になったネズミの姿を確認したトリコは、満足したのか「ざまーみろ」と言うと、薔薇の香りを残してとっとと姿を消してしまった。
捜せばまだ追い付ける距離にいるはずだ。

待ち合わせ時刻まで、あと五十分。



ケモノと薔薇(漂白剤)の匂いをたどり、街へやって来るとネズミは用心深く辺りを見回した。
もしこの姿で知り合いにでも見付かれば、とても面倒なことになりそうだ。それだけは避けたかった。
…また変装でもすればいいのに。

そうしてトリコを捜していると、トリコじゃないが、スウド家の一人を見付けた。
周囲に決して馴染まない異様なオーラを放ちながらぬいぐるみは動く。無駄に上品な薔薇とホコリの香りを漂わせながら。

「おい!」

青いくの一は彼女の前に立ちはだかる。

「誰?」

オリョンは言葉通り、見知らぬ妖精にぶしつけに話し掛けられたと言った表情をしている。そりゃそうだろう。

「拙者はネズミでござる。貴様の身内にやられてこのような姿に変わり果ててしまった。"乙女チックパウダー"を知らぬとは言わせん。とっとと元に戻す方法を教えろ!」

ネズミは怒鳴る。
オリョンはネズミの激変ぶりに何とも言えない顔をした。まったくだ。
黒髪、つり目、青い忍者衣装、頭巾とほっぺの模様、元々の特徴はそのままに、黒髪が伸びただけでこうも別人になるとは。恥ずかしさで紅潮しているのも女らしい要因の一つだろう。

半目の妖精は茫然自失している。
すると、二人の間に流れた気まずい空気を裂くように現れた妖精が、ぱっとオリョンの腕を取った。

「なんて清々しい気分なのでしょう。久しぶりの外出は気分転換にぴったりなこと、この上ありませんわ」

彼女はピンク掛かった黒髪の両サイドに、ふわふわした薄い栗毛を束ねていた。付け毛なのかもしれない。骨型の髪留めが良く似合っている。
容姿のせいか、飼い馴らされた従順な犬みたいな雰囲気が漂っていた。あくまで見た目で判断すると、誰にも逆らうことはなさそう。

「ごきげんよう。初めまして、青いくの一さん」と挨拶するとオリョンに向き直って「長引くのでしょうか?」と尋ねた。

「では先に行っています。エスカレーターが苦手なあなたの為に、一階でお待ちしていますわ」

オリョンの顔を見て長引くであろうことを察知した彼女は早々と去っていった。
あ、エスカレーターって、箱じゃなくて階段の方です。

「(恋化妖精から三人目の…)」
「僕は製作者じゃない」
「だから元に戻す方法を知らないと言うのか。いい逃げ道でござるな〜。だったらその製作者とやらを呼べ」
「…今からぬいぐるみ買いに行くから忙しい」
「ぬいぐるみだと?ったく。身体が朽ちてもなお、物に執着しているから成仏出来ないのでござるよ。この未練の塊め!」

ネズミはオリョンにクナイを突き付けた。
先端の尖った武器は、布製の手の甲を貫通し、喉元に突き刺さる。
オリョンは少し怖かった。ネズミと初めて戦ったときには腕を一本やられている。(誤解のないよう説明すると、オリョンは幽霊で自分の姿を模したぬいぐるみに取り憑いている)。
ちなみに端から見ると、人に武器を貫通させるネズミは残酷だし、にも関わらず血を流さないオリョンは不自然だ。何ともおかしな光景である。

その時、ネズミが発したある言葉に反応した妖精が現れた。

「お呼びでしょうか〜」

この、なまっちょろくてねちっこい声は…。

「僕、アクミちゃんの彼氏のミレンって言います。その容姿…あなたはネズミさんですね。アクミちゃんから話は伺っていました。とっても仲が良いお友達だと〜。
一度は会ってみたくて。ミレン、感激〜!!よよよ〜よぉ〜…」

ミレンはなよなよ泣き始めた。

「………」

"ミレン"と言う名は、ラット時代に何度か耳にしたことがある。
なよなよした性格のしつこい男に付きまとわれている、とアクミが愚痴をこぼしていたのだ。
下僕として扱っているとも言っていたので、内心哀れだと同情していた(と同時に下僕がいることにも驚いた)が、実際に会うと気分の良いものではない。
アクミの彼氏だと言うこともミレンの思い込みだが、それを知っていても対抗意識が芽生えるのに時間は掛からなかった。

そんなこんなでタイムリミットまであと三十分。










女状態のネズミに友好的なミレンが書きたかった。
DVDを見直したらやっぱりミレンは可愛いです。苛めてくれと言っているようなもんじゃないの。下僕になるために生まれてきた…とかは言い過ぎ?

本編には名前を紹介する場所が無かったのですが、犬みたいな容姿のオリフェはシヤンです。
実はこれに出すために作りました。ゲストじゃないですよ。もっと出てきます。


■ りょく (290回/2011/07/31(Sun) 19:35:10/No4047)

18ネズミの撃退


「お前のような情けない奴がアクミの相手など勤まるわけなかろう」

ネズミはどんっ、と突き飛ばすように言った。不安は小さくない証拠に"彼氏"とか具体的な言葉は喋らないのだ。
事実、下僕止まりだけど、意外と公式ではミレンの方が…って場合もあるからね。

「そ、そんなぁ〜。信じてくださいよぉ〜…。本当なんですよぉ〜…」

弱々しい口調で涙混じりに訴えるも、青忍者の彼女は聞く気などさらさらない。

「あなたは信じてくれますよねぇ?」

ミレンはすがるようにオリョンの方を向く。その場に居合わせたからって飛び火するのは、迷惑以外の何者でもない。
しかもその横ではネズミがミレンの味方をすれば許さない、と威圧していた。
手の甲から綿が出ている状態を

「ア、アクミに聞けばいい…」

オリョンはネズミから視線を外しながら言う。何とか逃げ切った。

「結果は見えているでござるがな」
「ふふっ、嫉妬だったのですねぇ。分かりますよぉ。アクミちゃんは女の子も虜にする素敵な妖精なんですから」

ミレンは変な勘違い(半分仕方ない)をしながらアクミのケータイに連絡を入れるものの着信拒否されていた。

「フフフのフー。だから忠告してやったでござろう。嘆かわしいわ」

とはいえ、繋がったら繋がったでややこしい事態になっていたこと間違いなし。

「アクミちゃんったら彼氏の僕の電話番号を間違って着信拒否しちゃうなんて、ちょっとドジなところも魅力的なんだよねぇ〜」
「恐ろしいプラス思考と自分に都合の良い解釈の持ち主でござるな…。逆に感心した」

ネズミはなよなよ妖精にとことん呆れていた。一生を掛けてもヤシチとは違った意味でソリが合うことはない奴。
その隙にオリョンはこっそり立ち去ろうとしていた。

「逃がすか」

ネズミはオリョンの足元にクナイを投げて足止めした。

「もう行かなきゃ。あれ(シヤン)が待ってる」
「お主とは一度、決着を付けたいと思っていた。会って三度目、今の今まで本気の戦いに発展しなかったことが不思議でならないでござる」

ネズミは長い髪の毛を一纏めに結ぶ。かつての赤いゴム。

「死してなおこの世に留まるのは決して楽なことじゃない。幽霊を現世に引き留める未練は生命力にも劣らないエネルギーとなる」

オリョンは相手をすると決めたらしい。受けて立つようだ。

「お、お二人とも、急にどうしたのよぉ〜…。ケンカなんて危ないよぉ〜…」

状況が理解できないミレンはおろおろするだけ。

「ふん。しなくてもいい苦労は愚か者がすることでござるよ。貴様のように」

ネズミは適度な距離を取ると棒手裏剣を放った。
すると瞬く間に髪の毛が何本か持っていかれた。
打ち返されたのだ。オリョンが何かしたようには見えなかったのに。

「ニラム」

オリョンの呼び声に姿を見せたのは、園児サイズの小さなぬいぐるみ。身体より大きな金属製のハンマーを重たそうに抱えている。

「四話でお前のクナイを打ち返したのもこのアルニラムだよ。ニラムはどんな攻撃でも打ち返すことが出来る武器を持っている」
「そいつを使ってくることは分かっていたでござる。それでも速度に驚いたが…。しかし、そいつの様子を見ていると、そう何度も出来ることではないな。長さが短い武器を使うわりには接近戦は苦手に見えるが」

ニラムはハンマーを一生懸命支えながらよろめいていた。痛々しい姿がちょっと可哀想に見える。
いくら「どんな攻撃でも打ち返すことが出来る」とはいえ、同時にいくつもの飛び道具は打ち返せないはずだ。或いは自信過剰やハッタリかもしれないし。
とすると二回目の攻撃はいくつもの武器を同時に投げ…、ネズミは不意に背中に衝撃を食らった。衝撃で地面にひれ伏すように倒れる。

「っ…!!」

焼けるように熱い痛みのせいで動くこともままならない。
ネズミは逆光に遮られながら二つの武器を持った小さな妖精を見上げた。

「ニタクの光線銃は無駄撃ちが多いけど威力は最強。二丁拳銃のアルニタクとはこの子のことだ。お前ごときに二体目を引っ張り出されたのは悔しいけどもう終わり。
中身は綿がいい?蕎麦柄にする?それとも…」

オリョンは暴れ足りなくて力が有り余っている二体を押し戻すと、そっとネズミの様子を伺う。どうやら止めを刺す方法は決まっているらしい。
ネズミはある幽霊についての噂を聞いたことがある。
妖精界のどこかに建っているという幽霊屋敷へ足を踏み入れた妖精は、そこに住み着く地縛霊によって"ぬいぐるみ"に姿を変えられてしまうという。館へ行き、行方不明になった妖精は数知れずとか。

「(こいつが噂の幽霊だとしたら…)」



「アクミちゃ〜ん!」

やっぱ妖精界は気候が穏やかで良いよな、なんて思いながら歩いていたアクミの耳に、今一番聞きたくない、なまっちょろくてねちっこい声がした。
ネズミとの待ち合わせ時間が迫り早めに出向いたのだ。

「げっ!ミレン…。ん、オリョンと、誰だあいつ…?」
「ネズミさんだよぉ。アクミちゃんのお友達の」
「え…」

確かに特徴は同じ。何で女に?女装趣味。何故オリョンと戦っている?しかもヤバそう…。
アクミの脳内で色々な疑問が渦巻いた。

「うそん…」

アクミの呟きと同時にネズミは元の姿に戻った。

「ネズミ、何やってたんだお前?」

アクミは倒れているネズミに駆け寄る。

「そこの女にやられたのでござるよ」
「え…、どういうこと!?ネズミさんって実は男だったの?」
「こんなにボロボロになって…、大丈夫かよ」
「問題ない」

ネズミは何事も無かったかのように颯爽と起き上がる。さすが妖精はタフだ。
呆然としているミレンと戦う気の失せたオリョンを残して、ネズアクはさり気なくツーショットをかます。

さあ、デートの始まり始まり。










なんか続くように見えますが、終わりです。デート編とか書けない。
ていうか健全サイトさんで女体化とか書いたら大変。ヤシチを出そうか迷いましたが、ミレンになりました。正しい判断。
早くもカナエの影が薄まってますね。余裕の想定内。


■ りょく (291回/2011/07/31(Sun) 19:36:29/No4048)

19季節モノ-幽霊は夏の風物詩-


もうすぐ夏も中盤を迎える。人間界は毎日、蝉の鳴き声で騒がしい。
ここ、安純の部屋では、蝉よりも騒がしい妖精が二人…。

「やはり間抜けなヤシチの元に妹を任すのは、どうにも不安でござるな」

ネズミは頭を抱えて呆れ混じりにため息一つ。
旅を中断し師匠の元で色々手伝っている彼は、任務でヤシチの忍者としての実力を計りに来たのだ。

「うるさーい!拙者は間抜けではない!」

計測方法の一つは手裏剣の的当て。十回中、何回的の中心に当てられるか。
ヤシチの実力は僅か三回だった。
二回ほど惜しいのもあったが、計測上の点数にはならない。何よりこの歳になっても、まだクナイを扱ったことがないのが一番の不利だ。
魔法の実力は高くとも忍者は忍術の腕を評価される。
よってヤシチの成績は最低だ。

「師匠になんと報告すればいいか…。お前を"いとこ"に持った拙者の心情も察してほしいもんでござるよ。少しは世間体を考えろ。ともかくアホな行動は慎むように」

ネズミは再びため息を吐くと、「さらばでござる」と行って去っていった。

「に、二度と来るなーっ!!」

ヤシチの叫び声が安純の部屋にこだました。





「ったく、ネズミの奴め!何でこう嫌味なのだ!」

ヤシチは安純の部屋の掃除を住ますと気分を変えようと近所を散歩していた。しかし気分は良くなるどころか、先程のネズミの態度が頭を離れずグチグチ文句を言いながら飛んでいた。
自分の忍術の実力が低いのは十分理解しているが、人から口煩く言われると腹が立つものだ。特にネズミはヤシチの欠点や痛いところを徹底的に突いてくる。

ヤシチが怒鳴りながら飛んでいると、普段この辺りでは嗅がない、薔薇のやたら優雅な香りがした。

「お前は…」

角を曲がった所にいたのは、半分降りた瞼にパッションピンクのアイシャドウを塗った妖精だった。

「赤いけど…青い方の気配がする。あれは嫌…」

オリョンは半目にヤシチを写すと不快そうに呟いた。嫌うと言うより恐れているのだ。

「青い方?ああ、さっきネズミが訪ねてきたのだ。お主もあいつをを嫌っているのだな。あっ!!」
「?」
「(オリョンの戦闘力は知らぬが、スウド家の連中はガイア族に楯突く大胆不敵な行動を取れるのだから、五人ともネズミを余裕でぎゃふんと言わせるほどの力を持っているに違いない。少なくとも一度手合せした女侍は、ネズミの忍術を悠に越えるだろうからな…)」

ヤシチの読みは正しいっちゃあ正しい。一家の大黒柱のみ戦闘力は未設定だが。

「ネズミを嫌う者はみな同志。一時休戦、ここは協力して手を組むのだ!何も知らずにバカにしているのも今のうち、二度と嫌味な口が利けないように震え上がらせてやるのだ!あーはっはっはっ!!」

ヤシチは腰に両手を当てると周囲一帯に響き渡る音量で笑い声を上げた。
そんなに嫌いかね?
高笑いするヤシチだったが、オリョンは出来れば(金輪際)関わりたくないレベルまでネズミに恐怖していた。



「あーして、こーして…ふふん、この作戦は究極なのだ。恐ろしすぎて身震いしてしまうぞ。後は奴をどのようにして呼び出すかだが…」
「する」

奇術のような不思議な早業で、いつの間にかヤシチのケータイを手にしたオリョンは、嫌味な忍者を呼び出す文章をぽちぽち打ち始めた。

〔お忙しい中、突然のお便り失礼します。今日の午後一時にこの住所まで出向いて下さい。
こちらの言う通りに動くことが出来なければ、どのような理由があろうと"あの事実"を公表せねばなりません。そうなると素顔を晒して外を出歩く事が二度と出来なくなり、一人寂しく山奥で暮らすことになるでしょう。
僕も嘆かわしいとは思います。
あなたを宇宙一嫌うヤシチより〕

オリョンは出来上がった文章を送信。
深い理由はなく、ヤシチはネズミのメルアドを知っている。

「ネズミにハッタリをかますとはやはり侮れんな。お主の名を載せずに良かったのか?」
「手柄はすべてお前のもの」

と言うかバレた時の逃げ道なのだった。自分だけ助かろうとする辺りかなり汚い幽霊。
身体が無くなり何百年も経過して、再び普通の妖精じみた考えをするようになったのは、家族が出来たからだろうか。



そろそろ指定時刻。ヤシチとオリョンはこの辺りで有名な心霊スポット、いわゆる幽霊屋敷と呼ばれる家にスタンバイ。
メールに乗せられてネズミはやってきたが、予想外なのはもう一人付いてきたことだ。

「あやつめ…忙しい事は承知の上で戯けを…!直ちに見つけだして、即刻仕置きでござる」

ネズミは当然ながらかんかんに怒っていた。
昼間でも何故か光が一切差し込まない、いかにもおどろおどろしい廃屋。立場上、様々な場所を巡る旅人は大抵の場所には慣れているにしろ、このような不気味な洋館に自分から足を踏み入れることは少ない。
懐中電灯で足元を照らしながら歩く。
明かりが無いのは驚かす側も不便だ(幽霊を除き)。「必ず相手が所持している」と、薄暗い電気スタンドを設置しようとしたヤシチの考えを阻止したのはオリョンだった。不自然さは恐怖を半減する。さすが妖精を驚かし慣れている悪霊。

「いいじゃん。楽しそうで。幽霊屋敷とか、あたい、興味あったんだよな〜」

笑顔満点のアクミ。シャワー中、気配を感じて後ろを振り返ったり、心霊番組を見た晩、眠れずに布団の中で震えながら一夜を過ごす、といったことが無いタイプなのだろう。羨ましい限りで…。

「拙者は遊びに来ているのではない("あの事実"?何?前回の女装?)」
「せっかく四季の概念がある人間界に来たんだから、季節モノは体験しておくに限るじゃん。頭堅いといざとなった時、判断を誤るよ」
「…ヤシチの挑発にホイホイ乗せられたやってきた時点で、すでに判断を誤っているでござるよ」
「分かってんじゃん!ネズミ!」

浮かれるアクミに気を配りつつ、ネズミは考え込んだ。

「(メールの文面からして、ヤシチ一人で仕組んだのではないことが窺える。サスハンは居ようが居まいが同じこと。怖がりなヤマネは論外。奴より賢い何者かが助っ人として付いているのだろう。何の為に…?まぁアクミが喜んでいるのだし、単に拙者を驚かせたいだけなのなら受けて立つでござる)」

ちょっとバレかけてますよ。
オリョンは魂だけの存在となって経過した年月のぶんだけ、悪霊としての知識と経験が豊富。彼女の欠落している一般常識をヤシチが補うことが出来れば、悪巧み妖精と名高いネズミを驚かし貫(ぬ)くことが出来るだろう。うん、無理そう!

「む…何だか楽しそうだな。ネズアクを助長させる為に、わざわざ呼んだのではないぞ。もっと怖がるのだ!」

思うようにいかず、苛立つヤシチ。
ですが、立ったフラグは折れません。

「別の感情が恐怖を盛り下げているんだ。厄介かも…」

オリョンは別の感情について考えるけれど、とんと思いつかない。

「そこかっ!」

ネズミは天井付近を仰ぐ。
そこに忍ぶ間抜けな赤忍者と悪霊ヌイの間に、クナイが投げられた。











お化け屋敷は絶対やりたかった季節モノの一つ。
早くもカプに偏りが出てきました。どうしよう。
感嘆符を表示せずに大声や怒鳴り声を表現する方法ってないのかな。
そんなことより、果たして「驚かし貫(ぬ)く」という言葉があるのか…。


■ りょく (292回/2011/07/31(Sun) 19:38:04/No4049)


20冷房要らず(夏用)


「そこにいるのは分かっているでござる。さっさと降りてこい」

ネズミは観念しろと威圧を掛ける。
瞬きもせずに一ヶ所を見つめ続ける瞳は、暗闇の中見えていないはずの二人を正確に捉えているようだった。姿は見えずとも気配を捉えているのだ。

「まずいな…」

"いとこ"で生まれた時から付き合いのあるネズミには、しょっちゅうイタズラのターゲットにされてきた。
殴りあいのケンカに発展することもしばしばだが、本気でやり合うとなると勝てる見込みはないだろう。(だからこうして陰から脅かす作戦を実行中なのに、すでに立場が逆転している)。

「口を閉じて」

オリョンは怯えるヤシチに声をかけると、出来る限り声を潜めて話し始めた。

「幽霊は気配を自由自在に操る方法を心得ている。物と一体化すること。それが取り憑く、なんだ」
「んなこと言われても拙者はまだ生きているぞ」
「大丈夫。数ある妖精種族の中でも、忍びは気配を完璧に消し去り闇の中で敵を討つ、高度な技術者の血が流れている。心を静めて、暗黒に溶け込んで」

オリョンの言う通りヤシチは身体の力を抜き精神を楽にすると、鼓動が正常値に戻り不思議と心が落ち着いた。

「いつまでそうしてんだ?日が暮れるよ」
「おっかしいでござるなー」

アクミの呼び掛けにネズミは二人の居場所を一睨みすると、なんと視線を外した。

「ふん。他をあたるか…」

ネズミとアクミは奥の部屋へと歩みを進める。間一髪、免れたようだ。きっと二度目はない。

「はあぁ…焦ったぞ。根比べになるかと思ったのだ…」
「大切なのは自分のペースを乱さず、常に余裕でいること。他者を巻き込む基本だよ」
「豆知識か。…ふむふむ、ミルモにも使えるかもしれんな」

ヤシチは悪巧みを行う他、役に立ちそうにない知識をメモすると、ニタリとしたり顔で垂れた。

「これはまだまだ、ほんの序盤よ。本物の幽霊による演出をとくと御覧あれ、なのだ。きひひ…」


廊下は床が痛んでいるらしく、歩く度ギシギシ音を立てた。
踏み抜く恐れもあるので飛べば良いじゃん!と思うかもしれないが、アクミはスリルを味わう為にあえて徒歩を選んだのだった。
遊園地の施設じゃないんだから。して本物の幽霊が加担しているんだから。

「う〜!早く出ろつっーの、幽霊!」
「(アホか…)」

ネズミは本音を胸の奥にしまい込む。案外、妹と同じく怖がりなのかもしれない。

「はっくしゅん!」

ネズミは大きなくしゃみをした。
冷房器具が付いているわけではないのに、何故か外と比べて格段に温度が低い。
突如、氷のような冷たい何かに背中を撫でられた感覚がして、身震いした。

「風邪か?」
「いや…」
「そう。ここ、涼しくて良いよな。今日は三十度超すって言ってたのに」

温度の変化はアクミも感じていたようだ。自分だけじゃないのならいい…。
いざという時、アクミに不甲斐ない姿は見せられない。ヤシチの仕業なら尚更怖がってたまるか、とネズミは気を引き締めた。

奥の部屋はキッチン(台所)とリビング(居間)になっている。

窓(外れかかった)があるからか、わずかに足下が確認出来る程度に薄暗い。
庭も同じく暗闇に包まれていて、とても真っ昼間とはいえない状況だ。

突然、食器棚がギイィと開いて、中から皿が飛び出した。ガラスの皿はパリンと派手な音を立てて床に破片が飛び散った。

「おわっ!あぶねーな。驚かされるのは構わないけど、ケガするのは困んじゃんねぇ」
「いい加減にするでござる!ヤシチ!」


「ふふん、ネズミめ。怖がっておるな。ザマミロ!そういえばどういう仕掛けなのだ?」
「単純だよ。部下に手伝わさせているの。ほら」

オリョンに促された何かがヤシチの耳元に息を吹き掛ける。
振り向くと人間の幽霊がいた。その描写規制をかけるほどの外見に(少しだけ詳しく書くと事故にあって身体がぐちゃぐちゃ…)ヤシチは我を忘れて悲鳴を上げた。

「ぎゃ〜〜〜っ!」

腰が抜けたらしい。足を滑らせネズアクの元へまっ逆さま。

「お、お助け〜…」
「憑かれた?」

ヤシチは今、この館で一番霊力のある自分の支配下にあるから、自分より強い霊じゃないと憑けないのに、とオリョンは首を傾ける。

「貴様は!」

ネズミは背中にアクミを庇うと警戒心を露にした。今にも武器を取り出しそうな勢いだった。

「なーーんだ。やっぱオリョンが一枚噛んでたのか」

アクミは緊張感のない声を出す。ホラー感が消えて残念そう。物足りない様子。

「うん。よく分かったね」
「あたいにとって幽霊っつったらお前だし」
「どうやら手を組む相手を誤ったようでござるな。亡霊と呼吸があうわけ無かろう。仲間にやられるとは哀れでござる。仕掛けは幻覚か何かだろう」

ネズミは足下に転がるヤシチを見下ろした。怒りより安心感の方が強い。

「同じことを聞くのは血が近いから?ここは生命に飢えた幽霊が住み着く巣窟。僕の方が年数入っているから統率出来たんだ。幽霊は、悪霊は特に縦社会だから」
「つまり、ここの幽霊達に命じて冷房付けたみたいに涼しくしてたってことか」
「霊は負の存在。いればいるほど涼しくなる。マイナスイオン出てるよ」

出てるわけ無かろう。オリョンの背後には統率されている幽霊らが蠢いている。闇に紛れて生者の魂を掠め取る機会を窺っているのだ。

「だ、だいたいネズミが悪いのだ。口を開けば嫌味ばかり!拙者をバカにするのもいい加減にしろ」
「ヤシチが言わせているのでござろう。やることなすこと、くだらんことばかり!優秀な忍者の拙者を見習えば、ほんの少しは利口になれるかもしれんな」

二人の視線はバチバチとぶつかる火花に見えた。

「…生身があって羨ましいな。前のように無意識で取り憑いてしまいそう…」

亡霊は見た目よりも纏っているオーラが恐ろしいという。死んでなおこの世に留まり続けていると、それだけで罪となり、闇が一層色濃くなる。
オリョンは無意識に、普段はしまっている"どろどろとした怨念や未練が渦巻いているオーラ"をヤシチとネズミに見せた。

「ぎゃあああああ!!」

二人の絶叫が幽霊屋敷にこだました。本物の幽霊が引くくらいの音量と恐怖心だったという。

「情けないな〜。この程度で驚くなんて」
「いつだって驚かすつもりはないのに。…今日は喋り過ぎた」








季節モノ。幽霊と言うより怪談話ですかね。
そんなことより、やっと二十話ですよ!
本当は八月までに三十話くらい進めたかったのですが、そうするとほぼ毎日更新する計算になるので無理がありました。早く気が付こう。
文章が回りくどい、同じフレーズばかり使っている。


■ りょく (299回/2011/08/14(Sun) 19:40:38/No4066)

21アスレチックで遊びましょう


「はあぁ…お腹ペコペコなのぉ、ろるぅ。早く食べたいわろるぅ」

赤飯、コーンスープ、納豆(ひきわり)、春雨、エビフライ、まいたけのバター炒め、ふりかけ。
食卓には統一感の欠片もない、微妙なメニューが並ぶ。単品で見るとまあまあ美味しそうなのに。
しかし空腹に騒ぐトリコは手を付けていない。否、付けられなかった。
スウド家の朝食は、家族揃って取るのが家訓。破ると厳しい罰が下される。

「あたしは朝からあんたの"ぶりっこ"が見れてお腹一杯だけどね?気持ち悪いじゅ…」
「んもぅっ!ノドカおねーちゃんったらトリコちゃんにそんなこと言わないのぉ〜、失礼しちゃうろるぅ。プンプンろるぅ。…つーかプリンスはまだかよろるぅ」

食卓に居るのは、ノドカ、トリコ、オリョンの三人。カナエはなかなか起きてこない一家の大黒柱を呼びに、部屋へ行っている。

「ダメみたい」

戻ってきてそう言ったカナエの口の端には鉄屑が付いている。食欲旺盛な格闘娘は空き缶でも食べたのだろう。彼女は空腹だとなんでも食べる、異常に丈夫な胃の持ち主なのだった。

「背に腹は代えられない。…仕方ないもの。あの寝坊助さんを起こしてきてちょうだい、オリョン」

カナエはプリンスと付き合いの長い半目で幽霊の妖精に託した。認めたくないが彼女が最も信頼されている。
それに今は、ひもじくてどうかなりそうだった。空き缶を口にしている時点ですでにおかしいが。





オリョンはプリンスの部屋の前まで来ると躊躇なく霊力で鍵を開けた。

部屋には天蓋付きの豪華なベッドと寝返りが打てなさそうな小さな簡素なベッドがあり、目当ての気取った奴は小さい方に横になっていた。
頭からすっぽり布団を被っている。窒息しないのだろうか。
オリョンは布団を一気に剥がした。

「また以前の夢を…」

妖精は寝汗をびっしょりかいていた。ぱっちりした瞳に溜まった水が零れた。

「悪夢?」
「いや…、何の夢だったか…?ちとシャワー浴びてくるぜェ。三人には五分で支度すると言っといてくれ」

プリンスは不思議そうに首を傾げると部屋から飛びだしていった。





「ミルモ様、お待ちしていましたわ〜」

リルムはようやく現れた婚約者に駆け寄る。

「おう!待たせたな」

ミルモは片手をあげる。

「やい、ミルモ!集合時間に十分も遅刻するとは弛るんどる証拠なのだ。こんなルーズな奴に里の未来が掛かっているとはな」

ヤシチはライバル視している妖精界の第一王子を早速、小バカにした。

「ん?おめーら、揃って顔が青いじゃねーか。たまには仲良くなることもあんだな」

ミルモはヤシチとネズミを交互に見比べた。言葉の通り、二人の顔は青い。まるで幽霊にでも生気を吸い取られた後のように。

「気絶したヤシチとは一緒にするなでござる」

と言いつつ絶叫具合はヤシチを上回り、ヤシチが先に気絶していなければネズミも意識を失っていただろう。高いプライドのおかげ。

「お二人様…やはり具合が悪いのでは?」

ヤマネはヤシチとネズミの体調を気遣う。

「心配ねーよ。ただ怖がりなだけ。な!」

アクミはネズミの背中を叩くと笑い飛ばす。
ちなみに今日は二十話の次の日です。
二人はその日の夜、あまり眠れなかったそうな。

「ふわあぁ…」

あくびをするうさぎちゃん。涙が満ちて瞳が潤む。

「パピィも寝不足でしゅか?」

ムルモは尋ねる。

「ま、まぁね。別にムルモに会うのが楽ちみで眠れなかったわけじゃないから」
「むかっ!ボクもパピィに会うのは嬉しくなんかないでしゅよ」
「何でちゅってぇ!」
「まあまあ。全員揃ったことですし、そろそろ出発しましょうか」

リルムの言葉にムルパピもケンカを止め、全員頷いた。

猛暑の人間界に比べ、妖精界の穏やかな気候はいつになくピクニック日和なのだった。



広場には育ち盛りの子供達を魅了するアスレチックが設置してある。他には誰も居ない。貸し切りとはまさにこのことだ。

「おー、いっぱいあるじゃねーか!」
「拙者が一番なのだ!」
「お前らには絶対勝ってやるじゃん!」
「おにいたまには負けないでしゅ!」
「待ちなちゃいよ、ムルモっ!」

闘争心が高い五名はすぐさま遊具に飛び付いた。
残りの三名は荷物の番。木陰にシートを引いてくつろぐ。

「ミルモ様、頑張って下さいませ〜!お腹を減らしたミルモ様にわたくし手作りのお弁当を食べてもらうのが、楽しみで仕方ありませんわ」

リルムはミルモにエールを送ると、お弁当の場面をうっとりと思い浮べた。哀れミルモ。まるで蜘蛛の巣に捕らえられた蝶だ。決して逃げられない。

「ネズミさんとヤマネさんは、皆様とおられなくてよろしいんですの?」
「実は眠くてな。睡眠を取る」

ネズミは大きなあくびをすると開いた文庫本を目の上に置いて、ゴロンと横になった。

「わたしも眺めているだけで十分でございます」

そうは言うが本当はヤシチと行きたかった。でも出遅れて今さらいけないのがヤマネの本音。

ネズミは妹を後押ししようか迷っていた。
ヤシチは気に食わないが、気になる相手に置いてきぼりを食らった寂しい気持ちは同じだったのだ。本当に睡眠不足でもあったが。

「(しかしこれだけ人が集まりそうな場所なのに、妙にひと気が無いのが気になるでござるな。また心霊スポットだとか?いや考えすぎ考えすぎ…)」

ネズミは何でも幽霊に準える考えを打ち消すようにがばりと身を起こした。

「おわぁぁぁ!」

ミルモは急に大声を出したかと思うと、アスレチックから落下した。

「ふん、大げさな奴」
「おにいたま、情けないでしゅ〜」

ここぞとばかりにバカにするヤシチとムルモ。

「ちげーよ!後ろ!」

皆が振り返ると、ぎょろぎょろした大きな目と何でも切り裂けそうな爪と牙を持ったドラゴンがいた。大きさは約、ミルモ三人分。しかも三匹いる。

「きゃあっ!」
「何でこんなところに…!」

震えるパピィと驚くアクミ。

その時、妖精達をドラゴンの恐怖から守る救世主が現れた。

「こらー、あたし達からは逃げられないじゅ!」
「観念しなさいろるぅ!」
「きゅーー!!」
「おとなしくしないと無事に済まないわよ!言うこと聞かないと今夜の夕飯にするもの!」

女侍のノドカ、ドラゴン使いのトリコ&ドラゴンのローゼ、格闘家のカナエ。人呼んで、ドラゴンバスターズ(嘘)。無駄に優雅な薔薇の香りを漂わせ、颯爽と参上。

「スウド家…だよな?ノドカとトリコと…」
「団子の奴は誰なのだ?新キャラ?」
「初めましてでしゅ」
「眉太っ!びっくりするほど眉太っ!」
「あたち、動くぬいぐるみのオリョンたんに会ってみたかったのに…」

十話以降出番がなかったので、誰一人としてカナエのことを覚えていなかった。作者の人も名前を思い出すのに数秒掛かっている。

「ふざけるのもいい加減になさい!スウド家で唯一、全員と会ったことがあるのは私だけよ、ほら七話でリルムを伸したじゃない」
「お前だったっけ?んなことより、この状況はテメーらの仕業か?」

ミルモは尋ねる。黒魔法を盗みだしたスウド家は悪い奴。何よりトリコが同じドラゴンを従えているのだから。

「それはーじゅねぇ、話せば長くなるけど…わぁ!」

一匹のドラゴンが火を吹き、一面を焼き払った。幸いにも今回、ケガ人はいない。

「キシャアアア」

ドラゴンは襲い掛かる。

「ぎゃああああ!!」

スウド家を含むミルモら八名は森に逃げ込む途中、三組に別れてしまった。











今、片付けにハマっていて、ついにぬいぐるみが四体まで減りました。ぬいぐるみ愛が消え失せたので、オリョンのぬいぐるみ好きが書きにくいです。
サブタイは凝らなくても語呂が良いのが浮かべば。


■ りょく (301回/2011/08/14(Sun) 19:43:55/No4068)



22ドラゴンとお戯れ


リルム、ネズミ、ヤマネが異変に気が付き駆け寄ろうとしたところ、半目の妖精がふわふわと横切った。

「あなたはオリョンさん!」

リルムは驚いて足を止めた。

「ドラゴンは火山下降や洞窟の奥深くにしか生息していないはず。この場所に出没した事情を知っておられますね」

ヤマネは丁寧だったが強い口調で言った。冷静に見せ掛けて逆らったら倒されそうな攻撃的なオーラを醸し出している。

「さあ」

オリョンは首を傾げる。

「スウド家は捕獲しにきただけ」
「捕獲…でございますか?」
「もともと飼われていたドラゴンが逃げ出したり、飼いきれなくなって逃がされたドラゴンが野生化して暴れ回っている。困り果てた付近の住人は退治出来る妖精を募った」
「引き受けたのがお主らということか。ほぉ…ガイア族の封印解除の合間に賞金稼ぎとは、苦労しているのでござるな〜」

ネズミは言った。
彼の中でオリョンはヤシチに次いで二番目に嫌味な気分にさせる妖精だった。アクミが関係していることは本人が一番分かっている。

「ボランティアだって」
「悪党がボランティアだと?笑わせるな」
「その代わりドラゴンは罰を受けずに保護される。悪いのは飼い主の妖精だから」
「うふふ。お優しいのですね。ドラゴンさんに罪はありませんもの」
「さあ。他の生き物を支配下に置くのが無謀過ぎるんだよ」

オリョンは柔らかい笑みを浮かべるカールの彼女に淡々とした口調で言った。

「妖精をぬいぐるみにして連れ去る悪霊のお主が、口にしていいセリフではないでござるよ?
しかしこのような場合、観光客にも危機を知らせるのが常識でござる」
「あれ」

オリョンが指差した方向には人目を引く大きな看板が立っている。
そこには、〔※注意!ドラゴンが出没します!しかも狂暴盛り×三匹!!!!〕と、でかでかと注意書きしてあった。感嘆符に目がちかちかする。

「まあ!見落としていたなんて…」
「とにかくヤシチ兄様をお助けしなければ。オリョン殿は加勢しないのでございますか?」
「うん」
「では荷物の番をお任せしますわ」
「早くするでござる」

こうして三人もまた、森へ向かったのだった。



「おーーい…」

木陰で休んでいるのはスウド家の中心人物。
具合悪そうに口を押さえている。顔が青白い。

「俺様、寝不足で気分が悪いんだがなァ…、労ってくれよォ…」
「時を止めてあげる。同じになれば身体の悩みとはおさらばだよ」

分かりにくいので訳、自分と同じように幽霊になれば体調が悪くなることは無くなるから殺ってあげよう。

「ね、労いすぎだぜェ…!」

寝たら治ります。




空飛ぶ縦断に乗ってドラゴンから逃げ回るアクミとノドカ。
アクミは木と木の間をぶつからないように注意を配りつつ運転し(?)、ノドカは刀を振るって砂ぼこりでドラゴンの視界を遮り茂みに隠れた。

「何で攻撃しないのさ?ノドカの剣術なら一撃じゃん」

アクミは茂みの中でこそこそ尋ねた。
ドラゴンは鼻をひくつかせる。嗅覚に頼るタイプのようだ。じきに見付かるだろう。

「それがドラゴンを傷付けないように言われてて…。なんとか体力を減らして捕まえるしかないのじゅ」

ノドカは言った。
ドラゴンはこっちへ近づいてくる。

「傷付けないように体力を減らす方法なんてあるのか?わっ!」

アクミは間一髪避ける。
ドラゴンは炎を吐いたのだ。一瞬で灰と化した木の葉が

「あるじゅ。それっ!」

ノドカは炎を斬り消した。

「動き回らせるんだよ」
「えーっ、手間の掛かることを…。その前にこっちの体力が尽きちまうじゃん」
「そこは持ち前の気力でカバーね。それよりネズミくんも来てるってホント?」
「ああ、一緒に遊んで無かったけどネズミもいるよ」
「わーい、早く片付けて会いに行かなくっちゃ〜!頑張るじゅっ!」

ノドカは元気よく言うとドラゴンに向き直った。

「恋してるんだな〜」

アクミは、この場に似合わないはつらつなセリフがとても可愛く思えた。自分が好きだった悪の化身はもういない…。

「えっ、なぁに?聞こえなかった」
「とっとと済ませてネズミに会わないとな!」
「ありがとう!」

ノドカは刀を握る手に渾身の力を込めドラゴンを威圧する。
恋する乙女から闘志を燃やす女侍に変貌していた。




魔法や忍術で撹乱させドラゴンの攻撃を回避していく、ミルモ、ヤシチ、トリコ。
この場所の大木は光が差し込む隙がなく生い茂り、真昼なのに暗夜のようだった。

ドラゴンは大きな翼で羽ばたき、突風を引き起こす。
巻きあがった砂埃がミルモの目に入る。目は痛みで涙を出した。

「ちくしょー、やりやがったな!ミルモで…」
「攻撃すんなろるぅ!」
「んなこと出来るか!」
「でも…でも…、自分が傷つけられたら痛いでしょ?ろるぅ。それと同じなのよろるぅ。ドラゴンは可哀相な生き物なんだからろるぅ…」

悲しげな瞳を伏せて懇願するトリコは、さっきのセリフと同一人物とは思えないくらい可憐に見えた。

「うーむ…、そういうことなら仕方ないのだ」

ヤシチは今にも泣きだしそうな女装少年に優しげな言葉を掛けた。
「お前、オトメといえポンタといえ惚れた相手が男ばっかだなぁ…」
「惚れとらんわっ!トリコの健気さが心に響いただけなのだ」

それがミルモの言ったことですよ。

「多数決ならしゃーねー。攻撃しない魔法はいくらでもあるしな。ミルモでポン!」

ミルモは魔法で出した網でドラゴンを捕えた。
しかし獰猛な猛禽類(翼が生えてるからって鳥じゃないけど)は鋭い爪で網を簡単に引き裂くと、空気を震わせ第二弾を放つ。

「この種族は魔法が効かないほど狂暴だもんろるぅ。そんでドラゴンはこれでしか捕獲出来ないろるぅ」

トリコが懐から取り出したのは手のひらサイズの紅白色の球体だった。

「ちなみに体力を最大値の五分の一以下に減らさないとゲット出来ない仕様になってるから、ろるぅ」
「レベルたけーな!伝説級かよ」
「拙者らのレベルが低いだけだったりしてな…」
「細かいことは良いから、今はドラゴン捕獲に集中しようぜ!ろるぅ」
「きゅーー」

同じドラゴンのローゼは、いつになくやる気満々だった。仲間を救いたい気持ちが強いのだろう。

「よーし、お前ら!全力でいくぜ」

ミルモの掛け声に二人と一匹は配置に着いた。









ミルモでポンが好きです。何でこんなに好きなのか分からない。
最近、マンガやアニメ関連の物や本やら色手放して趣味が変わりつつあるので、ミルモももしかして…とか思っていましたが全然。
ここまで来ると永遠に冷めないんじゃないかって思います。未来永劫何よりも好き。冷めるとしたら地球上で私が最後がいい。


■ りょく (302回/2011/08/14(Sun) 19:45:22/No4069)


23見せ場ない、恋愛度ない


カナエ、ムルモ、パピィはドラゴンを振り切って洞窟に身を潜めていた。

「カナエしゃ〜ん、パピィがいじめるでしゅ〜」

ムルモは涙を浮かべてカナエに泣き付いた。もちろん演技。女の子に可愛がられたい。

「何よ、かわいこぶっちゃって!全然可愛くないでちゅ」

パピィは突っ掛かる。

「(私は一人で平気だけど、この子達を守りながらドラゴンを無傷で捕獲するのは危険だわ。でも遣り遂げたい。だって見せ場がほしいんだもの!)」

カナエは顎に手を当てて考えを巡らせる。

「(そしてオリョンを凌げれば出番が増えるに違いないもの。望みは叶えのカナエ、頑張るのよ)」

十話でミニハットの妖精にミルモらを倒せと言われた時、もっともらしい理由を付けて即座に断ったのは誰だっけ?しかも代理まで指定して。

「ケンカはお止めなさい。いがみ合っても楽しくないでしょう。それに騒ぎ立てるとドラゴンに居場所を突き止められてしまいますよ。これは時間の問題だけれど」
「ほえぇ…見つかってしまうんでしゅか!怖いでしゅ〜…」
「私は怖くないわ。可愛い可愛い」

カナエはムルモの頭を優しく撫でる。

「ちょっとムルモ!」

あたちを守るって言ったじゃないのよ!とは言いにくくて、セリフが続かないパピィは金魚のように口をパクパクさせた。

「男としての魅力は全く感じないけれどね」
「ノドカしゃんも、オリョンしゃんも、スウド家の女性は辛口でしゅ…」
「男にはもう飽きてしまったもの。私より腕っぷしの強い殿方はどこにも居ないわ。そう確信した日からプリンス一筋よ。運命だと思わない?とはいえ愛しの君はショタの気があるご様子。もっと親しくなりたいわぁ。あなた達のように」

カナエに言われて、ムルモとパピィは顔を見合わせた。本当は一番の仲良し。
大きな羽音がする。ドラゴンがやってきたのだ。この洞窟は一方通行の行き止まり。つまり逃げ場が無い。しかも攻撃しないというのはリスクが高すぎる。

「ドラゴンしゃんが来たらボクがパピィを守るでしゅ。カナエしゃんは捕獲に集中してくだしゃい」
「とても勇敢な紳士です。実はいろんな場所に香水を振り掛けて置いたの。香りに惑わされて体力を奪うために。運が良ければ疲れ切ったドラゴンが顔を出すはずよ」

その時、カナエのセリフを妨げるように鋭い牙が揃った大きな口を開けたドラゴンが顔を出した。
疲れているようだったが、まだ動き回る体力は残っていた。

「惜しかったな。あと一歩ってところかしら…」
「キシャアアア!」

ドラゴンは口から冷気を放射した。たちまち足元が凍り付き、カナエは足を滑らせた。

「きあっ!」

おおよそ可愛くない悲鳴を上げ壁に激突。とにかく目立ちたい思いが空回りしたようで、眠るように気絶したカナエの手に握られていた紅白の球体がころころ転がった。

「カナエしゃん!?…パ、パピィは下がっていてくだしゃい。やっぱり攻撃魔法を使う必要があるかもしれましぇん…」
「待って!防御はムルモの役目なら、攻めはあたちに任せて」

パピィでポン、と鈴を鳴らすとピンクの艶やかな毛並みを持ったうさぎの精が現れた。魔法の使用者に似て気が強そうだ。

「やっちゃいなちゃい!」

うさぎの精は華麗なステップでドラゴンの周囲を跳ね回った。ドラゴンが右を向いたら左、左を向いたら今度は後ろと軽やかな足取りで挑発していく。
ドラゴンはうさぎを捕まえようと躍起になっていたが、やがて動体視力の限界に到達して目を回してへたり込んだ。

「やったわ!今よ、ムルモ」
「あいでしゅ!それぇっ」

ムルモは紅白の球体をドラゴンに投げつける。ボールから出た赤い光は巨体を包み込むと中へ吸い込んだ。
しばらく揺れていたボールだったが、やがて光は収まり完全に動きが止まった。

「ドラゴンゲットだぜ、でしゅ!」
「ふぅ…寿命が縮んだわ。だから別の家族に会いたかったのに。この人、あれだけ大きく出たくせに頼りなかったわねぇ。鍛えてるくせに一人相撲で気を失うなんて、イマイチでちゅ」
「望みの出番は増えたけど肝心の見せ場がなかったでしゅね。女の子には紳士なボクでしゅが、おもいっきり『ヘタレ』という言葉が頭に浮かんだでしゅ」

気絶した格闘娘に言いたい放題言うと、ムルパピはその場を後にした。





「ミルモ様!ご無事ですか?」
「ヤシチ兄様!助太刀に参りました」

目当ての彼を見つけたリルムとヤマネ。
バトルの真っ最中だと思っていたが狂暴なドラゴンの姿はどこにもない。
するとミルモはにかっと歯を見せてピースサインをした。

「俺様の超かっこいいゲットの瞬間を見せたかったぜ」
「ふん!拙者の超超見事なサポートがなければ成功しなかったのだ」
「うるせー!ヤシチの手助けなんか要らなかったっつーの」
「たまたまメインを引き受けたからって威張るな!ゲットぐらいミルモじゃなくても普通に成功出来るわっ」

捕獲は無事に成功したのだ。会話の内容からミルモの方が活躍した様子が窺える。

「ミルモ様、良いじゃありませんか。戻ったら少し早いですがお昼にしませんこと?わたくしの愛情込めたお弁当で食欲を満たされると、イライラも治まりますわ」
「うげぇ…オレはまだ腹減ってねぇよ…」
「あの…わたしもお弁当を作りましたので、ヤシチ兄様に召し上がってほしいでございます」
「もちろん頂くのだ。楽しみにしてるぞ〜」

リルムの料理の腕はともかく、危険な出来事を通して親密度が上がって来たように感じる。この場面を見た誰の目にも二組のカップルに映るだろう。

「(良いなぁ…心配してくれる恋人がいて…。おれには…)」

トリコの頭に今、最も隣にいてほしい妖精が浮かんで消えた。

「おーい、トリコ。帰るぞ〜」
「ぐずぐずしとると置いてくのだ」
「きゅー、きゅー」
「はーい、今行くろるぅ」

おかっぱっつんの女装少年は自分の恋愛度がミルリル、ヤシヤマと差を感じるあまり、糸目の女侍を捜しに行く気力をすっかり無くしていた。











こんなに伸びるなんて思ってなかった。びよ〜ん。
思ったけど、
サキラはハンゾー、イオは同い年であるけどか細くて女顔の子が好きな人。
トリコは年上のノドカが好きで、カナエは好きなプリンスより年上だし、プリンスはショタ。
これ作者の人がショタってこと?
違う。設定が好きなだけ。身体的には劣る女が、男より年齢や立場が上というのがツボ…かも。
いつか新しい物語を書くときに新オリフェ設定がどうなっているか見物ですね!(って私一人がですが。


■ りょく (303回/2011/08/14(Sun) 19:46:35/No4070)


24青忍者と小悪魔、ガンマンと忘れられない上司の記憶


「(無事だといいが…。いや、アクミが簡単にやられるはずがない)」

ダアクの部下だった頃、ラットだったネズミはアクミと行動を共にしていた。その経験から身体能力が高く戦い慣れしている彼女がそう容易く倒されるわけないと思った。


「きゃーっ!ネズミくん!ネズミくんが助けに来てくれるなんて、感謝感激雨霰だよ!ほわあぁ、全てがかっこいい…!!大好き!鼓動が高鳴りすぎて逆に止まりそうじゅ!」

テンション高っ。
恋に恋する女侍はこんな時でもミーハー精神を自重していなかったが、ボロボロの姿を見るにかなり苦戦していることが窺えた。
ネズミを大歓迎したノドカの背に隠れるように座り込んでいるのは、苦痛に顔を歪めて額に汗をかくアクミ。

「遅いよ、ネズミ」

アクミは足を痛めてしまったらしく、絨毯の操作もままならないようだった。

「足が動かねぇ。本当ならびしっと決めてお前に自慢するはずだったのにカッコ悪いったら…」
「フフフのフー。出る幕が増えたことは喜ばしいこととして受け取っておくでござる。お主のような聞き分けのないじゃじゃ馬にケガを負わせたのは敵ながらあっぱれ。倒しがいがあるというものでござる」
「キザだね。背中にカラクリガンが見えるよ」

アクミは言った。
ネズミはもちろんカラクリガンなど背負っていない。振る舞いが当時を思わせたのだ。
ネズミはラットを演じたつもりはなかった。あの時は正体がばれぬよう口調まで使い分けていたが、同一人物なので言動が近くなるのは当たり前。アクミが思いを馳せたのは二人でチームを組んだことなのか、あるいはダアクか。
どちらにせよ、アクミの心からダアクの影は未だに薄まらない。

「…さて事情は悪霊から聞いている。狂暴なドラゴンを傷つけずにどう捕らえる?」
「疲れさせたところをこのボールでね。でもあのドラゴンは三匹の中でも特別強力で、体力を回復する技を得てるみたいなのじゅ。こっちの体力だけが減る一方で…。こんなに掛かるなんて思ってなかったよ。修行不足だったじゅ。ううううん…こんな時、オリョンが居てくれたらな…」

穏和に見えて非常にさっぱりしているのが魅力らしい(トリコ談)ノドカは、ケータイで連絡を取るという考えは頭に無かった。

「はん!あんなのに助けられても良い気はせん。要はその技を封じつつ体力を地道に削ればいいのでござろう。拙者がそれぐらいやり遂げてみせる。お主はアクミを守ってくれ」

ネズミは武器を構えると捕獲にだけ神経を集中させることにした。

その直後、大きな翼をバサバサはばたかせ噂の"奴"が舞い降りてきた。話の間に回復したのか擦り傷などケガが見当たらない。体力はほぼ全快しているのだろう。
ドラゴンは敵が攻撃してこないのが分かっていた。嘲笑うかのような表情で新たなターゲットを見下ろす。

「相手の弱点を見極めるのが戦いの基本でござる。次の相手は常にその考えが頭にあると覚えておけ。生半可な覚悟ではあの世に送り届けてしまうかもしれんからな」

ネズミが生意気だとよく言われる要因を、顔のパーツで占めている目に宿るは殺気。相棒を傷付ける者は許さない。

「ネズミくーん、あんまりいじめないでだよ!」
「大丈夫だよあいつは。誰より賢いし」
「だよねだよねー!って、結構詳しくないじゅ?付き合い長かったりする?」
「いや、一時だけ。ビジネスパートナーを組んでいたからずっと一緒に居たんだ。そん時はただの仕事付き合いだったけど、一緒にいる時間は何より濃かった。待ち合わせて集まって作戦を練って戦ってあと一歩のところでいつも勝てなくて…どうしてかな?二人で色々(悪事を)働いたこと、今でも鮮明に覚えてる。ダアク様の思い出より多いのかもしれない。何で…」

アクミは誰に言っているのか、問い掛けの言葉を口にする。
近頃、ダアクのこと考えると必ずと言って良いほど、ネズミが思い浮かぶ。
好きだから?それは妖精として気に入ってるのか、恋愛感情があるのか。
合理的な理由を真面目に推測して止めた。
頭の中で自由に考えるのは誰もが持つ特権だけれど、今は自分が足を引っ張っている自覚をせねば。

ネズミは煙玉で姿を眩まし別の場所に移動したり、攻撃を相殺したり、ドラゴンを運動させて順調に体力を減らしていく。
しかしドラゴンはしたり顔で瞬く間に回復した。ぴくりと両耳を動かし激しく咆哮する。振動で地面が揺れ鳥達が空へ避難する。
ドラゴンが耳を動かした時、ネズミは変だと思った。癖なのだろうか。それとも回復するのに不可欠な行為で、威嚇して誤魔化しているとしたら…。

「話を聞いたとき手間が掛かるとは思っていたが、実際は想像していた以上に厄介でござるな」

にやり。弱点を掴めたかもしれない。ネズミは目を細める。

「ネズミでポン!」

ネズミは魔法で飛び散った木の葉をかき集め、ドラゴンの耳を塞いだ。

「!」

ドラゴンは焦りの表情を浮かべる。

「いけー、ネズミー!」
「どんどんやっちゃえ〜じゅ!」
「フフフのフー!やはりな。これでお前は回復出来まい」

ネズミはさらに続けて魔法を使った。
ドラゴンは身体を震わせる。指先に微量の電気を流したのだ。静電気ぐらいは傷付けたに入らないだろう。
そしてさっきやった事を繰り返していくと次第に体力は衰え、羽ばたく力が尽きたドラゴンは大きな翼をだらんと垂れさせる。

「ふふ。ではおとなしくコイツに収まれ!」

ネズミが投げたボールにドラゴンは抵抗することなく入った。

「しっかしあの巨体が手のひらに収まるとは、珍奇な機械もあるもんでござるなぁ」

ネズミは紅白の球体を拾い上げる。
中ではぐったりとしたドラゴンが瞳を閉じている。

「く〜〜、いい戦いっぷりだったじゃん。また強くなったみたいだな、ラット…じゃなくて…」

アクミはただ言い間違えたわけではない。
それを察しネズミの顔色が変わった。

「まーたダアクの事を思い出しておるな。拙者はネズミでござるよ。褒められるのは嬉しいが、いい加減本名くらい覚えろ。それとももうボケが始まったのでござるか?」
「はいはい。悪かったって。嫌味がネズミ、キザがラット。ほら覚えたよ」
「まあいい。ケガの具合はどうでござるか?まだ痛むのなら拙者がおぶっていくでござるよ」
「ありがと。でもいいよ。ネズミの頑張ってる姿を見てたら痛みが引いたから。絨毯で戻ろう。二人とも乗りな」

アクミの絨毯に三人で乗ってからもネズアクのカップルのような会話は続いていた。
ノドカは疲労した頭でぼんやり、考えを整理していた。

「(ネズミくんって本当にかっこいい。今まで漠然と好きだとは思っていたけど、他のかっこいい人達がどうでも良くなるくらい好きだって思ったことは一度もなかった。よりによって好きな子がいる妖精に初恋するなんて…じゅ…ううううん…)」

ミーハーなノドカは様々な相手に目移りしやすく、外見に惚れるばかりで内面を深く知ることは無かったのだ。
アクミが好きなネズミ、ネズミの気持ちを知りつつ好きになったノドカ、ダアクに未練があるがネズミに対する気持ちが不明でノドカを応援したアクミ、この三角関け…アクミが好きで彼氏を名乗るミレンを入れると四角関係になりますね。ややこしい。





「お帰り」

ぬいぐるみに取り憑く悪霊妖精は、ミルモ達八人とスウド家二人の総勢十人を淡々と出迎えた。
ちなみに仕方なく介抱してあげたミニハットに白髪の妖精は木陰で爆睡中。

「あの…ノドカおねーちゃん、元気ないろるぅ…?」
「それはあんたもじゅ…」

トリコとノドカはドラゴン捕獲の前まで有り余っていた元気をなくしたようで、疲れ切った暗い表情をしていた。それはオリョンの半目に複雑な事情を抱えているように写った。

「何でぇ、辛気くせーな」
「ご一緒に昼食はいかがですか?わたくしお弁当を作ってきましたの。張り切って作りすぎてしまって」

見兼ねたリルムの発言(本人は気遣ったつもり)にスウド家以外の全員がぎょっとした。

「いいよ。ボランティアとはいえ勤めの途中だからじゅ。オリョン帰ろう」
「こ、これ渡すの忘れていたでしゅ」

ムルモから受け取ったボールをノドカは厳しい表情で見つめた。ムルモは何か不都合でもあったのかと首をかしげる。

「今日はありがとうじゅ。でもおかしいよね。あたし達、対立する者なのに仲良くしているなんて」

八人ははっとした。
そうなのだ。スウド達が揃って悪らしくないから麻痺していたけれど彼らは敵なのだ。封印されし暗黒魔法を盗みだした悪い敵。

「次に会った時は仲良く出来るか分かんない。覚えておいて」

三人は深刻なムードを残してその場を後にした。
仲間二人を忘れ去って。










当初は四組の恋愛事情が均一に書ければな、なんて思っていましたが、どうもネズアク色が濃いです。
しかも困ったことに無意識なんですが。
とりあえずネズミとアクミは控えます


■ りょく (304回/2011/08/14(Sun) 19:47:47/No4071)

25彼女と過ごすさなかにこそ、内なる想いに気が付きました


「ヤシチ兄様…!」

黄色いくの一は近づいてくる従兄妹で師匠の赤忍者に満面の笑みを向けた。

「お〜、待ったか?ヤマネは時間に几帳面なのだ」
「うふふっ。今日はどのような書物を買われるのでございますか?」

ヤシチの隣を歩き始めたヤマネは尋ねた。
ヤシチはマンガを買いに行くだけだが、ヤマネからすると二人きりの修行でもないお出かけは、デートとも言える壮大なイベントなのだ。

季節の概念が無い気候が穏やかな妖精界は、外にいるだけでも汗を掻きまくる真夏の人間界と比べて出歩くのに何の不自由もない。
里はやっぱり良いなぁ…なんてヤシチが気楽な気分でいると、いつでも最も出くわしたくない妖精の姿が目に飛び込んできた。

レースをふんだんにあしらったピンク色のワンピースを着こなし、ウェーブの掛かった金髪を腰まで伸ばした姿は可愛らしくとてもたおやかだった。
ぎょっとしたのも束の間、つぶらな瞳に赤忍者を捉えた瞬間、悲鳴にも似た乙女の歓声を上げヤシチに正面から抱きついた。

「ヤッく〜ん!」
「ぎゃあああ、止めろオトメ〜!いいいい、痛い〜!」

男が口元に生やすじょりじょりしたものに頬擦りされ、鳥肌が立ちながら身を捩るヤシチ。

「あら、嫌なおヒゲさん」

平然とそう言いながらヒゲを剃るオトメの姿は、格好と釣り合わなくて不気味に見えた。

男でありながら女の格好をした彼女の登場と、大胆かつ積極的なアタックに呆気に取られたヤマネ目を丸くするばかり。

「ヤマネ、行くぞ!」

不意に腕を掴まれたヤマネは、ヤシチに引きずられるようにして走りだした。




「はぁ…、出だしから散々な目に合ったわ…」

追ってくる男の娘を何とか撒き、溜め息を吐いたヤシチは雑誌を手に取る。
逃げ込んだ本屋はちょうど目的地だった。

さっきは積極的なオトメに驚いたけれど、ヤシチが嫌がっているのなら取られるような心配はない。
気を持ちなおし話を変えようとしたヤマネは、ヤシチが見ているページを見てしまい思わず口を接ぐんだ。
そこには流行の衣装に身を包んだ都会の女の子が写っている。雑誌に載るぐらいだから髪型も化粧もお洒落で可愛く、何より自分より年上だったのだ。

「やっぱ女は清楚でおしとやかで控え目なのが良いのだ〜。あとはスケベでも許してくれたら最高なのだがな」
「ヤマネはヤシチ兄様の好みとはかけ離れているのでございます…」

呟いた声は小さく聞き取れなかったが、憂いの表情を浮かべたヤマネをヤシチは疑問に思った。同時にあの時の出来事が頭に浮かんだ。

『ヤマネは…ヤシチ兄様の忍術修行に励むお姿、掃除に打ち込むお姿、ミルモ殿を倒そうと努力なさるお姿、かりんとうを頬張るお姿、私達弟子に厳しくも優しくご指導なさるお姿、…全部全部、大好きですっ!』

十一話でヤマネが言っていた言葉。
ヤシチは暫しの間、真っ赤になって照れたけれど、自分の気持ちがはっきりしていないことに気が付いた。

過去の過ち(笑)で経験した燃え上がる恋とは違った感情、妹のように思ってきた家族愛のような節はあるが、突き詰めると己がヤマネに抱いているのは恋愛感情だと思う。
しかし、分かったところで自分から行動しなければ進展するわけでもない。ヤマネは今後も色々して来だろうが。

好みのひとと好きなひとが必ずしも一致するわけではない。自分の発言がヤマネを落ち込ませたことにヤシチは気が付かなかった。





後日、ヤマネはパートナーの自宅のバカでかい広さを誇る庭の隅で忍術修行をしていた。
『やっぱ女は清楚でおしとやかで控え目なのが良いのだ〜。あとはスケベでも許してくれたら最高なのだがな』
時折ヤシチの言葉が浮かぶが、修行に集中することで頭の隅に追いやった。

噴き出す汗をタオルで拭い、水分補給をしていると、離れた場所に妖精が二人見えた。
水色の髪を伸ばした女侍とトリコロール柄のワンピースを着た女装少年だった。人懐っこい顔付きのドラゴンの背に乗って宙を移動している。
スウド家で一番のお偉いさんの命令でこのあっっつい中、八人を倒しに来たのだ。

「はあぁ〜、人間界は日に日に暑さが増していくわろるぅ。トリコちゃん、疲れちゃったぁ」
「あんたのぶりっこ口調も負けないくらい暑苦しいけどね?」

二人は冷却シートを額と頬っぺたに貼りヤマネよりかは若干涼しそうではあったが、この真昼の猛暑だと暑苦しいのに大差はない。

「ネズミくんの妹…」

先にヤマネに気付いたのは「もう馴れ合いは出来ない」と、完全なる敵対宣言した女侍だった。
好きな相手の妹ということと忍者への一方的な憎しみがノドカの中で交差したが、ローゼの手前に座っていたトリコは彼女の困惑に気付かず手を振った。

「ね〜え〜。超あっっついから、トリコちゃん達を家で涼ませてちょうだいろるぅ〜」

トリコの媚びるような笑みは図々しいことこの上なかった。


「はーっ!マジ生き返ったぜろるぅ!」

つまり死んでたんかい。
トリコはヤマネから受け取った冷たい麦茶の入ったグラスを一気に傾けると、お盆の上に叩きつけるように置いた。
対してノドカは長い髪を巻き込まないように気を付けながら、両手で上品にグラスを包み込むように持ち、ゆっくりと飲み干した。
それぞれの動作からしつけや内なる性格が滲み出ていた。

ヤマネが二人を見比べると、ノドカは考え込むように睫毛を伏せ、口を開いた。

「分かってるじゅ。お礼を要求するつもりだね」
「いえ、そんな…」
「ううううん…忍者は嫌いだけどネズミくんの妹だし、今日はあんたの恋愛相談にとことん付き合ってあげるじゅ」

ノドカは「そんなことはない」と言い掛けたヤマネを見やると、仕方ないと嘆息を漏らした。
恋愛相談には興味あるけれど、妖精忍者はネズミを除いて嫌いになったからだった。








オトメさん、出落ちになってしまった。
ヤシヤマの需要が少ないのはミルヤシが流行ってるからかな。
夏は板チョコが溶けるので食べにくいです。なので、コアラのマーチとかチョコシューとか皮が溶けないやつに包まれているチョコを同じチョコ好きとしてミルモに進めたい。


■ りょく (305回/2011/08/14(Sun) 19:49:49/No4072)


26妖精誰しも見た目で九割決まる


「やっぱりぃ、妖精誰しも見た目で九割決まるろるぅ」

そう言い切った、前髪を真っ直ぐに切り揃えたワンピース姿の少年は、少女と見紛うほど服装が身体と馴染んでいた。

「あんたの言えたことじゃないけどね?」
「例を挙げると亡霊のオリョンなんか、半目が気だるそうでいかにも怪しいでしょろるぅ」
「あたしは好きだよじゅ。謎めいた言動もミステリアスで良いじゃない」

物好きのノドカの感性はズレている。
オリョンは幽霊くさいだけだ。

「繰り返すようだけど、あんたの言えたことじゃないけどね?女装は気持ち悪いって何度も言ってるのに…」
「んもーうノドカおねーちゃんの意地悪ろるぅ。今、女装男子とか流行ってるのにろるぅ。じゃあヤマネは男装してみればろるぅ?」
「男装…でございますか?」

驚いたように瞬きをしたヤマネはトリコとノドカを見つめる。流行ってると言うのは確かだが、それは一部でしかない。

「宝塚だって昔から人気よろるぅ」
「分かりました!男装をしてみるでございます」

ひとの言うことを鵜呑みにする世間に疎いヤマネは、トリコの言うことを真に受けてヤシチの心を射止めるためにおかしな決意をしてしまった。
止めそこなったノドカは「ううううん…」と苦笑を浮かべるしかなかった。



ヤシチは安純の部屋を掃除していた。
ごしごし床を研きつつ、子分の誰かが手伝いに尋ねてくる事を祈りながら。

「ヤシチ兄様…」

この声は誰だかすぐに分かる。
拙者は運が良い、日頃の行いが良いおかげなのだ…なぁんて思いながら振り向いたヤシチはそこにいたヤマネの格好に驚愕し、目を見開いた。
そこにいたのは紛れもなく己の弟子。しかし格好がいつもと違う。
頭には小さな赤いツノを生やし、指にはドクロのシルバーリング、ペンダントは蜘蛛の形で、ショートカットのウィッグは外ハネ、そしてぶかぶかのTシャツは黒地に真っ赤な薔薇が描かれている。
何がそんな奇抜なルックスを着ようとヤマネを駆り立てたのかがさっぱり理解できず、呆然としたヤシチは雑巾を落とした。

「いや、まあ…唐突にイメチェンとはな…」

ヤシチのいまいちな反応に失敗を悟るとヤマネは素早くノドカとトリコの元へ戻った。

「(兄様のご趣味ではなかったのですね…)」
「なっ、何だったのだ…」




「宝塚のターゲットは主に女だし、しかもパンク系って男受け微妙だし、男のヤシチに手応えなくて当たり前なのじゅ!」

ノドカは落ち込むヤマネにおかしなアドバイスをしたトリコに強めの口調で言った。
しかし女装少年は反省する気はないようで、新たな衣裳替えを提案した。

「あら〜残念、そしたらロリータ系ろるぅ。トリコちゃんの着てるようなワンピースだったら男女問わず大人気だわ、ろるぅ。ヤマネも可愛いと思うでしょろるぅ。レースは少ないけどろるぅ」

そうなのだ。
確かに一度はヤシチの目にかなったオトメもフリフリヒラヒラの衣裳だったことを考えると、同い年の妖精より聡明なヤマネでもトリコの意見に頷かざるを得なかった。

「あ、あたしはどうかと思うよ。だって変わりすぎなのじゅ。男女問わず大人気って一部にでしょうが!それに…」
「トリコ殿の仰られた衣裳を着てみるでございます!」




「ヤシチ兄様」
「ひいっ…!」

先ほど劇的ビフォーアフターを遂げていた子分の訪問に、びくりと肩を震わせたヤシチは恐る恐る振り返る。
淡い笑みを浮かべるヤマネはこれまたイメチェンしていたが、レースとかリボンとかフリフリのフワフワとか身に纏う衣裳は可愛らしく、ヤシチは思わず見惚れてしまった。この服装は万人受けするスタイルではないが、ヤシチはそれを好む部類に入っていたのだった。
しかし緊張した面持ちで、ヤシチの言葉を待っていたヤマネにこう言った。

「派手に着飾るのは忍者として感心せんな」

ヤシチはノドカが言い掛けたセリフをずばり口にする。忍者は動きやすい服装が基本。装飾が多いと戦いの邪魔になる。
普段は忍者として要らない知識を植え付ける事が多くても、基本の基本ぐらいはきちんと教えなくては兄であるネズミにも申し訳が立たないと考えていた。

「も、申し訳ありません…」

否定されるとは思っていなかったヤマネは唇を震わせしゅんと俯いた。

「分かれば良いのだが…。それで、なぜいきなり着飾ったりしているのだ?」
「それは…」
「怒らんから遠慮せずに言ってみろ」

ヤシチが優しく諭すように尋ねるとヤマネはおずおずと話始めた。

「あの…兄様がわたしをどう思ってらっしゃるかお尋ねすると、兄様は『何よりも感謝している』と仰ったではありませぬか」
「ああ、言ったぞ」
「それがこの間(二十一〜二十四話)の事なのですが、リルム殿とミルモ殿は婚約者、パピィ殿とムルモ殿は恋人寸前、ネズミ兄様とアクミ殿も大変仲がよろしゅうございました。ですがヤマネとヤシチ兄様は…」
「拙者の感謝が感じられないと言うのだな。ふむ、ではどのように致せばヤマネの気が済むと?」
「はい。ここは恋人の証を…」

ヤマネは目を閉じて何かを待っているようだ。
俗にいうキスのおねだり。

「(こ、これは…)」
「…………」
「えーい、仕方ない…」

ヤシチは観念して大きな嘆息を漏らすとヤマネに顔を近付ける。
二人のシルエットが重なる時、ヤシチは誰かが退却する気配を感じた。








タイトル、んなバカな話あるか。


■ りょく (306回/2011/08/14(Sun) 19:50:59/No4073)


27ミルモとシヤン


妖精界のデパートにやってきたリルムとミルモ。
リルムがデートに(しつこく)誘ったのだが、女は大抵買い物が長い。
レディースものの服売場でミルモは暇を持て余していた。

「はぁ〜、かったりーなー。家でごろごろしときたかったぜ」

衣裳選びに夢中になっているリルムを置き去りにしてその場を離れたミルモ。お手洗い近くにあるベンチに座りに行こうと歩いていた時だった。

「きゃっ」

甲高い悲鳴と共に誰かがミルモにぶつかって尻餅を着いた。

「ってーなー。気を付けろよ…ん?」

その妖精にミルモは目を見張る。
両サイドに結わえた犬のような髪型とぱっちりした瞳が印象的で、従順そうな女の子妖精がいたからだ。

「大丈夫ですか?お嬢さん」

突然キザな態度になるミルモ。
可愛い女の子には目が無い男。

「平気ですわ、ミルモ」

彼女はミルモが差し伸べた手を掴み立ち上がると、「何日かぶりに外出したものですから街の雰囲気を忘れていたのです」と付け加えた。

「オ、オレのこと知ってんのか!?」
「ええ。悪を退治したという勇敢な王子の噂はかねがね」
「へへっ!このオレ様にかかればちょろいもんだぜ」
「まぁ頼もしいですわ。それでこそ未来の国王というもの。そのあなたを見込んで相談したいことがあるのです」
「ど、どんと来いだぜ!」

未来の国王は可愛らしい女の子から頼まれると婚約者の存在など、頭から吹っ飛んでしまうのだった。



彼女はシヤンと名乗った。
レストラン街でカレー屋(亞橋)に入り、向かい合って席に着く。

「彼はまばゆい彼女ばかりを追っていて、地味なわたしの事など眼中に無いのです」
「(ちっ、相談って男の事かよ)」

舌打ちするミルモだって彼女持ちどころか婚約者持ちのくせに。世の非モテ国民にケンカを売っているとしか思えない。恥を知れ恥を!

「何ということでしょう…」

シヤンは思い詰めた儚げな表情で、ラッシー(飲むヨーグルト)をストローで吸う。

「シヤンに好かれて嫌な男なんて居ねーって。居たら見てみてーぜ。深く考えずにさっさと告っちまえ」
「そうなのですか?殿方の心はどうにも理解できない事が多くて。彼はとても見目麗しい御方なのです」

シヤンは胸元に光るペンダントを外すと大切そうに中を開いた。
それはロケットになっており、入っていた写真には、トリコロールのワンピースを着た妖精が写っていた。一見女子に見える服装と顔立ちだが、彼が紛れもなく男だということをミルモは知っていた。

「(げぇっ、よりによってトリコかよ〜…。また曲者を…)」
「あら、わざわざ写真を見せなくても名前をお伝えすれば良かったですわ。これまで何度か会われてますものね」
「オレらのこと聞いてんのか?」
「トリコよりノドカが言っています。無条件に美形で無くてはならない王子に、顔、身なりや言動も含めて、すべてミルモは相応しくないそうです」
「勝手な理想作るんじゃねーっての」

悪態をついたミルモにシヤンは微笑んだ。

「優しくて頼りがいがあり皆の中心的存在であるミルモはわたしの理想通りでした。私はあなたみたいになりたいと、家ではいつも真似をしています」
「オ、オレなんか真似してもつまんねーよ…」

ミルモはボソボソ呟くと視線を下に向けた。
リルムとは違ったタイプの女の子に褒められると、妖精界の第一王子はいつにも増して照れるのだった。





「ミルモ様ってばぁ、どこに行かれたのかしら…?」

一方、買い物を済ませたリルムは居なくなったミルモを捜してデパート中を歩き回っていた。
レストラン街にたどり着き一軒一軒覗いていると、リルムはカレー屋のガラス越しに女の子妖精と向かい合って座るミルモを見てしまった。

照れているのか紅潮して右手で頭を掻いている。

「(ミルモ様…?)」

リルムの場所には二人の会話は届かない。
ミルモはムルモみたく女の子から人気があるわけではないから、《ナンパしてorされてお茶している》なんて線は無いに等しいことは分かっている。
だけど、婚約者が別の娘にでれでれしているのが悲しくてたまらなかった。











思ったけどムルモはモテるし女の子と遊ぶことが多いから、浮気するつもりはなくても女の子と一対二〜三人で会うことは普通にありそうです。
パピィは嫉妬するけど、ムルモは自覚なし。

ミルモとか口が悪いキャラのセリフはスラスラ書けます。作者の本性が出てるからでしょうね。
いつもより文字数少ない。


■ りょく (307回/2011/08/14(Sun) 19:52:01/No4074)

28ぬいぐるみは吸収性抜群


スウド家。
無駄に広い宮殿で、白髪の妖精は夜中に目を覚ました。
ずれたミニハットを付け直すこともせず、枕をお供に訪問したのはどんな時刻にも必ず目を覚ましていると言われる家族の部屋。
ノック音と涙声にドアが開かれ、中からうんざりした様子の半目の彼女が顔を出した。

「オリョン…俺は…」

プリンスは怯えきった様子で鬱陶しそうな表情をした彼女にしがみ付き涙を流し始めた。

「また以前の夢を?」

オリョンは冷淡な声色で囁いた。
この言葉はニュアンスは違うが二十一話でプリンスがが言ったセリフと全く同じ。
泣きじゃくる妖精はどうでも良い存在でしかなく、からかい半分だった。

「あんな生活もうたくさんだ!あいつは居ないのに!どうして夢に出てくるんだ!どうして…」
「夢は夢でしかない。過去は過去だよ。どうにか出来るのは現在。未来は結果」

そう言ったオリョンは喜怒哀楽がおとなしいはずなのに、とても悲しくなってしまった。

「(僕だったらもっと上手く生きるのに…)」

一瞬のことですぐに悟ってしまう。どうせ幽霊なのだから生き物にはかなわない。
それは得体の知れない幽霊を怖がる生き物には知られてはいけないことだった。そうすると幽霊生命が危うくなる。生きてませんが。

「…そーだなァ。お前の言う通りだぜ。泣きべそかくなんざ情けねえなァ。ぐすん…」

プリンスはぬいぐるみに取り憑く悪霊の言葉に重みを感じ、涙が引いていくと共に自分の身なりが気になった。
ずれたミニハットのカチューシャ部分を付け直し、髪を手櫛で整える。実はおしゃれには気を遣うタイプで、オリョンの衣裳もこいつが考えたのだった。
オリョンの服は塩水で濡れていた。ぬいぐるみだから吸収性抜群。

「すまねぇなァ。お礼に感謝のキスを〜。ん〜〜〜」

唇を近付けようとする奴の顔面をオリョンは無表情でうちわを使い軽く受け止めた。
うちわにはある妖精の顔がでかでかと印刷されている。

「恋愛の悩みかと思った」
「ん〜?お前さんにそういう発想があること事態、珍しいな。ヒヒッ、とうとう俺様に惚れちまったのかァ?可愛らしいぬいぐるみちゃんの愛ならば重んじて受け止めるぜェ」
「霊は時が止まっているから新しい恋愛感情は持ちにくい」
「しないっつーわけじゃねえんだろ。恋バナ超してー」

そう言いつつ、プリンスの目はオリョンの持つうちわに釘付けだった。
明らかに手作りのそれを何処でどうやって誰から入手したのか気になるところ。そして印刷されている彼は誰なのか。名前はミレンとはっきり書いてある。

「ぬいぐるみ、干そうかな。夏は洗濯物が乾きやすい季節だから」

オリョンはプリンスの疑惑の眼差しを怪訝に思いながら言った。

「それ人間界のことだろ?妖精界には四季はねえんだぜェ」
「明日干してくるんだ」











初期の頃を思わせる文章の短さ。
ミレン可愛い。ミレン大好き。この言葉を一日千回唱えるのです。そうすればあなたもミレンの虜になる。


■ りょく (308回/2011/08/14(Sun) 19:53:26/No4075)


29おかしな謎


スウド家会議。
プリンスの呼び出しに、食堂に集まった三人。

「出席率がよろしくないですこと。あの子が見当たらないもの。全く!緊急事態にどこに行っているのかしら。罰を与えなくっちゃ」

カナエはオリョンに対し、憎らしげに非難の言葉を口にすると深いため息をついた。
プリンスは何故かオリョンに多大な信頼を寄せている。結局は彼女がいないとスウド家は始動しないのだった。
こればっかりはカナエがどうすることも出来ない。

「それは俺様が手を回したのさ。ちとあいつの耳には入れられない話でなァ」

しかし当の白髪の妖精はプリンスは口の端を吊り上げニヤニヤと笑っている。

「じゃあ会議ってオリョンのことろるぅ?」
「まさか愛想を尽かして出ていったんじゃ…」

顔を見合わせたトリコとノドカを一瞥すると、玉座でふんぞり返っていたプリンスはトリコの前ににじり寄り響きのある声で怒鳴った。

「ねーーーよ!!!オリョンが居なくなったのを見計らってお前らを集めただけだぜ」
「あっそ!ろるぅ」

トリコはプリンスの威圧感に背筋がぞっとしているノドカを庇い、白い目で見やった。

「ちょっと、失礼なこと言っちゃダメだよじゅ。もし自分がそんな冷たい言い方をされたら悲しいでしょ」

ノドカはぶすっとしている女装少年を、刺激してますます暴言を吐かないように出来るだけ穏やかに宥めていると、すっと両目を細めた白髪の妖精は身を凍えさせるような冷笑を浮かべた。

「スウド家の大黒柱サマに、んな態度が良くとれるもんだぜェ。大好きなノドカおねーちゃんの帰りが遅くなった時、泣きべそかきながら必死に捜し回ったとは思えねーなァ。とんだ悪童だぜ」
「けっ。この根暗チキンが」

冷ややかな声にトリコは負けじと睨み返す。
すると生意気な態度を取るトリコを眺めていたカナエは変な正義感に燃えてしまったようだ。カナエはトリコを正面から見据えてこう言った。

「いけないわトリコ。口を慎みなさい。何故、知的で聡明で超素敵な彼女を慈しみ、労る心が無い?ひとの悪口を言うのは精神状態が安定してない証拠。きっとノドカっていうダサい田舎娘に引っ付いているせい。カナエお姉さんが更生させてあげましょう」

激しく矛盾しているカナエの(個人的な妄想混じりの)言葉にトリコは唖然として、喋る気力を削がれた。

「(うぜぇ…。この犬ヤローより遥かにうぜぇ…)」
「(カナエさん酷いじゅ…)」
「(こいつも結構…)」
「後でお姉さんがプリンスの魅力についてたっぷり語ってあげます。さ、気を取り直して話を進めて」

見当違いな発言をして一人で満足したカナエに促され、プリンスは本題に戻る。

「あいつに最近変わったこたァねえか?」
「オリョンはいつでも変わってるろるぅ」
「幽霊だから言動があたしらとは違うよねぇじゅ。ううううん…カナエさんは?」
「料理よ。あの子の作る料理はメニューに統一感がないの」
「ってそれ最初からじゃねぇか」

俺様は"最近"を聞いてんだぜ、とプリンスは突っ込みを入れたが、そのプリンスを慕っているわりには話を聞いていないカナエは言葉を続ける。

「いい加減どうにかしてほしいもの!やっぱり私が作ろうかしら」

溜め息混じりに呟く食欲旺盛な格闘娘の爆弾発言を被害者が聞き漏らすはずがない。

「カ、カナエさん…えーとえーとじゅじゅじゅじゅじゅ…、カナエさんは掃除とか洗濯とかゴミ出しとかしてくれてるから、あんまり家事ばかりしてると身体壊すよ。ねっ、トリコ?」
「そそそそ、そうろるぅ!料理くらいオリョンにやらせとけばいいろるぅ」
「カナエに似合ってんのは掃除とか洗濯とかゴミ出しとかだぜェ。これからも精を出してくれ」

そう、彼女の料理は美味しくもなく不味くもない微妙な味付けなのである。味覚音痴でお腹が空いていれば何でも(食べ物以外でも)食べられるブラックホールの胃袋の持ち主には自覚症状がない。

「ホント〜。プリンスが仰るなら料理以外の家事に専念しますか」

カナエの満足気な様子に一安心しながら、プリンスは玉座に座り直しながら話しだした。

「また脱線しちまったわ。昨日のことなんだがァ…」

昨晩のオリョンの出来事を、自分が悪夢に泣かされたことは伏せて喋った。

「へ〜、オリョンが男の子の顔が入った手作りのうちわを〜」
「それ本当ろるぅ?」
「もちろんだぜェ。このように証拠も入手してある」

プリンスが取り出したのは指紋が付かないように、ではなくもし汚したりして持ち出したのがバレぬようジップロックで密封された例のうちわ。
そこにはなよなよした妖精の顔が写っており、きらきら光る素材で囲ってある。まるでアイドルコンサートに行った時、会場で振りかざすアレみたいな。

「これ誰ろるぅ?」
「オリョンに同じ質問をしたら"ミレン"だとさ。ここに書いてあるっつーの!それ以上質問しようとしたら部屋を追い返されたぜ。つめてェこった」
「ア、アイドルじゅ…?」
「彼、そんな風貌じゃないもの。どう見ても」

一体何なんだ。疑問が四人の頭に浮かんだ。
彼は何者で、何故オリョンがこのようなうちわを所持していたのか?
謎は深まるばかり。

がさがさ。突然、ビニール袋が擦れる音がする。
赤い帽子を被り、ドット柄の上着を羽織った常時半目の妖精が気配なく帰ってきた。









ミレンは好きだけど、ミレンのアイドルうちわがあるとしたら、ちとキモい。
ミレンの魅力はあの弱っちい、眉が八の字になった笑顔。


■ りょく (309回/2011/08/14(Sun) 19:56:09/No4076)

30真夏の空に輝く冬の星座


白いビニール袋を両手に下げたオリョンは食堂を通って厨房へ移動する。四人を遮る時の半目は一体何を考えているのやら。

「お、お帰りィ!」
「早かったろるぅ!」
「台所は掃除しておいたもの!」
「今日のご飯何?タ、タノシミダナー!」
「料理のことを少し聞いたから、今日は皮物で統一することにした」

焦る四人を見やり、彼女は冷蔵庫に食材を詰めていく。

「だ、誰に?」

尋ねたプリンスの冷や汗をかいた表情をちっとも気にせずオリョンは答えた。

「ミレン」

最後にビニール袋を結ぶと食器棚に付いている下から二番目の引き出しに直し、オリョンは部屋に戻って行った。


「気配なく現われたから驚いたもの。幽霊気質…」
「ふえぇ…、オリョンの密かな気迫に圧されて"ミレン"のこと尋ねそびれたじゅ」
「おれが聞いてくるろるぅ」
「まあ待て。こんなこともあろうかとオリョンの部屋に隠しカメラを設置しておいたぜェ」
「さすがプリンスね。天才だわ」
「ヒヒッ。んなこた存じておりやす。よっし、電源オーーン!」

テレビ画面に映し出されたオリョンの部屋。
隠しカメラを設置した場所は高い天井まで届く棚の一番上。物と物の死角になっている。
並んでいるのは本ではなく、おびただしい数のぬいぐるみ。毎日掃除をしても瞬く間に埃っぽくなるだろう。

「どれどれろるぅ」
「バッチリ映ってんな」
「でも肝心のオリョンがいないよ。どこにいるのじゅ?」
「え…顔が…」
〔うちわってこう使うの?〕

なんと肝心の幽霊妖精がレンズを覗き込むように隠しカメラ越しに話し掛けてきた。
オリョンは部屋に入ってすぐカメラの存在に気が付き、カメラの死角になる場所に潜み顔を出したのだ。無意識に四人を驚かせたのは幽霊だからである。
手で扇いでいるのは問題のうちわ。

「げっ!何でそれ持ってんだよ…」

プリンスは周囲を見回すがさっきまであったはずのそれがない。どうやら同じ物のようだ。

「食堂に置いてあった」
「よくカメラに気付いたなろるぅ」
「カメラ?魂抜かれるかな」

もう抜けてるけどぬいぐるみに取り憑いているからね。

「幽霊は電化製品、特に電波を発する物と相性が良いんだ」

その幽霊の中でもオリョンは電化製品が苦手なタイプである。
オリョンは再び魂が抜けないようにカメラの電源を切った。そんな心配無用だけれど。

「…………」

砂嵐状態のテレビを前にして、仕掛けをあっさり破られた四人は無言になるしかなかった。

時刻はもうすぐ四時。六時半に夕食を取るスウド家では大漢食がいることもあってそろそろ、下ごしらえをやっておかないと。


春巻き、餃子、焼売が食卓に並ぶ。予告通りの皮料理だった。白米はある。統一とはそういう意味ではないだろう。無理やり中華にまとめることは出来るかもしれないけれど。

オリョンは夕食中でも変わった素振りを見せることはなかった。
食事が済むと食器を片付け洗い終えると部屋に引き上げる。

四人はまだ諦めてはいない。
彼女の後を追い部屋の前まで来ると、魔法で出した糸電話を壁に押し当てそっと様子を窺った。

〔えっ、本当ですかぁ!〕
「うん。丑三つ時に待ってる」

なにやら電話中。相手は例の人物なのだろうか。

「丑三つ時って何時ろるぅ」
「午前一時から三時の間だぜ。確かァ」
「そんな夜明けに何をしでかそうというのやら。不謹慎極まりないもの」
「悪用するために黒魔法を盗みだしたあたしらも十分不謹慎極まりないけど…」
「ヒヒッ。張り込み捜査開始だな」

絶対に謎を暴いてやる。四人は堅い意志と共に不敵な笑みを浮かべた。

そして午前三時。

四人の瞼があと一ミリで完全に閉じそうになった頃、がさがさ音がして、大きなビニール袋を持ったオリョンが部屋から出ていった。
何故か自分の姿を模したぬいぐるみに取り憑いていない。幽体姿でこの家から外に出ると力が弱まるのに。

「怪しいなァ…」
「怪しいじゅ〜」
「怪しいろるぅ」
「怪しいもの」

怪しみつつオリョンを追って着いた場所は人間界。
月は雲のかげに隠れ、明かりは街灯と星の光のみ。薄暗い夜明けのほんの少し前にオリョンは洗濯物を干していた。普段取り憑いている自分を模したぬいぐるみを。
そうして彼がやってくるとベンチに腰を下ろし、彼にも座るよう促した。

「知らなかったですよぉ。夏のオリオン座を見ると願いが叶うなんて」

赤毛の小悪魔妖精が言っていた"なまっちょろくてねちっこい"声は予想を上回る不快指数だったらしく立っているのもやっとな四人に、いい眠気覚ましになった。
そこも可愛いんですよ。

「確証はないから自分で祈って確認するしかない。六人で祈ったら一人分くらい叶ってるかも」

オリョンは星空を眺めつつ言った。
寝不足の四人は姿を隠す体力が残っていなかった。慌てるがすでに遅し。

「お友達ですかぁ?」
「家族だよ」

オリョンは頬っぺたの模様が全員一致しない妖精達を見渡してそう答えた。
空に浮かび上がるオリオン座。冬の星座であるが、夏の夜明け頃にも見ることが出来る。
ミレンは望遠鏡を覗いた。

「わぁー、見えますよぉ。アクミちゃんと両想い。アクミちゃんと両想い。かつての恋人関係を取り戻すのですよぉ〜」

ミレンは一人で騒ぎ、祈り終えた。
そして五人は順番に夜明け前の空を眺めた。

「(ネズミくんと両想い…いや、アクミが…)」
「(ノドカおねーちゃんとラブラブの仲良しだぜ!…それには邪魔者のネズミが消えてくれないとろるぅ。ぜってぇ消すろるぅ!!)」
「(プリンスがもっと私を見てくれたら…。いいえ、オリョンが居なければ望みは叶うはずだもの。いっそのこと成仏させてやろうかしら)」
「(まあ黒魔法の封印解除だろ。…やっぱ願わくば好きな方と…)」
「(もっと生きたい。生身が欲しい。でも無理だから、みんな同じようになればいいのに)」

切なる願いはオリオン座に届いたのだろうか。心の奥底にある真の望みは邪悪な考えばかり…。
洗濯物が風に吹かれてはためいていた。



スウド!(洗濯物が乾きやすい季節)、完結。






夏の夜明けって何時だろう。
毎朝五時に空を眺めています。暗いのですが、よく見るとうすーく青紫掛かっていますし。明け始め?
寝呆けていることもあって、どうもきちんと確認出来ないです。ちなみに福岡。
インターネットは上手く使いこなせない。

小説を書くのはすごく知識が必要だなぁ…。

続きは十月以降になります。
タイトルは
スウド!(行かないで、夏)


次はサキラ。


■ ぴこまる (47回/2011/08/14(Sun) 23:10:20/No4077)

りょくさんこんばんは!!ぴこまるです^^

完結おめでとうございます!!しかしりょくさんの更新ペースがすさまじいです……!!
こんなに楽しくてノリのいいお話がポンポン出てくる頭が欲しい……><

色んなCPが進展を見せていたり、それに絡んでくるスウド家の面々が色々と恋の悩みを抱えたりと
すごく読んでいて楽しいです。ヤシヤマの進展が一番びっくりしましたね!!ヤシチ思い切ったなぁ……!!
ミルヤシも好きですけど、ヤシヤマも結構好きなんですよ^^

10月以降の更新ではスウド家も敵役らしい行動をもっと見せてくるのでしょうか。
スウド家の皆さんはミルモたちとも結構普通に絡んでいたりして敵役ということをたまに忘れてしまうww
まぁ、そんなところがミルポンの敵キャラらしくてとてもいいです。個人的にはオリョンが好きですね。

10月以降の続きを楽しみにしていますね!ではでは^^


■ りょく (312回/2011/08/23(Tue) 12:34:59/No4106)

ぴこまるさん、こんにちはヾ(=^▽^=)ノ

感想ありがとうございますm(_ _*)m
頭ならいつでも差し上げますよ〜(ヤメテ

ヤシヤマは…書き手の方もかなり思い切りました。
ミルリル、ムルパピに比べて公式で片想い、加えて進展がない、さらにヤシチから行動していない、の三大事件が発生している(?)ので、どうしても一線を越させたかったんです。
ヤシチからっていうのはなかなか難しくて、結局ヤマネに強要させられている感じになりましたが(^-^;)
(私は実はヤシネズが好きだったり。マイナー過ぎて同志に出会えない)

スウド家はみんな子供だしミルモ達を倒す理由は曖昧なので、敵役らしく振る舞えるか分かりません。みんな学校をサボっているので暇潰しの遊び感覚。
スウド家はワルモ団より緩くわりと友好的がテーマです。
>個人的にはオリョンが好きですね。
オリョン「ほ?」
プリンス「相変わらず素っ気ないぜ。そゆ時はこーゆーんさぁ。愛し…」
(強制終了)

では★


■ こやまる (1134回/2011/09/20(Tue) 14:41:40/No4171)
http://www.murumoya.com/


りょくさん、皆さん、こんにちは☆

どの回も妖精たちがラブラブしていて、読んでいてホント楽しかったです。
連載もお疲れさまでした!

ムルモのことを語るパピィもかわいかったですが、ヤシヤマ好きとしてはやはりキスをねだるヤマネちゃんが見逃せません!
これだけ進展してしまうと次回以降少し話が書きにくくなるかも…という心配は、りょくさんなら無用な心配でしょうね。
10月以降の続編にて、さらなる進展を期待したいです。
でもなかなか振り向いてくれないヤシチも見てみたいです(^^)。

そしてヤマネのフリフリな衣装・・・。
かわいいモノ好きなヤシチが反応するのは当然として、ミルモ・ネズミの男性陣がどんな反応をするのかも思わず想像してしまいました。

最後の夜明け前の願い事のシーン。
誰一人として叶いそうもない気が…。
いや、カナエあたりが続編にて本気の行動に出たりして。
ちなみに私は太眉だけど女性っぽいカナエが一番好きです。
生き別れの妹の手がかりは果たして見つかるのだろーか?

それでは続編を楽しみにしております。
では!


■ りょく (334回/2011/09/29(Thu) 09:37:28/No4193)

こやまるさん、こんにちは!

>キスをねだるヤマネ
実はこやまるさんの物語を参考にさせていただきました。
アニメで、他のノマカプに比べあまりにもすくなかったので、反動でこんなことを。

>最後の夜明け前の願い事のシーン。
実はうっかり伏線を回収するのを忘れております。
オリョンは何故、ミレンのうちわを持っていたのか…。当然、大した理由はないです。

>いや、カナエあたりが続編にて本気の行動に出たりして。
>ちなみに私は太眉だけど女性っぽいカナエが一番好きです。
わぉ、こやまるさんはカナエ押しですね!(←コラ
ありがとうございます(^-^)
願いは一人くらい叶っても良いかもしれません。

では!




4052/ 白い雪、青い忍者、小悪魔と恋
□投稿者/ りょく -293回-(2011/08/08(Mon) 10:09:38)

皆さん、こんにちは。毎日暑いですね。今回はそんな季節と真逆の昔載せた文章を手直しして、完結していなかったので続きを書きました。

変更点
・改行
・誤字修正
・一部の記号を半角から全角に
・話数変更

今昔
意味不明な部分は今と変わってない。
当時は断然アク→ネズ派、現在はややネズ→アク派。
昔、文字量が少ない。今、くどい。

趣向は若干変わったけど人間は成長してないってことね。








『アクミ』

[新商品ホワイトキャラメル]

妖精界で有名なお菓子デパートで、真っ青な忍者服にイナズママークを付けた男の子が、新商品[ホワイトキャラメル]を手に取っていた。

「うぉりゃうぉりゃうぉりゃうぉりゃうぉりゃ〜〜」

この叫び声は赤い髪に黄色い服の女の子、アクミ。
この日は空飛ぶ絨毯に乗って爆走していた。

「アタイのキャラメル〜〜」

アクミはお菓子デパートに入ると、そのまま商品の山に激突する。

「っ…痛っってぇ…あっアタイのキャラメル!!」

辺りを見回すと青い服に黒髪の男の子が、アクミが目当てのキャラメルを持って立っている。

「ネズミ!!」
「フフフのフ〜、相変わらずのじゃじゃ馬っぷりでござるな〜。そんなに慌てて一体どうしたんだ?」

ネズミがやや呆れながら言った。

「キャラメル…」
「はっっ?」
「この新商品のキャラメルを買いに来たんだよ!!」

アクミはネズミの手からキャラメルを奪った。

「お前になんか関係ないじゃん!!」
「まぁ、そうだな」
「ちょっちょっと…」

アクミは出て行こうとしたネズミを引き止める。

「…さらばでござる」
「待ちな!!」

散らばった商品を片付けないで絨毯に飛び乗る。

「たまにはアタイの言うことぐらい聞けーー!!」



『喫茶店』

絨毯でネズミをさらったアクミは喫茶店の前に来た。

「なんなのでござるか〜?」
「いいから、今日一日ぐらいアタイに付き合え//////」

顔が赤くなったのが分かる。

「最初っから素直に申せばいいでござるのに」
「うるさいっっ//////」

アクミとネズミが仲良く(?)ケンカをしてたとき、別の場所では一人の女の子が泣いていた。

「くすん、くすん…まだかな」




「ん〜良い香りでござる」

アクミとネズミは喫茶店でお茶していた。

「お前忍者の癖に、なんでコーヒーばっか飲んでんだよ」
「美味しいから。忍者とか忍者ではないとか関係ないでござる」
「…そうだよな」

ネズミは黙ってコーヒーをすする。

「………」

アクミはネズミに当たり前のことを言われて、気まずくなったことを後悔する。

「んっっ、あれは…」

ネズミは窓の外を見た。

「何あれー?」
「綺麗…」
「初めて見た」

周りも次々に言葉を発する。

「「雪…」」

アクミは、二人の言葉が重なったことが恥ずかしくて、また真っ赤になる。

「何故妖精界に雪など!!人間界と違って、一年中気候は変わらぬのに!!」

ネズミは外に飛び出した。

雪はゆっくりと静かにネズミの上に落ちる。いつの間にか、足が埋もれるまで降り積もっていた。



『雪』

「おい、待てよ!!」

アクミも外に出た。ネズミは振り返った。

「何もおいて行くことないじゃん」
「お主がぼっーとしているから、出遅れたんでござるよ」
「なっ、何だとっー!!だいたいお前が…いってーっっ!!」

突然、空から硬いものが落ちてきて、アクミに直撃した。

「ううう…何すんだよ」

アクミは目に涙をためながら言う。

「これは…雹…」

それは透明で冷たくて硬い氷だった。

「来るぞ!」

また雹が降ってきた。ネズミはアクミの手を引き、喫茶店の中に入った。

「おわ!!?」
「しばらくここで非難するしかないでござるな。しかし、何故雪など?」
「さあな。何でか知らないけどアタイの頭を攻撃しやがって!許さねーからな!!」
「誰に言ってるんだか…。それにしても」

ネズミは辺りを見回す。

「どーしよー。ケータイ繋がらないよー」
「外に出たらケガするじゃないか」
「これじゃあ家に帰れない」

さっきまで雪を珍しがって褒めていた周りの客達も、色々困っている。



『青い紐』

「仕方ねぇ。ここはアタイ達がどうにかするしかねぇよ!!ネズミ、行くぞ!!」

アクミはネズミの手を引っ張って、入り口に行こうとした。

「嫌でござるよ」

ネズミはアクミの手を振りほどいた。

「じゃあどうするって言うんだよ!!」
「あれを見ろ」

ネズミがあれを指した。

「うわ〜ん、オレの自転車ぁ〜」

男の子は慌てて外に出て行った。そして、雹が命中。

「いで〜、いで〜、痛〜い!!」

頭を手で覆い暴れる。

「マンボの奴かっこ悪いな〜」
「かっこ悪いべ〜」
「かっこ悪いって言うなー!!それにしても痛い〜」

マンボは店の中に入る。
外では雹が霰に変わっていた。



『空飛ぶ絨毯』

「ああなりたいのなら一人でいけばいいでござる」
「そんな事言ったってこのままだと妖精界が…」
「誰かがどうにかするだろう。わざわざ拙者達がどうにかせぬとも」

そう言ってネズミはコーヒーをすすった。

「アタイ達がやらないと誰がやるんだよ!!ラットのときもやる気なさげだったじゃん。この人任せ!!おたんこにんじん」
「そうは言っても…。大丈夫なのでござるか?」
「大丈夫!!今雪だいぶ止んでんじゃん!!」

アクミはいきなり笑顔になる。

「弱まっているだけで止んでるわけでは……まさか暇つぶし…」

ネズミは明らかに不安だ、という表情をしている。

「さあ行くよ!!」

ネズミはアクミに連れられて、空飛ぶ絨毯に乗った。


■ りょく (294回/2011/08/08(Mon) 10:10:46/No4053)



『フフフのフ〜』

「いてっ」

アクミに氷の粒、あられが当たった。

「だいぶ塊(かたまり)が大きくなったでござるな。風も強くなってきたし」

そう言いながらネズミは絨毯の上で、自分がかぶっていたすげ傘(多分、旅ネズミがかぶっているもの)をそっとアクミにかぶせた。

「いっいいよ/////」
「フフフのフ〜、操縦士がケガしたらキチンと飛ばんでござるからな」
「ふん。素直じゃない奴/////」
「お主もな」

あられはひょうに変わり、雪に風も加わり吹雪になった。絨毯はふらふらしながら進んだ。

「ぐっっ!!」

ネズミはクナイで降ってきたひょうを壊(こわ)す。

「そろそろ危ないでござるよ」
「仕方ない。寒いし、いったんあそこで非難するか」

絨毯は降下(こうかと読む。飛んでるものが下ること)した。目の前には大きな建物、図書館が見える。雪で一階の入り口は、半分埋まっている。二人は二階の窓から中に入った。



7『図書館』

「あっ、誰か入ってきたわ」
「しかも二階の窓からです」

アクミとネズミは肩についた雪をはらった。

「あなた達、二階の窓から入るなんてワタクシの計算によると泥棒ですね」

メガネの男の子、インチョが言った。

「誰が泥棒だー!!」

アクミが怒鳴る。

「あー、あなたは!!」

メガネで三つ編みの女の子、アンナが叫んだ。

「何だよ?」
「人間界の学校で、魔法スイッチョを使って悪いことをしてたわよね。なんか前と格好違うけど」
「やはりワタクシの計算によると泥棒ですね」
「だから誰が泥棒だよ。アタイ達は、この雪の原因を突き止めに来てんだよ。あれっ、そういえばネズミは?」

アクミは辺りを見回した。

「ねえねえ、ネズミ君ってヤシチ君のいとこなんでしょ?」
「そうでござるが…」
「好きな女の子は誰?もしかしてアクミちゃんと付き合ってるの?」

ネズミは派手な格好で頭に大きな団子をつけた女の子、ライチに捕まっていた。

「はぁ?」
「ななななな、なに言ってんじゃんお前/////」

アクミは耳まで真っ赤になった。



『おたんこ』

「どうしよう。もしも、このまま雪が降り続けたら。ずっとこの状態だと二階の窓も雪に埋もれて、外に出られなくなって、ポケットの中のお菓子も無くなったら…がび〜〜ん」

顔に縦線の入った男の子、ガビンが言った。

「そんな不吉なこと言うんじゃねぇ!!」
「だって、ケータイはつながらないし。ますます寒くなってるし。このままだと…」
「その先は言うな!!だからアタイ等が解決しに来たって言ってるじゃん」

アクミが答えた。

「解決するってどうやって」←ガビン
「え?そりゃあ…」
「アクミ、まさか何も考えてなかったんでござるか?」
「だ、だって…」

アクミはまた言葉が詰まる。

「その癖拙者に人任せやら、おたんこ何とか。間抜けにも程があるでござる。所詮アクミか」

ネズミは肩をすくませ、呆れたのポーズをする。

「おたんこにんじんだっっ!!人がさっき言ったことも覚えてないなんて、バカなんじゃねえの!!お前の方が間が抜けてんじゃん??」
「どこに向かって一体何をしていたのやら。バカバカしい」

ネズミはため息をついた。

「うっせーな!!もういいよっ、ネズミのおたんこピーマン!!」

アクミは二階から出て行った。

「なっ!!」
「アクミちゃん…あっ、そういえば」



『本』

アンナは本を漁り始める。

「あったわ。ほらここに」

[神々が悲しみにくれているとき、妖精界が雪に包まれん]

その古い本にはそう記されていた。

「ワタクシの計算によると、こんな文章見たこともありません」
「わたしの耳にも入ったことないわ」
「ライチの言ってることは、いつも自分で作ってるようなものでしょうが」
「でもこれってどういうこと?」

ガビンが言った。

「つまり〔ガイア族が悲しんだら、妖精界に雪が降る〕ということでござる」
「あなたヤシチのいとこのわりに頭いいわね〜」
「時代遅れの忍者にセリフを取られるなんて、ワタクシ計算によるとありえません。ガクッ」
「フフフのフ〜。ヤシチがバカなだけであって、妖精忍者は違うのだ。貴様は計算ばかりしていて、経験が足らんでござるな」
「ねえねえこの二人って、アンナちゃんを取り合う恋のライバルらしいわよ」

ライチがガビンにささやく。

「な、何言ってんのよっ!!」



『キャラメルとコーヒー』

「ネズミのおたんこ…ふんだ。アンナ奴なんか、もう知らない!!」

アクミは言ってしまって少し後悔した。自分だって危ないのにすげ傘を貸してくれて。本当は優しいのに。

「でも…あいつだって」

ネズミの言っていた言葉はもっともだった。図星を付かれて怒鳴って飛び出した。

「謝らないと!!」

アクミは一階の女子トイレを飛び出した。

「ネズミっっ!!」
「なんでござるか」

ネズミはいつも通り腕組みをして立っていた。言葉にハテナがついていないところを見るとやっぱり怒っているのかもしれない。

「えっーとぉ、どうやったら雪が止むのが分かったか、聞きに来たんだよ…」

アクミは素直になれなかった。

「ほら出発だ」
「え?」
「さっさと絨毯を出すでござる」
「で、でも…」
「ひょうが止んでいるのも今のうちだし、早くしないと二階の窓まで雪に埋まるだろうが」

ネズミは窓のふちに立った。

「じゃあ…乗りなよ」


■ りょく (295回/2011/08/08(Mon) 10:11:37/No4054)


『lab』

「ガイア族ね、なるほど。そーゆーことか」

アクミとネズミは手袋、マフラー、コートを着込み、猛吹雪の中、絨毯はガイアの森に進んだ。
しばらく進むと遠くに小さな光が見えてきた。

「なんでござるか、あれは?」
「ん?」

近づくにつれ声も聞こえてきた。
その声はホッペが♀マークの女の子だった。しかも周りが光に包まれていて、そこだけ吹雪も避けている。

「ひっく、ひっく…」

どうやら泣いているようだ。

「なんだよ。アレ…」

アクミがつぶやいた。ネズミも驚いている。

「そこのお前、なんだよソレは」
「ひっく…人が泣いているのに話しかけないでよ。でも、何でこういうことになっているかというと…」
「結局答えてんじゃん。で、何で?」
「これは愛の力なの」
「は?あい?」

ネズミは目が点になった。

「この腕輪を付けているラブラブカップルは、二人のラブで育まれた力によって作動して、お互いの身を守ってくれるの。どぉ、ステキでしょ?」

今度はアクミも、目が点になった。

「でもアールは来なかったの二人の初めての危機よ。どうなるエリィ☆」



『腕輪』

「アクミ、絨毯を出すでござる」
「言われなくても」
「あ〜〜ちょっと待ってよぉ。せっかくのエリィのラブ話を聞かずに、どこ行くつもりよっっ!!」

「エリィ〜〜!!」

遠くから光が近づいてきた。

「アール!!」
「ごめんよ。愛しい君を待たせてしまって」
「待たせすぎよ。でも来てくれて、すごくうれしいわっっ」

すでに二人は抱きしめ合っている。

「ゴメン。くだらなすぎて体が動かねえんだ…」
「謝るな。拙者もそうだ…」
「ところでこの方達は?」
「あなたがステキ過ぎてわすれていたわ。この方達は、私の悩みを聞いてくれた愛の恩人よ。その悩みももう無くなったけどね」
「そうか。それじゃあ何かお礼をしなくっちゃね」

エリィとアールが振り向いた。

「いや、アタイ等は悩みがなくなったらそれでいいんで(さっさと立ち去ってくれ!!)」
「これぐらいのことで礼はいらんでござる(動け!!体!!)」

アクミとネズミは初めてお互いの心の声が聞こえ、通じあった気がした。
だがエリィとアールには、当然聞こえなかったみたいだ。

「さあ、手を出して」

二人は腕輪を外し、アクミとネズミに付けた。

「これであなた達も今までよりもっと、心通じ合うわ」

二人は吹雪の中、手をつないで帰っていった。

「「(もう十分通じ合ってるから!!)」」



『帽子』

「やっと着いた」
「本当にやっとでござったな」
「言うなよ…」
「すまん…」

ガイアの森の洞窟の入り口。入り口は雪には埋まってなかった。やはり神の住処だからだろう。

「一気に行くよ!!」
「ああ!!」

この洞窟には訳の分からない、しかも強い生き物が住み着いている。気を抜けば一巻の終わりだ。

「だぁぁぁ!!」
「アクミでポン!!」
「てぃっ!!」

アクミは魔法でネズミは忍術で倒していった。

「ウェェェン!!」
「ぐすん」
「うわぁ〜ん〜」
「ひっく、ひっく」
「…………ぽろっ」


「また泣き声が…」
「ん?何か言ったか?ぼーっとしてないで手伝えよ。アクミでポン!!いてっ、クッソー手袋してるのに寒さで手がしびれるじゃん」

洞窟の中は雪こそ降っていないもののやっぱり寒かった。

「フッッ!!」

ネズミは黄色いブーメランを投げた。周りの生き物は一斉に倒れた。

「気絶している。アクミ、今のうちだ」
「あいよっっ!!」

ガイアの森に着いた。
今はあの美しい景色を潰すように、雪が積もっている。

「ウェェェン!!」
「グスン」
「うわぁ〜ん〜」
「ひっく、ひっく」
「…………ぽろっ」

「何だこれは?」
「さっきも聞こえたが…」
「えっっ(さすが忍者じゃん。さっきもすごかったし)」

アクミは素直にそう思ったが、声に出すことは出来なかった。

「うわぁ!!」
「!?」

とても強い風が吹いた。二人は帽子が飛ばされないよう、必死に抑えた。



『神様』

「ウェェェン!!俺のイモが〜」
「うわぁっっ!!何でござるか」

いきなり現れたのはガイア族の一人、炎の神フィアだった。

「何で泣いてんだよ」

フィアは大泣きしながら暴れ回っている。

「焼きイモ。石焼きイモがくいてぇー!!」
「ったく。アク、アク、アクミでポン★」

アクミは石焼きイモの屋台を出した。

「うぉーー!!これで美味い焼きイモが食えるぜー!!」

フィアは直ぐに飛びついた。

「タコのクセに手間取らせやがって。テメェはどら焼きでも食ってろ」
「ん?何か言ったか?」
「ネタはそこまでにして、次にいくでござるよ」
「あーそうだった」
「ムグムグ…そういやお前らだって、人間界で変身して魔法使ったり、ジャングルで日々不幸な目にあったり…」

「[悲しみにくれたとき]とは、泣いているということだったか」
「そうみたいじゃん。とすると、あとの四人も泣きやませればいいってことじゃん。楽勝楽勝♪」
次に二人は、水の神アクアの所に行った。

「グスン…」
「で、お前は何で泣いてんだよ」
「あれ…」

アクアは花畑を指差した。見ると、花の一部が絡みあっている。

「僕の大切なお花があんなになっちゃった…グスン」



『魔法』

「う〜ん。花でござるか…」
「こうなったら、片っ端から魔法をかけてみるしかないじゃん。アクミでポン★」

花のツルは解けかけたがまた絡まった。

「やっぱダメか…ぎゃぁーー!!」

いきなり花が牙を向いてアクミに襲いかかった。

「あ、言い忘れてたけど、そのお花は寒くて怒ってるからあんまり刺激しないようにね…グスン」
「きぃゃぁーー!!先に言えー!!」

アクミは絨毯に乗ったまま花達に追いかけられている。

「アクミ!!そうだ…」

ネズミはホラ貝を取り出した。
バックに紋章が出て。

「♪はぁっ、とぅ」

周りで小さく稲妻。

「♪やっっ」

右に回って、左に回って。

「フフフのフ〜♪」

宙返り、ヒモがものすごく揺らめいて。

「ネズ、ネズ、ネズミでポン★」※ネズミの魔法でした。

花のツルは見事に解けた。

「はぁ、はぁ、た、助かった…ガクッ」
「わぁ、お花が元に戻った♪ありがとうvV」

アクアは笑顔になった。

「よかったじゃん…」


「うわぁ〜ん」

次は風の神、ウィンの所に行った。

「お主は何故、悲しんでいるのでござるか?」


■ りょく (296回/2011/08/08(Mon) 10:12:20/No4055)


『風と雲』

「うわぁ〜ん…ボクの頭のかざぐるまが、風に飛ばされちゃったんだよ〜」

ウィンは泣きながら、周りをクルクル回る。

「って、自分のせいだろぉがっ!!」
「うわぁ〜ん、うわぁ〜ん」
「寒い…。とりあえず拙者達が探してくるから、泣き止むでござる」

もっと吹雪が強くなった気がした。
ネズミとアクミはいつもの様に、絨毯に乗って探していた。

「あ〜〜、見つかんねぇ。しかも寒いし」
「しっかり探すでござる。拙者はあっちの方を探してくる」

ネズミは絨毯からうちわで飛んで行った。

「あ、ネズミ…行っちゃった…」
「ひっく、ひっく」
「また泣き声が。今度は誰でござる?」

ネズミが出会ったのは、雲の神ピクモだった。

「くっっ!!」

ひょうが落ちてきた。ネズミは間一髪の所でソレを避けた。

「危なかったな…」
「ひっく、ひっく…私の雲畑が雪だらけに…」
「?雲畑……それで、雲畑とはドコに?」

ピクモは目の前を指差した。そこには真っ白な銀世界が広がっている。

「まさか、ここ全部が!!?」
「気にしないで。ひっく、ひっく…」
「こんな迷惑なのに、気にしないわけがないだろうがっっ!!こうなったら…」

ネズミは両手にシャベルを持った。

「雪かきだ!!」


「かざぐるま〜、どこだ〜」

その頃アクミはかざぐるまを探していた。

「寒いし、疲れたし、手も痛いし。あいつの所にでも行ってみるか」



『心』

痛いのは手だけじゃなかった。痛いのは心。急にひとりぼっちになって寂しくなった。

「…ネズミーー!!」

アクミはわざと大声で叫んだ。


掘って、掘って、掘りまくる。

「くしゅん!!風邪引いたでござるか」

ネズミは雪かきの最中。あのヤマネの何倍もの速さで掘り進めていく。

「つっっ!!」

カチンと音がしてシャベルが止まった。
どうやら氷の塊に当たったようだ。

「当たりか…仕方ない。あの技を使うしかないでござる」

ネズミは忍術を使うポーズで手を構えた。

「忍法紐縛りの術!!」
※これはりょくが考えました。この様な忍術は存在しません。

ネズミが付けている紐が自動で伸びる。
そして、氷の塊に巻きつく。

「はぁっっ!!」

ネズミの力に紐の力が加わり、氷は引っ張られ抜けていく。

「くぅ…」

ネズミは尻餅をついた。
そして、ついに氷が抜けた。

「やっと見つけた!!ネズミー!!」
「アクミ!!」
「何してんだ?こんなとこで」
「こっちも色々あったのだ」
「そういうことか」

アクミはピクモを横目でチラリと見た。

「ところで「危ない!!」

大きな雪の塊が落ちてきた。ネズミはアクミを突き飛ばした。

「いてて…」

アクミが起き上がると、ネズミがいた位置には姿はなく、変わりに大きな雪の塊があった。



『シャベル』

「ネズミー!!」

アクミは雪の塊に駆け寄った。

「アクミ」
「そこにいるんだな。今、助けるから!!」

アクミはシタールを構えた。

「アクミでポン!!」

アクミは魔法をかけたが、何も起こらなかった。

「アクミよく聞け!!この雪はガイア族が創り出したものだから、魔法は効かん!!拙者のことはいい。お前だけだも逃げろ!!」
「何を言って…」
「いいから早く!!」

周りにも次々と雪の塊が落ちてくる。

「うるせぇ!!一人だと暖かい所にいても寒い。でも、二人だと寒い所にいても暖かい。そんだけだよ。アタイはお前がいないとイヤだ!!」
「バカ!!」
「どうせバカだよ。でも魔法が使えなくったって」

アクミはさっきまで、ネズミが持っていたシャベルを手に持った。

「こうすればイイじゃん☆」

ネズミが埋まっている所を掘り出す。

「うぉりゃぁ〜〜!!」
「はっっ!!」

ネズミもも雪の中から忍術を試みる。

「うぉりゃぁぁ〜〜!!」
「いてっっ!!」

ネズミの頭にシャベルが当たった。
アクミはネズミの顔だけ、雪の中から掘り出せた。

「やったー!!」

アクミはおもわず、ネズミに抱きついた。

「おわっっ」
「よかったじゃん!!」
「よくない。まだ顔だけでござるよ」



『光』

「そうじゃん。あっっ///////」

アクミはいつの間にか、ネズミを抱きしめていたことに気が付いた。

「つっ、次行くぞ//////」

アクミはシャベルを握り締めた。

「上を見ろ!!」

上から巨大な雪玉が降ってきた。

「(せめてネズミだけでも…)」

アクミはネズミに覆い被さった。

「逃げろ、アクミ!!」

雪玉はゆっくりと避けた。

「「……?」」

二人の体は柔らかな光に包まれていた。

「な、なんでござるか??」
「さ、さぁ…ってネズミ!!」
「あっっ!?」

ネズミはいつの間にか、雪玉から抜け出していた。雲畑の雪もとけている。

「何が起こったんだ?」
「これは…」

ネズミは手首を見た。そこには、さっき貰った腕輪が光っていた。

「まさか、これがアタイ等を守ったっていうのか…」
「信じたくはないが、その様でござるな…」

二人の頭には腕輪をくれた、バカップルの顔が浮かんだ。

「「あいつらのおかげとは……………」」

「あなた達、ありがとう」

ピクモがふわふわと飛んできた。

「あ、かざぐるま、見つけたでござる」

ウィンのかざぐるまは、ネズミの足元に落ちていた。

「これでこっちも解決だな。早く行こうネズミ!!」



『目薬』

アクミとネズミはウィンにかざぐるまを渡しに行った。

「ボクのかざぐるま〜」

ウィンはかざぐるまを頭に付けると、嬉しそうにクルクル回って去っていった。

「って礼もなしかよ。じゃあ次〜」←アクミ
「切り替え早っっ!!」←ネズミ
※上のセリフは、あんまり性格が変わっていたので、分かりやすくしました。

最後は土の神、ドンタ。

「……ぽろっ」

ドンタは静かに涙を流す。

「何で泣いてんだよ」
「………」
「もしかして、目が痛むのか?」

ドンタはネズミの言葉に頷いた。

「……これは拙者の愛用の目薬なんだが、よかったら使うでござるよ」

ネズミは目薬をドンタに渡した。
ドンタは目薬をさした。

「痛くなくなった」
「当然でござる。目薬なのだから」

ドンタの涙は引いた。
その途端、今まで降っていた雪が止み、一気に消えていった。

「ただいま〜」

振り向くと、体の大きな妖精が洞窟から歩いてきた。

「トプル〜」
「遅いぞ!!」
「お帰りなさい」

ガイア族達は一斉にトプルに群がる。

「あいつは?」
「楽器職人兼ガイア族の保護者」

アクミがネズミに説明する。






次から完全新作です。


■ りょく (297回/2011/08/08(Mon) 10:13:24/No4056)


『ネズミ』

「ったく。保護者なんだからちゃんと面倒見とけよな。おかげでエライ目に遭ったじゃん!」

苛々した口調のアクミに悪態を吐かれた神々の保護者は穏やかに微笑んだ。

「ガイア族の涙を乾かしてくれてありがとう。君達二人のおかげで妖精界の平和は保たれた」
「うるせぇ!」

屈託ない笑顔は逆に嫌味に思えてくる。アクミが尚も噛み付こうとすると、胸の前に片手がさっと添えられた。

「そのくらいにしておけ。終わり良ければ全てよしと言うもの。口を慎むでござる」

同年代の妖精より一般常識を持ち合わせているネズミは、アクミのように感情に乱されることなく淡々とした口調だった。
騒動を引き起こした迷惑神を敬う気持ちなどこれっぽっちもないが、逆らう妖精を一瞬で塵に出来るだろう強大な魔力の持ち主に、あまり失礼な態度で接するのは良くないと判断したのだった。

「そーだぞ。オレたちゃ天下のガイア族なんだからな!」

威厳を取り戻したフィアは途端にふんぞり返る。

「でも」
「彼らが来なければ」
「妖精界は氷河期に突入していたかもしれない」
「それでも…ガイアの神殿に辿り着いた勇気を、天候の変化にいち早く気が付き原因究明した知性を、悲しみを取り除いてくれた解決した恩を無視して、尊大な態度を取れると言うのかい?」

ドンタ、ピクモ、ウィン、アクアはやや大げさなセリフで、フィアを取り囲む形で問い詰めた。

「わ、分かってるよ。ちょっと忘れていただけだ。里を救ってくれた事には感謝してんだから礼ぐらい言える!」

神仲間の憮然たる面持ちにフィアは焦り、声を張り上げた。

「じゃっ、せーの…」

照れたように小さくなった声で掛け声を言うフィア。
すると五人の神の唇から謝意を表す言葉が紡ぎだされた。

「ありがとう」

それは礼を述べる時の基本の言葉、何の変哲もないありふれた言葉だったが、妖精界の神々から礼を言われる妖精はそういない。対面する機会だってまずないのだ。
なかなか出来ない体験にネズミは驚いていたが、アクミは不満げに唇を尖らせている。
文句を言おうと口を開きかけたものの、ネズミの睨むような視線とトプルの包み込むような笑顔に制され、アクミは仕方なく心に浮かぶ不満を呑み込んだ。


「ありがとう…ってそれだけかよ。妖精界が氷河期に突入するかもしんない大事件を解決した恩人に騒動を引き起こした張本人から、あんなに軽いセリフを言われるなんて…ねーーよ!」


お礼を言い終えさっさと神殿に消えた五人と仕事に戻った一人に心底苛立ちながら帰りの洞窟に差し掛かると、アクミはようやく不平をぶちまけた。

通常、雪解けの後は地面に水が残るのだが、まるで何も起こらなかったかのように何の跡形も無かった。おそらくガイア族が処理したのだろう。
アクミは膨大な魔力にやっと神らしさを感じたが、ならば初めから騒動を引き起こすなと言いたいところだ。

「いや、結果的にだが妖精滅亡(未遂)に加担した拙者らに何の咎めも無かったことを考えると、働きには似合わないが十分な収穫でござる」

永遠を生きるガイア族にはダアク騒動は一瞬のことで、能天気で頼りない彼らに自分達はすでに忘れられているのかもしれないと思いながら、ネズミは天を仰いだ。

それでも愚痴が止まないアクミに適当に相づちを打ちつつ歩みを進める。しばらくすると暗い洞窟は出口を迎え光が見えてきた。

暗闇になれた目に陽射しが眩しくて手で光を遮る。
目が慣れてきて青忍者の姿を目にすると、アクミは不思議な感じがしてならなかった。
"ラット"は覆面を被っていて"ネズミ"の顔を見るのは今日で二回目だ。ちらちら盗み見ながら、彼の素顔を改めて観察した。

生意気そうに短く結ばれた口元、眉との間隔が無いせいでキツい印象のつり目、動作の素早さを表したかのような頬の稲妻形の模様。
性格そのままの顔だとワルモ団の誰かが言っていたのを思い出して、アクミは思わず吹き出した。

「何をニヤついているのでござるか。気味悪い」
「ふん。顔に嫌味な性格が表れてんなと思ってたところだよ…」

呆れと嫌味が宿ったつり目に見つめられ、アクミは恥ずかしさでドギマギしながら答えた。
そんなアクミを一瞥し軽く背伸びをすると、ネズミは一難去ってさっぱりした様子で言った。

「さてと、そろそろ次の旅に出発するでござるかな」
「え!早すぎ…」
「故郷に戻り三日になる。あまり家にいるとたるんでしまう故そう長居は出来ぬ」
「ちょっと待って…」

急な宣言に冷や汗すらかきながらアクミは困惑する。

「あのさ…」

たわいない会話で盛り上がったり、遊びに出掛けたり、一緒にキャラメルソフトを食べたり。ネズミとしたいことは沢山ある。

「何でもない…」

行かないで。
そう言いたい。言えたらネズミを引き止められるだろうか。アクミは考える。
たとえ言ったとしても、ネズミは何の躊躇もなく自分の道を進むだろう。目標を達成するために。
ラットの時からそうだった。相性の良さはお互い感じていた反面、彼の身勝手な部分には苛立たされた。妹を助けるため必死だったこともあるだろうが。

「気を付けてな」

先ほど言われた謝意と同レベルの月並みな言葉だけど、今のアクミにはちょうど良いのかもしれない。
気持ちを悟られても恥ずかしいし、ネズミを引き止める術はないのだから。
好きになった途端、本心が口に出来なくなってしまった。
するとネズミは不安と後悔に揺れる瞳を覗き込み、にやりと嫌味混じりの微笑を浮かべた。

「また会いに来てやるでござるよ。どこへ行こうが必ずアクミの元へ」

ネズミの意外な言葉に呆気に取られ、彼を見つめ返したアクミは徐々に顔全体が色濃く紅潮した。

「ア、アタイも!ネズミがどこへ旅しようともいつでも無事を祈ってるよ!」

アクミの照れた様子に、背を向け「さらばでござる」と言うとネズミは一瞬で旅人の格好を身に纏い、修行の道へ進んでいく。

二人は受け取った言葉を胸に刻みお互いの生活に戻っていった。







以前書き込んだ話を○年越しに再アップ&完結させました。
本当は一から書き直そうと考えていたのですが、内容が変わってしまうので止めました。
補足。『lab』ですが、LOVEと書くのが恥ずかしくてローマ字で書こうとしていたのだと思います。だとしても「l」は「R」だし「u」がない。笑っていいとも!

下手な文章は今昔変化せず。ちょっとはマシになってたらいいな。

では(^-^)v


■ こやまる (1138回/2011/09/22(Thu) 17:59:00/No4181)
http://www.murumoya.com/


りょくさん、こんばんは☆

以前書き込んだ話の再アップ!?
すみません、忘れっぽい管理人の記憶域がエラーを起こしてます。。
いつ頃どんな形式でのアップだったか、お手数ですが教えていただけないでしょうか?(^◇^;)

再アップ分の文字量の少なさに初々しさをすごく感じました。
初々しいとはいえ、細かな説明を抜きにストーリーが進むことで場面転換のスピード感を感じますし、シンプルな二人のセリフも読者にいろんな想像を働かせる点で、このスタイルもアリだと思いますよ。

いろんな場面にいろんな妖精を次から次へと投入するところは、今も昔も一緒ですね(^^)。
エリィとアールを登場させたのはりょくさんだけかも!?

ネズアクの成長し始めの関係もまた初々しいなぁ。
今でこそネズアクはいつも一緒に行動するのが当たり前ですが、この小説では二人が一緒に行動しているというだけでドキドキしてしまいます。
素直じゃなかったり、顔を真っ赤にしたりというアクミの分かりやすい反応も可愛すぎですね。
やっぱりアクミはこうでなくっちゃ!
頭のいいネズミにはアクミの想いはバレバレでしょうけど。

その後のストーリーなど、りょくさんによるいろんなネズアク話をまた見てみたいです。
では!


■ りょく (329回/2011/09/23(Fri) 15:57:17/No4184)


こやまるさん、こんばんは〜。

>以前書き込んだ話の再アップ!?
うへ〜(´▽`;)ゞ
旧いただきものに同タイトルの話があります。《ピペ》というハンネは旧りょくです。
再アップについて掲示板にて二月頃にお知らせしたのですが、日にちが空きましたし、表記しておくべきでしたね。うっかりしてました(^-^;)

>再アップ分の文字量の少なさに初々しさをすごく感じました。
当時はキーボードで打ち込んでいたので、実際に考え付いた量よりさらに少なくなっていました。
今はケータイサイトにアップした後、コピペで貼りつけという形を取ってます。
タイピングは今もすごく苦手です。はい(>_<;)

>初々しいとはいえ、細かな説明を抜きにストーリーが進むことで場面転換のスピード感を感じますし、シンプルな二人のセリフも読者にいろんな想像を働かせる点で、このスタイルもアリだと思いますよ。
ありがとうございます(^-^)
これが今の私の文章に足りないところですね。今はくどい。
昔は文章が上手くなりたいとの考えもなくて、ただ好きで書いてただけでした。
この頃すでに多少腐ってましたが、今より全然新鮮だった自分が寂しくも懐かしい(笑

>今でこそネズアクはいつも一緒に行動するのが当たり前ですが、この小説では二人が一緒に行動しているというだけでドキドキしてしまいます。
以前は『ごおるでん』最終話の
アクミ「ラット!?じゃなくて…」
ネズミ「ネズミでござるよ」
以下略のシーンからアクミがネズミを意識しているのだと妄想していましたが、今はネズミの方がアクミを好きな感じが良いです。
妄想がどんどんどんどんマイナー化していってる。何で…。
最近はミルポンに限らず色々な好みが変化していってます。そんな自分に付いていけない…。

五話のアクミだけ他のと比べて明らかに素直でおとなしいですね。
アップした時点では昔の自分にものすごく合わせたような気でいました。調子に乗ってました。
恥ずかしい(/_\;)

話はズレますが
『無印』の子供っぽい茶ネズ
『無印』の大人びたお兄さんネズ
キザなラット
『ごおるでん』の厳しいネズミ
『わんだほう』のシスコン丸出しネズミ兄様

…少なくとも"りょく"の脳内には同一人物が五名存在しています。(ワルモ団じゃあるまいし…)
これでも十分おかしいのに、最近まで世間的には茶ネズ、ネズミ、ラットが三人居るのが一般的だと思っていました。
人様のきちんとしたお話を読ませて頂いて猛反省です(^-^;)

では!


■ 梨璃 (160回/2011/09/23(Fri) 21:23:08/No4185)

りょくさんこんばんは☆

小説のリメイクまっていました!
最初から最後までニヤニヤしっぱなしでした´Д`*

ネズアクにニヤニヤしたり、ガイア族が神様とは思えないように可愛かったり。
素直になれないアクミが可愛いです。
>「また会いに来てやるでござるよ。どこへ行こうが必ずアクミの元へ」
これには反則だネズミ兄さん。惚れてしまうよ…!
もう結婚しちゃえよ…!

りょくさんの考えるネズミが面白いですね。
キザなラットとシスコンネズミ兄様に笑いましたw

>世間的には茶ネズ、ネズミ、ラットが三人居るのが一般的
私もふとこいつらが実は別人だったら萌えるよな。と妄想してしまいます^^
茶ネズはアクミに積極的にアピールしてそう。

では!


■ りょく (335回/2011/09/29(Thu) 10:08:52/No4194)


梨璃さん、こんにちは!

読んで下さってありがとうございます(^-^)
ガイア族って神様っぽく無いのが魅力だと思うのです。

>もう結婚しちゃえよ…!
激しく同意。
私の脳内ではすでに夫婦してます。

>私もふとこいつらが実は別人だったら萌えるよな。と妄想してしまいます^^
>茶ネズはアクミに積極的にアピールしてそう。
えっ、本当ですか!
そんなこと言われたらつい、妄想を披露したくなります。


アクミ
「はぁ…」

茶ネズ
「空が晴れている。
今日は一段と空飛ぶ縦断日和でござるな♪拙者を乗せて散歩に出かけるでござるv」

ラット
「どうした?湿気たツラして。コーヒー飲むか?
物憂いげな子猫ちゃん」

ネズミ
「……」

アクミ
「何でこいつら三人も居んの?何なんだ。おい」

茶ネズ
「増量キャンペーン中でござる。大変お買い得になっているのだ。外国で寂しいアクミに購入のチャンスでござるよ♪」

ラット
「コーヒー係はオレが勤めよう。新しくキャラメルコーヒーも開発したんでな。いつでも作ってやる」

ネズミ
「気にするな。放っておいても害はないでござる」

アクミ
「すでに存在自体が迷惑だよ!」

「(でも、逆ハーみたいで良いじゃんとか思ったのは秘密…)」


ここへ黄色いくの一が訪れるのは別のお話。

(調子に乗りました。すいません)
では!




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(2009.5 koyamaru edit)